社 説

 

コメ輸出「販路開拓へ粘り強い努力を」

2018/9/22 土曜日

 

 ごしょつがる農協(本店・五所川原市)は主食用米の輸出拡大を狙い、同市内に精米施設を新たに整備する。人口減少などを背景にコメの国内需要は減少する一方。コメ作りが産業として生き残るには販路の開拓が強く求められており、同農協の取り組みに大いに期待したい。
 コメの国内需要減少は深刻な状況だ。農林水産省などによると、毎年8万トンのペースで減り続けており、その傾向に歯止めがかかる様子はない。
 このような危機的状況を踏まえ、農水省は2013年に「農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略」を策定。コメ・コメ加工品の輸出量、輸出額の目標を定めるなどし、達成に向けてさまざまな取り組みを進めている。
 しかし、コメ輸出量の伸び率が鈍化するなど、思うように成果は上がっていない。日本食ブームは相変わらず続いており、世界中で日本食レストランも増えている。これらの動きに伴い、コメなど食材の需要も高まっているはずだが、日本からのコメ輸出量が順調に増えていかない理由は何か。
 その一つは価格の高さとされている。日本産米は海外で高級品として扱われている。実際、品質は高く、食味が良い上に安全となれば、高値で取引されないわけがない。しかし、消費を拡大するには、その点が逆にネックとなっているのである。
 ただ、価格の引き下げによって生産者らの所得が目減りするようでは元も子もない。価格引き下げと生産者の所得確保を両立させるには、中間の流通経費などを圧縮するしかない。
 ごしょつがる農協は玄米を九州エリアの精米施設に運び、そこで加工して輸出してきたが、地元に施設を整備することで経費を圧縮することを狙っている。今回の施設整備によって、輸出量が増えれば生産者の所得向上につながる。
 輸出品目の代表格となっているリンゴなどに比べれば、コメの輸出量はまだまだ少ない。ごしょつがる農協の取り組みが契機となり、県産米の輸出が活発化することを期待したい。
 ごしょつがる農協は「まっしぐら」を香港に輸出しているが、他県では米国、カナダ、欧州連合(EU)、中東など世界各地にコメを輸出している例があり、無菌包装米飯(パックご飯)といった加工品を輸出する企業も見られる。パックご飯は植物検疫の対象とならず、大半の国に輸出できる利点があり、農水省も輸出拡大を支援する。こうして見ると、コメ輸出の取り組みは多様だ。
 いずれにしても、コメの国内需要をこの先増やすのは極めて難しいだろう。だとすれば、海外に活路を見いだすしか方法はない。これもまた容易なことではないが、販路維持・拡大の一方策として粘り強く続けていくべきではなかろうか。

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自民党総裁に安倍氏「勝利におごらない政権運営を」

2018/9/21 金曜日

 

 自民党総裁選は20日午後に投開票が行われ、安倍晋三首相が石破茂元幹事長を破り、連続3選された。安倍首相は、地方票で伸び悩んだものの、国会議員票の8割以上を獲得。石破氏に大差をつけて圧勝した。
 安倍首相は2006年の総裁選に勝利したが翌年辞任した。12年に返り咲き、前回15年は無投票で再選。通算4選は、1964年から連続4選して72年まで首相を務めた佐藤栄作氏と並び最多となった。
 今回の結果により、安倍首相は自身の政権運営と、手掛けた政策について、あくまで自民党内が中心ではあるが、評価と信任を得たと言える。だが北海道地震に伴う活動の一部自粛や首相の外交日程の影響などもあり、総裁選の論戦は総じて低調で、日本のかじ取り役を実質的に決めるものとしては、物足りなさを感じた。
 安倍首相が、選挙戦の演説の中で最も強調したのが経済政策だった。雇用情勢の改善や税収増など、自身の経済政策アベノミクスの成果について胸を張った。ただ、石破元幹事長が指摘したようにアベノミクスの恩恵が地方や中小・零細企業に及んでいないとの声は、非常に強いものがある。地方の活性化に向け、新たな政策の必要性を感じるが、残念ながら今回の総裁選からは、具体的なビジョンを感じ取ることができなかった。
 安倍首相悲願の憲法改正については、演説時間全体の1割程度にとどまったという。安倍首相は、戦力不保持を定める9条2項を維持したままの自衛隊の9条明記を主張し、石破元幹事長は9条2項削除論を展開したが、そもそも国民の間で、憲法改正をめぐる考えが改憲か否かで大きく分かれ、その議論も活発化していない現状にあっては、国民の中に熱を持って迎え入れられるテーマとはなり得なかっただろう。
 自らの政治姿勢に関しても安倍首相からは納得のいく説明が聞かれなかった。森友・加計学園問題についての国民の疑念は奥深いところにとどまったままだが、安倍首相から疑念を晴らす明確な説明が発せられたとは思えない。
 景気浮揚や社会保障と税の一体改革、憲法改正問題や複雑化する国際情勢への対応など、日本を取り巻く課題が山積みの中で、安倍首相が果たすべき役割と負う責任は重い。来年は消費税率10%への引き上げ判断など重要な政治課題が目白押しの中、統一地方選、参院選など民意が示される選挙が続く。
 安倍首相は、圧勝が予想された今回の選挙で、下馬評を上回る一定の批判票があったことを謙虚に受け止めなければならない。重要課題については、今以上に丁寧に国民へ説明を行うなど、民主主義政治の原点を常に頭に置いて、今後の政権運営を行わなければならない。

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老後意識調査「自ら変える意識醸成を」

2018/9/20 木曜日

 

 メットライフ生命保険(本社東京)が敬老の日にちなみ、全国47都道府県の20~79歳の男女1万4100人に実施した老後に関する調査の結果によると、「何歳まで生きたいか」の問いに対し、20代は男女とも80歳を切り、平均寿命を下回ったことが分かった。8割超の人が老後に不安を感じていた。年金生活への不安、健康寿命がいつまで維持できるか、また、認知症、介護の問題など、確かに現代社会は老後生活の懸念材料が多い。将来に希望が持てない社会に、笑顔と発展は望めないだろう。希望が持てる、楽しい老後を築き上げるための対策が求められる。
 調査結果によると、長生き志向について、「あまりしたくない」(28・9%)を含め、「長生きしたくない」と答えたのは全体の41・2%だった。2017年の平均寿命は男性81・09歳、女性87・26歳だが、「何歳まで生きたいか」の問いには、20代男性が78・1歳、同女性は76・9歳と世代別で最も低い数値を示した。さらには、「老後に不安を感じる」人は81・7%に及んだ。20代に至っては要因の一つに「年金を全くもらえないと思う」と27・1%が回答。これに続き、「認知症」や「自らの介護」に対する不安感も高い数値を示していた。
 「人生50年」と言われたのは、はるか昔。現在は医療が発達し、食生活も条件が良くなり80歳以上生きるケースは珍しくなくなった。その分、平均寿命のうち健康に活動し生活できる期間である健康寿命をいかに延ばすかが課題となっている日本社会だが、若者たちの目には高齢者が過ごしやすいようには映っていないのだろう。
 若者が最も不安材料と考える年金については、古くは旧社会保険庁による年金記録のずさんな管理、支給開始年齢の引き上げなど、決して好材料は多くない。医療が発達したとはいえ、一部症状を除いて認知症を完治させる決定的な医療技術はなく、それに伴う介護や施設入居などに対する金銭的な不安は常に付きまとう現状に、若者たちが希望を感じられないことは納得できる。
 長生きをしたくないと考える若年層が多いという現状に、行政は手を打つ必要がある。将来に希望を持てないのであれば、社会の活気自体が喪失してしまうからだ。同時に若者自身も今後に対する不安感や不満があるのならば、将来の日本社会を支える立場の1人として自らが学び、努力し今を変えようという気概を持ち、そのための意識づくりを図ってほしい。その上の世代は今できることに取り組み、若者たちが将来に希望が持てる社会の下地を構築する必要がある。
 現状への不満を挙げ連ね、将来を不安と訴えることは簡単だが、まずは自らが「今を変えよう、変えてみよう」と一歩踏み出してほしい。

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弘前産シードル「高評価を弾みに産地活性化を」

2018/9/19 水曜日

 

 今年初めて開かれたシードル愛好家らによる国際品評会「ジャパン・シードル・アワード2018」で、弘前産リンゴを使った6銘柄が見事入賞を果たした。
 中でも、ボトル・ラベルデザインを評価するデザイン部門で、タムラファームの「タムラシードル紅玉」が最高評価の三つ星に輝いたほか、官能評価によるテイスティング部門では、4銘柄が国産の最高に並ぶ二つ星を獲得した。
 日本一のリンゴ産地が「シードルの街」でもあることを国内外に印象付ける結果となった。シードル醸造の機運の盛り上がりが産地の魅力を深め、地域活性化に結び付くことを期待したい。
 今回の品評会は、シードルの認知度向上と普及を目指す日本シードルマスター協会が主催し、テイスティング部門とデザイン部門の両部門に国内外の110銘柄が出展された。テイスティング部門のスイートでは、同市紙漉沢の田中農園のリンゴを使うモンブラン(東京都)の「ADOHADARI~あどはだり~」が二つ星、弘前銘醸の「弘前城しいどる 無ろ過スイート」とタムラファームの「タムラシードル紅玉」がともに一つ星を受賞した。
 ドライでは、もりやま園の「テキカカシードル」、GARUTSU醸造所の「アップルシードル GARUTSU8+4」、ファットリア・ダ・サスィーノの「弘前アポーワイン!ライト」の3銘柄が二つ星の評価を得た。
 シードルはリンゴ果実を原料とする酒で、アルコール度数が比較的控えめで飲み心地がよいため、男性のみならず女性にも好まれる。リンゴの香りが漂う爽やかな味わいが特徴で、原料の種類や醸造の仕方によって味もさまざまだ。
 大手酒類メーカーが本県産リンゴを使ったシードル商品の発売に力を入れているほか、最近は弘前市内でも製造者が増え、シードル醸造の機運が盛り上がりを見せている。
 飲む側のニーズに応えるように、アルコール度数が高いものや、これまでのシードルにはなかった辛口のものも出始め、食前酒として、また食事と一緒に味わう酒として、楽しみ方の幅も広がっている。産地で飲む“地シードル”は今や弘前観光の目玉の一つといえる。
 生産量はもちろん、品質も世界的な評価を受けている弘前産リンゴ。それでも他産地との競争は激しく、加工品市場の拡大がリンゴ産業全体の底上げを図る重要な鍵を握ることになるが、その中でもシードルは有望格の一つとして存在感を発揮しつつある。
 出来秋を迎え、津軽地域では旬を迎えたリンゴの収穫が盛んに行われている。生果を味わいつつ、シードルをはじめとする加工品を思い思いに楽しみ、リンゴ産地ならではの弘前の魅力を多くの人に体感してもらいたい。

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高齢化社会を迎え「多様性受け入れる働き方を」

2018/9/18 火曜日

 

 17日の「敬老の日」を前に行われた厚生労働省の発表によると、全国の100歳以上の高齢者(15日時点)は昨年より2014人多い6万9785人。住民基本台帳に基づく集計で、48年連続過去最多を更新した。100歳以上の高齢者は、政府が表彰制度を始めた1963年に153人だったが、98年に1万人を突破。2012年には5万人を超えるなど、急速に増加している。
 県によると、県内の100歳以上の高齢者数(15日時点)は前年比8人増の593人と過去最多を更新。市町村別では八戸市が最多の89人で、次いで青森市82人、弘前市78人となった。人口10万当たりの人数でみると津軽地域では町村が上位に入り、深浦町125・63人、鶴田町76・81人などが目立った。
 地域や家族を支えてきた人々が、いかに幸せな老後を送れるかは社会の重要な課題だ。団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題も迫る。産業構造や社会福祉の在り方にも変化が生じると見込まれ、中長期的な対策が求められている。
 20日投開票の自民党総裁選に向け、安倍晋三首相と石破茂元幹事長が初の論戦をした際、安倍首相は社会保障制度改革に関して「年金受給開始年齢を(70歳以上に)選択可能にする仕組みをつくりたい」と表明。今後2年間で税財政中心に地方自治制度改革を検討する考えを示した。
 高齢者の寿命のみならず、活動的に過ごせる「健康寿命」を延ばし、仕事などの生きがいをもって暮らせる社会は、確かに望ましい。だが多様な働き方を受け入れる体制を整えなければ、仮に新しい年金の仕組みづくりが実現したとしても、社会保障費を抑えるための名目で終わってしまう可能性がある。
 一般に日本の企業は休みを取りにくい長時間労働傾向にあるほか、人員不足などから柔軟な働き方が難しいとされる。
高齢者にとって働きやすく、企業側も人員不足を補える働き方となるよう工夫することが求められるのではないか。
 例えば東京医科大学の入学試験で女子受験生の点数を一律減点した問題については、「育休・産休を取る女性は職場に少ない方がいい」といった現場の考えが透けて見える。女性が働きやすい職場への改善が、私生活をなげうつ働き方からの改善につながり、主にこれを強いられてきた男性の働きやすさにもつながると見られていないのは、残念なことだ。
 高齢者が働き続けられる社会を推奨しつつも、壮年期の社員と同等の働き方を高齢者に求め、「それができないなら職場に少ない方がいい」と考えるようになるのならば、多くの人が生きがいをもって暮らせる社会から、程遠くなる。
 これからはいかに多様性を尊重した働き方へとシフトできるかが鍵となる。「誰もが輝ける社会」を期待したい。

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