社 説

 

小学校爆発事故「現安全策を多角的に点検せよ」

2018/3/22 木曜日

 

 2015年に黒石市の六郷小学校で発生した爆発事故で、黒石警察署は今月16日、事故を誘発したとして五所川原市の会社員男性を、業務上過失致死傷の疑いで青森地検弘前支部に書類送検した。臨時給食員1人が亡くなり、児童を含む7人がけがをした悲劇を教訓に、国をはじめ関係機関を挙げて、法整備を含む安全策構築を急ぐ必要がある。
 15年9月18日午後、六郷小学校1階給食調理室が爆発した。同校敷地だけでなく、周辺の水田にまでガラスや窓枠、校内にあったとみられる紙類などが散乱。消防や警察のサイレンが鳴り響く中、天井などが崩れ落ちた調理室付近から亡くなった臨時給食員ら、校舎からも飛び散ったガラスなどでけがをした児童が次々と救助されるなど、そこが小学校であることを忘れさせるような惨状が、事の重大さを物語る。
 県警によると、調理室で発生していたコバエを駆除するため、男性会社員が床下部分でくん煙式殺虫剤に点火しようとした際に爆発したとみられる。事故の2年ほど前から配水管の水漏れが2度あり、これで腐食したガスの配管からガスが漏出した可能性があると推定される。
 一方で県警などは校舎を管理する学校関係者の立件も検討していたが、立件は難しいと結論づけた。過失を問うに必要な、地下の点検を義務づける法律がないのが理由という。黒石市教委は「二度と悲惨な事故が起きないよう、マニュアル作成などで対応を進めていく」としている。少なくとも同市内の学校で、同様の事故が再発する可能性は小さくなると思いたい。
 ただ、同市立校だけ改善すれば良いというものではない。死傷者はもちろん、その他の児童も心に傷を負った極めて重大な事故である。公立、私立を問わず全ての学校、国や全国の都道府県・市町村教育委員会といった関係機関は、もっと危機感を持つべきではないか。
 六郷小学校の事故は男性会社員が火気を扱う際の安全確認を怠ったため、床下に充満していたガスの爆発を誘発した疑い。書類送検は一つの区切りであるが、これで終わりではない。仮にガスへの引火が事実だと前提して考えると、火気使用の可否判断が不可欠なのは当然であると同時に、床下に引火する可燃物がなければ爆発はなかったと推測できる。ニワトリと卵のような話だが、事故とは最悪の条件がそろって起きるものである。
 学校は各種法律などに適合していなければ設置できない。六郷小学校もこれらをクリアしたから、児童を受け入れることができた。それでも事故は起きた。つまり現行の「適合」に、欠陥がないのか、一から疑う必要があると言えないか。あらゆる角度から再検証し、新たな安全策を講じなければ、いつどこの学校で同様の惨事があっても不思議ではない。

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パラリンピック閉幕「選手たちの健闘をたたえたい」

2018/3/21 水曜日

 

 障害者スポーツの祭典、韓国・平昌パラリンピックが18日閉幕した。今回は過去最多の49カ国・地域が参加し、集まった約570選手が6競技80種目で熱戦を繰り広げた。
 日本は車いすカーリングを除く5競技に38選手がエントリー。メダルは金3個、銀4個、銅3個の総数10個となり、2014年ソチ大会の6個を超え、見事に目標を達成した。10年バンクーバー冬季大会の11個に迫る数となった。
 日本選手団の大日方邦子団長は「ベテラン選手も若いアスリートも活躍してくれた一方、世界の強さからは学ぶこともあった。非常に高いレベルの大会だった」と総括した。メダルの有無にかかわらず、世界の大舞台で堂々と自らの力を発揮し、限界に挑んだ選手たちの健闘をたたえたい。
 パラリンピックの冬季大会は1976年に始まり、今回は12回目となった。大会はアルペンやアイスホッケーなど6競技80種目で、参加国・地域は近年、毎回過去最多を更新している。
 今大会で日本勢金メダル第1号となったのは、アルペンスキー女子座位大回転の村岡桃佳選手(早大)だ。滑降で銀、スーパー大回転とスーパー複合で銅二つを獲得した後、大会6日目で悲願の金を手にした。最終日にはアルペンスキー女子回転座位で銀メダルを獲得し、今大会の出場全5種目で金を含む五つのメダルを手中に収めた。冬季の日本選手が1大会で獲得した個数で歴代単独1位になるという快挙を成し遂げた。
 大会第8日にはスノーボード男子バンクドスラローム下肢障害LL2で成田緑夢選手(近畿医療専門学校)が金メダル、第9日にはノルディックスキー距離男子10キロクラシカル立位で新田佳浩選手(日立ソリューションズ)が日本勢3個目となる金メダルを獲得した。
 選手たちは「これを糧に、さらに上を目指して成長したい」(村岡選手)、「今後も小さな一歩を大切に頑張りたい」(成田選手)などと語った。選手たちの健闘ぶりは多くの人に勇気と感動を与え、同じ障害を持つ人たちの励みとなったことは間違いない。
 今回の平昌パラリンピックでは、さまざまな工夫により観戦チケット売上枚数が史上最多を記録した。障害者スポーツへの意識や理解が一層進むきっかけにもなったことは何よりの成果だろう。次は2020年東京夏季大会である。今大会の日本選手たちの活躍は、その機運醸成にも一役買ったといえる。
 国内においても障害者スポーツの振興が少しずつ図られているが、まだまだ十分とは言えないのが現状であろう。障害があっても存分にトレーニングできる環境づくりに一層力を入れ、パラリンピックを目指す選手が一人でも多く輩出されるよう期待したい。

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内閣支持率急落「首相の求心力低下が鮮明に」

2018/3/20 火曜日

 

 学校法人「森友学園」に関する財務省の決裁文書改ざんを受けた報道各社の世論調査で、安倍内閣の支持率が軒並み下落した。一部は政権維持の危険水域とされる30%近くまで急落しており、国民の不信感の高さとともに、安倍晋三首相の求心力低下も鮮明になった。
 時事通信の3月の世論調査では、内閣支持率は前月比9・4ポイント減の39・3%と急落、不支持率は8・5ポイント増えて40・4%と支持を上回った。
 支持率が急落した中央紙や通信社の調査を見ると、改ざん問題の責任が首相にあるとの回答が軒並み高い割合となっている。これは首相が改ざんに直接関与していないと繰り返し強弁し、政権に忖(そん)度(たく)した官僚の責任という構図を描こうとする政府・与党の戦略が、逆に国民の不信感を高めていることを物語る。
 「誰の指示で、なぜ行われたのか」という事実が解明されない限り、参院予算委員会で19日行われた集中審議でもそうだったが、堂々巡りの質疑応答が繰り返され、これが国民不信を高め、さらに政府の立場が厳しくなるだけだ。
 政府・与党は、財務省が早急に全容解明の調査を進めるよう全力を挙げるべきだ。同時に同省が改ざんの「最終責任者」と位置付ける佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問は欠かせまい。
 与党は改ざん発覚後、審議の止まっていた国会を正常化すべく佐川氏の国会招致に応じる方向にかじを切った。世論の圧力に押された形だが、「佐川カード」での幕引きも狙っている。
 ただ、永田町では今月26日に佐川氏の喚問が実現しても、佐川氏が検察の捜査を理由に具体的な証言を拒むとの観測が広がっている。「誰の指示か」など核心部分で具体的な証言がなければ、攻勢を強める野党は首相夫人の昭恵氏の証人喚問を求め、再び審議拒否に打って出る可能性がある。
 年度末が押し迫ったこの時期、国会審議が立ち往生することになれば、参院で来年度政府予算案を採決することなく、憲法の衆院優越規定により今月30日に自然成立するという、憲政史上に汚点を残す事態を招きかねない。
 参院では、年度内に成立しなければ国民生活に支障が生じる恐れのある「日切れ法案」の処理も滞っている。予算案など重要法案を採決もできないとなれば、参院不要論にすら発展しかねない。
 こういった政治事情も絡み、自民党内では予算成立と引き替えに麻生太郎副総理兼財務相の辞任が避けられないという声が漏れる。別の党関係者は「麻生副総理辞任なら内閣は持たない。総辞職だ」とも指摘する。
 今秋の自民党総裁選での3選を危惧する声がじわじわと広がる首相。改ざんの真相究明にリーダーシップを発揮し、信頼回復に努める姿勢が求められている。

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深浦町ナイター「強烈な印象与え交流人口増を」

2018/3/17 土曜日

 

 世界自然遺産白神山地や県内一の水揚げ量を誇るマグロで知られる深浦町が、5月15日に仙台市の楽天生命パーク宮城(県営宮城球場)で行われるプロ野球・楽天イーグルス―ソフトバンクホークスの1軍公式戦で楽天に冠協賛、「白神山地とマグロの町・深浦町ナイター」を開催することが決まった。楽天球団と県内自治体との冠協賛は初。「深浦マグロステーキ丼」といった食、雄大な自然や多くの海水浴客を引き付ける長い海岸線を持つ深浦町。東北地方最大の都市で、しかも、約3万人を収容できる球場での町PRは絶大な効果が期待されるだけに、どんな反響があるか楽しみだ。
 15日に町役場内で会見した吉田満町長らによると、当日午後6時開始の試合に先駆け、同2時の開場から、球場内大型ビジョンでナイターのキャッチコピー「白神山地とマグロ」にちなんだ、ブナや青池、マグロ漁、夕日といった町を代表する名物を紹介する映像が流れる。このほか、試合中も攻守交代の合間などに映像が流れ、電光掲示板にも町に関する広告が数多く出る。球場正面には町の名物数千点を来場者に振る舞う町のPRブースも設置され、まさに“深浦尽くし”の一戦となるもようだ。
 今回のナイター開催に当たっては、白神山地が来年度に世界自然遺産登録25周年を迎えるという強みもある。深浦町のみならず本県や秋田県の近隣町村にまたがる雄大な自然の魅力をいま一度見直し、訴える機会ともしてもらいたい。
 町がこうした大々的なアピールに打って出る背景には、町の宿泊者数が減少傾向にあることがあるようだ。町観光課によると、2016年は8万2043人であったのに対し、17年は7万7747人と減少。大都市の仙台市周辺から新規観光客を掘り起こす目的があるという。
 人口減少への懸念もあろう。町人口ビジョンによると、10年時点では9691人だった町の人口は今年2月末現在では8421人、約40年後には2000~3000人程度という見通しとなった。このため「観光や移住・定住による交流人口の拡大」といった町総合戦略に掲げた基本目標に基づき、手を打っていかねばならない。
 そうした中での今回の大々的PRは観戦者にどのように映り、感じてもらえるのかは未知数だが、「どうしても行ってみたい深浦町」を訴えていかねばなるまい。ただし、“ライバル”は数多い。過疎化や少子高齢化の悩みを抱える全国の数多くの自治体が、交流人口や移住者の増加を目指し、あの手この手でPRに打って出る中、今回のナイターを「一の矢」とし、続く二の矢、三の矢を放ち、より多くの人に深く、町の魅力を認識してもらう必要がある。そのためには来場者に強烈な印象を植え付け、ナイターを成功させることを期待したい。

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春闘「賃上げしやすい環境整備を」

2018/3/16 金曜日

 

 2018年春闘の主要企業の集中回答日、各社は基本給を底上げするベースアップ(ベア)を5年連続で実施すると回答、前年を上回る上げ幅が相次いだ。「社会的要請を受け、経営者は積極的に対応した」(経団連の榊原定征会長)、「元気の出る内容」(連合の神津里季生会長)と、労使双方がその内容を評価した。基本的には中小や地方にもこの流れが波及することを期待したい。
 背景には堅調な企業業績もあるが、「3%以上の賃上げ」を労使交渉前に強く求めた安倍政権への配慮があったという。ただ、ベアと定期昇給を合わせた月収ベースの賃上げ率は2%前後が大勢だった。経団連の集計によると、3%を超えたのは、バブルの余韻が残っていた1994年(3・10%)が最後で、ハードル自体は高かった。経営側はもともとコスト増につながるベアに慎重だが、政権への配慮や人材確保の観点から、一段のベア拡大を受け入れた形であろう。
 特に自動車業界は異業種を巻き込んだ自動運転技術や電気自動車の開発競争、電機大手もIoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)技術の開発競争にさらされ、将来の生き残りに危機感を強めている。これまで相場形成をけん引してきたトヨタ自動車の賃金水準が回答日の前日まで固まらなかったのも、こうした製造業を取り巻く産業構造の転換期にあることを強く意識したことが背景にあるという。
 脱デフレを目指す安倍政権が経営側に賃上げを求める「官製春闘」は5年目。大手の5年連続のベアも、景気浮揚効果はまだ限定的なようだ。少なくとも地方ではこれまでその実感に乏しかった。今後の中小の回答内容と賃上げの継続が脱デフレの鍵となるが、それ以上に、政府が賃上げできる環境を整えることが必要だろう。このままでは労働者の生活は向上せず、企業も人材確保と開発競争に疲弊するばかりではないか。
 18年春闘では、政府・与党が今国会での関連法成立を目指す「働き方改革」も焦点となった。
 長時間労働の是正をめぐっては、育児や介護を理由に1時間単位で有給休暇を取得可能とするなど、「休み方」を拡充する企業が多かった。不妊治療のための休職制度を設ける企業もあったと聞く。
 一方で、19年4月にも大企業を対象に施行される残業規制については、政府方針(年720時間の上限設定など)を先取りする形で求めた労組もあったが対応は分かれ、労使間の温度差も浮き彫りとなった。
 同法案のうち、裁量労働制の対象業務拡大は調査データの不備を受け削除された。経済界からは生産性向上の観点から期待される一方、長時間労働を助長するとの懸念は消えない。今後の動向を注意深く見守る必要がある。

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