社 説

 

サイバー攻撃「危機感持ち続け影響最小限に」

2017/5/17 水曜日

 

 先週末から世界各国でサイバー攻撃の被害が広がっている。圧倒的シェアを誇る米マイクロソフト(MS)の基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」のセキュリティー上の弱点を突いたウイルスだといい、被害規模は過去最大とみられる。日本国内でも日立製作所やJR東日本などで被害が確認されている。
 このウイルスは「ランサム(身代金)ウエア」の一種で、感染すると端末内のファイルを暗号化して使えなくした上で、元に戻すために仮想通貨ビットコインを要求するという。日立製作所では社内の一部でメールの送受信ができなくなったほか、家電量販店から発注を受けるシステムが停止。日産自動車の英国・サンダーランド工場はシステム障害で操業停止を強いられた。日本国内での感染は、自治体や総合病院、個人でも確認されている。
 日産は週末を挟んだことが幸いし、同工場の生産活動が受けた影響は軽微だったとしている。JR東日本でも関東地方の支社でパソコン1台が感染したが、主にインターネット閲覧用で、社内の情報ネットワークと切り離されていたため、運行やサービスなどへの影響はなかったという。
 菅義偉官房長官は15日の記者会見で「被害状況に関する情報収集と注意喚起を行っているが(影響は)大きくはなっていない」とした。ただMSのスミス社長はブログで、各国政府が今回の攻撃を「警鐘」と受け止めるべきと主張。現時点で日本国内の被害が軽微であったとしても、決して軽視できない問題なのだ。
 スミス社長が各国に政府レベルでの対策強化と利用者の自衛を求めたのには、使いやすい、経費抑制したいなどの理由で、サポートが終了したOSの利用者が多いことなども理由の一つ。今回のウイルスに対し、同社はセキュリティー更新プログラムを提供したが、既にサポートが終わった「ウィンドウズXP」なども含む異例の措置であることからも、極めて大きい問題だと分かる。
 サイバー攻撃は日々巧妙になっており、ウイルス対策とのいたちごっこが続いている。あらゆるものをネットでつなぐIoTは、新たなビジネスや便利な生活をもたらす半面、常にサイバー攻撃の危機にさらされているのだ。更新プログラムを提供しても、世界的な被害拡大を防げなかったことは、完全な被害防止の難しさを示す。
 菅官房長官は会見時点で「(被害拡大の)懸念は持っていない」としたが、そうだろうか。このウイルスは「自己増殖機能」を持っている。もし“パンデミック”に至れば、広範囲に多大な影響を及ぼすであろうことは容易に予測できる。今後も新たなウイルスが生まれるだろう。常に懸念と危機感を持たなければならない。「警鐘」とはそういう意味だ。

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北朝鮮ミサイル「新たな脅威にも冷静に」

2017/5/16 火曜日

 

 北朝鮮の挑発行為はエスカレートするばかりだ。14日、新型とみられる弾道ミサイルを発射した。
 友好国であるはずの中国を批判し、韓国で前政権より北朝鮮に融和的とみられる文在寅(ムンジェイン)政権が誕生したばかりの中、米国などへの対抗意識をむき出しにして、核・ミサイル開発に執着する金正恩朝鮮労働党委員長の目に、自国の国民や世界の安定と繁栄が見えているとは思えない。自ら孤立への道を突き進む先に、何を望むのだろうか。
 今回のミサイルは日本の排他的経済水域(EEZ)外とみられる日本海に落下した。朝鮮中央通信(北朝鮮国営)はこの発射を指すとみられる報道で、新型の地対地中長距離弾道ミサイルは最高飛行高度が2111・5キロに達し、787キロ離れた目標海域に正確に着弾させ「(発射実験は)成功」とした。韓国軍や日本政府の見解とほぼ一致している。
 今回は通常より高い高度に打ち上げたといい、通常の角度で発射すれば射程は4000キロを超すとの分析もある。日本全土はおろか、米空軍基地があるグアムも含まれる可能性がある。大陸間弾道ミサイル(ICBM)ではないとしても、北朝鮮ミサイルの技術向上を誇示するには十分だ。日本にとってもまさしく「新たな脅威」だ。
 北朝鮮の弾道ミサイル発射やミサイル開発に関連する行為を禁止した国連安全保障理事会の決議や、各国の制裁措置の効果は、現時点で目に見える形では上がっていない。中国が提唱するシルクロード経済圏構想「一帯一路」に関する国際会議の開幕直前に発射したことは、中国への当て付けにすら映る。会議には中国の招きで北朝鮮代表団も参加していたのだから、そのむちゃぶりにはあきれるしかない。
 だからといって、安保理決議や制裁措置が直ちに無意味だったと断じるのは早計であろう。これらは少なくとも核・ミサイル開発の阻止に向けた、いわば基礎となる部分である。それを土台に、いかに関係各国が連携して非核化へ持っていけるかに懸かっていると考えるべきだ。
 北朝鮮の脅威の高まりを受け、自民党内には、ミサイル基地などを攻撃する「敵基地攻撃能力」の保有を検討するよう求める積極論がある。今回の発射を受けてその声はさらに高まるかもしれない。米国はかつて保有に慎重だったが、ここにきて保有に一定の理解を示しているとされる。
 日本政府は憲法が認める自衛の範囲内であれば敵基地攻撃は可能との立場だが、線引きを曖昧にしたまま運用した場合、憲法9条に抵触する先制攻撃につながらないか疑問は残る。同時に、保有が周辺各国を刺激しかねない。武器の安易な使用に頼らず、冷静に粘り強い対処が必要だろう。

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青森空港「利用好調、今期も持続を」

2017/5/13 土曜日

 

 青森空港の利用者が2年連続で100万人を突破した。2016年度は国内、国際両定期路線、チャーター便がともに好調。今年も4~5月の大型連休中が盛況で、臨時増便などの対応をした社もあるなど幸先のいいスタートを切った。
 明るい話題が多いのは国際線だ。ソウル線は15年度の利用者と比べて8・5%増加し、利用率の72・8%も就航以来過去最高だった。同線は青森空港―韓国・仁川空港を結ぶ定期路線だが、仁川空港はアジア屈指のハブ空港で多くの国や都市に就航しており、青森―ソウル線は本県と世界をつなぐ重要なルート。ビジネスや観光振興に果たす役割は大きい。
 国際チャーター便は台湾からの冬季チャーターが増えたこと、天津線の定期チャーター便が新たに就航したことなどから、利用者数が15年度の3倍以上と大幅な伸びを示した。チャーター便の国別の内訳をみると、中国が1万1000人超、台湾が1万人超で、奥凱(オーケー)航空(本社北京市)が今冬運航した青森―天津間の定期チャーター便の盛況が新たな国際定期便就航につながったことは周知の通り。5月7日に青森空港に到着した天津―青森間の第一便は搭乗率97・8%とほぼ満席で、今後に向けた期待が高まる。
 定期チャーター便を利用した中国人観光客には雪景色が好評だったようだが、本県の自然は四季折々それぞれに魅力的。アクセスが便利になることで、2度、3度と訪れてもらうことは十分に可能だ。定期便は青森の認知度向上につながる好機であり、効果的な情報発信とおもてなしでリピーターを確保したい。
 国内線に目を向けると、16年度は東京線の利用者が15年度に比べて4・6%の増となり、2年連続の増加。大阪線は日本航空(JAL)、全日空(ANA)がともに着実に利用者数を増やしており、ダブルトラックとなった14年度以降で利用者数、利用率ともに最高となった。
 名古屋線の利用者は15年度比で11・6%増と大きく増加。同線は就航した11年度を除き、冬季は1日2便の運航が通常だが、16年度は一部3便化したこともあって、利用者が過去最高を記録、就航以来初めての10万人超えを達成した。5月9日には就航からの累計搭乗者数が50万人を超え、同線を運航するフジドリームエアラインズ(FDA)は増便など一層の利便性向上を目指す考えを示した。
 訪日観光客誘致に重要な役割を果たす空港だが、国内観光客、ひいては県民の利用促進、使い勝手の向上という視点も忘れてはいけないだろう。さらなる利便性の向上に知恵を絞ってもらいたい。
 同空港は15年4月にエアポートラウンジを整備、約2倍の広さにするなど拡張したが、今後は旅客ターミナルビルのリニューアルが控える。増加する利用者に対応でき、さらには県民に親しまれる空港として進化することを期待したい。
青森空港「利用好調、今期も持続を」

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韓国大統領に文氏「北朝鮮問題、日米と連携を」

2017/5/12 金曜日

 

 韓国大統領選は革新系最大野党「共に民主党」の文在寅前代表が勝利した。朴槿恵前大統領の罷免に伴う最高指導者不在状態は解消され、ようやく韓国が正常な状態に戻ったといえよう。当面の課題は、緊張が続く北朝鮮の核・ミサイル問題。国際社会と協調した対策が韓国には求められる。
 だが、文氏は北朝鮮への融和路線を貫いた金大中、盧武鉉政権時代の「太陽政策」への回帰を公言。選挙期間中には、北朝鮮への圧力を強めた過去2代の保守政権を厳しく批判し、政策転換の必要性を訴えた。就任宣誓式の演説では、「安全保障の危機を解決する。条件が整えば平壌にも行く」と述べた。
 北朝鮮への接近は、米国との対立の火種となる可能性を秘める。トランプ政権は北朝鮮問題を「最優先の外交課題」とし、核・ミサイル開発阻止に向け、軍事・外交・経済面から強力な圧力をかけている。中国も圧力強化に同調しており、窮地に陥っている北朝鮮は事態打開に向けて南北対話再開への働き掛けを強めるとみられる。北朝鮮が韓国の取り込みを図れば、こうした包囲網に穴があく恐れがある。
 こうした中、文氏はトランプ大統領と電話会談した。韓国大統領府によると、文氏は米韓同盟に基づき、北朝鮮問題の解決に向け、緊密に協力することで一致したという。文氏はトランプ氏に対し、朝鮮半島情勢の不確実性が高まる中、「米韓同盟はいつになく重要。韓国の外交・安保政策の根幹だ」と指摘。トランプ政権が北朝鮮問題を「最優先課題」に位置付けていることを「高く評価する」と述べたという。
 米国との関係を重視する姿勢を示した格好だが、懸念は残る。文氏は最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の在韓米軍配備に対して慎重な立場を示してきた。THAADの配備に反発する中国は早くも、配備撤回を韓国側へ働き掛けている。習近平国家主席は文氏との電話会談で「韓国の新政府が実際の行動で示すよう望む」と強調した。文氏の対応次第では米国との摩擦が表面化する恐れがある。
 日本との間にも、慰安婦問題という宿題がある。文氏は日韓政府間合意の再交渉を公約に掲げた。安倍晋三首相との電話会談では「慎重な意見を言う人もいる」とした上で「両国の発展のために歴史問題は賢く解決していく必要がある」と語った。慰安婦問題の蒸し返しは、日韓双方にとって有益ではないはずだ。
 北朝鮮の非核化を実現するためには、日米韓を中心とした緊密な連携が不可欠。「まずは文氏のお手並み拝見」などと悠長なことを言っていられるような状況ではない。北朝鮮問題への対応について、日米韓による協議の場を早急に設け、方針を共有すべきではないか。

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中泊町長選挙違反「有権者の嘆きに耳を傾けよ」

2017/5/11 木曜日

 

 「またか」との思いだ。4月に行われた中泊町長選をめぐる選挙違反事件は、4人が逮捕、送検となった。言わずもがなであるが、選挙は公正に行われるべきもの。町民からは怒りや困惑の声が上がっているが、当然であろう。
 逮捕者はいずれも落選した候補者の陣営関係者で、中には選対本部長を務めた現職町議、後援会長だった旧中里町収入役も含まれる。本来、町民の模範であるべき人物にあるまじき行為であり、猛省を促したい。
 中泊町長選は過去3回無投票が続き、旧中里町と旧小泊村の合併で中泊町が誕生した2005年以降で初めて選挙戦になった。
 首長選の無投票が全国で目立つ。背景には、人口減少に伴う地域の活力低下などさまざまな事情があり、無投票を一概には批判できない。しかし、地域の課題、将来の方向性などについて候補者たちが議論を戦わせ、有権者が賛同する候補者に投票できる場があるに越したことはない。
 今回の中泊町長選に出馬した2人の候補者も地元の基幹産業である農漁業をはじめ、幅広い分野で自らのビジョンを示したはずだ。久々の選挙戦であり、それが激しいものだったのではあろうが、現金を報酬に自陣営の候補者への投票や票の取りまとめを依頼するのは、有権者を侮辱したことに他ならない。
 このような許されない行為を現職議員が行った場合、どのような結果を招くかは、14年の平川市長選に絡む選挙違反事件などを見れば、明らかなはずだ。同事件では議員20人のうち15人が逮捕され、議会運営に大きな支障をもたらした。他自治体の事件だったとはいえ、今回の選挙違反事件の逮捕者は何も学ばなかったのであろうか。
 5月10日付の本紙では、「非常に残念」「町の名誉を傷つけた」といった中泊町民の嘆きや落胆の声を伝えた。傷つけられた町の名誉を回復するのは容易ではない。さらに心配されるのは、この種の事件がたびたび発生することによって、地域振興への熱意や意欲を失う町民が出てこないかということだ。
 旧中里町長時代から通算5期18年務めた前町長は勇退し、町は新たな町長の下で歩み始めている。中泊町も全国の地方自治体と同様、人口減少などさまざまな問題を抱えている。選挙の結果は結果として、町は一体となって地域の活性化に取り組まなければならないはずだ。
 自陣営の関係者が逮捕された落選候補者は本紙の取材に「みんなと“津軽選挙”と呼ばれる行為は絶対行わないと約束していた」と語った。この言葉が事実だと信じたい。
 あしき“伝統”を受け継ぐ必要はない。有権者の嘆きにしっかり耳を傾け、今回の事件を教訓としたい。

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