社 説

 

県知事選「本県と県民へプラスの結果を」

2018/11/2 金曜日

 

 来年6月28日の任期満了に伴う知事選に、現在4期目の現職三村申吾氏(62)が出馬する意向であることが分かった。目指すのは、本県初の5選だ。民選4人目の知事で4期16年を務めた北村正氏が、かつて挑むも新人に阻まれた経緯があり、5選を目指すのは2人目。党規約のため自民党本部推薦でないとはいえ、実質的な全面支援を背景に選挙戦を展開するとみられる。次期知事選をめぐり出馬の意向が報じられたのは現時点で三村氏だけだが、県民が選択肢を得るためには対抗馬の存在が不可欠だ。安定と継続か、刷新かは県民の判断となる。いずれにせよ、将来の本県と県民にとってプラスとなる結果であってほしい。
 本紙報道によると、三村氏自身は現時点で進退を明らかにしておらず、正式な出馬表明はこれまでと同じく、今月開会の県議会定例会の場とみられる。自民党の本県関係国会議員団も支援を大筋で合意したといい、党県連は今月17日以降、県内の市町村支部長や職域支部長、所属県議と協議するほか、初めて県内全40市町村長とも議論。異論がなければ12月をめどに支援を決定する。
 仮に5選となれば、多くの場合に「高齢多選」批判が付きまとうが、旧百石町長、衆院議員を経て40代で知事初当選した三村氏に高齢の印象はない。「攻めの農林水産業」や「青森県型地域共生社会」実現など各種課題解決に向けて地道に取り組む姿勢を鮮明にしており、今年6月の本紙などのインタビューでは、若い世代の県内定着促進や平均寿命延伸、労働力不足への対応といった重要課題に果敢に挑戦する考えを示していた。
 一方で、派手なTシャツを着てパフォーマンスする姿は、県産品や本県の魅力をアピールする県外トップセールスの場面でおなじみだ。10月の吉本新喜劇出演に驚いた県民も多かろう。こうした行政への取り組みや姿は支援する自民党県連の目には、県の財政健全化の取り組みや各種経済指標改善を念頭に「就任前の状況から考えれば評価できる」と映る。
 来年の知事選以降、本県をめぐる情勢は何が想像できようか。昨年過去最高・東北最多となった外国人延べ宿泊者数は、青森空港を離発着する国際定期便の充実や同空港と青森港の整備、大型客船就航など追い風が吹く状況だ。一方、核燃料サイクル事業の中核施設・使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)は原子力規制委員会による安全審査が一段落し、稼働に向けた正念場を迎えることになるだろう。大規模自然災害には、時期を問わず不断の備えが必要だ。
 知事となる人はこうした好材料を的確に県経済に反映させるとともに、危機管理にも秀でた人材が求められることは言うまでもなかろう。それが誰なのかを判断するために、候補予定者の一挙手一投足に注目していきたい。

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元徴用工訴訟「日韓関係の根幹を否定」

2018/11/1 木曜日

 

 第2次大戦中に日本本土に徴用された韓国人4人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)を相手取り、損害賠償を求めた訴訟で、韓国最高裁は元徴用工の個人請求権を認め、新日鉄住金に賠償を命じた。元徴用工の訴訟で、日本企業に賠償を命じる判決が確定したのは初となる。
 1965年の日韓国交正常化の際、基本条約と共に結ばれた請求権協定には、日本が経済協力資金を支払う代わりに、両国と国民間の請求権問題が「完全かつ最終的に解決された」と明記されている。今回の確定判決は、日韓関係の根幹を否定する深刻な内容と言える。
 韓国政府は、慰安婦問題などとは一線を画し、元徴用工の請求権問題は「解決済み」との見解を貫いてきた。盧武鉉政権時の2005年には、日韓交渉の外交文書を公開後、その内容に基づき請求権協定の範囲などを議論。慰安婦などを例外としながらも、日本からの経済協力資金には「強制動員被害補償問題の解決金が包括的に勘案されている」として、韓国政府が責任を取るべきだとする見解を表明した。
 元徴用工が日本で起こした同様の訴訟でも、「日韓請求権協定で債権が消滅した」との理由で敗訴が確定している。しかし、今回の判決は「強制動員被害者の日本企業に対する慰謝料請求権は、請求権協定の適用対象に含まれていない」と判断し、元徴用工の請求権を認定。日韓の歴代政権が守ってきた「最後のとりで」を覆した。
 今後の焦点は判決を受けた韓国政府の出方。文在寅大統領は昨年8月の記者会見で、元徴用工の請求権について「両国間の合意が個々人の権利を侵害することはできない」と述べ、司法の判断に従う考えを明確にしている。韓国政府が公式に従来の立場を変更すれば、日本のさらなる反発は必至で、日韓は大きな火種を抱え込むことになる。
 韓国の李洛淵首相は国民向けの声明で、判決を尊重する立場を強調しつつ、今後の具体的な措置には触れなかった。対応策の取りまとめには時間がかかりそうだ。また、「韓日関係を未来志向的に発展させていくことを期待する」と表明。徴用工などの歴史問題と、安全保障や経済、文化協力を切り離して対処する「ツートラック(2路線)」政策を維持していく考えだが、判決の影響が他の分野に波及する可能性は否定できない。
 日本政府は毅然(きぜん)とした姿勢で臨み、日本企業などに不利益が生じないよう韓国政府に求める方針。国際司法裁判所(ICJ)への提訴も辞さない構えを示す。日韓合意に基づき元慰安婦に現金支給してきた「和解・癒やし財団」の解散を韓国側が検討するなど、日韓関係には不透明感が漂う。ただ、北朝鮮問題などで日韓連携は不可欠であり、日本政府には冷静な対応も求めたい。

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新たな在留資格「拙速避け十分な議論を」

2018/10/31 水曜日

 

 自民党は、外国人労働者の受け入れ拡大に向けて新たな在留資格を創設する出入国管理法改正案を、施行後の見直し規定付与を条件に了承した。
 政府は開会中の臨時国会に改正案を提出予定。会期中での成立と来年4月の新制度スタートを目指している。
 新制度には、在留期間が無期限で家族も呼び寄せられる資格が含まれ、「事実上の移民政策」との声が上がっている。与党内にも反対や慎重論は根強いという。単なる外国人の就労問題にとどまらず、外国人政策の大きな転換とも指摘される事案であり、十分な議論が必要だ。
 新たな在留資格は、「相当程度の知識または経験」を必要とする「特定技能1号」と、「熟練した技能」を持つと認められた場合が対象となる「同2号」。在留期間は1号が通算5年だが、2号は無期限で延長でき、家族も呼び寄せられる。対象は外食、宿泊、介護、農業、建設業など14業種が検討されていて、政府は1号について、農業現場などの要望に応える形で季節就労を認める方針だ。もっとも、対象業種は法務省令で定めることとし、法案提出段階では決まらないようだ。
 移民政策では―と指摘されているのは2号だ。日本での就労を望む外国人の存在、少子高齢化を背景に若年層を中心とした人手不足を訴える産業界がある一方で、外国人の増加に伴う治安や日本人の雇用環境の悪化などが背景にあるとみられる。
 労働力を安易に海外へ求める前に、日本人の雇用環境の改善を図り、示す必要があろう。29日の自民党法務部会で、2号に定める技能要件の厳格化などを求める決議案が示されたのも首肯できる。
 そもそも、外国人の受け入れ規模や上限といったアウトラインを政府が示していないことが、不安や懸念を招く一因となっているように映る。人材不足は近年耳にすることが増えたが、実際はどれぐらい不足しているのだろう。改正案間近な現段階で「精査中」では、見切り発車との批判は免れまい。
 新制度スタートに当たっては、外国人の生活環境整備も大きな課題となろう。これまで外国人労働者の受け皿となってきた技能実習制度では、就労条件の劣悪さが指摘されるケースも多かった。社会保障を含め、待遇面を底上げしなければ、質の良い労働力は確保できまい。単なる安価な労働力の供給しか念頭にないならば、国際社会の非難の的となる。
 臨時国会の会期は12月10日まで。会期中は安倍晋三首相の外交日程も立て込んでいる。こうした中で、果たして議論は尽くされるのか、政府・与党は議論を尽くす気があるのか疑問だ。それとも、当初から会期の延長を視野に入れているのか。臨時国会での成立を急ぐ理由は何なのかも知りたい。

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憲法改正「不透明な首相シナリオ」

2018/10/30 火曜日

 

 安倍晋三首相が臨時国会の所信表明演説で、憲法改正への意欲を前面に押し出した。総裁最後の任期に現憲法初の改正を手掛け、自らのレガシー(遺産)にしたいとの思惑が色濃くにじむ。ただ、野党だけでなく自民党にも首相の姿勢に反発する声が少なくない。来夏には参院選も控えており、首相の想定通りに進むかは見通せない。
 首相は24日の本会議で「憲法審査会で政党が具体的な改正案を示し、国民の理解を深める努力を重ねていく。そうした中から幅広い合意が得られると確信している」と強調。「(憲法の)あるべき姿を決めるのは国民だ。(改憲発議によって)国会議員の責任を共に果たしていこう」と呼び掛けた。
 今年1月の通常国会の施政方針演説では「各党が具体案を持ち寄り、議論を前に進めていくことを期待する」との表現にとどめたが、各党に改正案を提示するよう踏み込んだ。
 なぜ首相は真正面から改憲に取り組む姿勢を打ち出すのか。それは首相が先の自民党総裁選で3選を果たしたものの、裏返せば長期政権も残り3年で、「終わりの始まり」という現実がある。求心力を失い「レームダック(死に体)」に陥ることだけは避けたい思いの表れだ。
 一方、首相の思惑通り議論が進むかは極めて不透明だ。28日のテレビ番組で自民党が臨時国会で同党の改憲案を提示する考えを改めて表明したのに対し、主要野党は議論に応じない姿勢を示した。
 立憲民主党の福山哲郎幹事長は「(改憲に対する)国民の機運は落ちている。議論する環境ではない」と指摘。国民民主党の平野博文幹事長は「首相が前に出て旗を振るのは、筋違いも甚だしい」と批判した。共産党の小池晃書記局長は「絶対ストップさせる」と述べた。
 さらに与党・公明党の斉藤鉄夫幹事長も「与野党の幅広い合意が形成されている状況ではない」と述べ、慎重な対応を求めた。
 旗色の悪くなった自民党の萩生田光一幹事長代行は、首相が改憲に前のめりとの批判を念頭に「首相が黙ることで憲法審査会が動くなら、そういうことも考えたい」とすら語った。
 日程的なハードルもある。首相は2020年の改正憲法施行を目指すが、来年半ばまでは参院選や皇位継承、国際会議など重要行事が目白押しだ。
 これらを踏まえて改憲発議を参院選後に先送りする場合、改憲に前向きな勢力で3分の2を維持する必要がある。しかし立憲民主など主要野党が「統一候補」で戦いを挑めば、与党が過半数を維持するのは厳しいとの見方もある。
 さらに自民党が主要野党の合計議席を下回った場合、首相退陣論が高まりかねない。レームダック化した政権が改憲を唱えても、誰も耳は貸さない。

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日中関係「求められる慎重な対応」

2018/10/27 土曜日

 

 安倍晋三首相は26日、中国の李克強首相、習近平国家主席と会談し「競争から協調へ、日中関係を新たな時代に押し上げる」ことを確認。日本が約40年続けてきた中国に対する政府開発援助(ODA)の今年度終了方針を伝達し、自由で公正な貿易関係の発展、第三国インフラ投資での連携などで一致した。
 1979年に始まった対中ODAは、累計で3兆6500億円を超え、鉄道や港湾、発電所などが整備された。2010年には国内総生産(GDP)で日本を抜いて、世界2位に浮上。近年では北京五輪開催、“爆買い”の言葉を生んだ富裕層の訪日増加など、急速な成長が目に見えて分かるようになった。
 日本のODAが十分貢献したのは間違いなく、中国外務省も「経済成長に重要な役割を果たした」と評価。中国が被援助国を脱したことで、日中の経済関係は対等な立場となり、その中心は官から民へと移行し、新たなステージに入る。
 今後の経済活動について日本は、中国の巨大市場や訪日観光客(インバウンド)に期待を寄せる。インバウンドは地方創生の起爆剤の一つ。事実、今年上期に本県に宿泊した外国人は過去最高の13万840人で、約3割に当たる3万7240人が中国人だった。本県にとっても中国と良好な関係が築かれることは歓迎に値する。さらに、日本政府には北朝鮮に影響力を持つ中国を通じて、拉致問題解決や朝鮮半島非核化を実現させたい思惑があり、今後の動向が注目される。
 しかし、日中関係の深まりが、日本にとってプラス要素ばかりかというと、そうではない。むしろ、課題の方が多いのではないだろうか。
 日本の同盟国である米国と中国は、互いに制裁関税を発動するなど貿易摩擦が激化。中国が安倍首相を厚遇したのは、日米が連携して対中圧力を強めることへの危機感から、親密な日米関係にくさびを打つ狙いがあったとされる。米国は、日中の接近が痛手になると警戒しており、場合によっては物品貿易協定(TAG)交渉の行方を左右しかねない。
 日本は米中との間で、米国との緊密な関係を保ちつつ、中国とは経済活動や朝鮮半島問題解決などを図らねばならない。日中首脳会談で日本は、両国の板挟みの立場を、自らでつくったと言える。日本としては、米中の致命的衝突を回避するための橋渡し役を買って出たということだろう。しかし、両国は一歩も引かぬ姿勢を貫いている。橋渡しが容易でないことを理解して臨む覚悟が必要だ。
 しかも、中国に“くさび”として利用されるだけであれば、日米関係は危うくなる。日中間には沖縄県・尖閣諸島をめぐる緊張や、中国の強引な海洋進出など課題が山積している。日本は徹底的なシミュレーションの上で、慎重に対応しなければならない。

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