社 説

 

スマートムーブ「時代に合った賢い選択を」

2017/9/13 水曜日

 

 日常生活での移動手段を工夫し、二酸化炭素排出量の削減につなげようという取り組み「スマートムーブ」。全国で広がりを見せているが、本県でも県や関係機関が10、11月に「あおもりスマートムーブキャンペーン」を展開、公共交通機関の利用やエコドライブを呼び掛ける。新規の事業であり、多くの県民や事業者が参加できるよう工夫してもらいたい。
 国は2030年度までに温室効果ガスの排出量を13年度比で26%削減するという目標を掲げており、温暖化対策に資する賢い選択を促す国民運動「COOL CHOICE(クールチョイス)」をスタート。スマートムーブもこの一環だ。
 自動車からの二酸化炭素削減に向け、本県ではこれまでもエコドライブの普及促進や県下一斉ノーマイカーデーなどの取り組みが行われてきた。昨年のノーマイカーデーには約1万9000人が参加し、期間中にマイカー利用を公共交通機関利用に切り替えるなどしたが、公共交通機関の利用が難しかったり、どうしても車が必要なケースなどもあり、今後の広がりに欠ける面があったことも確か。
 スマートムーブはエコな移動方法を選択するライフスタイルを指すため、マイカーから公共交通機関に転換できる人はノーマイカーを、車がどうしても必要な人はエコドライブを実践。もともと公共交通機関や自転車を利用する人、徒歩の人はそのままの移動方法を継続することで運動に参加していることになる。状況に応じて選択できるため、より多くの県民・事業者を巻き込んだ展開が可能だ。
 本県の温室効果ガス排出量は、公開されている最新の集計の14年度で1562万5000トン。家庭での灯油消費量が13年度より減少、建設業や農林水産業などのエネルギー消費量も下回ったことから5年ぶりに前年度比で減少した。
 ただ基準年度としている1990年度に比べると17・8%増えており、現状は決して良いとは言えない。県は今年度中の改定を目指す「県地球温暖化対策推進計画」の中で、30年度の温室効果ガス削減目標について、国の目標値を上回る、13年度比30・5~34・5%減の間で設定する方針を示しており、削減に向けた取り組みが急務と言えるだろう。
 地球温暖化の影響は自然環境や生態系への影響、農業への打撃などさまざま挙げられているが、身近な暮らしにどう影響するのかは想像しにくい。強いて言えば近年目立つ酷暑や大雨などの異常気象だろうか。だが、温暖化の進行はわれわれが選んだライフスタイルや産業構造の結果であり、温暖化に歯止めをかけるのもわれわれの選択だと言えるだろう。
 キャンペーン期間は県内6カ所でスマートムーブについて学べるキャラバンも予定されている。これを機に多くの県民が地球温暖化を意識し、個々の取り組みが積み重なっていくことを期待したい。

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弘南鉄道開業90周年「地域の足を未来へ」

2017/9/9 土曜日

 

 南津軽地域や弘前市内の生活路線として沿線住民に親しまれてきた弘南鉄道(本社平川市)が、1927年9月7日の開業から90周年を迎えた。
 開業以来、沿線住民の地域の足として大きな役割を果たすとともに、地域の産業、文化の発展にも寄与してきた。
 開業当時とは公共交通機関を取り巻く環境も大きく変化し、利用者の減少で一時は路線存続の危機にも直面したが、地域一体となった支援もあって利用促進策がさまざま講じられ、現在に至る。長い歴史の中で根を張り続けてきた路線を今後も地域で守り続けていきたい。
 弘南鉄道は、弘前―津軽尾上間を一日6往復する蒸気機関車運行でスタートした。当時、奥羽線はあったものの、平賀、尾上方面への交通機関がなかった。そこで、のちに同社初代社長を務める菊池武憲氏が地域関係者と共に開業に奔走し、地域住民の悲願だった鉄路の開設実現にこぎつけた。
 菊池氏の五男で、6代目社長を務めた故樽沢武任氏は、かつて本紙インタビューに「弘前の中学校へ入るには下宿するしかなかった。そこでおやじが『子どもたちを日帰りで学校に通わせるため鉄道を敷く』といって会社設立、開業に奔走した」と述懐している。
 50年に黒石まで路線を延長し、弘南線が完成。70年には弘前電鉄を買収して大鰐線として開業した。「地域の産業・文化発展のための鉄道」という初代社長の思いが代々受け継がれ、沿線の地域発展を支えてきた。現在、弘南鉄道は弘南線(弘前―黒石)と大鰐線(中央弘前―大鰐)の2路線を運営している。
 ただ、経営は決して順風満帆だったわけではない。自家用車の普及やトラック輸送の発達に伴い、利用客数は徐々に減少。2013年6月の株主総会で同社は赤字経営が続く大鰐線を16年度いっぱいで廃止する方針を明らかにした。即座に弘前市が存続に向けた支援を表明し、関係自治体などで構成する大鰐線存続戦略協議会が利活用策を検討する中で廃止は免れた。現在も厳しい経営環境は続いているものの、官民挙げた路線利活用策で一定の利用促進効果がみられている。
 人口減少社会で今後も利用者の伸び悩みは懸念されるものの、同時に進展する少子高齢社会の中で、公共交通機関の需要は高まることが予想される。弘南鉄道創設時の関係者の思いを振り返ると、現代のニーズに見合った形で路線を核にした地域振興を図ることも可能だろう。引き続き利用者ニーズを的確に捉え、それに沿った交通体系を構築する努力も求められる。
 地域の足をどう維持、確保していくのか。経営側も地域も常にこの課題に向き合い続けることになるだろう。弘南鉄道90周年の節目を、路線の重要性を改めて認識する機会としたい。

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深浦サーモン養殖「事業の成功で安定的な生産を」

2017/9/8 金曜日

 

 深浦町で進められている大規模なサーモン養殖事業が、本格的な事業化に向けて歩みを進める。11月から来年6月にかけて、同町の深浦港湾内など2カ所で本格的な海面養殖試験が行われるという。
 町はこれまで、青森市のオカムラ食品工業などと連携し、同町黒崎に中間養殖場を整備。最大200トンの中間魚を養殖でき、サーモンの中間養殖施設としては国内最大級の規模だという。現在、一部が稼働しており、4月初旬に96グラムだった稚魚は7月末で200~250グラムにまで育っている。この中間育成されたサーモンは、海水で育てる必要がある。そのため、海面養殖試験が2016年秋から北金ケ沢海洋牧場で行われているが、17年6月の時点で生存率83%、成長倍率約4倍となるなど、良好な結果が得られた。
 本格的な試験は、鯵ケ沢水産事務所が主体となって実施。深浦漁協管内の深浦港湾内では、10メートル四方のいけすで600グラム程度に育った中間魚を養殖し、水揚げ量4トンを目指す。新深浦町漁協管内の北金ケ沢海洋牧場もいけす4基で水揚げ量40トンが目標。3~5年後には1000トン超の成魚生産を見込んでいる。
 試験で良好な結果が得られれば、町は養殖に必要な申請手続きを行い、県の認可が下りて本格的な海面養殖が可能になれば、各漁協が事業を担う段取りとなっている。地元漁業者もこの事業に期待を込めており、先月末に行われた報告会で、地元漁協の代表者からは「来年、漁業権を取れたらいくらでも参加したい」「漁業の状況は大変だが、われわれも事業に参加できてありがたい」などと歓迎の声が上がった。
 漁業を取り巻く環境は資源の枯渇、水産物の価格低迷、担い手・後継者不足などに悩まされ、大変厳しい状況にある。特に水産資源の枯渇は、相手が大自然だけに、なかなか人間の手だけでは早期の解決は図れない。例えば先ごろ、韓国・釜山で行われた太平洋クロマグロの漁獲規制をめぐる国際会議では日本が提案した、条件付きで漁獲枠拡大に道を開く新ルール導入が認められたが、漁獲枠拡大の実現には厳しいハードルが課された。
 このように一度、減少した資源を回復させるには漁業者が大きな犠牲を払うことになるが、かといって漁業者の生活を考えれば、ただ規制を強めればいいという話でもない。こうした時に安定した生産が可能な養殖事業は、漁業者の生活を維持する上でも、欠かざるものと言えるだろう。
 今回のサーモン養殖事業は、成功すれば数年後には水揚げ高が約23億円にも上ると推測されるそうだ。町の16年の総水揚げ高が約20億9000万円というから、効果の大きさが分かる。本格操業までには、さらなる困難も予想されるだろうが、関係者が知恵を絞り、事業を成功へと導いてもらいたい。

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民進新執行部「野党第一党の責務を果たせ」

2017/9/7 木曜日

 

 民進党が前原誠司新代表の下、新執行部を発足させた。ところが一度は内定した山尾志桜里元政調会長の幹事長起用が見送られるという不手際を露呈、出だしからつまずいた格好だ。ただ、来月には衆院3選挙区で補欠選挙が行われる。“安倍1強”批判の受け皿となる野党の存在は不可欠であり、前原氏は何としても態勢を立て直す必要がある。
 今回、衆院当選2回の山尾氏を“党の顔”とも言える幹事長に起用しようとしたことは、若手女性を抜てきすることで党の刷新をアピールし、党再建のきっかけにしたい前原氏なりの考えがあったのだろう。
 しかし代表選で前原氏を支援した議員らから異論が出る。山尾氏の経験不足は否めず、離党者が相次ぐ中での党の運営や、次期衆院選の候補者調整などを任せることを不安視したという。
 加えて一部報道によれば、山尾氏にもスキャンダル疑惑があり、週刊誌に写真と記事が掲載されるという。幹事長ではなく代表代行に処遇する案も検討されたが、結局こちらも見送られたようだ。
 逆に山尾氏の幹事長起用に期待を寄せていた議員は落胆の色を隠せない。比例東北の升田世喜男衆院議員は「白紙となり非常に残念だ。(衆院補選が行われる本県)4区にも来てもらう予定だった」と肩を落とした。
 混乱の末、新執行部の幹事長には大島敦元総務副大臣を起用。政調会長には階猛元総務政務官が就いた。逆に玉木雄一郎元幹事長代理は起用されなかった。
 この人事についても同党関係者は「論功の意味合いが強い」と指摘する。代表選で前原氏陣営を指揮した大島氏はもちろん、離党した細野豪志氏のグループを前原氏支持でまとめた階氏を厚遇。その一方で、代表選で白紙を投じたのは玉木氏に近い若手議員とささやかれており、玉木氏は要職を外れたと分析する。
 原因が何であれ、直前になって人事案が差し替えられたことは、前原氏当人にとっても、出直しを図ろうとした党にとっても打撃となった。
 青森県連関係者は今回の新代表選出に際し、前身の民主党時代から人事をめぐる“お家騒動”を繰り返していることを念頭に「(人事などに)尾を引かなければいい」と懸念を示していた。さらには「国会議員のための党じゃないんだ」と地方組織の不満も代弁していた。
 早速、手腕を問われる格好となった前原氏だが、党内をまとめられなければ新たな離党者が出る可能性もある。両院議員総会では「われわれが新たな社会像、国民に選択肢を示すことは責務だ」と結束を呼び掛けたが、同党の混乱を見越しての解散・総選挙の可能性はゼロではない。解散しなくても衆院のトリプル補選は行われる。早急に選挙態勢を整え、再スタートの機会とすべきである。

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避難所の運営「人ごとと考えず理解深めたい」

2017/9/6 水曜日

 

 災害時に被災者が身を寄せる避難所の在り方に理解を深めてもらう動きが、県内でも見られている。平川市は先日、自主防災組織の関係者らを対象に、避難所の設置・運営について学んでもらう訓練を初めて行い、参加者たちが段ボールを使って間仕切りを作るなどした。
 同市は今年4月に「市避難所運営マニュアル」を策定し、ホームページで公開しており、自主防災組織の関係者だけでなく、避難者にも役割を持って運営に携わる意識を持ってもらいたい―などと訴えている。
 近年、地震や集中豪雨といった大きな災害がしばしば発生していることを踏まえると、われわれにとって避難所は「縁遠いもの」とは言えなくなっている。利用しなければならない可能性もあると考えれば、設置や運営についてもっと関心を持って学ぶべきだろう。
 内閣府が2016年4月の熊本地震直前にまとめた「避難所運営ガイドライン」の冒頭には、被災者の健康を維持するために「避難所の質の向上」を目指す―とある。災害の規模が大きく、避難生活が長くなるほど、避難者の心身の負担は大きくなり、生活上のさまざまな問題も増える。ガイドラインは、これらをできるだけ軽減、防止し、「人間らしい生活」を送ってもらうためのものという。
 避難所の在り方をめぐっては東日本大震災の際、障害者や高齢者といった援護が必要な人たちだけでなく、男女双方のニーズにも対応し切れていないことなどが問題となり、避難所運営の難しさが浮き彫りになった。
 東日本大震災以降、関係団体や専門家は改善策を検討したり、提言したりしている。しかし、それらを自治体関係者ら一部の人が認識しているだけでは避難所の質は向上しない。平川市が自主防災組織の関係者らを対象に訓練を行ったのも、そのためだろう。
 同市の訓練会場では、避難所の運営をシミュレーションするカードゲームを用い、参加者がトラブルへの対応について話し合った。ゲームは、危機管理を担当した元自治体職員が考案したもので、県外でも災害対策教育の場で使われているようだ。実際の避難所運営はより複雑であろうが、関心を持ってもらうきっかけとして、このようなゲームも活用されてよいのではないか。
 同市付近には断層帯があり、1700年代半ばに直下型地震が発生しているとして、市は市民らに有事への備えを促している。熊本地震も断層活動による直下型地震とされていることを踏まえれば、日ごろから備えはしておくべきだろう。
 今回の訓練で、参加者は間仕切りを作るのに苦労したという。作業一つをとっても容易でないとすれば、避難所の運営はさらに難しいはずだ。人ごととは考えず、できるだけ理解を深めたい。

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