社 説

 

衆院10月選挙の意向「党利党略透ける方針転換」

2017/9/19 火曜日

 

 安倍晋三首相が、28日召集予定の臨時国会冒頭にも衆院を解散する意向を固め、与党幹部に伝えた。
 選挙日程は「10月10日公示―同22日投開票」を軸に検討している。「10月17日公示―同29日投開票」の可能性もあるが、いずれの場合も、10月22日投開票予定の衆院本県4区などの補欠選挙はなくなり、総選挙に吸収されることになる。
 本県の場合、解散・総選挙となれば、区割りの改定で小選挙区の定数が4から3へ1減となる新たな区割りで実施される。従来の選挙区のままで4区補選が既に事実上の選挙戦に突入している中で、解散・総選挙となると、各陣営は戦略の練り直しを迫られることになろう。
 中でも自民党県連は、前衆院議員の木村太郎氏死去に伴う4区補選への対応を最優先し、新たな区割り対応の候補者調整を先送りしてきただけに対応が急がれる。有権者の側にも戸惑いや混乱が生じることが懸念される。
 急展開で「10月選挙」の意向を固めたのは、内閣支持率が回復傾向にあることが大きな要因とみられる。対する野党は、第1党の民進党が離党騒動で混乱が続く状態だ。また、小池百合子東京都知事に近い勢力による国政新党結成の動きがあるため、できるだけ新党の態勢が整う前に選挙を行いたいという思惑が透けて見える。
 臨時国会が始まれば、野党が学校法人「加計学園」や「森友学園」の問題で改めて首相の関与を追及するのは確実だ。森友学園への国有地売却問題は、会計検査院が月内にも報告書を公表する予定。加計学園の獣医学部新設問題では、文部科学省の審議会が10月下旬にも可否を答申する予定で、いずれも結果次第では、首相が再び窮地に陥る恐れもある。
 首相は当初、来秋の自民党総裁選で3選を果たし、そのまま解散に踏み切る戦略を描いた。憲法改正発議に必要な衆参3分の2の改憲勢力を生かし、衆院選と国民投票の同時実施も視野に入れていたとされる。しかし、さまざまな状況を考慮し、早期解散へと方針転換したとみられる。
 選挙を急ぐ理由に関し、北朝鮮への対応を挙げ「長期戦となると(解散の)判断が難しくなる」としたとされ、11月上旬にトランプ米大統領の初来日が調整されていることも考えての判断のようだ。
 ただ、北朝鮮危機が強まるさなかに政治空白をつくることの是非が問われそうだ。加計学園などの問題の追及を避けるためという思惑に「疑惑隠し」といった批判もある。「仕事人内閣」を掲げ8月に内閣を改造したばかりでもある。
 解散権は首相の専権事項とはいえ、政権維持のための党利党略ばかりが先立つ衆院解散は「大義がない」と批判されて当然だろう。解散・総選挙で国民に何を問うのかを明確にしなければならない。

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北朝鮮ミサイル発射「一層の孤立化招く暴挙」

2017/9/16 土曜日

 

 北朝鮮が15日早朝、弾道ミサイル1発を発射した。ミサイルは北海道上空を通過し、襟裳岬沖東方約2200キロ付近に落下した。日本上空を越える北朝鮮によるミサイル発射は、8月29日に太平洋に着弾した中距離弾道ミサイル「火星12号」以来、6回目となる。北朝鮮は今月3日に「大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載用水爆」とされる核実験も行っている。ひたすらに軍拡の道に進み、ミサイル発射や核実験などを通じて周辺諸国との緊張を高める北朝鮮の暴挙に非難以外の言葉が見当たらない。
 日本政府は本県を含む北海道、東北、北関東など12道県に全国瞬時警報システム(Jアラート)を通じて避難を呼び掛けたが、幸いなことに日本領域への落下物や航空機、船舶への被害は確認されなかった。だが、本県と津軽海峡をまたいで“至近”の距離にある北海道上空を、ミサイル兵器が通過していった現実は県民にショックを与えた。本県への被害は確認されなかったものの、操業中の漁業者をはじめ、県民からは不安の声ややり場のない憤りの声が多く聞かれた。
 このようなことを繰り返しては、たとえ北朝鮮に明確な攻撃の意志がなくともミサイルの不具合などによって、予定しない場所への落下が生じる可能性は、十分考えられる。北朝鮮は、このような挑発行為が、自国に何の益ももたらすことがないことを理解し、弾道ミサイルの発射や核実験を即刻、中止すべきだ。
 今回の発射は、国連安全保障理事会が11日に北朝鮮への原油・石油精製品輸出に上限を設けるなどした米国作成の対北朝鮮制裁決議に対する対抗措置と考えられる。当初の米国案では、北朝鮮の生命線とも言える原油、石油製品の輸出に関し、全面禁輸などを提案する計画があったが、北朝鮮と関係の深い中国、ロシアの賛成を取り付けるために、制裁条件を緩和した経緯がある。
 緊迫した北朝鮮をめぐる情勢の打開を図ろうと関係各国が、ギリギリの折衝を行って詰めた決議案だ。こうして決めた「全会一致」の決議の持つ意味は大きいだろう。だが、対話への糸口を探ることもなく、北朝鮮は挑発行為で応じたことを深く憂えている。
 今回のミサイル発射を受け、ティラーソン米国務長官は、先の国連安保理で採択された北朝鮮制裁決議は「われわれが取るべき行動の土台であり、天井ではない」と指摘し、追加制裁を目指す構えを示した。安倍晋三首相も「北朝鮮がこの道をさらに進めば、明るい未来はない」と強く非難。中国も今回のミサイル発射に反対の意を示した。今後、国際社会は北朝鮮への圧力を再度高める方向に向かうだろう。北朝鮮が求めるべきは、核ミサイルではなく、対話だ。砲艦外交の行く末がどのような結末を生むかは歴史が証明している。

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白神山地「後世につなぐ取り組み必要」

2017/9/15 金曜日

 

 世界自然遺産白神山地の核心地域で、初めてニホンジカが確認された。鯵ケ沢町一ツ森町の国有林で8月6日に自動撮影装置が写した。以前から周辺地域では目撃情報があったため、核心地域にも進入している可能性が指摘されていたが、それが現実となってしまった。
 全国的にニホンジカは上昇の一途をたどる。国の推計によると、2013年度末の個体数は約305万頭で、現状のままだと23年度には約450万頭まで増加する見通し。国内各地で植生被害が発生しており、今後も増加が見込まれる。県によると、今年度(9月8日時点)の目撃情報は県全域で65件100頭。このうち白神山地周辺地域では7件8頭だった。県内にも、相当数が入り込んでいると推測される。
 今回、核心地域で撮影されたニホンジカは雄とみられる。雄は縄張りを広げる意味で広範囲を移動する習性があるため、定住しているとは言い切れないと専門家は指摘する。県内ではまだ低密度のようだが、分布が広がる前に何らかの対策を打つ必要があるだろう。
 白神山地には本来、ニホンジカは生息していないとみられてきた。それだけに、ニホンジカが進入した場合、森林生態系への深刻な影響が懸念される。生態系を脅かすのは、ニホンジカだけではない。今年8月には本県に分布しないとされてきたイノシシが、周辺地域で確認された。イノシシの生態系に与える影響は不明だが、個体数の密度が高まれば悪影響も考えられ、動向を注視していく必要があろう。
 ニホンジカやイノシシの分布が拡大する原因はさまざま指摘される。ニホンジカについては、狩猟人口の減少や天敵オオカミの絶滅、積雪量の減少などが挙げられる。いずれもすぐに解決できる問題ではなく、捕獲が現実的な対策だ。
 国や県は今年度、深浦町でニホンジカの越冬地としての可能性がある地点で猟銃による試験捕獲を実施し、新たに鯵ケ沢町か西目屋村で越冬適地調査を行う予定。県は全て捕獲する完全排除を長期的目標に、県内全域で捕獲に力を入れていく方針だ。有効な捕獲方法や態勢を構築し、効果を上げることを期待したい。
 それにしても、ニホンジカの生息域が拡大しているということは、全国的に生態系が変化していることの表れだろう。積雪量減少は地球温暖化に伴うもので、人為的な影響としか言いようがない。ニホンジカがいなくても、温暖化の進行で白神山地内にブナの生育適地が失われていくとの指摘もある。
 世界最大級の原生的なブナ林を後世まで残していくためには、今後もさまざまな課題が生まれるのだろう。自然に対する人類のありようが問われている気すらする。ともあれ、現世代でできることは尽くしたいと思う。

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人生100年時代「国民に夢と希望与える施策を」

2017/9/14 木曜日

 

 安倍政権の新たな目玉政策「人づくり革命」の具体策を議論する「人生100年時代構想会議」の初会合が11日、首相官邸で開かれた。官邸ホームページによると、安倍晋三首相は「人づくり革命」を人生100年時代を見据えたものと位置付け、安倍内閣が目指す「一億総活躍社会をつくり上げる上での本丸」と訴えた。
 さらには今後の議論に向けた論点を(1)全ての人に開かれた大学教育の機会確保(2)何歳になっても学び直しができる環境の整備(3)全世代型社会保障への改革(4)施策の実行に伴う財源の確保―と掲げた。具体的には給付型奨学金や授業料減免措置などの拡充・強化、社会人が学び直す「リカレント教育」、リカレント教育を受けた人に教育の道が開かれるような企業採用の多元化、高齢者重視の社会保障制度見直しなどについて取り上げるという。
 正直なところ、人生100年時代と学び直しなどをどのように結び付け、何を最終的な目標とするのかは分かりにくいが、安倍首相は会議に先駆けた発言の中で、人生100年の中で新たなことに挑戦しようとする意欲ある人が学び直し、新たな人生を始めることで、活力ある社会の維持、発展を目指す、という趣旨の発言をしている。
 人生100年という言葉だけで見ていくと、厚生労働省が今年7月に発表した2016年の日本人の平均寿命は男性が80・98歳、女性が87・14歳で、いずれも過去最高を更新した。統計を取り始めた1947年は男性50・06歳、女性53・96歳だったが、医療技術の進歩や公衆衛生向上に伴い、右肩上がりで伸びている。今年4月に公表された将来推計人口では65年時点で男性84・95歳、女性91・35歳にまで達する可能性が示されたという。確かに人生100年という言葉が現実性を帯びつつあり、かつての「人生50年」という時代からすると、まさに驚きなのではないか。
 しかし、こうした長い人生を通じて在学中、社会人時代、老後と、どの世代となっても不安が付きまとうことが少なくない。奨学金返済や職場内ストレス、失業、老後の資金は…などが主なものだろうか。そうした中でも学び直したい、再チャレンジしたいという意欲を持つ人は多数いる。実際に今回の取り組みが成功するのであれば、多くの人に夢と希望を与えるものとなるだろう。
 しかし、安倍政権の経済政策「アベノミクス」は効果の波及に疑問を呈する声が少なくないほか、次期政権になっても「革命」の取り組みが続くのかと不安要素はある。ただ、初会合の中で掲げた取り組み内容は、多くの国民が望んでいたことであろう。「看板倒れ」に終わらぬよう願うとともに、議論の推移を見守っていきたい。

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スマートムーブ「時代に合った賢い選択を」

2017/9/13 水曜日

 

 日常生活での移動手段を工夫し、二酸化炭素排出量の削減につなげようという取り組み「スマートムーブ」。全国で広がりを見せているが、本県でも県や関係機関が10、11月に「あおもりスマートムーブキャンペーン」を展開、公共交通機関の利用やエコドライブを呼び掛ける。新規の事業であり、多くの県民や事業者が参加できるよう工夫してもらいたい。
 国は2030年度までに温室効果ガスの排出量を13年度比で26%削減するという目標を掲げており、温暖化対策に資する賢い選択を促す国民運動「COOL CHOICE(クールチョイス)」をスタート。スマートムーブもこの一環だ。
 自動車からの二酸化炭素削減に向け、本県ではこれまでもエコドライブの普及促進や県下一斉ノーマイカーデーなどの取り組みが行われてきた。昨年のノーマイカーデーには約1万9000人が参加し、期間中にマイカー利用を公共交通機関利用に切り替えるなどしたが、公共交通機関の利用が難しかったり、どうしても車が必要なケースなどもあり、今後の広がりに欠ける面があったことも確か。
 スマートムーブはエコな移動方法を選択するライフスタイルを指すため、マイカーから公共交通機関に転換できる人はノーマイカーを、車がどうしても必要な人はエコドライブを実践。もともと公共交通機関や自転車を利用する人、徒歩の人はそのままの移動方法を継続することで運動に参加していることになる。状況に応じて選択できるため、より多くの県民・事業者を巻き込んだ展開が可能だ。
 本県の温室効果ガス排出量は、公開されている最新の集計の14年度で1562万5000トン。家庭での灯油消費量が13年度より減少、建設業や農林水産業などのエネルギー消費量も下回ったことから5年ぶりに前年度比で減少した。
 ただ基準年度としている1990年度に比べると17・8%増えており、現状は決して良いとは言えない。県は今年度中の改定を目指す「県地球温暖化対策推進計画」の中で、30年度の温室効果ガス削減目標について、国の目標値を上回る、13年度比30・5~34・5%減の間で設定する方針を示しており、削減に向けた取り組みが急務と言えるだろう。
 地球温暖化の影響は自然環境や生態系への影響、農業への打撃などさまざま挙げられているが、身近な暮らしにどう影響するのかは想像しにくい。強いて言えば近年目立つ酷暑や大雨などの異常気象だろうか。だが、温暖化の進行はわれわれが選んだライフスタイルや産業構造の結果であり、温暖化に歯止めをかけるのもわれわれの選択だと言えるだろう。
 キャンペーン期間は県内6カ所でスマートムーブについて学べるキャラバンも予定されている。これを機に多くの県民が地球温暖化を意識し、個々の取り組みが積み重なっていくことを期待したい。

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