社 説

 

後継者不足「早急に手打つべき大きな問題」

2017/10/3 火曜日

 

 「後継者不足」という言葉を聞く機会が増えている。少子高齢化が急激に進む中、1次産業を基幹とする本県では真っ先に農業が頭に浮かぶが、実際はほぼ全てと言っていいほど、幅広い分野が同様の課題に直面している。
 商店街に目を向けるとシャッターを閉めたまま、人影まばらな風景が日常。商店の経営者は現在の経営維持に精いっぱいで、先行きに明るい展望を描けずにいる。後継者になり得る子どもについては「厳しい経営で苦労させるなら、私の代で店を畳んだ方がいい」という声が少なくない。親の苦労を目にしてきた子どもが、生活に不安を抱えるなら県外に職を求めようと思うのも自然の流れだろう。地元の商店・業者の廃業を補うのは、他地域の業者や電子商取引。これでは地方経済はますます衰退する。
 親族に後継者がおらず、体力のあるうちに廃業する「黒字廃業」を検討する中小企業も増えつつあるという。中小企業庁の推計によると、中小企業は全国に約380万社あるが、2015~20年の間に経営者30万人ほどが70歳に達するとされる。同庁は親族以外の第三者への円滑な事業承継に向けた支援などを行うことで地域の雇用維持や技術流出防止などを図る方針を固めた。
 国は企業や1次産業を対象とした取り組みを行ってはいるが、後継者不足は経済以外にも影響を及ぼしている。地域に根差した伝統行事がその一つ。かつて出陣台数の多さを誇った黒石ねぷた祭りは、減少傾向に歯止めがかからない団体数に加え、特徴とされた人形ねぷたも昨年より2台減って3台だけになった。作り手や参加者がこのまま減っていけば、歴史ある行事は途切れてしまう。同様の危機にひんした行事が各地にある。
 先日、黒石市内の幼稚園で開かれた郷土芸能教室は、後継者不足解消には幼い頃から津軽民謡などを身近に感じてもらうことが大事だと考えた民謡歌手らと、古里の文化を大切にしてほしいとする園側の思いが一致したことで実現した。人気のアニメ主題歌を津軽三味線で演奏したり、黒石よされ節をアニメ映画のテーマ曲の歌詞で歌ったりと工夫。年少児も飽きることなく楽しんだ。
 郷土芸能の継承者を育てるには、常に近くに感じる環境をつくり、失ってはならないという意識を自然に植え付ける必要がある。「敷居が高い」などの先入観を持たない園児を対象にした今回の教室は、将来に向けた効果的な取り組みと言っていいだろう。
 伝統文化を失うことは、その地の特徴を失うことである。住民は特徴のない地に愛着を持って住み続けるだろうか。文化、経済など多くの分野が抱える後継者不足は、古里を“消滅”させかねない大きな問題であることを認識し、早急に手を打たなければならない。

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キノコ採りシーズン「安全最優先で楽しみたい」

2017/9/30 土曜日

 

 県内は秋の山菜採りシーズンを迎え、休日を利用してキノコ採りなどを目的に入山する人も多いことだろう。山菜採りは今や、レジャーの一つとして多くの人が楽しむようになった。
 ただ、注意したいのが入山中の遭難事故だ。毎年後を絶たず、時には命を失うケースもある。特に秋は天候が変わりやすいほか、日没も次第に早くなるため、事前に天気予報を確認し、慣れた山でも無理をせず、自分の体調や体力にあった行動を心掛けたい。
 県などのまとめによると、今春(4~7月)の遭難事故発生件数は17件と、過去5年間で最少となり、遭難者数は22人で前年同期比3人減となった。一方で、昨秋(9~11月)の遭難件数は13件と前年同期比2件減となったものの、遭難による死者・行方不明者は6人に上り、過去5年間で最も被害が多かった。秋は春に比べて遭難件数が少ないものの、死者・行方不明者は後を絶たない。
 今春の遭難者は全員が60歳以上だったほか、昨秋の遭難者も、ほどんどが60歳以上と、近年高齢者の遭難が目立つ傾向にある。秋の遭難事故は、キノコ採りで山に入る人が多い9月、10月に集中しているが、昨秋は11月になってからも3件発生している。また、昨年発生した遭難事故の特徴の一つとして、道に迷ったケースが多く見られた。
 遭難者の多くは、山菜採りに夢中になるあまり道に迷ったり、無理をして崖などから転落している。遭難を防ぐには、まず、目先の収穫よりも安全第一を心掛けることが大事だ。また、できるだけ2人以上で出掛け、家族などに行き先や帰宅時間を知らせることや、秋は日没が早いため、下山も早め早めを心掛けるようにしたい。
 高齢者の遭難がほとんどを占めている傾向を見ると、自分の体力や体調に合わせ決して無理をしないことも大事だといえる。急病に見舞われるケースもあるため、体調管理を万全にして臨みたい。また、「毎年訪れる慣れた山だから大丈夫」といった過信も禁物だ。入山は常に危険と隣り合わせであるということを忘れてはならない。万一迷った場合は、日没後は歩き回らず、救助を待つようにしたい。
 最近はクマへの注意も必要だ。山菜採りなどで山に入った人が襲われるケースが目立っており、出没情報を確認し、クマがいる山には入らないようにしなければならない。
 県内はこれから本格的な紅葉シーズンを迎える。山菜採りのみならず、さまざまな山のレジャーを楽しむために週末などを利用して入山する家族連れらが多いことだろう。楽しいはずのレジャーが暗転することがないようルールやマナーを守り、安全最優先を心掛けて楽しんでもらいたい。

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衆院解散「政策本位の選挙戦を」

2017/9/29 金曜日

 

 28日召集の臨時国会冒頭で衆院が解散され、10月10日公示、22日投開票の日程で衆院選が行われることが決まった。衆院解散は約2年10カ月ぶりで、「1票の格差」是正のため成立した改正公選法の適用により、小選挙区の定数は、戦後最少の計465で争われる。これにより、本県の小選挙区の定数も4から3へ1減となり、新たな区割りでの選挙戦が行われる。28日は事実上の選挙戦がスタートし、本県各選挙区でも候補予定者が早速、街頭などで支持を訴えた。
 安倍晋三首相は、政権の看板政策「アベノミクス」の継続や消費税率10%への引き上げに伴う増収分の使途見直し、緊迫する北朝鮮情勢を踏まえた圧力重視の北朝鮮政策の意義などを訴えている。一方で、野党側は加計・森友問題をめぐる疑惑は解消されていないなどと主張。確かにこうした問題に対する疑惑を払拭(ふっしょく)するための論戦を臨時国会で行うこともしないままの国会冒頭解散は「追及逃れ」との批判を免れない。消費税増収分の使途変更などの議論も不十分であり、唐突感は否めない。野党の準備不足を突いた「大義なき解散」との目を有権者から向けられるのもやむを得ないだろう。国民が選んだ民意の代表である衆院を解散するのには、相応の理由がなければならない。党利党略のための「解散権の乱用」でないのであれば、与党勢力はこの選挙戦で存分に訴え、有権者の信を問わねばならない。
 その選挙戦で、与党勢力と対峙(たいじ)する野党側も、第1党の民進党は、有権者を前に混乱ぶりを露呈した。小池百合子東京都知事が代表を務める新党「希望の党」への事実上の合流を決めたが、選挙公約の発表も済んでいない党とどのような共通理念を持って共に戦おうというのか、国民にはまったく見えてこない。理念なき合流であれば、新党への追い風を当て込んだ「選挙互助会」であるとの批判を受けることになるだろう。
 民進党に代わり野党結集軸の一端を担うことになる希望の党も小池都知事の人気ばかりが先行し、同党の目指すものが見えづらい。綱領に書かれた「改革保守」や「しがらみのない政治」をどのように実現するのか、政策実現に向けた具体的な道筋が見えなければ、自公政権に代わる選択肢としての存在感を見いだすことはできないだろう。
 衆院は解散となった。有権者の都合より、政治家の都合ばかりが優先されているように見える「政治劇」はもうこれで終わりだ。
 与野党を問わず、今後は有権者に直接自らの考えを示し、支持を得ていくことになる。有権者がしっかりと判断できるよう政策本意でこの選挙を戦ってもらいたい。国民も今後、4年間の国のかじ取りを決める重要な選挙だ。各党の主張に耳を傾け、誤りのない判断をしたい。

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御嶽山噴火から3年「防災と共生、併せ持ちたい」

2017/9/28 木曜日

 

 登山者ら58人の死者を出し、戦後最悪の火山災害となった御嶽山(長野・岐阜県境)の噴火から3年が過ぎた。大規模な捜索は2015年8月に終了し、行方不明者は取り残されたままだ。
 捜索は断続的に続けられている。21日には遺族や行方不明者家族でつくる「山びこの会」が、山頂付近の入山規制区域に許可を得て立ち入り、小型無人機(ドローン)による捜索を行った。今後、画像を分析して手掛かりがないか調べるという。行方不明者が一刻も早く見つかることを願ってやまない。
 犠牲者の冥福を祈ると同時に、悲劇を繰り返さない取り組みが必要だ。御嶽山の噴火を教訓に、自治体の防災体制を強化するために活動火山対策特別措置法が改正され、15年12月に施行された。政府は同法に基づき、噴火で住民や登山者に被害が及ぶ恐れのある「火山災害警戒地域」に、全国49火山周辺の23都道県と140市町村を指定した。49火山の中には岩木山、八甲田、十和田も含まれる。
 同地域に指定された自治体は、専門家らでつくる火山防災協議会の設置が義務付けられた。県内でも各地で協議会が設置され避難ルートや手段などを議論し、避難計画を策定している段階にある。各火山ともすぐに噴火する危険があるわけではないが、計画策定をできるだけ急いでもらいたい。
 近年、火山被害が発生していないこともあり、県民の火山に対する防災意識は高いとは言えない状況だ。県は今年5月、小学校高学年向けの「火山防災DVD」を作成し、火山周辺自治体に配布したほか、各地域県民局などで貸し出している。子どもの頃から火山に関する知識や防災方法を身に付けることは効果的であり、積極的に活用してほしい。
 長野県では、火山防災の普及啓発に当たる「火山マイスター」の育成に向けた取り組みが進められている。マイスターの候補者は、山岳ガイドや教職員、被災経験者らを想定。認定審査を受けるために、火山防災の基礎知識を学ぶ講習なども受けてもらい、今年度末にも初の認定者が誕生する予定となっている。
 一方で火山と共生する地域づくりに向けた取り組みも進む。多くの登山者や観光客に訪れてもらうため、情報発信拠点としてのビジターセンター設置の議論が進められている。自然環境の解説や観光案内をベースとしつつ、火山防災の情報発信も行う。麓の自治体は年度内にも設置場所や展示内容、施設の実施計画をまとめる方針だという。
 これらの取り組みは噴火災害の教訓を後世に伝え、火山と共生する地域づくりへの好例と言えよう。岩木山を見れば分かる通り、火山は普段さまざまな恵みをもたらしてくれる。県内でも防災意識を高めると同時に、共生に向けた取り組みが広がることを期待したい。

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だしの普及「仲間と味わいながら学ぶ場を」

2017/9/27 水曜日

 

 「脱短命県」を目指した取り組み「だし活」が地域に浸透するよう、関係者が環境づくりに力を注いでいる。
 弘前大学などが今月、「だし活キッチン」と称した事業をスタートさせた。14日、青森市内で料理研究家による講習会を開き、県内各地区でリーダーを務める食生活改善推進員に減塩の知識や調理方法を学んでもらった。さらに、受講者には各地区で料理教室を開き、その知識を他の推進員らに伝えてもらうことになっている。料理教室は25日の弘前市を皮切りに、約8カ月かけて県内8地区で開かれる予定という。
 だし活は、減塩を進めて本県の平均寿命を延ばすことを目的としたもので、県が2014年度に着手し、だしとして使う素材を掘り起こしながら、企業などと協力して関連商品の開発などに努めてきた。取り組み3年目の昨年からは、地域・家庭単位でも活動が進むよう、その環境づくりに尽力している。弘大が食生活改善推進員を通じて減塩の知識を広めることも、県の考えに合致している。
 塩分摂取量を減らすために「だし」が有効だという話をだいぶ耳にするようになってきたが、県民に定着するか否かは関係団体による環境づくりに懸かっており、大いに期待したい。
 弘大の健康づくり事業を主導し、だし活キッチンにも関わる弘大大学院医学研究科の中路重之特任教授は、食生活を改善する上で「仲間づくりが重要。人から人へと伝えていく仲間が増えれば、町(地域)全体が健康づくりを意識する風潮ができていく」と強調する。食生活改善推進員を軸に今回の事業を進める理由もそこにあるのだという。
 だしの有用性を実感してもらうには、だしを使った減塩食を実際に食べてもらうことが一番だろう。しかし、そのような料理が提供される場は現状、それほど多くない。そこで、地域と日ごろから関わりを持つ食生活改善推進員が料理教室などを開いてくれれば、住民も参加しやすく、関心を持ってくれるのではないだろうか。
 だし活キッチンの料理教室に参加した食生活改善推進員たちが今後、継続的に住民向けの教室をそれぞれ開いてくれることを期待したい。回数を重ねることによって参加者たちが減塩の知識を身に付けることだけにとどまらず、仲間意識を持ってだしを使った減塩食についてアイデアを出し合うといった動きも出てくるかもしれない。
 本県にはサメや焼き干し、スルメイカなど豊富なだし素材があるという。それらを使った料理をあれこれ考案するのも楽しいだろう。知識を頭に詰め込むだけの“無味乾燥”な取り組みを長く続けるのはつらい。仲間とともに、おいしく味わいながら、だしの有用性を学べる場を増やしたい。

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