社 説

 

今別-中泊間バス「運行継続に向け一層の工夫を」

2018/5/25 金曜日

 

 北海道新幹線開業を生かした津軽半島の観光振興策の一つとして、今別町と中泊町の間で運行されているバスが苦戦を強いられている。開業効果を今後も引き出していくためには2次交通網は不可欠だ。運行継続に向けて関係団体の一層の工夫に期待したい。
 バスは北海道新幹線の本県唯一の駅「奥津軽いまべつ駅」と津軽鉄道の「津軽中里駅」を結ぶもので、新幹線が開業した2016年3月26日から1日8便(4往復)を運行。経営について関係団体は当初から赤字を見込み、県、今別町、中泊町、五所川原市が経費を負担し、国から補助を受けている。
 乗車人数を1便当たり4人と見込んだが、運行開始から17年1月末までで見ると0・89人、同年3月末まででは0・87人と伸び悩む。17年3月26日から18年3月25日までの1年間で見ると、1・05人と微増した。
 国の制度が18年度から変わり、1便当たりの乗車人数が1人に満たない場合は補助金を受けることができなくなることが分かっていたため、今回の実績に関係団体は胸をなで下ろしたことだろう。
 乗車人数が伸び悩んでいる原因について、関係団体は当初から「PR不足」などと分析し、県のモニターツアーや半額割引券の配布といった取り組みを進めてきた。しかし、まだまだ十分な成果を収めているとは言えない。
 レンタカーなど他の交通手段を使う観光客もいることを踏まえれば、バスの乗車人数が今後、急激に増えることは考えにくい。それでも、2次交通の選択肢を確保しておくことは必要であり、そのためにもバスを運行し続けるべきではないだろうか。
 ただ、北海道新幹線の2年目の利用者数は初年を下回り、新幹線自体の利用促進が課題として浮かび上がっている。その中で、2次交通のバスの乗車人数を増やすことは容易ではない。
 しかし、本県の観光をめぐっては17年に県内に宿泊した外国人が前年より67%も増えるなど、好材料も見られる。青森空港に新たな国際定期便が就航したことなどが背景にあるようだ。
 北海道新幹線開業に伴うデスティネーションキャンペーンでは、本県と道南地域を一体と捉えた「青函圏域」を売り込み成功を収めただけに、今後は航空路線や新幹線を組み合わせた「立体観光」をさらに推進してほしい。今別町と中泊町を結ぶバスも、その中にうまく組み込んでいけば、乗車人数の増加につながる可能性もあるのではないか。
 中泊町のメバル、五所川原市の立佞武多など、津軽半島は観光資源が豊富な地域だ。バスの運行も、これらの資源を新幹線の利用客に楽しんでほしいとの地元の思いがあって始まったはず。関係者には自信を持って運行を続けてほしい。

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弘前ナンバー「PR効果を生かす取り組みを」

2018/5/24 木曜日

 

 国土交通省が地域名を自動車ナンバープレートに表示する〝ご当地〟ナンバープレートについて、「弘前」など新たに17の地域名を追加したと発表した。弘前市と西目屋村が連携し、昨年から導入に取り組んでいたもので、今後は有識者審査会への報告を経て正式決定し、2020年度の交付を予定する。
 今回、「弘前」は「知床」「苫小牧」(北海道)、「白河」(福島県)などとともに追加されたもので、この措置により、本県では運輸支局が所在する「青森」「八戸」以外の地域名が初めて表示されることがほぼ確定した。
 弘前版ナンバープレートは弘前、西目屋両市村に住民票を持つ人が新たに車を購入する際に交付され、希望者も申請すれば対象となる。弘前市によると、今年1~2月に実施された住民アンケート結果では、弘前ナンバー導入を希望する回答が多かったという。
 ご当地ナンバープレートは地域名のほか、地域を象徴する観光名所や特産品が描かれる。今回、国交省は、全国41地域で導入される図柄入り自動車用ナンバープレートのデザインも発表しているが、さまざまな自治体が自分たちの地域の特色を発信しようと、工夫を凝らしているのが分かる。東北地方では、岩手県の一関、奥州、金ケ崎、平泉の4市町が対象の平泉ナンバーは、世界文化遺産に登録された中尊寺(金色堂)をイメージした黄金色のものを、仙台市が対象区域の仙台ナンバーは戦国武将の伊達政宗と「仙台七夕まつり」をモチーフにしている。福井県が対象の福井ナンバーは同県勝山市の県立恐竜博物館の恐竜の化石をモチーフにしたデザインを採用。熊本県全域の熊本ナンバーは、ご当地キャラクターとして絶大な人気を誇る「くまモン」を配するなど、ユニークなものが多く、見ていて飽きない。
 弘前・西目屋地域も名産、名所に事欠かない。弘前城に桜、リンゴや岩木山、白神山地など、思いついただけでも、これだけのデザイン候補がある。ご当地ナンバーは「走る広告塔」とも言われ、その地域を宣伝、PRする効果は高い。弘前ナンバーの図柄については、近日中に立ち上げる弘前ナンバー導入実行委員会(仮称)の中で、弘前、西目屋の両市村が官民連携をしながら協議する方針という。ぜひ弘前・西目屋地域を広く知らしめる図柄を作り出してもらいたい。
 弘前ナンバーの車が多く走れば、その名前を目にする人も多くなるだろうし、そこに名産、名所の図案があれば、なおさらその地名を意識付けすることができるはずだ。だが、ご当地ナンバーを付けただけで、観光客が増え、地元産品の消費が増えるというものではない。弘前ナンバーの導入に合わせ、効果を最大限生かすためにどのような方策が必要か、こちらの議論も進めてもらいたい。

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「アップルパイ香港へ」輸出品目の裾野広がりに期待

2018/5/23 水曜日

 

 〝りんごの街〟弘前から香港へアップルパイが輸出されることになった。賞味期限や輸送面の課題から産地直送は難しいとされてきたが、さまざまな工夫によって条件をクリアした。
 リンゴの輸出といえば生果が中心で、加工品も真っ先に思い浮かぶのは濃縮果汁やリンゴジュースだろう。今回は弘前市内の洋菓子店が作るアップルパイが香港で提供される。現地の反響次第では、市内の菓子店が作る種類も豊富なアップルパイの販路拡大に結び付くことが期待され、輸出先での反応に注目したい。
 今回輸出が決まったのは、同市品川町の洋菓子工房「ノエル」の看板商品「りんごたっぷりパイ」。地元産のリンゴをたっぷり入れて開発した同店こだわりの一品で、地元のみならず観光客や全国各地からの注文が絶えない人気商品だ。
 アジア圏を中心にリンゴ輸出を手掛ける弘前市の貿易会社が、産地直送のアップルパイを輸入したいと香港の業者から打診を受けており、今年4月に香港のバイヤーが来弘。ガイドマップに掲載された洋菓子店を視察し、同月中に香港のカフェでサンプルを提供したところ、ノエルのアップルパイが盛況だったことから今回の輸出に結び付いた。
 もともとアップルパイの輸出は例がなく、賞味期限やコスト、販路も開拓されていないといった課題から実現には至らなかった。それを今回、商品を脱酸素剤を使って密閉するなどの工夫によってクリアした。
 財務省が4月26日に発表した3月の貿易統計によると、2017年産国産リンゴの累計輸出量(昨年9月~今年3月)は前年同期比22%増の3万887トンで、2年ぶりに3万トンを超えた。累計輸出金額も同14%増の118億6500万円に上り、3月時点で年間の量と金額が過去2番目になった。
 この国産リンゴ輸出量の約9割が県産とされ、まさに県産リンゴの販路拡大を進める上で、年々、比重が高まっているのが輸出分野といえるだろう。本県リンゴ産業にとって海外は非常に重要な市場となっており、生果の輸出が軌道に乗れば、次なる課題は加工品の輸出を増やしていくことだろう。
 輸出の中心となっている生果は主に高級品として中華圏を中心に富裕層や贈答用向けに需要があるが、今回輸出されるアップルパイはより手頃に楽しめる一品となりそうだ。輸出品目の裾野を広げる上で、海外の反応を見るいい機会になるに違いない。
 弘前市では、弘前観光コンベンション協会がガイドマップを作って〝リンゴの街のアップルパイ〟をPRしている。種類も豊富なアップルパイをきっかけに、生果に続いて、さまざまなリンゴの加工品が海外進出を果たし、本県リンゴ産業の振興に結び付くことを期待したい。

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スポーツ界で不祥事「東京五輪前に徹底浄化を」

2018/5/22 火曜日

 

 スポーツ界で不祥事が相次いでいる。アメリカンフットボールでは日本大学の選手が極めて悪質なタックルで関西学院大学の選手を負傷させ、日大アメフット部の内田正人監督が辞意を表明する事態となった。女子アイスホッケーでは、平昌五輪日本代表選手も所属する北海道のクラブチームで男性コーチによるパワーハラスメントが発覚し、監督ら5人の指導者全員が解任された。
 日大は関学大とのアメフットの交流戦で、守備の選手が関学大のQB(クオーターバック)がボールを投げた約2秒後、無防備な状態にもかかわらず背後からタックルし、腰などに全治3週間のけがをさせた。内田監督の指示があったと指摘されているが、同監督は詳細を明らかにしていない。24日までに文書で回答するとしているが、これまで対応は後手後手に回っており不誠実としか言いようがない。
 内田監督は大学内で常務理事と人事部長も務めるなど、力ある立場にあった。理事長からの信頼も厚く、これが問題への対応の遅れにつながったとの指摘もある。真相解明には、日大の自浄作用が求められていよう。
 北海道のアイスホッケークラブチーム「御影グレッズ」では、男性コーチが3月に行われた日本リーグの試合中、女子高校生の3選手に「ユニホームを脱いで出て行け」などと厳しく叱責したという。チームはパワハラを認めて謝罪し、監督と他のコーチも一緒に責任を取ったほか、高校生ら5人が退部した。
 パワハラといえば、女子レスリングで五輪4連覇を果たした伊調馨選手(八戸市出身、ALSOK)らが、日本レスリング協会の栄和人前強化本部長から被害を受けていたことも確認されている。過去には2013年に、柔道の日本代表を含む女子選手15人が暴力やパワハラを受けたと告発し、当時の園田隆二日本代表女子監督が辞任に追い込まれた。
 日本オリンピック委員会(JOC)が当時、加盟57団体の選手と指導者に実施した無記名によるアンケート調査によると、選手で25・5%(459人)、指導者で29・1%(424人)が競技活動の中で暴力を認識していたと答えた。回答率は47・1%だったことから、実際はもっと多くの暴力行為やパワハラがあったと推測される。
 5年余りが過ぎた今なお、スポーツ界ではパワハラが横行しているという事実にがくぜんとさせられる。さらに、今回のアメフットの映像はテレビやインターネットで広がり、批判の声が高まっている。それは国内にとどまらない。2年後に迫った東京五輪のイメージダウンを招きかねず、憂慮すべき事態になっている。スポーツ界の自発的な自浄が求められるし、不可能ならスポーツ庁が先頭に立って浄化に当たってもらいたい。

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深浦町ナイター開催「町単体PR、モデルケースに」

2018/5/19 土曜日

 

 楽天生命パーク宮城(仙台市、県営宮城球場)で15日に行われた、プロ野球・楽天イーグルス―ソフトバンクホークスの1軍公式戦に、冠協賛した深浦町が「白神山地とマグロの町・深浦町ナイター」と題した大々的な町のPRを行った。球場に詰め掛けたのは、町が無料招待した200人をはじめとする観客数2万3767人。マグロステーキや世界自然遺産白神山地、「ふかうら人参ジュース」などのPRに抜群の効果を挙げたであろう。単純な自治体のPRではなく、プロ野球の公式戦に乗じた大々的な宣伝であることがユニークだ。これがモデルケースとなって今後、自治体それぞれが魅力発信の在り方に工夫を凝らすための参考としてほしい。
 深浦町ナイターは、白神山地が今年世界遺産登録25周年を迎えることもあり、同町が誘客を図る狙いで実施した。試合前のPRブースでは、先着1000人にマグロステーキとふかうら人参ジュースを提供し、長蛇の列ができた。抽選会では、深浦産本マグロの解体ショーを自宅で行うという特賞をはじめ、2等「久六島の巨大サザエ」といった豪華賞品が来場者を喜ばせた。球場各所の電光掲示板には「世界自然遺産登録25周年記念『白神山地とマグロの町・深浦町ナイター』」の文字が流れ、深浦一色に染まった。球場内では、吉田満町長らが両チームに深浦特産認定品「つるつるわかめ」1年分を贈呈。始球式では、吉田町長が大勢の観衆が見守る中でワンバウンドさせつつも投球を決めた。
 こうしたイベントや特産品、大々的な宣伝を目の当たりにした来場者は、深浦町をどれほど認識し、興味を示してくれたであろうか。「深浦の魅力を周りにPRしたい」「実際に町に行って良いところを見つけたい」との声もあったという。一過性のイベントに終わらずに、広く語り継がれる濃い内容であったことには違いあるまい。決して「どこかの町のイベントがあって、無料でおいしい物を食べた」だけで終わらせてはならない。
 県外で本県に関する内容を大々的にPRしてきたイベントといえば、これまで「活彩あおもり大祭典」や「あおもり10市大祭典」「青森人の祭典」などがあり、県外在住者に強く「青森」を印象付けてきた。しかし、これらはあくまで青森全体をPRするものであり、そこで展開されるイベントも、ねぶたやねぷたといった華やかなものに目を奪われがちだ。
 そうした中にあって、県でも市でもない、人口が1万人にも満たない深浦町が球場という大舞台で、町単体のPRを行った意義は非常に大きいと思われる。厳しい財政事情などもあろうが、他自治体も深浦町の今回の取り組みを例に、自らがどういうPRをできるか考えるきっかけとしてほしい。

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