社 説

 

豪州からの誘客「ニーズ把握し一層の促進策を」

2017/12/21 木曜日

 

 津軽地方でも鯵ケ沢町の青森スプリング・スキーリゾートが先週、オープンし、他のスキー場も今週末にかけて続々と営業を始める予定となっている。本県のスキーシーズンがいよいよ幕を開ける。例年になく、早い雪の訪れにうんざりという県民も多いだろうが、スキー関係者にとって今冬の雪は、期待を感じさせるものがあるだろう。
 四季がはっきりとしていて、海山ともに豊かな自然環境に恵まれた本県は、観光立県としてさらに発展できる余地がある。本県の地勢を生かした自然観光やさまざまな恵みを堪能できるグルメ観光、春の弘前さくらまつり、夏の青森ねぶた祭に代表される祭り・イベント観光、その多くが全国的な知名度を得た本県の貴重な観光資源だが、本県において最も特徴的な季節と言える冬を生かした観光だけは、どうしても元気が出ない。
 冬の観光資源と言えば、温泉とスキーが、まずは頭に浮かぶ。全国屈指の温泉地数を誇り、スキー環境も良質な雪でスキーヤーの評価の高いスキー場が多い。潜在的な冬季観光の需要は大きいものがあると言えるだろう。
 こうした中、県はスキー観光によるオーストラリアからの誘客に注力している。近年はアジア、特に中国人観光客の動向に目が行きがちだが、県などのまとめによると、2016年に県内に宿泊したオーストラリア人(延べ人数)は2820人で、東日本大震災前の10年と比較して約10倍に増加しているという。平均泊数も長く、旅行の支出額も多いなど「お金をかけてゆっくりと滞在してもらえる」豪州からの観光客は、ぜひ本県としても目を向けてもらいたい存在と言えそうだ。
 県が狙うターゲットは、オーストラリアでも知られる日本国内の有名スキー場などとは差別化し、何度も訪日しているスキー上級者だという。県は上質なパウダースノーで混雑なく山スキーを楽しめるとして八甲田や岩木山の情報を発信。関係者の本県招請や英語の専用ウェブサイト、インターネット交流サイト(SNS)でPRしているほか、13~15年度にはシドニーに職員を駐在させるなど同国からの誘客に力を入れてきた。
 こうした取り組みに、同国関係者の本県スキー観光に対する評価も上がってきているようだ。年明けにはファミリー向けのスキー雑誌関係者を招請し、県内でのスキー観光を提案していくという。また今年度から再びシドニーに職員を派遣しており、現地でのネットワークづくりもさらに進めていくことになる。
 漠然とした海外からの誘客ではなく、その国の人の嗜好や興味を分析し、ターゲットを明確化した上で対策に取り組めば、効果はおのずと上がる。地方観光地の誘客競争を一歩リードする施策の展開を今後も望みたい。

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リニア入札不正「問われる社会的責任と公共性」

2017/12/20 水曜日

 

 東京(品川)―名古屋間で2027年に開業が予定されているリニア中央新幹線の関連工事で、大手ゼネコン4社(大林組、鹿島、大成建設、清水建設)が、入札をめぐり事前に話し合うなどして正当な競争をしなかった疑いが強まり、東京地検特捜部と公正取引委員会が独禁法違反(不当な取引制限)容疑で強制捜査に乗り出した。
 リニア新幹線は、同区間を最速40分で結ぶ夢の超特急列車。その輝かしい未来に早くも汚点を残しかねない事態は残念である。
 名古屋市内の公園跡地に新設する非常口の工事については、大林組の依頼に応じて、他社が入札参加を見送るなどの調整が図られた疑いがある。工事は約90億円で大林組などの共同企業体が受注。大林組の担当者らは4社による受注調整を認めたという。
 総事業費9兆円に上る国家的プロジェクトを舞台とした大型談合事件。他の工事についても疑念は拭えない。事業主体のJR東海は民間企業だが、複数の業者が事前の話し合いで受注予定者を決める行為は独禁法違反に問われる。事業費の一部には、国債を原資とした低利融資が活用されていることもあり、「重要なインフラ建設工事」(経団連の榊原定征会長)の言葉通り、リニアの公共性は高い。公正な入札を妨げることは、事業費を上昇させ、運賃などの面で利用者らの負担増にもつながる。
 強制捜査の対象となった4社は05年、談合との決別を宣言していた。談合事件の摘発が続き、独禁法違反企業への課徴金が06年から引き上げられることを踏まえて自浄姿勢を示した形だが、東日本大震災(11年)以降は再び疑惑が噴出しているという。今年9月には東京外郭環状道路関連工事の契約手続きが中止されていた。宣言は単なるパフォーマンス―とのそしりは免れまい。
 業界が長年染み付いた体質から脱し切れていないとの見方もできるし、談合が同業者間で利益を守り共存するための必要悪と受け止められているのかもしれない。だが、業界大手の社会的責任は大きく、社会に与える影響も相応にあることを改めて自覚しなければならない。
 一方、リニア新幹線工事の入札で採用される「競争見積方式」が、不正の温床になった可能性の指摘がある。同方式では評価項目の詳細が公表されず、JR東海は契約締結後も選定に至る経緯や契約額を明らかにしていないという。官公庁の一般競争入札では予定価格などの公表が不正をけん制する機能を果たすが、JR東海の対応が第三者のチェックを難しくしているのでは―という見解だ。
 リニア新幹線の公共性と事業主体であるJR東海の社会的責任を考えると、情報公開を通じて透明性を高める余地はありそうだ。

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韓国語全国大会「大舞台楽しみ友好の架け橋に」

2017/12/19 火曜日

 

 16日に弘前市で開かれた「話してみよう韓国語」青森大会の中高生スキット部門で、黒石市の「ハングルと遊ぶ会」に所属する高校生ペアが最優秀賞に輝き、クムホ・アシアナ杯「話してみよう韓国語」高校生大会(全国大会)出場を決めた。これで同会からの全国大会出場は5年連続となった。
 青森大会では、最優秀賞になった雪田采音さん(聖愛高校2年)・長崎未麗さん(黒石高校2年)組のほか、優秀賞と奨励賞も同会員が独占。一般スキット部門でも2016年の全国大会で頂点に立った佐々木紀江さん・坂本伶奈さん(ともに黒石高校専攻科看護科1年)組が優秀賞に選ばれた。
 青森大会で大きな存在感を示した同会。阿部誠会長(浅瀬石小学校長)は「上位独占は絶対ないと思っていた。すごいこと」と喜ぶとともに「特に高校生の(大会に向けた)気合が違った」と評した。本人たちの努力が最大の勝因であるのは間違いないが、同会の場合はそれだけではない。会を挙げての徹底的な指導やサポートが力になっているのだ。
 これまで同会員が出場した全国大会での成績は1位が2回、2位が2回。全国大会の雰囲気やプレッシャーといった出場者だけが分かることも少なくない。その対策も全国大会経験者から、次の出場者にしっかりと伝えられている。
 過去の全国大会出場者らが入会したきっかけは「Kポップが好き」という単純なものがほとんどだが、ハングルに身近に触れ、前回大会に出た先輩の姿を見るうちに、目標が全国大会に変わっていく。そして念願の全国入賞を果たすと「(会員の)皆さんの協力がなければ全国大会に行けなかった」「たくさんの応援をもらって獲得した賞」などと、感謝を口にした。こうした思いがあるから、次の出場者に親身になるのだろう。
 5年連続で出場者を送り込む同会は、過去4大会すべてで2位以上に入賞し、副賞の韓国研修旅行を手にしている。当然、他地域の出場者から“名門”としてマークされるようになりそうだ。つまり全国大会の切符をつかんだ2人は、前回以上に厳しい環境に置かれると予想される。だからといって萎縮する必要はない。会員みんなが後押ししてくれるのだから、堂々と大舞台を楽しんできてほしい。
 日韓関係は北朝鮮の脅威という同じ問題に直面している一方、韓国国内には先の戦争をめぐる反日感情が根強くある。ただ、このように一生懸命に韓国の言葉や文化を学ぼうという若い世代がいる。先輩から後輩へとたすきが渡される駅伝のような流れができている同会。青森大会で好成績を収めた同会員一人ひとりには両国の懸け橋になってほしい。その思いもきっと引き継がれ、両国をもっと近づけると思いたい。

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弘前外国人宿泊者数有効な対策で好調維持を」

2017/12/16 土曜日

 

 今年の弘前市内の外国人宿泊者数(10月末時点)が3万681人(速報値)を記録。昨年1年間の実績(1万2623人)の約2・4倍となり、統計を開始した2010年以降、過去最高となった。弘前公園と桜、ねぷた、岩木山などがある弘前市にとって観光産業はリンゴ産業と並ぶ主要な生計の道。人口減少社会にあって、先行きに不透明さも見込まれる国内観光の消費動向を考えれば、経済的な発展が続く、アジア圏を中心とした地域からの誘客は、今後も伸展が見込まれるだけに、この好調さをこれからも維持していきたいものだ。
 好調さは弘前市だけでなく、本県全体に及ぶ。近年の本県の外国人宿泊者数は右肩上がりで推移しており、16年は通年で14万3590人を記録。今年1~9月(速報値)は前年同期比63%増の14万9720人で、過去最多だった16年通年を上回っている。これは東北随一の観光立県・宮城県を抑え、同地方最多の宿泊客数だというから、その好調さが際立つ。
 海外での日本ブームが続く中、国内の訪日外国人観光客は増加傾向が続くが、多くは大都市圏か、国内の代表的な観光地に偏る中で、地方への波及もようやく本格化したかと感じる数字だ。本県の代表的な観光地である弘前への外国人宿泊客の増加もこうした流れの一つだろう。
 弘前市内での外国人宿泊客を国別に見ると、中国や台湾、香港、韓国の東アジア圏域が大きな比重を占めている。中でも同圏域の宿泊者数割合を押し上げたのは、爆発的に増えた“中国人客”の存在がある。
 市は市内への中国人客の宿泊者数が増えた要因として、青森―天津線の国際定期便の就航に伴い、中国人客が市内に宿泊する旅行商品を販売・催行した旅行業者に対し、市が宿泊助成金を交付する事業が評価を得たことなどを挙げている。
 弘前さくらまつりに代表される祭り、白神山地などの自然、豊かな自然を背景とした個性的な食の数々と、弘前の魅力を挙げれば、切りはないが、それでも国内各地の観光地との競争を考えれば、弘前の魅力を発信するだけのPRでは、激しい競争に打ち勝つには心もとない。
 宿泊助成金などは、実効性のある訪日外国人客(インバウンド)対策の一つと言えるだろう。また同市は市内の事業者がパンフレットやメニューの多言語表記、Wi―Fi(ワイファイ)環境の整備など、インバウンドの受け入れ環境向上につながる事業にも補助金を交付するなど、対策の充実を図っている。近年、外国人観光客に人気の市りんご公園では、弘前大学留学生のインターンシップを毎年受け入れており、増え続けるインバウンド対応に一役買っているそうだ。ハード、ソフト両面の環境整備と財政的な支援を組み合わせ、効果的なインバウンド対策を今後も続けてほしい。

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本県平均寿命最下位「延び幅向上は確かな成果」

2017/12/15 金曜日

 

 2015年の本県の平均寿命は男性が78・67歳、女性は85・93歳だった。厚生労働省が5年ごとに公表しているもので、男性は1975年から9回連続、女性は00年から4回連続で全国最下位という不本意な結果となってしまった。
 ただ、前回からの延び幅は男性が1・39年で全国3位。高血圧を除く心疾患や自殺の死亡率で大幅な改善が見られた。女性も0・59年で25位となり、着実に延伸している。平均寿命そのものが低いため延び幅が大きくなりやすいとも考えられるが、それよりも「延びしろ」がまだまだあると前向きに捉えたい。
 全国に比べて、本県は40~50代の働き盛りの死亡率が高いほか、三大生活習慣病の死亡割合が高い。生活習慣に関わる喫煙率、多量飲酒者率、肥満者率、健診・検診受診率、スポーツをする人の割合などは軒並み下位に低迷する。食塩摂取量も昔よりは減ってはいるものの、まだまだ高い状況だ。しかし、これも見方を変えれば、課題がはっきりしていると考えられる。
 県は「県基本計画未来を変える挑戦」(14~18年度)で、特に重点的に取り組む三つの戦略プロジェクトの一つに「健康長寿県プロジェクト」を掲げた。戦略プロジェクトを通じ、生活習慣の改善や生活習慣病発症後の適切な治療の継続、スポーツを通じた健康づくりなどに取り組んでいる。
 減塩につなげようと県が14年度から取り組んできた「だし活」も、定着しつつある。今年9月には弘前大学などが、食生活改善推進員を通じて減塩の知識を広める「だし活キッチン」と称した事業をスタート。県内各地でだし活の輪が広がることを期待したい。
 だし活キッチン事業は弘大のCOI(センター・オブ・イノベーション)関連活動の一環。COIは弘大と県、弘前市、民間企業などが連携して認知症・生活習慣病などの早期予兆発見、予防法の開発に取り組むプロジェクト研究で、13年度に全国12拠点の一つとして文部科学省に選ばれた。
 「革新的『健やか力』創造拠点」として、疾病の予兆・予防法確立、県民の意識改革などさまざまな取り組みを展開してきた弘大COIや県が旗振り役となって進めてきた活動が、県内に広がりつつある。その結果として、平均寿命の延び幅が全国平均を上回るという成果が表れたと言えるのではないか。
 平成に入ってから平均寿命のトップ5に入り続けている長野も、かつては脳卒中の死亡率がワーストになるなど、初めから長寿県だったわけではない。長野は脳卒中撲滅に向けた減塩運動をきっかけに生活習慣を改善させ、平均寿命を延伸してきた。本県も県民一人ひとりがもう少し意識を高めれば、そう遠くない時期に最下位から脱出できるはずだ。

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