社 説

 

衆院選「本県の課題で見る政策の違い」

2017/10/13 金曜日

 

 今回の衆院選で最大の争点は安倍政権の信任である。それとは別に人口減少や地方経済の底上げ、エネルギー政策といった本県にも関係の深い課題について、各党の訴えは異なる。有権者は自身が一番重要だと考える政策に注目し、投票の判断基準に生かしてほしい。
 公示日の10日、各党党首が演説時間の多くを割いた経済政策に注目すると、安倍晋三首相は賃上げなど「アベノミクス」の実績を誇示。地方へも恩恵が届くよう、より強力に推進すると訴えた。
 一方、希望の党の小池百合子代表(東京都知事)は、アベノミクスによる成長が不十分だと批判。4~6月期の国内総生産(GDP)が実質1・0%増だったことに触れ、「大きな顔をするなと私は言いたい」とこき下ろした。
 共産党の志位和夫委員長は「アベノミクスがもたらしたものは格差の拡大だけだ」と語り、立憲民主党の枝野幸男代表も「政治が格差を拡大させ、強い者をより強くした」と訴え、格差是正で足並みをそろえた。
 人口減少克服のための地方創生では、自民党が「地方大学の魅力向上に取り組み、若者の地方での就学・就業を促進」「政府関係機関の地方への移転に取り組み、企業の本社機能の地方移転も積極的に支援」などを挙げる。
 これに対し、希望の党は「地域の活性化には国依存体質から脱する必要がある」とし、道州制導入を目指し国の権限と財源を移すと主張。既得権を守ろうとする業界の要望よりも、地域住民の直接提案を生かした新たな発想で無駄をなくすると訴えている。
 共産党は、政府が「地方創生」の名のもとに道州制導入と新たな自治体再編を狙っていると指摘。地方の基幹産業である農林水産業の6次産業化、中小企業と小規模事業者の振興など地方自治体が取り組む真の地域活性化策を全力で支援するとしている。
 エネルギー政策では自民党は原発を重要な基幹電源と位置付け、新規制基準に適合すると認められた場合には立地自治体などの理解と協力を得つつ、原発の再稼働を進める。
 これに対し希望の党は2030年までに原発はゼロ、再生可能エネルギーの比率を30%まで向上させ省エネを徹底したエコ社会の実現を掲げる。共産党も原発ゼロを政治決断し原発再稼働を中止、30年までに電力の4割を再生可能エネルギーで賄うとする。
 これらは各党の公約から抜粋したものだが、他の課題では野党間で考え方が違うケースも多々ある。さらに本県の候補者は、選挙区の事情によって所属政党と主張が異なる場合もある。だからこそ、有権者は可能な限り各候補の演説に耳を傾けてほしい。そして政権を信任するのか、貴重な一票を投じてほしい。

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ノーベル平和賞「核兵器廃絶へ国際議論進展を」

2017/10/12 木曜日

 

 ノルウェー・ノーベル賞委員会が、核兵器廃絶に取り組んできた国際的な非政府組織(NGO)の連合体「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」に対して、2017年のノーベル平和賞を授与すると発表した。ICANは各国の反核団体が加わっており、核兵器廃絶に向けた世界的機運を高めるため、各国政府や市民団体への働き掛け、連携に向けた調整を行ってきた。折しも現在、北朝鮮による核兵器の脅威が日本をはじめ、多くの国々を脅かしている中にある。今回の授与が脅威を取り除く一助となることを期待するものである。
 ICANは07年、オーストリアで正式に活動を開始。拠点をスイス・ジュネーブに置き、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)など100カ国余の約470団体が参加している。近年は核兵器がもたらす人道的な影響に焦点を当てた活動を展開し、廃絶への支持拡大に貢献。委員会は授賞理由として、核兵器使用による破壊的な人道上の結果に注目を集めるための取り組みや、条約に基づいた核兵器の禁止実現に向けた画期的な努力を評価した。
 日本は広島、長崎に原爆の投下を受けた唯一の被爆国であり、被爆者やその家族らは、計り知れない苦しみを味わってきた。しかも、被爆者の高齢化が進み、体験の継承が課題となる中での平和賞受賞の報に、被爆地からは「素直に喜びたい」「努力が実に」といった歓喜の声が上がったという。
 世界に保有されている核弾頭は米ロを中心に約1万5000発。「核の傘」「核武装」といった言葉で核兵器保有が核抑止力につながるとする主張もある。しかし、実際に投下した場合に一度に大量の生命を奪い、土地や人体に多大な影響を及ぼす、または全世界を破滅に追いやる可能性がある核兵器の廃絶を求める声には耳を傾ける必要がある。
 そのような核兵器の保有と威力を誇示し、周辺・関係各国を威嚇する北朝鮮の行動は許されない。実際、委員会も「北朝鮮のように核兵器獲得を目指す国が増えている」と警告したほか、緊迫する北東アジア情勢などを念頭に「われわれは、これまでのいつの時代よりも核兵器が使われる危険性が大きい世界に暮らしている」と強い危機感を表明した。
 度重なる核実験や日本をまたいだ弾道ミサイル発射、「日本列島を焦土化する」というような脅迫を繰り返す北朝鮮。直近では、朝鮮労働党中央委員会の金正恩委員長が8日に「国家核武力建設の歴史的大業を完遂させる」と表明したほか、10日には米太平洋空軍の爆撃機が自衛隊と韓国軍の戦闘機と訓練を行うなど緊迫した情勢を見せる。
 核の悲劇を現実のものとしないため、ICANを中心とした国際的な議論が進展するよう願いたい。

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衆院選スタート「政策論争深め、関心高めよ」

2017/10/11 水曜日

 

 第48回衆院選が10日、公示された。全国で小選挙区、比例代表合わせて1180人が立候補し、22日の投開票日に向けて舌戦がスタートした。
 今回の衆院選は、2012年12月から5年弱にわたる安倍晋三首相の政権運営に国民が審判を下す機会となり、安倍政権継続の是非が最大の焦点となる。
 「1票の格差」是正のため成立した改正公選法の適用で、小選挙区の定数は戦後最少の465となった。本県小選挙区の定数も4から3へ1減となり、新たな区割りでの選挙戦に突入した。憲法改正や消費増税の是非など山積する課題を争点に、自民、公明の連立与党と保守系、リベラル系それぞれの野党勢力が争う。
 今回は、9月28日の臨時国会冒頭で首相が衆院を解散し、有権者にとっては突然の選挙となった感は否めない。「なぜ今なのか」と、いまだ疑問を抱く有権者も多いことだろう。さらに、衆院選直前に野党第1党だった民進党が分裂し、小池百合子東京都知事率いる希望の党と、これに加わらない民進党リベラル系の前衆院議員らが参加した立憲民主党の二つの新党が相次いで誕生した。野党再編が慌ただしく進む中での選挙戦に、戸惑う有権者も少なくないはずだ。
 それでも、わが国の今後の進路を占う重要な選挙であり、その方向性を決めるのは有権者一人ひとりの一票であるのは言うまでもない。山積する課題にどう向き合うか、各党は具体的な解決策を明確に示す必要がある。
 安倍首相が進めてきた経済政策「アベノミクス」は大胆な金融緩和や積極的な財政出動を柱としてきたが、地方においては、いまだ景気回復の実感に乏しい。19年10月には消費税増税が予定されている。与党は増税分の使途を変更し、教育無償化などに充てて「全世代型の社会保障」構築を掲げるが、新たな財政健全化の道筋は見えてこない。
 外交では、緊張が高まる北朝鮮情勢などへの対応が課題となる。憲法改正も争点の一つで、改憲勢力が発議に必要な3分の2以上を確保するかも焦点となりそうだ。
 本県は、区割り改定により定数1減となった小選挙区に前職、新人合わせて10人が立候補した。当初は旧4区で前職死去に伴う補欠選挙が事実上の選挙戦に突入していたが、このさなかに衆院解散・総選挙となった。選挙区が変わった地域の有権者にとっては戸惑いも多いことだろう。他方で選挙権年齢が18歳以上に引き下げ後、衆院選は初めてとなる。
 各候補者には、新たな区割りで一票を投じる有権者や、新たに投票権を手にする若者に政治への関心を持たせるための努力も求められる。有権者が自らの将来に向き合い、関心を持って1票を投じることができるよう、存分に政策論戦を深めてもらいたい。

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大学生の活躍「地域活性化への思いに期待」

2017/10/7 土曜日

 

 県外の大学生が地域活性化に寄与しようと奮闘する姿が県内のあちこちで見られるようになっている。少子高齢化や人口減少に悩む本県では若い力が求められている。彼らの活動を歓迎したい。
 地域活性化を目指して「外からの視点」を取り入れる昨今の方法としては、総務省の「地域おこし協力隊」などが代表的なものだろう。隊員は各自治体に派遣されて幅広い分野で活躍し、一定の成果を上げている。隊員としての活動終了後に派遣先に移住し、地域に根差した活動を続ける人もいる。
 大学生の活動も「外からの視点」を取り入れる一つの方法となり得るもので、もっと活用されてよいのではないか。
 とりわけ、彼らに期待されるのは若者ならではの柔軟な発想だろう。県内自治体の財政は厳しく、経済基盤も大都市圏に比べて脆弱(ぜいじゃく)と言わざるを得ない。費用などが限られた中で、少しでも活動の効果を上げるためには、前例などにとらわれないことも時には必要になる。
 深浦町では首都圏のNPO法人に所属する大学生たちが、地元の団体や町と相談し、海岸に漂着する産業廃棄物を鳥の巣箱などに再利用する取り組みを展開した。漂着した産廃を処理するには多額の費用が要る上、それらの産廃は塩分を含むため処理施設を故障させる恐れもある厄介な物という。問題を一挙に解決することはできないにしても、彼らの発想がその契機となる可能性はある。
 さらに、地域活性化を考える上で重要なことは、取り組みが持続し、広がっていくかどうかという点だろう。
 幸いにも、昨今は県内でも古里を元気にしようと知恵を絞る高校生らが見られるようになっている。大学生は高校生と年齢が近い分、同じ目線、似たような感覚で物事を見て論じることができよう。地元で頑張る高校生に外からの視点でアドバイスしたり、共感して新たな取り組みを始めたりすることを期待したい。
 若い時期の経験は生涯の財産になることが多い。地域の将来を担う高校生たちがそのような経験をたくさん積めば、地域活性化への意識も一層高まり、持続的な活動が数多く生まれることも期待できるのではないだろうか。
 ボランティアで深浦町を訪れている大学生たちは、町外の人たちと交流する機会が少ない児童・生徒たちとキャンプで交流する企画を新たに始め、今後は大都市圏の子どもたちを招くなどして取り組みの規模拡大を目指すという。
 このような取り組みは、地域経済に直接寄与するものではなかろう。ただ、地元の子どもたちに貴重な経験を積んでもらうことは、人材育成の観点から見れば極めて重要だ。何らかの形で地域に貢献したいと望む大学生が増えているように見える。彼らの熱い思いを県内の地域振興につなげたい。

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イベント民泊「裾野広げる積極展開を」

2017/10/6 金曜日

 

 観光都市と呼ばれるための条件はいろいろ考えられる。さまざまな人が足を運ぶ観光資源があるのは必須として、そうした資源をいかに快適に楽しんでもらうことができるか。これを決定づけるのは、観光インフラの充足にある。観光案内の整備やネット環境の充実、標識の多言語化など、挙げれば切りがない。宿泊施設がどれだけ整備されているかは、より根本的で重要な問題といえる。
 弘前市は、春に開催される弘前さくらまつりには毎年、250万人前後の観光客が、国内外から訪れる。夏の弘前ねぷたまつりも、100万人単位の人出で市内がにぎわう。他にも秋の紅葉シーズンや冬の雪を生かしたイベントなども人気があり、四季を通じて多くの人が弘前を訪れてくれる。
 これに対する市内の宿泊のキャパシティーは最大4500人ほどで、前述の祭り期間中には宿泊の予約が取りづらい状況が常態化している。だが、民間の収益性などを考えれば、収容能力の大幅な拡大は簡単に見込めるものではなかろう。
 そこで考えられる手段の一つが、民泊の活用。弘前市では今年から、弘前さくらまつり、弘前ねぷたまつりの期間に合わせ、イベント民泊を実施している。市内の一般住宅で素泊まりの観光客を有料で受け入れるもので、春には5件の登録ホストのうち、2件に3人が宿泊。夏は登録ホスト5件に11人が泊まり、宿泊者からの反応も上々だったという。
 本紙では、実際に旅行者を受け入れた2人の市民を取材し、記事を掲載した。築100年以上を誇るかやぶき屋根の古民家や自宅内で茶室として使っていた和室を提供したとのことで、どちらの部屋も歴史と文化の町・弘前にふさわしい趣のある建物で、県外からの観光客も大いに満足したことだろう。会話も弾んだようで、ただの名所見物にとどまらず、地元の人間との触れ合いで、また一味違った弘前観光を満喫してもらえたのではないかと思う。
 今後の課題は登録する市民が少ない点だろう。市観光政策課も「自宅に知らない人を泊めることをちゅうちょする人が少なくない」と分析するが、まさにこの部分が市民に民泊をためらわせる最大の要因だと思う。市は講演会などを通じた情報発信や農閑期を利用し、農家の方にイベント民泊に協力してもらう呼び掛けなども進めたい―としているが、こうしたPRで民泊の意義や魅力を伝えていくことに加え、助成制度などを設ければ、個人だけでなく、事業者などの参入も促すことが可能となり、事業の裾野が広がることにつながるのではないか。地元経済への波及効果に加え、地元密着観光の促進など、空き家・スペースの有効活用など、さまざまな可能性を秘めた事業と言えるだけに、さらなる工夫で大きく発展させたい。

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