社 説

 

麺類の塩分調査「塩分は程よく摂取、健康維持を」

2017/12/8 金曜日

 

 県は県内飲食店を対象にした、麺類(ラーメン、うどん、そば)の塩分調査を開始した。がんや心臓病、脳卒中など生活習慣病による死亡率が高く、平均寿命が全国最下位の本県だが、生活習慣病と関連が深い塩分摂取について、副菜を取り入れて野菜類を食べ、塩分を体内に取り入れる量を調整するなど、1日の食事の取り方を検討する狙いだ。過度な摂取も不足も身体に影響を及ぼす塩分だけに、適量を心掛けたい。
 調査は今年度内に100店舗で実施。食生活改善推進員が麺類を提供する飲食店を訪れ、塩分濃度計を使ってスープの重量と塩分を計測するというものだ。計測結果は用紙に記録し、協力店に渡すほか、県内全体の計測結果を集計する。
 県がん・生活習慣病対策課によると、県の2016年度県民健康・栄養調査の結果は、成人の1日の食塩摂取量が平均10・5グラム(男性11・3グラム、女性9・7グラム)で、前回10年度調査からほぼ改善されず、日本人の摂取目標である男性8グラム、女性7グラムを達成できなかった。
 一方でスープに塩分が多量に含まれる麺類は県民の食生活には欠かせない存在となっている。県のまとめによると、県庁所在市である青森市を例とした場合、カップ麺購入数量は年間6298グラムで全国トップ、即席麺購入数量は3621グラムで同3位といい、県民が麺類を好む傾向があることが顕著に分かる。
 塩分はその過剰摂取と生活習慣病との関わりが指摘されている。今回の調査対象となった麺類は1食分のスープに1日に必要な、もしくはそれ以上の塩分が含まれるケースが多い。それは麺商品の包装に記載されている塩分量の表記を見れば一目瞭然だ。「スープを飲み干してはいけない」と言われるのはそのためであろう。しかし、庶民の味として親しまれているラーメンなど麺類。6日に調査を受けた飲食店の経営者が「ラーメンは塩分を減らせばおいしくないので、味は変えられない」と語ったのも当然であろう。それだけに、麺類そして塩分との程よい“付き合い方”を考えていかねばならない。
 同日の調査に参加した県食生活改善推進員連絡協議会の山谷詠子会長は、本県のラーメンを食文化と位置付け、絶やさないための健康的な食べ方として、(1)汁は飲み干さない(2)塩分を体の外に出す働きがある野菜を一緒にしたものを食べる―ことを挙げている。
 もちろん、塩分の過剰摂取傾向を麺類だけに転嫁することはできない。炒め物、揚げ物など多くの料理に塩分による味付けは不可欠だからだ。塩分と程よく付き合い、そして健康寿命を伸ばしていくため、県産だしのうま味を活用し、減塩を推進する活動「だし活」を参考とするなど自ら健康と食生活を考えていけるようにしたい。

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ロシア・ドーピング「選手を裏切る過ち繰り返すな」

2017/12/7 木曜日

 

 国際オリンピック委員会(IOC)が、国ぐるみのドーピング(禁止薬物使用)を指摘されていたロシアのオリンピック委員会を資格停止とし、来年2月の平昌冬季五輪への選手団派遣を認めないことを決めた。長い歴史を持ち、世界中の注目を集める五輪の信頼を維持するには当然の判断だ。
 残念ながら、スポーツ界ではドーピングが発覚して大会のメダルを剥奪されるケースが後を絶たない。選手一人によるものであっても許されるものではなく、組織的なものであれば事態は極めて深刻と言わざるを得ない。ロシアは2014年のソチ冬季五輪で獲得したメダル33個のうち11個が剥奪の対象となった。
 ましてや、ロシアは旧ソ連時代からメダルを量産してきたスポーツ大国だ。本来ならば、他国の模範となるべき立場にあり、組織的なドーピングなどはあってはならない。
 ロシアはフィギュアスケートなど多くの競技で有能な選手を輩出しており、参加できない選手が相次いだ場合は大会全体のレベルに大きな影響が出るのは必至。4年に1度の祭典が盛り上がりを欠くものになってしまっては、競技を観戦するわれわれにとっても残念だ。
 IOCの今回の決定では、過去に違反歴がなく、潔白が証明された選手に限り、五輪旗の下で「個人資格」で参加することを認めた。ロシア選手の全面排除も懸念された中で一つの救いにはなった。ただ、表彰式などでは国歌の使用を認めず、五輪賛歌で代用するという。
 母国の旗の下で競技に臨むことができない選手の落胆はいかばかりか。国の威信を懸けて競技するプレッシャーは非常に大きなものであろうが、それは励みでもあろう。競い合う選手たちを見るわれわれの心を熱くするのは、それが国同士の勝負であることも大きく影響しているのではなかろうか。
 ロシアもソチ五輪に国の威信を懸けて臨まなければならなかったのであろうが、その方策を誤った。同国の関係者はIOCの決定を「不公平。わが国の国旗が見られない五輪など活気がなく、退屈だ」などと批判しているが、そのような状況を招いたのは自国であり、まずは反省の弁があってしかるべきだ。
 今回の件で最大の被害者は潔白なロシア選手たちだ。自国の旗の下で参加できないことを最も悔やんでいるのも彼らなのではないか。スポーツ界で申し分のない実績を残し、これからも重要な役割を担わなければならないであろうロシアは自らの立場を強く自覚し、潔白な選手を裏切る過ちを繰り返してはならない。
 20年に東京五輪を控える日本は、大会招致に際して「クリーン」を訴えて共感を得た。ロシアの過ちを他山の石とし、自国選手のドーピング防止やクリーンな大会運営に努めたい。

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天皇陛下退位日程「皇室安定に向け活発な議論を」

2017/12/6 水曜日

 天皇陛下が退位される日程について、1日に開かれた皇室会議が2019年4月30日に退位すべきだとの意見を決めた。これを踏まえ、政府は退位日を定める政令を8日に閣議決定する。皇太子さまは翌5月1日に即位、合わせて改元も行われ、平成は31年で幕を下ろすことになる。天皇退位は約200年ぶりで、現行憲法下では初めてとなる。
 退位の日程は、国民にとって分かりやすい「18年12月下旬に退位、19年元日に新天皇即位」とする案、年度の変わり目に合わせた「19年3月31日退位、4月1日即位」の案もあったが、年末年始は皇室行事が集中するとして宮内庁が反対、年度の変わり目は4月に統一地方選があり、年度初めに改元すれば、役所の窓口などで混乱が生じることが懸念された。
 結果、統一地方選が終わり、新年度の準備なども一段落する「4月末退位、5月1日即位」が浮上、決定したという。
 本来であれば、年の終わり、新しい年の始まりという意味で、節目の意識の強い年末年始か、日本人の社会・生活の中に深く根差す年度変わりの時期が代替わりや改元にふさわしい時期でもあろうが、退位をできる限り静かな環境の下で執り行いたいという気持ちは多くの国民が共感できるだろう。加えて転勤や進学、就職など生活環境の変化が起こる時期で、それに伴う各種の手続きが集中する年度変わりや正月休みなどで行政機能などが制限される新年の改元は、国民生活や経済活動を考えれば、マイナス面が大きい。今回の決定は多くの国民の理解を得やすいのではないだろうか。
 今後は円滑な代替わりに向けて新元号や退位儀式の在り方などが検討されていく。特に新元号の発表時期は、商品やシステムに元号を使う企業に影響を与えるだろうし、カレンダーや手帳の業界も早めの情報提供を望むだろう。元号は、企業活動に支障を来さないよう適切な時期に公開されることが望ましい。
 日程も決まり、天皇陛下の退位に向けての準備が着々と進んでいるが、皇室の将来、安定的な皇位の継承をどのように果たしていくかは、考えるべきことが多い。先ごろ、婚約を発表された秋篠宮ご夫妻の長女眞子さまが結婚に伴い皇籍から離脱すれば、皇室の人数は平成以降最少の18人になる。皇室の減少問題は、深刻な状況にある。退位に関する特例法の審議では付帯決議として、女性皇族が当主となる女性宮家などについて検討することが盛り込まれた。だが「女性宮家は女性・女系天皇につながる」とする保守層の反発もあり、具体的な検討の動きは見えない。女性宮家の創設の是非は国民の間でも賛否が分かれるだろうが、安定した皇室制度を築くためには皇族の減少に歯止めをかけることが急務だ。将来の皇室の在り方についての議論、検討は早急に行わなければならない。

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弘前市芸術文化施設「多様な表現に触れる好機」

2017/12/5 火曜日

 

 弘前市の吉野町瓦(れんが)倉庫を現代アート空間「弘前市芸術文化施設(仮称)」にリニューアルする建築改修プランと施設の運営方針が示された。2020年4月のオープンを目指すという。美術作品の創作・展示の場だけでなく、ライブや映画上映なども想定した柔軟で多機能な空間となりそうだ。
 煉瓦倉庫はかつて、初の国産シードルが生産された産業遺産。その歴史と記憶を継承する形で巨大かつ個性的な展示空間が整備されることになる。その空間で、国内外から招聘(しょうへい)した新進気鋭のアーティストが滞在しながら作品を制作・展示し、後世に伝えるコンセプトは、とても刺激的だ。滞在制作において「場」は重要な要素となるだからだ。
 近年は県立美術館(青森市)をはじめ、県内でも現代アートを扱う施設が増えた。十和田市現代美術館の知名度も今や全国区。青森公立大学国際芸術センター青森(ACAC)は、アーティストの滞在制作と展示を主要事業の一つとしている。弘前にも、この土地ならではの現代アートの核となる場が生まれることを歓迎したいし、事業展開に期待したい。
 芸術文化施設には、運営を通じた人づくり、地元の美術や工芸といった各分野への波及効果も期待したい。
 アーティストが滞在制作した作品には、滞在先の風土、自然、産業、人々の気質といった要素が意識的、あるいは無意識のうちに盛り込まれたり反映されたりすることが多い。これらはしばしば、地元の人々にはない発想や感覚で表現され、観覧する人に驚きや感動を与える。そしてその作品は、その土地とは密接不可分の存在となる。
 こうした多様な表現は、地元の美術のみならず、工芸や文芸を含めた表現者たちに新たな発見を与え、新たな創造を促す作用が期待される。地元の文化を捉え直すきっかけにもなるだろう。子どもたちが多様な表現に触れるメリットは多言を要しまい。
 完成した作品に接するだけでなく、一般市民が制作の過程に触れる機会、事業運営を補助する機会があってもいい。
 例えばACACでは、滞在制作するアーティストを市民ボランティアがサポートしている。情報提供や地域案内、アーティストの息抜きに付き合うなど、各ボランティアが可能な範囲で制作を下支えしている。完成・展示後もアーティストとの交流が続いたり、ボランティア同士でアート関連のイベントを開催しているという。県立美術館でも作品制作や事業運営でボランティアが活躍している。
 ボランティアは単なる無償の労働力ではない。芸術・文化やアーティストと接することで得られる知見や感覚は、ボランティア本人の糧となるばかりでなく、ボランティアの周囲をも触発することだろう。

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秋田雨雀記念館「市民の声聞き「仮の場」解決を」

2017/12/2 土曜日

 

 「これだけの資料を大切にしてきた記念館、市民に感謝する」。先日、黒石市の秋田雨雀記念館を訪ね、秋田雨雀(1883~1962年)の足跡を調べたロシア人研究者の言葉だ。記念館にとってうれしいことではあるが、場所や運営面では課題が多い。
 雨雀は現在の黒石市前町に生まれ、詩人、劇作家、エスペラント(国際共通語)運動などで多彩な才能を発揮し、舞台芸術学院長や日本児童文学協会長を務めるなどの功績が高く評価され、名誉市民第1号になっている。
 蔵書や愛用品、手紙などを保存、展示している記念館は「こみせ通り」に面した津軽こみせ駅内にある。雨雀の没後55年に当たる今年、市民有志による運営を運営委員会に移行し、所有権が不確かだった所蔵品は、遺族からの寄贈を得て正式に記念館のものとし、散逸防止を約束。「雨雀をもっと知ってほしい」(伊藤英俊館長)と、通りから分かるよう看板を掲示したほか、雨雀の名を冠した文学・演劇賞や、貴重な資料を次世代に残すための基金も創設するなど、新たな取り組みを次々と打ち出している。
 以前は無造作に近い状態だった展示方法を可能な範囲で改善するなど運営委の意欲を感じる。ただ、土産販売や津軽三味線演奏を行う観光拠点の2階に間借りし階段を上らなければならないなど導線が悪いのに加え、解説員を常駐させられないため十分な情報提供もできていない。運営委の熱意だけでは限界がある。
 年間の来館者数をカウントしていないため正確には分からないが、パンフレットの持ち帰り数や自由ノートの書き込みなどから推測すると300人程度で、県外客の割合が高い。雨雀は文学や演劇の分野で全国的な知名度があり、県外客中心であることを考えると、できるだけ早く現状を変えたい。
 ロシア人研究者らは憲市長を表敬訪問し、こうした課題についても触れた。これに対して市長は「(現在の)記念館は仮の場所」とし「きちんとした場所に移し、残していきたい」との意向を示し、伊藤館長らは期待を膨らませた。
 市が抱える文化関係の課題には、多くの要望がある市民文化会館の早期再開や市立図書館の新設などがある。限られた財政の中で早期に全てを解決するのは簡単ではないが、記念館に県外客、海外の研究者が訪れており、市民が先人を学ぶ場にもなることを考慮すると、将来にわたって適正に保存・活用できる環境整備が必要だ。
 仮ではない「きちんとした場所」には公共施設や空き店舗の利用、津軽こみせ駅の在り方見直しなども考えられそうだが、中心市街地活性化につながるよう当事者以外の市民の意見も得ながら、貴重な資料を適切に守れる最良の方法を探らなければならない。

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