社 説

 

豪雪対策「無理せず安全第一に」

2012/1/11 水曜日

 

 青森市の積雪が警戒値の1メートルを超えたことや除雪中の事故で犠牲者が相次いでいることを踏まえ、県は10日、豪雪警戒連絡会議を開き、各部局が連携して除排雪や交通障害などに対応する方針を確認した。
 県消防防災課によると同日午後3時現在、積雪量が最も多いのは青森市の106センチで、次いで五所川原市76センチ、弘前市56センチなどとなっており、いずれも1月中旬の平均値を上回った。また累積降雪量も全県的に平年を上回り、データ的にも今冬の大雪傾向を裏付けている。
 昨年末から大雪に見舞われている青森市も同日、豪雪対策本部を設置し除排雪の強化を指示した。市内は各所で寄せ雪が山のように積み上げられ、道幅が狭まった生活道路は車1台がやっと通れる状況だ。幹線道路であっても見通しの悪い交差点が多く見受けられ、事故の危険性が高まっている。
 積雪量では青森市の半分程度の弘前市でも市民生活に悪影響が出ている状況に変わりはなく、同日には一斉排雪に着手した。これは14日からのセンター試験や16日からの新学期を前に道路状況を改善し、特に子どもたちの安全を確保したいという考えからだ。
 このように事故の危険性が高まっている状況だからこそ、ドライバーと歩行者双方には事故を未然に防ぐという意識が必要だ。時間に余裕を持って出発しスピードを出さない、交差点では何度も安全確認するといったことは、最低限のルールだろう。歩行者も車道を歩く場合、自ら後方の安全を確認する配慮が求められる。
 一方、県内では雪下ろし中に屋根から転落するなど事故が相次いでいる。9日現在で6人が死亡、負傷者数は78人に上っている。
 繰り返し指摘されていることだが、雪下ろしの際には命綱を付ける、複数で作業をするといった対策が肝要だ。家の周辺での作業にも危険は潜む。突然落ちてきた屋根雪に埋まってしまう、誤って流雪溝に転落するといった例もある。
 加えて青森市では昨年12月30日、作業中の除雪車に新聞配達員がはねられ死亡する痛ましい事故が起きている。作業を知らせる看板が設置されていなかったほか、誘導員も機能しなかったことが分かっており、市は全委託業者を集めて安全手順の徹底を指示した。
 青森地方気象台によると11日は強い冬型の気圧配置となり、日本海側を中心に大荒れとなる見込みだ。また17日までの週間予報でも日本海側では雪や曇りの日が多く、気温も平年並みまたは平年より低くなる見通しで、当分は雪が降り続きそうだ。
 北国の宿命ではあるが、除雪作業であれ、雪道の運転であれ、改めて危険性を認識した上で、無理をせず、安全第一を心掛けたいものだ。

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再生エネルギー 「ものづくり」から国家再興を

2012/1/10 火曜日

 

 わが国に未曽有の被害をもたらした東日本大震災の発生からあすで10カ月。震災に伴う東京電力福島第1原発事故は、原発を抱える世界各国に波紋を投げ掛けた。安全性に対する不安は誰しも認めるところだが、国内の電力を賄うためには、代替電源確保が必要であり、まだまだ原発に頼らざるを得ないのが現状だ。
 その中でさまざまな再生可能エネルギーに注目が集まっている。実用化が進んでいるのが太陽光発電。基準緩和などを追い風に、全国でメガソーラー(大規模太陽光発電所)建設が相次いでいる。県内でも東北電力が昨年12月、同社初の営業運転を八戸市で開始。年間発電量は一般家庭約500世帯の使用量に相当する160万㌗時程度を見込んでいる。同社の安倍宣昭副社長は運転開始式で「震災からの復興の一助になることを祈っている」と話したように、特に原発事故の“後遺症”に苦しむ東北にとっては復興のシンボルにもなる。
 脚光を浴びている代替エネルギーはほかにもある。重電・造船メーカーなどが開発に乗り出した海洋エネルギー発電がその一つ。三井造船が採用したのは、海面に浮かべた装置で波の上下動により発電する仕組み。三菱重工鉄構エンジニアリングは打ち寄せる波に着目し、発電装置を防波堤に設置する。川崎重工業などは風車のような装置で潮流を捉えるもの。しかし障害も少なくない。建造や維持管理などのコストだ。国内では1970年代から海洋エネルギーを利用した発電の技術開発を進めてきたが、いまだ実用化に達していないのはこのためだ。
 東芝など電機各社も環境配慮型都市(スマートシティー)関連事業に力を入れるようになった。家庭や商業施設などで使う電気需給を街全体で調節し、二酸化炭素排出量削減につなげるというもの。原発事故による電力不足を受けて期待は膨らんでおり、各社とも成長事業と位置付け本腰を入れる。
 不景気による消費の低迷に加えて、円高や欧州経済危機と、新しい年を迎えても、わが国経済に好転の兆しは感じられない。技術開発を武器に世界トップクラスの経済大国となった歴史を振り返ってみよう。各社が展開する新技術の開発競争は、ものづくり国家という原点に立ち返るもので、新たな国際競争力を生み出すチャンスと言えるだろう。
 開発支援や各種制度の創設といった強力なバックアップが国に求められる。化石燃料と違い枯渇する恐れや二酸化炭素排出がなく、放射能汚染もない。新たな産業として経済復興も期待できるなら、国民の理解は得られやすいはずだ。クリーンな発電分野において、得意とするものづくりで世界を牽(けん)引(いん)しよう。それが原発事故を経験したわが国の責務ではないだろうか。

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成人の日 柔軟な発想で未来を切り開け

2012/1/9 月曜日

 

 きょうは「成人の日」。新成人の皆さん、おめでとう。
 世間一般にはこの日をもって「大人の仲間入り」という言い方をし、成人の日を定めた国民の祝日に関する法律も「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」と定めている。
 成人式に出席して祝辞を受けても「ああ、大人になったんだ」と実感することは難しいかもしれない。この日を誰よりも喜び、感慨深く思っているのはご両親のはずだ。新成人として最初の振る舞いに、ご両親へ感謝の言葉を贈ることを提案したい。気恥ずかしいかもしれないが、これ以上の恩返しはないだろう。
 さて、自覚が有る無しにかかわらず、20歳になった皆さんを社会は大人の一人として扱い、法律を適用していくことになる。
 分かりやすい例が事件の加害者になった場合の対応だ。未成年者が罪を犯した場合、少年法の規定で氏名は伏せられ「少年A」などと発表されるが、満20歳以上は実名。社会の庇護はなく、制裁を受け、最後まで自ら責任を負わなければならない。
 20歳になって初めて許される酒やたばこも、度を超せば害になる。特にたばこは喫煙者だけでなく、煙が周りの人の健康に悪影響を及ぼすことが明らかになって久しい。手にした権利は、使い方を間違えると社会の迷惑にしかならない。自制をし、他人の立場を思いやるという多角的視点を持ち合わせたい。
 国内の就職環境は改善の見通しに乏しく、就活に苦労を重ねている新成人もいるだろう。近年は非正規労働者が増え、給与所得は伸びず、少子高齢化に起因する年金問題などへの不安から明るい未来を描くことが難しくなっている。政治が日本の針路を示すべきなのだが、それを語らない、あるいは語れない政治の貧困と有権者は、結局のところ同罪である。
 「あれが悪い」「誰も教えてくれない」と不平不満を言っているだけでは格好が悪い。考え、知恵を働かせ、自ら汗を流すことで状況は変わっていく。20歳になって手にした選挙権はそのための手段の一つであり、これからの選挙でぜひとも行使してほしい。
 東日本大震災が起きた「3・11」を境に、物資を大量に消費するといった従来のライフスタイルを見直す動きがみられる。行き詰まっている社会システムを変えられるのは、柔軟な発想と行動力だ。日本社会が大きく変革し、近代国家の幕開けとなった明治維新で中核を成したのは20代や30代の若者たちだった。
 新成人の皆さんが手にしているのは法律上の権利だけではない。これからの未来をつくる無数の可能性がある。皆さんが日本の希望である。

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一体改革素案「国民目線で十分な議論を」

2012/1/7 土曜日

 

 政府・与党の社会保障改革本部が、消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革素案を決定した。
 消費税率は2014年4月に8%、15年10月に10%へ段階的に引き上げ、税収は年金や医療、介護、少子化対策といった社会保障に充てるというものだ。
 関連法案を年度内に通常国会に提出する方針だが、野党は協議に応じない姿勢を示し衆院解散・総選挙を求め、与党内にも増税反対論がくすぶっている。
 今後の動向が政局の焦点となるが、生活に直結する重要な問題であるだけに、国民目線に立った議論を十分に尽くしてもらいたい。
 一体改革は、国の厳しい財政事情が背景にある。政府が昨年末にまとめた12年度予算案では「借金」に当たる国債発行額が当初予算段階で3年連続で税収を上回り、歳入に占める割合は49・0%と過去最悪となった。
 少子高齢化で社会保障費が膨らむ一方のため、このままでは将来世代への負担が増すばかりだ。国債依存度が高い財政運営が限界にきているのは明らかであり、再建に向けた抜本的な改革は不可欠だ。
 ただ、その実施に当たっては不公平感があってはならないし、弱者にしわ寄せがいくような仕組みは避けなければならない。
 素案の柱となる消費増税は、これまでも指摘されているように、低所得者ほど負担割合が増す「逆進性」が課題となろう。
 当初検討された食料品などの軽減税率は見送られ、単一税率とする代わりに、低所得者対策として給付付き税額控除の導入や基礎年金加算などを打ち出しているが、果たして真の対策となり得るのか疑問が残る。経済低迷が長引く中で、消費増税の景気への悪影響も懸念される。
 その一方で、社会保障費の抑制や効率化は、本来よりも高い水準に据え置かれている年金の減額などにとどまっており、財政再建には、より踏み込んだ改革が不可欠であろう。
 また、国民に負担を押し付ける前に、国会議員の定数削減や行財政改革に取り組むのが先であるのは言うまでもない。
 素案には衆院議員定数を80削減する法案を国会に早期に提出することなどを盛り込み、こうした政治改革・行政改革を消費増税の前提としている。
 実施には野党はもちろん、身内の与党内の協力を得る必要があり、ねじれ国会の下で、果たして実現にこぎ着けることができるのか。まさしく野田佳彦首相の指導力が今後問われることになる。
 素案をめぐる動向が政局の大きな焦点ではあるが、くれぐれも国民不在の議論に終始しないでもらいたい。

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自転車環境整備「弘前らしい施策展開を」

2012/1/6 金曜日

 

 東日本大震災で直接的な被害を受けなかった津軽地方だが、直後は多くの不便さを感じた。その困ったことの一つがガソリンの品不足だったろう。交通網の発達が十分ではない地方は車中心の社会だ。日常の足として自動車が必要不可欠という市民にとって、ガソリンスタンドに並んだ当時の危機感は、尋常でなかったはずだ。あのガソリン不足を機に車中心のライフスタイルを見直したという人も中にはいるだろう。
 震災により、鉄道などの交通機関が大きな影響を受けた被災地では、自転車の価値が改めて見直されたという。被災地以外の大都市圏でも停電により生じた帰宅困難状態などをきっかけに自転車がブームになった。
 大学などが数多く立地する弘前市も学生を中心に自転車の利用者が多い土地柄だと言える。冬期間のハンディはあるものの、地球環境に優しく化石燃料などのエネルギーを使わない自転車は今後も利用者が増えていくのではないか。
 ただ、利用者の増加に伴い危惧されるのが安全性だ。車道にあっては自動車よりも“弱く”、歩道にあっては歩行者よりも“強い”自転車が安全かつ快適に走行できる環境は、国内においてまだまだ不十分だと言わざるを得ない。自転車の交通事故は、利用者増加に比例するように全国で増加傾向にあるという。こうした状況に警察庁は自転車は原則、車道を走るなどとした交通ルールの徹底を全国の警察本部に指示。全国で自転車の環境整備に乗り出す動きが目につくようになった。
 弘前市は自転車の走行環境向上に向けた研究会を立ち上げ、本格的な取り組みを始めた。今後、モデル的な路線整備の在り方や走行に適した安全推奨ルートを記したマップづくりなどを目標に自転車の通行量調査などを行っていくという。自転車に適した走行環境といえば、まずは自転車道路などの整備が思い浮かぶが、研究会では通行量の少ない裏道を生かして大通りまで自転車を誘導するようなネットワークの導入なども考えているという。
 城下町特有の狭い道路や一方通行道の多さなど、弘前市の道路事情は制約が多いと言われるが、先進的な地域では創意工夫でその地域に合った環境づくりを実現している。
 弘前市も城下町の特性に合った施策の実現を図ってもらいたい。また市民のみならず、近年はレンタサイクルを使った街歩き観光も観光客の人気となっている。安全推奨ルートのマップづくりは、弘前の道をよく知らない観光客にとって役立つものとなるだろう。ぜひ実現してもらいたいものだ。
 自動車ありきの交通体系から自転車を含めた多様な交通手段を取り入れた新たな体系づくりにつながるよう、今後の展開に期待したい。

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