社 説

 

つがる市立図書館「開館1周年、愛される施設に」

2017/8/1 火曜日

 

 つがる市立図書館が開館から1周年を迎えた。大型商業施設のイオンモールつがる柏内に設置された同施設は、基幹産業の農業や郷土史料に特化したコーナーのほか、児童図書などを充実させ、蔵書数約8万冊でスタート。カフェも併設させるなど、幅広い年代に対応した図書館づくりが功を奏し、この1年間の入館者が30万人を数えるなど、好調な利用状況にある。市の知の拠点、市民の生涯学習の場としてのますますの発展を期待している。
 同図書館は、指定管理者制度を導入しており、案内カウンターには、自動貸出機を採用。タブレット端末を配備し、インターネット、データベース検索、デジタル教材として利用できるようにしている。5町村が合併した同市は郷土史料が豊富で、こうした強みを生かした郷土史料コーナーのほか、基幹産業の農業コーナー、縄文関連図書も充実させている。
 図書館本来の機能以外でユニークなのは、その立地や関連施設にあるだろう。図書館が入る大型商業施設のイオンモールつがる柏は、津軽地方でも有数の大規模ショッピングセンターであり、買い物客らでにぎわう。また入り口付近には「タリーズコーヒー」が併設され、ふた付きの飲み物を一部館内に持ち込めるなど従来の公設図書館にはない、利便性や使い勝手の良さを重視したコンセプトが同施設の特徴と言えるのではないか。
 人気は数字に表れている。入館者はわずか2カ月弱で10万人を達成。今年2月に年間目標の20万人に到達すると、7月17日には30万人を突破。1年間が経過した28日時点では31万793人となっている。年間目標を既に10万人以上上回る数字を残しているのは立派なものだ。
 図書館設置は、関連施設にも相乗効果をもたらしている。イオンモールつがる柏でも図書館オープン後の同モールへの来館者が設置前の年に比べ、年間で1割弱増えているという。買い物帰りに図書館に寄ったり、図書館に来たついでに買い物をしたりと、利用目的はさまざまだろうが、ともに「集客力のある」施設だけに相乗効果が生まれているのだろう。
 もちろん公設図書館である以上、単に利用者数が多ければ良いというものではない。つがる市に関連する文化・歴史などの資料収集や情報発信を行って同市の文化向上に寄与し、市民の文化活動を助ける役目が重要であることは間違いがない。
 ただ、インターネットの普及などにより、書籍類を手に取る機会が減少している現代にあって、紙の本にじかに触れることができ、さまざまな知識を総合的に得ることができる図書館の存在は非常に重要なものと言える。公設図書館としての機能をさらに充実させながら、誰もが気軽に訪れ、集い、親しまれる施設として続いていってもらいたい。

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PKO日報問題「稲田氏辞任で幕引き許されぬ」

2017/7/29 土曜日

 

 稲田朋美防衛相が、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題について責任を取り辞任した。PKO派遣部隊の日報を陸上自衛隊が廃棄したと説明しながら保管していたこの問題では、稲田氏が陸上自衛隊幹部から非公表とする方針について報告を受けていた疑いが浮上。防衛監察本部による特別防衛監察の結果が公表されたが、非公表の判断に稲田氏が関与していたかどうかについては「公表の是非に関する何らかの方針の決定や了承がなされた事実はない」と結論づけた。一方で稲田氏と防衛官僚、自衛隊制服組幹部との間で「日報データの存在について何らかの発言があった可能性は否定できない」とも記載しており、問題の全容解明には程遠い内容だ。稲田氏の大臣辞任をもって幕引きとしてはならない問題であり、さらなる真相究明の努力を図るよう望む。
 日報問題では、事務方トップの事務次官と陸自トップの陸上幕僚長が協議し、非公表とすることを決めた。防衛省を構成するいわゆる背広組(防衛官僚)、制服組(自衛官)のトップ級の人間が隠蔽(いんぺい)行為を主導して行ったという前代未聞の不祥事だ。仮に稲田氏の関与があったとすれば、文民である政治家の防衛相を含めた、まさに省ぐるみの隠蔽行為であり、稲田氏の関与がなかった場合でも、文民トップの大臣の判断、指示を仰がないままの暴走行為と言える。
 いずれにせよ民主主義国家における大原則である文民統制(シビリアンコントロール)が防衛省・自衛隊できちんと機能していないことになり、自衛隊のような実力組織の統制を考える上で、危険この上ない状況といえる。組織のたがをしっかりと締め、国民の信頼回復に向けて全力を尽くすべきだ。
 日報問題の対応や先ごろの都議選応援演説で「防衛省、自衛隊としてもお願いする」と発言したことなどをめぐって、防衛大臣としての資質が問われ続けた稲田氏を登用した安倍晋三首相の任命責任も重い。安倍首相は、稲田氏の辞表提出を受けて「閣僚が辞任することになったことについて、国民の皆さまに心からおわび申し上げたい」と述べたが、数々の問題を抱えた稲田氏をかばい続け、大臣を続投させたことが、結果として事態をより深刻化させたとも言える。国の安全を担う防衛省・自衛隊の組織が今回の問題によって不安定化したことについての批判は免れ得ない。
 問題の日報は、南スーダンPKOへの自衛隊派遣延長や、安全保障関連法に基づく新任務「駆け付け警護」の付与の判断について、大きな影響を与える可能性のあったものである。国民に示されるべき情報が隠蔽され、国の安全保障に対する判断が「ゆがめられた」としたら|。政府は国会で疑惑解明に全力を尽くし、説明責任を果たす責務がある。

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加計学園問題「疑惑が晴れたとは言い難い」

2017/7/28 金曜日

 

 疑惑が晴れたと思った国民はどれだけいるだろうか。安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画をめぐり、衆参両院の予算委員会で閉会中審査が行われ、首相は関与を完全否定したものの、計画を把握した時期を修正するなど不透明な部分が残った。
 閉会中審査で首相は「李下(りか)に冠を正さず」との故事を引用し、「私の友人が関わることだから、国民から疑惑の目が向けられるのはもっともなことだ」と述べ、疑惑の存在を素直に認めた。「今までの答弁で足らざる点があったことは率直に認めなければならない」とも指摘。「印象操作だ」などと色をなして野党議員に反論することも封印し、ひたすら低姿勢に終始した。だが、説明が尽くされたとは言い難い。
 最大の疑問は、国家戦略特区制度を活用した加計学園の獣医学部新設計画について、今年1月20日の国家戦略特区諮問会議まで知らなかったとの首相答弁。これまでは国家戦略特区制度創設前に、加計学園から構造改革特区を活用した申請があったことを「承知していた」と答弁していたが、修正した。首相は特区諮問会議の議長として、昨年来の議論の経緯を知りうる立場にあったため、不自然さは否めない。
 しかも、加計学園の理事長とは長年の友人で、会食やゴルフを重ねる親しい間柄。野党が「そこまで知らなかったとは、にわかに信じられない」と疑問を呈するのも、当然と言えよう。
 他にも、首相の指示がなかったとしても、行政のプロセスが「加計ありき」で進められていたのではないかという疑念がある。しかし、閉会中審査で山本幸三地方創生担当相や和泉洋人首相補佐官ら政府側のキーマンは「記憶にない」との答弁を繰り返し、前川喜平前文部科学事務次官や日本獣医師会幹部らとの間に生じた矛盾は解消されなかった。
 疑念払拭(ふっしょく)には程遠い結果に、与党内からも「加計ありきの疑惑がむしろ深まったのではないか」「一度の説明では終わらない」との声が漏れる。野党は、首相官邸側の「圧力」の有無をめぐって対立する和泉氏と前川氏の証人喚問要求を強めており幕引きは見通せそうにない
 今回、政権側が閉会中審査を受けたのは、「危険水域」まで落ち込んだ内閣支持率が背景にあることは間違いないだろう。政権再浮揚への足掛かりの舞台とするはずだったが、結果的には「不発」に終わった印象が否めない。
 内閣支持率が降下し、東京都議選では歴史的惨敗、仙台市長選も敗北した。来週には内閣改造・自民党役員人事を行うようだが、もはや「人心一新」だけで支持率が回復することもあるまい。国民から向けられた不信を解消するために、納得できる説明を尽くすべきではないか。

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テレワーク「導入に向け、知恵を絞れ」

2017/7/27 木曜日

 

 ITを活用し、時間や場所にとらわれない働き方を呼び掛ける「テレワーク・デイ」が7月24日、初めて行われ、初回の今年度は全国約900の企業・団体の約6万人が職場以外の場所でIT機器を活用して働いた。テレワークの導入は柔軟な働き方が広がるきっかけになると期待されており、今後どの程度企業や官公庁に広がっていくのか、注目される。
 取り組みの直接のきっかけは2020年の東京五輪・パラリンピック。「テレワーク・デイ」と定めた「7月24日」は東京五輪・パラリンピックの開会式の日に当たり、予想される同日の交通混雑を緩和するため、企業や団体、官公庁らによるテレワーク一斉実施の予行練習をするのが狙いだ。実際、12年のロンドン五輪でテレワークの推進により渋滞が緩和されたという成功事例があり、政府も20年まで毎年実施を呼び掛け、五輪を契機とした働き方改革につなげたい考えだ。
 総務省によると、テレワークの普及率は16年9月末時点で13・3%と低い。最近よく目にするようになってきたとはいえ、認知度も高いとは言えないだろう。政府は20年までに普及率を34・5%に引き上げることを目指しているが、社員の勤務時間の管理や組織の一体感醸成、テレワークに適した勤務体系など、導入する側が考えるべき課題は少なくない。
 柔軟で多様な働き方が多くの企業で実現すれば、女性や高齢者、育児や介護、持病などさまざまな事情を抱える人にも就業のチャンスが広がる。人口減少に伴う労働力不足が深刻な課題として浮上する中、「テレワーク・デイ」も年に1度の単発イベントで終わらず、本格導入を見据えた手法や課題を探る場であるべきだろう。24日の実施状況を各職場で検証し、今後の導入につなげてもらいたい。
 県内でもテレワークの取り組みが少しずつ動き出している。そのうちの一つが弘前市のNPO法人が代表団体となり、県内外16団体が参画するコンソーシアムの取り組み。弘前市と青森市の2カ所にテレワーク拠点を整備し、移住やUターン人材の確保や新産業創出につなげようという事業で、総務省が地方のテレワーク拠点の整備を支援するふるさとテレワーク推進事業の採択候補に選ばれた。
 単にテレワーク拠点を提供するだけでなく、仕事の受発注やコミュニティーへの参画も支援し、地域活性化に寄与するIT人材らの県内定着を促そうというのが同事業の狙い。県外企業から仕事を受注する仕組みも構築済みだ。コンソーシアムは今後、県内に拠点を増やし、ネットワークを広げていきたいとしており、今後の事業展開に大いに期待したい。
 本県の労働力人口は全国よりも大きな減少幅で推移すると分析されており、対策は急務だ。テレワークもその取り組みの一環。時代に合った効率的で新たな働き方が定着するよう推移を見守りたい。

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大雨への備え「二重三重の構えで人命の守りを」

2017/7/26 水曜日

 

 県が21日の県議会建設常任委員会で、30人余の死者を出した九州北部豪雨と同程度の雨が本県を襲った場合、県管理の全河川で氾濫が発生し、県管理道路を含む各地の道路で被害が発生する可能性があるとの認識を示した。誰も考えすらしなかった未曾有の大災害・東日本大震災がそうであったように、最大規模の災害を想定した事前対策というのは難しい。ただ、被害を最小限に抑え、一人の死者も出さないとの構えで、考えられる限りの策を講じることは必要だろう。
 常任委の理事者答弁によると、九州北部豪雨時に朝倉観測地点(福岡県朝倉市)で観測された最大24時間降水量は545・5ミリ。これに対して、想定氾濫区域内の人口や資産などに応じて設定される治水安全度が、県管理河川全286カ所中で最も高い堤川(青森市)は24時間計画雨量が230・2ミリと、九州北部豪雨の最大24時間降水量には及ばない。これをもって、県側は「九州北部豪雨と同程度の大雨が流域全体に降った場合、すべての県管理河川で氾濫が想定される」と答弁した。
 このほか、県は管理道路全245路線中、大雨や台風による土砂崩れ、落石の恐れがある24路線29区間を「異常気象時通行規制区間」に指定。降雨が設定値を超えた場合に交通規制とする規制雨量は、全規制区間とも1時間当たり30ミリ、累積雨量120ミリ。こちらは九州北部豪雨の最大1時間降水量129・5ミリにすら及ばず、県側は「県内各地の道路で被害発生の可能性がある」と語った。
 22、23日には本県も大雨に見舞われた。22日は県内全域で大雨洪水警報が一時発令され、五所川原市では金木町588世帯1345人に避難勧告が出された。1時間当たり降水量は県内9地点で7月の観測史上最大を記録。床下浸水が5件あったが、幸いにも人的被害は確認されなかった。
 ただ、九州北部に限らず各地で大雨被害が発生する中、いつまた想定を超えるような災害が発生するかは分からない。九州北部豪雨級の雨に備えた対策の必要性はもちろん誰もが思うところだろうが、規模や予算的な面から一朝一夕にはいかないのが現実だろう。現在、県は河川については、過去に浸水被害があって優先度が高い15カ所の改修を進めているほか、道路は緊急性が高い箇所を工事するハード対策などを実施しているが、細やかな気象情報の提供や河川氾濫予想時の速やかな避難体制確立といったソフト対策の拡充もさらに必要となろう。二重三重の備えが人命を守ることにつながれば幸いである。
 まず、河川管理や住民避難に関する仕事に関わる人々には、地域住民が気象や避難に関する情報をどのようにすれば得られるか、徹底周知することから始めてもらいたい。

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