社 説

 

衆参同日選「大型連休明けの政局に注目」

2019/4/26 金曜日

 

 今夏の参院選を占う試金石とされた衆院2補選で惨敗したことを受け、安倍晋三首相が参院選に合わせ衆院解散・総選挙に踏み切る「衆参同日選」の臆測が、永田町に改めて広がっている。野党側も衆院小選挙区で候補の一本化に向けた協議を開始することで一致しており、大型連休明けの政局が注目される。
 今回補選が行われた大阪と沖縄は、いずれも都構想や基地問題など地域特有の課題が争点となった。自民党の対応も大きく分かれた。当初から苦戦が予想された沖縄の場合、本部職員や議員秘書ら応援部隊も小規模だった。逆に大阪は死去した同党議員の“弔い合戦”で、少なからず勝算があった。首相ら幹部をはじめ大規模な応援部隊も早くから現地入りしたが、知事・市長のダブル選で圧勝した維新の勢いにのまれた。
 このため同党内には「極めて特殊な2補選だから全国には波及しない」と、参院選への影響は限定的との見方もある。
 一方、今月に入って塚田一郎前国土交通副大臣と桜田義孝前五輪担当相が失言で辞任した。今年と同じく統一地方選と参院選が続く「亥(い)年」で、閣僚の不祥事が続いた末に参院選で惨敗、第1次政権が退陣した2007年と状況が似てきたとの指摘もある。
 2補選で劣勢が見込まれる中、首相側近の萩生田光一自民党幹事長代行が消費税増税先送りと衆院解散の可能性に言及し、与党幹部が“火消し”に追われる事態も。萩生田氏の発言は首相の求心力維持が狙いとみられるが、同党内には参院の改選組などを中心に、相乗効果によって参院選の票が上積みできるとの思惑から、同日選を期待する声が根強い。
 同党議員秘書は「参院選で劣勢が予想される事態となれば、首相が解散カードを切るのは間違いない」と断言する。
 対する野党側は、立憲民主党の枝野幸男代表と国民民主党の玉木雄一郎代表が23日に国会内で会談し、同日選もあり得るとみて衆院小選挙区で野党候補の一本化に向けた協議を開始することで一致。主要野党各党に呼び掛け、来月にも幹事長・書記局長会談を行いたい意向だ。
 立憲は他の野党とも一定の距離を置く単独主義を貫いてきたが、ここにきて共闘へ方針転換した。ただ、参院選1人区の候補者調整で、共産は「相互支援・相互推薦」を求めており、協議は難航。共産は本県など24選挙区で候補擁立を決めており、18選挙区で立憲など他の野党系候補と競合する。
 国民民主幹部は「立憲や国民側から見れば(勝てないなら)共産は候補を下ろせとなるが、共産側も比例票などで譲れない部分がある」と共闘の難しさを指摘する。同日選の臆測が難航していた野党の共闘を促す可能性はある。大型連休明けの終盤国会で与野党対決が深まれば政局は一気に緊張の度合いを増すだろう。

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弘前市議選投票率「有権者の関心を高める努力を」

2019/4/25 木曜日

 

 県内の統一地方選を締めくくる板柳町長選と17市町村議選の投開票が21日行われ、有権者の判断が示された。津軽地域で実施された板柳町長選、黒石市議選、西目屋村議選の投票率は前回選より低下。弘前市議選、深浦町議選は前回を上回る数字になったものの、ほぼ横ばいで推移した。
 弘前市議選は定数28に対し、現職25人、元職1人、新人10人の計36人が立候補。告示前から有力新人が出るとささやかれ、関係者の注目度の高さから「県議選より盛り上げるはず」と期待の声が上がっていたが、告示後も有権者の反応は低調気味。ふたを開けてみれば、投票率は47・93%と5割を切る低さだった。
 統一地方選前半の県議選弘前市区は、平成に入って行われた計8回のうちで最低の44・14%。後半戦の弘前市議選は県議選を下回ることはなかったが、地域の代表を選ぶという、より市民に身近であるはずの市議選に対し、有権者の関心度が高かったとは決して言えない結果を示した。
 弘前市議選の過去の投票率を見ると、旧市時代の1983年に実施された第10回は77・20%と8割近くの高水準だった。その後は低下の一途をたどり、新市時代の2015年に実施された第3回は初めて5割を切る47・88%に。関係者が「これほど有力新人が出た選挙は記憶にない」と漏らすほど激戦が予想された今回は、これを0・05ポイント上回る程度に終わった。
 関係者からは有権者の関心度の低さを嘆く声が聞こえるが、有権者が政治に期待を持てない心情も理解できなくはない。一方で、有権者に広く活動を知らしめる取り組みが不足している―などと、単純に議員を責めるわけにもいかない。現在の選挙のPRの在り方や、選挙に対する教育の仕方そのものを見直す必要もあるのではないか。
 選挙に関心を持たない有権者の多くが、「誰に投票すればいいのか分からない」と口にする。議員と直接話すような機会を持たないまま、投票権を得た市民は決して少なくない。議員を身近に思えず、投票行為に意味を感じられない有権者が相当数いるとは言えないか。
 ただ、議員たちがすべての有権者と接する機会を持たせるなど不可能に近い。子どものうちに議員から直接、政治に関わろうとする思いを聞く場面を持たせるなど、地方議員の意義を実感させる機会を持たせることはできないだろうか。
 今回の市議選では、有力と目された新人数人が当選を果たした。強固な組織を有しているわけではない若手も当選しており、政治に新風が吹くことを期待する有権者たちの存在が見え隠れする。政治への期待と願いを託す選挙という、貴重な機会を生かすため、何ができるか考えなければならない。

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スリランカ連続テロ「悔やまれる危機管理の甘さ」

2019/4/24 水曜日

 

 スリランカの最大都市コロンボなどで発生した連続爆弾テロ事件は、死者が310人に達する大惨事となり、同国政府が非常事態宣言を発令した。
 この事件では、同国で家族と暮らしていた日本人女性1人が死亡したほか、出張でコロンボに滞在中だった通信会社の男性社員ら邦人4人も負傷した。
 スリランカ政府は、国内のイスラム過激派「ナショナル・タウヒード・ジャマア(NTJ)」による犯行との見解を示した。手口などから、国際テロ組織が関与した可能性も指摘されているが、動機など不明な点も多い。 いずれにしても、教会やホテルといった警備が手薄で不特定多数の人が集まる「ソフトターゲット」を標的とした卑劣な行為を許してはならない。主要各国は哀悼の意や支援を表明している。日本政府にも、国内法の許容範囲で支援が求められよう。
 同国ではかつて、仏教徒を中心としたシンハラ人、ヒンズー教徒を中心としたタミル人による抗争が内戦に発展した。近年は仏教徒の過激派が、少数派であるイスラム教徒やキリスト教徒を襲撃する事件が起きている。今回の事件が新たな宗教・人種対立抗争の口火とならないことを望む。
 一方で、ここしばらくは治安が比較的安定していて、日本からも年間約5万人が訪れるなど、観光産業が栄えてきたという。
 間近に迫った今年のゴールデンウイークは10連休。海外旅行を予定している方も多いだろう。今回の事件は、渡航時のリスクを改めて示唆している。滞在中も治安関連情報の入手を含め安全確保に向けた行動を心掛けたい。
 今回の事件では、警察が事前にテロ関連情報を把握しながら、結果として被害の未然防止に生かせなかったことが明らかになっている。
 外国の情報機関からは今月に入って、NTJがいくつかの教会とインド大使館を対象とした自爆攻撃を計画している―との報告が寄せられたという。専門家は「国内にこれほどの規模のテロを実行できる団体はなく、それほど深刻に受け止められない素地があったのではないか」と推測する。
 同国内ではイスラム過激派が同じ少数派であるキリスト教徒を狙うケースは想定しづらかったのかもしれない。しかし事前情報がどの段階で無視されたのか伝わらなかったのかなど、検証が必要だろう。治安が比較的安定していたことで、当局に緊張感が欠けていなかったかも含めて。
 自然災害時の避難指示の伝達遅れ、最近では豚コレラの感染拡大など、危機管理の甘さが招く結果は重大だ。今回の事件も、危機管理の重要さを示しているように思えてならない。

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今年のさくらまつり「財産を後世に残す思い新たに」

2019/4/23 火曜日

 

 弘前さくらまつりが弘前公園で開かれており連日、大勢の観光客らでにぎわっている。今年は会期中の5月1日に改元を挟むため、主催者側は新時代の幕開けにふさわしい催しを準備している。地元に住む者としては例年以上の盛り上がりを期待したい。
 会期3日目となった22日、ソメイヨシノの開花状況は園内が三分咲き、外堀と西濠西岸がともに五分咲き、桜のトンネルが一分咲きとなった。いずれもあと1~3日で満開となる予想で、陽気が続けば圧倒的な光景を今年も目にすることができそうだ。
 当然、人出は花の咲き具合に比例するとみられ、今後は日を追うごとに増加し、大型連休が始まる今週末からは最高潮となることだろう。できるだけ好天に恵まれることを願いたい。
 今年は特別な年なのだが、祭りの準備期間を振り返ると、それに携わり、支えている人たちの多さと熱意に改めて驚かされる。
 例えば、観光人力車。関係者たちは祭り開幕直前、実際のコースでリハーサルを行い準備に万全を期した。リハーサルでは単に人力車を運行するにとどまらず、弘前観光ボランティアガイドの会のメンバーを乗せ、終了後には解説などに関するアンケートを行い、サービス向上に努めた。
 関係者によると、人力車の運行は3年目を迎えたが、利用客に園内の桜をより楽しんでもらうためには何が必要か、常に考え続けているという。他県の人力車運行を参考にすることもあれば、それらを基に新たなサービスに挑戦するといったことも念頭にあるのだろう。弘前らしい運行の仕方がこの先形作られ、定着してほしいものである。
 このほか、園内の清掃やベンチ補修のボランティアなど、さまざまな人たちが観光客らを出迎えるための取り組みを毎年のように行っている。来園した人たちからすれば、園内はきれいに整えられていて当たり前のように見えるかもしれないが、それは地元の人たちの小さな取り組みのおかげであることをもっと発信してよいのではないか。
 弘前公園の桜はもちろん「日本一」と自負しているが、その「日本一」は「日本一」の地元への愛着によって成り立っていることを忘れてはならない。
 5月1日に新天皇が即位し、元号が「令和」に変わる。会期中に改元を挟むことによって大きな誘客効果が期待できるはずだし、われわれは経済的効果を最大限引き出す努力をすべきであろう。
 ただ、地元の人間にとっては、大きな財産である弘前公園と園内の桜を後世に残す思いを新たにする場面でもあろう。新時代も桜が変わることなく咲き続けられるよう、市民一人ひとりができることを続けていきたい。

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ノートルダム火災「再発防止へ世界規模で対策を」

2019/4/20 土曜日

 

 フランスの象徴の一つ、ノートルダム大聖堂が15日夕(日本時間16日未明)に発生した大規模火災で焼け落ちた。マクロン大統領は2024年に予定されるパリ五輪に間に合うよう、5年以内に再建すると宣言したが、専門家は数十年かかるとみており、先行きは不透明だ。
 大聖堂は1345年の完成以来、大きな火災に見舞われることはなく、フランス革命や二つの大戦も生き延び、1991年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録された。年間1300万人もが訪れるパリを代表する観光名所としても広く知られる。老朽化が進んでおり尖塔(せんとう)を中心に大規模な改修工事が行われていた。
 天皇、皇后両陛下は17日、マクロン大統領に宛て、お見舞いのメッセージを出された。宮内庁によると、文化財などの火災を受けて海外にお見舞いの気持ちを伝えるのは異例のこと。日本政府も大聖堂再建を支援する方針で、22日から欧州歴訪する安倍晋三首相が、首脳会談で直接マクロン大統領に伝えるという。
 こうした再建支援の動きは、火災直後から世界中で起きている。大富豪や大企業などが次々と寄付を表明。英国国教会のウェストミンスター寺院は募金活動を行うほか、キリスト教の宗派を超えて連帯を示す鐘を打ち鳴らした。国家間の関係や宗派などにとらわれず、支援の輪が広がっていることは、助け合いの精神と、後世に伝えていかなければならない人類共通の宝という世界遺産指定の意義を世界が示したと言える。
 一方、わが国では「対岸の火事ではない」と危機感を募らせ、文化庁が全国の国宝、重要文化財の防火対策について緊急調査するよう都道府県に求めた。文化財保護法制定も、1949年に法隆寺金堂の壁画を焼失した火災がきっかけ。文化財保護の重要性を忘れぬよう、火災があった1月26日にちなみ、毎年同日を「文化財防火デー」として全国の重要文化財で防火訓練を実施している。
 弘前市でも1906年、招魂祭の花火が原因で、弘前公園北の郭にあった「子櫓(ねやぐら)」を焼失している。もし、残っていれば、弘前城天守や現存する三つの隅櫓、追手門などと共に重文指定されているだろう。20日には日本有数の春祭り「弘前さくらまつり」が開幕する。桜色に染まる弘前公園を楽しむだけでなく、貴重な櫓を火災で失った事実を再認識してほしい。遠い国の大聖堂を子櫓に重ね、身近に感じることができれば、文化財保護意識を一層高めるきっかけになるはずだ。
 大聖堂の出火原因について捜査当局は失火とみているが、内部が激しく損傷していることなどから、捜査は難航する見通し。こうした遺産の保護には定期的な改修が避けられない。同様の悲劇を繰り返さぬよう、原因の徹底究明と、世界規模での情報共有、対策が求められる。

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