社 説

 

移住対策「活躍できる仕組みづくりを」

2017/8/24 木曜日

 

 人口減少が急速に進行する中、市町村の移住対策が全国的に活発化している。移住の取り組みと言えば暮らしやすさや移住支援策のPRが定番だが、本県ではそれだけにとどまらず、受け入れる側の地域が移住者に期待する役割を明確にし、獲得した外部人材で地域の課題解決を図ろうという試みが進行中。地域おこし協力隊の制度を活用し、担い手不足に悩む伝統産業の職人や1次産業の従事者を同隊員として募集し、育成しようという県や関係市町村の事業もこの一環だ。
 地域おこし協力隊員として受け入れると、最長で3年間の報償費や住居、活動車両の借り上げ費用、研修のための経費などに国から財政支援があり、現場の負担が軽減できる。もともとこの制度は都市部から過疎地への定住・定着を図る目的だが、知名度の低い市町村は自治体や移住施策のPRだけでは隊員の獲得が難しいのが現状。県などの事業は地域課題を地域の個性として打ち出し、首都圏などで移住を希望する人を引き付けるとともに、長く活躍できる場作りにもつなげるもので、今後の展開に注目したい。
 モデル事業として今年度、弘前市で進む津軽打刃物の鍛冶職人を目指す人材の募集は、まさに多彩な伝統工芸が根付く津軽地域の特色を表すものだと言えるだろう。鍛冶職人は刃物のほか、リンゴや桜の維持管理に欠かせないせん定ばさみの製造やメンテナンスを担う。城下町だった弘前市には鍛冶屋が多かったというが、現在残るのは5軒のみ。職人数が減り、高齢化していることもあって、日々の仕事をこなしながらの後継者育成が難しいことは容易に想像できる。これは他の伝統産業にも共通する課題だろう。
 今回の事業ではこうした背景を含め、情報発信を工夫することで他の地域との差別化を図り、関心のある層への訴求力を高めたほか、受け入れる側と応募する側双方が相性や適性を確かめる場として体験ツアーを設定、その後に本格的な地域おこし協力隊員の募集を行うという流れとした。初年度でもあり、課題なども検証しつつ、より効果の高い仕組みづくりに知恵を絞ってもらいたいと思う。
 県内の地域おこし協力隊員は7月1日現在で14市町村に32人。活動を終えた隊員を含めると51人に上り、農林水産業に従事したり、地域おこしの支援や移住コンシェルジュなどとして活躍している。
 総務省の調査では、任期終了後も同じ地域に定住している割合は約6割だという。せっかく縁があって県内で暮らす選択をした隊員だ。国の財政支援のある3年間限定ではなく、その後も地域に定着してもらえるような仕組みづくりが必要だろう。現在、さまざまな産業で将来を見据えた労働力不足への対応が急務となっている。地域に本当に必要な担い手として迎え入れ、育て上げる。そうした取り組みが県内に広がるよう期待したい。

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クマ出没注意報「共存を前提に適切な対策を」

2017/8/23 水曜日

 

 ツキノワグマによる県内の人身被害が今年に入って5件(21日現在)発生したことを受け、県は「出没注意報」を初めて発令した。秋はキノコ採りで入山者が増えるほか、農作物の収穫期にはクマが人里に姿を現すケースも考えられる。被害防止策の徹底を改めて呼び掛けたい。
 県内の統計によると、目撃、食害、人身被害を合わせた2016年の件数は500件余りとなり、統計が残る1992年以降で最多を記録した。今年の前半を見ると、目撃や食害の件数は16年より少ないものの、人身被害が目立ち、関係機関は危機感を募らせているという。
 このため、県は7月、被害の発生状況などに応じてクマ出没の「注意報」や「警報」を発令し、県民に注意を促すことを決定。今回の「注意報」は初の発令で、対象は県内全域となっている。
 今年は春以降、弘前市や鯵ケ沢町で山菜採りらがクマに襲われ、今月20日には十和田市でキノコ採りの70代男性がクマ2頭に遭遇し、右手人さし指の骨を折る重傷を負った。キノコ採りはこれからが本格的なシーズン。タケノコが生える春と同様に入山者が増えることが予想され、クマに遭遇する可能性も高まる。
 さらに、農作物の収穫期に当たる秋はクマが冬眠に備え、食べ物を求めて人里に現れるケースが増える。昨年の8月以降を振り返っても、数日ごとに県内各地でクマの目撃情報が寄せられていた。今年も同様の状況になることは十分考えられる。
 県の出没情報システムなどは十分活用されるべきであり、その情報は各種対策を講じる上で参考になる。しかし、いつ、どこで、どのようにクマに遭遇するかを予想することは当然、不可能だ。クマと出合わないための対策、出合った際の対応は結局、個人に委ねられている。
 国や地方自治体はホームページなどでクマへの対応策を紹介している。それらによると、クマの生息域に入る際はまず「出合わないこと」を心掛けるべきとし、ラジオなど音が出るものを携帯することをはじめ、木の幹に付けられた爪痕などクマがいたことを示すものがないか気を配ることも促している。
 近年は地方の過疎化による耕作放棄地の増加などに伴い、クマが人里に現れるケースも目立つようになった。林の下草刈りなどをしてクマの侵入経路を絶つといった基本的な対策を怠らず、場合によってはクマを森に追い払う「ベアドッグ(クマ対策犬)」など積極的な手法も活用すべきではないだろうか。
 人の生活域にも現れ、危害を加えることもあるクマだが、豊かな森林の象徴とも言われ、われわれも森林から大きな恩恵を受けている以上、対策はクマとの共存を前提に講じられるべきだろう。互いに適度な距離を保ちながら、被害を未然に防ぎたい。

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民進党代表選「党再生への道筋を明確に示せ」

2017/8/22 火曜日

 

 民進党の蓮舫代表の辞任表明に伴う代表選が21日告示され、前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官が立候補を届け出て、一騎打ちの構図が確定した。
 次期衆院選に向け、低迷する党勢を立て直し、安倍政権に代わる「受け皿」をどう築くかが最大の焦点となる。野党第1党としての存在感を示すための道筋をどう示せるかが問われよう。
 保守系の前原氏は共産党との関係を見直す考えであるのに対し、リベラル勢力の支持を受ける枝野氏は路線継続を訴えている。9月1日の投開票結果で、今後の野党共闘の在り方が変わる可能性もあり、論戦の行方が注目される。
 前原、枝野両氏は1993年の衆院選に日本新党から出馬し初当選。その後、新党さきがけを経て98年の民主党結成に参画するなど初当選から24年間、政治行動を共にしてきた盟友同士。2009年発足の民主党政権時代には、野田佳彦氏らとともに主流派を構成した。
 ただ、いずれも民主党時代の「負の財産」を引きずる。前原氏は05年に民主党代表に就任したが、偽メール問題への対応をめぐり1年足らずで辞任に追い込まれた。枝野氏は、菅直人政権の官房長官を務めるなどしたが、菅政権は東日本大震災・東京電力福島第1原発事故への対応で批判を浴びた。
 こうした経験を踏まえ、代表選に臨む両氏。前原氏は「自民党に代わる選択肢がない。われわれには選択肢を示す歴史的な使命がある」と強調。枝野氏は「本当に地に足を着けた国民政党に脱皮することができるかが問われている」と意気込む。
 安倍内閣は、強引な政権運営に加え、加計・森友学園問題や相次ぐ閣僚の辞任、2回生議員によるスキャンダルなどが相次ぎ、今年2月の時事通信の世論調査で53・4%だった支持率は、7月に29・9%にまで急落。東京都議選での自民党の惨敗を経て「安倍1強」は様変わりしている。8月の世論調査で36・6%と、2割台を一応は脱したものの、内閣改造の効果も限定的だった。
 ただ、自民党に代わる政党として、野党第1党の民進党が受け皿となり得ていないのが現状だ。民進党内では、小池百合子東京都知事と連携する形での野党再編を想定して離脱者が相次いでいる。こうした現状をどう克服し、求心力を高められるのか。まさに正念場にある。
 野党第1党の新たなリーダーには、次期衆院選に向け、政権に対する勢力結集への戦略も問われ、対応次第では政権再編につながる可能性もある。
 代表選では弘前市など地方における候補者遊説も予定されている。党再生の最後のチャンスとも言われる今回、両候補は自らが掲げる政策や党運営の方針、再生への道筋を党員・サポーターに明確に示し、活発な論戦を交わしてほしい。

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白八幡宮大祭「今後も祭り文化継承に力を」

2017/8/19 土曜日

 

 鯵ケ沢町で白八幡宮大祭が、14日から3日間にわたって行われた。4年に1度しか行われない珍しい祭りで、この3日間は、御輿(みこし)や山車(やま)の運行、御輿が海上を渡る海上渡御(とぎょ)などさまざまな伝統行事が町内で行われ、まさに町を挙げての祭礼といった趣だった。
 この祭りは1677年、弘前藩の仰せ付けで、武運長久、五穀豊穣(ほうじょう)などを願って行われたのが始まりとされる。華やかな御輿が町内を練り歩くその形態は、京都の「祇園祭」などの影響を受けているとされる。
 鯵ケ沢といえば、弘前藩の有力な湊として、日本海交易、いわゆる北前船交易でにぎわった地だ。白八幡宮は藩政時代、「津軽三八幡」の一つに数えられ、船乗りが海上安全を願って船絵馬を奉納するなど、その信仰は厚く、北前船交易に特に縁の強い神社だという。
 大祭の特徴は、御輿の行列に山車が伴っている点。山車の運行は、かつては弘前などでも見られたが、ねぷた・ねぶた祭りの流行で津軽地方では衰退し、御輿と山車の運行が行われるのはこの地方では、白八幡宮大祭が唯一だそうだ。
 今年の運行には、白八幡宮の御輿を先頭に各町内会が山車を引っ張った。古式ゆかしい装束の参列者がしずしずと運行を執り行う様子は、なるほど祇園祭の光景に通じるものがあり、日本海交易により、当時の津軽領に京や上方の文化や情報、技術が数多く伝えられたことを祭りを通じて現代に雄弁に物語ってくれた。
 見どころの多い祭りだが、御輿、山車に加えて行われた新町町内会による、子どもたちの神楽「カシ禰宜(ねぎ)」も貴重なものだ。もともとは宮城県の塩竃神社発祥とされるが途絶えており、カシ禰宜を伝えるのは鯵ケ沢町の新町町内会のみだという。本紙で報じたように近年は後継者不足による伝承の難しさも課題となっているが、地域住民が力を合わせ、今年も伝統を伝えた。
 大掛かりな祭りであれば、それを支える人材の育成もいくらかやりようはあるのかもしれないが、地域を主体としたこのような祭りで後継者を育て、祭りの伝統を引き継ぐことは多くの困難を伴うことだろう。
 鯵ケ沢町教育委員会は、今年、大祭のDVDを製作した。DVDには祭礼のほぼ全てが網羅されており、準備の仕方やや本来関係者以外立ち入れない儀式も映像化するなど記録性が高いものとなっている。また大祭の実行委員会は今年度、町内の小中高校生を対象に祭りの学習会を初めて開いた。いずれも祭り文化の継承に向けた有意義な事業と言えるだろう。地域に伝わる祭りの魅力と、その意義を知ることは、郷土に対する愛情と誇りを養うことにもつながる。地域に根差した祭りを守り、継承する取り組みがさまざまな形で広がることを願う。

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全国高校野球「青森山田の3回戦突破に期待」

2017/8/18 金曜日

 

 兵庫県西宮市の甲子園球場で行われている第99回全国高校野球選手権大会は18日の3回戦で、本県代表の青森山田が西東京代表の東海大菅生と対戦する。青森山田は8年ぶり11度目の出場。初戦となった14日の2回戦、滋賀県代表の彦根東との対戦は中盤までに2本塁打などで6点を挙げて快勝し、8年間のブランクを感じさせない試合展開だった。東海大菅生は2強とされる日大三と早実がいる西東京大会を制し、今大会2回戦は富山県代表の高岡商を10点差で下したチームだ。両校のベスト8進出を懸けた白熱した試合が展開されるとみられるが、青森山田には勝利の連鎖を重ねてもらうことを期待したい。
 14日の2回戦、青森山田は三回に1点を先制。続く四回には中澤樹希也選手の2点本塁打を含む4点を挙げ、五回には同じく中澤選手が2打席連続となる本塁打を放ち、この時点で6点となった。終盤は彦根東の本塁打を含む猛攻を食い止め、勝利を決めるという展開となった。甲子園に鳴り響いた本県高校の校歌に、胸を熱くした野球ファンも多数いただろうと思われる。
 本県の甲子園出場校は長らく青森山田、そして八戸市の光星の2校がしのぎを削ってきた。近年は春のセンバツを含め3大会連続全国準優勝を果たすなどした光星の活躍が目立ち、青森山田は2009年の出場以降、夏の全国大会からは遠ざかっていた。一方、両校がせめぎ合う中にあっても弘前市の聖愛が13年に県大会優勝を果たし、甲子園では3回戦まで勝ち進んだことは記憶に新しい。また15年には三沢商が約30年ぶりに、公立高校としては1996年の弘前実以来の甲子園出場を果たしたことも話題となった。
 青森山田といえば、光星と並び県外出身選手の活躍が目立っていたチームだ。しかし、今大会のメンバーを見ると、主力選手を含めほとんどが県内出身である。県外出身選手を多数擁した高校が甲子園常連校となっていたことに、微妙な感情を持つ人も少なくなかったであろうが、本県高校野球のレベルアップに貢献してきた功績は見逃せない。両校を目標にしてきた球児も多数いたと思われるからだ。地元選手を主とした今大会の青森山田の健闘ぶりは、本県高校野球のレベルアップを体現してみせたものと言っていいだろう。
 18日の3回戦はベスト8進出を懸ける大事な試合となる。ただ、気になるのが、この数年の県勢甲子園出場校の成績が振るわないこと。14年に光星がベスト8の成績を残した後はセンバツを含め1、2回戦敗退という結果である。しかし、青森山田は既に2回戦の壁は破った。それだけに3回戦突破への県民の期待は高く、久々の朗報が聞かれることを願ってやまない。

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