社 説

 

日本相撲協会が処分「事件再発防ぎ健全な取組を」

2017/12/22 金曜日

 

 大相撲の元横綱日馬富士による、幕内貴ノ岩に対する傷害事件に絡み、日本相撲協会が20日の臨時理事会で、事件関係者への処分などを協議した。その結果、暴行現場の酒席に同席した白鵬、鶴竜両横綱が1カ月から1・5カ月の報酬減額とする懲戒処分となった。さらには元日馬富士の師匠だった伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士、つがる市出身)が管理責任を取って協会理事を辞任し、2階級下の役員待遇委員となるほか、八角理事長(元横綱北勝海)は残任期間3カ月分の給与を全額返上する。引責引退した元日馬富士に対しては「引退勧告に相当する」ことが確認された。
 貴ノ岩の師匠である貴乃花親方(元横綱)への処分が保留されており、すべて決着した訳ではない。しかし、今回の処分が同様の事態に対する再発防止効果となるかは未知数だ。かねて言われるような、協会全体の体質改善や力士本人の自覚がなければ難しいのかもしれない。
 協会の危機管理委員会は、元日馬富士を引退勧告相当とした理由を「いかなる理由があっても暴力を行使することは許されず、その一事をもって重大な非難に値する」とした。その通りであるが、白鵬らへの処分と同時に明らかにされた、事件の調査報告を見る限り、貴ノ岩の当時の態度や言動にも問題があったとも受け取れる。
 それによると、9月に貴ノ岩が東京都内飲食店で白鵬の知人らと口論になった。その内容を聞いた白鵬が10月、鳥取市内飲食店で貴ノ岩らに説教をし、話が一段落したと思い込んだ貴ノ岩がスマートフォンを操作。同席した元日馬富士がこれに激怒し、横綱が説教している最中になぜ携帯電話を操作しているのか、という趣旨で問いただしたが、これに対する貴ノ岩の回答内容や態度に立腹し、暴行に至った。
 たとえ、説教が一段落としていたとしても、その場で即座にスマホを操作した行為は、まるで注意したことが身に染みていないように受け取られる。手を上げ、カラオケのリモコンで殴った元日馬富士の行為は行き過ぎで、あってはならないことだが、ここで貴ノ岩が謙虚な態度を取ることができれば、ここまで大ごとになることはなかったろう。
 気になるのは貴乃花親方の出方だ。事件発覚後、謝罪に出向き、会見し、自ら潔く理事職から身を引いた伊勢ケ浜親方とは異なり、ようやく貴ノ岩を危機管理委の聴取に応じさせたものの、これまでの非協力的な対応や態度、言動は、社会人として疑問符が付くものであり、大人げがないとも見られかねない。28日に処分などが検討される見通しだが、「内輪もめ」が強調されることは誰も望まない。望むのは、体質改善がされ、健全な環境の中で培われた力士たちによる取組ではないだろうか。

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豪州からの誘客「ニーズ把握し一層の促進策を」

2017/12/21 木曜日

 

 津軽地方でも鯵ケ沢町の青森スプリング・スキーリゾートが先週、オープンし、他のスキー場も今週末にかけて続々と営業を始める予定となっている。本県のスキーシーズンがいよいよ幕を開ける。例年になく、早い雪の訪れにうんざりという県民も多いだろうが、スキー関係者にとって今冬の雪は、期待を感じさせるものがあるだろう。
 四季がはっきりとしていて、海山ともに豊かな自然環境に恵まれた本県は、観光立県としてさらに発展できる余地がある。本県の地勢を生かした自然観光やさまざまな恵みを堪能できるグルメ観光、春の弘前さくらまつり、夏の青森ねぶた祭に代表される祭り・イベント観光、その多くが全国的な知名度を得た本県の貴重な観光資源だが、本県において最も特徴的な季節と言える冬を生かした観光だけは、どうしても元気が出ない。
 冬の観光資源と言えば、温泉とスキーが、まずは頭に浮かぶ。全国屈指の温泉地数を誇り、スキー環境も良質な雪でスキーヤーの評価の高いスキー場が多い。潜在的な冬季観光の需要は大きいものがあると言えるだろう。
 こうした中、県はスキー観光によるオーストラリアからの誘客に注力している。近年はアジア、特に中国人観光客の動向に目が行きがちだが、県などのまとめによると、2016年に県内に宿泊したオーストラリア人(延べ人数)は2820人で、東日本大震災前の10年と比較して約10倍に増加しているという。平均泊数も長く、旅行の支出額も多いなど「お金をかけてゆっくりと滞在してもらえる」豪州からの観光客は、ぜひ本県としても目を向けてもらいたい存在と言えそうだ。
 県が狙うターゲットは、オーストラリアでも知られる日本国内の有名スキー場などとは差別化し、何度も訪日しているスキー上級者だという。県は上質なパウダースノーで混雑なく山スキーを楽しめるとして八甲田や岩木山の情報を発信。関係者の本県招請や英語の専用ウェブサイト、インターネット交流サイト(SNS)でPRしているほか、13~15年度にはシドニーに職員を駐在させるなど同国からの誘客に力を入れてきた。
 こうした取り組みに、同国関係者の本県スキー観光に対する評価も上がってきているようだ。年明けにはファミリー向けのスキー雑誌関係者を招請し、県内でのスキー観光を提案していくという。また今年度から再びシドニーに職員を派遣しており、現地でのネットワークづくりもさらに進めていくことになる。
 漠然とした海外からの誘客ではなく、その国の人の嗜好や興味を分析し、ターゲットを明確化した上で対策に取り組めば、効果はおのずと上がる。地方観光地の誘客競争を一歩リードする施策の展開を今後も望みたい。

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リニア入札不正「問われる社会的責任と公共性」

2017/12/20 水曜日

 

 東京(品川)―名古屋間で2027年に開業が予定されているリニア中央新幹線の関連工事で、大手ゼネコン4社(大林組、鹿島、大成建設、清水建設)が、入札をめぐり事前に話し合うなどして正当な競争をしなかった疑いが強まり、東京地検特捜部と公正取引委員会が独禁法違反(不当な取引制限)容疑で強制捜査に乗り出した。
 リニア新幹線は、同区間を最速40分で結ぶ夢の超特急列車。その輝かしい未来に早くも汚点を残しかねない事態は残念である。
 名古屋市内の公園跡地に新設する非常口の工事については、大林組の依頼に応じて、他社が入札参加を見送るなどの調整が図られた疑いがある。工事は約90億円で大林組などの共同企業体が受注。大林組の担当者らは4社による受注調整を認めたという。
 総事業費9兆円に上る国家的プロジェクトを舞台とした大型談合事件。他の工事についても疑念は拭えない。事業主体のJR東海は民間企業だが、複数の業者が事前の話し合いで受注予定者を決める行為は独禁法違反に問われる。事業費の一部には、国債を原資とした低利融資が活用されていることもあり、「重要なインフラ建設工事」(経団連の榊原定征会長)の言葉通り、リニアの公共性は高い。公正な入札を妨げることは、事業費を上昇させ、運賃などの面で利用者らの負担増にもつながる。
 強制捜査の対象となった4社は05年、談合との決別を宣言していた。談合事件の摘発が続き、独禁法違反企業への課徴金が06年から引き上げられることを踏まえて自浄姿勢を示した形だが、東日本大震災(11年)以降は再び疑惑が噴出しているという。今年9月には東京外郭環状道路関連工事の契約手続きが中止されていた。宣言は単なるパフォーマンス―とのそしりは免れまい。
 業界が長年染み付いた体質から脱し切れていないとの見方もできるし、談合が同業者間で利益を守り共存するための必要悪と受け止められているのかもしれない。だが、業界大手の社会的責任は大きく、社会に与える影響も相応にあることを改めて自覚しなければならない。
 一方、リニア新幹線工事の入札で採用される「競争見積方式」が、不正の温床になった可能性の指摘がある。同方式では評価項目の詳細が公表されず、JR東海は契約締結後も選定に至る経緯や契約額を明らかにしていないという。官公庁の一般競争入札では予定価格などの公表が不正をけん制する機能を果たすが、JR東海の対応が第三者のチェックを難しくしているのでは―という見解だ。
 リニア新幹線の公共性と事業主体であるJR東海の社会的責任を考えると、情報公開を通じて透明性を高める余地はありそうだ。

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韓国語全国大会「大舞台楽しみ友好の架け橋に」

2017/12/19 火曜日

 

 16日に弘前市で開かれた「話してみよう韓国語」青森大会の中高生スキット部門で、黒石市の「ハングルと遊ぶ会」に所属する高校生ペアが最優秀賞に輝き、クムホ・アシアナ杯「話してみよう韓国語」高校生大会(全国大会)出場を決めた。これで同会からの全国大会出場は5年連続となった。
 青森大会では、最優秀賞になった雪田采音さん(聖愛高校2年)・長崎未麗さん(黒石高校2年)組のほか、優秀賞と奨励賞も同会員が独占。一般スキット部門でも2016年の全国大会で頂点に立った佐々木紀江さん・坂本伶奈さん(ともに黒石高校専攻科看護科1年)組が優秀賞に選ばれた。
 青森大会で大きな存在感を示した同会。阿部誠会長(浅瀬石小学校長)は「上位独占は絶対ないと思っていた。すごいこと」と喜ぶとともに「特に高校生の(大会に向けた)気合が違った」と評した。本人たちの努力が最大の勝因であるのは間違いないが、同会の場合はそれだけではない。会を挙げての徹底的な指導やサポートが力になっているのだ。
 これまで同会員が出場した全国大会での成績は1位が2回、2位が2回。全国大会の雰囲気やプレッシャーといった出場者だけが分かることも少なくない。その対策も全国大会経験者から、次の出場者にしっかりと伝えられている。
 過去の全国大会出場者らが入会したきっかけは「Kポップが好き」という単純なものがほとんどだが、ハングルに身近に触れ、前回大会に出た先輩の姿を見るうちに、目標が全国大会に変わっていく。そして念願の全国入賞を果たすと「(会員の)皆さんの協力がなければ全国大会に行けなかった」「たくさんの応援をもらって獲得した賞」などと、感謝を口にした。こうした思いがあるから、次の出場者に親身になるのだろう。
 5年連続で出場者を送り込む同会は、過去4大会すべてで2位以上に入賞し、副賞の韓国研修旅行を手にしている。当然、他地域の出場者から“名門”としてマークされるようになりそうだ。つまり全国大会の切符をつかんだ2人は、前回以上に厳しい環境に置かれると予想される。だからといって萎縮する必要はない。会員みんなが後押ししてくれるのだから、堂々と大舞台を楽しんできてほしい。
 日韓関係は北朝鮮の脅威という同じ問題に直面している一方、韓国国内には先の戦争をめぐる反日感情が根強くある。ただ、このように一生懸命に韓国の言葉や文化を学ぼうという若い世代がいる。先輩から後輩へとたすきが渡される駅伝のような流れができている同会。青森大会で好成績を収めた同会員一人ひとりには両国の懸け橋になってほしい。その思いもきっと引き継がれ、両国をもっと近づけると思いたい。

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弘前外国人宿泊者数有効な対策で好調維持を」

2017/12/16 土曜日

 

 今年の弘前市内の外国人宿泊者数(10月末時点)が3万681人(速報値)を記録。昨年1年間の実績(1万2623人)の約2・4倍となり、統計を開始した2010年以降、過去最高となった。弘前公園と桜、ねぷた、岩木山などがある弘前市にとって観光産業はリンゴ産業と並ぶ主要な生計の道。人口減少社会にあって、先行きに不透明さも見込まれる国内観光の消費動向を考えれば、経済的な発展が続く、アジア圏を中心とした地域からの誘客は、今後も伸展が見込まれるだけに、この好調さをこれからも維持していきたいものだ。
 好調さは弘前市だけでなく、本県全体に及ぶ。近年の本県の外国人宿泊者数は右肩上がりで推移しており、16年は通年で14万3590人を記録。今年1~9月(速報値)は前年同期比63%増の14万9720人で、過去最多だった16年通年を上回っている。これは東北随一の観光立県・宮城県を抑え、同地方最多の宿泊客数だというから、その好調さが際立つ。
 海外での日本ブームが続く中、国内の訪日外国人観光客は増加傾向が続くが、多くは大都市圏か、国内の代表的な観光地に偏る中で、地方への波及もようやく本格化したかと感じる数字だ。本県の代表的な観光地である弘前への外国人宿泊客の増加もこうした流れの一つだろう。
 弘前市内での外国人宿泊客を国別に見ると、中国や台湾、香港、韓国の東アジア圏域が大きな比重を占めている。中でも同圏域の宿泊者数割合を押し上げたのは、爆発的に増えた“中国人客”の存在がある。
 市は市内への中国人客の宿泊者数が増えた要因として、青森―天津線の国際定期便の就航に伴い、中国人客が市内に宿泊する旅行商品を販売・催行した旅行業者に対し、市が宿泊助成金を交付する事業が評価を得たことなどを挙げている。
 弘前さくらまつりに代表される祭り、白神山地などの自然、豊かな自然を背景とした個性的な食の数々と、弘前の魅力を挙げれば、切りはないが、それでも国内各地の観光地との競争を考えれば、弘前の魅力を発信するだけのPRでは、激しい競争に打ち勝つには心もとない。
 宿泊助成金などは、実効性のある訪日外国人客(インバウンド)対策の一つと言えるだろう。また同市は市内の事業者がパンフレットやメニューの多言語表記、Wi―Fi(ワイファイ)環境の整備など、インバウンドの受け入れ環境向上につながる事業にも補助金を交付するなど、対策の充実を図っている。近年、外国人観光客に人気の市りんご公園では、弘前大学留学生のインターンシップを毎年受け入れており、増え続けるインバウンド対応に一役買っているそうだ。ハード、ソフト両面の環境整備と財政的な支援を組み合わせ、効果的なインバウンド対策を今後も続けてほしい。

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