社 説

 

働き方改革「長時間労働是正へ実効策を」

2017/10/25 水曜日

 

 大手広告代理店電通の新入社員が過労自殺、NHKの記者が過労死したのをはじめ、長時間労働をめぐる悲劇が止まらない。官民挙げた長時間労働の是正は急務となっている。
 電通では、残業時間に関する労使協定(三六協定)を上回る違法残業が常態化していたという。東京簡裁での訴訟では、電通が違法状態を解消しようとしたのは、入札停止処分などで東京五輪・パラリンピック関連の仕事を失うことを避けるためで、形式的な対応に終始したと指摘された。
 NHKは、記者に事業場外みなし労働時間制を適用していた。同制度は勤務状況の把握がおろそかになり、長時間労働の温床になると指摘されている。このため、今年4月には記者を対象に裁量労働制を導入するなどの改革を進めているという。
 電通とNHKの問題は、氷山の一角と見るのが自然だろう。人口減少を背景に、人手不足感はあらゆる業種で高まっている。表立ってはいないだけで、長時間労働やサービス残業がまん延しているのではないか。
 労働基準法は時間外労働の割増賃金率を25%以上と定めるが、先進国の中では最低水準とされる。このため、仕事が増えた場合、企業は新規雇用よりも社員の残業時間を増やして対応する傾向にある。単純に残業を規制しても、業務量に見合う適正な人員を配置しない限り、長時間労働はなくならないだろう。
 また、コンビニエンスストアに代表される24時間営業など、サービスの在り方やライフスタイルの見直しが不可欠との指摘もある。要は、簡単に解決できる問題ではないということだ。だが、手をこまねいているわけにはいかない。企業や国民の意識変革を進めるためにも、政府は長時間労働是正に向けた制度設計を急がなければならない。
 政府は当初、9月の臨時国会で「働き方改革」関連法案の成立を目指していた。残業時間の上限規制、同一労働同一賃金の導入、高収入の専門職を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度」導入などを一括提出する方針だった。
 だが、臨時国会冒頭で衆院が解散されたため、法案の提出、審議は先延ばしされた。衆院選では与党が法案に沿った公約を主張する一方、野党も長時間労働に対する法的規制、残業時間上限の法制化などを訴えた。方法論に若干の違いはあるものの、方向性はほぼ同一と言っていいだろう。
 長時間労働是正は待ったなしの状況だ。法案をより実効性のあるものとするため、与野党は国会で建設的な議論を戦わせてもらいたい。特に政府・与党は責任感とスピード感を持って、主導的役割を果たすべきだ。

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農業労働力不足「多角的な分野で創意工夫を」

2017/10/24 火曜日

 

 県内農家が労働力不足を感じる割合がほぼ半数に及んでいることが、県の調査で明らかになった。人口減少や高齢化の背景から、今後の労働力確保に不安を抱く生産者は、5割を超える状態となっており、本県の基幹産業である農業を取り巻く労働環境は深刻な状況を迎えつつあると言えるだろう。少子高齢化による人口減少社会の影響が産業の分野に目に見える形で及んでいることに、改めて危機感を覚える。
 調査は、農業従事者の労働力不足の実態を把握するために実施したもので、農家3万1552戸のうち1万1489戸(回収率36%)から回答を得た。
 農業経営者の家族が作業員として働く「家族労働力」が足りていると回答した割合は50・6%となる一方で、「足りない」「将来足りなくなる」を合わせた不足を感じている農家の割合も46・8%とこちらも半数近い状態で、理由は、やはり、作業を頼んでいた親戚や近隣住民らの「高齢」を挙げる人が最も多く6割を超える。家族以外の作業員の力を借りる「補助労働力」を導入する割合も6割を超えるが、年齢層は60代以上が半数を超え、生産現場での労働力不足と高齢化が顕著になっている状況がうかがえる。
 こうした現状を背景に今後、労働力を確保できるかどうかについて「不安」などと答えた割合は56・5%に上るなど回答者の半数以上が将来に不安を感じている。国内産地や安価な輸入作物との競争激化や収穫物の価格低迷など、さまざまな問題に直面する県内農家が自らの足元である生産環境の面からも厳しい状況にあることが分かる。
 いろいろと気になる点が多い今回のアンケートだが、「足りない」「将来足りなくなる」を合わせた回答者のうち農作物の品目別(複数回答)で見ると、リンゴが最多(53・9%)となったのは、リンゴどころ津軽にとって大きな懸念材料と言える。この数字は津軽地方では7割を超えるというから深刻だ。
 せん定、摘果、葉摘み、収穫とリンゴの生育はさまざまな工程で手間がかかる。その多くは人力に頼らざるを得ないため、労働力不足が他の作物に比べても深刻なのではないかと推測できる。
 近年は、労働力不足を補うために先進の工業技術を農作業に取り入れようとする試みや、高密植わい化栽培といった新たな省力化栽培の取り組みがさらに目立つようになってきた。こうしたハード面の新技術開発と並行し、地縁・血縁が中心の「補助労働力」の間口をもっと一般まで広げられるような環境づくりも必要になってくるだろう。農業未体験者が補助労働力として参入できる環境が整えば、ひいては新規就農者の増加にもつながるのではないか。ハード、ソフト両面で知恵を絞り、農業県青森の未来を切り開きたい。

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衆院選に審判「与党勝利も“敵失”否めず」

2017/10/23 月曜日

 

 衆院選に国民の審判が下った。2012年12月から5年近くにわたる安倍晋三首相の政権運営に対する評価が最大の争点となったが、結果的に有権者は安倍政権の継続を選択した形だ。
 衆院選は自民党・公明党の与党に対し「希望の党・日本維新の会」と「共産党・立憲民主党・社民党」が挑む3極対決の構図となり「安倍1強」体制を維持できるかどうかが最大の焦点となった。
 選挙期間中の本紙世論調査では、安倍内閣を「支持しない」が「支持する」を上回り、選挙後の望ましい衆院勢力については「与党と野党の勢力伯仲」と答えた有権者が最も多かった。しかしながら野党各党の支持率はいずれも低調で、開票結果を見ても自民・公明の与党が「絶対安定多数」を確保する見通しだ。
 野党は候補の競合によって政権批判票が分散し、自民党を利する形になったといえる。それ以上に、全国的な低投票率を見ると、台風21号が影響した可能性があるものの、勝因は「敵失」との見方は否めない。有権者は、政権批判の受け皿になるべき野党勢力にも信を寄せられなかったということだろう。
 今回は公示直前に野党第1党だった民進党が分裂し、小池百合子東京都知事率いる希望の党と、これに加わらない民進党リベラル系の前衆院議員らが参加した立憲民主党の二つの新党が相次いで誕生、野党再編が慌ただしく進んだ。
 希望は一時、政権奪取までささやかれる勢いだったが、民進リベラル派を「排除する」とした小池氏の発言や「自民の補完勢力」といった指摘が響き、一転して逆風に。希望への合流によって共産、社民との共闘関係も崩れた。
 選挙戦中盤の本紙世論調査で、希望への民進合流を「評価しない」とする有権者は半数以上を占めた。公示直前に民進から希望へと看板を変えた候補者に対する戸惑いも少なくなかったことだろう。
 国政は、今回の争点ともなった憲法改正、消費増税や増税の使い道を含めた社会保障の在り方、原子力政策など重要課題が山積する。中でも憲法改正に関しては、自民、公明の与党に希望、日本維新の会を加えた「憲法改正勢力」が改憲発議に必要な310議席を占めることが確実になり、改憲論議が本格化するものとみられる。ただ、本紙世論調査を見ても改憲反対が多く、今回の選挙で争点と捉える有権者は決して多くはなかった。
 衆院選大勝も「敵失」による消極的な選択であることが否めないことを安倍政権は肝に銘じ、決して数におごることなく、国民目線での政治で負託に応えなければならない。
 同時に、いかなる理由があるにせよ、前回に続く全国的な低投票率は恥ずべきことである。国の将来に対し自らの意思を示す一票の行使の大切さを国民はもっと自覚すべきである。

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高速道路の危険運転「事故誘発の運転ゼロへ努力を」

2017/10/21 土曜日

 

 高速道路における痛ましい事故が相次いでいる。といっても、運転操作ミスや漫然運転に起因するものではない。6月には、神奈川県大井町の東名高速道路で、前方車両に意図的に進路をふさがれ、追い越し車線に停車していた乗用車にトラックが追突し、夫婦が死亡する事故が発生。今月18日には、岡山県津山市の中国自動車道で、追い越し車線に落ちていたタイヤに軽自動車が乗り上げる事故があり、乗っていた母娘が路肩に避難するも後続の大型トレーラーが同じタイヤに乗り上げ横転、巻き込まれた2人が死亡する事故が起きた。
 いずれも、事故に巻き込まれ死亡した方々が安全運転と交通マナーを順守していても、おそらく避けられなかった事故である。こうした事態に巻き込まれそうになった場合、どのように対処すればよいのか、啓発活動はもちろん、ドライバー自身も自ら、そして大切な人の命を守るための方策を熟知する必要がある。
 6月の事故は現場から約1・4キロ手前のパーキングエリアで、枠外に駐車した男に抗議した被害者が、逆上した男から追跡を受けた上、進路をふさがれ、停車せざるを得なくなった。さらには男が被害者の一人の腕や胸ぐらをつかむ暴行を加えた。そこにトラックが追突し家族4人が死傷した。今月に入って自動車運転処罰法違反と暴行の疑いで逮捕された男は日常的に危険運転を繰り返していたという。今月の事故はいつ、どのような車両から落ちたのか分からないタイヤに2台の車両が乗り上げ、巻き込まれた末の惨事である。
 6月の事故の場合、被疑者の男の行為は理不尽極まりない。その身勝手な行動さえなければ、人命が失われることはなかった。今月の事故もタイヤを積んでいた車両のドライバーが落下しないよう、適切な措置をしていれば防ぐことができたと思われる。残された家族はまさにやりきれない思いであろう。
 危険運転に巻き込まれそうになった場合は▽車間距離を取る▽逃げられない場合はハザードランプをつけるなどして、警察に通報する―などの対処が推奨されている。一般道の倍近いスピードの車両が走行する高速道路となれば、より一層の注意・警戒が求められる。交通マナーやルールをしっかり守っているドライバーにとっては負担であろうが、自らの命や財産を守るため、予期し得ない事態に対処する方法を知っておくべきだろう。
 警察庁によると今年上半期、高速道路上の「あおり運転」など車間距離不保持による摘発が3000件余に上った。つまり、いつ悲惨な死亡事故が誘発されるか分からない状態にある。こうした中で、警察など関係機関も罰則や取り締まりの強化など、危険運転そして理不尽な原因による交通事故死者をゼロとする努力を一丸で心掛けてもらいたい。

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原燃の保安規定違反「“存立危機”と認識して対応を」

2017/10/20 金曜日

 

 日本原燃の再処理工場(六ケ所村)で建屋内への雨水流入などが見つかった問題で、原子力規制委員会が、保安規定に違反すると認定した。原燃は今回の事態を深刻に受け止め、全社員が“会社存立の危機”との意識を強く持ち、安全管理を徹底させる必要がある。
 原燃をめぐっては、雨水流入や配管の腐食だけでなく、昨年末に発覚した品質評価に絡む虚偽報告などが規制委側に根強い不信感を抱かせており、審査会合では原燃側の説明に対して厳しい意見や指摘が続出することが常態化している。
 原燃は、一連の問題の対応として、同工場の安全上重要な設備を優先して今月末までに全数を把握し、健全性確認および保守管理計画を策定、12月末までに同計画を作成すると発表。対策については各事業部の活動を監視するため「全社監視チーム」を設置した上で、一連の問題の対策に係る計画策定から実施結果検証まで、各事業部の活動を全社でチェックするとした。
 これら対処方針について規制委側は厳しく審査する姿勢を示しており、保安規定違反を認定した定例会では「安全確保上の問題が改善できないのなら、規制委としてもしかるべき対応を取ることになる」と、“最後通告”とも受け取れる指摘もあった。
 一方で、原燃側が先月の審査会合で「問題が解決するまで事業許可を受けられるとは考えていない」と発言したことについて、規制委の更田豊志委員長は「ある意味、予想外だった」とした上で、当面は対応を見守る考えを示した。
 さらには工藤健二社長が定例会の席上で「最大限の危機感を持って」という言葉を使ったことも指摘し、「私たちとしては重く捉えたいと思っている」とも語っている。
 当初は1997年に完成予定だった同工場だが、度重なるトラブルなどで完成時期を22回にわたって延期している。今回の保安規定違反で新規制基準への適合審査もストップし、現在の2018年度上半期の目標も延期が確実視されている。
 建設後も長期にわたって稼働できない状況から、報道各社から廃炉が決まった高速増殖炉「もんじゅ」と同様の道筋をたどるのではと問われた更田委員長は、同工場が発電施設と異なり、再処理・加工が一つに集まっている、大きな工場のような例のない施設でもあるとして、重ねて原燃の対応を見守る方針を示した。
 ただ、原燃は県民の安全・安心を確保する責務を負っている。また、政府与党は核燃料サイクル政策を堅持するとしており、同工場は日本のエネルギー政策を左右しかねない存在でもある。原燃はより強い危機感を持って今回の事態に対応し、期限を切らずに規制委の「お墨付き」を得る体制を構築すべきだ。

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