社 説

 

今年のさくらまつり「集客力アップへ一層の工夫を」

2019/5/11 土曜日

 

 6日に閉幕した今年の弘前さくらまつり。会期中(4月20日~5月6日)の弘前公園の人出は289万人(まつり本部発表)で、過去最多となった2008年(292万人、準まつり期間を含む)に次ぐ史上2番目を記録した。
 ソメイヨシノをはじめとする桜の魅力に加え、会期中の改元に合わせて企画された祝賀行事や公式応援キャラクター「桜ミク」とのコラボ企画が奏功し、人出を後押ししたようだ。10連休のさなかに行われた今回の祭りは、関係者の知恵と工夫による集客力で盛況のうちに幕を下ろしたといえるだろう。
 今年は園内、外堀、西濠西岸のソメイヨシノが昨年より1日、平年より4日早い4月19日に一斉に開花。気温が高い日が続いた影響で早々と24日に満開を迎えた。ただ、その後数日間低温が続いたため花持ちが良く、ソメイヨシノの見頃が幸いにも長く続いた。
 1日当たりの人出は、祭り初日から26日までは20万人に届かなかったものの、10連休初日の27日に27万人を記録。28日には会期中最多となる39万人、29日には33万人を記録した。令和元年を迎えた5月1日には、新天皇即位に伴う祝賀行事を観覧しようと30万人が訪れた。
 ただ、2日は17万人、3日は13万人と減少し、4日は9万人、5日は7万人、最終日6日は3万人と10万人を割り込んだ。最近は温暖化の影響でソメイヨシノが早咲き傾向にあり、見頃が過ぎると人出も伸び悩む傾向にある。「見頃」を求めて行き先を変える観光客をいかにして呼び込むか、また花の状態に左右されない魅力づくりにどう取り組むかといった点では、まだまだ課題が多い。
 早咲きへの対策として、市は遅咲きの桜の魅力発信に力を入れている。園内ではヤエベニシダレ、弘前発祥の八重桜・弘前雪明かり、関山、鬱金(うこん)など種類も豊富な桜が次々と咲き誇る。まさに、ソメイヨシノが散った後も「見頃」を迎えた桜を楽しむことができるのだ。その魅力の周知に一層努める必要がある。
 「弘前観桜会記念日」の3日には新天皇陛下即位の祝いも兼ねた提灯(ちょうちん)行列が行われ、多くの人でにぎわったが、今後もこうしたイベントを企画し、桜に続く津軽ならではのリンゴの花のPRにも引き続き力を入れてほしい。また、観光客が地元商店街や周辺の観光地にも足を運ぶ仕組みづくりに一層努め、誘客促進に結び付ける工夫が求められる。
 弘前さくらまつりは何と言っても観光都市弘前を代表する祭りであり、桜はその主役だ。ただ、自然相手のことであり、開花の状態に関しては、なかなか人間の都合通りにはいかない。だからこそ、観光都市としての真価が問われることになる。今年の経験を踏まえながら、来年100回目を迎える祭りをさらに盛り上げたい。

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交通死亡事故「抑止へハード対策を急げ」

2019/5/10 金曜日

 

 全国で子どもや若者らが被害に遭う悲惨な交通死亡事故が相次いでいる。大津市では8日午前、県道交差点の歩道で信号待ちをしていた保育園児らの列に乗用車が突っ込み、引率の保育士を含む16人が巻き込まれ、幼い園児たちの命が奪われた。
 4月下旬には、東京都豊島区の交差点などで乗用車が歩行者や自転車を次々とはね、巻き込まれた10人のうち31歳と3歳の母娘が死亡。神戸市では、市営バスが横断歩道を渡っていた複数の歩行者をはね8人が死傷、20代の将来ある若者2人が命を奪われた。
 11日からは「春の全国交通安全運動」が始まる。毎年恒例の運動だが、悲惨な交通事故がこれ以上起こらないよう、関係機関一丸となって啓発活動に取り組んでほしい。ドライバーはもちろん、歩行者らも安全指導の呼び掛けに耳を傾け、事故を起こさない、事故に遭わないことを心掛けてほしい。
 悲惨な交通事故は本県も例外ではない。県警のまとめによると、今月7日現在の交通事故発生件数は前年同期比19件増の958件だが、死者は同4人減の12人。減少したとはいえ、これだけの尊い命が奪われているという現実を受け止め、これ以上犠牲者が増えることがないよう官民挙げた対策が求められる。昨秋にはつがる市森田町の国道で飲酒暴走運転の末、4人もの命が奪われた重大事故があったことも忘れてはならない。
 大津市の事故の場合、車が乗り込んでくるとは誰もが想定していない、安全なはずの歩道上で事故は起きた。神戸市の事故は、歩行者の通行が優先である横断歩道上で起きている。今に始まったことではないが、自らがどんなに運転に注意を払ったり、安全とされる場所にいたりしても、交通事故に巻き込まれる可能性がある。死者を出してしまうという取り返しがつかない事態となってしまっては元も子もない。
 悪質ドライバーに対する厳罰化や車両の安全機能搭載など、これまで幾多にもわたって運転する側への対策は講じられてきたが死亡事故はなくならず、そういった対策の抑止効果にも限界がある。交通安全意識を高めるといったソフト対策はもちろんだが、運転する側の対策のみならず、例えば交通の往来が激しい交差点などでは、完全に歩行者と車両を分離するといったハード対策も急務と言えよう。
 20日までの春の交通安全運動期間中は子どもと高齢者の安全な通行、飲酒運転根絶などを狙いに活動が展開される。安全対策の基本にある交通安全意識の高揚に向けた啓発活動が各地で行われることになる。ドライバー、歩行者がともに安心できる環境づくりに向け、一人一人が対策を胸に刻み、悲惨な事故の防止に努めたい。

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象徴の在り方「皇室も時代とともに変化を」

2019/5/9 木曜日

 日本国憲法において、天皇は「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」「憲法の定める国事のみを行い、国政に関する権限を有しない」と規定されている。 4月30日に退位した上皇さまは、常に国民に心を寄せながら象徴としての務めを果たされてきた。そして戦争経験世代として、先の大戦で多くの命が失われた激戦地を訪問し、追悼するという慰霊の旅を続け、平和を希求する日本の姿を象徴的に示してこられた。
 5月1日に即位した天皇陛下は上皇さまの歩みに触れ、「世界の平和と国民の幸せを願われ、いかなる時も国民と苦楽を共にされながら、その強い御心をご自身の姿でお示しになりつつ、一つ一つのお務めに真摯(しんし)に取り組んでこられました」「上皇陛下がお示しになった象徴としてのお姿に心からの敬意と感謝を申し上げます」とお言葉を述べられた。
 天皇は象徴として存在するが、皇族の在り方は既に、日本の「縮図」であり、別の意味で「象徴」的と言えないか。少子化、そして女性人材をいかに活用すべきかという模索。また「慣例」が重んじられる中で、自分らしさをどのように生かし、新しい生き方に踏み込んでいくのか。今後の在り方が注目される。
 その象徴の一つとも言えるのは皇后さまではないか。ハーバード大学、東京大学などの一流大学で学び、外務省に入省、当時皇太子だった天皇陛下と出会って結婚した。恐らく、ご自身のキャリアを皇室で生かすことを目指しながらも、皇位を継承する男子の出産という女性の役割のみを強く求められる形となった。
 皇后さまはストレスを主因とする適応障害となり、長い療養生活に入られてきた。公務や宮中行事を欠席することが目立ち、その間も多くの心ないバッシングにさらされた。ただ天皇陛下は皇太子時代から皇后さまを支え続け、家族を守るという強い意志を示されてきた。
 日本はプライベートを投げ打ち、仕事や役目に励むことを美徳とされがちだが、もっと自分らしさを守って生きていいはずだ。その時代の変化が「象徴」として、今の皇室に訪れることを期待してもいいのではないだろうか。
 英王室のヘンリー王子は離婚歴のある女性と結婚し、多くの英国民が祝福。6日は第1子が誕生したが、生後間もなく報道陣に公開するという王室慣例を破り、インターネット交流サイトのインスタグラムを通じて披露した。プライバシーをできるだけ守りたいという王子の意志が尊重された形だ。
 日本の皇室がここまで変化することがあるかどうかは分からないが、少しずつでも変わっていいはずだ。それは日本人の意識をもまた、良い方向に変えるきっかけになると期待したい。

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北朝鮮飛翔体発射「国際社会の行動で自制促せ」

2019/5/8 水曜日

 

 北朝鮮は4日、東岸の元山付近から飛翔(ひしょう)体数発を日本海に向けて発射した。朝鮮中央通信は、翌日の報道で、軍部隊の訓練が同日、日本海沿いで行われ、金正恩朝鮮労働党委員長が立ち会ったと報じた。韓国軍は当初、「短距離ミサイル」を発射したと発表したが、その後「短距離の発射体(飛翔体)」に表現を変更している。聯合ニュースによると、韓国軍関係者は「弾道ミサイルではない」と述べており、朝鮮中央通信も多連装ロケット砲や戦術誘導兵器の運用能力の点検などが訓練の目的と説明している。ただ、専門家の分析によると、朝鮮中央通信が配信した写真に、新型の短距離弾道ミサイルとみられる兵器の発射場面も含まれているようで、飛翔体がどのような種類の兵器だったかは、今後のさらなる分析を待つ必要があるだろう。
 今回の飛翔体発射について、正恩氏は訓練の結果を高く評価したとされ「いかなる勢力の威嚇や侵略からも、国の政治的自主権と経済的自立を守るため、戦闘力強化のための闘争を一層力強く進めていかなければならない」と強調したという。飛翔体が弾道ミサイルではなく、通常の訓練であれば、それほど大げさに反応する必要はないのかもしれない。だが非核化などをめぐる2月の米朝首脳会談が物別れに終わったことを受け、正恩氏が「朝鮮半島情勢は元の状態に戻りかねない危険な状況だ」と警告したことを考えれば、今回の訓練には、米韓を揺さぶる狙いがあると考えるのが自然だろう。
 北朝鮮は、2017年の11月に大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」を発射して以来、弾道ミサイルを使った軍事的な挑発行動を控えてきたが、今回の訓練が、こうした前時代的な“砲艦外交”の復活につながるのではないかと懸念する。同国の度重なる弾道ミサイル発射と核実験の強行が、日本のみならず、東アジア地域全体を緊張状態に陥れたことは、記憶に新しい。国際情勢を抜き差しならないものにする危険な挑発行為は厳に慎むべきであり、たとえ国連決議に違反しない兵器を使うものであっても、地域に不安定な要素をもたらす行為は自制するべきと考える。
 北朝鮮情勢については、国際社会が冷静かつ一致した行動をする必要がある。安倍晋三首相と米国のトランプ大統領は6日、電話会談を行い、北朝鮮をめぐる今後の対応について協議した。両首脳は飛翔体について、日米の専門家で協力して分析を進めていくことなどで一致したという。安倍首相は、日朝首脳会談の実現にも意欲を示している。北朝鮮情勢は非核化などの方法をめぐり、交渉が行き詰まった状況にある。2国間、多国間を問わず、国際社会が毅然(きぜん)とした態度の中にも対話を怠らず、北朝鮮を国際的な協調の枠組みに引き込むことができるか。日本の果たす役割は大きいと考える。

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成田千空評伝「『風土の俳人』再評価の集大成」

2019/5/6 月曜日

 

 本県俳壇の中心的存在であったのみならず、全国俳壇で「東北に千空あり」とうたわれた成田千空(1921~2007年)に関する評伝「成田千空伝―大粒の雨降る青田母のくに―」と、千空の句集を1冊にまとめた「合本 成田千空句集」が刊行された。発行日はともに3月31日。千空の98回目の生誕日に当たる。かつて千空に学び、今なお慕う人は、思いも新たに両書を手にしたに違いない。
 千空の没後10年余りを経て刊行された評伝は、千空を知らない読者にもその生涯と事績を分かりやすく伝えてくれる。読者によっては、10代の寺山修司との交流と寺山俳句の評価、太宰治への敬慕と傾倒ぶりに目を見張るだろう。
 千空が終生の地とした五所川原の文芸史にも行を割き、文化的土壌と戦後の社会復興を背景に「地元の文芸運動に俳人・成田千空は必要とされました」との指摘は見落とせない。千空の評価は津軽の風土が重視されがちだったともいうが、庶民としての生活に根差した句作に貫かれていた揺るぎない普遍性にも気付かされる。
 評伝を著した齋藤美穂さんは元県近代文学館解説員で、民間団体「俳人 成田千空研究会」(佐々木達司代表)の調査研究員。2017年に本紙連載「永住の地・五所川原の千空さん」も執筆している。合本は同研究会が編集に当たった。
 千空研究会は、14年に近代文学館で開催された没後初の本格的な回顧展「成田千空」をきっかけに発足した。資料収集と、ゆかりの人物への取材を進め、その成果を季刊の会報「千空研究」で発表してきた。会員は今年2月現在で県内外の64人。顔触れは文芸関係者のみならず画家、写真家など多彩で、千空の地元文化人との交流の幅広さを印象付ける。評伝と合本の刊行も、発足当初から主要事業に掲げていた。
 評伝では、近代文学館の回顧展が没後10年へ向けた千空再評価の機運を高めた―と指摘しているが、再評価の核となったのが千空研究会の活動であることは疑いない。
 著者は、「時代の推移やジャンルの新化とともに」千空の研究がさらに進むことを願っている。著者にとって評伝は再評価の〝一里塚〟かもしれないが、少なくとも現時点ではその集大成と位置付けたい。
 評伝と合本の刊行を果たした同研究会は、会報の発行を、今年11月に予定している第20号で終わらせる予定だ。佐々木代表は、会報が今後の研究の資料として役立てられることに期待を寄せる。
 作品や人物像は、その時々の視点や知見で照らすことにより、新たな側面や魅力が浮かび上がる。その担い手が誰であれ、不断の取り組みが先人の功績をより多面的かつ豊かな形で顕彰することにつながるだろう。

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