社 説

 

衆院選スタート「政策論争深め、関心高めよ」

2017/10/11 水曜日

 

 第48回衆院選が10日、公示された。全国で小選挙区、比例代表合わせて1180人が立候補し、22日の投開票日に向けて舌戦がスタートした。
 今回の衆院選は、2012年12月から5年弱にわたる安倍晋三首相の政権運営に国民が審判を下す機会となり、安倍政権継続の是非が最大の焦点となる。
 「1票の格差」是正のため成立した改正公選法の適用で、小選挙区の定数は戦後最少の465となった。本県小選挙区の定数も4から3へ1減となり、新たな区割りでの選挙戦に突入した。憲法改正や消費増税の是非など山積する課題を争点に、自民、公明の連立与党と保守系、リベラル系それぞれの野党勢力が争う。
 今回は、9月28日の臨時国会冒頭で首相が衆院を解散し、有権者にとっては突然の選挙となった感は否めない。「なぜ今なのか」と、いまだ疑問を抱く有権者も多いことだろう。さらに、衆院選直前に野党第1党だった民進党が分裂し、小池百合子東京都知事率いる希望の党と、これに加わらない民進党リベラル系の前衆院議員らが参加した立憲民主党の二つの新党が相次いで誕生した。野党再編が慌ただしく進む中での選挙戦に、戸惑う有権者も少なくないはずだ。
 それでも、わが国の今後の進路を占う重要な選挙であり、その方向性を決めるのは有権者一人ひとりの一票であるのは言うまでもない。山積する課題にどう向き合うか、各党は具体的な解決策を明確に示す必要がある。
 安倍首相が進めてきた経済政策「アベノミクス」は大胆な金融緩和や積極的な財政出動を柱としてきたが、地方においては、いまだ景気回復の実感に乏しい。19年10月には消費税増税が予定されている。与党は増税分の使途を変更し、教育無償化などに充てて「全世代型の社会保障」構築を掲げるが、新たな財政健全化の道筋は見えてこない。
 外交では、緊張が高まる北朝鮮情勢などへの対応が課題となる。憲法改正も争点の一つで、改憲勢力が発議に必要な3分の2以上を確保するかも焦点となりそうだ。
 本県は、区割り改定により定数1減となった小選挙区に前職、新人合わせて10人が立候補した。当初は旧4区で前職死去に伴う補欠選挙が事実上の選挙戦に突入していたが、このさなかに衆院解散・総選挙となった。選挙区が変わった地域の有権者にとっては戸惑いも多いことだろう。他方で選挙権年齢が18歳以上に引き下げ後、衆院選は初めてとなる。
 各候補者には、新たな区割りで一票を投じる有権者や、新たに投票権を手にする若者に政治への関心を持たせるための努力も求められる。有権者が自らの将来に向き合い、関心を持って1票を投じることができるよう、存分に政策論戦を深めてもらいたい。

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大学生の活躍「地域活性化への思いに期待」

2017/10/7 土曜日

 

 県外の大学生が地域活性化に寄与しようと奮闘する姿が県内のあちこちで見られるようになっている。少子高齢化や人口減少に悩む本県では若い力が求められている。彼らの活動を歓迎したい。
 地域活性化を目指して「外からの視点」を取り入れる昨今の方法としては、総務省の「地域おこし協力隊」などが代表的なものだろう。隊員は各自治体に派遣されて幅広い分野で活躍し、一定の成果を上げている。隊員としての活動終了後に派遣先に移住し、地域に根差した活動を続ける人もいる。
 大学生の活動も「外からの視点」を取り入れる一つの方法となり得るもので、もっと活用されてよいのではないか。
 とりわけ、彼らに期待されるのは若者ならではの柔軟な発想だろう。県内自治体の財政は厳しく、経済基盤も大都市圏に比べて脆弱(ぜいじゃく)と言わざるを得ない。費用などが限られた中で、少しでも活動の効果を上げるためには、前例などにとらわれないことも時には必要になる。
 深浦町では首都圏のNPO法人に所属する大学生たちが、地元の団体や町と相談し、海岸に漂着する産業廃棄物を鳥の巣箱などに再利用する取り組みを展開した。漂着した産廃を処理するには多額の費用が要る上、それらの産廃は塩分を含むため処理施設を故障させる恐れもある厄介な物という。問題を一挙に解決することはできないにしても、彼らの発想がその契機となる可能性はある。
 さらに、地域活性化を考える上で重要なことは、取り組みが持続し、広がっていくかどうかという点だろう。
 幸いにも、昨今は県内でも古里を元気にしようと知恵を絞る高校生らが見られるようになっている。大学生は高校生と年齢が近い分、同じ目線、似たような感覚で物事を見て論じることができよう。地元で頑張る高校生に外からの視点でアドバイスしたり、共感して新たな取り組みを始めたりすることを期待したい。
 若い時期の経験は生涯の財産になることが多い。地域の将来を担う高校生たちがそのような経験をたくさん積めば、地域活性化への意識も一層高まり、持続的な活動が数多く生まれることも期待できるのではないだろうか。
 ボランティアで深浦町を訪れている大学生たちは、町外の人たちと交流する機会が少ない児童・生徒たちとキャンプで交流する企画を新たに始め、今後は大都市圏の子どもたちを招くなどして取り組みの規模拡大を目指すという。
 このような取り組みは、地域経済に直接寄与するものではなかろう。ただ、地元の子どもたちに貴重な経験を積んでもらうことは、人材育成の観点から見れば極めて重要だ。何らかの形で地域に貢献したいと望む大学生が増えているように見える。彼らの熱い思いを県内の地域振興につなげたい。

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イベント民泊「裾野広げる積極展開を」

2017/10/6 金曜日

 

 観光都市と呼ばれるための条件はいろいろ考えられる。さまざまな人が足を運ぶ観光資源があるのは必須として、そうした資源をいかに快適に楽しんでもらうことができるか。これを決定づけるのは、観光インフラの充足にある。観光案内の整備やネット環境の充実、標識の多言語化など、挙げれば切りがない。宿泊施設がどれだけ整備されているかは、より根本的で重要な問題といえる。
 弘前市は、春に開催される弘前さくらまつりには毎年、250万人前後の観光客が、国内外から訪れる。夏の弘前ねぷたまつりも、100万人単位の人出で市内がにぎわう。他にも秋の紅葉シーズンや冬の雪を生かしたイベントなども人気があり、四季を通じて多くの人が弘前を訪れてくれる。
 これに対する市内の宿泊のキャパシティーは最大4500人ほどで、前述の祭り期間中には宿泊の予約が取りづらい状況が常態化している。だが、民間の収益性などを考えれば、収容能力の大幅な拡大は簡単に見込めるものではなかろう。
 そこで考えられる手段の一つが、民泊の活用。弘前市では今年から、弘前さくらまつり、弘前ねぷたまつりの期間に合わせ、イベント民泊を実施している。市内の一般住宅で素泊まりの観光客を有料で受け入れるもので、春には5件の登録ホストのうち、2件に3人が宿泊。夏は登録ホスト5件に11人が泊まり、宿泊者からの反応も上々だったという。
 本紙では、実際に旅行者を受け入れた2人の市民を取材し、記事を掲載した。築100年以上を誇るかやぶき屋根の古民家や自宅内で茶室として使っていた和室を提供したとのことで、どちらの部屋も歴史と文化の町・弘前にふさわしい趣のある建物で、県外からの観光客も大いに満足したことだろう。会話も弾んだようで、ただの名所見物にとどまらず、地元の人間との触れ合いで、また一味違った弘前観光を満喫してもらえたのではないかと思う。
 今後の課題は登録する市民が少ない点だろう。市観光政策課も「自宅に知らない人を泊めることをちゅうちょする人が少なくない」と分析するが、まさにこの部分が市民に民泊をためらわせる最大の要因だと思う。市は講演会などを通じた情報発信や農閑期を利用し、農家の方にイベント民泊に協力してもらう呼び掛けなども進めたい―としているが、こうしたPRで民泊の意義や魅力を伝えていくことに加え、助成制度などを設ければ、個人だけでなく、事業者などの参入も促すことが可能となり、事業の裾野が広がることにつながるのではないか。地元経済への波及効果に加え、地元密着観光の促進など、空き家・スペースの有効活用など、さまざまな可能性を秘めた事業と言えるだけに、さらなる工夫で大きく発展させたい。

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青天の霹靂 「〝うまさ〟の全国発信を」

2017/10/5 木曜日

 

 県産ブランド米「青天の霹靂(へきれき)」が7日から、全国一斉に販売される。今年は市場デビュー3年目。県側はこれまでの2年間で一定の知名度は得たとして、今年は食味にこだわったPR活動を展開するとしており、まさに勝負の年と言えるだろう。生産者や関係者が誇る「うまさ」を全国に強力に発信してもらいたい。
 販促に活用する新たなキャッチフレーズは「こんにちは、さっぱり」。従来の銘柄米が粘りや甘みを強調する中、青天の霹靂の特徴は「切れとうまさ」。キャッチフレーズは味の特徴と、新しい食味と出合った驚きを表現したとか。今年はこのフレーズを前面に押し出し、量販店での試食宣伝活動のほか、関西圏を含む県内外で「さっぱり感」をイメージさせるテレビCMを放映。ユニークな仕掛けのイベントなども仕込んでおり、さらなる知名度向上に取り組む構えだ。
 県産業技術センター農林総合研究所が開発に着手後、10年の月日を経て2015年10月に待望の市場デビューを果たした青天の霹靂。県内外で多くの関心を集め、これまでの販売状況は好調。さらに日本穀物検定協会の米の食味ランキングでは参考品種だった14年を含め3年連続で最高評価の「特A」取得しており、味についても高く評価されている。
 17年産についても、栽培管理技術を学ぶ研修会や実践的な講習会などを重ね、関係者が一丸となって高品質米の生産に尽力。品質検査を経て一斉販売への準備が整った米について、生産者からは「品質の良いものができて感無量」「本格栽培から3年目になるが、今年は食味や艶など本当に良い米に育った」などの声が上がっており、これまで以上に品質の良さへの自信がうかがえる。また今年産からは特別栽培米も販売を開始。県外から要望が多かったプレミアム感を打ち出すことで、客層の広がりが期待される。
 ただ産地間競争が激化していることも事実だ。16年産の食味ランキングでは特A評価の米が全国44銘柄に上るなど、ライバルは多い。安定した品質の高さは言うまでもなく、その上で消費者の関心を引く販売宣伝活動が重要だ。「攻めの農林水産業」を掲げ、販売重視の振興策に定評のある本県だけに、今年の販促活動にも大いに期待を寄せたいと思う。
 主食用以外での商品開発の取り組みも進んでいる。特に注目されているのが清酒だ。原料となる米の特性が表れやすいほか、品種名を掲げながら高級感を打ち出せる商品であり、青天の霹靂ブランド化推進協議会が精米具合や主要原料などの基準を検討し、ブランドイメージを堅持した商品づくりの道を探ってきた。
 今秋収穫される17年産の米を使い、県内複数の酒造メーカーが醸造する予定。県は主食用米と一体としてPR、加工食品分野からも認知度を高めていくとしており、出来上がりを楽しみにしたい。

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ギャンブル依存症「予防と対処に議論を尽くせ」

2017/10/4 水曜日

 

 家計や社会生活に支障を来しながらも賭け事がやめられなくなる「ギャンブル依存症」が疑われる状態を過去1年以内に経験した疑いのある人が、成人の0・8%、人口換算で70万人と推定されることが、厚生労働省の調査で分かった。対象期間を生涯に広げると3・6%、320万人が一度は経験したと推定される。
 過去1年以内の場合の賭け金は月平均約5万8000円。最も賭け金を費やしたギャンブルは、過去1年以内、生涯ともに「パチンコ・パチスロ」だった。3・6%は、周囲や知人の何人かが現在依存症か、かつて依存症だった可能性がある計算になる。ギャンブルをしない人にとっても人ごとではない。
 調査は全国規模で実施された。米財団の診断表を用い、12項目の回答を点数化して疑いの有無を判断している。判定の基準点未満でもそれに近かった人は少なくなかっただろう。こうした回答者を“予備軍”と捉えられるならば、依存症禍にさらされる可能性のある人はもっといることになる。
 今年の通常国会に提出されていたギャンブル依存症対策基本法案が、衆院の解散・総選挙に伴い廃案となったのは残念だ。
 同法案はギャンブル依存症の予防や医療提供をはじめとした依存症対策に関する基本理念。国や地方自治体の責務も盛り込んでいる。カジノを含む統合型リゾート(IR)推進法(昨年12月成立)創設に当たり、依存症者増加の懸念に対応してつくられたが、推進法を通すための道具にされたように映る。カジノに関わりなく早期に着手してしかるべきだった。
 8月に各地で開催されたIR制度の大枠に関する説明会でも、同様の観点から反対意見は根強く上がった。国会への再提出後は、これらも踏まえて十分な審議を尽くすべきだ。
 臨時国会中の今月下旬に提出が予定されていたIR実施法案も、解散に伴い先送りされた。IR推進法は、成立から1年以内をめどとした実施法案の提出を政府に義務付けているが、法案の年内提出は難しいとみられている。法案の成立が遅くなれば、カジノを開業できる区域の認定時期にも影響が出る可能性がある。
 自民、公明両党は解散前、IR実施法案に先立ち、ギャンブル依存症対策法案の成立を目指すことを申し合わせている。総選挙の結果に関係なく、この方針は今後も守られるべきだ。依存症対策の審議に時間がかかり、IR制度の具体化が遅れてもやむを得まい。再開発促進や経済・雇用効果が期待できる一方でギャンブル依存症などデメリットも多い案件だけに、慎重に対応する必要がある。国民理解をなおざりにしたまま成立を急いだ感のあるIR推進法と同じ轍(てつ)を踏んではならない。

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