社 説

 

バス路線再編「地域への説明を丁寧に」

2018/12/29 土曜日

 

 県は県内の交通事業者や市町村とともに、広域バス路線の再編案を盛り込む県地域公共交通再編指針の策定を進めている。12月に開いた会議で、まずは見直しの優先度が特に高い県内11路線について再編の具体策を検討していることや再編のイメージなどが出席者に示された。
 指針には11路線の再編案のほか、11路線以外の広域92路線についても、コミュニティーバスなどとの乗り継ぎが円滑になるよう停留所の選定やダイヤの調整を進めた結果が盛り込まれる予定。県などによると、都道府県が限られた一部地域のバス路線の再編に取り組んだ例はあるが、全域を対象に再編案を一から検討し、具体策としてまとめるのは全国でも珍しいという。今年度末までに決定するという指針案に注目したい。
 これまでの協議で、再編の方向性として6パターンの案が浮上している。広域路線とコミュニティーバスなどがうまく接続するようダイヤを調整したり、広域路線とその他のバスの経路が重複する区間で、運行間隔を平準化して利便性を図ったり。異なる事業者間の路線がうまく接続するよう、接続拠点を設けてダイヤを調整する案も。異なる事業者が連携する場合は乗り継ぎ割引や広域観光パックなど新たな利用者の取り込みにつながる施策についても検討されているという。
 具体的な再編路線はまだ明らかにされていないが、提示された再編イメージからは、単に需要の少ない路線をカットするのではなく、運行を効率化しつつも、接続やダイヤを工夫したり、他の交通手段で補ったりして、利便性の向上を図るよう苦慮していることがうかがえる。
 熟考の末の再編案には大いに期待したいが、バスなどは高齢層の利用も多く、慣れ親しんだ路線やバス停、ダイヤなどの変更には抵抗感もあるだろう。決定した際は地域への丁寧な説明が必要だ。
 また検討は今年度末の指針策定で終わりではない。県が国庫補助路線か、国庫補助を受けるに足る輸送量があるかどうか、赤字が大きいかどうか―などを考慮して選んだ、早急に見直しが必要な広域バス路線は25路線ある。来年度以降も順次、そうした路線の再編の検討は続け、再編案は指針に随時追加するという。
 指針策定に向け、県や交通事業者、市町村はこれまでワーキング会議や個別協議などを繰り返し、検討結果は広く共有してきた。今年度末に決まる再編案も、実際に動かしてみて、調整が必要な事例もあるかもしれない。また人口減少がさらに進んだり、地域の事情が変わったりした場合も見直しが必要になるだろう。
 そうした検討は一交通事業者だけでは難しい。行政を含めた関係者が顔を合わせ、他地域とも情報交換して最適な交通ネットワークを探るような場は今後ますます重要になってくるだろう。今回の協議を今後にも生かしていってほしい。

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商業捕鯨再開へ「鯨食への理解得る努力を」

2018/12/28 金曜日

 

 政府は26日、クジラの資源管理を担う国際捕鯨委員会(IWC)を脱退し、来年7月から約30年ぶりに商業捕鯨を再開すると発表した。これまでは商業捕鯨再開に必要なデータを収集するため、IWCが認める調査捕鯨の中で鯨肉を確保してきたが、商業捕鯨は明らかな「食用」名目での捕獲となる。
 商業捕鯨の海域は日本の領海と排他的経済水域(EEZ)に限り、南極海・南半球では行わないとしており、捕獲対象は十分な資源量が確認されているミンククジラやニタリクジラなどになる。頭数は今後、IWCで採択された算出方式に沿って設定するほか、IWCとの関係を保ち、クジラの資源管理に協力する方針としている。
 クジラはかつて、食用に加え鯨油、工芸に用いられるヒゲなど、多様な目的で各国に乱獲され、激減した。日本の場合は捕らえたクジラを余すことなく利用してきたため、鯨肉を貴重なタンパク源として食す文化が根付いてきた。一方、海外では捕鯨や鯨食の文化に反発を持つ国や団体もあり、捕鯨をめぐる議論は平行線をたどってきた。
 「かわいい生き物を食べるのは残酷」「クジラ、イルカは賢い動物だから食べるべきではない」「牛や豚、鶏を食べるのは残酷ではない」―など、食肉に関する議論は時代の感覚や文化、イメージなどに左右されてきた。海外では動物性食品を一切口にしない菜食主義者が肉屋を襲撃するという事件も発生しており、「食べる」という行為への認識はますます複雑、多様化している。
 IWC脱退の決定に至る過程では、捕鯨にゆかりのある地域を地盤に持つ自民党議員を中心とする捕鯨支持派が脱退論議の方向性を決めたとされ、政府内で十分な議論を深めた上での決断なのか、疑問が残る。鯨食という日本の文化を守ろうとする取り組みの必要性を否定しないが、強引なやり方では海外からさらなる反発を招きかねない。
 鯨肉は日本の食文化とはいえ、クジラの肉を食べた経験のない若者世代は増えた。スーパーマーケットなどでさまざまな畜肉や魚を手軽に購入できる時代となった中、あえてクジラ肉を選ぼうという層が今後増えるのかどうか。国内の捕鯨支持派を満足させて終わらせることなく、鯨食の意味を国内外に広く発信する流れにしなければ、IWCを脱退してまで商業捕鯨に踏み切る意義が疑われるだろう。
 政治は脱退理由として、「保護のみを重視し、持続的利用の必要性を認めようとしない国々からの歩み寄りは見られない」とする菅義偉官房長官の談話を発表した。だが「食文化のみを重視し、鯨食文化を持たない国々の理解を得ようとしない日本に歩み寄りは見られない」と言われないような取り組みを求めたい。

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安倍政権6年「深刻な国会の空洞化」

2018/12/27 木曜日

 

 安倍晋三首相が2012年に政権復帰してから6年を迎えた。野党勢力の離合集散もあって「安倍1強」体制を維持し続けた結果、国会の空洞化に拍車が掛かった。与党の強引な国会運営は長期政権の“おごり”と批判されるが、足並みのそろわない野党にも一因がある。来年こそ国内外に山積する課題について真摯(しんし)な議論を期待したい。
 18年の政界ニュースと言えば、財務省の公文書改ざん問題に尽きるだろう。行政をゆがめる行為は三権分立の根幹をないがしろにするものであり、到底許されるものではない。
 ただ、安倍政権になって各省庁の幹部人事が官邸主導で決まるようになり、重要案件では官邸の意向が省庁の判断を上回るケースも多い。野党は「官僚は官邸を向いて仕事をしている」とし、官邸主導が改ざんの根底にあると批判する。
 代表的な例が先の臨時国会で成立した改正入管法だ。官邸が来春実施で期限を区切ったため法務省の準備が間に合わなかったとの声は、与党内にもある。
 最近の重要法案でもその傾向が目につく。働き方改革をめぐる厚労省のデータ誤りや、水道法における民営化例の検討不足など国会審議の根拠となる資料やデータの不備が相次いだ。改めて官僚には襟を正し、任官時に誓った国民全体への奉仕者としての自覚を促したい。視線を官邸から社会へと意識して移すべきだ。
 与党の強引な国会運営が目立った1年ではあったが、野党側にも原因はある。第一に安倍首相は過去5回の衆参両院選挙で連勝し、国会で安定した議席を維持。官邸主導が定着する原因になった。
 今年も自身や夫人の関与が疑われた疑惑や、自衛隊日報隠しなど不祥事が相次ぎ内閣支持率は急落した。しかし野党が少数乱立の状態で追及不足だったこともあり、退陣に追い込めなかった。
 特に民主党分裂後の立憲民主党と国民民主党の主導権争いは目に余る。先の臨時国会では改正入管法に一致して反対しながら、参院委の採決では国民が付帯決議の採択で与党と合意。逆に国民が衆院で内閣不信任決議案の提出を主張したが立憲は同調しなかった。
 国民は政策提言する建設的な野党をアピールするが、立憲は政権と対峙(たいじ)する姿勢を強調し、野党内での主導権争いを繰り返している。これが参院選の野党候補調整にも影を落としている。立憲は16日、京都選挙区で新人候補の擁立を発表。京都には共産党の現職のほか、国民が新人の擁立を決定済みで野党競合は必至だ。
 当面は参院選の行方が焦点となるが、野党候補の一本化が進めば与党も苦戦は避けられまい。国会に緊張関係をもたらし政策本位の議論を活発化するためにも、野党は結集への努力を怠ってはならない。

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旧山田野兵舎補強「歴史遺産の保存へ機運醸成を」

2018/12/26 水曜日

 

 明治末期に建築された旧陸軍第8師団の木造兵舎「旧山田野兵舎」(鯵ケ沢町北浮田町)が倒壊の危機にあることが判明し、町教委が今月中旬に応急の補強作業を実施した。
 終戦後、兵舎としての役目を終え、中学校校舎、農作業小屋として活用されてきたが、用途が変遷する中でそれぞれ使い勝手が良いよう、建物を支える支柱や筋交いなどが取り外され、まさに「壁だけで建っている状態」だったという。
 加えて老朽化が進み、その外見は古くなった廃屋と言っていいが、同兵舎は近年急速に姿を消しつつある旧同師団関連の建物の一つ。明治期の木造兵舎がそのままの状態で現存している例は全国的にも少なく、「将来的に貴重な歴史的遺産となっていく可能性が見込まれる」(町教委・中田書矢総括学芸員)といい、後世にこの貴重な遺産を伝えるため、官民挙げて保存への機運を盛り上げる必要がある。
 町教委によると、第8師団の山田野演習場が旧鳴沢村(現・鯵ケ沢町)など岩木山麓7村に約5000ヘクタールで整備されたのが1906年。今ある兵舎は火災焼失後の11年に再建された中で唯一現存しているものだ。45年の終戦とともに演習場は廃止となって入植地へ。兵舎は47年から60年まで旧東鳴沢中学校校舎となった後、民間払い下げとなり現在に至っている。これまでも部分的補強は行われてきたが、11月の現地確認で、柱が折れ、建物全体が傾斜していることが判明。放置した場合は今冬にも倒壊する危険性があることが分かった。そのための今回の補強だが、金属製の単管パイプを使った応急手当を講じた簡易的なものだ。今後、より強固な補強と保存に向けた予算措置を講じる必要がある。
 旧第8師団関係の建物は弘前市の場合、その代表格として陸軍将校の集会所・社交場として使用されていた旧弘前偕行社がある。こちらは文化財指定の上で残されているが、その他の建物は同市の中で見ても、騎兵第8連隊覆馬場や野砲兵第8連隊覆馬場、同砲舎など次々と姿を消しており、こうした動きを懸念する声は少なくない。
 軍都だった弘前市、陸軍演習場があった鯵ケ沢町、終戦間際に空襲を受け、多くの人が犠牲となった青森市―。戦争や軍という響きは決して良いものばかりではないが、明治期以降の津軽地方の歴史を刻んできた事実は動かしようがない。旧陸軍との関係の中で地域がどのように歩み、今につながってきたのかを知り、後世に伝えていくことは現代に生きるわれわれの務めであろう。
 そのためには、今なお残る数少ない旧陸軍関係の「遺産」を形あるものとして残していく必要がある。その代表格である旧山田野兵舎の保存に向けた機運の盛り上がりに期待したい。

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あおもりPG海外へ「ブランド力生かし販路拡大を」

2018/12/25 火曜日

 

 「あおもりPG(プロテオグリカン)」が、いよいよ海外進出する見通しだ。あおもりPG推進協議会(会長・櫛引利貞カネショウ代表取締役社長)が海外販路拡大の基本戦略策定に向けて、このほど台湾視察ツアーを行い、その可能性を探った。
 現地のバイヤーらとの意見交換では好意的な声が多く、同協議会は海外展開に自信を深めており、視察を通じて浮かび上がった課題を踏まえながら効果的なPR方法など具体的な検討に入る考えだ。本県発の機能性素材を活用した商品の海外進出が地域産業の活性化に結び付くことを期待したい。
 プロテオグリカンは、コラーゲンやヒアルロン酸に続く第三の機能性素材として注目されている。利活用に当たっては高額な価格が大きな課題だったが、弘前大学と民間企業の角弘がサケの鼻軟骨から低コストで抽出する画期的な技術を開発。「あおもりPG」と名付け、新産業創出を目指して産学官が連携し、商品化にこぎ着けた。
 PGへの注目は全国的に高まり、他でも牛や豚、サメなどの材料を使った技術が開発され急速に実用化が進んでいるが、あおもりPGの強みは何といっても、原材料、抽出技術ともに「安全・安心」を保証したブランド力にある。
 あおもりPG推進協議会が含有量など一定の基準を満たした製品のみを認証し「あおもりPGブランド認証マーク」の使用を許可している。対象商品は2017年9月までに延べ279品目、累計製造出荷額は約164億円に達し、国内プロテオグリカン市場で大きなシェアを占めている。地域に眠る未利用資源に着目し、商品化と販路拡大を果たした極めて優れた事例といえる。
 その市場を今後は海外にも広げる狙いだ。同協議会は「あおもりPG」の海外展開プロジェクトとして、経済産業省のJAPANブランド育成事業(戦略策定支援事業)の採択を受け、取り組みを展開。10月までに認証マークが商標登録された米国、中国、香港、台湾、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、フィリピンの9カ国・地域を視野に入れ、現地市場調査を企画するなどして、まずは基本戦略策定を目指している。
 今回視察調査した台湾での反応は上々のようで、素材自体の認知度が低いといった課題を認識しつつ、関係者は新たな市場開拓への手応えを感じたようだ。調査を踏まえ、市場投入する対象国・地域やブランドコンセプトなどを今年度内にまとめ、取り組みを加速させる構えだ。
 あおもりPGを活用した事業は新たなステージに突入する。その狙いは、地域の産業振興と経済活性化だ。他にはない優れたブランド力を生かした海外進出で販路を拡大し、より一層の地域振興が図られることを期待したい。

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