社 説

 

手帳・線香配布「明確なルールが必要だ」

2018/1/31 水曜日

 

 茂木敏充経済再生担当相(衆院栃木5区)が、自らが支部長を務める政党支部を通じて地元の有権者に対し、線香や衆院手帳を無償で配布していたことが分かった。茂木氏は個人ではなく政党支部の活動で問題ないとの認識を示している。果たしてどうなのか。過去に何人もの国会議員が公選法違反に問われたり、議員辞職したりするなど繰り返されてきた問題と、どこが違うのか。明確なルールが必要ではないか。
 茂木氏は29日の衆院予算委員会で、立憲民主党の逢坂誠二氏の質問に対して事実を認めた上で、「公選法の規定にのっとって、政党支部の政治活動として行っている」「私が配布したものに、私の氏名などは入っていない」などと説明し、法的に問題ないとの認識を示した。
 逢坂氏が「名前が書いていなければ無償で配ってもよいのか」とただすと、茂木氏は「公選法の規定上はそうなっていると承知している」と述べた。
 公選法199条の3では、候補者が役員を務める団体は、候補者氏名を表示、または類推されるような方法で選挙区内の者に寄付をしてはならないとしている。
 これに関し、野田聖子総務相は「具体の事例が寄付に該当するか否かは、個別の事案ごとに即して判断されるべきもの」と述べるにとどめている。
 この問題は週刊誌が昨年から何度か取り上げている。30日の衆院予算委員会でも希望の党の今井雅人氏が、茂木氏の秘書が選挙区有権者に衆院手帳やカレンダーを配ったとの週刊誌報道について質問。茂木氏は個別案件への言及は避けつつ、いずれも自身ではなく、秘書や政党支部関係者が配布したと答えた。
 これを受け、今井氏は「秘書が配っていれば誰のものか類推でき、疑義がある」とした上で、「政党支部の活動ならば許されるのか。われわれの政治活動に関わる問題で、総務省には見解を示してもらいたい」と提起した。
 一方、同党の泉健太国対委員長は同日、「どう考えてもアウトだ。本人が自主的に決着をつけるというのが最も望ましい責任の取り方だ」と述べ、茂木氏に議員辞職するよう求めた。
 泉氏は、小野寺五典防衛相が2000年、有権者に線香セットを配った公選法違反の責任を取って議員辞職していることも指摘し、野党で連携して追及したい考えも示した。
 思い起こせば有権者に「うちわ」や「ワイン」を配ったなどとして、閣僚を辞任したケースもあった。どこからが寄付に当たり、誰が配ったら違反なのか、やはり個別具体の解釈ではなく、明確なルールが必要だ。その上で茂木氏のケースがどうなのか。わずかでも抵触する可能性があるならば、やはり自身で決着すべきである。

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十和田火山「住民も備えと心構えを」

2018/1/30 火曜日

 

 十和田火山が噴火した場合の災害想定影響範囲図(ハザードマップ)が公表され、大規模噴火が発生した際は火口と想定した十和田湖から最大で半径30キロ圏内の北東北3県17市町村に、火砕流の影響が及ぶ可能性があることが分かった。県内では平川市や大鰐町など12市町村が含まれる。噴火の際には、10万人単位での避難が必要になるとされ、県外を含む広域での連携した取り組みが不可欠だ。
 十和田火山は24時間体制で監視される「常時観測火山」に指定されているが、岩木山や八甲田と違ってこれまで噴火を意識していなかった人も多いだろう。
 しかし、そもそも十和田湖は巨大噴火によってできたへこんだ凹地に水がたまってできたカルデラ湖。最も新しい915年(平安時代)の噴火は火砕流が約20キロ離れた場所まで達するなど、日本の歴史上最大規模の噴火とされ、言わば県内で最も警戒が必要な火山だと言える。
 これまでの噴火は1000年から3000年に1度の頻度で発生しているが、現在は1000年以上噴火がなく、エネルギーをため込んでいる状態で、次に起きれば大規模な噴火となる可能性が高いという。県や市町村だけでなく、住民の側も心構えと備えが必要だろう。
 ハザードマップでは小から大まで3種類の規模の噴火を想定。このうち最も発生の可能性が高いのは中規模以上の噴火で、高温の火山灰や火山ガスが雪崩のように広がる火砕流・火砕サージと、噴煙から軽石や火山灰が降ってくる流下火砕物の発生を想定している。火砕流・火砕サージは流れる速度が速く、破壊力が大きく最も危険な火山現象だという。
 大規模噴火時にはほぼ県内全域で30センチ以上の火山灰が堆積、噴火が積雪時だった場合には雪が熱で溶けて火山泥流が発生し、岩木川流域などに到達して被害をもたらすことも推定される。こうした自然の脅威には避難するしかなく、いかに多くの住民を混乱なく速やかに避難させられるかが、今後の重要課題となる。
 県などは来年度から噴火警戒レベル導入の検討や、避難計画の策定に着手する方針だ。ただ、同様の取り組みは同じく常時観測火山に指定されている岩木山や八甲田でも進められているが、住民の側の危機意識は十分とは言えない。今回の十和田火山のハザードマップの公表は群馬県の草津白根山の本白根山が噴火、人的被害もあった直後であり、県民の注目度は高かったと言えるが、防災意識の向上に向けた地道な取り組みも重要だ。
 十和田火山は将来必ず噴火する。住民が正しい知識を持ち、日ごろから意識することが防災の第一歩だろう。今回のハザードマップの公表を契機に、自治体には非常時にできるだけ混乱を少なく、被害を軽減する対策を早期に検討してもらいたいし、われわれ住民も自治体の発信する情報を注視し、非常時に備えたい。

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青函トンネル30周年「官民挙げた盛り上がりを期待」

2018/1/27 土曜日

 

 本州と北海道を結ぶ青函トンネル(全長53・85キロ)が3月13日に開業30周年を迎える。「世紀の大工事」と言われ、開業まで24年、総工費約6900億円を要した同トンネル工事には、およそ1400万人が従事した。つまり、トンネル工事開始からは54年が経過しているわけであり、開業30年という節目に関係者の喜びもひとしおであろう。これを契機とした、官民挙げた盛り上がりと青函交流の一層の振興を期待したい。
 青函トンネル工事のきっかけとなったのは1954年9月に発生した、当時の青函航路(後の青函連絡船)・洞爺丸事故だ。1000人超の命が犠牲となったことから、船に代わる本州と北海道を結ぶ輸送手段として構想が具体化したものである。その工事は34人という犠牲者を出しながらも、87年11月に完成を迎え、翌年3月に開業に至った。
 開業日のデビューを飾ったのは「海峡1号」であり、その後は特急カシオペアや白鳥・スーパー白鳥などが青函を結んだ。2016年3月には念願の北海道新幹線が開業、新函館北斗駅から本県などを経由して東京まで新幹線車両が走り抜け、当初から新幹線規格で造られたトンネルがようやくその本来の役割を果たした瞬間でもあった。
 こうした多くの人たちの思いを受けて完成、供用された青函トンネルであり、JR北海道も3月10日以降、本州と四国を結ぶ鉄道路線・瀬戸大橋線の開業30周年と合わせたJR四国との共同企画「青函トンネル&瀬戸大橋線開業30周年記念キャンペーン」を展開する。新函館北斗駅でのオープニングセレモニーをはじめ、本県を含む北海道新幹線駅での「お出迎え・お見送りイベント」や関連旅行商品の販売、トンネル通過証明書のプレゼントといった内容が予定されている。
 しかし、気になるのは30周年に関して、このほかの取り組みは本県、北海道側とも、ほぼ聞かれないことである。せっかくの節目でもあり、これを機会に3月に向けて機運を盛り上げ、若い世代にどのように青函トンネルができたのか、伝えていこうとする取り組みもあってもよいのではなかろうか。
 青函トンネルに関しては、30周年とは別の方向から動きが出てきた。青函共用走行区間の高速走行問題に関し、国土交通省の作業部会が、現在のトンネル内の制限時速140キロを160キロに引き上げ、年末年始など特定時期には一部200キロで走行させる方針を示したことだ。しかし、200キロ以上の高速走行を求めてきた県議会は22日の特別委員会で不満を噴出させた。県が260キロでの走行を前提に、多額の地元負担をしてきたことが背景にある。こちらの“盛り上がり”は本来の意味での高速走行を実現させるためにも必要なこととなろう。議論の推移を見守りたい。

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米軍機事故の続発「抜本的な対策を強く求めたい」

2018/1/26 金曜日

 

 もはや「制御不能」と言わざるを得ない状況だ。在日米軍機の事故・トラブルは後を絶たないが、最近はあまりに多い。今月に入り、23日までにヘリコプターの不時着・緊急着陸が沖縄県内で3件発生。同型機の当面の飛行停止要請といった政府の訴えは聞き入れられず、運用が改善される兆しは見えない。
 今月6日、同県うるま市の海岸に海兵隊のUH1ヘリが不時着。その撤去作業が終わったばかりの8日、読谷村の廃棄物処分場に海兵隊のAH1攻撃ヘリが不時着した。さらに23日には、渡名喜島(渡名喜村)にAH1攻撃ヘリが緊急着陸した。いずれも米軍普天間飛行場(宜野湾市)に所属し、AH1の同型機は昨年にも農道に不時着するなどのトラブルを起こしていた。
 幸い、3件ともけが人はいなかったが、当然それで済まされるものではない。昨年12月には、あわや大惨事となる事故があった。同飛行場に隣接する小学校の校庭に、米海兵隊のCH53E大型輸送ヘリから90センチ四方もある窓枠が落下。当時、校庭には体育の授業中だった児童がおり、「手に何かが当たった」と訴える児童もいた。
 23日の緊急着陸を受け、小野寺五典防衛相は在日米軍に対し、緊急総点検をはじめ、その間の同型機の飛行停止を申し入れた。にもかかわらず、政府によると同型機の飛行が24日に確認された。米軍側がどのような考え方で飛行を行ったか、防衛省を通じて確認中としているが、米軍が日本側の不安や憤りに配慮しているとは到底思えない。
 在日米軍の事故・トラブルは航空機に限らない。横須賀基地(神奈川県)を拠点とする海軍第7艦隊のイージス艦が昨年6月に静岡県沖でコンテナ船と、8月にはシンガポール沖でタンカーとそれぞれ衝突し、乗組員が犠牲になった事故は記憶に新しい。これらを含めて事故・トラブルの背景には何があるのか。軍事予算の削減、機体や艦船の老朽化、さらには北朝鮮情勢緊迫化に伴う訓練増加など、さまざまな指摘があるが、米軍が詳細に説明しない以上定かではない。
 ただ、事故・トラブルがこれほど続発している状況を踏まえれば、沖縄県の翁長雄志知事が「米軍は制御不能になり、管理監督が全くできない形になっている」と批判するのももっともだ。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設について「飛行経路が海上となり、安全性は格段に向上する」とする安倍晋三首相の訴えも、どこかむなしく響く。
 日米を取り囲む安全保障情勢が厳しい今、両国の信頼関係は一層重要だ。事態の深刻さを受け止めた上で、翁長知事が政府・与党に求めているように、国と県、米軍が再発防止策について話し合う協議機関の設置などを含め、抜本的な対策を講じるよう強く求めたい。

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草津白根山噴火「火山監視体制の強化が急務」

2018/1/25 木曜日

 

 群馬県の草津白根山の本白根山が噴火し、近くのスキー場で訓練中だった自衛隊員1人が死亡、隊員とスキー客ら計11人が重軽傷を負った。噴火で死者が出たのは2014年の御嶽山(長野・岐阜県境)噴火以来となる。
 気象庁によると、本白根山は約3000年前に噴火した記録はあるが、近年は活動が確認されていなかったという。最近の活動は、噴火した鏡池付近から約2キロ北に離れた白根山の湯釜付近が中心だったという。
 次に噴火する可能性が高いのは湯釜付近と想定されており、鏡池付近には監視カメラなどは設置されていなかった。本白根山を遠くから撮影する監視カメラ映像では、天候不良で噴火が確認できなかったため、噴火場所を特定するまでに時間がかかった。本来は約5分以内とされる「噴火速報」は発表できず、噴火警戒レベルを引き上げる噴火警報を発表するのにも1時間を要した。
 場所を特定せずに噴火の可能性を直ちに知らせる発表手段はないという。気象庁の担当者は「噴火警報も警戒範囲を判断できないと発表できない」とする。噴火が発生した際、登山者や付近住民の安全を確保するために、迅速な周知は不可欠だ。噴火速報は御嶽山の噴火を受けて導入されたものだが、さらなる制度の改善が必要だ。
 噴火の予兆を察知するための体制強化も求められよう。ただ、鏡池付近では火山性地震や傾斜変動などはさかのぼっても記録がなく、本白根山近くに観測機器があっても前兆はつかめなかったのではないかと、気象庁の担当者は説明する。専門家も「観測データを見ると傾斜計に変動があったのは直前で、それまではっきりした変動はない」と指摘した。
 別の専門家も、ガス噴出など火山性の現象がほとんどなかったことから、「前兆がないところで突然噴火したような状態だ」と説明する。それだけ噴火の兆候を予知することは困難だということなのだろう。
 しかし国内には111の活火山があり、このうち本白根山を含む50は、防災のために特に観測が必要な「常時観測火山」に選定されている。すべてがそうとは言い切れないのだろうが、前兆もなく噴火する可能性は捨て切れまい。噴火による被害を最小限に抑えるため、観測体制の強化を急ぐべきだ。噴火に関する研究にも力を注いでもらいたい。
 一方で、火山付近の住民は噴火への防災意識を高めるべきだろう。県内では岩木山と八甲田、十和田が常時観測火山に指定されているほか、恐山も活火山に含まれる。万が一噴火した場合、県内の広範囲に被害が及ぶことが想定される。今回のように前兆もなく噴火することが現実として起こり得るということを認識し、備えを万全にしておきたい。

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