社 説

 

陸奥新報創刊71周年「混とんの時代に正確な報道を」

2017/9/1 金曜日

 

 21世紀の“空襲警報”は心を不安で満たすものだった。29日早朝、北朝鮮が発射した弾道ミサイルの日本通過を告げるJアラート(全国瞬時警報システム)で、たたき起こされ、いくつかの取材の手配を終えた後、ふと眺めた弘前の街並みもまた、どうしていいのか不安で立ちすくんでいるように見えた。「頑丈な建物や地下に避難して下さい」。Jアラートは告げているが、地方にそうそう、当てはまる施設があるわけがない。ミサイルは本当に発射されたのか、発射されたとしたら、どこに落下したのか、被害はあったのか、正確な情報がないまま時間が過ぎる中、同僚から「本県への被害はありませんでした」と一報が入った。心がやっと動き出したような気がした。「正確な情報を知る」。そのことの大切さとありがたさが身に染みた。
 陸奥新報は9月1日、71年目の創刊記念日を迎えた。敗戦直後の混乱期、インターネットもテレビもなく、インフラ整備も現代と比較にならない地方の弘前において、産声を上げた本紙がもたらした「情報」は、地域の人たちからどのように受け止められたのだろうか。「読者が知りたい、役に立つ情報を早く正確に伝える」。これは創刊当初から変わらぬ、陸奥新報の姿勢であり、至らぬところが多いながらも、この伝統を引き継いでいこうとする私たちの姿勢は、今後も変わることがない。こうした考えが、読者の信頼を得て、70年余りもこの地で新聞を発行することができたのだと信じ、この歩みを止めることなく前に進みたいと思う。
 終戦直後の混乱期に産声を上げた陸奥新報であるが、現代の日本もまた、混乱と不安の中にある。北朝鮮をはじめとする近隣諸国とは陰に日なたに摩擦が生じ、国の安全保障をめぐる環境は大きく変化した。国内に目を向けても国民の政治不信を助長させるような問題が数多く生じており、その根は深い。
 地方が抱える事情は、さらに深刻だ。人口減少が目に見える形で進行し、地域から活力が奪われている。「人もモノも金も、中央へ」と進められた近代日本の中央集権政策のツケを支払わされる中、地方は自立への道を模索しなければならない。
 この時代を乗り切るために何が必要なのだろうか。「正確な情報を知る」ことが重要な意味を持つのではないか。何かを判断し、行動するために必要な材料や基準、それを形作るために役立つ「正しく、有意義な情報」。陸奥新報は地域づくりに、地域住民の生活に、ためになる情報、伝えなければならない情報を発信する存在であり続けたい。21世紀にあっても変わることなく、地域に根を張り真実を伝える。「フェイクニュース」ではない、本当の津軽の姿を報じ続け、地域に貢献したい。

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海自ヘリ事故「徹底した原因究明を」

2017/8/31 木曜日

 

 26日夜、竜飛崎の西南西約90キロ、久六島(深浦町)からは北約20キロの日本海で、夜間訓練中の海上自衛隊大湊航空基地(むつ市)所属のSH60J哨戒ヘリコプターが海自護衛艦「せとぎり」から発艦後、通信が途絶えた。これまでにヘリの部品が複数発見、回収されていることから、墜落したとみられる。乗員4人のうち1人は事故直後に救助されたが、他の3人は30日現在、行方不明となっている。早期の発見、無事を願いたい。
 ヘリが行っていた訓練は、隊員の技量維持のため定期的に行っているもので、艦上の管制官らが目視などで機体を確認しながら、ヘリに指示を出すという内容。ヘリが「せとぎり」から発艦したのは26日午後10時30分すぎ、連絡が途絶えたのは同10時48分である。この18分弱の間に何があったのか。訓練当時は晴れて視界が良く、風も強くなかったといい、海自側も「航空機運用に問題はなかった」と説明する。発艦前の点検でも異常は見られなかったという。機体に何らかの異変が起きたのか、予期し得ない何かの外部的なトラブルが起きたのか―。いずれにせよ、原因が判明するまでは同型ヘリの運航や同種の訓練は差し控えることが賢明であろう。
 ヘリの事故は近年、県内外でたびたび発生している。2008年には、火災を起こした海自護衛艦を取材するためテレビ局社員ら4人が乗ったヘリが大間沖で墜落する事故が起きた。12年には、今回と同じ大湊航空基地所属のSH60J哨戒ヘリが陸奥湾で護衛艦に接触して墜落し、機長が死亡した。今年3月には長野県の消防防災ヘリコプターが同県の鉢伏山付近で訓練中に墜落し、9人が死亡。今月17日には、海自岩国航空基地(山口県)で多用途ヘリが訓練中に横転し、3人が負傷した。
 ヘリを海上や山岳地点で飛行させる場合は予想できない気象条件の悪化も考えられよう。実際、今回の事故で救出された隊員は証言の中で、訓練中に突然衝撃を感じた後、「気付いた時には機内に海水が侵入していた」と語っている。気象条件が問題だったのか、運転ミスが原因だったのかは、定かではない。
 今回の海自ヘリの事故が起きたのは海上で、夜だった。国防の任務に当たってはいつ、どのような気象条件、環境にあっても対応できるよう備える必要はある。そのために今回の訓練が定期的に行われ、これまで事故がなかったことを考えれば、訓練自体は無謀なものではなかったのだろう。
 ヘリはホバリング(空中静止)できることから、人命救助、上空視察などに欠かせない。防災ヘリやドクターヘリなどの働きを見れば、その有用性は誰もが認めるところであろう。それだけに事故が続く状況は看過できない。今回の事故を含めて徹底した原因の究明を求めたい。

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北朝鮮ミサイル発射「日本の平和と安全脅かす行為」

2017/8/30 水曜日

 

 北朝鮮の暴挙はとどまることを知らず脅威は増すばかりだ。29日午前6時前、北朝鮮は弾道ミサイル1発を発射。ミサイルは北海道の渡島半島上空を通過し、襟裳岬東方の太平洋上に落下した。
 ミサイル情報は総務省消防庁により全国瞬時警報システム「Jアラート」で本県など12道県に配信された。早朝、防災行政無線やテレビなどから突然物々しく流れる避難の呼び掛けに、多くの人が戸惑い、不安を感じたはずだ。
 ミサイルは事前予告なしに発射され、日本上空を通過した。幸い被害は確認されていないが、万が一、日本の領土に着弾していたらどうなっていたか。そう考えると非常に許し難い挑発行為である。安倍晋三首相は「これまでにない深刻かつ重大な脅威であり、地域の平和と安全を著しく損なうものだ」と強く非難した。
 今回のミサイルは北朝鮮が米領グアム沖への新型中長距離弾道ミサイル「火星12」発射計画を公表後、国際社会がその動向を見守る中で行われた。公表されていた計画に基づけば島根、広島、愛媛、高知の4県上空を通過することになるが、計画とは異なる軌道をとった。
 米に対する直接の軍事挑発は避ける一方、ミサイルの脅威を強く誇示する狙いがあるとみられる。ミサイルの飛行距離をみれば、日本全土が射程範囲に入ることになり、いつでも奇襲が可能な能力を見せつけたといえる。
 北朝鮮のミサイル発射は今年に入って既に10回を超えている。国際社会はその都度、制裁で圧力をかけ続けると同時に対話に向けた糸口を探ってきた。しかしながら北朝鮮の暴挙はとどまるどころかエスカレートする一方だ。
 もはや現状の制裁による圧力や対話で北朝鮮問題を解決するのは難しくなっていると感じる。かといって軍事的選択肢を行使しては大きな犠牲を生むだけだ。非常に難しい問題だが、対北朝鮮問題でカギを握る中国、ロシアの協力を得ながら、国際社会がより一層連携して対応していく必要がある。
 一方、今回のミサイル発射への対応をめぐっては課題も浮かび上がった。総務省がJアラートでミサイル情報を配信したものの、一部市町村では防災行政無線の放送が流れなかったり、誤って放送されたりするトラブルがあった。
 頑丈な建物や地下への避難の呼び掛けがあったものの、県内では実際にそういった建物がなかなか近くにはない。多くの住民は避難することもできず、発射から10分もたたないうちに日本上空を飛んでいたミサイルの推移を、じっと見守るしかなかったのが実情だろう。
 北朝鮮の暴走が続く限り、今回のようなミサイル発射は今後も起こり得るだろう。落ち着いて行動できるよう、対策をしっかり周知する必要がある。

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トラック運転手不足「多角的な物流対応が必要」

2017/8/29 火曜日

 

 インターネット通販の需要が拡大する中、配送を担うトラック運転手の不足が全国で深刻化している。内閣府が公表した「地域の経済2017」によると、運輸・郵便業では、企業が募集した人員に対し、働き手が確保できている割合を示す「雇用充足率」は、2016年度全国平均が21・6%。12年度は34・2%、14年度は26・9%と推移しており、年々悪化している。
 16年度の充足率を地域別に見ると、最も低いのは東海で17・5%。南関東18・0%、北海道20・4%、近畿21・1%、中国と沖縄が21・5%と続く。東北は九州(26・9%)、四国(26・1%)に次いで3番目に高い25・6%だが、12年度と比較すると7・4ポイント低下しており、人手不足が深刻なことに変わりはない。
 運輸・郵便業の人手不足感は全産業に比べても高い。こうした背景から、大手運送会社では一部の時間帯指定の廃止や指定時間幅の拡張、大型荷物配送の値上げなどを決めている。より厳しいのは中小、中堅で、大手よりも人手不足感が高まっている。
 労働者不足を解消する一つの策は生産性の引き上げだが、全国の運輸・郵便業の生産額は、12年度から14年度にかけ、物価変動の影響を除いた実質で1・1%の増加にとどまる。その一方で、就業者数は0・5%減少している。就業者の増加が見込めない中、事業量を増やすには生産性を引き上げるしかなく、配送効率や業務工程の見直しが必要な状況だ。
 こうした中、北海道東北名鉄運輸と日本通運、青森港運による物流拠点集約計画が東北で初めて認可を受けた。青森市内にある3社の配送拠点を集約し、共同で配送するもの。共同配送により、同市と東郡の配送エリア内では、トラック台数が3社で計4台削減できる見込みだという。
 北海道東北名鉄運輸は「運転手が退職しても新しい人を補充できず、残された人に負担がかかっている」と現状を説明する。物流拠点集約によってトラック台数の削減、ひいては運転手不足の解消につながることが期待される。3社による共同事業が成功し、モデルケースとなることを願う。
 一方で、トラック輸送に頼り過ぎない物流態勢の構築も求められよう。県は昨年6月、運送業界や荷主で組織する「県産品の輸送手段等の最適化に係る検討協議会」で、中近距離のトラック輸送に鉄道、船舶などを加えた四つの輸送モデル案を示した。昨秋から今冬にかけては、弘前市からトラックと貨物列車、船舶を使ってリンゴを海外輸送するなど二つの輸送モデルで実証実験を実施。今年度も引き続き実験を実施し、新たな輸送手段の確立を目指す方針だ。官民それぞれが知恵を出し合い、持続可能な物流態勢を築き上げていきたい。

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「働き方改革」民間の意見聴き対策検討を

2017/8/26 土曜日

 

 政府は「働き方改革」を中小・零細企業にも広げるため、具体策の検討に乗り出した。問題は中小企業の多くが所在する地方経済は依然低迷しており、人手不足もあって労働時間の短縮が困難なことだ。時間外労働に上限を設ける企業への助成などが検討されているが、対策が使い勝手の良いものとなるよう、民間の意見にも耳を傾ける必要があろう。
 来月下旬にも召集される臨時国会の目玉として、政府は安倍政権の看板政策である働き方改革の関連法案を提出する予定で、長時間労働規制を盛り込んだ労働基準法改正案が柱となる。
 厚生労働省も2018年度概算要求に向け、時間外労働規制への助成のほか、非正規労働者の処遇改善や過重労働防止の方策をアドバイスする「働き方改革推進支援センター」(仮称)を全都道府県に設置することを検討している。
 また、「同一労働同一賃金」の実現に向けた施策では、正規、非正規にかかわらず共通の賃金規定や諸手当制度を導入する企業に対し、対象人数に応じて「キャリアアップ助成金」の支給額を加算する案が上がっている。
 働き方改革をめぐっては、県内でも県と青森労働局が先月、県経営者協会に対し、働きやすい職場環境の整備を要請している。
 具体的には▽非正規労働者の待遇改善▽女性の人材育成・管理職への登用▽労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進―など5項目について、会員173社に働き掛けるよう求めた。
 要請に際しては、16年の年間総実労働時間(速報値)が全国平均より約101時間長いなどといった本県の現状のほか、同局や県、金融機関による支援制度を説明。経営者協会側も「(5項目は)企業自らが主体的に取り組んでいかなければならない大事な事項」と応じ、会議や会報を通じて会員企業に周知すると答えている。
 過労死が深刻な社会問題となる一方、ITの活用によって自宅や職場から離れた「サテライトオフィス」などで仕事を行うテレワークが浸透し、柔軟な働き方への社会的理解は深まっている。
 特にテレワークは育児や介護、病気療養などの事情を抱えた人材の積極的な活用が可能になるだけでなく、長時間労働の是正にもつながるとして、政府も積極的に推進している。
 ただ、中小企業は一部を除いてIT化が遅れており、テレワークを推進したくてもできない事情もある。
 中小企業の働き方改革では労働時間の規制だけでなく、各企業の事情に即して有利な方策を選択できるようなメニューにすべきではないか。そのためには厚労省や各労働局が直接、企業の意見を聴く場を設け、対策に実効性を持たせる必要があろう。

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