社 説

 

ノクターン号30周年「今後も夢と希望を運び活躍を」

2016/12/30 金曜日

 

 地方と首都圏を結ぶ夜行高速バスの先駆けとして1986年から運行開始した、弘南バス(本社弘前市)の「ノクターン号」が26日に30周年を迎えた。ノクターン号は全国各地に同様の路線が開設されるきっかけになったとされる。2010年の東北新幹線全線開通後も乗客は年間4万人程度で推移しており、今後も数多くの乗客の利便性を図り、同時に夢と希望を運ぶ路線として、活躍を続けてほしい。
 ノクターン号は東北新幹線・上野―盛岡間開通に伴い、85年に弘前―盛岡間で運行開始した高速バス「ヨーデル号」の乗客アンケートで、本県から東京へ直行するバスの需要が高かったとの結果を受けて、86年の東北自動車道全線開通に合わせて開業に踏み切った。その運行区間685キロは当時のバス路線としては全国一の長さを誇った。年間利用者は当初1万3000人を見積もっていたのに対し、87年に約7万5000人、90年には10万人の大台を突破した。
 現在はアンケート結果を踏まえ、五所川原駅や横浜駅などにも発着しているほか、女性専用車両を導入するなど顧客の需要をくみ取り、時代の変化に合わせてきた。最盛期には出稼ぎ労働者などの利用が多かったが、近年は遊びで上京する大学生らも気軽に利用するといい、その年齢層が広がっているという。弘南バスはスカイ号、パンダ号などノクターン号とは異なる区間や運行時間帯などを設定した、別の首都圏行き高速バスを運行しており、これも利用者の需要を細かく捉えたものだろう。
 新青森―東京間を最短3時間弱で結ぶ東北新幹線に比べ、弘前バスターミナル―浜松町バスターミナル間の場合は9時間と所要時間の面ではかなわないが、深夜帯に走行し、起床する時間には目的地に到着する。料金も片道1万円以内に収まることが多く、鉄路や空路と比較しても、はるかに割安である。本県と首都圏を結ぶ交通手段の一角として、現在も多くの利用があり、健在である理由はここにもあるのだろう。
 高速バスの利用目的は出張や就職・入学試験、観光と他の交通機関同様、その目的はさまざまだ。時間を要する分は睡眠でカバー、交通費を割安で済ませ、目的地で所持金を別な用途に利用するか節約できるわけであり、速達性に優れる空路と鉄路、経済性に優れる陸路のバスと、これまですみ分けができてきた理由が納得できる。
 一方で高速バスをめぐっては近年、今年1月の15人が死亡した軽井沢スキーバス転落事故に代表されるように、大事故を引き起こすケースも見られる。空路も鉄路もそうであるが、事業者には多くの乗客の命を預かっているという緊張感、そして使命感を常に保持し、利用者に快適な旅を提供してほしい。

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「首相が真珠湾慰霊」平和問い直す機会にしたい

2016/12/29 木曜日

 

 安倍晋三首相が、第2次世界大戦で日米開戦の舞台となった米ハワイ・ホノルル市の真珠湾をオバマ米大統領とともに訪れ、犠牲者を慰霊した。
 日米の首脳がそろって真珠湾を訪れ、犠牲者をともに慰霊するのは開戦後の75年間で初めてで、日米関係にとって歴史的な節目となった。政治的な思惑がさまざま見え隠れするものの、「戦争の惨禍を二度と繰り返さない」という平和への誓いは、75年の節目において非常に意義深いものがある。
 首相は戦後に強固な同盟を築いた日米の「和解の力」を国際社会に向けて発信したほか、オバマ氏は「平和の果実は常に、戦争による略奪よりも重い」と述べた。両首脳の訴えが、世界平和を問い直す機会になることを期待したい。
 真珠湾は、太平洋戦争の火ぶたを切った旧日本軍による奇襲攻撃の舞台となった地である。1941年12月8日未明(日本時間)に起き、米側に多数の犠牲者が出た。今年は75周年の節目となる。
 オバマ氏は今年5月に現職の米大統領として初めて、米国が原子爆弾を投下した広島市を訪問した。旧日本海軍が奇襲攻撃を行った真珠湾を日本の首相が訪れることは、その返礼の意味合いがあるとみられている。
 同時に、「一番の敵対国が最も力強い同盟国になる」とオバマ氏が述べたように、両国の同盟深化を内外にアピールした格好だ。来年1月20日に就任するトランプ次期米大統領が日米関係の見直しにも言及する中、首相は27日の演説で「(日米は)世界を覆う幾多の困難に、ともに立ち向かう同盟だ」と訴え、アジア太平洋地域の安定には揺るぎない日米同盟が必要との立場を強調したのも、そのためだろう。
 真珠湾慰霊で「和解の力」をうたった首相の演説に、真珠湾攻撃の生存者からは歓迎の声が上がった。攻撃に参加した旧日本兵は「やはりあの戦争はすべきではなかった」「勝っても負けても得るものは一つもない」と語り「許し、許し合うことは大切だ」「両国の関係がより堅固になり、次世代まで永遠に平和であるよう願っている」と思いをかみしめた。こうした声を重く受け止めなければならない。
 一方で、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に関し、今年3月に施行された安全保障関連法に基づく新任務「駆け付け警護」を盛り込んだ実施計画変更が閣議決定され、陸上自衛隊第9師団(青森市)を中心とする第11次隊に新たな任務が付与された。憲法改正への動きもある中で、不戦を誓う首相の言行の不一致に批判の声があるのも事実だ。
 今回の真珠湾慰問を政治パフォーマンスに終わらせることなく、尊い命を奪った戦争を語り継ぎ、平和への決意を新たにする機会にしなければならない。

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過労自殺緊急対策「経営者の意識が実効性を左右」

2016/12/28 水曜日

 

 厚生労働省は違法残業があった企業名の公表基準を引き下げる緊急対策を公表した。月100時間以上の違法残業が年間に3事業所で認められた場合としていた要件を見直し、月80時間以上の違法残業または過労死などによる労災認定が複数の事業所で確認された企業を指導し、改善されなければ公表する。
 基準見直しのきっかけになったのが、昨年12月に大手広告代理店電通の女性社員が過労自殺した問題。労基署は女性社員が住んでいた寮から飛び降りる1カ月ほど前にはうつ病を発症しており、発症前1カ月の残業時間は約105時間だったとして、今年9月に労災認定している。労使協定による残業時間の上限は70時間だったといい、30時間以上も上限を超過していたことになる。同社では1991年にも入社2年目の男性社員が過労で自殺し、遺族が起こした訴訟で最高裁が会社の賠償責任を認定しているが、その後の改善策も有効に働かなかったと言わざるを得ない。
 同様の事案は同社以外にもある。2013年に自殺した30代の岐阜県職員は、上司のパワハラや月に120時間超の時間外労働が原因とされた。報道されているのは氷山の一角にすぎない。厚労省が今年6月に公表した15年度の過労死などによる労災補償状況によると、仕事による強いストレスなどを原因とする精神障害で労災認定された人は472人で、過去最多だった14年度を25人下回ったが、4年連続で400人を超えた。自殺者(未遂含む)は93人で、過去最多だった14年度の99人に次ぐ多さだ。
 戦後日本の高度成長を担ったのが、かつて「モーレツ社員」などと呼ばれた人たちであるのは否定しない。しかし時代は変わり、健康を害する働き過ぎは美徳でなくなった。過労を理由に自ら命を絶つ人が相次ぎ、自殺に至らないまでも、うつなどに苦しみ出社できなくなる人も多い。こうした人を生み出さないのは各企業の義務であるが、今なお「サービス残業」「ブラック企業」という言葉がなくならないのはなぜか。働きやすい職場でなければ、生産性が向上するはずがない。失った労働力は、企業にとってマイナスにしかならない。「人づくりが大事」という言葉をよく耳にするが、経営者はそれをできているのか、自ら厳しく点検しなければならない。
 女性社員の過労自殺から1年となる今月25日、母親が「形の上で制度をつくっても、人間の心が変わらなければ改革は実行できません」とつづり、経営者と管理職に向け、反省と同様の悲劇を繰り返さぬ決意を求める手記を公表した。その結びには「日本の働く人全ての意識が変わってほしいと思います」とある。全ての経営者らが自らの問題として手記の意味を重く受け止めなければ、いくら緊急対策を講じても悲劇はなくならない。

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次期学習指導要領「子どもの力を引き出す環境に」

2016/12/27 火曜日

 

 中央教育審議会が2020年度から順次実施する次期学習指導要領について、松野博一文部科学相に答申した。高校では、日本と世界の近現代史を合わせて学ぶ「歴史総合」や主権者教育を含む「公共」を新設するなど科目を大幅に見直し小学校についても5、6年の英語を正式教科にするとともに、3、4年で英語に親しむ「外国語活動」を始めるなど、英語教育を前倒しする。
 高校は歴史総合、公共のほか「地理総合」を必修科目、「理数探究」を選択科目として新設する。小5、6は外国語活動を教科化、授業数を倍増させ、小3、4も年35こまの外国語活動を導入する。
 答申は、中教審教育課程部会が8月に公表した「審議のまとめ」をほぼ踏襲した。対話や討論などによる主体的な学びを通じ、自ら課題を見つけて解決する力を育成する「アクティブ・ラーニング」導入を打ち出す一方、学習内容は削減せず、「脱ゆとり教育」路線を継続した。
 次期学習指導要領についての現場の反応はさまざまだ。次期要領を先取りする形で日本史と世界史を融合させた「歴史基礎」を必修科目としている学校では年間5~6のテーマを設け、講義のほかグループでの研究や発表、討論など「アクティブ・ラーニング」型の学習を取り入れているそうで、教諭は「生徒はテーマが変わるたびに新たな発見をし、興味や関心が高い状態が続く」と成果を話す。知識定着や判断力、表現力の向上が見られたと効果を指摘している。
 小学校の英語に対しては教職員の不安が根強いという。中教審特別部会が今秋に実施した関係団体ヒアリングでも対策を求める声が相次いだ。このため、答申では文科省が17年度中に小学校英語の新教材や教員の校内研修用資料を開発し、周知するよう要求している。同省は授業時間増加に伴う時間割編成のモデルも併せて示す方針で、授業の分割や夏休みなどを使った場合の効果的な授業や教材活用法などについても情報提供するとしている。
 暗記勉強に陥りがちな歴史の授業を立体・複合的に学び、生徒自らの考える力の強化にもつなげられる「歴史総合」や選挙権年齢引き下げなどにより、重要度を増す「公共」の新設、国民生活の国際化が進む中での英語教育の前倒し。いずれも時代の変化に対応した取り組みといえるものであり、実施されれば成果が期待できるものとなるだろう。
 一方で教科の新設、前倒しにより、授業時間の不足やそれに伴う「学びの不足」が懸念される。「ゆとり教育」は行き過ぎた感があるが「詰め込み教育」に戻って良いものでもない。子どもたちの自立的な学びを助け、社会に出て役立つものを身に付けられるよう、我々、大人はこれからも子どもたちの教育環境にきめ細かい配慮をしていかねばならない。

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FM「高評価の弘前、今後に期待」

2016/12/24 土曜日

 

 弘前市が今年の日本ファシリティマネジメント大賞の最高賞に当たる最優秀ファシリティマネジメント賞を受賞した。優秀賞にはフジクラやNTTファシリティーズ、コニカミノルタなど著名な企業などが名を連ねており、それらを抑えての高評価。市民にとってもいいニュースであり、広く周知し、ファシリティマネジメント(FM)への理解を深めるきっかけとして活用してもらいたいと思う。
 FMは経営的な視点で施設を管理運営する取り組み。弘前市は2013年に庁内にFM担当を設け、本格的な取り組みに着手。同年に基本方針を策定後、14年には公共施設の情報を一元化した「市公共施設白書」を、15年度には市公共施設等総合管理計画を策定し、現在は実行計画の策定に向けた作業を進めている。
 市のFMの大きな特徴の一つは、市内に多数残る弘前城や弘前公園、建築家前川國男の作品である市庁舎、市民会館など歴史的・文化的な建物を次世代に継承しようと知恵を絞っているところ。単に残すだけでなく上手に利活用することで、観光面での効果にもつなげている。
 弘前城本丸石垣修理事業の一般公開や節目での体験型イベント、弘前公園外堀を活用した花いかだ、国登録有形文化財である第八師団長官舎のカフェ利用などがその好例。日本ファシリティマネジメント大賞ではこのほか広域連携による汚水処理施設の共同整備で約38億円、下水処理場の統合で約43億8000万円といった多額の経費削減効果を生み出したことや、市庁舎の窓口ワンストップサービス化などの行政改革も含め、これまでの取り組みが総合的に評価された。
 人口減少への対応が全国的な課題となった昨今。多くが経済成長と人口増が著しい時代に建設された公共施設の更新問題は自治体にとって避けられない重要課題だ。市公共施設等総合管理計画では公共建築物1555棟の約半数は大規模改修が必要な築30年以上の建物だと分析。各施設の長寿命化に取り組むことで更新費用は一定程度抑えることが可能だが、それでも年間約27億円の更新費用が不足するという推計が示されており、今後、各施設の機能統合や廃止といった議論に踏み込まざるを得ないことは明白だ。
 庁内では既に議論が進んでいるが、時代に合った新たな公共施設のあり方を市民目線で、市民とともに考えることが必要。市側がこれまで繰り返してきたことだが、単なる数減らし、経費削減と受け止められないように、地域の声に耳を傾け、一つ一つ丁寧な対応と創意工夫が求められるだろう。市民セミナーや出前講座などFMの意義を伝える活動も並行して行っており、情報共有が進めば市民の理解も少しずつ広がっていくはずだ。
 地方自治体としてFMの真価が問われるのはむしろこれから。弘前らしいFMのさらなる展開に期待したいと思う。

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