社 説

 

死亡率ワースト1位「改善へ一層の意識改革を」

2017/6/17 土曜日

 

 またしてもショッキングなデータが明らかになった。厚生労働省が公表した2015年の人口10万人当たりの都道府県別年齢調整死亡率は、男女ともに本県が最も高い結果となった。
 全国ワーストとなるのは男性は4回連続、女性は2回連続となる。男性は、阪神・淡路大震災で被災した兵庫に次ぐ2位となった1995年を除くと、75年からのワーストとなる。
 県を挙げて短命県返上に取り組む中で、対策がすぐに結果に表れないことは承知の上だが、不名誉な結果はやはり残念でならない。死亡率改善に向けた各種施策の継続・強化を図ると同時に、改めて県民一人ひとりが日ごろの生活習慣を見直し、健康づくりに努めたい。
 年齢調整死亡率は、60年から5年ごとに公表しており、15年の全国平均は男女とも全ての都道府県で前回を下回った。本県も前回に比べると改善傾向にあるものの、全国的に死亡率が低下している中で、ワーストから脱することができないのが現状だ。
 死因別では、本県は依然として、がんが男女ともワーストとなり、脳血管疾患が男性でワースト、女性はワースト3位と高い傾向にある。一方、全国的に死亡率が最も低かったのは、前回に続き男女とも長野となっている。
 今回の結果に、県は「喫煙や肥満など悪い生活習慣の積み重ねが主な原因」と指摘し「生活習慣が改善されても、すぐに結果は出ない。地道に対策を続けていきたい」としている。
 今やすっかり「長寿県」のイメージが定着した長野だが、かつては脳卒中による死亡が目立った。そこで80年代になって関係者が協力して減塩を呼び掛ける活動を始め、積極的に野菜を摂取するといった食生活の改善で肥満が減る効果も表れ、現在に至る。
 本県でも、短命県返上へ行政が各種施策を展開し、企業も対策を講じ始めている。児童生徒への健康教育も重視されてきた。弘前大学が拠点となって疾病の予兆・予防法確立に取り組む大プロジェクトが展開されるなど、健康寿命延伸を目指すための環境は整いつつある。
 あとは、県民の意識改革だ。これが簡単なようで最も難しいが、死亡率の改善には欠かせない最重要課題である。
 県が発表した県健康増進計画の進捗(しんちょく)状況によると、肥満傾向にある子どもの割合や妊婦の飲酒・喫煙割合など20項目が改善しており、少しずつではあるが対策の効果は出始めているようだ。一方で、過度の飲酒や運動習慣の割合などが悪化しており、これらは対策を一層強化する必要がある。
 いずれにしても地道に継続して取り組みを進めることによって成果が表れてくるはずだ。県民が健康で豊かな人生を送れる地域づくりに引き続き努めたい。

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“共謀罪”法成立「内容曖昧では理解得られない」

2017/6/16 金曜日

 

 「共謀罪」の構成要件を改めた「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が15日朝の参院本会議で可決、成立した。14日から夜通し続いた与野党の攻防。政府・与党が選んだのは、野党が「異常な禁じ手」と表現した、参院法務委員会採決を省略して「中間報告」で本会議採決に踏み切るという手法。重要法案であったにもかかわらず、徹底した議論を尽くされぬままでの強行採決である。国民の理解が得られるというのか。
 法案成立をめぐって野党は内閣不信任決議案を提出するなど反発したが、野党にできる抵抗はこれらが精いっぱい。与党と日本維新の会などの反対多数で否決されている。一方、国会議事堂前では数千人が集まり、プラカードを掲げて「強行採決、絶対反対」「説明責任果たせ」と声を上げ続けた。
 確かに世界中で発生するテロは脅威であり、未然に防ぐための策は必要だ。2020年東京五輪・パラリンピック開催を控えているのだからなおさらである。これだけなら、必要な法改正と思うかもしれない。しかし問題は他にある。刑法では「既遂処罰」を原則としているが、改正法では計画・準備段階で処罰できるため、原則転換との指摘がある。加えて当初「組織的犯罪集団に限定」としていた処罰対象は、その後に「組織的犯罪集団の構成員と周辺者に限定」と、事実上の対象拡大に変わった。
 さらに、捜査範囲などについては明確に示されておらず、現時点では運用に委ねる格好であるため、拡大解釈による行き過ぎた捜査などが行われかねない懸念は残ったまま。つまり内容が不明瞭で“不完全”な改正法が7月にも施行されるのだ。このままでは国民の不安は膨らむ一方であり、捜査当局に混乱を来さないとも言い切れない。
 また、今国会会期内の強行採決・成立に持ち込んだ背景に、参院法務委員会で予想される混乱が東京都議選(23日告示)にもたらす影響の回避や、学校法人「加計学園」獣医学部新設問題に対する追及の場を野党に与えない思惑があるとされる。国会議員は国民の代表のはずだが、こうした理由で重要法案を力ずくで成立させる国会に、一票を投じた国民は不在のようだ。
 与党自民党、公明党とも国民の理解を得るため、丁寧に説明する努力を続ける考えを示した。曖昧な答弁を繰り返した上、委員会採決を飛び越える“奇策”を実行し、都議選などへのダメージの大小をてんびんに掛けたような印象を国民に持たせたのだから当然のことである。しかし、国会で明瞭な答弁ができなかったのに、「内心の自由が脅かされる」「一般市民が捜査対象になる」といった国民の不安を払拭(ふっしょく)できる丁寧な説明ができるかは疑問だ。名前だけの改正法なら施行を急ぐべきではない。

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弘前でごみ指定袋「さらなる減量化に努めよう」

2017/6/15 木曜日

 

 弘前市は家庭系ごみについて、有料化を当面見送り、処分手数料を上乗せしない指定袋を2018年度中に導入する方針を決めた。指定袋は45リットルで1枚当たり十数円になる見通しで、「事実上の有料化」との見方もできる。ただ、県内では40市町村のうち9割が既に指定袋を導入済み。指定がなかったのは同市、藤﨑町、西目屋村、階上町のみで、まず指定袋を導入するという判断は市民の理解を得られるのではないか。
 ごみの減量については、同市のみならず県全体で意識がまだまだ低いと言わざるを得ない。15年度の本県におけるごみ排出量は1人1日当たり1026グラム。前年度から20グラム減少し、都道府県別では前年度から二つ順位を上げたものの、依然として43位。前年度全国最下位のリサイクル率は1・5ポイント増の15・0%としたが、全国順位は42位のまま。
 同市の1人1日当たりの排出量は前年度より58グラム減り1222グラム。県内最下位から抜け出したものの、38位にとどまり10市の中ではワースト。市は20年度までに980グラムまで減量することを目標とし、達成できなかった場合は改めて有料化を検討する可能性を示す。
 市廃棄物減量等推進審議会は昨年、ごみの減量化・資源化に向けて「有料化が有効」という意見をまとめ、市に答申した。家庭系ごみの有料化は全国で6割を超える市町村が既に実施済み。県内でもほぼ半数の市町村が有料化している。実施した市町村ではごみ排出量が実施前に比べて確実に減少しており、有料化がごみの減量に効果的だということがデータで裏付けられている。
 そうした中で有料化を見送ったのは、各種取り組みによりごみの減量化が一定程度進んでいるからだ。15年度の減少に加え、市の独自推計によると、16年度の1人1日当たりの排出量は1164グラムまで圧縮されている。有料化に関する議論が行われたことで市民の意識が高まったのかもしれないし、市などによる各種啓発が市民に伝わりつつあるのかもしれない。いずれにせよ、この動きをさらに活発化させていきたい。
 一方で、気になるのが事業系のごみ排出量。15年度実績では468グラムと減少こそしているが、10市の中では最多の状況となっている。16年から弘前地区環境整備事務組合が古紙類ごみの受け入れ制限を実施したことや、会員事業所を対象に業者が無料で古紙類を回収する県の「オフィス町内会」事業が浸透しつつあることから、16年度はさらなる改善が見込まれているものの、事業系を減らす取り組みも一層強化しなければならない。
 ごみの排出量が多いことは、「お城とさくらとりんごのまち」のイメージダウンにつながりかねない。市民、事業者、行政が一体となって、さらなる努力をしていきたい。

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高校再編への意見「“認識の違い”理解し再検討を」

2017/6/14 水曜日

 

 県立高校再編第1期実施計画案(2018~22年度)をめぐり、県教委が県民から寄せられた意見について再検討する考えを示した。計画案は津軽地方では、金木、鶴田、板柳、五所川原工業4高校を募集停止の上で統合、新たな高校を設置するほか、黒石商業2学科を他校に移した上で黒石と統合、弘前実業農業経営課を柏木農業に集約するなど、これまでにない大規模なものとなっている。
 しかし、5月中に行った、地域住民と意見交換を行う地区懇談会でのやり取りを含め、統廃合対象となった地域からは見直し、再考を求める要望が県教委に相次いでいた。再度の検討とは、どの程度まで住民意見をくんだものになるかは未知数であり、100%満足するものは無理としても、ある程度は納得できる形となることを望みたい。
 先ごろ開かれた県教委定例会では、教育委員から「地域の実情への配慮が、われわれの認識と地域の方々とは若干違った面もあるのでは」との声が上がっていた。また県教委が計画案提示後の4月27日から今月5日まで実施したパブリックコメントでは、14人から延べ28件の意見が寄せられたが「郷愁や伝統だけでは、学校の存続は難しい。それだけ子どもの減少は深刻だ」と計画案の趣旨に理解を示す声がある一方、統廃合対象になった高校について伝統や地域に対する貢献、魅力などを訴え、計画案の再考を求める意見も見られた。
 論点はさまざまだが、県教委側の説明は、普通科と専門学科を統合し、新設校を設けることのメリットだけを強調しているようにも見える。実際、定例会では「専門学科と普通科を融合し、新しいイメージの学校をつくるという点で地元の人たちの理解が足りないのかなという受け止めをしている」との意見が上がっていた。
 「新しいイメージの学校」という考えは、本県の将来的な高校の在り方を考える上で選択肢として必要であろうし、生徒数を確保の上で充実した教育環境を整備するとの趣旨はもっともだ。
 しかし、統廃合対象となった地域の人たちが求めているのは、高校がこれまで地域と歩んできた歴史や貢献の在り方、高校が地元からなくなることによる保護者の経済的負担、生徒が地元からいなくなることにより懸念される地域活力の衰退といったことに対して、どのように県教委側が答えるかということであろう。まず、これらに対して、住民側に対する明確な回答がない限りは、「新しいイメージの高校」や高校・学科を集約する意義、メリットに対して理解を求めても、なかなか理解されるものではない。
 意見の再検討に当たっては、「地域の実情への配慮」に関する認識の違い、住民側が求めていることが何なのかを理解した上で精査することを望みたい。

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退位特例法成立「皇室の安定的存続に議論を」

2017/6/10 土曜日

 

 天皇陛下の退位を実現する天皇の退位等に関する皇室典範特例法が9日、参院本会議で可決、成立した。明治以降の近・現代日本においては初めて、歴史的にみれば、1817年の光格天皇以来、約200年ぶりに退位への道が開かれることになる。今回の法案成立はわが国における象徴天皇制の在り方を考えた時、大きなターニングポイントとなるのは間違いない。
 特例法では、83歳と高齢になられた陛下が被災地視察といった公的行為などの継続が難しくなることを「深く案じておられる」とし、「国民は陛下のお気持ちを理解し、共感している」と退位に至る事情を明記している。
 政府は2018年12月下旬に陛下の退位と皇太子さまの新天皇即位を実現させ、翌19年元日に元号を改める日程を軸に検討を進めている。時期はまだ流動的だろうが、陛下の退位が現実のものとなる以上今後のスケジュールは万端遺漏なく執り行いたい。中でも改元は国民生活にも大きな影響を及ぼすものであり、混乱が生じることのないよう、早い段階でその時期を明確にし、しっかりとした準備を整えていかなければならない。
 退位への思いがにじむ陛下の「お言葉」から10カ月。国会や専門家による会議などを通じて、さまざまな議論が行われてきた。その生前退位の在り方は今回、陛下一代限りの特例法という形での決着を見ることになった。
 菅義偉官房長官は特例法について「将来の先例になり得る」と述べたが、法律に明文化されていない以上、その時々の政権の判断となることは避けられない。陛下の退位へのお気持ちに対して、国民の多くが共感を覚えたことは確かだ。だが一代限りとする今回の特例法に賛成であるかどうかは、別問題であろう。国民の願いは、突き詰めれば、象徴天皇制と皇室制度について将来も安定したものであり続けてほしいということに尽きるのではないかと思う。こうした点を考えれば、もっと議論を踏み込んだものとすることができたのではないか。
 安定的な皇位継承や皇族数の減少という問題も積み残されたままだ。例えば30年後の皇室を考えた時、皇太子ご夫妻、秋篠宮ご夫妻はいずれも80代になられる。現在未婚の女性皇族7人は、眞子さまをはじめ多くが結婚に伴い、皇籍を離脱している可能性がある。40代の悠仁さまがお一人で皇室の将来を抱え込む事態になりかねない。
 男系男子による皇位継承を維持するために側室制度を復活させるのは非現実的だろう。旧宮家の皇籍復帰も判断の分かれるところだ。
 皇室を安定的に存続させるためにはどうすれば良いのか。難問を先送りせず、国民的議論を続ける。国と政府はその先導役を担わなければならない。

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