社 説

 

北朝鮮ICBM発射「平和的道筋での解決に努力を」

2017/12/1 金曜日

 

 北朝鮮が国際社会への挑発行為を再び強行した。日本時間29日午前3時17分ごろ、平壌近郊の中部・平城付近から東方に向けて大陸間弾道ミサイル(ICBM)1発を発射した。
 北朝鮮の政府声明によれば、ミサイルは予定された飛行軌道に沿って53分間飛行し、日本海の公海上に設定された目標水域に着弾した。高度は過去最高の約4500キロに達し、約960キロ飛行して本県西方約250キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内の日本海に落下したと推定されている。
 北朝鮮国営の朝鮮中央テレビなどは「新たに開発したICBM『火星15』の試験発射に成功した」と政府声明を発表。金正恩朝鮮労働党委員長は「本日、ついに国家核武力(戦力)完成の歴史的大業、ミサイル強国の偉業が実現した」と宣言した。
 県によるとミサイル発射当時、日本海では本県所属のイカ釣り漁船27隻が航行・操業していた。落下地点は津軽地域にも近い。幸い被害は確認されていないものの、ミサイルは北朝鮮の設定通りに着弾しない可能性も十分あり、不測の事態も生じかねない状況で、断じて容認できない許し難い暴挙である。
 北朝鮮のミサイル発射は9月15日、中距離弾道ミサイル「火星12」が平壌から発射され、日本上空を越えて太平洋に落下して以来となる。さまざまな動きの中で2カ月半にわたって沈黙し続けてきた北朝鮮が、再び挑発行為に踏み切ったのはなぜなのか。
 トランプ米大統領は11月5日の来日から始まったアジア歴訪で、北朝鮮への圧力強化を主張してきた。さらに、9年ぶりに北朝鮮をテロ支援国家に再指定し、大規模な追加制裁を実施する構えを見せている。こうした「最大限の圧力」に対し、決して屈しないという姿勢をアピールしたものと考えられる。
 北朝鮮の政府声明によれば、火星15は通常より発射角度を上げ高く打ち上げる「ロフテッド軌道」を意味する「最大高角発射態勢」で行われた。これまでで最も高い高度で、通常の角度で発射した場合、射程は米本土全域を含む約1万3000キロに達する可能性がある。
 核武装の脅威を武器に米国に何らかの譲歩を迫る駆け引きを狙うかのような北朝鮮の挑発行為によって、米朝間の緊張が高まるのは必至だろう。
 米政府は、軍事力を背景に外交と経済制裁で最大限の圧力をかけ、北朝鮮に方針転換を促す方針を維持する構えのようだ。「核戦力の完成」を宣言した北朝鮮が、対話に前向きな姿勢に転換するかが今後の焦点の一つとなる。
 何らかのきっかけで起こりかねない軍事的衝突を避けるためにも、国際社会が連携を強化して、外交解決による「平和的な道筋」を探る必要があろう。

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日馬富士引退「引退は時期尚早、事実解明を」

2017/11/30 木曜日

 

 暴行問題の渦中にあった、大相撲の横綱日馬富士(33)=本名ダワーニャム・ビャンバドルジ、伊勢ケ浜部屋、モンゴル出身=が29日、日本相撲協会に引退届を提出し、八角理事長(元横綱北勝海)が受理した。
 同日午後、記者会見に臨んだ日馬富士は正式に引退を表明した上で「国民、ファンの皆さまに心からおわびし、感謝申し上げたい。私は相撲を愛している。素晴らしい(角界生活)17年でした」と思いを吐露した。
 日馬富士は2001年初場所、「安馬」のしこ名で初土俵。08年九州場所後に大関に昇進し改名。速くて低い、激しい攻めを武器に12年名古屋場所から2場所連続全勝優勝を果たし、秋場所後に70人目の横綱に昇進した。3横綱2大関が休場した今年9月の秋場所では逆転優勝を果たし、9度目の優勝を遂げたばかりだった。
 そんな日馬富士が問題を起こしたのは、秋巡業中の10月25日夜だった。鳥取市で開かれたモンゴル人力士らの親睦会に参加した日馬富士は、別の2次会会場で、同じモンゴル出身力士の幕内貴ノ岩(貴乃花部屋)の態度に腹を立てて暴行したとされる。鳥取県警の任意聴取や相撲協会の危機管理委員会による聞き取りに対しては暴力を働いたことを認めている。
 過去の一連の不祥事から立ち直りつつあった角界であり、日馬富士自身もその強さから人気回復の一角を担っていた一人だった。そんな日馬富士の引退に残念な、また複雑な思いを抱く相撲ファンは少なくないだろう。
 自らけじめを付けたことを是とするか、事実関係が不明確な状況のまま角界を去ることを非とするか、評価は分かれるだろうが、釈然としない思いが多くの人にあるのも事実。日馬富士自身、連日の報道や聴取といった対応に精神的な疲れもあったのだろう。ただ、進退を明確にするならば、自身も周囲もすべて事実を出し切ってからでも遅くはなかったと思われる。
 というのも、貴ノ岩の師匠である貴乃花親方が協会幹部への不信感からか、事実解明のための協力を拒んでおり、日馬富士側からの情報は出ても、貴ノ岩側の情報がほとんど出てこない状況である。また、暴行の様子もビール瓶で「殴った、殴っていない」、数十発も「殴った、殴っていない」などと情報が交錯している。
 暴行自体はもちろん、あってはならないが、事件の真相が曖昧な中での引退劇もあってほしくはなかった。今後、事実が明らかになる中で、当然引退しなければならない事態だったのか、引き続き角界で活躍する余地があるのか、見据える必要があったのではないか。今後の推移を見守りたい。

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りんご公園「“付加価値”発信の拠点に」

2017/11/29 水曜日

 

 県産リンゴの消費拡大に向けて輸出の重要性が高まる中、弘前市りんご公園を訪れる外国人観光客が増え続けている。輸出先に出向いたPR活動などに加え、品質の高い果実を生産する園地について理解を深めてもらうことは極めて重要。その意味で同公園を大いに活用したい。
 りんご公園を訪れる外国人観光客数は近年、おおむね増加傾向にある。2011年の東日本大震災の影響で一時落ち込んだものの持ち直し、昨年初めて1万人を突破。今年は今月8日現在で1万6661人に上った。同公園のインターンシップ(就業体験)に参加する留学生の応対も好評を得ているという。
 現状、アジア圏の客が目立ち、台湾、中国、香港、タイなどの順となっている。訪日観光客全体に占めるアジア圏からの客の割合が高いため、りんご公園を訪れる客に占める割合も高いのは自然と考えられる。さらに推察すると、台湾や香港は県産リンゴの主要な輸出先であり、現地で県産リンゴの認知度が高いことも影響しているのではないか。
 県内の自治体、リンゴ関係団体はこれらの国、地域の量販店などを毎年のように訪れ、県産リンゴをPRしている。こういった長年の努力で県産リンゴは現地市場で揺るぎない地位を確立した。他国産との競合が激しさを増す中、これからも地道に続ける必要はあろう。
 ただ、現地市場でのさらなる浸透、一層の販路開拓を目指すのであれば、別のアプローチも必要だ。リンゴの生産現場に消費者を招き、果実の品質の高さや安全性を知ってもらうことも有効な手段だろう。実際、海外のメディア関係者に園地を視察してもらうといったケースはしばしば見られる。
 幸い、訪日外国人客は急激に増加している。彼らを招かない手はない。生産者個々人で受け入れることは容易ではないが、りんご公園であれば、生産期間を通じて一定数の観光客を受け入れることは可能だろう。もちろん、果実自体の品質で勝負することが販売戦略の基本だが、他国産との差別化を図る上で、生産現場について理解を深めてもらうことは重要な意味を持つはずだ。
 りんご公園を訪れる外国人観光客が最も多くなる時期は、果実のもぎ取りを体験できる10~11月だという。さらに訪問客を増やすためには、収穫期前の誘客が必要不可欠。さまざまな作業工程を経て出来秋を迎えていることを体験してもらうことも一つの考え方ではないか。
 通年で果実を消費者に提供できる点が本県リンゴ産業の最大の強みだ。収穫期以外の時期にも果実を味わってもらい、園地や生産者の思いについても理解してもらう。こうした経験は来園した外国人観光客の記憶に「付加価値」として残るのではなかろうか。りんご公園をその拠点として今後も育てていきたい。

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冬期労災防止「軽視せず、対策の徹底を」

2017/11/28 火曜日

 

 積雪寒冷地の本県は、降雪や凍結などが原因の転倒や雪下ろし中の屋根からの転落、車両のスリップ事故など冬期の労働災害が多発する傾向にある。青森労働局と県内の各労働基準監督署は今年も11月1日から、冬期労働災害防止運動を展開し、対策の実施を促している。各事業所には積極的な取り組みを求めたい。
 運動期間は11月から2018年3月末まで。労災の発生状況や事例を記載したチラシを配って周知を図るほか、冬期労災防止に向けたチェックリストも配布、事業所に自主点検を呼び掛けるという。
 昨年度の運動期間中に発生した冬期労災の被災者(死亡および休業4日以上)は217人。15年度の同時期と比較して43・7%の大幅増で、過去10年間でも3番目に多かった。労働基準監督署の所管別に見ると、弘前管内(弘前市、黒石市、平川市、青森市浪岡、中津軽郡、南津軽郡)が57人と最も多く、津軽地域の事業所は特に注意が必要だと言えよう。
 冬の労災事故で最も多いのは、転倒事故だという。昨年度の被災者は179人で、全体の8割を占める。転倒ぐらい―と軽く考えてしまいがちだが、けがの多くは骨折などの重傷。昨年12月には津軽地方で2年ぶりに転倒による死亡事例が発生、2人が亡くなっており、決して軽視はできない。また昨年度は転倒に次いで交通事故が15件、墜落・転落が12件あったが、こちらもより重篤な災害につながることが想定され、対策が必須だ。
 労働局が転倒事故防止対策として例示しているのは、転倒しやすい場所を労働者に周知するほか、防寒対策と合わせて冬道に適した靴底の靴の着用を呼び掛けることなど。墜落対策には言うまでもないが、命綱を着けることが基本となる。また、夏に比べると冬は移動に時間がかかる。移動には十分な時間をみて、控えめな速度で安全運転を心掛けるなど、時間と気持ちに余裕を持ちたい。
 いずれも当たり前のことだが、労働者に意識して心掛けてもらうにはやはり事業所側の働き掛けが重要になってくる。誰もが知っているはず、と安易に片付けず、意識啓発に努める姿勢が必要だ。
 県内では今年1~7月の労災による死傷者が641人、うち死亡者が8人と多発傾向となり、労働局が業界団体に対策の徹底を要請するなど意識啓発を図ったばかり。本県は16年も年間死傷者数が1201人、前年比で約14%増と年間増加率で全国ワーストとなったが、17年の1~7月はその16年の同時期を上回るペースで推移している。例年、冬期の労働災害は本県の年間件数を底上げする傾向にあり、今冬の動向を注視したい。
 本格的に労働災害事故が増えるのは寒さが本格化する12月からという。労働者が事故で休業することは事業所にとっても大きなマイナス。今冬を事故なく乗り切れるよう対策に万全を期してほしい。

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北朝鮮の木造船漂着「不測の事態想定し対策を」

2017/11/25 土曜日

 

 秋田県由利本荘市で、北朝鮮から木造船で漂着したとみられる男性8人が保護された。「船が故障して漂着した」と話しており、過去の例に倣えば所要の手続きを経て帰国することになるだろう。
 同県に限らず、日本海側では北朝鮮から船が漂流してきたり、漂着したりする例が後を絶たない。県内では今月20日に中泊町、21日には深浦町に国籍不明の木造船が漂着したばかりだ。
 国際社会の制裁が強まる中、北朝鮮は国を挙げて漁業に力を入れているという。国連安保理決議履行のため中国は海産物の輸入を停止したが、韓国の専門家によると制裁後も国境付近では取引されているようだ。昨年12月には金正恩氏が平壌市民に大量の魚を振る舞ったと伝えられており、人心掌握に利用する可能性も指摘されている。
 今月7日の朝鮮中央通信によると、北朝鮮は内閣拡大総会で「今年の水産物生産計画を超過して遂行する」方針を確認。同日付の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は社説で、冬場の漁業シーズンで成果を挙げるよう呼び掛けた。
 今回の漂着船には魚を集めるための電球が複数付いており、保護された男性はイカ釣り漁などをしていたと話している。深浦町の漁業関係者によると、ここ何日か日本海は荒れていたという。本県沿岸に立て続けに漂着した木造船も、北朝鮮の漁船である可能性は低くはないだろう。
 北朝鮮が漁業に注力しているのであれば、今後も同様の事案が発生することは十分に考えられる。由利本荘市に漂着した木造船も、潮の流れ次第では本県まで北上していたかもしれない。いずれにせよ、本県でも起こり得るということを認識しておきたい。
 今回は不慮の事故のようだが、脱北者が漂着することも考えられる。実際、深浦町では2007年6月に脱北した家族4人が小型船で入船した。県外では1987年1月に福井県、11年9月に石川県の能登半島沖で脱北者の乗った小型船が漂着している。不審な船や人物を見つけたら、警察などへ速やかに通報することを心掛けたい。
 一方で、万が一北朝鮮で有事が発生した際、船舶による攻撃や難民の脱出なども想定しなければなるまい。北朝鮮は2カ月以上、核実験や弾道ミサイル発射といった大掛かりな挑発をしていない。だが、米国がテロ支援国家再指定を決定したことで、朝鮮半島情勢は再び緊張局面に入る可能性が高まっている。自制していた挑発を再開する恐れがあるとみる専門家もいる。
 板門店で国家への忠誠心が高いとされる兵士が韓国へ亡命するなど、北朝鮮内で何らかの異変が起きていることも考えられる。不測の事態も想定し、対策を講じることが急がれる。

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