社 説

 

文書改ざん「問題の幕引きは許されない」

2018/3/29 木曜日

 

 財務省決裁文書の改ざん問題で、27日に行われた佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問は消化不良の一言に尽きた。佐川氏は「誰の指示で」「誰が行ったのか」という核心について一切の証言を拒否した。政府・与党は「政治が関与した疑いは晴れた」としているが、国民の不信は解消されていない。問題の幕引きは到底許されず、徹底した真相究明が必要だ。
 佐川氏は核心部分への言及は避けながら、政治の関与については「まったくない」と明言。さらには理財局に関する質問にはよどみなく答え、その上で当時の国会答弁に丁寧さを欠いたと謝罪するなど、周到に準備した答弁が印象的だった。
 これに対し、議員側の質問の在り方には違和感を覚えた。与党側は持ち時間の大半を真相解明ではなく、政治の関与の有無を確認するような興ざめの質問を繰り返した。野党側も各党5分前後の短い時間の中で同じような質問が続いた。野党が協力し合い、持ち時間を確保する工夫が欲しかった。
 一夜明けた28日、野党6党は安倍晋三首相夫人の昭恵氏や森友学園への国有地売却交渉時に理財局長だった迫田英典元国税庁長官らの証人喚問と、衆院予算委員会での集中審議を求めていくことを申し合わせた。
 しかし、佐川氏喚問の実現で正常化した国会は、同日夜の参院本会議で2018年度予算案を採決し、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。ここでも野党側の戦術に疑問符が付く。
 改ざん発覚後、野党側は佐川氏の喚問を求めるだけでなく、麻生太郎副総理兼財務相の辞任、内閣総辞職を求めて参院での審議を拒否し、政府・与党は劣勢に立たされた。佐川氏の喚問が実現したのも事態を打開したい与党側が折れた結果で、支持率が急落した安倍内閣は窮地に陥っていた。
 ところが26日、自民、民進両党の参院国対委員長が28日に参院予算委員会で予算案の締めくくり質疑と採決を行うことで合意する。参院の存在意義が問われる自然成立を避けたい思惑が一致したものだが、証人喚問の結果にかかわらず、予算案が28日中に可決、成立する見通しが立ってしまった。
 ここは徹底抗戦すべきだったのではないか。予算が成立すれば、与党は改ざん問題の追及の場である予算委員会を開こうとしないだろう。いくら野党が昭恵氏や迫田氏の証人喚問を要求しても、与党が応じるはずもなく、論戦の場は所管案件の質疑に限られる委員会に移ってしまう。
 国民の不信感を高める一方で、追及の場をみすみす逃すようでは政治全体に対する不信感が増幅しかねない。野党は幕引きを絶対に許さず、機会を捉えて徹底的に追及すべきである。

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メバル膳5万食「新鮮さと驚きの目線で展開を」

2018/3/28 水曜日

 

 中泊町の新・ご当地グルメ「中泊メバルの刺身と煮付け膳(略称・中泊メバル膳)」の提供食数が22日で5万食を突破した。2015年7月3日のデビューから989日目の実績であり、人気が定着し広く知れ渡ったことの証しでもあろう。これまでの経済波及効果は約2億8000万円に上るといい、今後も「メバル膳」と併せて町の知名度アップ、地域活性化を図ってほしい。
 メバル膳は、県内漁獲量が約6割(10~13年の平均)でトップを誇る中泊町の「ウスメバル」を使い、奥津軽の魅力発信と地域活性化につなげようと、「深浦マグロステーキ丼(マグステ丼)」など新・ご当地グルメのプロデュースを手掛けてきたヒロ中田さんの指導の下、誕生した。メバルの刺し身姿盛りと熱々煮付け、イカの刺し身、提供店舗こだわりの海鮮汁、刻みのりが載ったつがるロマンのご飯という内容で、町内5店舗で提供している。
 中泊町で水揚げされるメバルは、津軽海峡の速い潮の流れで育ち、適度な運動量と豊富な餌を食べていることもあって肉質が良く、「津軽海峡メバル」の名で全国出荷されている。東京の築地市場では高級魚として扱われているほどだ。そうしたメバルを使ったメバル膳はまたたく間に人気のグルメとなり、15年10月に1万食、16年6月に2万食、同年9月に3万食、17年7月に4万食をそれぞれ達成、順調に歩みを重ねてきた。電子レンジにかけるだけで簡単に「メバルの煮付け」が食べられる、「中泊メバルでチン!」という関連商品も誕生した。
 メバル膳は、豊富な農林水産物がありながら、地場食材を通年で提供できる店舗がなかった中泊町で、「食」で人を呼び込み、観光のまちづくりを図ろうと関係者が苦心を重ねて誕生したグルメだ。現在の好調が継続することは関係者誰もが願うところだ。そのためには、さらなる広がりと常に新鮮さと驚きの目線で見られるような仕掛けが必要であろう。
 現在、冬場やしけでメバルを提供できない場合に備え、安定供給を目指し急速冷凍機などの導入による「中泊メバ活プロジェクト事業」を展開。さらにはメバルを使った各種新商品による販路拡大も目指していくという。実際、「マグステ丼」の提供地である深浦町では、地元産天然本マグロ入りのカレーを販売しており、メバルに関しても今後、どのような商品展開がなされるのか期待されるところだ。
 26日でデビュー3年目を迎えた北海道新幹線との関係も重視したい。新幹線駅「奥津軽いまべつ駅」(今別町)から2次交通を活用してメバル膳を食べに来る仕掛けと相乗効果が必要だ。乗客数がいまひとつ伸び悩む北海道新幹線だけに、メバル膳を起死回生策の一つとして、もっと売り込んでみてはどうか。

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ヘルプマーク「普及に地道な努力を」

2018/3/27 火曜日

 

 義足や人工関節を使用している人、内部障害や難病の人、または妊娠初期の人といった、外見からは判断がつかなくても援助や配慮を必要としている人が、周囲に配慮を必要としていることを知らせることができる「ヘルプマーク」。全国的に導入する自治体などが増えているが、本県では導入から1年余りが経過した。これからも利用と周知の輪が広がるよう期待しているが、県が実施したウェブアンケートでは、マーク・カードについて「知っている」と回答した人が4割弱にとどまっているという。
 ヘルプマークは赤いゴム製のストラップ。必要な援助を書き込み、かばんなどに取り付ける。2012年に東京都が初めて作り、本県は16年秋から全国5番目に導入。緊急連絡先やかかりつけ医などを記入する「ヘルプカード」も併せて配布した。
 県内での配布は、市町村の担当窓口などを通じて行われ、その数は昨年12月末時点で、ヘルプマーク2108個、ヘルプカード1597枚に上るという。
 配布枚数はともかく、周知の方は、思うほど広がっていないのが現状だ。
 ヘルプマークを「知っている」と回答したのは37%、「見たことはあるが意味は知らない」は7・3%、「知らない」は55・7%。知らないと回答した人の95・3%がヘルプカードも知らなかった。また90%以上がヘルプマーク、ヘルプカードを携帯した人を見たことがないと回答している。
 ヘルプマーク・カードそのものの認知度を高めることが、最も重要なのは間違いない。一方で「見たことはあるが意味は知らない」という回答も多く、自由意見では「ヘルプマークを見掛けても、どう支援してよいか分からない」との声も聞かれる。最初の周知から内容の理解、そして実際に支援を行う環境づくりまでを考えれば、普及の道は、まだ緒に就いたばかりと言えるだろう。
 周知の拡大について、方法はさまざまあるだろうが、利用者そのものを増やすのも効果が高い取り組みになるのではないか。支援を必要とする人といえば、どうしても体が不自由な人といった先入観を持ちがちだが、冒頭でも紹介したように、難病の人や妊娠初期段階の人ら、想定の範囲は大変広いものがある。こうした人にヘルプマークやカードを身に着けてもらえれば、県民の間で自然と目に触れる機会が増え、おのずと内容の理解なども深まっていくだろう。
 県はポスターやチラシなどで周知をしていく方針だが、こうした頒布物に支援の具体的な事例なども掲載すれば、支援の意志はあるが、いま一歩踏み出せないという人の背中を押してあげることができるかもしれない。マーク・カードを見たら「困ったことはないですか」と自然に言えるような県民風土を目指したい。

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小学生の事故防止「大人の行動こそが重要」

2018/3/24 土曜日

 

 入学シーズンを前に、気になる調査が公表された。昨年までの5年間に起きた小学生の歩行中の交通事故を警察庁が分析したところ、1年生の死亡者数が6年生の8倍に上ることが分かった。歩行中の小学生の死亡者数は過去5年間で計84人で、うち1年生が32人を占め、6年生は4人。けが人を含めた死傷者数を人口10万人当たりで見ると、1、2年生に相当する7歳が全年代で最多で、午後3~5時の下校時間帯が特に多かった。
 死傷事故は道路の横断中が最も多く、死傷者は1万8841人。うち横断歩道のない場所での被害は1万262人だったが、横断歩道上も約4割に当たる7364人に上った。横断歩道での飛び出しや信号無視が計約1000件あったものの、小学生側の8割以上に違反などの問題はなかった。
 一方、車両側で明確に違反がなかったのはわずか6件のみだった。交通ルールを熟知しているはずの運転者側、大人側の過失が多いことは極めて遺憾だとしか言いようがない。運転者側にとっては、子どもは見えにくいということも確かにあるが、子どもを守るためにも安全確認、安全運転を心掛けてもらいたい。同時に、運転者側は子どもが見えにくいということを子どもたちに教えることも必要だろう。
 小学生の死傷者数を月別で見ると、4~7月と10~11月の死傷者数が多い傾向にある。特に春先は、1人で登下校するようになる新1年生も多いことが一因となっているのではないか。
 子どもに道路の横断の仕方を教える際、同庁は特に1、2年生に対し、▽横断歩道や信号機がある交差点が近くにあるときは、そこまで行って横断する▽横断する前に、青信号や横断歩道でも「立ち止まる」「左右をよく見る」「車が止まっているのを確認する」▽横断中は「左右をよく見る」―ことを教えるよう呼び掛けている。さらに、新1年生には4月以降も繰り返し教えることが必要だとも指摘している。
 子どもに教えるだけでなく、大人が交通ルール順守の手本を示すことも重要だ。横断歩道で信号が青になる前に横断し始めたり、黄色や赤に変わりかけても横断しようとしたことはないだろうか。車の通行量が少ないからといって、横断歩道のないところを渡ったりしたことはないだろうか。そうした大人の姿を見て子どもたちがまねをしたらどうなるか、想像してみてもらいたい。
 子どもの事故を防ぐには、大人の行動こそが重要だ。交通ルールを教えたり、範を示したりするだけでなく、子どもが安全に歩行できる環境を整備することも大人の責務だろう。もうすぐ事故が多い4月を迎える。いま一度、自分のできることを見詰め直し、できることは行動に移すようにしたい。

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ウオーキングリーグ「県民の健康増進寄与に期待」

2018/3/23 金曜日

 

 健康に対する意識が年々、高まっている。食生活の改善や規則正しい生活を送ることなど、健康で長生きをするために取り組むべき事柄はさまざまあるだろうが「体を動かすこと」は、その中で最も基本的、かつ重要な要素だろう。多くの人が健康づくりのために「何か運動やスポーツを」と思うだろうが、継続して行うことができて、効果的なものは、なかなか見つかりにくい。日常的に体を動かすことをしてこなかった人にとっては、なおさらで、飽きずに時間や場所を選ばず、例えば一人でも気軽にできる運動といえば、スポーツの種類はさまざまあれど“これ”というものがないと悩む人も多いだろう。
 その点、ウオーキングは気軽にできる運動の代表格だ。自分の体調や都合に合わせて距離を変えることもできるし、景色を見ながら、歩けば飽きもこないだろう。仲間と歩いても良し、一人で気楽に歩くことを習慣付けても良し。誰でも取り組める気軽な運動という点でウオーキングは優れた特性を有している。
 ウオーキングブームは長く続いている感があるが、こうした中、全国的にも先駆けとなる都道府県単位のウオーキングリーグ「青森県ウオーキングリーグ」が設立され、来年度から本格的な活動を展開することになった。県内各地で大会を開催する実行委員の賛同を得て設立されたもので、加盟する県内10のウオーキング大会の広報活動や参加者を増やす取り組みを進めるという。
 ウオーキングリーグは北海道や東北などエリア単位では前例があるが、都道府県単位では全国的にも珍しいそうだ。青森県ウオーキングリーグの具体的な活動は、リーグ加盟大会共通のパスポートの発行やマスターウオーカーの認定などになるという。
 リーグパスポートは加盟10大会の参加認定スタンプを押す仕組みで、全大会に参加し、完歩したウオーカーには県マスターウオーカーなどの称号が与えられる。子ども用のパスポートも用意し、家族での参加を促すという。パスポートがあれば、自分がこれまで参加してきた大会に加え、県内の他の大会にも参加する意欲が湧くだろうし、それぞれ特色のある大会に参加することで、ウオーキングの楽しみも増えるだろう。開催地間の交流も活発になるのではないか。
 来年度の加盟大会は4月29日の「つがる市おやこウオークイン地球村」からスタートとなり、手前みそながら5月12、13日には弊社などで実行委員会をつくる「津軽路ロマン国際ツーデーマーチ」が弘前市などで行われる。
 本県の重要課題である短命県返上。リーグの輪がさらに広がり、活動内容も充実していくことでウオーキング人口の増加が図られれば、県民の健康増進にも寄与することになるだろう。

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