社 説

 

本県の医師数「増加に向け一層の取り組みを」

2017/12/28 木曜日

 

 厚生労働省の調査によると、2016年末時点、人口10万人当たりの本県の医師数は198・2人で、都道府県別の順位は41位だった。2年前の前回調査時より4・9人増えたものの、県内の医療環境が依然として厳しいことが分かった。本県の医師育成・確保策は一定の成果を挙げているが、まだまだ道半ばだ。取り組みに一層力を入れなければならない。
 調査は2年に1度行われているもの。全国の医師数は31万9480人で過去最多となったが、人口10万人当たりの医師数を都道府県別で見ると、最多の徳島県が315・9人だったのに対し、最少の埼玉県が160・1人。双方には2倍の格差があった。徳島県と本県を比較しても1・6倍の格差があり、県内の医師数が全国に比べていかに少ないかがよく分かる。
 医師偏在の要因としては、キャリアを形成するための環境、労働環境、待遇などさまざまなものが挙げられている。いずれも大都市圏が優位とされ、本県を含む地方では自治体や医療機関の関係者が改善に取り組んでいるが、必ずしも思うような成果を挙げられていない。さらに、医師を偏在させるこれらの要因は、地域の人口、経済規模といった医療分野以外の要素とも密接に絡んでいるため、問題を一層複雑にしている。
 今回の調査結果を踏まえ、厚労省は対策を取りまとめた上で、関連法の改正案を来年の通常国会に提出する考えという。対策の中には、一定規模の病院で院長になるための基準の一つとして医師不足地域での勤務経験を有することを求めることなどが含まれるようだ。
 もちろん、国には対策の拡充を期待したい。それは国の責務でもある。ただ、医療をめぐる課題を地域ごとに細かく見ると、それぞれ違いがあり、全国一律の対策だけで全て解消できるはずがない。各地域の主体的な取り組みがどうしても必要なのである。
 本県の関係者もこれまで独自策を打ち出しながら、医師育成・確保に努めてきた。そのかいあって、県内の病院で初期臨床研修を受ける研修医、初期研修を終えて専門医の知識や技能を学ぶ後期臨床研修先として県内の病院を選ぶ医師の人数などはおおむね増加傾向にある。この傾向を今後も維持していきたい。
 先にも述べたが、医師の労働環境や待遇面で大都市圏が優位に立っており、本県で医師として働くインセンティブ(動機付け)を医学生らに与えるのは簡単なことではない。しかし言うまでもなく、医療は人々の生活になくてはならないものだ。県民の生命を救い、健康を維持するために尽くしたいと志す人材を一人でも多く確保するには、彼らを求める側の熱意がまずは求められよう。その熱意を持って、地域医療の必要性を地道に訴え続けていきたい。

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再処理工場竣工延期「安全確保の徹底が優先」

2017/12/27 水曜日

 

 日本原燃は、2018年度上期を目標としていた再処理工場(六ケ所村)の竣工(しゅんこう)時期を21年度上期に延期すると発表した。未定を除いて、延期は23回目で3年の延期幅は過去最長となる。工藤健二社長は「今回示した期間の中で何としても竣工を成し遂げる覚悟」と強調したが、その道のりは険しいだろう。
 原燃は重大事故対処設備の設置や、建設中の緊急時対策所のさらなる耐震性向上などといった工事の物量増加に加え、設計および工事方法の認可(設工認)や設備の使用前検査の手続きを考慮し、延期幅を決めたと説明。新しい工事が必要と判断したために延長したと強調し、延期と審査中断は「リンクしない」とするが、そういうわけにはいくまい。
 同工場では8月以降、安全上重要な設備での雨水流入が相次いで判明。ウラン濃縮工場で長期にわたり保守管理が放置されていたことも明らかになり、保安規定違反と判断された。原子力規制庁は、面談で厳しい指摘を繰り返し、審査会合では一連の対応を説明する原燃に対し、「事実を何で隠す」「信頼できない」などと強く非難した。
 昨年12月にはウラン濃縮工場での保安活動をめぐり、事実と異なる報告を原子力規制委員会にしていたことが、保安規定違反と判断された。再処理工場の安全審査が終盤を迎えているにもかかわらず、保安規定違反が繰り返されることに批判は高まりつつある。
 安全審査を行う原子力規制委員会側は厳しく審査する姿勢を崩していない。保安規定違反を認定した定例会では「安全確保上の問題が改善できないのなら、規制委としてもしかるべき対応を取ることになる」と、“最後通告”とも受け取れる指摘もあった。
 今回の竣工延期で、報告を受けた佐々木郁夫副知事は「施設の安全性に対する県民の信頼を損ねかねない深刻な状況で、誠に遺憾」と原燃の対応を批判。核燃料物質を取り扱う施設だけに、安全確保は大前提のはず。にもかかわらず、着工から20年以上経た今なお、安全管理に関わる重大な問題が繰り返される。これでは国や県、県民が懸念を抱いても致し方あるまい。
 雨水流入問題を受け、原燃は全設備を管理下に置く活動に着手し、工場内約60万設備の全数把握作業などを進めている。全数把握は安全確保に向けた改善活動の第1段階だが、早くも年内完了という目標は年明けにずれ込む見通しだ。
 原燃は審査合格の前提となる補正書の提出について、「改善が進んでいると判断した時点」で行うとしているが、改善を完了し、安全確保体制を確立することが竣工に向けた最低条件ではないか。安全は何よりも優先されるという基本に改めて立ち返り、今はその一点に全精力を注いでもらいたい。

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学習支援教室「学びの場活用へ浸透図りたい」

2017/12/26 火曜日

 

 経済的理由から学習塾に通っていない生徒らの学ぶ力をサポートしようと、弘前市が学習支援事業を行っている。生活困窮世帯や就学援助、児童扶養手当を受けている世帯の中学生を対象にした学習支援教室「あっぷる~む」だ。
 2015年に始めた事業は、弘前大学ボランティアセンターの協力もあって運営基盤が整い、着実に成果を上げているようだ。一方で、利用するのは対象者のうち、ごくわずかにとどまっている。事業がより広く理解され、運営関係者が願うように支援が必要な生徒に届く仕組みとなるよう期待したい。
 あっぷる~むは、市社会福祉協議会が市の委託を受けて事業運営を行い、弘前大学ボランティアセンターの大学生が中学生の勉強を手伝っている。現在は週1回開設しており、場所は対象者のプライバシーに配慮して利用者だけに明かしているという。
 事業開始から2年間で、利用した中学3年生6人が学力や経済的理由で進学を断念することなく高校へ進んだという。利用者数は少ないものの、生徒たちの学ぶ力をサポートしたいという事業の狙い通り、着実に成果を上げているといっていいだろう。
 学習支援を行うのは弘前大学の学生たちだ。将来、教師を目指す学生らが、生徒と1対1で向き合い、積極的にコミュニケーションを図りながら勉強を教えており、将来につながる経験になることは間違いない。大学が数多くある学都ひろさきらしい取り組みである。
 一方で、あっぷる~むの活用をどう促していくのかが今後の課題だろう。弘前市によると、参加対象世帯の一つである就学援助認定者の数(16年度)は、小中学生合わせて1981人。このうち中学生は827人。この数に対して毎年参加登録するのは5~10人前後にとどまっている。
 市はケースワーカーを通じて戸別に周知したり、広報誌に掲載したりするなどして周知を図っているが、なかなか広まらないのが現状のようだ。プライバシーへの配慮から、周知方法が限定されていることも一因だろう。
 現在は開設場所が1カ所にとどまっており、距離的に利用できる生徒が限られているという課題もある。必要性が高まれば開設場所を増やすことも検討しているようだが、可能な限り柔軟に対応していくことができれば、利便性が高まることだろう。
 大学生から1対1で勉強を教えてもらえるというのは、勉強に限らず、さまざまな話題の話し相手になるなど生徒らにとって貴重な機会であるはずだ。学ぶ側、教える側双方にとって「学び」がある理想的な学習支援の仕組みが、必要とする生徒らに届くよう広く浸透していくことを期待したい。

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政府予算案「社会保障費削減へ議論を」

2017/12/23 土曜日

 

 政府は22日、2018年度予算案を閣議決定した。一般会計の歳出総額は過去最大の97・7兆円となったが、このうち33兆円が社会保障費で、借金の返済と合わせた避けられない支出が56兆円を占める。歳出改革の必要性が指摘されて久しいが、まずは高齢化に伴い拡大を続ける社会保障費をどうするのか、来年の通常国会で根本的な議論が必要だ。
 景気の回復傾向を受け税収は1・4兆円増の59兆円を見込むが、不足分は27・6兆円の赤字国債などで賄うため、借金頼みの状況に変わりない。財務省は国債発行額が6年連続で縮減し、基礎的財政収支も17年度に比べ4000億円程度改善するとして「財政健全化は着実に進展する」と主張する。
 果たして国民の何割が、財務省の説明に納得するだろう。国も地方も借金に頼る財政状況が続く中、子どもからお年寄りまで含めた国民1人当たりの借金は、約878万円まで膨らんでいる。にもかかわらず、借金の最大の要因である社会保障費は増え続ける。
 少しでも財政の健全化を図るため、これまでは不必要な支出、特に公共事業を削減すべきという議論が幅を利かせてきた。1990年代には整備新幹線がその標的となり、中央マスコミは横並びで“壮大な無駄”扱いした。
 当時は随分悔しい思いもしたが、東北新幹線全線開業に伴う観光客の入り込み数の伸びや、県経済への波及効果などは県などが公表している指標を見れば一目で分かる。それ以上に、新幹線が本県の魅力度向上にも寄与していることを指摘したい。民間の最新ランキングで全国17位、東北では宮城に次いで2番目という“大躍進”が物語っている。
 公共事業をめぐっては、県内では国道の橋梁(きょうりょう)、水利施設など、戦後や高度経済成長期に整備された社会インフラの老朽化が進んでおり、補修や更新が課題となっている。国や県は、費用対効果も見極めながら順次対応する予定で、公共事業イコール無駄という批判は当たらないだろう。
 自由に使える財源の捻出に不自由している現状を踏まえれば、財政健全化のため社会保障費をどう削減するのか、“本丸”に切り込む覚悟が必要だ。
 財務省は薬価や生活保護制度の見直しなどにより、社会保障費の伸びを前年度比4997億円の増に抑えたと説明するが、高齢化の進展は避けられず、間もなく団塊世代が後期高齢者の75歳に到達する。
 安倍晋三首相は先の衆院選で、財政再建に使うとしていた将来の消費税引き上げ分について、教育の無償化にも充てると公約に掲げた。本当にそれでいいのか。社会保障費の財源に充て、財政再建に道筋を付けるべきではないのか。年明けの国会で、真剣に議論する問題だ。

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日本相撲協会が処分「事件再発防ぎ健全な取組を」

2017/12/22 金曜日

 

 大相撲の元横綱日馬富士による、幕内貴ノ岩に対する傷害事件に絡み、日本相撲協会が20日の臨時理事会で、事件関係者への処分などを協議した。その結果、暴行現場の酒席に同席した白鵬、鶴竜両横綱が1カ月から1・5カ月の報酬減額とする懲戒処分となった。さらには元日馬富士の師匠だった伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士、つがる市出身)が管理責任を取って協会理事を辞任し、2階級下の役員待遇委員となるほか、八角理事長(元横綱北勝海)は残任期間3カ月分の給与を全額返上する。引責引退した元日馬富士に対しては「引退勧告に相当する」ことが確認された。
 貴ノ岩の師匠である貴乃花親方(元横綱)への処分が保留されており、すべて決着した訳ではない。しかし、今回の処分が同様の事態に対する再発防止効果となるかは未知数だ。かねて言われるような、協会全体の体質改善や力士本人の自覚がなければ難しいのかもしれない。
 協会の危機管理委員会は、元日馬富士を引退勧告相当とした理由を「いかなる理由があっても暴力を行使することは許されず、その一事をもって重大な非難に値する」とした。その通りであるが、白鵬らへの処分と同時に明らかにされた、事件の調査報告を見る限り、貴ノ岩の当時の態度や言動にも問題があったとも受け取れる。
 それによると、9月に貴ノ岩が東京都内飲食店で白鵬の知人らと口論になった。その内容を聞いた白鵬が10月、鳥取市内飲食店で貴ノ岩らに説教をし、話が一段落したと思い込んだ貴ノ岩がスマートフォンを操作。同席した元日馬富士がこれに激怒し、横綱が説教している最中になぜ携帯電話を操作しているのか、という趣旨で問いただしたが、これに対する貴ノ岩の回答内容や態度に立腹し、暴行に至った。
 たとえ、説教が一段落としていたとしても、その場で即座にスマホを操作した行為は、まるで注意したことが身に染みていないように受け取られる。手を上げ、カラオケのリモコンで殴った元日馬富士の行為は行き過ぎで、あってはならないことだが、ここで貴ノ岩が謙虚な態度を取ることができれば、ここまで大ごとになることはなかったろう。
 気になるのは貴乃花親方の出方だ。事件発覚後、謝罪に出向き、会見し、自ら潔く理事職から身を引いた伊勢ケ浜親方とは異なり、ようやく貴ノ岩を危機管理委の聴取に応じさせたものの、これまでの非協力的な対応や態度、言動は、社会人として疑問符が付くものであり、大人げがないとも見られかねない。28日に処分などが検討される見通しだが、「内輪もめ」が強調されることは誰も望まない。望むのは、体質改善がされ、健全な環境の中で培われた力士たちによる取組ではないだろうか。

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