社 説

 

英のEU離脱「不透明な行方に注視必要」

2018/11/17 土曜日

 

 英政府は14日の臨時閣議で、欧州連合(EU)離脱交渉で暫定合意した離脱協定案を承認した。国内手続きの第一関門を通過したことで、離脱に向けて具体的に動きだすこととなる。ただ、交渉段階で離脱を急ぐあまり妥協を重ねたことに抗議し、EU離脱担当相が辞任するなど、メイ政権は大きく揺らぎ始めており、英国内に拠点を置く日本企業も警戒感を抱きながら行方を注視している。
 反EU感情が根強い英国。2016年に残留、離脱を問う国民投票を行い、離脱が51・9%で過半数となった。移民規制で自由な政策を行えないなど、EUによる束縛に対する不満が背景にある。とはいえ、半数近くがEUとのつながりを望んでいるのも事実。英国は小差を総意として離脱交渉に入ったことになる。
 EUとの離脱交渉で英国は、日本円で5兆8000億円と推計される「手切れ金」の支払いや、在英、在EU市民の離脱後の権利を現状並みに保証することのほか、最大の懸案事項だった英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドについては関税を設けずに離脱に伴う社会、経済の激変を緩和する「移行期間」の設定などを協定案に盛り込み、暫定合意に至った。さらに、北アイルランド問題が未解決の場合は、移行期間の延長、もしくは英全体のEU経済圏残留かを20年7月までに選択するとした。
 臨時閣議は5時間以上に及ぶ議論の末、協定案を承認したが、メイ首相による数々の譲歩に対する反発は大きい。完全な離脱となるのか、EUの関税同盟に事実上とどまるのかも現時点で見通せず、仮に関税同盟残留なら関税自主権を行使できず、貿易などにEUのルールを受け入れなければならない上、EUでの発言権は離脱で失う。メイ首相は関税同盟残留を“非常時の保険”とするが、大方は「発動される」とみているようだ。そうなると、英国が掲げてきた米国との自由貿易協定(FTA)締結、日本が主導して進めている環太平洋連携協定(TPP11)への合流もできなくなる。TPP11のメリット拡大を図りたい日本にとっても無視できぬ問題だ。
 議会からは「EUの属国になる」などの厳しい意見が噴出。ラーブEU離脱担当相は「合意を支持できない」と抗議し辞任。マクベイ雇用・年金相、バラ北アイルランド担当閣外相らも後に続いた。早くも「メイ下ろし」が動き始めた。
 求心力を失ったメイ首相が議会承認を得られるかは分からず、英経済界は物流などに影響する「合意なき離脱」に警戒感を示す。15日の金融市場は、こうした動きを受け、英通貨ポンドが急落した。金融をはじめとする日本企業も、ドイツに現地法人を設立するなど、今後起こり得る事態に対応した体制構築を急いでいる。米中貿易摩擦に続く英国のEU離脱問題。世界経済に暗雲が広がってきた。

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日ロ首脳合意「北方四島返還見据えた対応を」

2018/11/16 金曜日

 

 安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領が14日夜にシンガポールのホテルで会談し、北方領土について、歯舞、色丹2島の引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎とし、平和条約締結交渉を加速させることで合意した。日本政府は国後、択捉2島を含む北方四島の帰属の問題を解決した上で平和条約を締結するという立場だが、今回の合意により今後の交渉で歯舞、色丹の扱いが先行する可能性が出てきた。
 4島一括返還を主張してきたわが国に対し、ソ連時代は「解決済み」、その後は2島の返還ではなく「譲渡」にこだわってきたロシアだが、共同宣言から60年余が経過した今、両国の間にいったい、どのような利害の一致が出てきたのか気になるところだ。旧ソ連の4島占拠時に子どもだった元住民は多くが70~80代と高齢となり、生まれ故郷に戻って生活することが現実味を持たない現状だが、そうであっても近いうちの朗報となるのか。今後の協議の推移を見守りたい。
 外務省ホームページによると、旧ソ連は終戦から間もない1945年8月28日から9月5日までの間に、4島すべてを占拠、一方的に自国領に編入した上で約1万7000人いた日本人を48年までに強制退去させた。その後の日ソ間の交渉で、平和条約締結後に歯舞、色丹2島を日本に引き渡すことに同意したのが同宣言となる。しかし、その後は幾度となく平和条約締結に向けた動きがあったが、4島どころか2島の返還にすら至っていないのが現状だ。おそらく、「また同じことの繰り返し」と考える国民は少なくないのかもしれない。
 ただ、プーチン大統領との会談後に記者団に応じた安倍首相の口からは「次の世代に先送りせず、私とプーチン大統領の手で必ずや終止符を打つ強い意志を完全に共有した」「戦後、残されてきた懸案、平和条約交渉を仕上げていく決意」と、これまでにない強い意志を含む発言がなされた。だとしたら、誰もが前向きな展開を期待するのは当然だ。冷戦下でのような、不毛な主張の対立は現代では誰も望まない。日本側も4島一括返還だけにこだわっていれば、前進がないと判断したとも見える。
 ただ、諸外国の経済制裁もあり長期停滞が指摘されるロシア経済。そうした中で、平和条約締結と2島返還により、自国経済回復に向けた新たな活路を見いだしたいとする狙いであれば、わが国も慎重に対応していく必要があろう。なし崩し的に領土問題が終結したとされ、経済協力だけを求められるのならば、それは好ましい姿ではない。
 まずは2島としても将来的な4島返還を見据え、官民挙げた交流と協力を行うことはもちろん、二度とこうした領土問題を起こさないという強い決意を互いに抱く必要がある。

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ネット利用調査「大人への情報モラル教育も」

2018/11/15 木曜日

 

 弘前市教育委員会が市立校の小学4年~中学3年を対象に行った、インターネット利用に関する今年度のアンケート結果が公表された。スマートフォンや携帯電話の所持率は全学年で前年度より増加。ネット利用に関してルールを設ける家庭も増えるなど、児童生徒を取り巻くインターネット環境に、保護者が関わっていく必要性が認識されつつある。
 調査結果によると、スマホ・携帯電話の所持率は小学生が3割以上、中学生は5割以上となり、全学年の所持率は前年度より増加。自分専用のスマホ・携帯電話を持ち始めた時期は、小学4、5年生だと3年生以前からというケースが全体の5割を超えていた。市教委は所持率について、今後も増加するとみている。
 自分専用のスマホ・携帯電話を持った理由に関する質問では、小学生は「親に持つように言われた」と回答した率が各学年とも最も高く、30~40%台に上った。防犯用途の強い「キッズ携帯」が多いとみられ、子どもたちを守るツールとして重要視されているもようだ。
 中学生は同様の理由のほか、「塾や習い事、部活などでの連絡のため」と回答した率が各学年とも20%台と高く、便利な連絡網として活用されていた。自宅では、ゲーム機を通してインターネットを利用する児童生徒の割合も目立った。
 不適切サイトなどから守るフィルターの有無については、自分専用のスマホ・携帯電話を所持する児童生徒のうち、小学生の各学年の3割超が「かけられている」と回答。中学生で「かけられている」と回答した割合は、各学年とも4割超で前年度より増加した。ただ、小中学生とも1割強から2割弱で、「かけられていない」との回答も見られた。
 当たり前のようにインターネットを使える環境で育ってきた子ども世代に比べると、親世代の方がインターネット事情に疎い場合がある。市教委は保護者向けの啓発活動を推進しており、機器購入時にフィルタリングをする保護者が今後も増えることを期待したい。インターネットや通話をする際のルールについて、利用時間を決めていると回答する割合も今年度調査では増加傾向にあった。
 一方、インターネットを通じて怖い思いや嫌な思いをしたことがある―と回答した小中学生が、いずれも10%以下とはいえ、いたことは見逃せない。見知らぬ人に突然悪意をぶつけられたり、接触や個人情報の提供を求められたりといったケースもあった。
 生活を便利にしたインターネットを通し、子どもたちを犯罪などの理不尽な行為に巻き込もうとする大人は少なくない。子どもたちを悪意ある大人から守るためには親世代が積極的に学び、その利便性を確保しながら関わっていく必要がある。子どもたちと同時に、大人の情報モラル教育の在り方も問われている。

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大谷が新人王獲得「本場で認められた「二刀流」」

2018/11/14 水曜日

 

 米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手がア・リーグの2018年シーズン最優秀新人(新人王)に選ばれた。日本選手としては01年のイチロー外野手(マリナーズ)以来17年ぶり4人目。ベーブ・ルース以来とされる投打の「二刀流」が野球の本場で認められた。
 快挙を成し遂げた大谷選手だが、シーズン中は順風満帆だったわけではない。6月に右肘を故障。一時、回復が見られたものの、9月には右肘の内側側副靱帯(じんたい)に新たな損傷が見つかり、レギュラーシーズン終了後の10月初めに靱帯の再建手術を受けた。
 投球を控える時期も長く、登板は10試合にとどまった。シーズン中の成績は4勝2敗、防御率3・31。本人も納得できるものではなかっただろうが、その分打者として活躍。104試合の出場で22本塁打、61打点、打率2割8分5厘という堂々の結果。盗塁も10個決め、パワーとスピードを併せ持つことを見せ付けた。
 投手として十分な活躍はできなかったとはいえ、投手として4勝(以上)、打者として2桁本塁打は、ルースが1919年に9勝、29本塁打を記録して以来といい、大谷選手のレベルがいかに高いかが理解できる。
 ア・リーグ新人王の最終候補に残ったのは大谷選手とヤンキースの選手2人。ヤンキースはプレーオフに進出し、チームには本塁打、打点、打率とも大谷選手を上回る新人王候補も含まれていた。それでも、新人王を決める全米野球記者協会の記者投票で、大谷選手は30人中25人から1位票を得る圧勝だった。
 過去に新人王に輝いた野茂英雄投手(ドジャース、1995年)、佐々木主浩投手(マリナーズ、2000年)、イチロー外野手は、いずれも高い技術や特徴的なプレースタイルで全米のファンを魅了したが、大谷選手の「二刀流」の衝撃は彼らをしのぐほどのものだったに違いない。
 登板数は少なかったものの、わずか2戦目で12三振を奪い、七回途中まで走者を出さない圧巻の投球を披露。打撃はシーズン通して勝負強さを発揮し、終盤の9月は24試合で27安打を放つなど、印象に残る場面が多数あった。肘の故障を抱え続けたにもかかわらず、周囲が納得できる結果を残す。これは「二刀流」の大谷選手だからこそ成し遂げられたのではないか。
 靱帯の再建手術後、投手に復帰するには1年以上かかるため、大谷選手は来季、打者に専念する見通しという。じっくりと肘の回復を待ちながら、打者としては今季同様に活躍してくれるだろう。
 大谷選手は岩手県奥州市出身だ。隣県に住むわれわれとしても親近感が湧き、誇らしくもある。本来の「二刀流」に戻り、この先も野球の本場で輝かしい成績を残してくれることを期待している。

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リンゴ盗難「地域一丸の取り組みで防止を」

2018/11/10 土曜日

 

 津軽地方では、県産リンゴの主力品種ふじの収穫がたけなわだ。近年は台風や突風などが頻繁に発生するようになり、今年は県内にも幾つかの台風が接近。一部のリンゴ園地で落下などの被害が発生した。
 それだけに自然災害の脅威をくぐり抜け、収穫にまでこぎ着けることができた生産者の喜びはいかほどのものだろう。日々の収穫作業にも力が入るというものだ。その生産者のこれまでの苦労を踏みにじるような行為がリンゴ盗難だ。
 津軽地方では今秋、弘前市や黒石市、平川市、つがる市などで被害が発生している。収穫前のリンゴを狙い、多い場所では数千個ももぎ取られるなど、手口は悪質だ。丹精込めて育ててきたリンゴを盗まれた生産者の無念を思うと、胸が痛む。このような犯罪行為を許すことはできない。
 近年は、防犯パトロールなどの効果もあってか、野積みされたコンテナごと盗難に遭うケースが減ってきたように感じる。その一方でリンゴ樹から直接、リンゴをもぎ取る手口が、目立ってきた。収穫に適した状態のものを選んで盗む場合もあり、巧妙かつ悪質なものになっている。
 弘前市はこうした状況を受けて、市内の園地数カ所に人が近づくと自動撮影するセンサーカメラを設置する取り組みを始めた。有害鳥獣被害対策の調査用に使ってきた夜間でも撮影可能なセンサーカメラを市内のリンゴ園地に設置、防犯効果を試すことにしたという。
 生産者への注意喚起やパトロールが中心のリンゴ盗難対策に新たな方法で抑止を図ろうという取り組みだ。実際の防犯効果に加え、カメラが仕掛けられているかもしれないと思わせることで、園地に入ることをためらう心理的な効果も考えられる。この取り組みに期待したい。検証を踏まえ、抑止力が期待できるものと判断されれば、来年度以降は設置場所や台数の増設も検討していいだろう。
 ただ、こうした取り組みは予算的な制約などもあるため、弘前市全域をカバーするものとはなりにくいだろう。「リンゴを野積みしたまま長時間、園地に置かない」「小まめに園地の状況を確認する」などの基本的な対策をまずは、きちんと行いたい。
 今年産リンゴは、他の果物が台風被害で不作だった影響などにより、前年より高値で取引されているという。産地、生産者にとっては喜ばしい限りだが、リンゴを盗んで高く売ろうと考える不心得者も出てくるだろう。
 警察や農協など関係機関によるパトロールや防犯カメラの設置だけでは盗難を完全には防げない。生産者個々の対策はもちろん、リンゴ盗難を絶対に許さないという強い決意の下、地域一丸となった取り組みでこの悪質な犯罪を防ぎたい。

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