社 説

 

ねぷた・ねぶた祭り「津軽の宝を守り育て伝えよう」

2019/8/2 金曜日

 

 弘前ねぷたまつりが1日、開幕した。今年は74団体が出陣。1~4日は土手町コース、5、6日は駅前コースで運行し最終日の7日は午前中の土手町運行を経て、同日夜に行う岩木川河川敷の「なぬかびおくり」でフィナーレを飾る。
 7月前半は夏とは思えない肌寒い日が続いたが、月末には気温が急上昇。連日、真夏日を記録するなど、津軽地方は助走なしで、真夏のただ中に放り込まれたような暑さの中にある。
 夏の祭りは暑くないといけない。津軽地方では、この陽気を待っていたかのように、各地で夏祭りが始まった。26日には、つがる市ネブタまつりが県内のねぷた・ねぶた祭りの先陣を切って開幕。30日は53台の火扇が情緒あふれる街並みを練り歩く黒石ねぷた祭りが始まった。
 1日の弘前ねぷたまつりに続き、2日は大型人形ねぶたとハネトの乱舞が観衆を魅了する青森ねぶた祭と、世界一の扇ねぷたが見ものの平川ねぷたまつりが開幕。4日には大型立ちねぷたが圧巻の五所川原立佞武多が、幕を開ける。津軽各地は、この短くも暑い夏の盛りに、ねぷた・ねぶたの祭り一色となる。
 元をたどれば、同じところに行き着くであろう、ねぷた・ねぶた祭り。だが、それぞれの地域が育んできた祭りの歴史が積み重なるうちに、独自の文化を形づくり、地域ごとに特色ある祭りへと昇華した。
 国重要無形民俗文化財にも指定される弘前ねぷたまつりは、重厚な伝統美と、津軽の人間の魂を“じゃわめがせる”囃子(はやし)の演奏、それに勇壮な武者絵と幽玄な見送りが対極を成す火扇の連なりが、見る者を魅了する。まさに津軽の「ねぷた」を代表する祭りといえるだろう。対して「ねぶた」と言えば、青森ねぶた祭。大型人形ねぶたを従え、躍動するハネトの乱舞は、津軽の短い夏を全身で表す津軽人の心意気を感じさせる。毎年、新作がお披露目となる五所川原立佞武多は、高さ20メートルを超える大型立佞武多が唯一無二の威容を見せ、沿道を熱気で包む。
 黒石ねぷた祭りは、地域との一体感がいい。町会、有志会主体の50台以上のねぷたが、古い街並みを連なって運行する様は、ねぷた祭りの原点を見る思いがする。比較的歴史が新しい平川ねぷたまつりは、世界一の扇ねぷたとともに団体ごとに代わる囃子などが特徴的で、進取の気風に富む。つがる市ネブタ祭りにも“喧嘩太鼓”の競演という、この祭り特有のオリジナリティーがある。
 都市部の祭りのほかに、津軽地方には、町村単位のねぷた・ねぶた祭りが数多くある。ねぷた、ねぶたは観光のためだけにあるのではない。地域のコミュニティーづくりや子どもの健全育成といった多様な役割を担っている。これからも脈々とこの地に続くねぷた、ねぶた祭りを大切に守り、育て、伝えていきたい。

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縄文遺跡群「世界に魅力発信を」

2019/8/1 木曜日

 

 国の文化審議会は30日、本県など4道県が申請した「北海道・北東北の縄文遺跡群」を2021年の世界遺産登録を目指す国連教育科学文化機関(ユネスコ)への推薦候補に選んだ。国内で競合する自然遺産候補はなく、今後は閣議了解を経て、政府が来年2月1日までにユネスコに推薦書を提出する見通しだ。来夏から秋にはユネスコ世界遺産委員会の諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)の現地調査などが行われる予定で、いよいよ縄文遺跡群の魅力や普遍的価値を、世界に向けて発信する段階に入った。
 縄文遺跡で世界文化遺産を目指すという県の方針が示されたのが2005年、世界遺産暫定リストに記載されたのが09年で、それから約10年が経過。まだ道半ばとはいえ、6度の推薦見送りを経て、ようやく手にした成果だ。関係者には今回の決定を喜びつつ、次のハードルに向けて準備を万端にしてもらいたい。
 「北海道・北東北の縄文遺跡群」は国特別史跡の三内丸山遺跡(青森市)や環状列石を主体とする大森勝山遺跡(弘前市)など17遺跡で構成。縄文時代は農耕以前に、1万年以上という長きにわたって狩猟・採集を基盤とした定住生活が続いており、17遺跡は、自然と人間が長年平和に共生していたこと、高度で複雑な精神文化があったことを示す物証として、普遍的な価値を持つとされている。
 ただ遺跡群はどちらかといえば地味な存在だ。国内では初めてだという地下にある遺産。6本柱建物がそびえ立つ三内丸山遺跡は別だが、埋め戻されて地上には何もない遺跡もあり、雄大な自然の風景や寺社や城などの建築物などとは違って、一見しただけではそのすごさ、価値が分かりにくい。だからこそ近年は「普遍的価値の説明を分かりやすく」という課題が出され、関係者が苦心してきた。
 今後、世界にその価値を説明するとなれば、今まで以上に明快さ、分かりやすさが求められるだろう。これまで浸透してきた「北海道・北東北の縄文遺跡群」という名称も変更を検討するとされている。過去にはイコモスの現地調査後、推薦の取り下げや内容の見直しを行った前例もあり、まだまだ油断はできない。
 ただ長く時間を掛けた分、得たものも多かったと思う。何よりも重要なのは縄文遺跡を地域の宝と考え、次世代に引き継ごうと活動するボランティアらが育ったことだろう。最初は「世界遺産」と聞いても半信半疑の人が多かったはず。それが何度も挫折を繰り返す中で支え手が増え、官民一体となった活動へと発展してきた。関係者の縄文に掛ける思いは初期よりずっと強くなっていると思う。
 世界に価値を認めてもらうには、地元のわれわれが価値を理解し、誇りに思っていることが大前提。関係者の熱意で、縄文をめぐる活動が一層盛り上がり、大きなうねりとなることを期待したい。

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青森空港増改築「快適環境で観光活性化に期待」

2019/7/31 水曜日

 

 青森空港旅客ターミナルビルが昨春から進めていた増改築工事がほぼ終了し、より利用しやすい施設に生まれ変わった。ビルは1987年の供用開始から30年以上が経過、老朽化に加えて施設が手狭となっていた。本県への訪日外国人旅行者(インバウンド)が増加する中、台湾・エバー航空という、青森空港にとっては三つ目となる新たな国際線就航という呼び水もあり、より快適に空港利用者を迎えるとともに本県観光産業活性化の一助となることに期待したい。
 主なリニューアルは約3500平方メートルを増築して事務所部分や機械室などを移転し、国内線・国際線ともにこれまでよりも広い空間を確保。このほか、入国審査などのブースを増設したり、手荷物受け取りベルトコンベヤーの長さを延ばしたりと機能面の充実を図っている。
 青森空港は本県への交通手段の一つである空路において、玄関口となる拠点施設。特に国際線で、海外から直接航空機を迎え入れ、発着するという点では、陸路や海路とは異なる。それだけに多くのインバウンドを迎え入れるに当たっては、より快適な環境とし繰り返し本県を訪れるリピーター客を増やすことが課題だ。まずは「狭くて窮屈」「入国審査が遅い」といったマイナス要素に対し、巨額の事業費を投じても改善を図ったことは評価したい。
 30日には、文化審議会世界文化遺産部会で北海道と本県など北東北3県にまたがる「北海道・北東北の縄文遺跡群」が今年度の世界文化遺産の国内推薦候補として選定された。2020年には東京五輪・パラリンピックが開かれる。いずれも、本県への大幅なインバウンド増が期待される要素を含み、青森空港の受け入れ機能は、ますます重視されることとなるだろう。そうした中で「非常に快適だった」「広くて使いやすい」といった評価がなされれば、インバウンド増加にもつながると思われる。
 そうした思いは、29日のリニューアル完成記念式典で、「北東北、青函地域のゲートウェイ(入り口)の役割を果たせるよう努めたい」(林哲夫・青森空港ビル社長)、「空港の一層の活性化を期待したい」(青山祐治副知事)と、関係者が語った言葉にもにじみ出ている。
 本県観光の出発点としての機能が充実されたことで、次の課題は本県各所への交通アクセスの充実、さらには観光名所や豊かな自然などを抱える自治体が観光客とインバウンドの受け入れ環境をいかに整備していくかということになる。
 現金を伴わないキャッシュレス決済の充実を進めている自治体もあれば、複数の言語で案内文を作成する取り組みも各所で見られる。快適な空港との交通アクセスが整い、より魅力的な観光地が一体となり、結果的に本県全体の活性化につながれば幸いである。

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一戸謙三の特別展「詩業を通観する貴重な機会」

2019/7/30 火曜日

 

 詩人・一戸謙三の生誕120年、没後40年にちなんだ特別展が、県近代文学館(青森市)で開かれている。
 長らく本県詩壇をけん引した一戸。一般には「弘前(シロサギ)」をはじめとした津軽方言詩で知られ、方言詩では高木恭造と並ぶ代表的な存在だ。「麗日(オデンキ)」は中学校の国語教科書に取り上げられた。工藤哲彦さんによる「弘前」の版画作品をあしらった弘前市立郷土文学館のクリアファイルも好評と聞く。
 郷土の文学者にスポットを当てた展覧会で、関連人物として一戸が登場する機会は多い。だが、本展の会場に足を踏み入れると、今まで一戸謙三の何を知っていたのか―と自戒させられる。
 若い頃のモダンな叙情詩にせよ、その後の方言詩にせよ、表現スタイルは、その時々の社会情勢などに正面から向き合ったゆえの、思索の変遷と苦悩の帰結であったことに気付かされる。同時に、スタイルに関係なく通底していたのは、津軽の風光と気質だったように映る。
 同展は一戸の詩業を通観できる貴重な場である。郷土に大きな足跡を残した先達を知る機会は大切にしたい。
 同展の関連事業として開かれた第1回文学講座の講師は、一戸の生地と同じ黒石市の出身で北海道立文学館館長の工藤正廣さんが務めた。ロシア文学者・詩人でもある工藤さんは「金魚ねぷたコ」など自作の津軽方言詩を朗読。その発音や抑揚は、独特な自筆による詩作品をほうふつとさせると同時に、一戸へのオマージュでもあった。
 その工藤さんは講演や同展図録で、津軽方言、特に話し言葉としての津軽弁の「共通の現代日本語にない」豊かな表現力とその存在意義を強調し、「それらをいかに自分の文学の中で膨らませられるか。それを発表すれば、日本を考える外国人たちも読んでくれる」などと、その将来性に期待を寄せた。
 戦前に展開された、高木の詩集「まるめろ」をも巻き込んだ津軽方言詩をめぐる賛否論争を踏まえると、工藤さんの指摘は文字通り隔世の感がある。同時に、こうした“風雪”をくぐり抜けてきた表現に、受け手として「言葉を守る」覚悟で臨んでいたかを自問させられる。
 この日の講座では、孫の一戸晃さんの提供で、謙三本人が晩年に朗読した「弘前」などの録音も聴くことができた。文面の高らかな古里礼賛とは対照的とも言える、「ヨーロッパの詩の読み方」(工藤さん)独特の抑揚が印象的であった。同詩が世に出た1936年当時の一戸の朗読も聞いてみたいと思った来場客も少なくあるまい。
 津軽方言詩を除く作品とその位置付けは、8月18日の第2回文学講座で中嶋康博さん(岐阜女子大学職員、詩人)が詳解する予定だ。ここではどのような一戸と巡り合えるだろうか。

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北朝鮮ミサイル「対応を見直す必要はないか」

2019/7/27 土曜日

 

 北朝鮮が25日、弾道ミサイル2発を日本海に向けて発射した。北朝鮮外務省報道官は16日、8月に予定される米韓合同軍事演習が実施されれば、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を再開するとの談話を発表しており、弾道ミサイル発射は米韓演習予定に抗議する狙いがあるとみられる。
 北朝鮮の飛翔(ひしょう)体発射は5月以来。韓国軍当局者によると、今回のミサイルは一般的な弾道ミサイルの曲線飛行でなく、下降段階で落下後にやや上昇飛行する「プルアップ」があった。ロシアの短距離弾道ミサイル「イスカンデル」に似た特性の新型短距離弾道ミサイルとみられ、ロシアが関与している可能性も指摘されている。
 5月に行われた北朝鮮軍部隊の火力打撃(砲撃)訓練で発射されたミサイルについては、米国の大量破壊兵器専門家が、新型の短距離弾道ミサイルとみられると指摘。同専門家によると、北朝鮮は昨年2月の軍事パレードで、イスカンデルを基に開発したと推定されるミサイルを公開していたという。
 今回の発射は北朝鮮が「露骨な圧迫」と表現する米韓演習に対し、新型兵器を使って対抗姿勢を誇示するとともに、対米交渉を優位に進めたい狙いもあるようだ。弾道ミサイル発射は国連安保理決議に違反する。日米韓の外相は26日、緊密な連携と情報共有を確認した。
 ただ、日本側の反応は抑制的だった。岩谷毅防衛相こそ「非常に遺憾」と不快感を示したものの、安倍晋三首相は静養先で「わが国の安全保障に影響を与える事態ではないことは確認している」と語り、静養の切り上げはせず。菅義偉官房長官は定例会見で「分析結果を踏まえて適切に対応する」と繰り返し、臨時会見は開かなかった。前提条件なしで日朝首脳会談を模索する姿勢も変わらない。
 確かに日本の被害はなかった。ただ、北朝鮮が新型兵器の開発を続けていることを明らかにしたと言え、今回600キロ程度だった飛行距離も、最大とは限らない。だからこそ、防衛省が地元の反対を押し切ってまで陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を配備しようとしているのではないのか。
 米軍の早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」を抱えるつがる市車力地区住民も、弾道ミサイルの標的になるのではないかという不安の中で生活している。今回、影響がなかったからといって、車力地区やイージス・アショア配備計画地周辺の住民の不安がなくなりはしない。
 日本政府は北朝鮮を刺激せずに拉致や核、ミサイルといった問題解決の糸口を探る方針のようだが、それは北朝鮮が日本を意識して初めて機能する。今回のミサイル発射は許されざるものである。この問題で日米は静観でいいのか。北朝鮮対応に見直しを検討する必要はないか。

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