ポーランドで開かれていた国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)が閉幕した。採択された地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の運用ルールで、先進国発展途上国に関係なく原則全ての国が共通ルールの下で温室効果ガス削減に取り組むことになった。
運用ルールをめぐっては当初、先進国と途上国の間に大きな隔たりがあった。先進国が全ての国を対象とする方針である一方、近年温室効果ガスが急増しているとされる途上国は、削減目標の達成状況を検証する資金や能力がないとして先進国と異なるルールの適用を主張。議論が紛糾する可能性が指摘されていた。
結果的に途上国については、柔軟性のある内容として歩み寄りを図り、先進国と途上国で二つのルールを設ける「二分論」は回避。発展途上国を含む全ての国に対し、温室効果ガスの削減目標に基準年などの詳細な情報や情報源を盛り込み、締約国に報告することを義務付けるに至った。海面上昇で国土が水没する危機が差し迫っている島しょ国の、やむを得ない移住についての対策も、目標の中間報告などに盛り込めるようにした。
一方、排出削減目標は各国が設定することとし、それぞれの自主性に委ねた。先進国から途上国への資金支援については、2020年までに官民合わせて年間1000億ドルを拠出、25年以降の上積み目標は20年から検討する。これらについて、ルールを破った際の罰則は設けていない。排出削減効果を国際的にやりとりする仕組みは、協議がまとまらずに来年11月にチリで開かれるCOP25に先送りした。
運用ルールの共通化は、すべての国が同じ認識で対策に臨むきっかけにはなるだろう。しかし、トランプ米大統領は温暖化を否定して協定離脱を表明しており、COP24では国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書を「歓迎する」ことに、米国と産油国のサウジアラビア、クウェート、ロシアが反対した。このような状態で確実な温暖化対策が実現するかは疑問だ。各国共通ルール化という成果づくりを優先しただけのように映る。
報告書によると、仮に削減目標を達成しても、平均気温は約3度上昇するという。報告書を基礎に対策を考えるなら、温室効果ガスの削減目標を各国に委ねるのではなく、目標の引き上げと対応の義務化を明文化すべきでないのか。大規模自然災害をもたらす温暖化に歯止めをかけるため、踏み込んだ取り決めがなかったのは残念だ。
抗議デモの激化で環境税導入を延期したフランスなど、それぞれ自国の問題を抱えているのは理解できる。しかしCOPは地球全体を考える場である。運用ルール採択は一歩である。しかし、実効ない限り、何の意味も持たない。