社 説

 

インバウンド「19年も好調維持を」

2019/1/5 土曜日

 

 観光庁の統計調査によると、本県に宿泊した外国人は2018年1~10月で25万150人(速報値)となり、17年1年間の実績24万2980人を上回った。統計開始以来の最多を更新。10月だけで5万1760人が宿泊、10月単月では宮城県を抜いて初めて東北最多となった。
 調査は従業員が10人以上の宿泊施設が対象。外国人宿泊者数は東北6県すべてで前年同期を上回っているが、10月時点で外国人宿泊者数が20万人を超えているのは宮城県(27万7370人)と本県だけ。本県は前年比の伸び率も突出しており、宿泊施設数やアクセスの利便性などを考慮すれば、特に本県の人気、評価が高く、観光地として選ばれていると言えるだろう。19年もこの好調を維持し、観光が本県経済の一層の振興につながるよう、取り組みを続けてもらいたい。
 外国人がどの国、地域から来たかを見ると、最も多いのが台湾の7万7700人で、次いで中国が6万4060人、韓国が3万2680人。さらには香港、米国、タイ、シンガポール、オーストラリアから観光客が本県を訪れている。いずれも前年同期に比べて増えているが、中でも台湾は22%増、中国は25%増、韓国は31%増。これはやはり青森空港発着の国際定期便の下支えが大きいと言える。
 台湾のエバー航空が17年11月~18年3月にかけて青森空港と台北を結ぶ初の定期チャーター便を運航し、17年5月に就航した奥(オー)凱(ケー)航空(中国)の青森―中国天津線は今冬に週4便へ増便。韓国の大韓航空の青森―ソウル線は17、18年と2年連続で冬期間に週5往復が実現した。
 エバー航空は今夏、青森―台北間の国際定期便の就航を発表しており、今年は台湾からの外国人観光客がさらに増加することが見込まれる。青森空港ターミナルビルのリニューアルも着々と進み、国際線などの旅客取扱施設のスペースが広くなる予定。19年は空からのアクセスが一層便利に、快適になることだろう。
 空路の充実ばかりではなく、各国・地域の特徴に合わせた情報発信や、旅行エージェントらに対する商品造成の働き掛け、北海道南や北東北と連携した広域観光、立体観光の取り組みなど、これまでの継続した取り組みは一定の成果を上げている。蓄積したノウハウを基に効果的な取り組みを進め、多様化する旅行ニーズに的確に対応してもらいたい。
 10月は紅葉シーズンで、観光客に人気の季節だった。昔なら雪に覆われる冬は観光の閑散期だったが、外国人観光客には雪景色やウインタースポーツなど冬のコンテンツの人気も高く、魅力的な通年観光を展開できる要素は十分にある。
 人口減少が進み、マーケットの縮小が懸念される中、観光振興は本県経済にとっても、地域振興や人との交流という側面をとっても、今後ますます重要になってくる。19年の本県観光に注目したい。

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新元号公布・公表「国民生活第一に親しめる元号に」

2019/1/4 金曜日

 

 天皇陛下の退位に伴い、4月30日に「平成」は30年と約4カ月で幕を閉じる。これに伴い皇太子さまが5月1日に新天皇に即位、新元号に改められる。この改元に先立ち、新時代を象徴する新元号は4月1日に公表される見通しのようだ。長きにわたって使用される元号であり、誰もが親しめるものであってほしいと考える。
 元号は漢字2文字で、過去に使われていないことなどが条件とされる。中国の漢代に始まったとされ、日本においては、いわゆる「大化の改新」で知られる飛鳥時代の「大化」が初。古くは天災や即位などを契機に改元が行われたが、明治期からは天皇一代ごとに改元する「一世一元制」が採用され、明治、大正、昭和、平成と続いてきた。
 「明治」は天下が明るい方向に向かって治まる、「昭和」は国民の平和と世界各国の共存繁栄を願うという意味を込めているなど、それぞれ思いが含まれているにもかかわらず、その意図とは反して、明治の前の慶応から数えても昭和までの間、戊辰、日清、日露、日中、太平洋などと冠した戦争で、わが国は戦乱に巻き込まれてきた。それだけに天皇陛下が昨年12月20日の会見で「平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵(あんど)しています」と語ったことには考えさせられるものがある。
 さらには、長く先代崩御に伴う新天皇即位と改元が続いてきたのだが、今回は存命中に、しかも、江戸後期の光格天皇以来約200年ぶりに太上天皇(上皇)が誕生することになり、何かと話題が多い。
 首相官邸高官は新元号が事前に報じられた場合は差し替えるとまで言及しており、閣議の際には情報漏れを防ぐために閣僚の携帯電話を取り上げるという強い意向も示している。これまでにない厳戒態勢が想定されそうだ。「大正」から「昭和」への改元時、新元号が誤って「光文」と報じられた光文事件の時とは比較にならないほど情報伝達手段が発達している現代においては、慎重な上にも慎重を期す必要があろう。
 新元号公布に当たっては、国民生活への影響も十分に考えるべきだ。新元号が記載できないカレンダー業界の苦悩や和暦を採用している行政システム改修の必要性も報じられており、改修には一定の時間を要するため早期の公表が望まれている。
 このほか、新元号を転機とした景気活性化に弾みをつけることを考え、民間の取り組みを政府は後押ししてほしい。例えば、過去の元号は大学名や民間企業名に冠されるケースが多数あった。新元号にちなんだ商品開発も考えられよう。公表・公布時期をめぐっての政府内の意見対立もあったようだが、まずは国民生活を第一に取り組んでほしい。

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米朝首脳再会談「求められる明確な成果」

2019/1/3 木曜日

 

 「いつでも再び向き合う用意ができてる」。北朝鮮国営・朝鮮中央テレビなどによると、金正恩朝鮮労働党委員長は1日、施政方針演説に当たる「新年の辞」で、こう演説し、トランプ米大統領との再会談に意欲を示した。トランプ氏も同日、ツイッターで「会うことを楽しみにしている」と発信し、現実味を帯びてきた。再会談は歓迎できる。しかし、北朝鮮の非核化を確認できない現状のまま、両首脳の〝実績づくり〟のためだけの再会談であってはならない。
 正恩氏は演説で「われわれは既に、これ以上核兵器を製造したり、試験したりせず、使用も移転もしないと内外に宣言し、さまざまな実践的措置を取ってきた」と強調した。この通りならば、昨年6月の米朝首脳会談の成果であるが、この言葉をそのまま信じるのは危険だ。
 昨年11月の国際原子力機関(IAEA)定例理事会では、天野之弥事務局長が声明で、北朝鮮が寧辺の核施設で、軽水炉部品を製造した形跡があると明らかにした。米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」も、高濃縮ウランの製造用と疑われる施設が他に多数あるとの見方を示している。
 米朝首脳会談が歴史的な出来事であったのは確かだが、共同声明には核問題に関する「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」の文言はなく、具体策も両国の高官らによる継続協議とされた。IAEAは現場に査察官を送れない状況では「分析は難しい」とし、継続的に核活動を行っていると認識している。正恩氏が主張した「実践的措置」を、国際社会に認めさせるなら、すべての施設を明らかにした上で、査察官を受け入れなければならない。
 正恩氏はこれまでのような対米批判を抑えながらも、米国の制裁・圧力については「自主権と国家の最高の利益を守護し、朝鮮半島の平和と安定を実現するため」に「新しい道を模索せざるを得なくなる」と警告。非核化に対する「相応の措置」を求めるとともに、自国民に向けて、圧力に屈しない強い国家であることや自身の正当性、米国と対等に交渉できる立場であることをアピールし、求心力を高めようとしたと受け止めることもできそうだ。
 両氏はこれまでも、再会談に前向きな姿勢を見せている。ただ、実務者や高官級の協議は行われておらず、トランプ氏が「1月か2月」と見通しを示した日程の裏付けもない。北朝鮮については核問題に加え、わが国が抱える拉致問題も未解決のままである。初会談は非核化などに向けた一歩であり、トランプ、正恩両氏にとっても大きな実績になったのは確かである。ただ、再会談の場合、初会談程度の内容でとどめるわけにはいかない。国際社会が求めるのは検証可能な核放棄など、明確な成果である。

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新年に思う「激動乗り越える挑戦の一歩を」

2019/1/1 火曜日

 

 「激動の一年」だった2018年が終わり、新年が幕を開けた。この「激動の一年」は、毎年のように使われてきた言葉。今年も5月に年号が変わり、新しい時代を迎えるなど、容易に思い浮かぶだけでも多くの動きや変化がある「激動」の年になりそうだ。
 統一地方選や参院選などが行われる選挙イヤー。県内選挙のうち、知事選の投票率は、07年を底に少しずつ向上してはいる。とはいえ、前回選(15年)でも43・85%にとどまる。最も身近な選挙の一つであり、自身の意思を示すことができる貴重な機会を自ら放棄していいのか。考えてほしい。
 米国の環太平洋連携協定(TPP)離脱後に11カ国でまとめた新協定「TPP11」が、先月30日に発効した。世界全体のGDP(国内総生産)の約13%を占める広域経済圏の誕生である。輸入牛肉などに課す関税を段階的に引き下げる一方で、豪州のコメに最大8400トンの無関税枠を設定。国内市場が縮小する中、本県などの産地は、輸入品と国内市場を奪い合うことになる。さらに新たな日米貿易協定交渉も、米国がTPP以上の譲歩を日本に迫るとみられ、わが国産業全体が注視している。
 政府は先月20日、月例経済報告などに関する関係閣僚会議で、現在の景気拡大が戦後最長の「いざなみ景気」に並んだ可能性が高いとの認識を示した。ただ戦後最長と言われても、地方を中心に実感はない。農業を基幹産業とする本県を例に挙げると、生産者が潤わない限り、県全体の経済活性化は期待できない。
 このままの状態で10月の消費増税を迎えたらどうなるのか。仮に地方経済が活性化できたとしても、大きな衝撃を与えたバブル景気崩壊以降、消費者に家計抑制意識が根付いており、一時の対策で買い控えが回避できるとは思えない。
 昨年末にかけては、米中貿易戦争などから景気の先行きに対する不透明感が強まり、世界的に株価が急落。東京株式市場の大納会でも、株価は7年ぶりの前年割れ。東日本大震災や欧州債務危機があった11年以来で、12年12月の第2次安倍内閣発足後初めて。市場関係者も「しばらくは注意が必要」とする。
 このほか、日韓関係や北方領土問題なども引き続きの課題に挙げられる。
 国民の祝日に関する法律で「元日」は「年のはじめを祝う」日とされている。初詣で今年一年の家内安全、商売繁盛などを祈願する人も多いだろう。たった1日、日が変わっただけで、18年が昔のように感じるのは、「年のはじめ」に気持ちを切り替えるからか。5月の改元で新たな時代を迎えるに当たっても、同様かもしれない。「激動」を乗り越えるには、国民一人ひとりが新たな気持ちで、挑戦する必要がある。きょうをその一歩としたい。

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18年を振り返って「目立った不祥事と不透明」

2018/12/31 月曜日

 

 2018年も残すところあと1日となった。きょうは平成最後の大みそか。元号が変わるまで4カ月あるとはいえ、感慨を覚える方も少なくあるまい。
 一つの時代の終わりを象徴する今年の出来事として、オウム真理教の元代表松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚と死刑が確定した元幹部12人全員の刑執行が挙げられるだろう。地下鉄サリン事件(1995年)をはじめ教団が引き起こした一連の事件の衝撃は今なお忘れられない。しかし、松本元死刑囚は事件の動機や詳細を最後まで示さなかった。われわれの「なぜ?」は宙に浮いたままだ。
 残念という点では、今年は省庁の不祥事が目立ち、国の信頼が大きく揺らいだ一年だった。
 学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐり、財務省が決済文書を改ざんしたり学園側との交渉記録を廃棄したりしていた問題では、国有地を管理する理財局の当時の局長だった佐川宣寿国税庁長官が辞任、関係者20人が処分された。証人喚問で、改ざんの経緯などについて「刑事訴追される恐れがある」と繰り返し証言を拒否した佐川氏の姿勢に不信感を抱いた人は多いだろう。売却価格が約8億円値引きされた妥当性についても、会計検査院による再検査では言及されなかった。この問題も核心が不透明なまま幕引きを図られた感は否めない。
 存在しないとされていた陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報が見つかり17人が処分された問題もまたしかり。中央官庁では障害者雇用の水増しが発覚した。
 国会では、外国人就労拡大に向けた改正出入国管理法の審議をめぐる政府・与党の強引さが目立った。選挙権年齢は満18歳以上に引き下げられたが、政府・与党は胸を張ってこの手法を「これが政治だ」と示すことができるだろうか。しがらみのない若者の言動は率直だ。来夏は参院選が予定されている。
 本県に目を向けると、今年は弘前市で櫻田宏氏が、五所川原市では佐々木孝昌氏がそれぞれ市政の新たなかじ取り役に就いた。津軽圏域8市町村の医療を支える中核病院構想は、櫻田氏が支持する、国立病院機構弘前病院と弘前市立病院を再編する県提示案で決着。2019年度の予算と人事で示される、新市長の“カラー”に注目したい。
 文壇では、十和田市生まれの高橋弘希さんが津軽を舞台とした「送り火」で、本県ゆかりの作家としては57年ぶり、2人目の芥川賞を受賞。その一方で、弘前市出身の直木賞作家・長部日出雄さんが亡くなった。津軽の風土と人を基底に日本のルーツも探求し続けた長部さん。2016年に弘前市内で開かれた講演会で強調した「津軽には世界の最先端につながるダイナミズムがある」は、単なる地元びいきではない。広大かつ深遠な世界観をもっと聞きたかった。

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