社 説

 

高速道路の危険運転「事故誘発の運転ゼロへ努力を」

2017/10/21 土曜日

 

 高速道路における痛ましい事故が相次いでいる。といっても、運転操作ミスや漫然運転に起因するものではない。6月には、神奈川県大井町の東名高速道路で、前方車両に意図的に進路をふさがれ、追い越し車線に停車していた乗用車にトラックが追突し、夫婦が死亡する事故が発生。今月18日には、岡山県津山市の中国自動車道で、追い越し車線に落ちていたタイヤに軽自動車が乗り上げる事故があり、乗っていた母娘が路肩に避難するも後続の大型トレーラーが同じタイヤに乗り上げ横転、巻き込まれた2人が死亡する事故が起きた。
 いずれも、事故に巻き込まれ死亡した方々が安全運転と交通マナーを順守していても、おそらく避けられなかった事故である。こうした事態に巻き込まれそうになった場合、どのように対処すればよいのか、啓発活動はもちろん、ドライバー自身も自ら、そして大切な人の命を守るための方策を熟知する必要がある。
 6月の事故は現場から約1・4キロ手前のパーキングエリアで、枠外に駐車した男に抗議した被害者が、逆上した男から追跡を受けた上、進路をふさがれ、停車せざるを得なくなった。さらには男が被害者の一人の腕や胸ぐらをつかむ暴行を加えた。そこにトラックが追突し家族4人が死傷した。今月に入って自動車運転処罰法違反と暴行の疑いで逮捕された男は日常的に危険運転を繰り返していたという。今月の事故はいつ、どのような車両から落ちたのか分からないタイヤに2台の車両が乗り上げ、巻き込まれた末の惨事である。
 6月の事故の場合、被疑者の男の行為は理不尽極まりない。その身勝手な行動さえなければ、人命が失われることはなかった。今月の事故もタイヤを積んでいた車両のドライバーが落下しないよう、適切な措置をしていれば防ぐことができたと思われる。残された家族はまさにやりきれない思いであろう。
 危険運転に巻き込まれそうになった場合は▽車間距離を取る▽逃げられない場合はハザードランプをつけるなどして、警察に通報する―などの対処が推奨されている。一般道の倍近いスピードの車両が走行する高速道路となれば、より一層の注意・警戒が求められる。交通マナーやルールをしっかり守っているドライバーにとっては負担であろうが、自らの命や財産を守るため、予期し得ない事態に対処する方法を知っておくべきだろう。
 警察庁によると今年上半期、高速道路上の「あおり運転」など車間距離不保持による摘発が3000件余に上った。つまり、いつ悲惨な死亡事故が誘発されるか分からない状態にある。こうした中で、警察など関係機関も罰則や取り締まりの強化など、危険運転そして理不尽な原因による交通事故死者をゼロとする努力を一丸で心掛けてもらいたい。

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原燃の保安規定違反「“存立危機”と認識して対応を」

2017/10/20 金曜日

 

 日本原燃の再処理工場(六ケ所村)で建屋内への雨水流入などが見つかった問題で、原子力規制委員会が、保安規定に違反すると認定した。原燃は今回の事態を深刻に受け止め、全社員が“会社存立の危機”との意識を強く持ち、安全管理を徹底させる必要がある。
 原燃をめぐっては、雨水流入や配管の腐食だけでなく、昨年末に発覚した品質評価に絡む虚偽報告などが規制委側に根強い不信感を抱かせており、審査会合では原燃側の説明に対して厳しい意見や指摘が続出することが常態化している。
 原燃は、一連の問題の対応として、同工場の安全上重要な設備を優先して今月末までに全数を把握し、健全性確認および保守管理計画を策定、12月末までに同計画を作成すると発表。対策については各事業部の活動を監視するため「全社監視チーム」を設置した上で、一連の問題の対策に係る計画策定から実施結果検証まで、各事業部の活動を全社でチェックするとした。
 これら対処方針について規制委側は厳しく審査する姿勢を示しており、保安規定違反を認定した定例会では「安全確保上の問題が改善できないのなら、規制委としてもしかるべき対応を取ることになる」と、“最後通告”とも受け取れる指摘もあった。
 一方で、原燃側が先月の審査会合で「問題が解決するまで事業許可を受けられるとは考えていない」と発言したことについて、規制委の更田豊志委員長は「ある意味、予想外だった」とした上で、当面は対応を見守る考えを示した。
 さらには工藤健二社長が定例会の席上で「最大限の危機感を持って」という言葉を使ったことも指摘し、「私たちとしては重く捉えたいと思っている」とも語っている。
 当初は1997年に完成予定だった同工場だが、度重なるトラブルなどで完成時期を22回にわたって延期している。今回の保安規定違反で新規制基準への適合審査もストップし、現在の2018年度上半期の目標も延期が確実視されている。
 建設後も長期にわたって稼働できない状況から、報道各社から廃炉が決まった高速増殖炉「もんじゅ」と同様の道筋をたどるのではと問われた更田委員長は、同工場が発電施設と異なり、再処理・加工が一つに集まっている、大きな工場のような例のない施設でもあるとして、重ねて原燃の対応を見守る方針を示した。
 ただ、原燃は県民の安全・安心を確保する責務を負っている。また、政府与党は核燃料サイクル政策を堅持するとしており、同工場は日本のエネルギー政策を左右しかねない存在でもある。原燃はより強い危機感を持って今回の事態に対応し、期限を切らずに規制委の「お墨付き」を得る体制を構築すべきだ。

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空自ヘリ墜落「安全体制の総点検を急げ」

2017/10/19 木曜日

 

 17日夕に浜松市から約30キロの沖合で、航空自衛隊浜松基地のUH60J救難ヘリコプターが消息を絶った。小野寺五典防衛相は同日、墜落したとの見解を示している。自衛隊では今年に入ってから航空機事故が続発。翌18日にも戦闘機から出火する事故があった。隊員の安全を守れぬ組織では国を守ることはできない。安全管理を早期に点検することを強く求める。
 午後5時50分ごろに浜松基地を離陸してから約10分後にレーダーから機影が消えた。乗員救助には空自の航空機などが夜を徹して当たっており、海自の護衛艦や海保の巡視船も現場に急行した。現場海上では「航空自衛隊」と記されたドア部分や救助活動に使用するストレッチャー、燃料タンク、乗員のヘルメットなどが見つかっている。
 事故機は暗視装置を使って海上の要救助者を捜す「夜間洋上捜索訓練」を行っていた。所属する航空救難団は、災害派遣での活動や自衛隊の航空機事故時の乗員捜索に当たるもので、もし実際の捜索時であったなら、二次事故になっていたかもしれない重大な事案である。
 乗員の捜索活動には事故機と同型機も参加している。人命救助を最優先しなければならない緊急事態であり、救難任務中の機体を除く同型機の飛行は自粛している。事故機は8月の定期点検、飛行前の点検でも異常はなかったとされる。救難信号の発信は確認されておらず、空自の管制機関との交信でも緊急事態を示す内容はなかったという。現時点で事故原因が人為的なものか、機体の不具合かも分からず、同様の事故が再発しないとは言い切れない。状況を理解しつつも、同型機を運用することに疑問は残る。
 今年に入ってからは、5月に陸自の連絡偵察機LR2が北海道の山中で墜落し、乗っていた4人全員が死亡、8月には海自の哨戒ヘリが本県竜飛崎沖に墜落し、乗員4人のうち3人の行方がいまだ分かっていない。防衛省によると2件の事故とも機体に不備はなく、人為的なミスが原因としている。さらに浜松の事故翌日には、茨城県の空自百里基地でF4戦闘機から出火した。
 浜松の事故については事故調査委員会が現地調査に着手しており、いずれ原因が明らかになるとは思うが、原因が機体の問題、人為的ミスのいずれであったとしても、直近の墜落事故の教訓が生かされていないと言っていい。機体整備や操縦技術など、航空機の運用にかかわる全部署で緩みがなかったか、早急に総点検しなければならない。
 そう遠くないうちに発生する可能性があるとされる南海トラフ地震をはじめとする自然災害に加え、北朝鮮問題も緊張が高まっている。役割が増す中で相次ぐ事故が、自衛隊に対する国民の信頼を失い、不安を増幅させることを自覚せよ。

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栃木雪崩事故報告書「安全に向けた不断の努力必要」

2017/10/18 水曜日

 

 栃木県那須町で今年3月に発生した雪崩で、春山安全登山講習会に参加していた高校生7人と教員1人の計8人が死亡、40人が重軽傷を負った事故に関する最終報告書が、同県教育委員会が設置した検証委員会から公表された。事故発生の最も重要な要因として、講習会を計画・主催した同県高校体育連盟の「計画全体のマネジメントおよび危機管理意識の欠如」を上げ、雪崩発生の予見可能性が高かったことも指摘している。講習会の予定が危険性に関する情報を共有しないまま変更されたことも含め、問題視した事項は多い。
 高校の部活動関連行事で起きた大規模かつ悲惨な事故は、他県に住むわれわれにも人ごとではない。スポーツ庁は事故を受けて設けた有識者会議で、最終報告書などを基に、部活動での登山の在り方や実施上の留意点、指導者の育成方法などを検討する方針。これらが本県の指導現場にも反映され、生徒たちがより安全に部活動を行える環境が整うよう望む。
 春山安全登山講習会は1958年に同県山岳連盟と共催で始まった。64年から那須を会場とした毎年開催となり、65年度から同県高体連単独で実施していた。今回まで雪山事故に遭遇した事案は記録に残っていない。しかし2010年の雪崩事故では生徒や教員が巻き込まれながら、高体連や県教委には報告されていなかった。せめてこの時、講師の意識と講習会の在り方を見直していれば、今回の事故を回避できた可能性は高かったのではないか。長年負傷者を出さずに講習会が続いてきたことで運営がマンネリ化し、安全に対する意識が鈍磨していたと見られても仕方ない。
 関連要因には県教委のチェック・支援態勢の未整備、講師に雪崩の危険に関する理解が不足していたことなど「個人の資質」も挙げられた。ただ、教員の多忙や生徒数の減少に伴い登山部顧問の引き受け手が減り、顧問の経験が継承されていない―といった構造的な背景も指摘されている。登山に限った問題ではあるまいが、知識や経験に乏しい分野の顧問を引き受けた教員には負担が大きい。いずれ部活動と顧問教員の在り方全般を再考する必要はないだろうか。
 最終報告書には事故の分析を踏まえ、危機管理の充実や顧問・指導者の育成など7項目の再発防止策が提言された。生徒の安全確保と教員の負担抑制を両立させながら現場に反映させてほしい。
 安全性確保・向上の取り組みにゴールはない。不断の努力が結果となって表れる。最終報告書では、計画と危機管理にPDCA(計画―実行―評価―改善)サイクルの導入を提案している。主に生産・品質管理で用いられる手法だが、雪山登山に限らず、より高い品質や安全性が求められるすべての現場に求められる姿勢だろう。

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神戸製鋼不正問題「急がれる原因究明と対応策」

2017/10/17 火曜日

 

 製品の品質管理で改ざんや検査の未実施といった不正があったことが分かった神戸製鋼所。同社のデータ改ざん問題は、アルミ・銅製品に加え、鋼線や特殊鋼など、同社の主力製品である鉄鋼製品でもデータ改ざんなどが行われたことが明らかになり、事態はより深刻なものとなった。13日に行われた同社の会見では、製品の出荷先はこれまでに不正が判明した製品分も含め、計500社程度としているが、15日には民間信用調査会社がその数は6000社超にまで増えるとの情報を発表した。今回の行為が同社の経営に大きな影響を与えることは、もはや避けて通れないだろうが、日本を代表する企業の一つで発覚したこれらの不正行為が世界に誇る日本の「ものづくり産業」への信頼を損ねたであろうこともまた想像に難くない。
 13日に新たに判明した9製品は、中国の関係会社で製造した鋼線や、国内グループ会社で製造した特殊鋼、ステンレス鋼線などに加え、タイ、マレーシアの銅管など。出荷数量は計1万1000トン超に達する。同社はこれに先立ち、8日にアルミ・銅製品でデータ改ざんがあったと発表。その時点の出荷先は約200社としていたが、その後、鉄粉や子会社の光ディスク材料でも不正があったことを公表するなど、公表の在り方についても首をかしげる場面が多い。
 ともあれ、不正が主力製品まで波及し、海外の製造拠点でも問題が発覚したことで、影響を受ける取引先は、格段に多くなったであろう。鉄に代表される金属製品などは、あらゆる“もの”を作るために必要不可欠な部材であるだけに、こうした不正行為が見つかった場合、その影響は当然大きく、広くなる。
 今回の問題で影響を受ける産業は、自動車メーカーや航空機、鉄道、防衛関連など多岐にわたる。自動車や航空機、鉄道。これらはすべて「人の命を預かる」ものだ。これまでのところ、こうした製品の信頼性が直ちに損なわれるような事例は確認されていないようだが、二重三重に安全性が確保されなければならない、こうした製品の信頼性に疑義を生じさせた今回の不正行為は、断じて許すことはできない。
 川崎博也会長兼社長は記者会見で一連の問題について「不適切行為で多大なご迷惑をかけ、おわびする」と謝罪。「私の責任は、原因究明や再発防止策を確実なものに仕上げること」と述べ、問題の全容解明に全力を挙げる考えを示した。
 不正が組織ぐるみなのかどうか、今回の事態は企業風土に根差した構造的な問題なのかどうか。現経営陣は不正を把握しながら公表を見送るミスも犯している。原因の究明と再発防止の道は緒に就いたばかりだが、同社には早急な事態把握と抜本的な対策が求められる。今は信頼回復に向け、行動あるのみだ。

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