社 説

 

ジュノハート「新たな本県ブランドに期待」

2020/7/8 水曜日

 

 県産サクランボの新品種「ジュノハート」が1日に待望の全国デビューを果たした。色や形が特に優れた上位品の「青森ハートビート」も県内外で限定発売され、県内3市の百貨店では初日に用意された「青森ハートビート」が即完売となるなど、好調なスタートを切った。
 甘みが強く、大玉でハート形に見えるというジュノハートは1998年に甘みの強い「紅秀峰」と果実の大きい「サミット」を交配して育成した。2015年から苗木の販売が始まり、今年の本格デビューを前に、昨年はプレデビューとして県内販売され、徐々に県民の間での知名度も高まってきていた。
 満を持しての本格デビューとなった今年は、新宿のフルーツ専門店「タカノフルーツパーラー本店」に期間限定でジュノハートのパフェとケーキが登場したり、ジュノハートをモチーフとしたブライダルジュエリーが発表されたりとコラボ企画も次々登場、話題となっている。
 県民にとって楽しみなのは、県内6事業者によるスイーツの競作ではないか。ジュノハートは生果での販売期間が約2週間と短いため、通年販売が可能な加工品の可能性を探ろうと、県が今春、県内6事業者に商品開発を依頼。8日から26日までの間、各店が設定した3~4日の日程で、試作したスイーツをテスト販売するという。試作品はアイスシャーベットあり、タルトあり、ゼリー仕立てありとバラエティー豊か。数量限定の上に先着順のため、入手難度はかなり高そうだが、見た目も華やかなスイーツは甘いもの好きの人らの人気を集めそうだ。
 公式ホームページを見ると、カタログギフトやオンラインストアでの販売は予定数量に達したとして既に終了しており、滑り出しは上々のようだ。三村申吾知事は6日の記者会見でジュノハートの手応えについて「ものすごい期待感。手応えは非常にあった。これだけの評価をいただき、驚いた」と力説し、今後も生産体制をしっかり整え、魅力が伝わるような販売手法を工夫したいとしている。
 ジュノハートの生産地といえば、南部町など県南地方が思い浮かぶが、津軽地方にもブランド化推進協議会に登録している生産者がおり、評価が高まって、加工品での商品開発が広がっていけば、生産の拡大にも弾みがつくのではないか。
 食べ物がおいしい、というのは本県の大きな魅力の一つ。また丁寧に、丹精込めて農産物を栽培する生産者がいることも本県が誇れる魅力だろう。リンゴはもちろん、県産米「青天の霹靂(へきれき)」など、売り出し中のブランドに加え、ジュノハートにも新たなブランドとして今後大きく羽ばたいていってもらいたい。
 話題になっている時を逃さず、効果的な営業を展開することで、ジュノハートの高評価を本県の農産物や加工品全体に広げていく取り組みにも期待したい。

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しらかみ運行再開「西海岸観光の復活を期待」

2020/7/7 火曜日

 

 新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、運行を休止していたJR東日本の観光列車「リゾートしらかみ」が3日、84日ぶりに運行を再開した。首都圏観光客からの人気が高い観光列車だけに、関係者の喜びも大きい。新型コロナは東京都を中心にまだまだ予断を許さない状況だが、走行路線の五能線沿線地域の振興や西海岸観光復活の呼び水となることを願いたい。
 リゾートしらかみは、JR東日本が運行する観光列車「乗ってたのしい列車」17路線の一つで、1997年に運行を開始した。川部駅から秋田県・東能代駅まで五能線区間全長147・2キロを走る。水平線に溶け込むような絶景の夕日で知られる日本海や世界自然遺産白神山地の大自然を楽しめる列車として、首都圏の観光客を中心に人気を集めており、沿線商工団体と連携した観光施策で地域経済振興にも寄与。鯵ケ沢駅では、昨年まで毎年4月に「観光駅長」に委嘱された人気犬わさお(6月8日永眠)が列車を出迎え、乗客を喜ばせていた。
 しかし、新型コロナ感染拡大防止の観点から4月10日以降運休。運休期間は東日本大震災時の約1カ月を超えて過去最長となった。現在は22日までの予定で、金土日曜に限定したダイヤで1日上下2本を運行。23日からは毎日上下3本運行する。車内消毒や乗員のマスク着用など感染症対策を徹底し、三味線生演奏や津軽弁の語り部実演といった車内イベントは8月から順次再開する。今月3日は駅員や観光関係者が沿線各駅で列車を出迎え、再開に感無量の表情を見せた。
 新型コロナの影響による都道府県境をまたぐ移動が6月に解禁になったとはいえ、本県でも観光客数が以前の水準に戻るまでには、まだまだ時間がかかりそうだ。長期休業した宿泊施設の中には経営破綻したところすらある。こうした中、県や自治体が宿泊業支援のため、県民らを対象に宿泊料金を助成する事業に取り組む動きを見せる。県事業の場合、223施設で計1万人泊を販売する。格安で宿泊できるとあって、これまで利用したことがない施設を訪れるきっかけにもなりそうだ。
 宿泊施設への移動は、おそらく自家用車という方が多いのだろう。しかし、観光産業振興の一助という観点で考えれば、西北五地方に行く場合は、リゾートしらかみを使っての移動もお薦めしたい。名前の通りリゾート感あふれる列車で沿線の景観を眺めながら現地に到着。宿泊施設では新鮮な海や山の幸を味わうという楽しみ方はリゾートしらかみがあればこそと言えよう。
 事業は短期的なものとはいえ、観光需要掘り起こしの起爆剤になるとの期待は大きい。引き続き、リゾートしらかみを使った観光振興策を沿線の関係者が考え、実現へと結び付けてほしい。

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敵基地攻撃能力「安易な答え求めず議論尽くせ」

2020/7/4 土曜日

 

 陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」配備計画撤回をきっかけに敵基地攻撃能力の保有論が再燃している。前向きな自民党は、検討チームを設置。先月末には初会合が開かれ、7月中にも政府への提言をまとめる構えを見せている。一方で連立政権を組む公明党は慎重姿勢を崩していない。連立政権内部でも温度差があり、この問題がどのような方向に進むか、先行きは見通せない。イージス・アショアの計画撤回によって、わが国の防衛構想に変更が生じたことは間違いなく、あらゆる可能性を論議することは必要だろう。だが、まるで計画撤回をてこにするかのように突如、敵基地攻撃能力の保有論が浮上してきたことに違和感を抱かずにいられない。敵基地攻撃能力は、日本の防衛戦略の基本姿勢である専守防衛との整合性をどのように図るかという大きな問題がある。初会合では、歴代の防衛相経験者からも拙速な議論を懸念する声が相次いだ。議論の進展によっては、日本の防衛戦略の根幹を変え得る要素をはらんでおり、その結果によっては、東アジア地域の安全保障問題にも影響を及ぼしかねない。慎重かつ透明性のある議論が担保されなければならない。
 敵基地攻撃能力の保有について、政府は専守防衛の原則に基づき慎重姿勢を堅持するが、憲法上は認められるとの立場を示している。他に手段がない場合に「自衛権の範囲」で許容されるという解釈であり、行使については、相手が武力攻撃に着手した時点で可能との立場だ。
 ただ、何を持って武力攻撃に着手したと見なすかは、判断の難しい問題だ。大規模な攻撃ならばともかく、弾道ミサイルやテロ攻撃などは発射、攻撃地点や兆候を把握しにくい性質のものであり、タイミングによっては、国際法違反の「先制攻撃」となる恐れがある。
 技術面のハードルも高い。その性格上、存在がおおっぴらにならない敵基地の正確な場所を特定するには、偵察衛星や通信傍受などによる情報収集が不可欠となる。装備面も見直しが必要となるだろう。すべてをあつらえるとなれば、膨大な予算が必要となる。
 そもそも今回の事態は、イージス・アショア計画の撤廃が発端のはずだ。同計画で賄うはずだった日本の防空態勢をどのように構築するか、まずはそれを議論の主体に置くべきだ。
 イージスシステムに限って言えば、陸上固定式のイージス・アショアよりも海上を自由に移動できるイージス艦の方が防衛能力として上と言える存在だ。
 敵基地攻撃能力を保有した場合に掛かる経費と、イージス艦の装備拡充を比較した場合にどちらが日本の求める国防に適した答えになるのかなど、コスト面だけでも検討すべきものは多い。安易な答えを求めず、徹底した議論が必要だ。

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東京100人超感染「迫る第2波前提に対応を」

2020/7/3 金曜日

 

 東京都は2日、新型コロナウイルスの新規感染者が107人確認されたと発表した。1日当たりで100人以上となったのは、5月2日(160人)以来、2カ月ぶり。会見で小池百合子知事は20~30代と「夜の街」関係者が多いことを踏まえ「要警戒の段階」とし、夜間の繁華街への外出自粛などを呼び掛けた。
 東京都の新規感染者は6月26日が54人、27日57人、28日60人、29日58人、30日54人、7月1日67人と50人以上で推移し、2日には3桁に達した。6月まで行ってきた都独自の「東京アラート」発動条件を満たす。しかし都は感染状況と医療提供体制についての新モニタリング指標をまとめ、7月1日以降は「東京アラート」を発動しないことにした。このため1週間連続で50人以上を確認しながらも、都庁とレインボーブリッジの赤色ライトアップや、休業要請はなかった。
 緊急事態宣言に続き、都道府県境をまたぐ移動自粛も解除され、1日は東京ディズニーランド・東京ディズニーシー、本県でも五所川原市にある文豪太宰治の生家・斜陽館などが営業を再開、弘前れんが倉庫美術館は11日に県外客も迎えてグランドオープンする。感染の第2波、第3波の不安を抱きながら経済活動が動き始めた中での感染急増に、他自治体からは危機感を示す声が相次いだ。
 オンラインの時事トップセミナー(時事通信社ロンドン支局主催)が1日に開かれた。講演した北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターの喜田宏・特別招聘(しょうへい)教授は第2波、第3波で病原性が高くなる可能性を指摘するとともに「感染症に国境はない。他の国で発生がある間はずっと警戒をしなければならない」と強調した。海外の動向を警戒しなければならないのだから、国内ならなおさらのこと。しかも病原性が高くなれば、影響はこれまでの比ではなくなる。
 菅義偉官房長官は2日、再度の緊急事態宣言発令を否定した。宣言に伴う営業自粛は、体力のない個人経営店舗や中小企業などの倒産・廃業を加速させる可能性がある。1日に来春卒業予定の高校生を対象にした求人が解禁されたが、県内の求人数は大きく減少しており、次代を担う若者の進路を阻んでいる。宣言の再発令に消極的になるのは理解できる。
 一方で政府は新型コロナ対策として関連法の一括改正を検討しているという。強制力がなく実効性が疑われる休業要請・指示について、従わない場合の罰則を設ける方針のようだ。改正案の行方は不透明だが、そこまでしなければ新型コロナの抑え込みが難しいということか。
 現時点で宣言再発令の動きがないとはいえ、「107人」は見過ごせる数字ではない。全ての国民は、より厳しい状況が差し迫っているとの認識を持ってほしい。その上で、感染しない、感染させないための慎重な行動を求める。

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地域医療「経営維持へ支援策が急務」

2020/7/2 木曜日

 

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い医療機関の経営が悪化している。感染患者の受け入れ病院はもとより、地域の小児科や産婦人科といった“大切な資源”をいかに支えるか。政府や自治体は地域医療を崩壊させないための支援策を早急に講じるべきだ。
 新型コロナの影響について県保険医協会が行ったアンケートによると、今年4月時点と昨年4月を比べ外来患者数が「減った」と回答したのは医科で86・9%、歯科で65・8%。保険診療収入が「減った」と回答したのは医科で83・6%、歯科で63・2%に上った。
 病院側からは収入減に対する行政の支援に加え、感染症患者が出た場合の休業支援を求める声もあった。同協会は「今後、第2波、第3波が到来すればさらなる受診抑制につながり、地域医療の根幹を崩壊させかねない」と訴える。
 日本医師会が都道府県医師会を通じて行った全国調査でも、外来患者数が減ったとの回答が全体の約8割を占めた。同会は「病院経営は非常に厳しい状況にある」との認識を示した。
 調査で明らかになったのは感染を恐れて受診を控える患者が増えているほか、病院側が感染症対策などに労力を割いて入院や手術を延期している実態だ。つまり患者減や手術減が「医療機関の収益減」に直結し、病院経営を逼迫(ひっぱく)させてるのだ。
 病院側も来院者の検温を行ったり、発熱者と一般患者の動線を完全に分けたりするなど対策を講じている。一般診療スペースとは別に発熱者専用の診察室を設ける病院もある。マスクや防護衣といった資材や医療資源には限りがあり、個人病院には重い負担である。
 政府は4月、初診からのオンライン診療を解禁し、各地で取り組みの動きが広がっている。また、第2次補正予算には医師や看護師らへの最大20万円の支給、都道府県の取り組み支援など医療提供体制の強化として約3兆円を盛り込んだものの、十分とはいえない。
 受診控えなどによって民間病院が“倒産”した場合、そのしわ寄せは地域の中核病院に来る。人手不足に陥った中核病院が救急や外来をストップすれば、地域医療の枠組みは崩壊する。
 あくまで可能性だが、何としても枠組みを維持し、住民や自治体に影響が及ぶことは避けるべきだ。地域医療に特化した支援の枠組みが必要ではないか。
 県保険医協会は県民に向けて「各種感染対策を講じており、必要な医療を安全に提供するよう努めている」とし、これまで通りの受診を呼び掛けている。
 受診する必要があるのに不安感から避けている県民がいるならば、各病院の取り組みを自ら確認し、受診してほしい。自身の健康だけでなく、身近な病院で受診できる安心感にもつながるはずだ。

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