社 説

 

ボランティア社会「若者参加の環境整備を」

2012/2/6 月曜日

 

 記録的な大雪の津軽地方だが、先週末は降雪が一段落したこともあり、雪片付けに追われた市民も多かっただろう。雪国に住む者の宿命とはいえ、毎日の除雪は相当な負担を強いられる。もう雪は見るのも嫌というのが大方の市民感情だろう。
 それでも自力で雪片付けができる住民はまだ良いのかもしれない。問題なのが独り暮らしの高齢者ら、自分で除雪作業を行うことが難しい人たちへの対応だ。こうした除雪困難者の生活をどのように守るか、難しい問題に直面している。
 5日付の本紙で心が温まるエピソードが紹介された。弘前市の聖愛高校硬式野球部員が同校近くの独り暮らしの高齢者宅でボランティア除雪を行い、屋根の雪下ろしや雪片付けに精を出したという。同校野球部は毎年、弘前市社会福祉協議会の雪かきボランティアに登録して、活動を続けているそうだ。若い世代にこのような奉仕の心が養われていることを頼もしく思うとともに感謝の気持ちを表したい。
 弘前大学も人文学部ボランティアセンターの学生らが今冬、地域住民のための除雪ボランティア「雪かたづけ隊」を結成し、地域の除雪活動に一役買っている。
 少子高齢化の急速な進展を見れば、除雪困難者は今後も増加していく傾向にあるだろう。こうしたボランティア活動が市内の他の学校に広がり、継続的に行われることを期待したい。
 しかし問題は今冬の大雪だけではない。人口減少、高齢化の波は今後、われわれの社会や生活にさまざまな形で、弊害をもたらすことが予想される。一人で支えられないものを地域で、地域で支えられないものを社会で、といった仕組みづくりが必要だ。
 本来の地域活動を担う町会や消防団といった組織も慢性的な人手不足に悩まされている。地域社会にとってボランティア活動の重要性は増すばかりだ。しかし、大きな災害や今冬のような豪雪の場合は、短期間に大量の人手が必要となる場合が多い。ボランティアは人の善意から発するものだけに、必要な時に、必要な人員をそろえることが難しいといえるだろう。
 学生ボランティアはまとまった人数を確保しやすく、時間的にも融通を利かせやすい利点があるだろう。若い世代のボランティア意識も高い。あとは環境整備が重要だ。学生ボランティアの単位認定の動きをさらに加速させるとともに高校におけるボランティア学習の機会拡大などをもっと積極的に図っていくべきだ。
 若者のボランティア参加が地域社会を支える新たな力の一つとなり、併せて若者の側も普段の学習では学べないさまざまな事柄について、ボランティアを通じて学ぶことができるような発展的な取り組みを望みたい。

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リンゴ園地の雪害「減収防ぐため早期の対応を」

2012/2/4 土曜日

 

 記録的な豪雪により、県内は中南地域を中心にビニールハウスの損壊など農業分野の被害が拡大している。県が3日までにまとめた分だけでも199棟が全半壊しており、被害の大きさがうかがえる。その中にあって、リンゴ園地は枝折れや幹が裂ける裂開被害が散見されているものの、大半の園地が深い雪に埋もれているため、詳細な状況の把握は難しく、枝の雪下ろしもなかなか進んでいない。
 弘前市では1月末の園地調査を基に、例年2月下旬ごろに行っている幹線農道の除雪を前倒しすることを決定、追加の除排雪経費などを盛り込んだ2011年度一般会計補正予算を専決処分した。このほか、既に幹線農道の除雪を一度行ったが、その後の降雪によって除雪し直すことを検討している自治体もあるようだ。
 各自治体の財政事情が非常に厳しい中で、生活道路の除排雪を優先させなければならない事情は理解できる。しかし、園地の被害を最小限に抑えるには、早い時期に対応することに越したことはない。何とか財源を工面して農道除雪に取り組んでもらいたい。併せて、豪雪対策への財政支援の要請を地方から受けている国にも前向きな対応をお願いしたい。
 今冬と同じく豪雪に見舞われた05年と06年はリンゴの収穫量が減少した。消雪の遅れは開花時期の遅れにつながり、果実の肥大に悪影響を及ぼす。とりわけ、下枝への影響が懸念され、園地への融雪促進剤散布もできるだけ急ぎたいところ。さらに、大雪の年は野ネズミによる食害も多発する傾向にあるため、ネズミが雪中で活動できないよう園地の雪をしっかり踏み固めるなど、基本的な作業を入念に行うことが求められる。
 11年産の県産リンゴは、花芽不足から始まって夏場の乾燥や秋の大雨被害などが続き、収穫量が著しく減少した。産地市場、県外の消費地市場とも高値で取引されているが、減収分をカバーするまでに至っていないとの見方もある。「今年は挽回しなければ」と意気込んでいる生産者や関係団体にしてみれば、今回の雪害は腹立たしい限りだろう。
 果樹共済には、果実の減収を補償する「収穫共済」だけではなく、樹そのものの損害を補償する「樹体共済」がある。ただ、県農業共済組合連合会によると、05年の豪雪に伴い、同年度は加入者が増えたものの、翌年度からは減り続け、11年度の加入者は皆無。すべての災害に対応する「総合方式」の加入者を除けば、雪害はほぼそのまま生産者の負担となるだけに、被害の状況が気掛かりだ。
 とにかく、昨年に続く収穫量減少は何としても避けたい。そのためにも、生産者や関係団体は今回の雪害に強い危機感を持って迅速に対応すべきだ。

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インバウンド施策「外国人目線で受け入れ整備を」

2012/2/3 金曜日

 

 弘前市内の宿泊、交通、観光施設などの関係者が集まり、外国人旅行客の誘致を目指す「インバウンド観光商品企画会議(インバウンド劇団)」が会合を重ね、弘前さくらまつりに向けて商品開発の検討を進めている。
これまでの会議で、まつり期間中は早い時期から予約で満室になるホテル・旅館に外国人向けの部屋を一定数確保することや、青森空港と宿泊施設の間の送迎を核とした2次交通の整備に取り組む方針を打ち出した。
青森空港発着のソウル直行便が運航されている韓国からの客をまずはターゲットにし、その後中国、台湾へと対応を広げていくという。
外国人を主眼とした初の試みであり、誘客の大きなセールスポイントになるだろう。まずは業界が足並みをそろえて試行し、海外へ売り込むという認識を共にすることに期待したい。
訪日外国人の数は、国が「訪日旅行促進事業(ビジット・ジャパン)」のキャンペーンを開始した2003年以降、飛躍的に伸び、弘前市も東アジアを中心としたインバウンド施策の強化を観光振興の柱と位置付けた。市は課題として宿泊先や2次交通の確保の他、広域連携による外国人向けの具体的なコース作りを挙げている。
国内で名をはせる桜とリンゴの「ヒロサキ」という地名も、海外ではほぼ無名と言っていい。このため5日から葛西憲之市長が青森、函館の両市長、商議所、観光コンベンション協会と合同で台湾を訪問し、観光プロモーション活動を予定している。トップセールスを含め、海外での露出度をいかに高めていくかという知恵が求められる。観光資源の宣伝方法も、海外向けに検討の余地があろう。
旅行商品の開発を進める一方で、受け入れ側の環境整備が重要になる。先行例の北海道函館市では東アジアからの観光客が多く目につき、接する機会が多いタクシーの運転手は「温泉とカニの食べ放題、雪が受けているようだ」という。運転手は外国語に対応できるよう、業界が用意した会話集を携えて乗務しており、人材養成の面でも取り組みが進んでいるようだ。
弘前へ来てもらうことはもちろん大事だが、「外国人旅行客に快適で優しい街」という評判が、より多くの来弘につながるのではないか。市内で英語、中国語、韓国語を併記している案内板や標識は一部に限られている。接遇マニュアル、外国人対応の案内所、通訳ボランティアといった受け入れ環境に並行して力を入れたい。インバウンド対策の各種セミナーも、問われるのは実践力である。
大学があり、海外からの留学生が多く学んでいる弘前だからこそ、外国人の視点に立った街づくりができるはずだ。観光都市の本気度が試されている。

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空き家の除雪「所有者は対応に責任を」

2012/2/2 木曜日

 

 連日のように降り続く大雪。交通機関の乱れや農業用ハウスの倒壊などの被害をもたらしているが、雪が積もり放置されたままの空き家も頭が痛い問題だ。雪(せっ)庇(ぴ)や大量の屋根雪の落下、家屋の倒壊が隣家や付近の通行人に危害を及ぼしかねないからだ。自治体が対応できる法令もあるが、財産権や公平性確保の観点から実際は執行が困難だ。まずは所有者自身による責任ある管理が必要だ。
 放置状態の空き家は冬も厄介な存在だ。倒壊しなくても、周辺に積もった雪は車両や歩行者の通行を妨げる。津軽地方のある市の空き家前で付近住民は「ここは通学路。所有者にいくら言っても一向に対処しないので、先日も仕方なく町内会で雪を片付けた」と憤る。所有者は近所に住んでいるといい、モラルが問われる事例だ。
 空き家の雪下ろしは、災害対策基本法で市町村の判断による執行が認められている。ただし、それは災害が発生したか、今にも災害が発生しそうな場合に限られる緊急避難措置。空き家は所有者の財産でおいそれと手を着けられない上、自治体による個人財産の管理は基本的に公平性を欠く。原則は所有者側による除雪だ。
 津軽地方のある自治体職員は、同法適用自体に限界があり、実務上も多くの困難を伴うと指摘する。まず空き家と「今にも災害が発生しそうな状態」の定義付け。降雪期だけ別所で暮らす人もいるからだ。所有者も不明だったり、本人が死亡して複数の相続権者が遠方に在住するなどで連絡がつかない場合が多い。「安易な執行は放置した所有者を利することになる。住民にも当然『なぜ空き家だけ』という不満は生じる」と本音を漏らす。
 市町村も手をこまねいているわけではない。例えば五所川原市は今年度、市内の空き家調査と監視を町内会連合会に委託し、15件を確認した。付近住民からの要望があれば現場を確認し、体の不自由な高齢者世帯など必要に応じて隣地から空き家の雪庇を除去するなど財産権に触れない範囲で対処している。青森市も既に調査で56件の放置危険空き家を把握していて、五所川原市とほぼ同様の対応をしている。
 空き家の適正管理について条例を定める自治体が増えている。最近は雪害を想定した制定例も多い。倒壊など危険性が高い家屋については所有者に対応を促し、改善されない場合は家屋の解体を含む対応を勧告、命令できる内容が多い。ただ、肝心の所有者と連絡がつかない場合など、条例がどの程度実効性を伴うかはまだ不透明だ。
 いずれにしても、管理不十分の空き家で事故が発生した場合、責任を負うのは所有者。自治体が対処するのは近隣の安全確保に向けた必要最小限の緊急避難措置であることを肝に銘じた方がいい。

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将来推計人口「見えぬ将来像に消えぬ不安」

2012/2/1 水曜日

 

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が公表した2060年までの日本の将来推計人口で、女性が生涯に産む子どもの数である合計特殊出生率が前回(06年)の1・26から1・35に上方修正された。30代の出産増などによる出生率回復を反映させた。一方で総人口は60年に8674万人まで落ち込むという。半世紀で約4100万人も減少することになる。1億人を割り込むのは前回より2年ずれ込み48年となったが、以降も一年間に100万人ずつ減っていくとみている。
 65歳以上の高齢者人口も上昇を続け、ピークと予測する42年には3878万人に達する。総人口に占める高齢者の割合は60年には10年比で16・9ポイント上昇。これは2・5人に1人が高齢者であることを示す数字だ。つまり出生率の上方修正も、少子高齢化の進展という流れを変化させるほどの動きではない。
 少子高齢化に歯止めをかけることは、国の維持という点で大きな意味を持つ。働き手である15~64歳の減少は、そのまま国の経済力低下につながる。半世紀後に到来するのは、現役世代1人が高齢者1人を支える社会だ。
 少子高齢化の原因の一つとして指摘されているのが「安心して子どもを産み、育てられる社会」になっていないことがある。就職氷河期には「超」という冠が付く。働く場がなければ、生活していけない。仮に就職できても、その会社が生涯にわたって安定しているとも限らない。経済基盤の弱い地方ほど、その不安感は増す。国民に安心を与える社会を早急に構築することが求められているのだ。
 確かに政府もさまざまな手を打っている。しかし目に見えた効果はなかった。脱却できない現在の不景気を見れば瞭然だ。厚労省が「今回の結果は想定の範囲内」と説明し、政府・与党は社会保障と税の一体改革に取り組む姿勢だが、全体像を示さぬままでは、国民の不安を膨らませるばかりだ。
 生活に直結する経済情勢に明るさが見えず、雇用の非正規化、格差拡大などが進むなら、この先さらに悪化するとの懸念を抱かざるを得ない。少子高齢化が進むことがはっきりとしたのだから「想定の範囲内」で済ませるものではない。新たな年金制度をはじめとする安定的な社会保障制度確立が待ったなしの状況を裏付けたのだ。
 東日本大震災や欧州財政危機など、この一年で難問がさらに上積みされた。しかし安心して産み暮らせる社会づくりはかなり以前から最優先課題の一つだったはずだ。「この政権で成し遂げられずに、どの政権で成し遂げられるのか」と決意を述べる野田佳彦首相だが、具体的将来像が見えないままでは、この言葉は信用できない。国民はしっかり見極める必要がある。影響を受けるのは国民なのだ。

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