社 説

 

ヘルプマーク「普及に地道な努力を」

2018/3/27 火曜日

 

 義足や人工関節を使用している人、内部障害や難病の人、または妊娠初期の人といった、外見からは判断がつかなくても援助や配慮を必要としている人が、周囲に配慮を必要としていることを知らせることができる「ヘルプマーク」。全国的に導入する自治体などが増えているが、本県では導入から1年余りが経過した。これからも利用と周知の輪が広がるよう期待しているが、県が実施したウェブアンケートでは、マーク・カードについて「知っている」と回答した人が4割弱にとどまっているという。
 ヘルプマークは赤いゴム製のストラップ。必要な援助を書き込み、かばんなどに取り付ける。2012年に東京都が初めて作り、本県は16年秋から全国5番目に導入。緊急連絡先やかかりつけ医などを記入する「ヘルプカード」も併せて配布した。
 県内での配布は、市町村の担当窓口などを通じて行われ、その数は昨年12月末時点で、ヘルプマーク2108個、ヘルプカード1597枚に上るという。
 配布枚数はともかく、周知の方は、思うほど広がっていないのが現状だ。
 ヘルプマークを「知っている」と回答したのは37%、「見たことはあるが意味は知らない」は7・3%、「知らない」は55・7%。知らないと回答した人の95・3%がヘルプカードも知らなかった。また90%以上がヘルプマーク、ヘルプカードを携帯した人を見たことがないと回答している。
 ヘルプマーク・カードそのものの認知度を高めることが、最も重要なのは間違いない。一方で「見たことはあるが意味は知らない」という回答も多く、自由意見では「ヘルプマークを見掛けても、どう支援してよいか分からない」との声も聞かれる。最初の周知から内容の理解、そして実際に支援を行う環境づくりまでを考えれば、普及の道は、まだ緒に就いたばかりと言えるだろう。
 周知の拡大について、方法はさまざまあるだろうが、利用者そのものを増やすのも効果が高い取り組みになるのではないか。支援を必要とする人といえば、どうしても体が不自由な人といった先入観を持ちがちだが、冒頭でも紹介したように、難病の人や妊娠初期段階の人ら、想定の範囲は大変広いものがある。こうした人にヘルプマークやカードを身に着けてもらえれば、県民の間で自然と目に触れる機会が増え、おのずと内容の理解なども深まっていくだろう。
 県はポスターやチラシなどで周知をしていく方針だが、こうした頒布物に支援の具体的な事例なども掲載すれば、支援の意志はあるが、いま一歩踏み出せないという人の背中を押してあげることができるかもしれない。マーク・カードを見たら「困ったことはないですか」と自然に言えるような県民風土を目指したい。

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小学生の事故防止「大人の行動こそが重要」

2018/3/24 土曜日

 

 入学シーズンを前に、気になる調査が公表された。昨年までの5年間に起きた小学生の歩行中の交通事故を警察庁が分析したところ、1年生の死亡者数が6年生の8倍に上ることが分かった。歩行中の小学生の死亡者数は過去5年間で計84人で、うち1年生が32人を占め、6年生は4人。けが人を含めた死傷者数を人口10万人当たりで見ると、1、2年生に相当する7歳が全年代で最多で、午後3~5時の下校時間帯が特に多かった。
 死傷事故は道路の横断中が最も多く、死傷者は1万8841人。うち横断歩道のない場所での被害は1万262人だったが、横断歩道上も約4割に当たる7364人に上った。横断歩道での飛び出しや信号無視が計約1000件あったものの、小学生側の8割以上に違反などの問題はなかった。
 一方、車両側で明確に違反がなかったのはわずか6件のみだった。交通ルールを熟知しているはずの運転者側、大人側の過失が多いことは極めて遺憾だとしか言いようがない。運転者側にとっては、子どもは見えにくいということも確かにあるが、子どもを守るためにも安全確認、安全運転を心掛けてもらいたい。同時に、運転者側は子どもが見えにくいということを子どもたちに教えることも必要だろう。
 小学生の死傷者数を月別で見ると、4~7月と10~11月の死傷者数が多い傾向にある。特に春先は、1人で登下校するようになる新1年生も多いことが一因となっているのではないか。
 子どもに道路の横断の仕方を教える際、同庁は特に1、2年生に対し、▽横断歩道や信号機がある交差点が近くにあるときは、そこまで行って横断する▽横断する前に、青信号や横断歩道でも「立ち止まる」「左右をよく見る」「車が止まっているのを確認する」▽横断中は「左右をよく見る」―ことを教えるよう呼び掛けている。さらに、新1年生には4月以降も繰り返し教えることが必要だとも指摘している。
 子どもに教えるだけでなく、大人が交通ルール順守の手本を示すことも重要だ。横断歩道で信号が青になる前に横断し始めたり、黄色や赤に変わりかけても横断しようとしたことはないだろうか。車の通行量が少ないからといって、横断歩道のないところを渡ったりしたことはないだろうか。そうした大人の姿を見て子どもたちがまねをしたらどうなるか、想像してみてもらいたい。
 子どもの事故を防ぐには、大人の行動こそが重要だ。交通ルールを教えたり、範を示したりするだけでなく、子どもが安全に歩行できる環境を整備することも大人の責務だろう。もうすぐ事故が多い4月を迎える。いま一度、自分のできることを見詰め直し、できることは行動に移すようにしたい。

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ウオーキングリーグ「県民の健康増進寄与に期待」

2018/3/23 金曜日

 

 健康に対する意識が年々、高まっている。食生活の改善や規則正しい生活を送ることなど、健康で長生きをするために取り組むべき事柄はさまざまあるだろうが「体を動かすこと」は、その中で最も基本的、かつ重要な要素だろう。多くの人が健康づくりのために「何か運動やスポーツを」と思うだろうが、継続して行うことができて、効果的なものは、なかなか見つかりにくい。日常的に体を動かすことをしてこなかった人にとっては、なおさらで、飽きずに時間や場所を選ばず、例えば一人でも気軽にできる運動といえば、スポーツの種類はさまざまあれど“これ”というものがないと悩む人も多いだろう。
 その点、ウオーキングは気軽にできる運動の代表格だ。自分の体調や都合に合わせて距離を変えることもできるし、景色を見ながら、歩けば飽きもこないだろう。仲間と歩いても良し、一人で気楽に歩くことを習慣付けても良し。誰でも取り組める気軽な運動という点でウオーキングは優れた特性を有している。
 ウオーキングブームは長く続いている感があるが、こうした中、全国的にも先駆けとなる都道府県単位のウオーキングリーグ「青森県ウオーキングリーグ」が設立され、来年度から本格的な活動を展開することになった。県内各地で大会を開催する実行委員の賛同を得て設立されたもので、加盟する県内10のウオーキング大会の広報活動や参加者を増やす取り組みを進めるという。
 ウオーキングリーグは北海道や東北などエリア単位では前例があるが、都道府県単位では全国的にも珍しいそうだ。青森県ウオーキングリーグの具体的な活動は、リーグ加盟大会共通のパスポートの発行やマスターウオーカーの認定などになるという。
 リーグパスポートは加盟10大会の参加認定スタンプを押す仕組みで、全大会に参加し、完歩したウオーカーには県マスターウオーカーなどの称号が与えられる。子ども用のパスポートも用意し、家族での参加を促すという。パスポートがあれば、自分がこれまで参加してきた大会に加え、県内の他の大会にも参加する意欲が湧くだろうし、それぞれ特色のある大会に参加することで、ウオーキングの楽しみも増えるだろう。開催地間の交流も活発になるのではないか。
 来年度の加盟大会は4月29日の「つがる市おやこウオークイン地球村」からスタートとなり、手前みそながら5月12、13日には弊社などで実行委員会をつくる「津軽路ロマン国際ツーデーマーチ」が弘前市などで行われる。
 本県の重要課題である短命県返上。リーグの輪がさらに広がり、活動内容も充実していくことでウオーキング人口の増加が図られれば、県民の健康増進にも寄与することになるだろう。

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小学校爆発事故「現安全策を多角的に点検せよ」

2018/3/22 木曜日

 

 2015年に黒石市の六郷小学校で発生した爆発事故で、黒石警察署は今月16日、事故を誘発したとして五所川原市の会社員男性を、業務上過失致死傷の疑いで青森地検弘前支部に書類送検した。臨時給食員1人が亡くなり、児童を含む7人がけがをした悲劇を教訓に、国をはじめ関係機関を挙げて、法整備を含む安全策構築を急ぐ必要がある。
 15年9月18日午後、六郷小学校1階給食調理室が爆発した。同校敷地だけでなく、周辺の水田にまでガラスや窓枠、校内にあったとみられる紙類などが散乱。消防や警察のサイレンが鳴り響く中、天井などが崩れ落ちた調理室付近から亡くなった臨時給食員ら、校舎からも飛び散ったガラスなどでけがをした児童が次々と救助されるなど、そこが小学校であることを忘れさせるような惨状が、事の重大さを物語る。
 県警によると、調理室で発生していたコバエを駆除するため、男性会社員が床下部分でくん煙式殺虫剤に点火しようとした際に爆発したとみられる。事故の2年ほど前から配水管の水漏れが2度あり、これで腐食したガスの配管からガスが漏出した可能性があると推定される。
 一方で県警などは校舎を管理する学校関係者の立件も検討していたが、立件は難しいと結論づけた。過失を問うに必要な、地下の点検を義務づける法律がないのが理由という。黒石市教委は「二度と悲惨な事故が起きないよう、マニュアル作成などで対応を進めていく」としている。少なくとも同市内の学校で、同様の事故が再発する可能性は小さくなると思いたい。
 ただ、同市立校だけ改善すれば良いというものではない。死傷者はもちろん、その他の児童も心に傷を負った極めて重大な事故である。公立、私立を問わず全ての学校、国や全国の都道府県・市町村教育委員会といった関係機関は、もっと危機感を持つべきではないか。
 六郷小学校の事故は男性会社員が火気を扱う際の安全確認を怠ったため、床下に充満していたガスの爆発を誘発した疑い。書類送検は一つの区切りであるが、これで終わりではない。仮にガスへの引火が事実だと前提して考えると、火気使用の可否判断が不可欠なのは当然であると同時に、床下に引火する可燃物がなければ爆発はなかったと推測できる。ニワトリと卵のような話だが、事故とは最悪の条件がそろって起きるものである。
 学校は各種法律などに適合していなければ設置できない。六郷小学校もこれらをクリアしたから、児童を受け入れることができた。それでも事故は起きた。つまり現行の「適合」に、欠陥がないのか、一から疑う必要があると言えないか。あらゆる角度から再検証し、新たな安全策を講じなければ、いつどこの学校で同様の惨事があっても不思議ではない。

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パラリンピック閉幕「選手たちの健闘をたたえたい」

2018/3/21 水曜日

 

 障害者スポーツの祭典、韓国・平昌パラリンピックが18日閉幕した。今回は過去最多の49カ国・地域が参加し、集まった約570選手が6競技80種目で熱戦を繰り広げた。
 日本は車いすカーリングを除く5競技に38選手がエントリー。メダルは金3個、銀4個、銅3個の総数10個となり、2014年ソチ大会の6個を超え、見事に目標を達成した。10年バンクーバー冬季大会の11個に迫る数となった。
 日本選手団の大日方邦子団長は「ベテラン選手も若いアスリートも活躍してくれた一方、世界の強さからは学ぶこともあった。非常に高いレベルの大会だった」と総括した。メダルの有無にかかわらず、世界の大舞台で堂々と自らの力を発揮し、限界に挑んだ選手たちの健闘をたたえたい。
 パラリンピックの冬季大会は1976年に始まり、今回は12回目となった。大会はアルペンやアイスホッケーなど6競技80種目で、参加国・地域は近年、毎回過去最多を更新している。
 今大会で日本勢金メダル第1号となったのは、アルペンスキー女子座位大回転の村岡桃佳選手(早大)だ。滑降で銀、スーパー大回転とスーパー複合で銅二つを獲得した後、大会6日目で悲願の金を手にした。最終日にはアルペンスキー女子回転座位で銀メダルを獲得し、今大会の出場全5種目で金を含む五つのメダルを手中に収めた。冬季の日本選手が1大会で獲得した個数で歴代単独1位になるという快挙を成し遂げた。
 大会第8日にはスノーボード男子バンクドスラローム下肢障害LL2で成田緑夢選手(近畿医療専門学校)が金メダル、第9日にはノルディックスキー距離男子10キロクラシカル立位で新田佳浩選手(日立ソリューションズ)が日本勢3個目となる金メダルを獲得した。
 選手たちは「これを糧に、さらに上を目指して成長したい」(村岡選手)、「今後も小さな一歩を大切に頑張りたい」(成田選手)などと語った。選手たちの健闘ぶりは多くの人に勇気と感動を与え、同じ障害を持つ人たちの励みとなったことは間違いない。
 今回の平昌パラリンピックでは、さまざまな工夫により観戦チケット売上枚数が史上最多を記録した。障害者スポーツへの意識や理解が一層進むきっかけにもなったことは何よりの成果だろう。次は2020年東京夏季大会である。今大会の日本選手たちの活躍は、その機運醸成にも一役買ったといえる。
 国内においても障害者スポーツの振興が少しずつ図られているが、まだまだ十分とは言えないのが現状であろう。障害があっても存分にトレーニングできる環境づくりに一層力を入れ、パラリンピックを目指す選手が一人でも多く輩出されるよう期待したい。

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