社 説

 

県の防災対策「自助・共助・公助の底上げを」

2018/3/10 土曜日

 

 本県の防災対策を強化しようという取り組みが進んでいる。学識経験者や防災関係者らで構成する県防災対策強化検討委員会が2月、本県の課題を整理・検討し、今後の方向性を報告書として取りまとめた。県はこの検討結果に基づき、順次、具体の取り組みに着手している。
 過去の大規模災害の事例からは、いざという時に備蓄物資が足りなかったり、被災者に適切なタイミングで供給するのが難しかったり、被災市町に応援職員を調整する余力がなかったりと、さまざまな課題が明らかになっている。こうした課題は本県でも対応が万全とは言い難い部分。検討委では重点検討項目として、災害対策本部の組織や運営、市町村広域連携、受援・応援など5項目を掲げ、それぞれ具体的な対策を検討してきた。
 例えば新たに取り組むとした、リエゾンの派遣。災害時に被災市町村に入り、情報収集や現地調整役を担う県職員を指し、被災した市町村が報告を取りまとめたり、被害要請を行うのが難しいという現状に対する対応だ。応援職員や支援物資の受け入れについても手順が定まっていないなどの課題を受け、災害対策本部内に専任の受援班を設置するとした。
 これまで県では行っていなかった現物備蓄も食料や毛布など一定数を備蓄して自助・共助による備蓄を補完する。複数の市町村にまたがる災害に備えた広域防災拠点も選定し、必要な規模や設備を整理するほか平時の活用方法も定める。
 いずれも本格的な取り組みはこれからだが、方針が定まり、着実に対策が進んでいくと思えば心強い。より良い形で具体化できるよう、奮起してもらいたい。
 自治体の対応強化のほか、住民向けのプロジェクトも想定されている。現在、県議会定例会で審議中の来年度一般会計当初予算案には、地域防災に女性の参画を促す事業や全世帯に防災ハンドブックを配布する事業などが計上されている。これまで防災対策に関わるのは男性が多かったが、担い手を拡大することで女性や高齢者など、さまざまな人に配慮された防災対策が進むことを期待したい。
 本県の災害と言えば、1983年の日本海中部地震、91年の台風19号、岩木川などが氾濫して農業や道路などに大きな被害があった2013年の台風18号などが思い浮かぶ。11年の東日本大震災は言うまでもない。本県でも死傷者99人、住家は全・半壊が1000棟以上、避難者も最大で2万4000人を超えた。
 また本県には岩木山、十和田などの活火山もあり、特に十和田については大規模噴火時には北東北3県17市町村に火砕流の被害が及ぶという被害想定範囲が公表され、県民に衝撃を与えたばかりだ。
 防災の基本は自分で自分を守る自助の精神だ。いつどんな形で起きるか分からないのが災害。わが身を守り、少しでも周囲の手助けができるよう備えたい。

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外国人入国者数「現状に甘んじず新路線開拓を」

2018/3/9 金曜日

 

 2017年中に青森空港を利用し、入国した外国人の数は仙台入国管理局の調べで、過去最多となる3万9268人(概数値)となったことが分かった。この数は前年を50%、実数にして2万3558人それぞれ上回り、これまでの過去最多だった07年の2万4554人をはるかにしのぐ数だ。全入国者中、再入国者を除く新規入国者数は前年比2万3522人(55・4%)増の3万8659人。新規入国者の国・地域別は中国が最多の1万6153人、韓国1万2493人、台湾8160人などとなっている。
 こうした数字を見る限り、過去最多となった理由は明らかだ。17年中は5月に、中国・奥凱航空による国際定期便の天津線が就航したほか、10月には1995年に就航したもう一つの国際定期便である韓国・大韓航空のソウル線が週5便化を果たした。さらには11月に台湾・エバー航空の国際定期チャーター便が就航した。これだけの好材料がそろえば過去最多という数字もうなずける。青森空港利用外国人入国者数はそのまま本県の外国人宿泊者数にも反映され、17年中は前年比67%増の23万9150人と過去最多を更新、東北では宮城県を抜き初めてトップに立った。
 この状況を維持、さらに数字を押し上げていくことが好ましいのは言うまでもない。しかし、便数や路線を存続させる、させないの判断はもちろん航空会社側にあり、その時々の国際情勢や経済状況などにも左右される。エバー航空も就航期間は今月13日までであり、今後の青森空港第3の国際定期便化に期待がかかるが、現状で可能性は未知数だ。95年にソウル線と同時期に就航したハバロフスク線の運行休止が続いていることなどを考えれば、現状に甘んじることなく、常に新規路線の開拓、本県における快適な受け入れ環境整備を心掛けていくべきと考える。
 一方で気になるのは、17年中に青森空港から出国した日本人の少なさだ。前年比4人(0・1%)減の5519人という。これは天津線には現段階で日本人が搭乗できず、中国人客だけの利用となっている“一方通行”の状況も一因としてあろう。双方向での行き来が早期に実現すれば、青森、天津両地域での刺激ともなり、さらなる誘客増加につながることも考えられよう。
 ともあれ、こういった状況からか青森市をはじめ、県内各地で外国人旅行者の姿を見る機会が多くなった。しかし、一方では外国人について「断りもなく店内の写真を撮影された」「集団で大きな声で騒ぐ」といった声が県内でも聞かれ始めている。もちろん、「文化の違いを理解して」という意見もあろうが、「この行為はここではいけない」ということを理解してもらってこそ、真の交流が生まれるのではないか。

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南北首脳会談表明「北朝鮮の姿勢は真の〝譲歩〟か」

2018/3/8 木曜日

 

 韓国の文在寅大統領の特使が訪問先の北朝鮮で金正恩朝鮮労働党委員長と会談し、4月末の南北首脳会談開催で合意したことが発表された。
 南北首脳会談が実現すれば2000年と07年に続き3回目。金氏が権力を掌握した以降では初めてとなる。北朝鮮側は特使との会談を通じて、非核化問題や関係正常化をめぐり米国と対話する用意があることも表明した。
 だが、実際に米朝対話につながるか、実現したとしても、米国が求める形での核・ミサイル開発放棄に北朝鮮が応じるかは甚だ疑問だ。これまでも、経済制裁などで苦境に陥るたびに「対話」を持ち出し、国際社会の圧力をかわしながら開発を進めてきたからだ。今回も核ミサイルの完成に向けた時間稼ぎではないか、疑念は拭えない。北朝鮮は数カ月以内に核弾頭搭載可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)を完成させる可能性がある―との分析もある。
 韓国大統領府は特使訪朝結果に関する発表で、北朝鮮は軍事的脅威が解消され体制安定が保証されれば核保有の理由がないことを明確にした―としている。これとて交渉のハードルを意図的に上げる手段で、不調に終わらせては責任を相手国へ転嫁し、核放棄要求をかわすことはいくらでもできる。交渉に応じない時点で責任を転嫁することもあり得る。もし本気で非核化の用意があるなら、北朝鮮側は第2、第3の具体的な姿勢を示して信用に値することを証明してみせなければならない。
 北朝鮮が今回切った南北首脳会談開催の「カード」も、米国が主導する経済制裁をはじめとした国際的な包囲網による苦境の打開策だとの見方が多いようだ。北朝鮮との対話路線に傾いている文氏を通じて封じ込めを解除させたいのだろう。韓国からの経済支援も視野に入れているかもしれない。
 平昌冬季五輪の開催を契機とした南北融和ムードの流れの中で発表された首脳会談開催。文氏が圧力路線などで安易に妥協し、日米韓3カ国の連携にひびを入れる事態が生じないかも心配だ。
 五輪閉幕後間もなくで平昌パラリンピック開幕間近の1日、文氏は「三・一独立運動」の記念式典の演説で、慰安婦問題や島根県・竹島(韓国名・独島)をめぐる問題で、日本政府の姿勢を強く批判してみせた。南北関係と米朝対話、歴史問題と外交・安保協力それぞれでツートラック(2路線)を好んで用いる文氏だが、自身に都合よく言葉を使い分けても信用は得られない。
 米国、日本をはじめ各国は、表面上は南北対話、米朝対話を歓迎しながらも、実際には「最大限の圧力」を維持しながら推移を慎重に見守ることになる。北朝鮮は非核化が本気ならば、自ら行程表を示し、履行してみせればいい。

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森友文書疑惑「早急な真相解明が必要だ」

2018/3/7 水曜日

 

 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する文書の書き換え疑惑で、財務省は調査状況を国会報告するはずだった6日も“ゼロ回答”に終始した。政権を揺るがしかねない重大な問題であり、国民の関心も高かったため肩すかしを食った格好だ。ただ、この影響で国民生活に関わる予算案審議もストップしており、早急な真相解明が求められる。
 今回の疑惑は、財務省近畿財務局が学園との契約の際に作成した決裁文書に関し、契約当時と問題発覚後の時点で内容に違いがあり、書き換えられた可能性があるというもの。価格交渉が行われたことを示す記載が消えるなどしたという。
 財務省は2日に疑惑が浮上したことを受け、省内で調査を進め、6日までに状況を報告するとしていた。しかし同日の参院予算委員会理事会で財務省側は「大阪地検で捜査が行われている状況だ」とした上で、「捜査に影響を与えないよう留意し、全省挙げて調査を進めたい」とするにとどめ、書き換えの有無は明らかにしなかった。
 これに対し野党は「ゼロ回答だ」と反発し、この日の国会は空転する結果に。自民党の二階俊博幹事長は会見で、財務省の対応について「ちょっと理解できない。国会の審議が進まない」と苦言を呈した。
 今回の疑惑は、「改ざんが真実なら極めて由々しき事態」(麻生太郎副総理兼財務相)であり、公明党関係者からは「改ざんが本当なら、政権が吹き飛ぶ」との声も漏れる。
 一方、野党側は「事実なら内閣総辞職に値する」と攻勢を強めている。担当閣僚で安倍政権の「骨格」でもある麻生氏の辞任を求める声が出ているほか、前理財局長である佐川宣寿国税庁長官の証人喚問要求も、さらに強める方針だ。
 果たして財務省ぐるみの首相への忖(そん)度(たく)なのか、単に担当部局における決裁文書の前段の修正なのか、事実が明らかにならなければ国会審議が前に進まない。むろん、公文書の改ざんとなれば政権そのものが危うくなるが、予算関連法案など重要法案が山積する中、財務省は早急に調査結果を報告すべきだ。
 振り返れば、裁量労働制に関する調査結果に多くの異常値が見つかった問題を受け、衆院での予算案採決を与党の譲歩で1日先延ばししてから、わずか1週間である。
 参院予算委の審議では「働き方改革」関連法案も引き続き論点となる。違法な裁量労働制を適用された会社員が長時間労働の末に自殺し、労災認定されていた事実が首相に報告されていなかったことも明らかになっている。
 「安倍1強」による強引な国会運営が指摘されて久しいが、ここにきての波乱含みの展開は、政権の求心力が低下していることの表れなのだろうか。

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自殺対策強化月間「官民挙げた対策で課題解決を」

2018/3/6 火曜日

 

 3月は国の「自殺対策強化月間」。例年、月別自殺者数は3月が最も多い傾向にあり、最近の自殺をめぐる厳しい情勢を踏まえ、さまざまな悩みや問題を抱えた人々に届く施策の展開ができるよう、関係者一丸となって対策の強化を図ろうというものだ。
 2017年の自殺者数(速報値)は前年より3・5%減となり、8年連続で減少したことが、厚生労働省が警察庁の統計を基に公表したデータで明らかになっている。人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)は16・7人で、統計開始の1978年以降で最少となった。
 一方で本県は、17年の自殺者数が7人(2・5%)増の286人となり、自殺死亡率は全国ワースト2位となった。ピーク時の03年と比べると大幅に減少してはいるものの、全国的な減少傾向の中で増加に転じている。
 全国的に自殺者数が少なくなったとはいえ、決して楽観はできない。日本は先進国の中でも自殺死亡率が高いという現状にあるからだ。15年時点で先進7カ国の中でワーストだった。
 その要因の一つに、若年層の自殺による死亡割合の高さが挙げられる。17年版の自殺対策白書によると、15~39歳で死亡原因に占める自殺の割合が最も高く、白書は「社会をけん引する若い世代の自殺は深刻な状況にある」としている。
 白書によると、自殺せずに生きていれば良いことがあると思うかを尋ねたところ、20歳代では「そう思う」「ややそう思う」を合わせた者の割合は69・5%で、前々回の80・3%、前回の70・6%と減少傾向にある。30歳代でも「そう思う」「ややそう思う」を合わせた割合は70・3%で減少傾向にある。一方で、「そう思わない」「ややそう思わない」を合わせた者の割合は増えている。未来に希望を抱けない若者が増えていることに危機感を覚える。
 また、自殺者全体の約7割を男性が占め、女性に比べて男性の割合が高いのも特徴だ。悩みを抱えたりストレスを感じたりしたときに、誰かに相談したり、助けを求めたりすることにためらいを感じる人の割合が男性の50歳代、60歳代、70歳以上で高いことが白書で明らかになっている。
 自殺予防対策は、まさに社会的な課題だ。解決に向け、若年層の自殺予防対策の充実強化をはじめ、「ゲートキーパー」養成、悩みに応じた相談窓口の充実、職場におけるメンタルヘルス対策の推進、地域コミュニティーを通じた見守り・支え合いなど、今できる対策に官民挙げて取り組まなければならない。
 なぜ自殺者がなくならないのか、どうしたら防げるのか。ストレス社会においては決して人ごとではない深刻な社会の現状に一人ひとりが真摯(しんし)に向き合い、何ができるかを考える必要がある。

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