県産品の鮮度を維持してスピード輸送する仕組み「A! Premium(エー・プレミアム)」がサービスの拡充に向けて取り組むことになった。新たに、欧州などアジア以外の国への輸出や、ニーズに合わせた柔軟な対応ができるようになり、利用者の選択肢が大きく広がるという。県産品の一層の販路拡大に、さらに貢献してくれることだろう。関係者の意欲的な取り組みに期待したい。
高い品質を誇りながら、消費地までの輸送に時間がかかることがネックだった本県の農林水産品。エー・プレミアムはこうした課題を解決しようと始まった新サービスで、保冷一貫輸送で自慢の鮮度を保ったまま、国内の9割の地域に翌日の午前中、アジアへも最短で翌日中の配送が可能になるという画期的な仕組みだ。2015年度にスタートして以降、活ホタテや鮮魚を中心に、野菜や加工品などにも取引が広がっており、年々取り扱い実績が増加。出荷する事業者だけでなく、バイヤーからも評価が高い。
エー・プレミアムの大きな特徴は荷物1個から輸送が可能なことで、サンプル品などの送付に便利。輸出先も県産品のニーズがある程度見込めるアジア限定とし、これから輸出にチャレンジしてみようという小規模事業者に便利な仕組みだったし、取引先にも「少量から取引できるのがありがたい」という声があった。
ただその分、販売ルートが確立した後のまとまった量への柔軟な対応や、アジア以外の国への輸出には対応しておらず、利用が広がるにつれ、より多様な選択肢を求める声が増えてきたという。
3月、県とヤマト運輸に、ヤマトグループで国際物流を担うヤマトグローバルロジスティクスジャパンを加えた3者で連携協定を締結。本県で行った連携協定締結式には3者のトップが顔をそろえ、今後のサービス拡充に意欲を示した。
注目されるのはアジア以外、特に欧州向けの物流ルート構築が掲げられていることだ。ヤマト側は18年度に仏・パリのアンテナショップで青森県フェアを実施し、現地の住民の関心の高さを感じたという。これまでの鮮度維持、スピード輸送の仕組みを欧州にも広げられれば、県産品のブランド化にも大きな弾みがつくことだろう。
4月にはエー・プレミアムを含む物流環境の整備などをまとめた「県ロジスティクス戦略2ndステージ」を策定。計画期間は5年間で「Local to Local、Local to Worldの実現を目指して」というキャッチフレーズを掲げ、地方から世界に打って出るという意気込みを示している。
エー・プレミアムについては、状況の変化に柔軟に対応できるよう1年ごとに目標を設定し、検証や改善を行うとしている。時代に合わせて常に進化するサービスであり続けてほしいと思う。