社 説

 

冬季五輪開幕「北朝鮮包囲網の堅持を」

2018/2/10 土曜日

 

 韓国・平昌冬季五輪は9日開会式が行われ、冬のスポーツの祭典が華やかに開幕した。ただ、今回は北朝鮮による五輪の政治利用が影を落とす。韓国との合同選手団など融和的な動きの半面、開会式前日には軍事パレードを行い、核・ミサイル開発を堅持する意思を示した。国際社会は冷静に事態を見極め、制裁の包囲網を堅持すべきだ。
 北朝鮮選手の五輪参加が特例として認められたことをきっかけに、急展開をみせる“南北融和”の動き。北朝鮮船籍の貨客船を使った芸術楽団の派遣は、韓国の制裁措置の例外として認められた。さらには金正恩朝鮮労働党委員長の妹・与正氏が高官級代表団の一員として派遣されることが発表されるに至った。
 韓国大統領府の報道官は「韓半島の緊張を緩和しようとする北朝鮮の意志がこもっている」と代表団派遣を評価。その上で、「金正恩委員長の妹として党で重要な役割を果たしている。意義は大きい」と与正氏の訪韓を歓迎した。
 融和政策を推し進める韓国の文在寅韓国大統領。北朝鮮の要求を次々と認めているが、韓国国内の反応はどうか。
 芸術楽団の公演を伝えた日本のニュースでは、鑑賞した韓国国民の「統一について考えるきっかけになった」との声が紹介された。韓国の報道機関には警戒感を訴える声もあるようだが、世論が融和を支持し、制裁緩和を求める動きへとつながるのか注視する必要もある。
 日米両政府は北朝鮮の動きについて、国際包囲網の分断を狙っているとして警戒を強めている。安倍晋三首相とペンス米副大統領は7日の会談後、韓国が北朝鮮との安易な対話路線に傾くことに警鐘を鳴らした。
 両者は会見で「日米同盟の強固な絆において、さまざまな課題に対応していきたい」(安倍首相)「北朝鮮の挑発に終止符を打ち、脅威がなくなるまで(日米が)一緒にいることを強調したい」(ペンス副大統領)と同盟関係をアピール、韓国政府をけん制した。
 実際、北朝鮮は8日、首都・平壌で軍事パレードを行った。新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」や日本上空を越えた中距離弾道ミサイル「火星12」などを多数登場させるなど、トランプ米政権を強くけん制した。
 硬軟織り交ぜた揺さぶりで米韓の分断を図ろうとする北朝鮮。国際社会は惑わされることなく、核・ミサイル開発を中止するよう圧力をかけ続けるべきだ。
 一方、今回の五輪で日本勢には過去最多の金メダル獲得の期待がかかる。さらに県勢はアイスホッケー女子日本代表の中村亜実選手=八戸市出身=と、バイアスロン男子日本代表の立崎幹人選手=野辺地高出=が出場する。2人の活躍も大いに期待し、純粋に4年に1度の祭典を楽しみたい。

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弘前城雪燈籠まつり「冬の魅力を存分に発信したい」

2018/2/9 金曜日

 

 第42回弘前城雪燈籠まつりが、きょう9日開幕する。12日までの期間中、会場の弘前公園には市民らが作った雪燈籠や雪だるまなどが立ち並び、冬の古城を情緒たっぷりに演出する。
 今年は地元の企業や学校、有志グループなど62団体が参加し雪燈籠167基、雪だるま53基などを制作した。参加者がへらやのこぎりなどを手に雪を削り取り、丹精込めて作り上げた雪灯籠は祭りの主役だ。
 作り手によって出来栄えもさまざまだが、それぞれの思いを込め、訪れる観光客らに楽しんでもらおうと制作されており、市民主体ならではの温かさを感じられるのが祭りの魅力だろう。
 メインの大雪像は今年、弘前市上白銀町の市役所本庁舎(前川本館・新館)がテーマとなった。この建物は“モダニズム建築の旗手”と呼ばれた建築家・前川國男の作。市内には前川建築が8棟あるが、大雪像のテーマに採用されるのは初めてとなる。
 陸上自衛隊弘前駐屯地協力隊の協力により制作され、今年も細部にまでこだわった繊細かつ迫力十分な仕上がりとなっている。祭り期間中は毎日夕方、大雪像へのプロジェクションマッピングも行われる。
 毎年子どもたちに人気の雪の大滑り台や雪遊び場が設けられる他、約300基のミニかまくら、夏の弘前ねぷたまつりに出陣したねぷた絵を活用した津軽錦絵大回廊など、見どころ満載だ。弘前の冬ならではのイベントを多くの市民や観光客らに楽しんでもらいたい。
 今年は弘前公園外堀で「冬に咲くさくら」と銘打ったライトアップが昨年12月下旬から行われている。雪が積もった桜の枝は、まるで春の夜桜のように見え、凍結した堀は、桜の花びらが敷き詰められた「花筏(はないかだ)」のように見える。冬の城下町で“二度咲き”した桜の名所を楽しめるというわけだ。
 近隣の田舎館村では、冬の田んぼアート2018のイベントが9日から4日間行われ、人の足で雪原を踏み固めて幾何学模様を描き出すスノーアートが楽しめる。今回は、地元の有志団体が真っ白なキャンバスに挑むことになる。
 同時期に弘前市のはるか夢球場でも「冬の球場アート」が実施される。これらは弘南鉄道で巡ることができ、思い思いに両地域を周遊しながら雪が作り出す幻想的な世界を楽しんでもらいたい。
 津軽地域ではこれから各地でさまざまな冬のイベントが開催される。スキーなどのスポーツ、冷えた体をゆっくり癒やす温泉もたくさんあり、この時期ならではの郷土料理や地酒、シードルといった食も豊富だ。最近増え続ける訪日観光客や県内外からの観光客に津軽ならではの多彩な冬季観光をアピールし、誘客促進に結び付けたい。

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青森空港活性化へ「目標実現に積極的取り組みを」

2018/2/8 木曜日

 

 青森空港の年間利用客数を2022年度までに130万人とする目標などを盛り込んだ、「第2次青森空港活性化ビジョン」案(計画期間18~22年度)が示された。直近のデータによると、16年度の利用客数は109万人で2年連続の100万人超え、今年度の推計値は118万人となる見込みであり、6日に県が明らかにした17年1年間の実績では117万人となる。同空港を取り巻く環境は近年、国際定期便就航に伴う利用客数増などといったプラス要因により、全体の利用客が増加傾向にある。現状に甘んじることなく、新たなビジョンに基づく積極的な取り組みを展開することで、目標の実現を果たしてほしい。
 年間利用客数目標値の130万人の主な内訳は東京線64万人(17年度推計値59万人)、大阪線24万人(同22万人)、札幌線17万人(同15万人)、名古屋線13万人(同12万人)となっている。もし、これが実現すれば130万人台は1997年度以来となる。現在の乗客数や20年に開催される東京オリンピック・パラリンピックでの需要を見込めば、実現は決して夢ではない。だからこそ、今の好機を捉えた計画的な取り組みが必要となり、次期ビジョンがその効果的な手法を示すものとなってほしい。
 青森空港は95年度に初めて利用客数が100万人を超え、ピークは99年度の166万人。その後は下降傾向となり、東日本大震災が発生した11年度は過去10年では最低の79万人にまで落ち込んだ。その後は増加に転じ、再度100万人を超えたのは15年度のことだった。
 次期ビジョン案を見ると、東京オリンピックなど一時的に大量の需要が見込まれる事象だけに傾注することなく、新たな国際定期便就航に向けた取り組み、昨年11月に実施し青森空港出発客を対象とした満足度調査の結果を踏まえ、一層の利便性向上を図るなど、多角的な取り組みを進めようとしていることが分かる。
 一方で今回の次期ビジョン案を作成するに当たり、材料の一つとした満足度調査結果の自由回答には、気になる意見も含まれていた。「弘前、五所川原方面、新青森駅へのバスを充実させてほしい」「駐車場が狭く混雑している」「レストランが少ない」「待合スペースが足りない」などといったものだ。
 これらは利用客目線の指摘であり、青森空港の利便性を高めるためには見逃せない要素でもある。130万人達成のためには、新規路線就航などはっきり目に見える手段はもちろん、地道な目に見えにくい部分での取り組みも充実させる必要がある。

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陸自ヘリ墜落「実効ある再発防止策示せ」

2018/2/7 水曜日

 

 佐賀県神埼市で5日午後、陸上自衛隊のAH64D戦闘ヘリコプターが住宅に墜落。乗っていた隊員が死亡し、住宅2棟などを焼いたほか、住人の女児が軽傷を負った。昨年から自衛隊機事故が相次いでいるが、今度は一般市民を巻き込む重大事故。自衛隊への信頼は失われた。
 事故機は午後4時36分ごろ、所属する目達原駐屯地(佐賀県吉野ケ里町)を離陸し、2分後の交信を最後に墜落、炎上した。同県内の自動車学校が送迎車に搭載していたドライブレコーダーは、飛行中に突然、機首を下に向けてきりもみ回転するように落下する様子を撮影している。防衛省によると、管制官との交信時には、異常を示す内容はなかったといい、交信から墜落までの5分間に何らかのトラブルに見舞われたとみられる。
 事故機は定期整備と「メインローターヘッド」と呼ばれる4枚の回転翼をつなぐ部品の交換を終えての点検飛行中だった。陸自と佐賀県警の現場検証では、広範囲にわたってヘリの部品が散乱。この中には回転翼の一部とみられるものもあった。
 通常は飛行中の機体に不具合が生じた際、人命に影響が及ばない場所への着陸を試みるが、今回の事故では回転翼を含む部品を落下させながら民家に向かって墜落したとみられる。自衛隊関係者は「機体を制御できなかったり、住宅地を回避する間がなかったりしたのではないか」と指摘する。ならば、直前の点検整備や部品交換作業、交換部品など、トラブルの要因が離陸前に生じていたことも疑われる。
 防衛省は同型機12機の飛行停止と、自衛隊所有の全ヘリの点検整備を実施している。点検や整備は当然、必要ではあるが、点検整備直後の事故原因が明らかになる前に行う点検と整備には、本当に大丈夫なのかと疑問を抱いてしまう。事故機も地上で問題がないと判断したから、点検飛行に臨んだはずである。それなのに事故は起き、何の落ち度もない住民から住まいを奪い、女児に軽傷を負わせ、隊員の貴い命を失った。
 安倍晋三首相は6日の衆院予算委員会で陳謝し「原因究明と再発防止に全力を挙げる」と述べた。「原因究明」「再発防止」は、こうした事故があると、責任者が必ず口にする言葉である。人為的ミスなど事故により原因が異なったとしても、自衛隊機事故が後を絶たないのは、事故のたびに徹底してきたはずの再発防止策が不十分であることの表れと言っていい。
 国民を守るための自衛隊機が、何らかの要因で国民の命と財産を奪う“凶器”になり得ることを示した。防衛省、自衛隊は駐屯地や飛行ルートの周辺住民はもちろん、全国民の不安を拭い去るよう、事態を深刻に捉え、今度こそ実効ある再発防止策を講じなければならない。

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五農高の挑戦「高校教育の可能性広がる」

2018/2/3 土曜日

 

 五所川原農林高校が、2020年の東京五輪・パラリンピックの選手村で消費される食材や施設建設に使う資材に生徒らが栽培、育成した農産物や木材を活用してもらおうと、「五農オリンピック委員会(GOC)」を設立した。五輪という世界最大のスポーツの祭典に出場する選手が県産食材や木材に力を得て、われわれを魅了する好試合や好記録を連発する。そんな大きな夢の実現に向けて取り組む生徒たちを県民の一人として応援していきたい。
 農林高校としての特色を生かした同校の活躍は近年、目を見張るものがある。同校が15年にリンゴ、16年にはコメで取得したグローバルGAPは、世界130カ国以上で実践されているGAP(適正農業規範)認証の世界標準で、農薬の使用法や土壌などの環境への配慮、労働環境など生産に関わるあらゆる工程を第三者が審査し、一定の基準に適合していることが必要とされる非常に厳格なものだ。
 日本での取得率はまだ低いが、同校は、生徒自身が書類手続きを行うなど努力を重ね、見事、認証を取得。認証審査を公開で行うなど人材育成面での貢献も評価され、グローバルGAP大賞を受賞している。
 同校はこうした取り組みをさらに進め、適切な森林管理が行われているかどうかを評価する国際的な森林認証「FSC認証」取得にも乗り出した。
 取得に際しては、認証を行う第三者機関のFSC(森林管理協議会)が定めた10の規定と70の原則などの条件があるが見事、この審査もクリアし、国内初の高校生による取得事例となった。
 GOCの設立は、これまでの取り組みの、いわば集大成に当たるものだろう。五輪は選手村で膨大な食材が必要となるし、施設建設などで木材も必要となる。東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会は、農水畜産物や木材調達に向け自然や労働環境などに影響が及ばない持続可能性に配慮した一定の基準を設けているが、グローバルGAPやFSC認証を取得している同校は、この基準を満たしているという。農産物であれ、木材であれ、同校の各種認証制度取得に裏打ちされた、確かな品質は、東京五輪での採用に向けて強力な武器となるだろう。
 同校GOCは、今後提供できる品目を増やすため、他の農産物でのグローバルGAP取得を目指すほか、リンゴの夏季提供へ向けた保存方法の考案、サプライヤーへの売り込みなどを行っていくという。
 国際的な認証制度の取得や世界最大のスポーツの祭典への挑戦は、同校生徒たちにとても大きな知識と経験をもたらすだろう。本県における高校教育の幅と奥行きを広げる可能性を感じる同校の取り組みに今後も注目していきたい。

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