社 説

 

警察懲戒処分者数「信頼維持と獲得へ住民目線で」

2017/1/28 土曜日

 

 警察庁が発表した昨年1年間の懲戒処分者数は、前年比27人減の266人となった。4年連続の減少で、統計が残る2000年以降3番目に少ない数になったが、逮捕者は72人から81人に増えた。
 発表によると、処分者のうち業務上の不祥事が74人、私生活上が192人だった。理由別では、強制わいせつや盗撮、セクハラを含む「異性関係」が最多の94人、「窃盗・詐欺・横領など」61人、酒気帯びなど「交通事故・違反」36人、「公文書偽造・証拠隠滅」17人。このほか、パワハラや借財など「その他の勤務規律違反」17人、「暴行・傷害など」15人、職務上の不適切事案を含む「職務放棄・懈怠など」12人となった。犯罪行為に起因する処分者が多いことに驚かされる。処分の内訳をみると、免職39人、停職60人、減給118人、戒告49人。階級別は警視以上7人、警部13人、警部補と巡査部長各67人に上った。
 本県で対象となったのは3人。いずれも私生活上によるものだった。このうち1人は薬物犯罪に関する捜査を装って女性の車の中を確認したり、一般住宅に侵入し現金を盗むなどし逮捕、免職となった八戸警察署の元巡査長が含まれる。大阪31人、警視庁25人、兵庫18人と比べれば、はるかに少ない数ではあるが、逮捕者が出たこと、元巡査長による行為は衝撃的な内容でもあった。
 地域住民の安全と安心を確保するため、事件・事故の対処や未然防止に当たる警察関係者から、逮捕を含む懲戒処分対象となるケースが出るということは何とも本末転倒に思われる。「あってはいけない」「やってはいけない」ことをただすことが仕事である。襟を正して、業務に当たっていただきたい。
 一方で、警察関係者の大多数が職務規律を守り、業務に励んでいるわけでもある。一線署での交通取り締まりや交通安全運動といった身近な活動はもとより、交番や駐在所勤務者の地域に根差した活動は住民の安心感を保つことになる。そうした人たちの頑張りがあってこそ、日々の平和が保たれていることも忘れてはならない。
 そうした中で、「現職警察官を逮捕」などといった耳を疑うようなニュースが流れることは、警察業務への信頼を損なわせ、精勤している警察官らの意欲をそぐことになる。言うまでもないが、なぜ警察に奉職しようとしたのかを常に考え、初心を忘れずに業務に当たってほしい。
 警察への信頼度合いが高いほど、その地域の人々が日常生活の中で感じる治安の状況「体感治安」も良い、というデータもある。確かに「警察など当てにできない」と考える地域住民が増えれば、事故や犯罪抑止にはつながりにくい環境となる。信頼獲得と維持のためには、住民目線で業務に取り組むことが必要だ。

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インフル流行期入り「感染拡大防止へ対策徹底を」

2017/1/27 金曜日

 

 今年もインフルエンザが流行シーズンに入り、県内はすべての保健所管内で注意報が発令された。患者数は増加傾向にあり、感染拡大防止のため予防対策に万全を期したい。
 県が26日に発表した今年第3週(16日~22日)のインフルエンザ発生状況によると、定点医療機関から報告された患者数は1定点当たり16・06人となり、前週よりも増加した。
 保健所管内別では、新たに弘前、東地方・青森市など4保健所管内で注意報レベルを超えた。既に注意報レベルを超えている五所川原、上十三の各管内では、警報レベルに近い状況となっている。
 県内は昨年12月15日にインフルエンザが流行期入りしたと発表されており、昨シーズンより1カ月ほど早い。国内のインフルエンザウイルス検出状況によると、直近の傾向ではAH3亜型(A香港型)が最も多いようだ。
 全国的には昨年11月14~20日に患者数が流行開始の目安を上回り、例年より早い時期の流行期入りとなった。厚生労働省によると、季節性インフルエンザのウイルスにはA香港型やB型、2009年に流行した新型インフルエンザと同じH1N1型の3種類あり、いずれも流行の可能性がある。流行しやすい年齢層はウイルス型によって多少異なるものの、今年もすべての年齢で注意が必要だ。
 インフルエンザは普通の「風邪」とは違って症状が重く、特に幼児や高齢者など抵抗力の弱い人がかかると重症化しやすい。時には死に至る場合もあるため、決して油断してはならない。
 この時期はできるだけ人混みを避け、外出時のマスク着用、外出後の手洗い、うがいを習慣付けたい。日ごろからバランスの良い食事を心掛け、十分な睡眠をとるなど体力や抵抗力を上げることも大切だ。
 インフルエンザへの感染が疑われる場合には、できるだけ早く医療機関を受診し、かかった場合は外出を避け、十分な休養を取る必要がある。同時に、周囲にうつさないようマスクをするといった「せきエチケット」を心掛けたい。
 流行前にインフルエンザワクチンの予防接種を受けることも有効な対策の一つだ。発症をある程度抑え、重症化を予防する効果があるとされている。特に高齢者ら重症化する可能性が高い人の場合には効果が高いと考えられているため、毎年、流行シーズンに合わせて備えておくことも必要だ。
 高齢者の入所施設などでの対策にも万全を期してほしい。集団感染を防ぐため、まずはウイルスを持ち込まないようにし、感染者が出た場合はまん延防止に努めなければならない。
 ちょうど受験シーズンでもある。各家庭や学校、職場において、小まめな対策を心掛け、感染拡大を防止したい。

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横綱稀勢の里誕生「新時代の幕開けに集まる注目」

2017/1/26 木曜日

 

 日本相撲協会は25日、大相撲春場所の番付編成会議と臨時理事会を開き、初場所で初優勝した稀勢の里(田子ノ浦部屋)の横綱昇進を満場一致で決定。1998年夏場所後に横綱に就いた3代目若乃花以来19年ぶりとなる日本出身横綱の誕生だ。モンゴル勢に押されてきた角界。国技復活の象徴として2000年春場所以来の1場所4横綱時代をリードしてほしい。
 初土俵から89場所。長く優勝を期待されながらも、現在の4大関で一人取り残され、ここ一番での弱さ、プレッシャーをはね返せない精神力の弱さなどを指摘されてきた。しかし初場所は違った。綱とりが懸かる場所であるのに加え、高まる日本出身横綱誕生への期待など、これまでにないほどの重圧を感じていたはずだが、土俵上で冷静さを失うことはなかった。
 何度も悔しい思いをしながら、ようやく上り詰めた角界の頂点。血のにじむような稽古があってのことだが、同時に2011年11月に急逝した先代師匠の鳴戸親方(元横綱隆の里=青森市浪岡出身)の指導の成果であることも忘れてはならない。大関昇進の伝達は鳴戸親方の遺影の前で行われた。今回の横綱昇進伝達後の記者会見で稀勢の里は「(鳴戸親方に)出会わなければ今の自分はない。これからだと言われると思う」と感謝の言葉を述べた。亡き鳴戸親方を思い出したのだろう。声を震わせた。
 稀勢の里には鳴戸親方が貫いた相撲道の信念がしっかりと継がれているのだ。稀勢の里自身は茨城県出身ではあるが、鳴戸親方が導いた昇進であるのに加え、所属する田子ノ浦部屋では年寄・西岩(元関脇若の里=弘前市出身)が後進育成に当たっている。であれば相撲王国として知られた本県の魂を受け継いだ横綱と言ってもいいだろう。
 この日、相撲協会の使者として理事の春日野親方と審判部の高田川親方から横綱昇進の伝達を受けた。口上は「今の気持ちをそのまま伝えた」という「謹んでお受けいたします。横綱の名に恥じぬよう精進いたします」。「不(ふ)撓(とう)不屈」(元横綱貴乃花)のような四字熟語を使わない実に簡素なものだが、真剣に相撲道と向き合い、ひたむきに稽古に励んだ稀勢の里らしい真っすぐさが感じられた。
 27日に東京・明治神宮で行う奉納土俵入りは、小さい頃から憧れていた雲竜型になるという。そして3月12日に、絶対に負けられない横綱の立場で春場所初日を迎える。深刻さを増す相撲離れに歯止めをかけるかもしれない、待望の日本出身横綱に向けられた国民の期待は、これまで以上に大きい。しかし、あと一歩で優勝を逃し続けた「重圧に弱い」姿は過去のもの。「常に優勝争いに加わり、優勝する」と決意を述べた稀勢の里が開く、新たな時代に注目が集まる。

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米国TPP永久離脱「外交と国内基盤整備を両輪で」

2017/1/25 水曜日

 

 米国の新しい指導者に就任したトランプ大統領が環太平洋連携協定(TPP)からの永久離脱を大統領権限に基づき、米通商代表部に指示した。同大統領は北米自由貿易協定(NAFTA)でも再交渉を求め、参加国が応じなければ離脱する意向を示している。就任演説で米国の国益を最優先する「米国第一」主義を宣言した同大統領が矢継ぎ早に発する政策の数々は、米国が保護主義的な国家へ変容していくことを目の当たりにさせられているようで衝撃を覚える。
 米国の戦略転換は、世界経済に大きな影響を与えることになる。日米など12カ国が署名したTPPは、米国が批准しなければ発効しない仕組みであり、トランプ新政権の永久離脱表明により、現状の協定は発効のめどが立たなくなった。日本政府は「米国の翻意を促す」との立場で署名国の一つオーストラリアは米国抜きの発効を含む代替案を各国に呼び掛けている。
 TPPについては、家族経営などが多く産業基盤の弱い本県の1次産業を中心に大きな影響を受ける可能性があるだけに、もちろんもろ手を挙げて賛成というものではない。行き過ぎた自由貿易協定や経済連携協定は、特に十分な国際競争力のない我が国の1次産業にとっては刺激の強いものであり、まずはこうした国内産業にとって競争力をつけるための基盤強化などの施策が優先されることは論をまたない。
 永久離脱表明を国内の環境整備が整うまでの一時的な猶予期間として捉えることができるのであれば、歓迎できる面もある。だが、先の北米自由貿易協定の再交渉を求める姿勢から見ても米国、トランプ政権からは「とにかく米国の利益を追求する」というなりふり構わない姿が透けて見える。米国にとってさらに有利な条件を求める2国間交渉を打診してくる可能性も高いだろう。米国との関係性を考えれば、その交渉がTPP以上の困難さを伴うことは容易に想像できる。
 TPPは多くの国が互いの相反する利害の一致点を探ってぎりぎりの交渉を重ねたものであり、完全ではないが環太平洋地域の財産の一つと呼べるかもしれない。米国第一を掲げるトランプ政権に対し、複雑・広域化する世界経済を円滑に動かす現実的な仕組みとして提示するのも一つの考え方ではないか。
 米国抜きのTPPを目指しながら、米国に離脱によるマイナス面などを訴え、辛抱強く翻意を促していくのも日本が取るべき戦略の一つとしてあっていい。日本は他の交渉参加国と協調し、リーダーシップを発揮すべきだ。
 加えて、国内1次産業の国際競争力強化にまい進しなければならない。米国の政策転換で世界経済の潮流が変わりかねない状況の中、いずれにせよ国内産業の基盤強化は必要不可欠だ。

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弘前の雪対策「市民の満足度向上を」

2017/1/24 火曜日

 

 雪対策を重要課題と捉え、ここ数年、重機による除排雪や地域に適した融雪システムの構築など総合的な雪対策を進めてきた弘前市。今冬は新たに下水熱を活用した歩道融雪の実証研究に着手し、効果の検証や課題の分析を進めている。
 新たな実証研究は、下水道管から熱を採取し、その熱で温めた不凍液を地表近くに伝えて雪を溶かす仕組み。下水の温度は年間を通して安定しており、今回の実証研究では管内の温度は10~15度、地表に近い部分を通過して管内に戻ってきた時点でも約4度下がる程度と高い。
 市が昨冬に実証研究を行った水道管熱と比べても温度は高く(水道管は5~7度)、さらに水道管は万が一にも凍結させるようなことがあれば市民生活に多大な影響を及ぼすため、利活用に慎重な姿勢が求められることを考えれば、下水熱の方が使いやすいと言えるだろう。下水道は水道同様、ほぼ市内全域に設置されていること、施工も地下水をくみ上げる散水融雪に比べると簡易なことを考えると、市内各地への普及が期待できる。
 また融雪の実証研究と並行し、市は市内の下水熱の供給体制も調査しており、民間事業者に広く情報提供することで、融雪だけでなく夏場の空調利用など可能性が広がっていくのではないか。近年の法改正で行政だけでなく、民間事業者の下水熱活用にも道が開かれており、積極的な活用につながることを期待したい。
 市は2013年に弘前型スマートシティ構想、15年には融雪等推進基本計画を策定、部局横断の庁内研究会である官民連携による総合的な雪対策研究会を設置するなど、さまざまな雪対策を進めてきた。融雪の実証研究だけとっても、地下水や温泉排水、水道管熱、太陽熱など多彩。今年度はスマートシティ構想で既存技術を導入するとした第1段階のフェーズ1の期間が終了するが、この4年間は毎年新たな取り組みに着手し、雪対策の可能性を広げてきたと言えるだろう。
 ただ実感として、冬期間の暮らしが楽になったと思える市民はまだ限られており、市が目指す市民生活の利便性向上やにぎわい創出につながる冬季の外出促進にはまだ道半ば。融雪等推進基本計画では道路の重要度を評価し、優先順位や手順を明確にしているが、計画に沿って着実に取り組みが進んでいるかどうか、一般市民には分かりにくいのが現状だ。
 人口減少と少子高齢化の進行に伴い、今後は各家庭での雪片付けがさらに負担になることが想定され、この問題に対する市民の関心はますます高くなっていくはず。実証研究と並行して、ある程度確立された技術は普及を図り、市民の満足度を上げていくことが必要だろう。
 経営計画では市民による自主的な除排雪作業への支援など、地域全体での雪対策の仕組みづくりを掲げている。こちらにも知恵と予算を期待したいと思う。

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