社 説

 

柴崎選手が代表入り「W杯での躍動に期待」

2018/6/1 金曜日

 

 6月14日に開幕するサッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会の日本代表メンバーが31日、発表された。野辺地町出身で青森山田高校卒のMF柴崎岳選手(ヘタフェ)も選ばれ、本県出身で初のW杯日本代表選手となった。これまでに培った力を遺憾なく発揮し、W杯の舞台で躍動してもらいたい。
 柴崎選手はユース年代から日本代表に名を連ね、青森山田高校2年時には全国高校サッカー選手権で準優勝。卒業と同時にJ1の鹿島アントラーズに入団してからも、若くして主力として活躍してきた。2016年のクラブW杯では、名実ともに世界一と称された欧州王者レアル・マドリード(スペイン)から2得点を奪ってみせ、世界中にその名をとどろかせた。
 クラブW杯での活躍は多くの海外メディアや関係者からも絶賛され、17年1月にスペイン2部リーグのテネリフェへ移籍し、念願の海外進出を果たした。同年7月には1部昇格したヘタフェに移り、世界最高峰とされるスペイントップリーグにデビュー。9月には、レアル同様にビッグクラブのバルセロナから得点を挙げ、実力の高さを証明した。
 だが、そのバルサ戦で左足を骨折し戦線離脱に追い込まれた。それでも約3カ月後に復帰し、徐々に本来のプレーを取り戻しつつある。30日に行われた国際親善試合のガーナ戦では後半途中から出場し、惜しいシュートを放ったり、ゴール前に正確なクロスを供給したりと、特に攻撃面で存在感を示した。
 日本はこの試合、ガーナの速さと体の強さに屈して完敗。本番となるW杯ではグループリーグで、いずれも格上のコロンビア、セネガル、ポーランドと対戦することから苦戦が予想される。残された準備期間は短いが、万全のコンディションで大会に臨んでほしい。願わくば、柴崎選手には攻撃の要となり、得点不足に悩む日本の救世主になってもらいたい。
 柴崎選手が日本代表となったことで、別の効果も期待している。それは本県サッカー界のレベルの向上だ。柴崎選手は、高校時代は本県初の全国優勝にあと一歩まで迫り、Jリーグに入っても主力として活躍、クラブW杯で鮮烈な印象を世界に与え、スペインでプレーするまでに至った。本県に生まれ、育っても常に国内のトップレベルに立ち、世界レベルの選手になれるということを身をもって実証して見せた。
 そのことは、プロサッカー選手を夢見る県内の少年少女たちにとって誇りであり、自信にもつながったはずだ。柴崎選手のようになりたいと思う選手が一人でも多く生まれてほしいし、今後もW杯に出場する本県選手が続くことを願っている。そのためにも、柴崎選手が再び世界を驚かせるようなプレーを大舞台で見せることを心から期待している。

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アメフット処分「反した基本に当然の判断」

2018/5/31 木曜日

 

 アメリカンフットボールの悪質タックル問題で、関東学生アメフット連盟は、日本大学アメフット部の内田正人前監督と井上奨前コーチを規定の中で最も重い除名処分にした。内田氏らが主張した認識の乖(かい)離(り)については「信用できない」と断じた。フェアプレーというスポーツの根本を無視したのだから、連盟の判断は当然だ。
 この問題では、当該選手が記者会見し「コーチから伝えられた言葉は『つぶせ』。けがをさせるという認識で、そういう意味でしか捉えられなかった」と、指示に従わざるを得なかった胸の内を明かした。これに対し、内田氏らは反則行為を命じたことを否定。日大の大塚吉兵衛学長も「あってはならない危険行為。当該学生一人に記者会見させ、大学として追い込んでしまった」と責任と対応の遅れを認めた。ただ、けがした選手が所属する関西学院大側の抗議文に対する、日大側の回答書は、内田氏らの指示を明確に認めたものではないようだ。
 仮に悪質タックルが当該選手の自己判断だったとしても、チームプレーは連帯責任が基本。日大選手一同として「私たちの責任はとても重い」との声明文を発表したのも、連帯責任を感じているからではないか。当該選手を事後にも「追い込んだ」日大の姿勢に不信感が膨らむ。
 学連は両氏の発言を完全否定した。規律委員会によるヒアリングを踏まえ、内田氏らの話には虚偽や事実のねじ曲げがあるとの判断に至ったという。学連は森琢コーチに2番目に重い資格剥奪、当該選手と日大アメフット部も公式試合出場資格停止とした。
 負傷した関学大選手の父親は警察に被害届を提出する一方で、記者会見まで開いて謝罪し、経緯を説明した当該選手への寛大な処分を求める嘆願書への署名を募集。賛同者が28日時点で2万6000人を超えるなど、世論も当該選手擁護に傾いている。
 オリンピック憲章には「友情、連帯、フェアプレーの精神とともに相互理解が求められる」(オリンピズムの根本原則)とある。悪質タックルはもちろん、内田氏らの発言が、これに反するのは明らか。世論に流されず、当該選手と日大アメフット部も処分した学連の判断は正しいと言える。
 学連による処分は一つの区切りであるが、これで終わりではない。再発防止策をどう講じるか。競技団体には内部通報制度もあるが、出場機会を失うことを恐れる選手が、チームという閉鎖的組織の中で、権力を持つ指導者らを容易に告発できるだろうか。通報者を保護できる仕組みづくりを急がなければならない。
 ただ、それ以前に重要なのが、フェアプレー精神の徹底。いまさら、こんな当たり前のことから始めなければならないとは情けない。

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強制不妊「救済要件は柔軟に」

2018/5/30 水曜日

 

 旧優生保護法に基づき障害者らが不妊手術を強制された問題で、国会では議員立法による被害者救済を目指し設立された超党派の議員連盟が法案作成のためのプロジェクトチームを設けるなど動きを本格化させ始めた。議連は来年の通常国会での法案提出を目指している。
 同法は1948年に制定。「優生上の見地」から障害者らに対して本人の同意なしに不妊手術を行えることなどを定め、差別的な規定を撤廃した「母体保護法」に改正される96年まで存続した。厚生労働省によると、同意が不要の不妊手術を受けたのは男女1万6475人。同意のあった遺伝性疾患やハンセン病などを理由とするケースを含めると2万5000人近くに上るという。ハンセン病患者ばかりか、これほど被害者が広範に及んでいたことに驚く。
 本県でも県優生保護審査会の84~88年度関連資料が見つかった。判断対象とした県内居住の11人のうち、少なくとも女性1人が手術を受けた可能性が高く、10人について手術を適当と判断していたことが記されていた。
 国連の委員会は98年と2016年の2回、強制不妊手術の対象者について補償を受ける権利を法律で規定するよう勧告していた。
 問題が顕在化した直接のきっかけは、宮城県の60代女性が今年1月に国家賠償請求訴訟を起こしたこと(現在審理中)だが、それまで全体像の把握や具体的な救済に向けた本格的な動きがなかったとすれば、大きな問題だ。
 法案化に当たっては検討課題も多い。その一つは、個人を特定できる記録の多くが廃棄されるなどした可能性が高いとみられること。手術の記録が残っていない被害者や、同意して手術を受けた障害者らを救済対象とするかが挙げられる。一定期間の経過後に権利が消滅する「除斥期間」も問題となるだろう。
 救済の要件は、可能な限り柔軟に設定すべきだ。前述の経緯を踏まえると、国の不作為が手術の立証を困難にさせた側面は否定し難い。要件を厳格にすれば救済の対象は大幅に限られ、法案の意義自体や姿勢が問われる。
 強制不妊手術に関する国家賠償訴訟は、宮城県の女性のほか、男女計3人が今月、札幌、仙台、東京の3地裁へ一斉に提訴し、被害者の代理人弁護士らが全国弁護団を結成した。弁護団の共同代表によると、6月下旬にも、被害者数人による3次提訴が予定されているという。この動きは今後さらに広がりを見せることも想定される。
 人権意識が高まる一方で見過ごされてきた同問題。遅きに失した感はあるが、早期の救済実現を望みたい。加計学園問題や森友学園問題などで政治や国への不信が募る中、政治への信頼を取り戻す姿勢が問われる。

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国会集中審議「国会は不信解消への努力を」

2018/5/29 火曜日

 

 安倍晋三首相の在職日数が29日で1981日となり、首相の連続在職日数としては戦前を含め歴代3位となった。秋の自民党総裁選で3選を果たせば、さらなる長期政権となる。一方、森友・加計問題や一連の不祥事で国民の政治不信は増している。安倍首相はもちろん、国会は与野党問わず責任を自覚し、信頼を取り戻す努力をすべきだ。
 政治不信の一番の原因は首相にある。29日に行われた衆参予算委員会の集中審議でも、「丁寧な説明」や「うみを出し切る」といった言葉とは裏腹に、野党の質問ややじに対し、色をなして反論する場面があった。
 また、首相は森友問題に関する答弁で「お金のやりとりがあって、頼まれて行政に働き掛けをした、という意味での関わり合いはしていない」と述べた。収賄に問われるような関わりはないとの趣旨だ。
 首相はこれまで「小学校の認可や国有地払い下げには一切関わっていない」と断言しており、今回の答弁は関与の余地を残したと言える。
 発言の真意は不明だが、首相夫人の昭恵氏が名誉校長を務めた点では「そういう意味では関わりがあった」と答えており、事実関係だけは認める方向に微調整したともとれる。いずれにしても、首相が説明責任を果たさなければ、低迷する支持率が回復することはない。
 与党も内部文書や調査結果を小出しにする、関係者の証言には消極的という、首相の顔色をうかがうような対応に終始している。いずれ不信感が与党に向けられる危険性を認識していない。
 政府・与党は25日、今国会最大の焦点の「働き方改革」関連法案の強行採決に踏み切った。審議前からデータの不備が相次いで発覚し、その後も二重集計のミスが見つかるなど問題だらけの法案にもかかわらず、衆院厚生労働委員会で採決を強行した。
 強引なまでの国会運営は、総裁選への悪影響を懸念する首相官邸の強い意向をくんでのことだ。加計問題で愛媛県の新文書の存在が明らかになるなど、政権への逆風となりかねない材料が次々と出てくる状況に、官邸の危機感は強い。
 この上、最重要法案も実現できないとなれば、首相の求心力低下が浮き彫りになる。しかし強行採決への反発を懸念する声もあり、与党も決して一枚岩と言えない状況だ。
 一方の野党も攻め手に欠ける。集中審議でも核心部分で新事実が明らかになることはなく、これまでと変わらない議論が繰り返された。
 長期の審議拒否に批判が集まり、審議復帰を決めたものの従来通りの戦術では手詰まり感が否めない。会期末が迫る中、信頼を取り戻すためには、政権に対する攻め口を変える工夫も必要だろう。

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米朝首脳会談中止「可能性あるうちに実現急げ」

2018/5/26 土曜日

 

 6月12日に予定されていた史上初の米朝首脳会談が24日深夜、急きょ中止となった。トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に宛てた書簡で一方的に通告。書簡は首脳会談の再設定に含みを持たせているが、米朝双方が不信感を抱いており、先行きは不透明だ。
 中止の理由についてトランプ氏は「激しい怒りと敵意をあらわにした最近の発言」を挙げている。北朝鮮の崔善姫外務次官がペンス副大統領を罵倒したことが決定的だったとされるが、それ以前から不信感を募らせていたようだ。
 米朝は会談場となるシンガポールに先遣隊を派遣し、共に準備を進めることで合意していたが、米国側先遣隊の前に、北朝鮮の先遣隊は姿を見せなかった。核実験場廃棄についても、米韓に検証のための専門家受け入れを約束したとするが、24日の爆破に招待されたのは報道陣だけ。さらに、米国側が連絡を取ろうとしても、北朝鮮側はこの1週間一切応答しなかった。こうしたことが積もっての中止決断だった。
 会談決定まではトランプ、金両氏とも、互いを尊重するなど期待感が強まっていた。しかし、米韓合同軍事演習や金氏の訪中で雲行きが変わった。北朝鮮側は対米批判を繰り返し、連絡が取れたと思うと「『会談場で会うか、核対核の対決で会うか』という脅迫だった」(米国高官)という。強硬姿勢に転じた背景には、金氏の訪中で中国の後ろ盾を得たことがあるとみられる。
 北朝鮮は拘束していた米国人3人を解放し、外国報道陣の前で核実験場の坑道や観測施設を爆破。会談を控え、非核化への本気度を世界に示した格好だ。その中での中止に、北朝鮮の金桂冠第1外務次官は会談の必要性を訴えるとともに、一方的な中止決定を批判。中止理由の「怒りと敵意」については「核廃絶を迫ってきた米国側の度を越した言動が招いた反発」と反論した。
 既に役割を終えた実験場の廃棄や、修復可能な坑道だけを爆破した表面的アピールといった見方や、核開発の実態解明を困難にする証拠隠滅との疑念も根強い。それでも北朝鮮は、一方的に中止を決めたトランプ大統領を朝鮮半島の平和と安定を遠のかせた張本人と国際社会に訴える理由になると踏んだのだろう。
 北朝鮮に接近する中国が、米国主導の「最大限の圧力」を完全履行するか不透明なことに加え、「板門店宣言」による平和体制構築に向けた対話の枠組みから排除されることを懸念するロシアも絡み、状況は時を追って複雑さを増す見通し。今後は水面下での交渉が進むとみられるが、打開策を見いだせなかった場合、軍事衝突の緊張が高まる可能性も否定できない。幸い双方とも会談が必要と認識しているとされる。早急に実現の糸口を見つけなければならない。

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