社 説

 

石垣解体スタート「次代に残る歴史的事業に」

2017/4/14 金曜日

 

 世紀の大プロジェクトとなる弘前城本丸石垣修理事業で、まさに事業の本丸と言える石垣解体作業が始まった。石垣の状態や遺構を確認するためのさまざまな調査や内堀の水抜き、そして大きな反響を呼んだ天守の曳屋(ひきや)など、石垣修理事業は、これまでさまざま行われてきたが、すべてはこの石垣の解体、再整備を目的とするものであると言っても過言ではない。つまり、事業はここからが正念場と言えるだろう。次の100年、いやそれ以上の長きにわたって弘前市のシンボルであり続ける弘前城の文字通り「礎」となるようなしっかりとしたものを完成させていきたい。
 本丸の石垣は、弘前藩が津軽領統治の拠点として創り上げた弘前城の中でも、まさに当時の最新技術を導入したものと言えるだろう。築城にあたってはさまざまな資材が領内に求められ、人材については領内はもちろん、領外からも集められたことが資料にも残っている。
 こうした築城当時の人々の熱気により、それまでの奥州、とりわけ本県地域では目にすることがなかった大規模な石垣が弘前城には備えられたのであり、石垣は城下町建設にあたって優れた技術や文化が弘前の地に流れ込んだことの証左となる貴重な遺構だ。
 解体は2018年度末まで行われ、約3000個の石を取り外すという。石垣解体範囲は天守台真下から本丸東面にかけての約100メートルと南面約10メートル。19年度から石垣を順次積み直し、21年度中に天守を元の位置に曳き戻す予定だ。全ての石垣の積み直しは23年度の完了を見込む。昨年12月には2518個の石垣に、積み直す際の“住所”となるナンバリング(番号付け)作業を既に終えている。
 石垣解体は、21日までに天守台東面石垣の1段目(隅石を除く)の解体を完了される予定で、弘前さくらまつり期間の解体作業は休止されるが、石が取り外された石垣の様子は、展望デッキなどから見ることができる。
 弘前城・弘前公園において、今まで当たり前のようにそこにあったものが、なくなるという不思議な感覚は、2015年の天守曳屋で体験している。今年の弘前さくらまつりでも天守台の石垣の一部が外された状態となるので、趣は変わってくるだろう。18、19年と今後数年間で本丸周辺の眺めはどんどん変化していく。石垣修理の様子をリアルタイムで感じることができる今後数年間の祭りは貴重な観光資源となる。人気が高い外堀の花筏(いかだ)とともに、祭りを代表する名所スポットに育てたい。
 弘前さくらまつりは今年100年目の記念の年となる。さまざまな事業やイベントが行われ、節目の祭りを盛り上げる。その記念の年に石垣解体がスタートすることの取り合わせの妙を思いながら、この大事業の成功を祈りたい。

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原発避難いじめ「大人の取り組みこそ重要」

2017/4/13 木曜日

 

 東京電力福島第1原発事故などで福島県内から避難し、転校した小中学校・特別支援学校などの児童生徒らに対するいじめが、2016年度に129件あったことが、文部科学省の調査で分かった。このうち4件が、東日本大震災と原発事故に起因・関連する、いわゆる「原発避難いじめ」だった。
 15年度以前は70件発生しており、原発避難いじめは9件。県教委によると、このうち1件は県内で発生していた。同じ学校に通う児童生徒から言われた言葉で、嫌な思いをしたという。
 原発避難いじめが各地で明らかになり問題となっていたが、まさか本県でも発生していたとは思いもよらなかった。同じ東北地方であり、被害の程度こそ違うがともに被災県、さらには同じ原発立地県でもある。敵意を向けるなど想像もできない。
 県内でいじめられた子どもは現在、通常通りに登校しており、問題は解決した状態だという。ただ、いじめによって受けた心の傷は、外面からうかがい知ることはできない。県教委、学校関係者には引き続き心のケアなどに努めてもらいたい。
 今回の調査結果を受け、松野博一文科相は全国の児童生徒に「慣れない環境で生活する友達を理解し、支えてほしい」と呼び掛け、教育委員会や教職員に対しては「格別の配慮をお願いする」とした。
 さらに、保護者や地域住民には「いじめの背景には大人の配慮に欠ける言動があるとも考えられる」と、被災地の状況や放射能に関する理解を求めた。まさに、この点が重要なことだと考えられる。子どもに最も影響を与える親が、誤った知識や偏見を持っていたのでは、原発避難いじめは到底なくならないだろう。
 原発事故後、福島を支援する取り組みの一方で、放射能に対する不安などから差別的な言動も多々見られた。
 今回の調査では「放射能が付くから近づくな」「福島に帰れ」と言われたなどのいじめがあったと報告された。大人たちの不適切な言動が、そうしたいじめを引き起こした一因となったのではないだろうか。
 原発避難いじめに限らず、いじめ根絶は長く叫ばれてきたが、いまだ実現しそうもない。かつて大学時代の恩師が「大人社会がいじめ社会になっている限り、学校のいじめはなくならない」と語っていた。学生時代はぴんとこなかったが、今なら理解できる。
 職場でのいじめはなくならず、ハラスメント(嫌がらせ)という言葉もすっかり定着してしまった。子どもたちのいじめによる悲劇をなくするためには、まずは大人が真剣に取り組む必要があるのではないか。

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将来推計人口「社会の担い手確保を急ぎたい」

2017/4/12 水曜日

 

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が公表した2065年までの50年間の将来推計人口によると、15年に1億2709万人だった総人口は53年に1億人を割り、65年には8808万人にまで減少する。
 5年前の前回推計では、65年に8135万人にまで減少するとしたが、近年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)の改善、平均寿命の延伸を踏まえ、人口減少は緩やかになるとの見通しを示した。
 50年後の合計特殊出生率が推計の柱となり、今回は前回推計の1・35から1・44に上方修正。政府は「子育て支援や育児の充実が一定の効果を与えたと考えている」(菅義偉官房長官)などと手応えを語った。
 確かに推計上、人口減少のペースは緩やかになった。しかし、減少していることに変わりなく、歯止めがかかっているわけではない。政府が、50年後の人口1億人維持に向けて掲げる「希望出生率1・8」には程遠い。
 平均寿命の延伸自体は喜ばしいが、総人口の増加は今後望めない上、出生率が伸び悩む中では当然、高齢化は急速に進む。15年に60・8%を占めた現役世代(15~64歳)の割合は、65年には51・4%にまで減少。15年の26・6%だったお年寄り(65歳以上)の割合は、65年には38・4%にまで上昇するという。
 お年寄りを現役世代が支える構図を見ると、15年は1人を2・3人で支える「騎馬戦型」だが、65年には1人を1・3人で支える「肩車型」に変わるという。現役世代の負担増大は明らかであり、「超高齢化社会」への対策は待ったなしの状況だ。
 つまり、社会の担い手確保が急務なのである。そこで昨今必要が叫ばれていることの一つが、女性やお年寄りが働き続けられる環境づくりだ。
 出生率の上方修正を受け、政府が「関連政策が奏功した」と自信を示すのであれば、女性が働きやすい環境づくりを進めることを改めて求めたい。大都市圏、地方を問わず、子どもを産み育てる環境はまだまだ改善が必要だ。
 大都市圏では、保育施設に入ることができない待機児童などが問題化しているが、雇用環境が充実していない地方にあっては、経済的な理由から子どもを産み育てることを諦めるケースも少なくないのである。
 社会保障制度を支えなければならない現役世代の出生率が悪化し、人口減少に拍車が掛かる。その結果、社会保障制度の維持がますます困難になる、といった悪循環だけは何としても避けたい。
 重ねて訴えたいが、人口減少の見通しが緩やかになったからといって、楽観してはならない。人口減少が続くことを前提に、社会の担い手確保を急ぎたい。

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ストーカー等被害「根絶へ早期の警察相談を」

2017/4/8 土曜日

 

 警察庁のまとめによると、全国の警察が2016年に把握したストーカー被害は4年連続で2万件超となる2万2737件(前年比3・5%増)に上ったことが分かった。配偶者らに対するドメスティックバイオレンス(DV)被害も6万9908件(前年比10・7%増)と最多を更新。元交際相手らの裸の画像をインターネットで公開する、いわゆる「リベンジポルノ」に関して寄せられた相談件数は1063件(同7・0%減)だった。本県のストーカー被害は96件(同2件減)、DV被害は491件(同17件増)と5年連続で400件超となった。
 まとめによると、ストーカー、DVともに被害者の9割弱が女性。日常生活の安全を脅かし、時には死にまで至らしめる行為である。「減少に向けて」ではなく、根絶に向けて関係者一丸となって取り組まねばなるまい。
 警察庁によると、ストーカー事案の被害者と加害者の関係は「配偶者・交際相手」が半数を超える一方で、面識がなかったり関係が不明であるものが約1割を占めた。検挙件数は刑法・特別法犯が1919件、ストーカー規制法違反769件であり、ともに法施行以後最多だった。DVに関しては、04年以降13年連続で件数が増加しており、被害者と加害者の関係は婚姻関係が8割を占める一方、それ以外の内縁関係などは2割。刑法犯・特別法犯の検挙件数も8291件で、一貫して増加している。本県の被害件数を警察署別にみると、ストーカーは青森が最多の23件弘前19件黒石12件など。DVは青森121件、弘前69件だった。
 ストーカーに関しては、その行為の多様さに驚かされる。警察庁ホームページによると、代表的な行為は「つきまとい・待ち伏せなど」だが、他には「監視していると告げる行為」「面会・交際の要求」「無言電話・連続電話・メール」などが並ぶ。こうした行為にさらされる側の恐怖はいかばかりだろうか。
 件数が増加している現状も憂慮せねばなるまい。以前より、多くの人々が「何かがあってからでは遅すぎる」と訴えている。言うまでもないが、命が失われた、もしくは加害行為により一生残るような傷害を負った場合は取り返しがつかないからだ。実際、過去5年では15年こそゼロだが、16年を含めストーカー行為に絡む殺人は毎年発生、傷害や暴行も100~200件台で推移している。
 警察側の対応には被害者への防犯指導、加害者への指導警告、被害防止交渉に関する助言などがある。ただ、未然防止策の対応を行っても、抑制や減少に至っていないのが現状だ。県警生活安全部の担当者は「不安を抱えているのであれば、一人で悩まず、早めに警察に相談してほしい」と呼び掛ける。理不尽な行為をなくするため、被害者はまず相談を心掛けてほしい。

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春の交通安全運動「ルール順守で死傷事故根絶を」

2017/4/7 金曜日

 

 春の全国交通安全運動が6日からスタートした。各地で交通安全を呼び掛けるイベントが展開されている。
 入学シーズンを迎え、慣れない通学路を学校まで歩いて通う新入学児童らの姿を見掛けるようになった。また、自転車の往来も増えた。一方で自動車はこの時期、雪解け後の開放感もあってスピードを出しがちになる。
 春の行楽シーズンも迎え、これからの季節は交通量も増すことだろう。それだけに、ほんのわずかな油断が悲惨な大事故につながりかねないということを常に忘れてはならない。自らの命と子どもやお年寄りらを交通事故から守るため、自動車のドライバーはもちろん、自転車の利用者や歩行者も交通ルールをしっかり順守し、交通安全に努めたい。
 県警がまとめた2016年中の県内の交通事故発生状況によると、発生件数、負傷者数はいずれも15年連続で減少した一方、死者数は53人で前年に比べ13人増加した。死者の約半数が65歳以上の高齢者で、高齢ドライバーが第1当事者となった交通事故の死者数が全体の約3割を占め、高齢者が関係する死亡事故が目立ったのが大きな特徴だ。
 自動車乗車中の死者も増加し、この半数以上がシートベルト非着用であったというまとめも出ている。シートベルトを着用していれば助かる可能性があったケースも少なくないようだ。
 道交法が改正され、08年から後部座席でのシートベルト着用が義務化されたが、警察庁とJAF(日本自動車連盟)が16年10月1~10日に実施した着用状況全国調査によると、本県の一般道路での後部座席の着用率は全国平均36%を下回る27・2%と低い。
 たかがシートベルト、と軽く考えてはならない。着用していれば、万一事故に遭っても助かる可能性が高まるため、自動車に乗る際は着用を心掛けたい。
 一方、警察庁の分析によると、昨年までの過去5年間に起きた交通事故で死傷した歩行者のうち、年齢別で小学1・2年に当たる7歳が全国的に最も多いという。年齢が上がるにつれて歩行中の事故は減る一方で、自転車乗用中の事故が増え、16歳で最多となった。新入学児童や高校通学で自転車利用が増えることに伴って、交通事故に遭うケースも増えているものとみられる。自動車運転中に歩行中の児童らのそばを通る場合は、スピードを緩め、細心の注意を払ってほしい。
 飲酒運転が依然として後を絶たないのも残念なことだ。県内では昨年、飲酒運転による交通事故の発生件数、死者数がともに前年より増えた。新年度の歓迎会や春の行楽シーズンで飲酒の機会が増える時期だが、飲酒運転は重大な交通事故を引き起こす可能性が極めて高い危険な「犯罪」であるということを改めて認識し、根絶を図りたい。

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