社 説

 

タイからの誘客「今年は観光需要拡大の好機」

2017/1/17 火曜日

 

 県は今年からタイをターゲットにした観光PRを加速させる。同国はアジア最大の親日国であり、7000万人規模もの人口を抱えているだけに、大きな魅力を持つ市場である。本県の良さを広く知ってもらい、観光需要を喚起したい。
 大変好都合なことに、ちょうど今年は「日・タイ修好130周年」に当たる。外務省によると、1887(明治20)年9月26日に「日暹(にちせん)修好通商に関する宣言」(日タイ修好宣言)が調印され、日タイ間の外交関係が正式にスタート。以来、両国はさまざまな面で交流を重ねてきた。
 近年の訪日外国人数増加は目覚ましいものがあり、2016年は2400万人を超えた。今のところ中国、韓国、台湾からの客が主流のようだが、今年は修好130周年を迎えたタイからの客もぜひ呼び込みたいものである。
 このような節目の年を観光振興の契機にしようと、同省はロゴマークをつくり両国の機運を盛り上げている。さらに、旅行関係の団体も両国の旅行需要拡大に向けた施策をさまざま展開している。
 16年に仙台市内では、日・タイ修好130周年を記念したタイのテレビドラマ撮影が行われた。東日本大震災後の風評被害に悩む市が、海外からの観光客呼び込みの一環として、同国の制作会社に働き掛けたものだった。
 県によると、タイは13年7月に訪日ビザが緩和され、同年に県内で宿泊したタイ人は1760人に上り、前年までの年間300~500人程度から大幅に増加。15年には5000人を超え、16年は1~10月で5870人が来県している。
 タイ人観光客の本県への関心が次第に高まっていることは、統計からもはっきりと分かる。今年はこの観光需要拡大への流れをより確かなものとしたい。
 具体的な誘客策として県が2月8、12日にタイチャーター便を計4便運航させるほか、同月にはタイテレビ局が情報バラエティー番組のロケを県内で実施。5日間程度の日程で撮影し、3月に放送する予定という。
 夏場の本県にも観光資源はたくさんあるが、タイの人たちにとって雪は憧れの対象であろう。われわれが住む津軽地方には、弘前城雪燈籠まつりをはじめ、地吹雪体験ツアー、ストーブ列車など特徴的なコンテンツがある。これらをぜひアピールしたい。
 さらに県は観光PRと並行し、県産リンゴのタイへの輸出にも一層力を注ぐ考えという。リンゴの最大の輸出先である台湾からは、本県に多くの観光客が訪れており、本県の知名度向上にリンゴが大きな役割を果たしていることが分かる。今後、タイでのリンゴ販売を促進させることで本県をより身近に感じてもらうこともできるだろう。観光において食は重要な要素。しっかりと取り組みたい。

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生前退位と改元「慎重かつ徹底的な議論を」

2017/1/14 土曜日

 

 天皇陛下の退位をめぐり、政府は2019年1月1日に皇太子さまが新天皇に即位し、同日から「平成」に代わる新元号とする検討に入った。国民生活への影響を最小限に抑えるためには改元は元日にするのが望ましいという判断だ。
 今の陛下は18年12月31日に退位し、平成は30年までとなる。菅義偉官房長官は11日の記者会見で、退位に伴う皇位継承と改元の進め方について「現時点において全く考えていない」と述べるにとどめているが、陛下の退位の意思や年齢を考えると、そう遠くない時期の判断が必要となることは自明だろう。陛下は退位の意向をにじませた昨年8月のお言葉で、「2年後には平成30年を迎えます」と述べられ、18年が一つの節目になるとの考えを示唆されていた。同年12月に誕生日を迎えられれば、陛下は満85歳となられる。こうしたことも考慮しての日程ということなのだろう。
 皇位継承に関し、政府は退位と即位に関する諸行事の準備期間を退位が決まってから1年程度と想定している。一方で、皇位継承に伴う改元については、カレンダーや手帳の刷り直し、政府や民間のシステム改修などにより、国民生活が混乱したり、経済的損失が生じたりするのを避けるために年初としたようだ。1989年の平成への改元は1月8日からとなり、大量のカレンダーなどが廃棄されたことが記憶に残る。年初とすればこうした経済活動や行政事務などの対応もしやすくなるだろう。
 生前退位という近代以降の皇室では経験のない事柄ゆえ、皇位継承、改元とも周到な準備が必要となるだろう。不測のことが起こらないようある一定の期間を設けて事前に元号を公表し、周知を図るということは首肯できるものだ。
 ただ、生前退位をどのような形で認めるのかについては、議論が分かれている。天皇陛下の退位をめぐる政府の「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」は、1月23日に論点整理を公表予定だが、既に「将来にわたる退位の制度化は困難」との認識で一致。今の陛下一代に限り退位を認める特例法での対応が望ましいとする安倍政権の意向に沿った見解を打ち出すだろう。
 一方で民進党など一部の野党や複数の専門家は、未来にわたって退位を認めるよう皇室典範を改正する必要があると主張している。
 政府は関連法案を5月の大型連休前後に国会に提出したい考えで、合意形成に向けた議論を促すことにしている。
 国民統合の象徴である天皇制の根幹に関する問題なだけにこの問題をいたずらに政争の具にすることは望ましくない。しかし結論ありきで議論を封じることもまた許されない。今後の日本と皇室において最も良いと思われる方策が見いだされるまで徹底的に議論すればいい。

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次期米大統領会見「『トランプ節』変わらず」

2017/1/13 金曜日

 

 「トランプ節健在」―とでも言うべきか。20日に米大統領に就任するトランプ氏が、昨年11月の大統領選後初めて記者会見した。冒頭から自身に厳しい姿勢を取るメディアを批判するなど、攻撃的な発言が相次いだ。
 「一部の報道機関はプロではない」と会見で質問の機会を与えず、記者に対し「おまえの会社はひどい。おまえには質問させない。おまえたちはフェイクニュース(偽のニュース)だ」とののしった。自身に批判的なメディアを排除しようとする言動は、民主主義国の宰相が取るべきものではないだろうし、およそ聞いたこともない。独裁国家でも築こうというのだろうか。
 矛先は、日本にも向けられた。「われわれは毎年、中国、日本、メキシコ、全ての国との間で巨額の貿易赤字を負っている」と通商面での不満を示した。日米は1990年代に深刻な貿易摩擦を抱えたが、既に乗り越えたものと思っていた。対日赤字は対中の5分の1程度だが、日本に対して「損をしている」との思いは拭えないようだ。
 大統領就任時に、環太平洋連携協定(TPP)離脱を表明することを明言しており、その後は自国が優位となるような二国間協定を日本に求めてくる可能性が高いとの指摘もある。そうなればTPP以上に、日本への影響は計り知れないものとなることだろう。
 記者会見以前は、ツイッターで一方的に批判や警告を発信してきた。メキシコに新工場の建設を計画するトヨタもやり玉に挙げられ、今後5年間で米国の事業に1兆円超を投じる考えを表明した。自動車業界ではほかにも、米フォード・モーターや欧米連合フィアット・クライスラー・オートモービルズ、独フォルクスワーゲンなどが相次いで米国への投資を発表した。
 いずれの企業も関係性を否定しているが、次期大統領のツイートと無関係とはいえまい。そもそも、企業を名指しで批判するような人物が超大国の宰相としてふさわしいのか疑問は残る。批判直後に株価が下落するなど、各社は被害を受けている。まさか、想定外だったということはあるまい。
 会見では、この対米投資に触れつつ「私は神が創造した最大の雇用創出者になる」と宣言。一連の批判が国内の雇用悪化を防ぐためだったとみることもできよう。ただ、トヨタにツイッターで「米国に工場を建設するか、国交で巨額の税を支払え」と一方的に突き付けたように、その態度は極めて強権的過ぎるのではないか。
 会見でトランプ氏は「中国、日本、メキシコ、全ての国が過去の政権下より、はるかにわれわれを尊敬するようになる」と強弁した。いつかその言葉が現実になることを願うほかない。

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訪日客最高更新「国際観光振興へ試される地方」

2017/1/12 木曜日

 

 2016年の訪日外国人数が2403万9000人となり、4年連続で過去最高を更新した。石井啓一国土交通相が明らかにしたもので、国・地域別の内訳などの詳細は政府観光局が17日に発表するが、中国と韓国、台湾からの訪日客大幅増がけん引した格好だ。菅義偉官房長官は「ビザ(入国査証)の戦略的緩和や(消費税の)免税拡充など大胆な取り組みを矢継ぎ早に実行したことが大台につながった」と、効果を強調した。
 「20年に4000万人」の政府目標について国交省は15年をベースにして年間15%ずつ伸びれば達成可能との見通しを示す。一方、中国人によるいわゆる「爆買い」は既に勢いを失っており、訪日客の日本国内消費に、これまでのような明るさは期待できそうにない。もっとも恩恵を大きく受けたのは大都市圏の家電量販店など大規模小売店である。もともと恩恵の少ない地方では、頭打ちの日本人旅行客に代わって、何としても獲得したいのが訪日客だろう。
 JTBは17年度、新たな取り組みに着手する。広域の周遊コースを巡る訪日客向けバスツアーだ。東京や富士山、京都などの「黄金ルート」中心の場合、最長で12日間となるため、訪日客の長期滞在を促すものになる。欧州では国境をまたぐバスツアーが人気を博しているといい、JTBは実施に当たり、出資先のスペイン企業からノウハウを得るという。
 計画では黄金ルートのほか、東北や九州などを周遊するコースを設定し、公共交通機関で行きづらい「隠れた名所」も掘り起こす考えだという。これまで空港から近い観光地にとどまっていた訪日客を、地方に誘導する試みであり、こうした動きが加速すれば地方の観光振興に拍車が掛かるだろう。
 では、受け入れる側の態勢はどうか。本県では弘前市をはじめ、早くから訪日客誘致に取り組む地域については、パンフレットや観光案内の多言語化などが進んでいるが、その他地域の観光関連業は現在の経営を維持することで精いっぱいという状況。地域で続いてきた祭りも、少子高齢化を背景に観光資源にする以前に存亡が危ぶまれているものもある。残念ながら訪日客に魅力的コンテンツを十分に提供する環境を構築できないケースがあるのが現実のようだ。
 政府が目標に定める20年は、東京五輪・パラリンピックの開催年。間違いなく競技者以外の訪日も増える。つまり多種多様な文化や考え方などが日本に集中するのだ。もはや一企業・団体で応じるには限界がある。個々の利益誘導という考えを捨て、地域全体で受け入れる幅広い連携が不可欠だろう。それができれば、出遅れを取り戻す新たな動きが生まれる可能性もあるはずだ。目標年まで4年を切った。限られた時間の中でどれだけできるか。地方の本気が試される。

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慰安婦合意「不透明な“不可逆的解決”履行」

2017/1/11 水曜日

 

 韓国・釜山の日本総領事館前に昨年末、韓国の市民団体により、旧日本軍の従軍慰安婦問題を象徴する少女像が新たに設置された。日本政府が駐韓大使らを一時帰国させるなどの対抗措置を講じ、韓国内で反発を呼んでいる。
 戦後70年余りを経てなお感情面での和解が進まない現状と、両国関係の将来を憂慮せざるを得ない。理性的・建設的な事態収拾を望む。
 対抗措置は、少女像設置と、それをめぐる韓国内の対応が、2015年12月の日韓外相会談で発表された、慰安婦問題に関する政府間合意(慰安婦合意)の精神に反する―と日本政府が判断したためだ。大使館や領事館を保護する「特別の責務」を定めたウィーン条約への抵触も即時撤去の根拠としている。
 合意では安倍晋三首相名での「おわびと反省の気持ち」表明、慰安婦支援に向けた日本政府からの資金拠出と、これらを前提にした「問題の最終的かつ不可逆的な解決」を確認していた。ソウルの日本大使館前の少女像は「韓国政府としても、適切に解決されるように努力する」とうたわれながら進展はない。
 釜山については、一度地元自治体が撤去しながら、非難の殺到を受けて設置容認に一転した。韓国政府も、慰安婦合意を「着実に履行する」方針は示しながら、積極的に設置を阻止していない。設置前に日本大使館が設置を認めないよう韓国側に申し入れた際は「民間団体が推進しているので、政府が関与する事ではない」と返答した。世論を口実に、黙認することで反日の動きを後押ししているようにすら映る。
 日本政府は既に慰安婦支援で10億円を拠出し、韓国の財団を通じて元慰安婦に支給する事業が進められている。これに対し、韓国側が合意を着実に履行しているとは到底言えまい。通貨スワップ(交換)協定の交渉中断など経済面を含めた強い内容となった日本の対抗措置には賛否が分かれようが、日本側が抗議の姿勢を示した点では首肯できる。
 韓国世論には慰安婦合意自体への批判が根強いとされる。合意を主導した朴槿恵大統領が、親友による国政介入事件に伴う国会の弾劾訴追案可決で職務停止に追い込まれたことで内政が混乱し、批判の声を上げやすくなったのかもしれない。ただ、韓国国内での慰安婦合意への批判は、一義的には合意した韓国政府に向けるべきではないか。
 朴大統領の後継を選ぶ大統領選を控えた時期であることも影響しているのだろう。野党は慰安婦合意の履行中断や再交渉を要求しているという。慰安婦問題を政争の具にして反日感情をあおり、世論を支持につなげたいのだろうか。しかし、国と国の約束である合意は重い。簡単にほごにするようでは、国際的な信頼低下は避けられまい。

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