社 説

 

3年連続の1軍戦「特別な一戦に期待高まる」

2018/11/9 金曜日

 

 弘前市のはるか夢球場で来年、3年連続のプロ野球1軍戦が開催されることになった。
 日本野球機構(NPB)が7日、2019年のパ・リーグ公式戦の日程を発表し、県内では5月29日にはるか夢球場で楽天西武戦が開催されることが明らかになった。
 楽天と対戦する西武は、今季10年ぶりにリーグ優勝を果たした。さらに、弘前市出身の外崎修汰選手(弘前実高―富士大出)や藤田航生投手(弘前工高出)が所属するだけに、県内ファン注目の特別な一戦になることは間違いない。
 はるか夢球場では昨年6月に、県内で29年ぶりとなる1軍公式戦・楽天オリックス戦が開催された。1988(昭和63)年7月に県営球場で行われた広島ヤクルト戦以来となる待望の1軍戦に、詰め掛けたほぼ満員の1万3227人が歓声を上げ、プロのプレーに熱狂した。
 今年は7月に楽天ソフトバンク戦が開催され、県内外の野球ファンが2年連続の1軍公式戦を楽しんだほか、NPB主催の若手プロ野球選手による球宴「フレッシュオールスターゲーム」も開かれた。さらに8月にはイースタン・リーグ公式戦・巨人ロッテ戦も開催され、ファンにとっては存分に満喫できたシーズンだったろう。
 プロ野球1軍戦の開催地となるのは遠い夢と思われていた本県だが、誘致を目標に掲げた弘前市がはるか夢球場を改修し、誘致活動を粘り強く重ねたことで29年ぶりに実現に至った。以来、3年連続で1軍戦開催が決まったことは喜ばしいことだ。
 来年5月の対戦カードも大いに盛り上がりそうだ。本県にとって身近な存在である東北の球団楽天に、対する西武は弘前市出身の2人の選手が所属しており、早くも凱旋(がいせん)試合を期待する声が上がっている。
 間近で一流のプレーを満喫できることはもちろんだが、地元出身選手が所属する球団の試合を見ることで、子どもたちのプロ野球に対する親近感はより増すことだろう。
 プロの投手がマウンドに立つはるか夢球場は今や、地元の野球少年たちの憧れの場ともなっており、1軍戦の開催は子どもたちの夢を育む機会につながっている。「野球、ソフトボールの聖地というイメージを全国に発信したい」と誘致に取り組んできた弘前市をはじめ関係団体の狙い通り、効果は着実に表れ始めているようだ。
 これからも継続して1軍戦を開催できるよう、地域を挙げて誘致活動を後押ししたい。それによって、はるか夢球場の存在を広くアピールし地域活性化に結び付けたいものだ。同時に競技人口の拡大を図り、地元からもっとたくさんのプロ選手が輩出されるよう期待したい。

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寺山修司没後35周年「今なお突き刺さる「問い」」

2018/11/8 木曜日

 

 今年は詩歌、演劇、映画、評論など多彩なジャンルで活躍した寺山修司(弘前市生まれ、本県出身)の没後35周年に当たる。
 今なお著書、舞台、映像などを通じてわれわれを刺激し続ける寺山。生前の関わりの有無を問わず、幅広い分野で各年代のアーティストは寺山や自身の作品発表を通じて寺山へオマージュをささげる。昨夏、三沢市に集結した彼らが、同市内各所において圧倒的なスケールで繰り広げた「幻想市街劇『田園に死す』三沢篇」は記憶に新しい。
 節目の今年も、県内外で寺山関連の展示や演劇上演などが行われている。展示関連では、寺山修司記念館(同市)で現在、寺山の創作の源泉となった多種多彩な蔵書を一挙に紹介する特別展「寺山修司 不思議図書館」を開催中。神奈川近代文学館(横浜市)で25日まで開催する「寺山修司展 ひとりぼっちのあなたに」は、寺山の秘書兼マネジャーを務めた田中未知さんの所蔵資料を中心とした構成だ。
 こうした中、評論集や映画でも知られる寺山の初期作品「書を捨てよ町へ出よう」の舞台公演が3~4日、三沢市内で行われた。上演台本・演出は演劇団体「マームとジプシー」を主宰する藤田貴大さんで、寺山生誕80周年の2015年にも上演していた。映画(1971年公開)を下敷きに、当時と現在を交錯させ、ファッションショーやコントなどをコラージュしながら、観客に自己の在り方を問い掛ける。三沢のほかパリを含む国内外5カ所を巡演中だ。
 藤田版では、映画で主演した同記念館館長の佐々木英明さんが映像出演している。劇終盤で主人公らが繰り返す「僕の名は」「私の名は」のせりふ、そして、現在の佐々木さんが映画版の映像をフラッシュバックさせながら観客へ放つ問い掛けは、観客の胸に鋭く突き刺さる。敷衍(ふえん)するならば、映画公開時以後、われわれは寺山の問いに向き合ってきたのだろうか―との疑念さえ湧く。
 85年生まれの藤田さんも“寺山ワールド”を生で体験していない世代だ。藤田さんは自身と寺山について「放り出したくなるような今の現実と関わり、答えはなくても考え続ける。その態度は寺山さんと一致している気がするんです」と述べている。
 神奈川近代文学館の寺山展は、評論家の三浦雅士さん(弘前市出身)が編集委員の一人を務めた。三浦さんは同展に寄せた文章の中で、寺山の演劇実験室「天井棧敷」が世界の演劇界に与えた影響を指摘した上で、「二十一世紀は寺山を必要とする。本格的に論じられるのはこれからである」と説いた。マクロ的視点は別として、「書を捨てよ―」一つを観覧するだけでも、改めて寺山のメッセージの普遍性を思い知らされる。

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イラン産原油禁輸「価格上昇なら地域経済に影」

2018/11/7 水曜日

 

 石油製品の高値水準が続いている。資源エネルギー庁が10月31日に公表した石油製品価格調査結果(29日現在)によるとレギュラーガソリン、灯油の価格は元売り会社の卸値引き下げなどから、9週ぶりに値下がりとなったが、それでも高値であることに変わりはない。冬本番を目前に、消費者の不安は膨らむ。
 こうした中、トランプ米政権は今月5日、イラン核合意離脱を受けてイラン産原油禁輸などの制裁を再発動した。当初はイランの原油輸出量を直ちにゼロにする方針だったが、トランプ大統領は段階的とする意向で、日本など8カ国・地域については適用免除とした。
 方針転換は「原油価格上昇を引き起こしたくない」(トランプ氏)ため。ただ、適用免除は一時的で、期間は最大で180日間に限定され、最終的には全面禁輸に向けてイランに圧力をかけるとみられる。日本の原油輸入量全体に占めるイラン産の割合は2017年で5・5%。元売り各社は米国の対応を注視する慎重姿勢を崩しておらず、イランとの友好関係への影響を懸念し「輸入を続けることが大切。他国の動きも見ながら、わずかでも取引の道を探ることになるだろう」との見方もある。
 10月23日に青森市で開かれた石油事情説明会で石油連盟は、今後のリスクの一つにイラン制裁発動を挙げていた。元売り各社は10月分からイラン産をサウジアラビア産などに切り替えており「原油の安定供給はできている」(同連盟)とする。ただ制裁発動以外に、サウジアラビア人記者殺害事件なども先行きに不透明感を漂わす。
 本紙は先月末、弘前市内でガソリンスタンド関係者と消費者の声を取材した。消費者は「なるべくストーブを使わない」「比較的安いガソリンスタンドを探して、小まめに給油している」、一方のガソリンスタンド関係者は「客が安いところに流れる」などと話し、価格動向を注視している。
 雪国では灯油ストーブは必需品。リンゴ剪定(せんてい)枝をまきストーブに使える一部農家も全部屋を暖めることはできず、施設栽培しているのならハウス用暖房費も必要になる。自動車用ガソリン節減のためには公共交通が有効だが、交通網が発達している大都市に比べ利便性は劣る。さらに原発の停止で頼らざるを得ない火力発電は、化石燃料を使用。光熱費全般に影響が及びそうだ。
 きょう7日は冬が始まる頃とされる立冬。本県など雪国は灯油やガソリンの需要が高まる季節に入る。石油製品の高騰が続けば、何らかの支出削減を図らなければ家計は成り立たなくなる。しかも消費税の増税まで1年を切った。家庭が支出引き締めという自衛手段を取れば、地域経済の悪化につながる。こうした悪循環を断ち切る施策も地方創生の一つだ。

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臨時国会「本格論戦には程遠い」

2018/11/6 火曜日

 

 国会は論戦の舞台を予算委員会に移した。ただ、安倍晋三首相の安全運転に徹した答弁姿勢が際立つほか、閣僚の資質をただす質問も多く本格論戦には程遠い状況だ。消費税の増税など、もっと国民の関心が高い政策について議論を交わすべきではないか。
 まず、論戦を阻害しているのが新閣僚の資質を問うやりとりだ。片山さつき地方創生担当相は口利き疑惑に対して係争中を理由に説明責任を果たしていない。国会答弁でも事実関係を否定するだけで真相は不明なまま。さらなる疑惑も取り沙汰されており、このままでは内閣にとって致命傷になりかねない。
 桜田義孝五輪担当相に至っては、質問内容を理解できないばかりか、答弁書の数字も満足に読めず与野党議員から失笑される始末。首相は桜田氏の起用理由を「適材適所」としながら、「完璧な人間はいない」と苦しい言い訳を強いられる場面も。失格の烙印(らくいん)が押される日は遠くはあるまい。
 ただ、野党も新聞報道や週刊誌報道を引き合いに質問するケースが多い。導入部分で疑惑が事実か否か問うことは仕方ないが、党や議員本人が調査して明らかになった新事実を突き付けるぐらいでないと、いつまでも堂々巡りである。
 国民が国会に望むのは活発な政策論議だろう。その中でも意見が世論を二分する、出入国管理法改正案や消費税増税についてもっと時間を割くべきだ。
 まず入管法改正の理由が「国全体に広がる人手不足感」では納得できない。介護分野や建設業界、24時間営業のコンビニや外食産業で人手が足りないことは生活実感として分かる。しかし農業や水産加工業などは、その事業形態や規模によって必要な労働力も異なる。分野ごとに労働力が不足しているのか、不足している場合も海外の労働力がどれだけ必要なのかデータを示す必要がある。
 最も懸念されるのは、外国人労働者の増加による日本人労働者への悪影響だ。失業や賃金が下がるといった問題は本当に起きないのか。
 政府・与党は見直し条項などを条件とした拙速な審議は避けるべきだ。野党はもとより国民理解が不十分なままでは、文字通り将来に禍根を残しかねない。
 消費税の問題も、増税の必要性は理解しても、税金の使い道の適正化といった歳出改革に加え、国会議員の定数削減など政治家自身が身を切る覚悟を示すことが前提のはず。特に参院は時代に逆行し定数を6増している。期限付きの給与削減でお茶を濁さず、衆院と一体で定数削減に取り組むべきだ。
 1票の格差を解消する制度設計が困難なら、憲法改正の検討も必要だろう。むしろ選挙制度改革を改正論議の出発点にしてはどうか。政治家が身を切る議論なら国民の理解も得やすいはずだ。

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ふるさと納税「市町村の創意工夫に期待」

2018/11/3 土曜日

 

 青森地域社会研究所が県内自治体のふるさと納税の収支を損益計算書の概念で考察したリポートを発表した。ふるさと納税と言えば、返礼品の豪華さやユニークさに注目しがちだが、リポートでは県内から他自治体への寄付(流出住民税)なども踏まえ、全体像を捉えることに成功。各自治体が最終的に使える自主財源の額を導き出しており、興味深い。
 県内全体で見ると、ふるさと納税の受け入れ額は順調に伸びており、返礼品の調達額を考慮しても、損益計算書でいう「当期純利益」(純自主財源)は2015年度の約4億5000万円から、17年度は26億4000万円と拡大。制度をうまく活用できていると言えるだろう。
 ただ自治体別に見ると、ばらつきが大きい。ふるさと納税の受け入れ額が1億円以上に達している自治体は弘前市や黒石市、鯵ケ沢町など8自治体。この8自治体で県内全受け入れ額の85%、自主財源額では約93%を占める。逆に受け入れ額が1000万円に満たない自治体は16市町村あり、現在は県内から他自治体への寄付として流出する額の75%を地方交付税の増額で補てんする仕組みがあるが、これが仮になくなったとすれば、8自治体が赤字に転落するという。現状辛うじて黒字を確保している自治体の中にも、流出寄付額が増え続ければ赤字に転落する可能性があると指摘されている。
 ふるさと納税をめぐる競争は全国的に激しくなっており、魅力的な返礼品も増えている。流出住民税が増えていくのはある意味、自然な流れだろう。だからこそ、どの自治体も交付税に頼らず、自主財源額を大きくしていく努力が必要だ。
 例えば本紙でもたびたび紹介している弘前市の取り組みは好事例と言える。同市は返礼品の割合を20%台前半に抑えながら、受け入れ額は15年度が1802万円、16年度は7266万円、17年度は2億3811万円と伸ばしている。日本一のさくら応援コースや石垣普請応援コースなど寄付金を充当する事業をはっきり打ち出し、一口城主や桜のオーナーになれたり、特別イベントに招待されたりするなど「体験型」の特典を付け加えるなどして、寄付額だけでなく、弘前に興味を持つ、弘前ファンも増やしている。
 平川市は返礼品に質の高い農産品などをそろえているほか、空き家の見回りや墓の清掃、代理墓参りなどユニークなサービスも。南部町は返礼品の質の高さを話題にした投稿がきっかけで知名度が上がり、受け入れ額が増えているとか。
 リポートでは県内事例を分析して返礼品の豪華さと寄付額の多さに関連性はないと結論付けており、各自治体に「アイデアと企画力でいろんなことができる」と助言している。自主財源を増やすだけでなく、交流人口の拡大などにもつなげられるとすればやらない手はない。各自治体の創意工夫に大いに期待したい。

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