社 説

 

弘前ねぷた閉幕「祭りと街の認知度高める契機」

2019/8/9 金曜日

 

 弘前ねぷたまつりが7日、なぬか日の午前合同運行で幕を閉じた。会期中の人出は168万人で、過去10年間で見ると2007年、16年と並ぶ2位タイ。7日間を通じて大きなトラブルもなく、津軽の“熱い夏”が去った。
 会期中は連日、真夏日を記録し、ねぷたの大敵である降雨や強風もない最高の天気に恵まれた。まつり本部の人出集計によると、夜間運行日のほとんどが25万人以上で推移。最多は駅前運行初日の5日で、平日にもかかわらず32万人を記録した。土手町運行は週末に当たるため、当初から盛況が予想された3日の30万人が最多。この結果、なぬか日までの合計は昨年を8万人上回った。
 市観光課の粟嶋博美課長は、令和のスタート、本県初の市として弘前が誕生してから130周年という二つの節目が祭りの盛り上げに一役買ったとするとともに、関係団体が安全な祭り運営に対する意識を共有したことで「安全で楽しい祭りにできた」と総括した。
 比較的自由度のある他地域のねぷた・ねぶたと違い、歴史と伝統を重んじてきた弘前ねぷたまつり。その中で弘前さくらまつり公式応援キャラクターに採用し話題となった「桜ミク」とねぷたをコラボレーションさせる初めての試みを企画した。桜ミクをモチーフにした前灯籠・前ねぷたのコンテストがそれだ。弘前観光コンベンション協会の白戸大吾事務局長によると、桜ミク目当ての観光客が見られ、SNS(インターネット交流サイト)投稿も多数あったという。統制の取れた運行隊形と迫力あるねぷた絵、勇壮かつ哀愁も感じさせる囃子(はやし)が織り成す城下の祭りを楽しみたい層を満足させつつ、ミクファンという異なる層を呼び込むことができたようだ。
 弘前ねぷたが重要視する「伝統」の言葉からは、変革を寄せ付けない閉鎖的イメージを感じる。しかし、日本を代表する春祭りである弘前さくらまつりに続き、歴史ある夏祭りに若い世代に人気のキャラクターを用いた柔軟さは、実は弘前らしさかもしれない。かつて仙台、盛岡に次ぐ東北第3の都市規模を誇り、東北初のデパートを有した弘前には、新しい物好きの市民性があると言われる。厳格な基準のない前灯籠・前ねぷたであれば伝統を崩すことなく、新たな話題をつくることが可能で、現代版口コミと言えるSNSによる効果的PRも促せる。
 弘前ねぷたまつりと、訪日客も注目する青森ねぶた祭を比べると、ともに国の重要無形民俗文化財でありながら知名度で劣るのは否めない。新たな層への働き掛けは、両祭りの知名度の差を少しでも縮めるための一助となったのではないだろうか。欲を言えば祭りをきっかけに移住促進を目指したいが、弘前を知らなかった人に認知してもらえたのであれば、今年の祭りは成功と言っていい。

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携帯型充電器「新旧問わず、扱い丁寧に」

2019/8/8 木曜日

 

 外出時にスマートフォンやタブレット端末などの予備電源として重宝する携帯型充電器(モバイルバッテリー)について、消費者庁が発火・過熱による事故に注意を呼び掛けている。
 お盆の帰省や夏の行楽シーズンを控え、電車など公共交通機関の利用中の事故多発を懸念した対応だ。特に航空機では充電器の預け入れが禁止されていて、手荷物として機内に持ち込む場合も電池容量や個数に制限がある。
 改めて取扱説明書や同庁ホームページを読むと、注意・禁止事項が意外に多いことに気付く。スイッチや端子が少ないからといって、雑に取り扱っていいわけではない。まず、この点を念頭に置きたい。
 携帯型充電器に多く用いられているのはリチウムイオン蓄電池。スマホやノートパソコンなどのバッテリーと基本的には同じである。言われてみれば、これらからの発火などの事故も、たびたび耳にしてきた。
 充電器は、冒頭に挙げた機器に限らず、仕様や接続端子の型が適合すれば幅広いデジタル機器に使用できる便利な器具。出回り始めた当初に比べれば電池容量の増加など性能が向上した一方、本体サイズが小型化して気軽に持ち運べるようになった。行楽時に限らず、防災グッズの一つとして常備している人もいるだろう。
 同庁の事故情報データバンクには、携帯型充電器に関する事故情報が2013年6月から今年6月末までに合計162件が寄せられている。全体の48・1%(78件)が「発煙・発火・過熱」で、「火災」も39件(全体の24・1%)発生していた。件数は右肩上がりで増えていて、年別では18年が76件(同46・9%)と突出して多い。今年は6月末までの半年間で29件。
 事故は充電中であるかないかを問わず発生するのだから怖い。
 携帯型充電器は今年2月から、電気用品安全法に基づく「PSEマーク」が表示されていなければ販売できなくなった。業界団体によるモバイル充電安全認証「MCPCマーク」も、安全な製品を見極める目安になるという。
 これまでの経過を踏まえると、事故が発生した充電器は、販売・使用されてから比較的時間が経過したものが多いと考えられる。経年劣化を見越し、「繰り返し充電回数」が目安に達していなくても、消耗品と割り切って一度買い替えた方がリスクの低減につながりそうだ。
 もっとも、PSEマークも雑な使い方にお墨付きを与えているわけではない。充電器を落としたり、圧力を加えたり、高温下に放置したりすると、内蔵電池が変型・破損して発火などにつながる場合があるという。丁寧に取り扱う必要があるのは製品の新旧を問わない。

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全英女子ゴルフ「実力も兼ね備えた20歳の新鋭」

2019/8/7 水曜日

 

 女子ゴルフのメジャー戦、全英女子オープンで初出場の渋野日向子選手が優勝した。日本勢のメジャー制覇は42年ぶり2人目の快挙。「何で私が優勝しちゃったんだろう」と自然体の20歳の新鋭。優勝を決めたパットはもちろん、笑顔を絶やさないプレースタイルで一躍注目を集めたが、歴史的快挙は確かな実力に裏打ちされたものだった。
 日本勢の海外メジャー制覇がいかに困難なものかは、ゴルフファンならずともご存じだろう。男女を通じ日本勢の優勝は樋口久子さんが全米女子プロ選手権を制した1977年以来。それから約半世紀、メジャーの壁に阻まれ続けてきた。
 海外ツアーで18勝した岡本綾子さんは87年の全米女子オープンでプレーオフの末に惜敗。元世界ランキング1位の宮里藍さんはメジャー昇格前のエビアン選手権を2度制したが、全米女子プロなど3度の3位が最高だ。
 その後、宮里美香選手が全米女子プロ2位、畑岡奈紗選手は昨年の全米女子プロでプレーオフの末に2位に泣いた。名だたる選手の前に立ちはだかった壁を、渋野選手が打ち破ったのだ。
 1年前にプロテストに合格したばかりだが今季2勝、何度も10位以内に入るなど、パットの技術を含め実力は周囲も認める。特に優勝を決めた最終ホールのロングパットは地道な努力が結実した。
 ロングパットのタッチを合わせるメニューでは、ノルマをこなすまで終われず長い時は3時間ほどもかかったという。渋野選手自身、「追い込まれた時にパッティングが決まる確率は確実に高まっている」と成果を実感する。
 ラウンド中も笑みを絶やさず、「笑顔のシンデレラ」のニックネームまで付いた。感情を表に出して結果が伴わなかったことを反省し、常に笑顔を心掛けているという。「トラブルになっても、笑っていれば何とかなる」
 海外の大会は初挑戦ながら、笑顔でキャディーと談笑し、合間には駄菓子を頬張るなどして緊張をほぐした。天真爛漫(らんまん)な性格もあるだろうが、感情をコントロールする術(すべ)も身に付けていることは、アスリートとしての強みだ。
 今回の優勝で世界ランキングは46位から14位に浮上し、来年の東京五輪代表入りが近づいた。ただ、今回以上にし烈な戦いが待っているのも事実だ。
 渋野選手は米ツアー3勝の畑岡選手やプロアマ4勝の勝みなみ選手と同じ1998年度生まれで、「黄金世代」と呼ばれる年代の中ではアマチュア時代の実績に乏しかったが、今回の歴史的な快挙で代表争いに名乗りを上げた。
 今後は同世代はもちろん、実力者との出場権争いを勝ち抜く必要がある。ただ、それは同時に金メダルを懸けた戦いなのかもしれない。期待が高まるばかりである。

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広島原爆の日「核なき世界へ不断の努力を」

2019/8/6 火曜日

 

 太平洋戦争末期の1945年8月6日午前8時15分。世界で初めての核兵器がアメリカ軍により広島市に投下された。高温の熱線と放射線を出しながら上空で爆発し、街は一瞬にして廃虚と化した。大火災で多くの人がひどいやけどを負い、爆風で崩れた建物の下敷きになった人や放射線による犠牲者が多数出た。
 「まさに地獄」の惨状をもたらした74年前の夏。約14万人にも上る貴い命が奪われたとされる。その3日後の9日には長崎市に投下された。
 広島市は6日、74回目の原爆の日を迎える。広島市中区の平和記念公園では、午前8時から市主催の「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(平和記念式典)が開かれる。
 当時と同じような酷暑の中で迎える原爆の日。被爆者にとっては何年たっても決して忘れることのない忌まわしい記憶として脳裏に焼き付いていることだろう。当時の様子を振り返る関係者は皆、「原爆は二度とあってはならない」と強く訴える。
 その被爆者も年々高齢化している。厚生労働省によると、被爆者健康手帳を持つ人は今年3月末時点で全国に14万5844人。平均年齢は82・65歳で、昨年より0・59歳高くなった。戦争を知らない世代が増える中、原爆による被害の悲惨さを語り継ぐことの重要性が年々増していることを改めて肝に銘じたい。同時に、人類が二度と同じ過ちを繰り返すことがないよう、平和への誓いを新たにしたい。
 一方で、悲願とする核兵器廃絶への道のりは、米トランプ政権による自国第一主義や、中距離核戦力(INF)全廃条約の失効などにより、むしろ険しくなっている。国際情勢は至るところで緊張関係が強まり、「核兵器のない世界」の実現には程遠い状況にある。
 5日には、広島で原爆の犠牲になった韓国人の慰霊祭が平和記念公園で開かれた。日韓関係がかつてないほどに悪化している中だが、参列者からは「日本人と同じように被爆した人を悼む気持ちに変わりはない」「慰霊祭は日韓の不仲を超えた意義がある」といった声が聞かれた。平和を願う思いは皆、同じである。
 広島市の松井一実市長は6日の平和宣言で、核兵器禁止条約に賛同していない日本政府に対し「署名・批准を求める被爆者の思いをしっかり受け止める」よう訴えるほか、「核兵器のない世界の実現にさらに一歩踏み込んでリーダーシップを発揮すること」を求める考えだ。
 各国の利害が絡み合うだけに核軍縮への道のりは容易ではないが、だからこそ、世界唯一の被爆国である日本の果たすべき役割は大きい。74年前の惨劇を二度と繰り返してはならない。そのために何ができるのか。核なき平和な世界の実現へ、不断の努力を重ねてもらいたい。

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「新規就農」多様な人材受け入れる環境を

2019/8/3 土曜日

 

 県のまとめによると、2018年度の県内の新規就農者は256人だった。前年度に比べて若干減少したものの、近年は250人前後で推移しており、第1次産業を基盤とする本県にとって好ましい状況と言える。
 特に注目すべきは、非農家出身の「新規参入」の伸びだ。農業法人への就職増加を背景に、18年度は前年度比12人増の111人に上り、調査開始の1988年度以降では過去最高になった。
 農業法人に就職した場合、農地を自ら確保しなくても就農できるといったメリットがあるほか、家族経営では容易ではない定期的な休日確保なども可能になる。あらゆる分野で働き方改革が叫ばれる中、時代に合った就農の形態として若者を中心に広く受け入れられているのかもしれない。
 一方で懸念要素もないわけではない。新規参入以外は減少しているのである。農家出身で農業以外の仕事を経て就農、または農業研修後に就農した「農業Uターン等」は前年度比12人減の94人。高校や大学などを卒業後すぐに就農した「新規学卒」は同21人減の51人(中学1人、高校38人、大学など12人)となった。
 有効求人倍率が高く推移し、他職種との競合が激しさを増していることなどが要因と考えられるという。若者の県外流出が深刻化する中、農業の魅力を改めてアピールし、Uターンや県内への定着を促したい。
 総務省がまとめた、新規就農希望者への国の研修支援事業に関する行政評価の結果では、研修生が途中でやめて、離農する割合が高い地域では、その理由を詳しく把握できていない傾向があると指摘。その上で定着に向けて細かく分析するよう農林水産省に勧告した。
 幸い、本県では近年、新規就農者数が高水準で推移しているが、その傾向が将来も続くとは限らない。今のうちから、離農者が出た場合はその理由を分析し、改善に向けて動き出す必要がある。
 農業に興味を示し、高い志を持って就農したものの、現実とのギャップに落胆する若者らを生み出したくはない。就農を促すのであれば当然、就農後も希望を持って働くことができる環境をつくることが、関係者たちの責務であろう。
 近年は「農福連携」の取り組みもかなり見られるようになってきた。障害者を農業の新たな担い手と捉える考え方で、障害者の就労の可能性を広げる意味でも注目されている。
 将来、健常者と障害者が共に農業の現場で働くことが当たり前という時代が訪れるかもしれない。さまざまな分野でバリアフリー化が進む中、農業分野でも不可能ではなかろう。多様な人材を受け入れる環境をつくることができれば、農業は足腰の強い産業としてこの先も発展していけるのではないか。

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