社 説

 

中泊町長選挙違反「有権者の嘆きに耳を傾けよ」

2017/5/11 木曜日

 

 「またか」との思いだ。4月に行われた中泊町長選をめぐる選挙違反事件は、4人が逮捕、送検となった。言わずもがなであるが、選挙は公正に行われるべきもの。町民からは怒りや困惑の声が上がっているが、当然であろう。
 逮捕者はいずれも落選した候補者の陣営関係者で、中には選対本部長を務めた現職町議、後援会長だった旧中里町収入役も含まれる。本来、町民の模範であるべき人物にあるまじき行為であり、猛省を促したい。
 中泊町長選は過去3回無投票が続き、旧中里町と旧小泊村の合併で中泊町が誕生した2005年以降で初めて選挙戦になった。
 首長選の無投票が全国で目立つ。背景には、人口減少に伴う地域の活力低下などさまざまな事情があり、無投票を一概には批判できない。しかし、地域の課題、将来の方向性などについて候補者たちが議論を戦わせ、有権者が賛同する候補者に投票できる場があるに越したことはない。
 今回の中泊町長選に出馬した2人の候補者も地元の基幹産業である農漁業をはじめ、幅広い分野で自らのビジョンを示したはずだ。久々の選挙戦であり、それが激しいものだったのではあろうが、現金を報酬に自陣営の候補者への投票や票の取りまとめを依頼するのは、有権者を侮辱したことに他ならない。
 このような許されない行為を現職議員が行った場合、どのような結果を招くかは、14年の平川市長選に絡む選挙違反事件などを見れば、明らかなはずだ。同事件では議員20人のうち15人が逮捕され、議会運営に大きな支障をもたらした。他自治体の事件だったとはいえ、今回の選挙違反事件の逮捕者は何も学ばなかったのであろうか。
 5月10日付の本紙では、「非常に残念」「町の名誉を傷つけた」といった中泊町民の嘆きや落胆の声を伝えた。傷つけられた町の名誉を回復するのは容易ではない。さらに心配されるのは、この種の事件がたびたび発生することによって、地域振興への熱意や意欲を失う町民が出てこないかということだ。
 旧中里町長時代から通算5期18年務めた前町長は勇退し、町は新たな町長の下で歩み始めている。中泊町も全国の地方自治体と同様、人口減少などさまざまな問題を抱えている。選挙の結果は結果として、町は一体となって地域の活性化に取り組まなければならないはずだ。
 自陣営の関係者が逮捕された落選候補者は本紙の取材に「みんなと“津軽選挙”と呼ばれる行為は絶対行わないと約束していた」と語った。この言葉が事実だと信じたい。
 あしき“伝統”を受け継ぐ必要はない。有権者の嘆きにしっかり耳を傾け、今回の事件を教訓としたい。

∆ページの先頭へ

さくらまつり閉幕「盛況だった100年目の祭り」

2017/5/10 水曜日

 

 4月22日に開幕した弘前さくらまつりは、16日間の会期を終え、5月7日に閉幕した。100年目の祭りとなった今年の人出は251万人で昨年を15万人上回り、2011年の東日本大震災発生以降、最多を記録した。
 会期中は好天に恵まれ、低温が続いたことで桜の見頃も長持ちしたことが人出につながったようだ。“主役”の魅力が誘客に結び付いたことはもちろんだが、さらに今年は祭り100年を記念した関係者による仕掛けもさまざまあり、功を奏した結果だろう。
 時代を超えて今に息づく弘前公園の桜の美しさと祭りを存分に楽しみ、内外にアピールする機会となったことは間違いない。来年の100周年への弾みとなったことは大きな成果といえる。
 今年は弘前公園のソメイヨシノが4月18日に開花し、平年(同23日)よりも早咲きとなったものの、その後低温が続いた影響で満開は同25日となり、花の見頃が長持ちした。人出は同30日に会期中最多の34万人を記録し、この前日の29日は30万人を記録した。
 祭り100年目を盛り上げようと、観光人力車、中濠(ぼり)での船頭付き和船運行、弘前さくら桟敷の三つの新企画も行われた。観光人力車は多い日で一日50回運行する盛況ぶりで、観光客がひと味違う人力車からの桜の眺めを楽しんだ。
 船頭付き和船は利用者が計6000人を超え、多い日は100人以上待つことになり、発券を一時中断するほどの人気だった。ワンランク上の上質な花見が楽しめる弘前さくら桟敷は、地元食材を生かした弁当や津軽三味線の生演奏を楽しめるとあって、多くの観光客らが利用した。三つの新企画は軒並み好調で、新たな観光コンテンツとして今後も期待できそうだ。
 このほか、大正~昭和初期当時の祭りで見られた仮装行列を再現したパレードや打ち上げ花火を行った「弘前観桜会記念日」の5月3日には16万人が来場した。ソメイヨシノの見頃が過ぎたGW後半も、こうしたイベントや好天が人出を後押しし、多くの観光客が遅咲きの桜を楽しみながら祭りを満喫した。人出に比例して、出店の売り上げや宿泊関係も好調だったようだ。
 園内では、ちょうど弘前城本丸の石垣解体工事が始まっている。こちらも約100年ぶりで、工事に伴って天守も曳屋(ひきや)されており、世紀の解体作業を一目見ようと訪れた観光客も多いはずだ。
 外国人観光客も例年以上に目立ち、弘前さくらまつりが国内のみならず国外にも発信され、周知されていることがうかがえる機会でもあった。
 100年目の祭りでの手応えを生かして、さらなる集客に向けた施策を企画・展開し、来年の100周年を盛り上げたい。

∆ページの先頭へ

英国EU離脱交渉「世界潮流の変化を注視」

2017/5/6 土曜日

 

 英国が欧州連合(EU)からの離脱通告を行ってから1カ月余りが経過した。この間、同国のメイ首相は周囲も予想していなかった前倒し解散・総選挙の実施を宣言。首相は離脱についてEU単一市場からも脱退する「ハード・ブレグジット」(強硬な離脱)を目指しており、この考えが国民の支持を得るか、あるいはより柔軟な路線への揺り戻しがあるのか、英国民の判断が注目される。一方で、EU側は先月末に首脳会談を開き、同国との交渉指針を採択した。指針では英国が早期開始を求める協議内容について後回しを決めるなど、両者の関係性は厳しさを増しているように見える。
 6月上旬に行われる総選挙では、最近の各種世論調査によると、与党・保守党の地滑り的大勝が予想されるという。メイ首相は「保守党への一票一票がEUとの交渉で私を強くする」と述べる。選挙で圧勝して、国内での圧倒的な支持を背景にEUとの交渉を優位に運びたいとの思惑が見て取れる。
 これに対し、昨年のEU離脱を問う国民投票で敗れた野党・労働党を中心とした残留派は、総選挙で離脱賛成派とほぼ拮抗(きっこう)する得票率(48%)を獲得しただけに、こうした勢力を再結集し、メイ首相の「ハード・ブレグジット」を、より柔軟な路線に転換させる好機と考えている。ブレア元首相(労働党)は離脱問題を「メイ首相に対する逆風にできる」と強調するなど、党勢回復に向けても重要な選挙と位置付けている。
 一方、EUは首脳会談で英国との交渉指針を採択したが、英国が早期開始を求めている自由貿易協定(FTA)など将来の関係に関する協議を後回しとした。EUは優先交渉分野での「大幅な進展」をFTA協議に着手する条件と掲げている。英国の未払い分担金などの優先分野での交渉をめぐる英国、EUの駆け引きが始まっている。
 EU内では英国政権党の総選挙での勝利がメイ首相のEUに対する立場を優位にするとの見方に対し、冷ややかな視線が送られている。交渉は総選挙後に本格化するが、これまでの欧州を形づくってきた関係性がゼロから見直される事態となるだけに原則2年の期間内で交渉を完了させるというのは至難の業だろう。
 グローバリゼーションのある意味、行き過ぎた進展による反動が、英国のEU離脱決定を促したと言える。相次ぐ植民地の独立に見舞われた英国がEU結成の道を選び、そして今また離脱の道を選ぼうとしている。日本の近代化、民主主義化の過程に多大な影響を与え続けてきた英国、そして欧州は、今またグローバリゼーションの進展とそれに伴う反グローバリゼーションの台頭という世界の潮流の最先端にいる。近代化と民主主義政治の先輩である彼らの動向を注意深く見ていきたい。

∆ページの先頭へ

中国国際定期便「就航後の路線維持に努力を」

2017/5/5 金曜日

 

 中国・北京市に本社を置く航空会社「奥凱(オーケー)航空」の国際定期便が7日から、青森空港と中国天津間で運航されることが決まった。同空港の国際定期便就航は1995年4月の韓国ソウル線、ロシア・ハバロフスク線(運休中)以来22年ぶりとなる。毎週水、日曜の運航で、日本国内での発券体制が整っていないため、当面は中国からの訪日客だけの利用となるが、いずれ本県関係者らが訪中できる双方向の利用も実現する日が来よう。その時まで、しっかりと本県の魅力を中国人観光客に紹介できる取り組みを期待したい。
奥凱航空は中国国内での手続きを終えた上で3月中旬に国土交通省に申請、4月27日に認可を受けた。既に相当数の予約が入っているという。同社は定期便化に先立ち、1月中旬から2カ月余にわたって青森―天津間で定期チャーター便計74便を運航。結果は利用者1万1474人、搭乗率86・14%と高い数字を記録し定期便化への弾みとなったほか、本県観光の課題となっていた冬場の誘客にも大きく貢献した。
本県への中国国際定期便就航の実現は、空港がある青森市だけではなく、弘前市をはじめ県内各地の観光地にも乗客が多数訪れることが見込まれ、定期チャーター便の時のような数字を維持できる限りは安定した誘客が期待できよう。また、乗客が帰国後に本県の魅力を周囲に伝え、さらに誘客を呼ぶといった効果も考えられる。さまざまな可能性を秘めた定期便であることは間違いない。
ただ、本県に先駆けて昨年12月に就航した奥凱航空の函館―中国西安線は搭乗率が低迷したことから、わずか1カ月半程度で運休した経緯がある。函館は観光地としては本県以上に知名度が高いだけに、何が原因だったのか、路線維持のためには何が必要なのかを本県関係者はしっかり検証することが必要だ。
この点、三村申吾知事は4月28日の会見で「(函館―西安線の運休は)指摘通り。だからこそ、定期チャーター便という“お試し期間”ができた。とても良いもので、お客さまが幸せを感じることが非常に大事だ」と路線維持に意欲を見せた。中国人乗客が求める「幸せ」とは何か、常に追求する本県関係者の姿勢も求められよう。
県が定期チャーター便に関して行ったアンケート調査では、中国人旅行者の本県旅行の満足度は94%と高く、県内産業への波及効果は約4億8000万円とはじき出された。一方で受け入れ側の課題としては「中国語を話せる人材確保」「中国式習慣・マナーへの対応」などが挙がった。
「習慣・マナーへの対応」が課題として大きなものとなろうが、「それは日本では、やってはいけない」などと言えるような雰囲気醸成にも努めてほしい。

∆ページの先頭へ

相次ぐ閣僚辞任「政治家の資質が問われている」

2017/5/4 木曜日

 

 東日本大震災について「東北で良かった」などと発言し、安倍晋三首相に事実上更迭された今村雅弘前復興相。閣僚の不祥事が相次いでいることを踏まえ、政権の「おごり」や「緩み」の表れとの指摘もあるが、そもそも政治家にとって、言葉は「生命」と言っても過言ではない。その重みが理解できないのなら、政治家の資質に欠けると言わざるを得ない。
今村氏は発言直後、「首都圏で発生していれば甚大な被害だったという意味での例え」と説明した。しかし愛する人を失った悲しみを抱える被災者や、愛する人を守りたいがゆえに故郷を離れている避難者のことが、頭の、心の片隅にでもあったなら、「東北で良かった」という表現にはならないはずだ。
今村氏は先月4日にも、原発事故に伴う自主避難者への対応に関し「本人の責任だ。裁判でも何でもやればいい」などと発言。避難者はもとより与野党問わず厳しい批判を浴び、撤回していた。
更迭後、県選出国会議員の一人は「怒りを通り越して『何で』という思い」とやるせない心情を明かした。まったく同感だ。国会では「東大出身でも人の気持ちは分からない」といった皮肉や、辛辣(しんらつ)な批判も多く耳にした。
復興担当相という責任ある立場での発言が、どれほどの影響を及ぼすのか考えることもなく口にしてしまう今村氏。やはり閣僚はおろか、政治家でいることにも疑念を抱かざるを得ない。
また、中川俊直前経済産業政務官が先日、女性問題で辞任した。本人が公の場で説明しないため詳しい状況は不明だが、週刊誌などによれば、こちらも政治家である前に、人格が疑われるような言動が報じられている。その他、閣僚による失言や国会答弁の訂正など失態も数限りない。
ここに至っては「安倍1強による弊害」との指摘に耳を傾けざるを得まい。第2次安倍政権以降の閣僚辞任は今村氏で5人目であり、首相は「緩みがあるとの指摘は真摯(しんし)に受け止める」とし、閣内の引き締めを図る考えだが、あまりに緊張感に欠けてはいないか。
与党・自民党でも今村氏の更迭を受け、二階俊博幹事長が講演で「マスコミは余すところなく記録を取って、一行でも悪いところがあったらすぐ首を取れと。なんちゅうことか」などと発言し、こちらも与野党問わず批判を招いた。
ところで二階氏は、同じ講演で「人の頭をたたいて血を出したという話ではないのだから、いちいち首を取るまで張り切らなくても」とも発言。自派閥の今村氏が相談もなく更迭されたことについて、首相官邸への不満をあらわにした。
相次ぐ閣僚辞任に加え、幹事長の要職にありながら派閥の都合を優先する二階氏。盤石に思えた政権の基盤が揺らいでいる。

∆ページの先頭へ

Page: 1 ... 27 28 29 30 31 32 33 34 35 ... 48

当サイトでは一部、Adobe Flash・PDFファイルを使用しております。閲覧にはAdobe Flash Player・Adobe Acrobat Readerが必要です。最新のプラグインはアドビ社のサイトより無料でダウンロード可能です。

  • Adobe Flash Player ダウンロードセンター
  • Adobe - Adobe Reader ダウンロード