社 説

 

青天4年連続特A「かつてない戦略で競争に臨め」

2018/3/2 金曜日

 

 県産米のエース「青天の霹靂(へきれき)」が日本穀物検定協会(穀検)の2017年産米食味ランキングで「特A」を取得した。食味試験は穀検の評価員100人が、香りや味などの各項目について、基準米との比較で総合評価するもの。青天の霹靂は参考品種だった14年産を含めると4年連続の最高評価となる。
 特A取得を受けて三村申吾知事が「生産者の努力によるもので感慨無量」と話し、穀検は「産地や生産者を絞って特Aを目指す戦略が評価につながっている」とした。評価向上に必要な厳しい基準をクリアしようと取り組んだ生産者と、きめ細かに生産指導した県など関係機関の努力のたまものであるとともに、「戦略」も認められたことは喜ばしい。
 一方で、国産米の最高峰として君臨してきた超高級ブランド「魚沼コシヒカリ」(新潟県)が、現行制度になった1989年以来28年間守り抜いた特AからAに転落した。穀検側は産地にサンプルの再提出を求め、改めて試験したが評価は変わらなかったという。穀検は評価を下げた理由を公表していないが、天候不順が影響したとみられている。
 「あの」魚沼コシヒカリでさえ、特A維持が容易ではないのだ。さらに全国で特Aは43銘柄もあり、このうち埼玉・県東の「彩のきずな」、高知・県北「にこまる」、佐賀「夢のしずく」の3産地銘柄が初取得するなど、各地で特Aブランド米が誕生。コメ市場は競争激化の一途をたどっている。
 青天の霹靂も4年連続特Aだからといって、気を抜くことはできない。天候に合わせた栽培管理の徹底はもちろん、消費者に納得して買ってもらえるコメに仕上げなければならない。他県も産地としての生き残りを懸け、新たな戦略を次々と打ち出してくるのは間違いない。
 これに打ち勝つには、商品としての力を付け、その力を広く理解してもらえるようにする宣伝活動などが必須。本県でも特別栽培による付加価値化を図る取り組みを行っているが、それだけでは足りない。他産地も同様のことは行っており、関係者は「特別栽培米と言っても、ようやく他県と肩を並べるだけ。それ以上のことをしなければ」と認識する。
 43銘柄ある特A米の中で、どうすれば消費者が口に運んでくれるかを多方面から検討し、これまでにない手法でアピールしなければならない。主食のコメではあるが、加工食品や工業製品などと同じような意識がなければ、市場競争から脱落するのは目に見えている。
 17年産は食味に関して穀検のお墨付きを得た。18年産以降も特A評価取得を続け銘柄米としての認知度を高めるとともに、付加価値生産を広げる必要がある。加えて他産地に「まさに青天の霹靂」と驚かせるような、かつてない衝撃的戦略で市場競争に挑みたい。

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エー・プレミアム「PR大使委嘱で海外取引拡大を」

2018/3/1 木曜日

 

 県とヤマト運輸(本社東京)が連携し、県産農林水産品をスピード輸送、保冷一貫輸送で国内外に届ける流通サービス「A!Premium(エー・プレミアム)」について、県は新たに食材PR大使制度を創設し、第1号として香港在住で広東料理の巨匠である尹達剛氏(68)を1日に委嘱する。尹氏はエー・プレミアムで輸送された食材を中心に、香港の中華料理界で県産品を広く紹介してきた人物で、まさにうってつけと言えよう。これを機会にさらに海外における、エー・プレミアムのサービスが広がりを見せることを期待したい。
 尹氏が本県と関わりを持ったきっかけは昨年6月、県が主催したエー・プレミアムに関する香港向けプロモーション活動で来青したことによる。尹氏は弘前市など県内産地で試食を行い、県産品の味や魅力を知ることになる。その後、中国産「上海ガニ」から環境基準を超える発がん性物質のダイオキシンが検出されたため禁輸措置となった時、尹氏はこれに代わる食材として同属異種である小川原湖産モクズガニの使用を提案。さらに県産ナマコやアワビ、ホタテなどを中国のさまざまな業者に紹介し、現在のエー・プレミアムの取引につなげた。
 尹氏に続く、第2号、第3号の大使委嘱の予定は未定というが、こうしたエー・プレミアムの広がりに向けた地道な取り組みを続けることが、県産食材を国内外に紹介するチャンスに数多く結び付けることになると考える。
 エー・プレミアムのサービス自体は2015年度から始まり、利用実績は初年度が年間当初目標1000個(箱数)に対し3532個を達成した。続く16年度は当初目標3000個に対し、4355個という実績。今年度は最大8000個とする目標を掲げている。取扱品目は鮮魚や貝類といった水産品が9割を占めており、国内・海外の内訳は6割超が海外。しかも、そのほとんどを尹氏が活躍する香港が占めている。具体的には16年度実績で香港61・1%、台湾1・7%、マレーシア0・4%という実績だ。
 香港はさらなる広がりが期待され、取引が少ない、もしくはない国での伸びしろがあるとも言えよう。普段の地道な活動はもちろん、積極的な宣伝活動や試食会、トップセールスなど攻めの姿勢で右肩上がりの実績を築いてもらいたい。
 海外実績に比べて、国内利用が数的にまだ少ないのが気になるところだ。16年度実績で全体に占める割合は関西15・6%、中国・四国が10・0%とやや突出しているほかは、5%にも至っていない。関西地方では、エー・プレミアムで輸送された食材を扱う店舗「青森ねぶたワールド」が昨春オープンし、好評を博している。その他の地方でも取引拡大につながるようなきっかけづくり、仕掛けができればよい。

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アンテナショップ「柔軟な発想で地元に還元を」

2018/2/28 水曜日

 

 つがる市が2019年度、特産品販売のアンテナショップと一体となった東京事務所を開設する。県内の市としては青森、八戸、弘前に続き4例目。市単独のアンテナショップとしては県内初となる挑戦的な試みだ。自治体アンテナショップの競争は激化しているが、開設を契機にメロンなど「つがるブランド」が首都圏などに浸透することを期待したい。
 同市は合併で発足した05年、コメ、メロン、スイカなどに独自の基準を設けて「つがるブランド」に認定する制度を開始。毎年、都内で地元農産物の試食販売会を開催するなどして販路拡大に努めてきた。東京事務所・アンテナショップの開設は、そこからさらに一歩踏み込み、恒常的に情報を発信できる。
 地方を取り巻く環境が厳しい中、自治体には地元振興に向けた主体的な取り組みが求められており、同市の方針には強い意欲が見て取れる。しかし、アンテナショップをめぐる現実は甘くない。
 地域活性化の諸活動を支援する「地域活性化センター」(東京都)の調査によると、県の「あおもり北彩館東京店」、東青地域5市町村による「あおもり地域ビジネス交流センター」を含め、都内の自治体アンテナショップは独立店舗、集合店舗合わせて72店舗(17年4月1日現在)ある。
 しかし、年間の入館者が100万人を超えたのは「北海道どさんこプラザ有楽町店」など4店舗だけ。10万人未満が22店舗と全体の約4割を占める。地域のブランド力の差、立地場所などさまざまな要因が考えられるのだろうが、人気の偏りには驚かされる。
 各店舗とも集客に躍起だ。入館者が唯一200万人を超えた「北海道―」でさえ、年間売り上げは前年を下回り、10億円を超えられなかった。いずれも商品の種類を増やし、客を飽きさせないようイベントを開催するといった努力を続けているが、これらだけでは限界もあろう。
 店舗によっては、知名度の低い商品をテスト販売し、客の反応を企業にフィードバックして改良を続けるといった取り組みもしている。「あおもり―」も同様な考え方で地元企業の商品開発を支援し、それらの企業と首都圏バイヤーが商談する場も設けている。
 ただ、商品の売り上げ向上だけが目標ではない。アンテナショップの業績向上が、地元の産業振興などにうまくつながらなければ、開設の目的を本当の意味で達したことにはならない。
 地方自治体の財政が厳しい中、テナント料などを含め都内へのアンテナショップ開設に伴う負担は小さなものではなかろう。開設の目的をより明確にし、店舗の運営形態もそれに合致させる。先例から学びつつも、とらわれ過ぎず、柔軟な発想で臨み、できるだけ多くのものを地元に還元していきたい。

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平昌冬季五輪閉幕「今後につながる日本勢の活躍」

2018/2/27 火曜日

 

 冬季五輪平昌大会が閉幕した。日本勢は1998年長野五輪を超えるメダル13個(金4、銀5、銅4)を獲得。フィギュアスケート男子シングルの羽生結弦選手、スピードスケート女子500メートルの小平奈緒選手、同マススタートの高木菜那選手、同団体追い抜きで金メダルを手に入れ、五輪の頂点を極めた。日本のメダル総数は、冬季五輪史上最多を記録した。
 さまざまなドラマが生まれた大会だった。66年ぶりの2大会連続金メダルに輝いた羽生選手は、昨年11月に右足首を負傷して試合から遠ざかっていた。復帰の舞台が五輪という、プレッシャーで押しつぶされそうな局面だったが、その演技は高い技術と表現力に加え、見る者を圧倒する気迫に満ちあふれていた。
 メダルを量産した女子スピードスケートの選手たちの活躍も素晴らしかった。同競技日本勢としては長野五輪男子以来の金メダルを獲得した小平選手は、本人が理想と話す「究極の滑り」を体現しての圧巻の金メダル。小平選手は2位となった李相花選手(韓国)との友情も話題になり、激しい競争が繰り広げられる冬季五輪の舞台で一服の清涼剤となった。同競技の女子団体追い抜きは、張り詰めた雰囲気の中、一糸乱れぬ滑りを見せた日本が、決勝を逆転で制するなど劇的な展開で金メダルを獲得。メンバーの高木美帆選手は、1500メートル銀、1000メートル銅に続く金メダルで、五輪の1大会で日本の女子選手が3種類のメダルを取ったのは、夏季大会を含めて初の快挙となった。今大会初種目の女子マススタートでは高木菜選手の勝負強さが光り、初代女王の座を見事に射止めた。
 次々と大技を決めたスノーボード男子ハーフパイプの平野歩夢選手と、優勢な欧州勢の中で孤軍奮闘したノルディックスキー複合個人ノーマルヒルの渡部暁斗選手は、ともに2大会連続の銀メダル。その強靭(きょうじん)な精神力にただただ脱帽だフィギュアスケート男子シングルで羽生選手とともに表彰台に上った宇野昌磨選手の銀メダル、ソチの雪辱を果たしたスキー・ジャンプ女子ノーマルヒル個人の高梨沙羅選手、カーリング女子のLS北見、フリースタイルスキー男子モーグルの原大智選手の銅メダルも記憶に残る。もちろんメダルに届かなかった選手たちにもそれぞれのドラマ、それぞれの感動があった。
 次の冬季五輪は、中国・北京で開かれる。冬季スポーツは、競技人口の伸び悩みで厳しい環境にある種目もあるが、平昌五輪での日本勢の活躍に触発されて、五輪を目指す子どもたちが数多く現れてくれればと思う。その前、2020年は夏季五輪東京大会が開かれる。国民に大きな力を与える世界最大のスポーツの祭典、五輪。選手強化や万全の受け入れ態勢を敷いて自国開催を成功させたい。

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働き方改革関連法案「正確なデータの提示が先」

2018/2/24 土曜日

 

 裁量労働制の対象業務拡大を盛り込んだ「働き方改革」関連法案をめぐり、政府・与党の混乱が広がっている。裁量制に関する厚生労働省の調査データに、不備が次々と発覚したためだ。政府は法案を3月上旬に提出する方針だが、与党内には提出先送り案も浮上。野党に要求された労働時間の実態調査やり直しも含め、週明けにも判断を示す見通しだ。
 結論から言えば、法案提出は先送りされるべきだ。誤ったデータを基にして、議論などできようはずもない。安倍晋三首相は「データを基礎として法案づくりをしたわけではない」とするが、法案を審議する上でデータは不可欠。国民にとっても、法案の是非を判断するにはデータが必要となるはずだ。
 法案には裁量制の対象業務拡大のほか、高収入の専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の創設も含まれており、賃金が変わらないまま実際の労働時間が伸びるのではないかとの懸念が当初から指摘されていた。
 導入されれば長時間労働につながりかねないとして、野党は「残業ゼロ制度」「定額働かせ放題」などと厳しく批判。連合も反対姿勢を示し、過労死で家族を亡くした遺族の団体も撤回を要望した。
 首相は「裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある」などと、厚労省の調査を基に説明し、裁量制が長時間労働とイコールではないと強調してきた。しかし、この答弁が撤回された。もはや前提が崩れたとしか言いようがない。
 厚労省の調査データをめぐっては、少なくとも117件の異常値が新たに見つかった。調査対象は1万1575事業所にわたり、同省は全データを再確認する方針だが、精査が完了する見通しは示されていない。正確なデータが出るまで、または実態調査をやり直した後で審議を再開するのが本筋だろう。
 そもそも、こうしたずさんなデータがなぜ出てきたのかという疑問も残る。政権側の意向を厚労省が忖(そん)度(たく)したのではないかという、疑念すら覚える。同省には、今回の事態に至った経緯を調べて再発防止策を講じるとともに、調査結果を公表することを求めたい。
 データの不備発覚後、首相は予算委員会で「自分の才能や能力を生かし、健康管理もしながら、働く時間を自ら計画、設定しながら成果を上げていく」と裁量制の意義を強調。法案の今国会提出方針も崩さず、再調査も否定している。
 ただ、このまま法案の提出、可決に突き進んだとして、国民や労働者の理解は到底得られまい。裁量制拡大や高プロ導入のメリットと、それを裏付けるデータを提示した上で丁寧に説明することが求められている。

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