社 説

 

臨床研修マッチング「研修医獲得に一定の成果」

2018/10/26 金曜日

 

 来年度から臨床研修を受ける医学生の研修先病院を決める「医師臨床研修マッチング」の最終結果が公表され、県内13病院での研修が内定した医学生は合計で84人となり、過去3番目に多かったことが県のまとめで分かった。過去最多だった2014年度の89人、16年度の86人に次ぐ高い水準。制度がスタートして数年間は50~60人台と低迷していた内定者数だが、ここ数年は80人台と安定した人数で推移しており、県や各指定病院、関係者らの取り組みの成果と評価したい。
 何より朗報だったのは、内定者が募集定員を満たした、いわゆるフルマッチの病院数が9病院となり、03年度の制度開始以来、過去最多となったことだ。
 津軽地方では、国立病院機構弘前病院(定数8)や黒石病院(同4)が2年連続のフルマッチ。県内で内定者数が最も多い県立中央病院(同12)や、定数が6~10と比較的多い青森市民病院、八戸赤十字病院や十和田市立中央病院、むつ総合病院など地域に偏りなくフルマッチの病院が点在し、青森労災病院(同4)と三沢市立三沢病院(同2)は初めて内定者が定員に達するなど、県全体として好結果となったと言えるのではないか。
 本県の内定者数は東北地方で見ても、宮城県の135人、福島県の120人に次ぐ3番目の多さだった。好調な理由について、県は「研修医に選ばれる魅力ある病院が増えた」として、研修体制や勤務環境の整備などに努力してきた各病院の取り組みを評価。弘前大学医学部が卒業後、県内での就業を条件にする入学制度「地域枠」の効果も大きいとした。
 ただ「地域枠」は導入しても、入学した医学生が卒業するまでは成果が見えない。最短でも6年間、制度が周知され、定着していくまでを考えるとさらに長い時間を要するため、先を見据えて、地道に取り組み続けてきたことが、現在の好結果につながっているのだと言える。
 病院側の受け入れ態勢の整備も時間をかけて築き上げてきたものだろう。マッチングでは長く人気の病院が固定しており、研修医が確保できず、苦戦する病院が多かった。そこから今回の9病院フルマッチになったことを考えると、どの病院も研修医を増やせる可能性があるのだと思う。現状分析と工夫を求めたい。
 本県の病院はそれぞれ特色がある。地域医療の中核を担う病院があり、医師数が少ない地域で奮闘する病院も。弘前大学医学部附属病院のように高度医療や他病院への医師派遣も含め、本県医療の土台となる病院もある。また医師不足、短命県と言われる本県では、他にはない経験ができると思う。
 各自の個性をアピールすることはもちろん、今いる研修医に充実した経験をしてもらうことも、次につながる大きな力になる。関係者間で知恵を絞り、研修医のさらなる確保と定着に努めてほしい。

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危険運転容疑者逮捕「危険運転抑止に法の再検証を」

2018/10/25 木曜日

 

 9月22日につがる市森田町の国道101号で発生した、乗用車4台を巻き込み4人が亡くなった交通死亡事故で、県警は今月22日、酒に酔った状態で車を暴走させ事故を起こしたとして、同市の団体職員の男(32)を自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の疑いで逮捕した。同容疑での逮捕は本県初。アルコールの影響により、正常な状態で乗用車を運転できないにもかかわらず、雨の中で制限速度を大幅に上回るスピードで車を暴走させた上、4人もが命を落とす事故を発生させたとされる。
 県警の調べによると、事故は9月22日午前1時すぎ、片側1車線の直線道路をそれぞれ車両2台ずつが対向、走行していたが、片方の車線の後方にいた容疑者の車両が制限速度の50キロを大幅に上回るスピードで直進、前方の車両に追突した上、対向車線の軽乗用車に正面衝突するなどし、結果として8人が死傷するという惨事となった。
 今回、本県で初めて適用された危険運転致死傷罪とは、酒や薬物の影響により正常な操作が困難な状態で運転したり、走行中の直前割り込みや赤信号をあえて無視する高速運転をしたりして人を死傷させる罪のことで、2001年の刑法改正で新設された。死亡時の量刑は最高で懲役20年となる。
 つまり、飲酒はもちろん運転に影響が出るような薬物の服用は自発的なものであり、運転してはならない。にもかかわらず、車を運転した場合には人に危害を負わせる可能性は当然大きくなり、故意に人を死傷させたと受け取られることになる。容疑者たちには「自分だけは大丈夫」という過信はなかったのか。しかも、運転していた容疑者の男は警察の調べに対し、飲酒運転の事実を認めたが、「運転は正常にできていた」という旨の供述をしているといい、事実ならば論外と言わざるを得ない。飲酒運転した時点で、もはや「正常な運転」ではないのだから。
 大切な家族を失った遺族の精神的な痛みは計り知れない。同時に加害者側の家族も、世間から容疑者並みの責めを負う可能性は少なくない。被害者の貴い命を奪っただけでなく、残された人たちの今後にも大きな影響を及ぼすことになる。
 危険運転致死傷罪は、1999年11月に東京都世田谷区で幼児2人が焼死した東名高速飲酒運転事故や、00年4月に神奈川県座間市で大学生2人が死亡した小池大橋飲酒運転事故を受けて施行された。それまでは最高刑が懲役5年の業務上過失致死傷罪が適用されていた。危険運転致死傷罪が新設されてから約17年が経過したが、依然として悲惨な事故が繰り返されているのが現状だ。抑止力としての機能が働いているのか、当局にはいま一度検証を求めたい。

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障害者雇用の不正「数合わせより就労環境構築を」

2018/10/24 水曜日

 

 中央省庁の障害者雇用水増し問題を調査した第三者検証委員会(松井巖委員長)は、2017年6月1日時点で、不正に3700人を障害者として計上していたとする報告書を発表した。
 「法定雇用率(当時2・3%)を充足するため、恣意(しい)的で不適切な基準を用いた」と認定したもので、ルールを無視したずさんな運用を少なくとも20年以上続けていた実態が明らかになった。障害者雇用に対する意識の低さを浮き彫りにした結果と言えよう。
 問題があったのは、省庁に会計検査院などを加えた国の33行政機関のうち28機関に上る。当初はほとんどで法定雇用率を達成したとしたが、実際にクリアしていたのは不正のなかった5機関と厚生労働省の6機関にすぎず、省庁全体の障害者雇用率は1・18%にとどまった。
 障害の種別では身体障害者が全体の9割以上を占め、総務省では裸眼視力が0・1以下の人を障害者と認定していた。退職者などすでに在籍していない人も91人計上され、中には死亡していた人も含まれていた。財務省と観光庁は職員となっていない人を計上していたという。
 厚労省は原則として、障害者手帳や指定医の診断書による障害者の確認が必要とするガイドラインを通知していたが、目を通していない怠慢な例もあったという。あまりにずさんな対応の数々に、あきれるばかりだ。
 障害者雇用促進法では、行政機関に一定割合の障害者を雇うことを義務付けており、18年4月から法定雇用率は企業で2・0%から2・2%、国・自治体で2・3%から2・5%に、それぞれ引き上げられた。障害者の就労機会を増やすことが狙いだが、今回明らかになった不正は、その本来の目的を忘れ、数合わせばかりにとらわれた悪質な水増しと言わざるを得ない。
 政府は雇用率を達成するため、0・5人と数える短時間勤務者も含め、19年末までに障害者4072・5人を採用する計画だが、今回のような単なる数合わせにならないようチェック体制を強化する必要がある。
 労働力不足が深刻化する中で、民間企業の中には障害者を貴重な戦力として積極的に採用するケースも多い。そうした企業の多くは、障害の程度に応じた働きやすい環境づくりにも努めている。
 雇用率達成へ採用人数の目標を掲げるのはもちろん大事だが、達成には、個々の能力に応じた働きやすい環境づくりや就労を希望する障害者を育む仕組みづくりが欠かせない。
 今回の不正に対し、障害者団体からは「障害者排除の意識があった」と厳しい批判の声が上がると同時に、今後の対応への期待や注文も相次いだ。当事者である障害者も交えて議論を深め、雇用促進に向けた環境の構築を図ってほしい。

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県議選まで半年「有権者の関心高めたい」

2018/10/23 火曜日

 

 来春に予定される県議会議員選挙まで半年を切った。現職46人のうち44人が立候補する見通しとなっているほか、現時点で新人、元職計10人程度が出馬を表明。今後、選挙に向けた動きがさらに活発化することが予想される。
 現在31議席を占める最大会派の自民党は、現職全員が出馬する見通し。党県連は11月21日を期限とする公認、推薦の申請を精査した上で、目標議席数などを検討する方針。県連幹部は「少なくとも現有議席を割るようなことがあってはならない」とし、最低でも31議席の確保を目指す考えを示す。
 公明党は9月に現職2人の公認を決定しており、青森、八戸の両市区で議席維持を図る。同党県本部は国政での自公連立を踏まえ、協力、協調できる同党以外の候補者も推薦し、連携していく構えを示す。
 対する野党各党は現職の議席維持はもちろん、党勢拡大を狙い複数人区を中心に候補者擁立を模索している。国民民主党は前回選(当時は民主党)で6議席を確保したが、首長選への転出や離党による会派離脱などで現有議席は3。上積みを図るため、現職のいない選挙区での候補者擁立を検討している。
 立憲民主党は弘前、青森、八戸3市区や定数3、4の選挙区で候補者擁立の可能性を探る。党県連の山内崇代表は、現時点で具体的な候補者名や決定時期について「何も言えない」と説明。県連が設立されて間もないこともあり、人選はこれから本格化するとみられる。
 共産党は現職3人のうち、青森市区で世代交代を図り、引き続き3議席を死守する構え。さらに、むつ市区など定数が複数の選挙区での候補者擁立も検討している。
 社民党県連は青森市区での候補者擁立を目指しており、28日投開票の同市議選も踏まえ、人選を進めていく考え。
 来年は県議選をはじめとする統一地方選の後に知事選、参院選が続く“選挙イヤー”。県議選は両全県選挙の趨勢(すうせい)を占うことから、各党とも支持拡大に努める構えで、各選挙区で激しい選挙戦が繰り広げられる見通しだ。
 だが各党の思惑とは裏腹に、有権者の県議選に対する関心は高いとは言えない。投票率は10回連続で減少を続け、前回は51・08%にまで落ち込んだ。身近な市町村の選挙や、政権を左右する国政選挙に比べると、県議選は関心を持ちにくいとの指摘がある。
 ただ、約半数が棄権している現状は憂慮すべき事態だと言わざるを得ない。立候補予定者には活発な政策論争を期待したいし、われわれメディアも積極的に情報発信したい。有権者には県民の代表である県議、県の意思決定機関であり政策立案や行政監視機能の県議会に、もっと関心を持ってもらえればと願う。

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KYB改ざん問題「揺らぐ『メードインジャパン』」

2018/10/20 土曜日

 

 東証1部上場の油圧機器メーカーKYBの免震・制振装置の検査データ改ざん問題で、同社は19日に記者会見し、改ざんの有無を確認中のものを含む987件のうち、所有者などの了解が得られた70件を公表した。公表されたのは農林水産省が入る合同庁舎や自治体庁舎など公的施設で、本県の消防本部・八戸消防署八戸消防防災拠点施設新築本棟工事(八戸市)も含まれている。
 不正があったのは地震の際に建物の揺れを抑える「オイルダンパー」と呼ばれる装置。同社と子会社のカヤバシステムマシナリーが性能検査で国の基準や顧客が求めた基準を外れた装置のデータを書き換え、適合品として出荷していた。
 公表された70件は、18日時点で所有者の了解を得たもの。国の基準を満たさない「不適合」は八戸市の消防本部や愛知県本庁舎など11件。「お客様基準外」は17件で、残る42件は「不明」。
 免震用オイルダンパーは国基準値の15%以内と定められるが、改ざんされた中には最大42・3%もかけ離れたものがあった。第三者機関による構造計算では、こうした装置を使用しても震度7程度では倒壊などの危険はなく、過度な不安は不用という。ただ、だからといって問題がないというものではない。
 公表分には東日本大震災被災地の防災施設もあった。震災後も熊本県や北海道などで大地震を経験しているにもかかわらず、安全確保に関わる装置のデータを改ざんするとは許されない。同社によると、15年間に及ぶ不正が確認された。震災後も熊本や北海道などで大地震が発生しているのを知りながら不正を続けた同社に、怒りが向けられるのは当然。
 会見で同社は陳謝した。しかし、同社製ダンパーが使われた施設を有する自治体が同社に問い合わせた際「折り返し連絡します」と言われたきりで、何の情報も得られなかったようだ。住民の安全のために耐震対策した自治体への対応としては実に不誠実である。
 2015年に東洋ゴム工業、約1年前には神戸製鋼所でデータ改ざん、その後も日産自動車などで検査不正が発覚。そして、追い打ちを掛けるKYBのデータ改ざん。資源に乏しいわが国を経済大国にしたのは、高い技術力などで築いた「メードインジャパン」の信頼感。それが一連の不正で危機的状況に陥った。
 幸い東京スカイツリーのダンパーについては設計・施工会社が「異常なし」と結論付けたが、公表されたのは全体のわずか7%にとどまる。東京五輪を控えており、訪日客らが競技場をはじめ、宿泊施設や商業施設などに不信感を抱かないとは言い切れない。KYBの責任の所在を明らかにし、企業体質を改善するのはもちろん、国も災害時の都市機能や日本製品に対する信頼の維持などで懸念される風評被害の回避策を急ぐ必要がある。

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