社 説

 

阪神大震災から25年「被害最小限へ、先手の対応を」

2020/1/18 土曜日

 

 6434人が犠牲となった阪神大震災の発生から、17日で25年となった。地震が起きた時刻には、被災地となった神戸市など各地で犠牲者に対する祈りがささげられた。大切な家族や友人らを失いながらも今を生きる被災者にとっては、長く短い四半世紀であったと思われる。改めて犠牲者の冥福を祈ると共に、震災で得られた教訓が次の世代に引き継がれることを願ってやまない。
 直下型地震である阪神大震災は正式名称を「阪神・淡路大震災」といい、1995年1月17日午前5時46分に発生した。震源地は兵庫県の淡路島北部で、マグニチュード7・3、観測史上初となる震度7を記録した。多数の死者のほか行方不明者3人、負傷者は4万3792人に及んだ。住宅被害は約64万棟に上り、犠牲者の多くが倒壊した建物や家具の下敷きになったとされたことから、国や自治体が建物の耐震化を進めるきっかけともなった。
 阪神大震災後も、国内では2011年3月の東日本大震災や16年4月の熊本地震など、大規模な地震が発生し、数多くの犠牲者や行方不明者、負傷者を伴う事態が相次いできた。これらの地震は予測できない上、想定外の規模ということもあるが、発生要因の違いから阪神大震災で得た知見や教訓だけでは対応しきれなかった側面もある。
 阪神大震災は前述のように、犠牲者の死因の多くが家具などの下敷きになったとされるのに対し、三陸沖の太平洋を震源とする地震に伴う東日本大震災は、津波によるでき死が9割に及んだ上、いまだ地域住民の生活に影響を及ぼしている東京電力福島第1原発事故も加わった。
 初めて直面するケースであるからといって、対応が後手に回ってしまうようなことは避けるべきだろう。阪神大震災の教訓を伝える「人と防災未来センター」(神戸市)の河田恵昭センター長は現状、後手となってしまっている日本の災害対応を憂慮した上で、被害発生後に原型復旧する考え方に警鐘を鳴らしている。地球温暖化で風水害の威力が大きくなっている現状で、原型復旧の対応では再び同様の被害を受ける可能性があるためだ。このため、再度の災害防止を図る「改良復旧」の考え方を提唱する。
 これこそまさに、阪神大震災の教訓と言えるだろう。確かに何かが起きてから、同じ物を作る対応では、再び多くの犠牲者や行方不明者を出すことは明白だ。実際には東日本大震災後、各地に巨大な防潮堤が築造された。しかし、他にも将来的な被害を予測した対応が必要だ。例えば、原発の「安全神話」は福島原発事故で崩壊したが、安全性を過信せず、震災前からリスク予測をする考えがあれば被害を小規模に抑えることもできたはず。現状に妥協せず、被害を最小限に食い止めるため一考を願いたい。

∆ページの先頭へ

大学入試改革再検討「本気度問われる文科省の姿勢」

2020/1/17 金曜日

 

 2020年度に始まる大学入学共通テストに関し、英語民間試験と国語・数学の記述式問題の導入見送りを受けて、大学入試改革の在り方を改めて議論する文部科学省の検討会議の初会合が開かれた。委員には共通テストと各大学の個別試験の役割を整理し、受験生が安心して受けられる公平な制度の実現に向けて知恵を絞ってほしい。国がこれ以上、受験生を振り回す事態は避けなければならない。
 検討会議では、見送りとなった経緯も検証する。委員の意見にもあった通り当然、徹底した検証が必要だ。
 文科省が昨年末に公開した、入試改革に関する二つの有識者会議(非公開)の議事録では、昨年9月段階でなお、英語民間試験導入について委員から受験機会の格差などを理由に延期を含めた制度の見直しを求める意見や、「見切り発車」を懸念する意見が上がっていたことが明らかになっている。民間試験の実施団体からは、「全ての不安要素を100%排除するのはかなり難しい」との見解も示されていた。
 問題点を把握しながら、実施ありきで準備を進めてきた同省の、前のめりとも言える姿勢が、混乱の根本になかっただろうか。
 混乱を生じさせた当事者が設けた検討会議で、どこまで自らの問題と責任の所在を冷静に追及できるか、疑問は残る。萩生田光一文科相は昨年12月に記述式問題見送りを正式に発表した際、検討会議について「まっさらな状態から対応したい」と発言していた。言葉通り貫徹されることを望む。
 大学入試改革は、高校教育で育成が求められる思考力、判断力、表現力の評価を狙いの一つとしていた。英語の4技能「読む・聞く・話す・書く」の評価もその一つ。それらを重視する姿勢自体が間違っているとは言えないだろう。
 しかし、英語民間試験に関しては経済状況や居住地域といった格差、記述式問題については採点ミス、実際の採点と受験生による自己採点との食い違いといった問題を解消しないまま進めようとしたことが今回の事態を招いた。入試のどの部分をどの機関がどのような形で担うのが現実的かつ最善か、公開の場での真剣な議論が必要だ。機能する仕組みなくして、目標は実現できない。
 検討会議は今年末までで、必要に応じて延長するとしている。記述式問題の充実策は期限を区切らず話し合う一方、英語については今年末までに結論を出し、24年度からの実施を目指す。24年度は、新学習指導要領の導入に合わせた設定という。経過の検証も含め、1年弱の検討期間は「まっさらな状態から」多様な意見を吸い上げながら作業を進めるのに十分だろうか。結論ありきで進めると、同じ轍(てつ)を踏むことになりかねない。

∆ページの先頭へ

首相の中東歴訪「安定化実現へ一層の努力を」

2020/1/16 木曜日

 

 安倍晋三首相は15日、サウジアラビア、アラブ首長国連合(UAE)、オマーンの中東3カ国歴訪を終えて帰国した。海上自衛隊の中東派遣について各国の理解を得た一方、米国とイランの緊張緩和に向けた「仲介外交」に関しては、「リスクを取るほどの外交価値は見いだせなかった」(首相官邸筋)との厳しい見方もある。
 中東歴訪の直前、イランは革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官が米軍に殺害されたことに対する報復として、イラクにある駐留米軍基地を弾道ミサイルで攻撃。米国側の被害状況次第では、米国のイラク本土攻撃が現実になる可能性が浮上するなど、両国の緊張は一気に高まった。
 当然、政権内には首相の中東歴訪を延期すべきとの声が上がった。それでも首相は実現にこだわった。カジノを含む統合型リゾート(IR)事業に絡む汚職事件や、首相主催の「桜を見る会」など一連の問題による支持率低下を背景に、得意と自負する外交で足元を固めようという思惑が見える。しかも緊張感が高まる中東を最初に訪問する外国首脳としての「仲介外交」は、内外に存在感をアピールする絶好の機会になり得る。
 トランプ米大統領は国民向けの演説でイランへの報復攻撃に否定的な考えを示し、経済制裁で幕引きを図った。当面の軍事衝突が避けられたことで、中東歴訪の障壁は一応取り除かれた。
 首相は各国に対し、海自派遣は中東地域での日本関係船舶の安全確保であると説明。各国からは「日本の取り組みを完全に支持する」「具体的な協力、支援を惜しまない」などと理解を得た。第一の目的は果たした格好だ。
 もう一つの目的である中東情勢の安定に向けては、外交努力を続ける日本の姿勢を強調。イスラム教スンニ派の盟主サウジは、シーア派の大国イランと対立しているが、ムハンマド皇太子から「首相の見方に完全に同意する。当事国間の対話が必要不可欠で、サウジもさらに取り組みを強める」との言葉を引き出した。イランと友好関係にある日本が「サウジやUAEにも気を使っているとのメッセージを発信する」(政府関係者)ことは伝わったようだが、中東情勢は利害が複雑に絡み合い、首相の思惑通りに進むかは見通せないとの指摘もある。
 さらに、米国内ではソレイマニ司令官殺害を半年以上前から認めていたと報じられ、政権が主張する「差し迫った脅威」に懐疑的な見方が広がっている。北朝鮮との非核化交渉の先行きも極めて不透明だ。となれば、大統領選を控え、実績が欲しいトランプ氏の動向が気になってくる。首相は中東歴訪の成果を強調するだろうが、第一歩でしかない。仲介役として中東地域の安定化を実現させるには、一層の努力が求められる。

∆ページの先頭へ

20年政局「カジノ捜査で一気に緊迫も」

2020/1/15 水曜日

 

 カジノを含む統合型リゾート事業をめぐる汚職事件で、衆院議員の秋元司容疑者が14日、再逮捕された。年明けの永田町は、今回の汚職事件で捜査の手がどこまで及ぶのか、今週がヤマ場との観測が広がっている。事態によっては政局が一気に緊迫化する可能性もあり、安倍晋三首相の解散戦略も不透明感を増しそうだ。
 今年の政局は、安倍首相が衆院解散・総選挙に踏み切るかが最大の焦点とされている。現在の衆院議員の任期満了は来年10月21日で、新年早々、与野党問わず幹部クラスによる「いつ解散があってもおかしくない」との発言が相次いでいる。
 そんな中、首相が自民党本部の新年仕事始めで「ユズは9年の花盛り。このユズまでは責任を持って、皆さんとともに大きな花を日本に咲かせたい」と語ったことは、党総裁任期である来年9月前の勇退を否定するとともに、首相の解散戦略についてさまざまな憶測を呼んだ。
 最も早い「補正予算成立後の1月末」をはじめ、「来年度予算成立後の4月」「通常国会閉会後、都知事選とダブル」「東京五輪終了後の秋」などが挙げられる。
 ただ、今回のカジノ疑惑で今月解散は遠のいたとの見方が大勢だ。今春以降についても、捜査の行方によってはさらに遠のくとの指摘もある。
 安倍政権にとっては、首相主催の「桜を見る会」をめぐる問題、かんぽ生命の不適切な販売問題なども“逆風”となっており、党関係者は「首相の持つ解散カードは多くない」と解説する。
 実際、与党内では「早期解散はない」との見方が拡大。夏には東京五輪・パラリンピックも控えるため、秋以降が有力視されている。
 一方、来年に入ると任期満了が近くなり、今度は「追い込まれた」印象が強まる。公明党も同年夏の東京都議選との間隔を空けるため、今秋の衆院解散を求める意見が強い。
 これに対して野党内では依然、早期解散を警戒する声が多い。首相が一連の「疑惑隠し」を狙って解散に打って出るとの見方からだ。
 主要野党は次期衆院選に向け、安倍政権と対峙(たいじ)する態勢を構築できるかが問われる。立憲民主、国民民主両党の合流協議は不透明感が増しており、国民は19日に予定していた党大会の延期を決めた。両党間には理念や人事、基本政策などをめぐり、依然として深い溝が残る。共産党との連携も課題で、立憲、国民両党には共産党との共闘に否定的な議員も多い。
 果たして解散時期はいつになるのか。数々の疑惑で政権の足元が揺らぐ状況を踏まえれば、「早くもなく、遠くない時期」なのは間違いない。

∆ページの先頭へ

連覇逃した青森山田「雪国サッカーで王座奪還を」

2020/1/14 火曜日

 連覇の夢はかなわなかった。13日に埼玉スタジアムで行われたサッカーの第98回全国高校選手権決勝で、青森山田は静岡学園(静岡)に2―3で惜しくも敗れた。昨大会王者として臨んだ今大会だったが、「サッカー王国」を自認する静岡勢を前に苦杯をなめた。
 青森山田は昨年12月、高校生年代のサッカー日本一を決める高円宮杯U18(18歳以下)プレミアリーグを制覇。全国高校選手権では優勝候補筆頭と目され、初戦の2回戦は米子北(鳥取)に6―0と大勝、続く3回戦では昨夏の全国高校総体準優勝の富山第一(富山)を退けた。準々決勝の昌平(埼玉)戦、準決勝の帝京長岡(新潟)戦とも試合巧者ぶりを発揮して連覇に王手をかけた。
 決勝は前半、藤原優大選手(2年、弘前市出身)が先制点を決めると、攻撃の要である武田英寿主将が2点目を挙げ、試合の主導権を握ったかに見えた。しかし、前半終了間際に1点を失うと後半は静岡学園のペースに持ち込まれ、2点を追加されて敗れた。
 決勝の展望では、青森山田が総合力で上回るとの見方が大勢だったが、24大会ぶりの優勝を狙った静岡学園の執念が勝ったのかもしれない。
 仮に青森山田が連覇を果たしていたら、第79、80回大会を制した国見(長崎)以来18年ぶり、史上9校目の快挙だった。決勝までの戦いぶりを見ると、連覇を成し遂げる力が十分あったことは明らかだった。それだけに周囲の期待は大きく、優勝に手が届かなかったことを残念に思った県民は多かっただろう。
 ただ、黒田剛監督をはじめ、歴代のスタッフ、選手たちが長い時間をかけて築き上げてきたサッカーのレベルは国内トップクラスにあり、青森山田は全国の各校、クラブにとって大きな目標となっている。今大会を戦い抜いた選手たちには堂々と本県に帰って来てもらい、立派な戦績を報告してほしい。
 そして王座奪還に向け、すぐにでも再スタートを切るべきだ。青森山田はこれまでも逆境をはねのけてきた。本県では雪が降るため、冬場は夏場のように練習できず、屋外スポーツにおいては不利との指摘もかつてはあった。それでも選手たちは、雪が積もった競技場で足腰を鍛えるための練習などを続けてきた。
 一見、ハンディと思われる環境をバネに進化してきたのが青森山田のサッカーだったのではないか。強靱(きょうじん)な体力と精神力を持った「雪国サッカー」を再び全国に示したい。今大会に主力選手として活躍した藤原選手らが来年の大会で雪辱を果たす姿を待つ県民も数多くいるはずである。
 令和最初の王座は他県チームに譲ったが、青森山田のサッカーの歴史はこれからも続く。令和の時代に黄金期を築くため、これからも頑張ってほしい。

∆ページの先頭へ

Page: 1 2 3 4 5 6 ... 156

当サイトでは一部、Adobe Flash・PDFファイルを使用しております。閲覧にはAdobe Flash Player・Adobe Acrobat Readerが必要です。最新のプラグインはアドビ社のサイトより無料でダウンロード可能です。

  • Adobe Flash Player ダウンロードセンター
  • Adobe - Adobe Reader ダウンロード