社 説

 

北海道で震度7「いま一度、備えの確認を」

2018/9/7 金曜日

 

 6日未明、北海道の胆振地方を震源とする地震が発生し、厚真町鹿沼で震度7を観測した。列島は4日から5日にかけ台風21号が猛威を振るったばかり。改めて自然の恐ろしさを実感し、日ごろの備えがいかに大切か再認識させられた。
 国内で震度7を観測したのは2016年4月の熊本地震で2度発生して以来、6回目。北海道では初めて観測された。
 道内各地で露出する山肌、土砂に押しつぶされた家屋、液状化で泥に覆われた道路など、目を疑う光景が次々と伝えられ、巨大地震の力に言葉を失った。
 停電による生活への影響も看過できない。調理ができずにパンやカップ麺を買い求める人々、携帯電話を充電するための行列などは、いかに日常生活が電気に頼っているか物語る。
 東日本大震災でも被災地は停電に苦しんだ。余震の際にも停電が発生し、供給バランスの崩れなどが送電設備に負荷をかけ、結果的に大規模停電につながることを初めて知った。
 思い起こせば、停電によって携帯電話は唯一の情報収集手段となり、充電が切れそうになれば右往左往した。しかし今では携帯電話の充電や自家用車の給油に心を配ることは皆無だ。あれだけガソリン不足に苦労したにもかかわらず、時間の経過とともに警戒心が薄らいでいる。
 列島は4日から5日にかけ、25年ぶりに非常に強い勢力で上陸した台風21号が猛威を振るったばかり。関西国際空港の閉鎖に目を奪われがちだが、判明しているだけでも7人が犠牲になっており、本県のリンゴ落果を含め被害の全容は分かっていない。
 犠牲者の中には高層階の自宅にいて、窓から飛び込んできた飛来物に当たった人がいる。また、修理などのために屋根に上がり、強風で転落した人もいた。
 気象庁や自治体、メディアは台風上陸前から建物の中でも窓の近くは避けることや、不要不急の外出、屋根に上がることをやめるよう繰り返し注意を促していたが、悲劇は繰り返された。
 6月から7月にかけての西日本豪雨も苦い教訓だ。犠牲者が200人を超えるなど豪雨災害の被害では最大規模だった。ここでも裏山と反対側の部屋に移動するよう、ニュースなどで事前に注意喚起されていたが、土砂崩れによる犠牲者は多かった。
 相次ぐ自然災害を受け、各省庁は防災対策の強化に乗り出している。しかし、自分の身を守れるのは自分だ。先日のテレビ番組では、災害が起きた場合にどうするかを考え、家族で話し合うことだけでも効果はあると指摘していた。
 自治体の避難指示に従う、自宅にいる場合でも安全性の高い場所を選ぶ、充電や給油、食料など非常時への備えをいま一度、家族と共に確認したい。いつ何時、災害が起きてもいいように。

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国民新代表に玉木氏「党勢拡大、野党共闘なるか」

2018/9/6 木曜日

 

 国民民主党の新代表に、玉木雄一郎氏が選ばれた。共同代表だった玉木氏は引き続き党勢の拡大、野党共闘の構築に全力を挙げる考えを示すが、その道のりは険しいと言わざるを得ない。
 民進党と希望の党が合流して今年5月に結成された国民民主。当初、衆参70~80人規模での発足を目標としたが、不参加者が想定よりも増え、加わったのは両党合計の6割弱にとどまる62人だった。原発や安全保障に関する政策で立憲民主党との溝が生じることへの懸念が拡大したことに加え、昨年の衆院選で民進を飛び出した希望議員の再合流は「国民の理解が得られない」との空気が強まったためだ。
 旧民主党政権が下野した後に繰り返された政党の離合集散に対し、国民からは依然として厳しい視線が向けられている。国民民主の政党支持率が1%程度にとどまっているのは、その表れだろう。
 国民民主としては、今回の代表選をきっかけに存在感を高め、党勢拡大につなげたいとの思いがあったはず。しかし、告示日に柚木道義衆院議員が離党届を提出し、いきなり冷や水を浴びせられた格好となった。玉木氏らによる全国遊説が繰り返されたが、党員・サポーターの投票率は約31%と、支持者内でも関心が低かったことが浮き彫りになった。
 代表選出後の記者会見で「全党一丸となって党勢拡大に取り組みたい」と語った玉木氏。挙党態勢をどのように構築していくのか、まずは最初の大仕事となる党役員人事でその方向性を示してもらいたい。
 党の結束と同時に、取り組むべき課題が野党共闘の構築だ。玉木氏は先の通常国会で、安倍政権に対して「対決より解決」との路線を掲げてきたが、代表選で「先頭に立って安倍政権に向き合っていきたい」と軌道修正した。野党共闘を意識したものだと思われるが、他の野党の不信感は消えていない。
 国会運営で足並みをそろえたとしても、政策面での隔たりもある。例えば2019年10月の消費税率10%への引き上げについて、玉木氏は代表選で実施すべきとの見解を示したが、立憲民主、共産、自由、社民各党は反対している。野党共闘のためだけに政策を転換した場合、党内や支持者、国民の理解を果たして得られるのだろうか。
 ただ、野党共闘が実現できなければ、来夏の参院選をはじめ国政選で与党を有利にするだけだ。「多弱」野党が候補者を乱立してきたことが、「安倍1強」となった一因でもある。その弊害として、政権のおごりや緩みを招いているとの側面もあるだろう。参院選まで1年を切り、時間は限られている。与党に対抗できる野党勢力の構築に向け、国民民主がどのような働きを見せるのかという点でも、玉木氏の手腕が問われている。

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就活ルール廃止「学生と企業納得できる決着を」

2018/9/5 水曜日

 

 経団連の中西宏明会長が3日に行った記者会見で、2021年春以降入社の学生の採用活動について、大企業が中心の会員各社を対象に、面接の解禁時期などを定めた就職活動ルール(採用選考に関する指針)を廃止する意向を明らかにした。現在の就活ルールは、3月に会社説明会、6月に面接をそれぞれ解禁する。20年春入社まではこれを適用することが決まっている。
 現行ルールが就職活動を行う学生にとって好都合なのか、そうでないのかは定かではないが、廃止による学生、企業双方の利点も明らかにするべきだろう。今後大学など関係各方面と調整を進め、機関決定を目指す見通しといい、どのような結果となるか注目したい。
 廃止の背景には、人手不足の中で企業による学生の獲得競争激化、外資系を含む経団連非加盟企業による「青田買い」の問題が指摘されている。20年には東京五輪・パラリンピックのため、会社説明会を行うための会場不足も懸念されていた。また、経団連の就活ルールには形骸化を指摘される部分もあった。
 実際、就職情報会社がまとめた今年5月1日時点の就職活動調査によると、調査対象となった学生の4割が、選考解禁前にもかかわらず内定を得ていたというデータがある。これが、就職活動を行うすべての学生に当てはまるデータかどうかは定かではないが、これでは6月の面接解禁は意味を成さないのではないか、という指摘があったとしてもやむを得まい。
 とはいえ、こうした問題が指摘される就活ルールも企業や学生双方にとって、採用や就職活動の計画を立てる際の一定の目安となっていたのは確かだ。これが頻繁に変更されたり、廃止されたりすれば混乱が生じかねないとの声もある。中西会長は今後、学生側の意見を聞く意向を示したものの、学生を送り出す側の日本私立大学団体連合会は現行スケジュールの堅持を訴え、ルール廃止に反対の立場を示している。
 実際、大学側は就活期間の長期化による学業への影響を心配しているようだ。当然のことだろう。学生の本分は勉学だからだ。ルール廃止によって、本来学業に専念できるであろう学年で就職活動の心配をしなければならないというのは心理的負担につながる。
 しかし、形骸化している就活ルールにより春の時点で多くの学生が既に就職を決めているという矛盾。要領よく立ち回った企業と学生だけが良い思いをし、ルールを守って真面目に取り組んだ側が不本意な結果に終わったということがあってはならない。中西会長は「どういう解決策があるのか考えないといけない」と語る。混乱が生じないよう、また学業にも影響が出ないよう、企業と学生双方にとって良い形で決着するよう望みたい。

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アジア大会閉幕「経験と課題を2年後に生かせ」

2018/9/4 火曜日

 

 4年に1度開かれるアジア最大のスポーツの祭典、第18回アジア競技大会は2日、ジャカルタとスマトラ島南部の都市パレンバンで繰り広げられた熱戦の幕を閉じた。
 今大会は2年後に迫る東京五輪の前では最後の国際総合大会となった。日本勢が獲得したメダルは金75、銀56、銅74の計205個で、金メダル数と総数でともに中国に次ぐ2位。金メダルは前回仁川大会の47個を大きく上回り、東京五輪へ弾みをつける結果となったと言えよう。日本選手団の山下泰裕団長は「予想をはるかに上回る好成績」と評価し、五輪に向けた強化の成果を強調した。
 主要競技は、期待通りと言っていい結果を残した。その中でも躍進が目立ったのは競泳陣だろう。女子の池江璃花子選手が日本選手最多を更新する6冠を果たすなど、前回を大きく上回る19種目を制した。大会前半での金メダル量産が勢いをつけたようだ。
 陸上は桐生祥秀選手、山県亮太選手らの男子400メートルリレーが20年ぶりに優勝。同マラソンの井上大仁選手、同50キロ競歩の勝木隼人選手も金メダルに輝いた。柔道は、世界選手権を控えて1番手の派遣を見送ったが、女子は7階級中6階級を制する安定ぶりだった。東京五輪で初めて実施されるスポーツクライミングやスケートボードでは若い選手が活躍し、2年後に期待が掛かる。
 ただ、「お家芸」のレスリング女子は初めて金メダルなしに終わった。コーチは技術的な課題を挙げたが、パワハラ問題で栄和人強化本部長が指導を離れた影響も垣間見え、東京五輪に向けて体制の仕切り直しが急務と言える。
 バスケットボール男子は、買春などの不適切な行為で国内外に恥をさらし、日本勢の活躍に水を差した。スポーツ界で不祥事が次々と発覚する中で、またかと思わせる残念な出来事であった。心技体を育むスポーツの一流選手としての自覚を持つことを肝に銘じてほしい。
 ジャカルタ・アジア大会は、東京と同じような高温多湿の環境下で行われた。このため日本勢は東京五輪を想定したテストと位置付け、屋外競技の各団体がさまざまな酷暑対策を試し、結果としてメダル獲得に結び付けたのも特徴の一つだろう。今回の経験を生かしながら、さらに検討を重ね、2年後にしっかり備えてほしい。
 今大会を振り返り、山下団長は「結果に満足することなく、いかに2020年につなげていくかの視点でやっていく」と述べ、継続的な取り組みの重要性を訴えた。大会結果が東京五輪へ弾みをつけたことは確かだが、当然のことながら、2年後は世界の強豪を相手に戦うことになる。今回の経験や浮かび上がった課題を踏まえ、さらに競技力の向上を図る必要がある。

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創刊記念日 「『読者のための新聞』誓う」

2018/9/1 土曜日

 

 このところ国内では地震や豪雨、猛暑、台風といった自然災害、国外に目を向けると米中の貿易摩擦や各地で起こるテロ、不透明な北朝鮮情勢など、生活を脅かすような問題が後を絶たない。平穏に見える津軽でも、多発するリンゴの黒星病や生産者の高齢化が基幹産業の農業に影を落とす。少子化による人口減少も大きな懸念材料となっている。
 陸奥新報は1946年9月1日、弘前市で産声を上げた。戦後の混乱期に発行された創刊号は、タブロイド判でわずか2ページ。その社説には「ちつぽけながら陸奥新報は新聞の青年であることを誇りとする」とある。しかし「青年」の歩みは決して順風満帆ではなかった。60年には本社社屋を火災で焼失、「りんご台風」で知られる91年の台風19号や、2011年の東日本大震災による大規模停電で新聞発行が危ぶまれたこともあった。それでも紙齢を途切れさせることなく、今日までつなぐことができた。
 創刊号の社説にはこうもある。「明るく、健康に、たとひ苦難の中にあつても微笑を忘れずに、大きな理想をリツクサツクに背負つて進んでゆきたい」。その言葉の通り、一歩一歩進んできた。しかし「青年」が現在の姿に成長できたのは「青年」自身の力によるものだけではない。津軽という温かい「家庭」に生まれ、読者という「家族」の叱咤(しった)激励に後押しされなければ、72年の歳月を重ねてくることはできなかっただろう。
 「我らは固く信ずる。新聞は廣く民衆のものであると。言ひ換へれば讀者のものであると」(創刊号社説)、「不偏不党 陸奥新報は郷土のみんなの新聞である」(編集綱領)。であるなら、創刊当時の「青年」がリュックサックに詰めた理想と、津軽の地に暮らす人々が思い描く理想は同じでなければならない。地元の立場で、理想的社会を築くために報道する。それが津軽に生まれた郷土紙としての存在意義と考える。
 いつでも気になるニュースにアクセスできるインターネットの普及で、若者を中心に新聞離れが進んでいる。ネットにはいわゆるフェイクニュースも散見され、紙媒体の新聞のような信頼性を欠くとはいえ、新聞業界が厳しい環境に置かれているのは変わらない。加えて、先述したように少子高齢化など、現代社会が抱える多くの問題を見ると、残念ながら特に本県など地方の先行きに明るさを見いだせない。
 それでも、われわれは前に進まなければならない。原動力になるのはリュックサックの中にある「理想」だと考える。創刊記念日に当たり、ここまで育ててくれた読者に心から感謝するとともに、創刊の志を改めて胸に刻み、この地に張った根を深く伸ばし、「郷土のみんな」に必要とされる新聞であるよう、一層の努力を誓う。

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