社 説

 

献血「若年層の協力が不可欠」

2018/3/15 木曜日

 

 必要だということは理解しているが、どうにかなっているから大丈夫だろう―。そんなふうに思っている人も多いのではないだろうか。献血のことだ。
 県内の献血者数は1991年度の10万1526人をピークに減少傾向へ転じ、2016年度は4万9059人と6年連続で過去最少を更新した。17年度(昨年12月時点)の献血者数は3万3202人で、16年度同期と比べ3262人減となっている。
 全国的にも献血者数はここ数年減少傾向が続き、特に若年層で顕著。07年に全国で約283万人だった10~30代の献血者数は16年、31%減の約195万人となった。右肩下がりの状況は本県も同様で、11年度と比較すると、16年度は10代が約800人減の3531人、20代が約2400人減の7450人、30代が約4000人減の9436人となった。50、60代は逆に増加している。
 献血可能人口に占める献血者数を示す献血率で16年度を見ると、本県は5・5%で、全国平均の5・6%とほぼ変わらない。年代別で見ると、10代は6・9%、20代は6・6%、30代は6・4%で、いずれも全国平均を上回った。
 過去5年間、10~30代の献血率は総じて全国平均を上回っている。つまりは少子高齢化、人口減少が全国よりも速く進んでいるため、若年層の献血者数が減っているということなのではないか。県内の若年層は比較的献血に協力的だと言え、県赤十字血液センターなどが中心となった啓発活動といった取り組みが成果となって表れてきたとも考えられよう。
 ただ、少子高齢化と人口減少が進むにつれ、献血者数の確保は今よりも深刻な課題になっていくだろう。医療技術の進歩などにより輸血の需要量は減っていくのかもしれないが、血液製剤には有効期間もあり、献血の必要性が皆無となることは想定できない。
 そこで鍵を握るのは、将来にわたって協力を見込める若年層だろう。同センターによると、県内では17年度、高校生の献血者数が昨年12月末までに1716人となり、既に16年度の実績を上回った。同センターは17年度、県高校野球連盟を通じて野球部員に献血を要請し、聖愛高校や青森東高校などが協力に応じたことが要因の一つとみられる。
 昨年9月に献血した聖愛高校野球部の一人は「自分の血で助かる人がいるならと自主的に参加した。また協力したい」と語った。こうした思いが、さらに広がってくれればと切に願う。
 若年層の意識を高めるのは、親世代の務めでもあるだろう。命の大切さ、献血の重要性といった、当たり前のことを子どもたちに伝えることが、もっとあってもいいのではないかと思う。献血に対する関心と理解を、地域社会全体で深めていきたい。

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〝18歳成人〟法案「消費者被害防止の議論尽くせ」

2018/3/14 水曜日

 

 政府は13日、成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案を閣議決定した。今国会で成立すれば、2022年4月1日に施行される。若者の社会参加促進を期待する声がある一方、消費者被害の増加を懸念する声もあり、その防止策を含めて議論を尽くしてほしい。
 成人年齢引き下げは、選挙権年齢が18歳以上とされたことに合わせた措置。法制審議会(法相の諮問機関)は08年に検討を始め、民法成年年齢部会での議論を経て、09年に「引き下げが適当」と答申した。
 「18歳成人」が世界的な潮流となっていることに加え、少子高齢化がますます加速するわが国にあっては、若者の社会参加が強く求められており、成人年齢引き下げが議論されることはおかしなことではない。
 国によっては、成人年齢引き下げによって若者が活躍の場を広げ、幅広い分野の担い手となっているケースも見られる。民法成年年齢部会の議論などでも、成人年齢引き下げが、「若者が将来の国づくりの中心である」という国の決意を示すことにつながり、若者に大人としての自覚を促すことができる―といった意見が出された。
 一方で、成人年齢引き下げにより、18、19歳であっても親らの同意なしでローンなどの契約締結が可能となることで、消費者被害の増加を懸念する声も目立った。実際、国民生活センターの調査によると、契約に関する20歳の相談件数は18、19歳の2倍以上に上るという。
 民法は未成年者が親の同意なしで結んだ契約は取り消すことができる―と規定している。しかし、20歳になるとその権利がなくなり、悪質な業者に狙われる場合が増えるからのようだ。
 負の面だけを強調するつもりはないが、経済的な自立は社会人として活動する上で最も大事な基盤の一つだ。その基盤を壊すような消費者被害が多発しては、若者の社会参加は思うように進むはずがなかろう。
 成人年齢引き下げに伴い、政府は消費者契約法を改正し、不安をあおって商品を売り付ける「不安商法」などによる契約は、成人であっても取り消すことができる規定を新設する考えという。ただ、これで対応は十分とは言えまい。
 社会的経験の乏しい若者を守り、合理的に判断できる力を付けてもらうためには、消費者保護や金融経済に関する教育システムを充実させたり、悪徳商法の被害に遭った際の相談体制を拡充したりすることが必要なのではないか。
 社会はできるだけ幅広い世代によって支えられるべきだ。そのためには、若者が精神的にも経済的にも早くから自立できる環境の整備が必要不可欠。成人年齢引き下げによって彼らの将来が閉ざされることがあってはならない。

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震災の遺構「保存、活用に一層の力を」

2018/3/13 火曜日

 

 東日本大震災から7年の月日がたった。今年もまた、忘れられない日、忘れてはいけない日・3月11日を迎え、死者への鎮魂と、後世へこの惨禍を伝えていこうとする気持ちを込めた催しが各地で行われた。被災県の一つである本県でも大きな被害を受けた八戸市などで追悼の催しが行われ、7年前とその後の生活にそれぞれ思いを寄せた。今でも震災当日の記憶は残っているが、一方で年々、その記憶のあちこちがあいまいに、そして薄れていくことにもどかしさを感じている。人知を超えた未曽有の大災害に立ち向かう時、私たちにとって力となるのは、平素からの備えと過去からの教訓だろう。震災の記憶の風化は、その力をそぐことにつながる。
 あの惨禍を記憶にとどめ、後世に伝える役割を持つものの一つに震災の「遺構」がある。震災と東京電力福島第1原発事故で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島各県の計42市町村のうち、こうした「遺構」が半数超の23市町村に少なくとも41件現存しているという。
 一口に遺構といっても復興交付金の支給対象となる「震災遺構」、対象外でも積極的に保存している物、「壊す予算がない」といった消極的な理由で残っている物など、内容は多岐にわたる。
 種別では学校の8件が最多で、防潮堤の一部や庁舎など公共施設が大半を占めるが、ホテル(岩手県宮古市)や駅の一部(宮城県東松島市)といった民間施設を公費で保存するケースもある。
 震災の記憶を伝える品々を追悼施設に展示する予定の自治体や建物の残存状況などの調査を始めた自治体、「遺構」として存続させるかどうか、議論の途上にある自治体、そして震災の恐ろしさを語り継ぐため、民間人が維持している「遺構」。経緯はさまざまだが「町民の心のよりどころに」「(惨事を伝える建物や風景がほとんどなくなった今、)せめて自分の代は」と使命感や強い思いを持って維持しているところが多い。
 一方で「遺構」の保存に当たっては課題も多い。手を加えない方が脅威は伝わりやすい半面、安全確保の観点から見た場合は、相応の配慮や対策が求められる。せっかく整備したとしても来訪者が見込めるかは分からず、将来の維持管理費をどのように賄うか、しっかりした担保があるわけでもなく、不安に思う自治体や所有者は多い。
 課題に対応するため、自治体間で情報交換する動きも出始めている。こうした動きを広めるとともに、公的支援の拡充なども検討されるべきだ。
 11日の本紙に津波が押し寄せてきた当時のまま保存されている宮城県内の学校の写真が掲載された。あの震災が人々に何をもたらしたのか、たとえ100万回言葉を尽くしても伝わらないものが、そこにはあった。

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県の防災対策「自助・共助・公助の底上げを」

2018/3/10 土曜日

 

 本県の防災対策を強化しようという取り組みが進んでいる。学識経験者や防災関係者らで構成する県防災対策強化検討委員会が2月、本県の課題を整理・検討し、今後の方向性を報告書として取りまとめた。県はこの検討結果に基づき、順次、具体の取り組みに着手している。
 過去の大規模災害の事例からは、いざという時に備蓄物資が足りなかったり、被災者に適切なタイミングで供給するのが難しかったり、被災市町に応援職員を調整する余力がなかったりと、さまざまな課題が明らかになっている。こうした課題は本県でも対応が万全とは言い難い部分。検討委では重点検討項目として、災害対策本部の組織や運営、市町村広域連携、受援・応援など5項目を掲げ、それぞれ具体的な対策を検討してきた。
 例えば新たに取り組むとした、リエゾンの派遣。災害時に被災市町村に入り、情報収集や現地調整役を担う県職員を指し、被災した市町村が報告を取りまとめたり、被害要請を行うのが難しいという現状に対する対応だ。応援職員や支援物資の受け入れについても手順が定まっていないなどの課題を受け、災害対策本部内に専任の受援班を設置するとした。
 これまで県では行っていなかった現物備蓄も食料や毛布など一定数を備蓄して自助・共助による備蓄を補完する。複数の市町村にまたがる災害に備えた広域防災拠点も選定し、必要な規模や設備を整理するほか平時の活用方法も定める。
 いずれも本格的な取り組みはこれからだが、方針が定まり、着実に対策が進んでいくと思えば心強い。より良い形で具体化できるよう、奮起してもらいたい。
 自治体の対応強化のほか、住民向けのプロジェクトも想定されている。現在、県議会定例会で審議中の来年度一般会計当初予算案には、地域防災に女性の参画を促す事業や全世帯に防災ハンドブックを配布する事業などが計上されている。これまで防災対策に関わるのは男性が多かったが、担い手を拡大することで女性や高齢者など、さまざまな人に配慮された防災対策が進むことを期待したい。
 本県の災害と言えば、1983年の日本海中部地震、91年の台風19号、岩木川などが氾濫して農業や道路などに大きな被害があった2013年の台風18号などが思い浮かぶ。11年の東日本大震災は言うまでもない。本県でも死傷者99人、住家は全・半壊が1000棟以上、避難者も最大で2万4000人を超えた。
 また本県には岩木山、十和田などの活火山もあり、特に十和田については大規模噴火時には北東北3県17市町村に火砕流の被害が及ぶという被害想定範囲が公表され、県民に衝撃を与えたばかりだ。
 防災の基本は自分で自分を守る自助の精神だ。いつどんな形で起きるか分からないのが災害。わが身を守り、少しでも周囲の手助けができるよう備えたい。

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外国人入国者数「現状に甘んじず新路線開拓を」

2018/3/9 金曜日

 

 2017年中に青森空港を利用し、入国した外国人の数は仙台入国管理局の調べで、過去最多となる3万9268人(概数値)となったことが分かった。この数は前年を50%、実数にして2万3558人それぞれ上回り、これまでの過去最多だった07年の2万4554人をはるかにしのぐ数だ。全入国者中、再入国者を除く新規入国者数は前年比2万3522人(55・4%)増の3万8659人。新規入国者の国・地域別は中国が最多の1万6153人、韓国1万2493人、台湾8160人などとなっている。
 こうした数字を見る限り、過去最多となった理由は明らかだ。17年中は5月に、中国・奥凱航空による国際定期便の天津線が就航したほか、10月には1995年に就航したもう一つの国際定期便である韓国・大韓航空のソウル線が週5便化を果たした。さらには11月に台湾・エバー航空の国際定期チャーター便が就航した。これだけの好材料がそろえば過去最多という数字もうなずける。青森空港利用外国人入国者数はそのまま本県の外国人宿泊者数にも反映され、17年中は前年比67%増の23万9150人と過去最多を更新、東北では宮城県を抜き初めてトップに立った。
 この状況を維持、さらに数字を押し上げていくことが好ましいのは言うまでもない。しかし、便数や路線を存続させる、させないの判断はもちろん航空会社側にあり、その時々の国際情勢や経済状況などにも左右される。エバー航空も就航期間は今月13日までであり、今後の青森空港第3の国際定期便化に期待がかかるが、現状で可能性は未知数だ。95年にソウル線と同時期に就航したハバロフスク線の運行休止が続いていることなどを考えれば、現状に甘んじることなく、常に新規路線の開拓、本県における快適な受け入れ環境整備を心掛けていくべきと考える。
 一方で気になるのは、17年中に青森空港から出国した日本人の少なさだ。前年比4人(0・1%)減の5519人という。これは天津線には現段階で日本人が搭乗できず、中国人客だけの利用となっている“一方通行”の状況も一因としてあろう。双方向での行き来が早期に実現すれば、青森、天津両地域での刺激ともなり、さらなる誘客増加につながることも考えられよう。
 ともあれ、こういった状況からか青森市をはじめ、県内各地で外国人旅行者の姿を見る機会が多くなった。しかし、一方では外国人について「断りもなく店内の写真を撮影された」「集団で大きな声で騒ぐ」といった声が県内でも聞かれ始めている。もちろん、「文化の違いを理解して」という意見もあろうが、「この行為はここではいけない」ということを理解してもらってこそ、真の交流が生まれるのではないか。

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