社 説

 

スポーツ界で不祥事「東京五輪前に徹底浄化を」

2018/5/22 火曜日

 

 スポーツ界で不祥事が相次いでいる。アメリカンフットボールでは日本大学の選手が極めて悪質なタックルで関西学院大学の選手を負傷させ、日大アメフット部の内田正人監督が辞意を表明する事態となった。女子アイスホッケーでは、平昌五輪日本代表選手も所属する北海道のクラブチームで男性コーチによるパワーハラスメントが発覚し、監督ら5人の指導者全員が解任された。
 日大は関学大とのアメフットの交流戦で、守備の選手が関学大のQB(クオーターバック)がボールを投げた約2秒後、無防備な状態にもかかわらず背後からタックルし、腰などに全治3週間のけがをさせた。内田監督の指示があったと指摘されているが、同監督は詳細を明らかにしていない。24日までに文書で回答するとしているが、これまで対応は後手後手に回っており不誠実としか言いようがない。
 内田監督は大学内で常務理事と人事部長も務めるなど、力ある立場にあった。理事長からの信頼も厚く、これが問題への対応の遅れにつながったとの指摘もある。真相解明には、日大の自浄作用が求められていよう。
 北海道のアイスホッケークラブチーム「御影グレッズ」では、男性コーチが3月に行われた日本リーグの試合中、女子高校生の3選手に「ユニホームを脱いで出て行け」などと厳しく叱責したという。チームはパワハラを認めて謝罪し、監督と他のコーチも一緒に責任を取ったほか、高校生ら5人が退部した。
 パワハラといえば、女子レスリングで五輪4連覇を果たした伊調馨選手(八戸市出身、ALSOK)らが、日本レスリング協会の栄和人前強化本部長から被害を受けていたことも確認されている。過去には2013年に、柔道の日本代表を含む女子選手15人が暴力やパワハラを受けたと告発し、当時の園田隆二日本代表女子監督が辞任に追い込まれた。
 日本オリンピック委員会(JOC)が当時、加盟57団体の選手と指導者に実施した無記名によるアンケート調査によると、選手で25・5%(459人)、指導者で29・1%(424人)が競技活動の中で暴力を認識していたと答えた。回答率は47・1%だったことから、実際はもっと多くの暴力行為やパワハラがあったと推測される。
 5年余りが過ぎた今なお、スポーツ界ではパワハラが横行しているという事実にがくぜんとさせられる。さらに、今回のアメフットの映像はテレビやインターネットで広がり、批判の声が高まっている。それは国内にとどまらない。2年後に迫った東京五輪のイメージダウンを招きかねず、憂慮すべき事態になっている。スポーツ界の自発的な自浄が求められるし、不可能ならスポーツ庁が先頭に立って浄化に当たってもらいたい。

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深浦町ナイター開催「町単体PR、モデルケースに」

2018/5/19 土曜日

 

 楽天生命パーク宮城(仙台市、県営宮城球場)で15日に行われた、プロ野球・楽天イーグルス―ソフトバンクホークスの1軍公式戦に、冠協賛した深浦町が「白神山地とマグロの町・深浦町ナイター」と題した大々的な町のPRを行った。球場に詰め掛けたのは、町が無料招待した200人をはじめとする観客数2万3767人。マグロステーキや世界自然遺産白神山地、「ふかうら人参ジュース」などのPRに抜群の効果を挙げたであろう。単純な自治体のPRではなく、プロ野球の公式戦に乗じた大々的な宣伝であることがユニークだ。これがモデルケースとなって今後、自治体それぞれが魅力発信の在り方に工夫を凝らすための参考としてほしい。
 深浦町ナイターは、白神山地が今年世界遺産登録25周年を迎えることもあり、同町が誘客を図る狙いで実施した。試合前のPRブースでは、先着1000人にマグロステーキとふかうら人参ジュースを提供し、長蛇の列ができた。抽選会では、深浦産本マグロの解体ショーを自宅で行うという特賞をはじめ、2等「久六島の巨大サザエ」といった豪華賞品が来場者を喜ばせた。球場各所の電光掲示板には「世界自然遺産登録25周年記念『白神山地とマグロの町・深浦町ナイター』」の文字が流れ、深浦一色に染まった。球場内では、吉田満町長らが両チームに深浦特産認定品「つるつるわかめ」1年分を贈呈。始球式では、吉田町長が大勢の観衆が見守る中でワンバウンドさせつつも投球を決めた。
 こうしたイベントや特産品、大々的な宣伝を目の当たりにした来場者は、深浦町をどれほど認識し、興味を示してくれたであろうか。「深浦の魅力を周りにPRしたい」「実際に町に行って良いところを見つけたい」との声もあったという。一過性のイベントに終わらずに、広く語り継がれる濃い内容であったことには違いあるまい。決して「どこかの町のイベントがあって、無料でおいしい物を食べた」だけで終わらせてはならない。
 県外で本県に関する内容を大々的にPRしてきたイベントといえば、これまで「活彩あおもり大祭典」や「あおもり10市大祭典」「青森人の祭典」などがあり、県外在住者に強く「青森」を印象付けてきた。しかし、これらはあくまで青森全体をPRするものであり、そこで展開されるイベントも、ねぶたやねぷたといった華やかなものに目を奪われがちだ。
 そうした中にあって、県でも市でもない、人口が1万人にも満たない深浦町が球場という大舞台で、町単体のPRを行った意義は非常に大きいと思われる。厳しい財政事情などもあろうが、他自治体も深浦町の今回の取り組みを例に、自らがどういうPRをできるか考えるきっかけとしてほしい。

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天津線1年「情報共有し、満足度向上を」

2018/5/18 金曜日

 

 青森―中国・天津間の国際定期便が昨年5月に就航してから1年が過ぎた。県は今年3月末までの利用率が80・3%、県内経済への波及効果は推計で19億6000万円に上ると発表した。このうち天津線の乗客による県内での消費額だけで13億3000万円に上るという試算だ。
 週2往復のスケジュールで、利用者数は2万7928人。県内の宿泊施設を利用した天津線の乗客は延べ人数で3万5887人となり、17年中の本県外国人宿泊客数が前年比3・7倍に伸びるなど、全体を大きく押し上げる要因となった。
 本県経済に着実にプラス効果を与えていると言えるだろう。実際、乗客が立ち寄ったとみられる宿泊施設や小売店、飲食店を対象としたアンケートでも、事業者の3分の2が天津線の運航期間(昨年5月~今年3月)の売上高が前年の同時期に比べて増えたと回答しており、1社を除いて増加の要因に中国人観光客の効果があると答えている。事業者側も手応えを感じていることが分かる。
 中国の航空会社「奥凱(オーケー)航空」が運航する天津線は本県にとって、1995年のソウル線、ロシア・ハバロフスク線以来22年ぶりの国際定期便の新規就航。定期便に先立ち、同社が17年1~3月に運航した青森―天津間の定期チャーター便が週4往復というスケジュールで搭乗率も86%と高く、本県の冬季の誘客に大きなプラス効果をもたらしたこともあり、天津線に対する関係者の期待は高かった。
 一方、同社は国内でも有数の観光都市函館と中国西安を結ぶ国際定期路線を新規就航したが、搭乗率の低迷を理由に、就航からわずか1カ月半で運休した経緯があり、通年での路線維持には冬季以外の利用率を上げることが必須とされていた。とりあえず最初の1年をクリアし、利用率8割は健闘したと言っていい。
 16日には青森空港などで天津線就航1周年を記念した出迎えイベントなどが行われたが、今後も路線を維持するための取り組みを継続していく必要がある。
 事業者対象のアンケートでは、中国人観光客の受け入れ拡大に当たっての課題について「中国語を話せる人材の確保」が34%で最も高いが、外国人観光客が急増する中、あらゆる言語に完璧に対応するのは難しい。買い物や宿泊など必要な場面で使う基本的な言語を提示できるようにするなど、現実的にどういった対応が可能か、知恵を絞るべきだろう。
 多くの外国人客が本県を訪れている間に国別のニーズを把握することも重要。アンケートでは「中国人客が求める商品・サービスが不明」が14%ある。個々の事業者の経験を共有できるデータにできれば満足度向上にもつながるはずだ。
 回答者の93%が今後の中国人観光客の拡大に期待を寄せる。利用者のニーズを踏まえて満足度を上げ、経済効果をさらに拡大させる取り組みを期待したい。

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記者セクハラ問題「メディアも認識を改めよ」

2018/5/17 木曜日

 

 福田淳一前財務事務次官のセクハラ問題をめぐり、麻生太郎財務相は「セクハラ罪という罪はない」と発言したほか、被害に遭った女性記者に「はめられた可能性は否定できない」と述べ、発言を一部撤回して謝罪したものの、その後も物議を醸している状況にある。
 この問題を受け、新聞・通信社、テレビ局、出版社、インターネットメディアなど31社やフリージャーナリストといった女性記者らが、所属組織の枠を超えて「メディアで働く女性ネットワーク」を結成し、麻生財務相宛てに発言撤回などを求める要請書を提出した。取材現場でセクハラを受けることが少なくない女性記者の立場から声を上げ、被害に遭った女性記者に連帯しようとするものだ。
 今回の問題で、国の重要ポストにある人物による、セクハラという社会問題に対する認識の甘さや人権意識の薄さが露呈した。その一方で、メディアで働く女性記者たちが、自分たちの受けるセクハラを「自分たちの業務に付き物の行為」と我慢し、メディア自体も見過ごしてきたという側面を浮き彫りにしたといえる。
 記者が独自の情報をつかもうとする際、情報を持っている相手と頻繁に接触し信頼される必要がある。この場合、記者が接触する相手の多くが男性だ。昔に比べれば女性が社会進出したとはいえ、今もさまざまな組織のキーマンの多くは男性が果たしているのが実情である。
 記者は取材を通じ、現場で多くの人に助けられ、時に返せないほどの恩を受けることがある。だが取材対象者と親しくなることで、セクハラを受けやすい状況に陥るケースがあるのは確かだ。さらに女性記者の多くが、「これだから女性は使いにくい」と組織に断じられるのを恐れ、取材先で受けたセクハラ被害を報告せず、我慢する傾向にある。
 今回被害に遭った女性記者は、最初に自分の所属する組織を通してセクハラ被害を報道できなかった。しかし、いずれのメディアであっても、自社の記者が取材活動で受けたセクハラ被害を表沙汰にしたことは、これまでなかったのではないだろうか。
 セクハラ問題の基本は、上の立場にいる者が、「やめてほしい」と訴えにくい弱い立場の者に行うということだ。だからこそ被害者は声を上げにくい。その中で勇気を持って告発した被害者の声を、メディアは支援する立場で報じてきた。
 メディアは、弱い立場の声を社会に届けるという役割を持ちながら、自社の女性記者に対するセクハラについては、見過ごす風潮があったことを自覚しなければならない。
 セクハラ報道の在り方について、メディア自体も反省し、被害をなくするために取り組まなければならない時代に来ている。

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新潟女児殺害・遺棄「地域一丸の見守りしかない」

2018/5/16 水曜日

 

 新潟市の小学2年女児が殺害され線路内に遺棄された事件で、女児の近くに住む23歳の男が逮捕された。動機を含め事件の全容解明が待たれるが、女児の命が戻ることはなく、子どもを持つ親としてやりきれない思いである。二度と同様の事件が起きぬよう、地域一丸となって見守り強化に努めるしかあるまい。
 新潟県警は女児が連れ去られてから遺体で発見されるまでの詳しい経緯を調べている。ただ、容疑者の自宅が女児の自宅に程近いことから、女児を見知っていたか、通学時間帯を把握していた可能性もある。
 同様の事件から浮かぶ構図は、容疑者が被害者を見知っている、通学路周辺に土地勘がある―などだ。いくら小さな子どもに「知らない大人に話し掛けられてもついていくな」と言い聞かせても、犯人と顔見知りだとか、「親が急病になった」などと言葉巧みに車などに誘い込まれては、事件を防ぐことは困難だ。
 容疑者逮捕から一夜明け、女児が通っていた小学校では児童らが保護者らに付き添われ集団登校した。父母らは胸をなで下ろす一方、下校途中を狙われた事件について、「防犯対策を地域一丸となって考えたい。もうこのような事件は起こらないでほしい」と語った。
 こういった事件が起きるたび、地域の見守り、防犯対策の充実が叫ばれる。では実態はどうなのか。
 警察庁のまとめでは、登下校の見守りや特殊詐欺の注意喚起といった防犯活動を行うボランティアは、2016年末時点で全国に4万8160団体、272万5437人を数える。所属人数こそ前年末を下回ったが、団体数は過去最高を更新しており、活動の大半が通学路などでの見守りであることを考えれば、防犯ボランティアの存在は貴重だ。
 あえて課題を挙げるなら、60歳以上が65%を占めるなど高齢化が進んでいることだが、これはわが国の人口構造からして避けられない。自主的な活動であり、週何日かでも仕方あるまい。
 こうして手が回らない部分は保護者や学校関係者らPTAに頼ることになるが、昨年3月の千葉県松戸市での小学3年女児殺害事件では、保護者会長が逮捕、起訴されている。
 子どもを見守るはずの保護者の代表が逮捕されるという前代未聞の事件に、大きな衝撃を受けたことは記憶に新しい。つい「じゃあ誰が守るのか」と嘆いた覚えもある。
 結局は社会全体で見守り活動への関心を高め、犯罪を許さない環境づくりに努めるしかあるまい。
 警察を含む行政には、ボランティアを増やすための財政的な支援のほか、学区に1台は青色回転灯を装備した巡回車を走らせるといった、防犯事業の強化を早急に検討してもらいたい。

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