社 説

 

東京都議選「国政揺るがす“都民”躍進」

2017/7/4 火曜日

 

 東京都議選が2日投開票され、小池百合子知事率いる地域政党「都民ファーストの会」が第1党に躍進。公明党が都民ファーストと協力したことなどで、知事支持勢力は定数127の過半数を上回る79議席を獲得した。一方の自民党は国政で抱える問題が響き、過去最低の23議席と歴史的大敗を喫した。都政と国政は違うとはいえ、「安倍1強」を大きく揺るがしたのは確かだ。
 大勝を受けて小池知事は「当たり前の都政を都民が取り返す瞬間。改革の姿勢を評価していただいた。それだけ責任も重い」と表現した。しかし、勝因全てが小池都政への評価と受け止めるのは早計だ。時事通信の出口調査によると、自民党支持層票の約2割が都民ファースト候補に流れており、少なからず自民党自滅の恩恵を受けたと推測できる。
 政権内では安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題など、国民に不信感を抱かせる問題が相次いだ。都議選で応援演説に立った安倍首相に対しては、一部聴衆が「帰れ」などと激しいブーイングを浴びせ、党内からも「逆効果だった」との声が漏れた。
 大敗から一夜明けた3日午前、安倍首相は記者団の質問に「大変厳しい審判。安倍政権に緩みがあるのではないかという批判があったのだろう」と総括し「国民の信頼回復に努めたい」と述べた。ただ、加計学園問題に加え、稲田朋美防衛相の失言、女性議員による政策秘書への暴行―と、議員の資質や安倍首相の任命責任などを問う声は大きくなるばかりだ。1強に慢心してきた自民党が、失った信頼を取り戻すのは容易ではない。
 一方、小池知事も3日午前に記者団の取材に応じ、同日付で都民ファーストの代表を退く意向を表明した。知事支持勢力の過半数確保で「二元代表制」が機能しなくなるとの指摘に配慮した格好だが、小池知事人気にも後押しされて当選したのだから、実効あるものになるかは不透明だ。3年後の東京五輪・パラリンピックや豊洲市場問題など、全国的に関心の高い課題が山積している。都政をチェックする新人都議の動向は、都民ファースト、小池都政の評価対象になる。
 自民党の惨敗や、都民ファーストと公明党の協力で生じた自公の溝など、都議選は国政に激震をもたらした。政府・自民党が、加計学園問題などで野党側が求める閉会中審査に応じる方向で検討に入ったのも、大敗で揺らいだ党内の危機感の表れだろう。
 ささやかれ続ける都民ファーストの国政進出について小池知事は否定したが、都議選で大きな影響力を見せつけたことを考えると非現実的とは言い切れない。この勢いを保ったまま国政に臨めば、安倍政権にとって脅威になり得る。次期衆院選への動きに注視する必要がある。

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シードルとガレット「文化広がり弘前の魅力創出」

2017/7/1 土曜日

 

 全国一のリンゴ産地である弘前市。生産量はもちろん、品質も全国、世界的な評価を受けている。それでも他産地との競争は激しく、リンゴ以外にも国内外の多種多様な果実が市場に出回る中、生果だけでは、販路の拡大に限界が生じることも想定しなければならないだろう。
 生果以外のリンゴ加工品市場の拡大がリンゴ産業全体の底上げを図る意味でも重要な鍵を握るといえるだろう。
 リンゴ果実を原料とする酒「シードル」は、こうした加工品の中でも有望格といえるのではないか。アルコール度数が控えめで飲み心地もよく、男性のみならず、女性受けもいい。色合いもカラフルで飲み口もスマートだ。大手酒類メーカーも本県産リンゴを使ったシードル商品の発売に力を入れており、新商品を店頭でよく見掛ける。国内市場も拡大しているようだ。
 弘前市もシードルの産業化に熱心に取り組んでいる。大手メーカーの商品に加え、地元や地域の“地シードル”も酒類を増している。市内では生産者らによる勉強会などが開かれ、品質向上に日々研さんが積まれている。シードルを産業化するに当たり、重要なのは地元での消費拡大だろう。シードルを飲むことができる店舗は市内でも増えてきたが、それに合わせる食事やつまみとなると、なかなか「これ」と言うものが浮かばないという人も多いのではないか。
 このほど弘前でのシードルの注目の高まりを受け、有志による「弘前シードル倶楽部」が発足した。同倶楽部では、シードルの本場・フランスでシードルとセットで食されている「ガレット」の食文化定着を目指すための普及、啓発に取り組むという。
 ガレットはフランス北西部のブルターニュ地方の郷土料理。そば粉を原料としたクレープ生地で、現地ではシードルと一緒に食されることが多いという。
 市内のフランス料理店で開かれた初会合では、地元メーカーが提供したシードルなどに合わせて卵とハム、チーズという定番のものや香ばしく焼き目をつけたサバにタルタルソースをたっぷりと乗せたシェフオリジナルのものが並び、出席者が本場の組み合わせを堪能。評判も上々だったようだ。
 同倶楽部は旬のシードルとともにガレットを味わう定例会などを随時開催する予定だという。また弘前観光コンベンション協会も今年中にガレットを楽しめる店舗を掲載するマップを作成予定で、こちらもシードルとガレットのPRを進めていく。弘前市には吉野町の煉瓦倉庫を活用した仮称・弘前市芸術文化施設にシードルカフェを併設する計画もある。シードルとガレットが楽しめる文化が定着すれば弘前の街の魅力がまた一つ増すことになる。シードルとガレット文化の広がりに期待したい。

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青森空港有料道路「往復割引の実験に効果を期待」

2017/6/30 金曜日

 

 県道路公社は青森空港有料道路の利用増を目指し7月19日から1年間、道路往復利用時に限り復路の料金を全車種一律100円とする社会実験を開始する。空港有料道路は2016年度末現在、市中借入金が約12億6200万円となっており、7月まで30年間に設定された料金徴収期間内での債務償還は困難となっていた。同月からは徴収期間を10年間延長の上で債務償還を目指すわけだが、社会実験はどの程度貢献するのか、または効果が出せるのか、年間通じての動きを注視していきたい。
 往復割引は料金徴収所で利用料金支払時に、復路を利用することを徴収員に伝えるとクーポン券が手渡され、復路利用時には券と一緒に現金100円を支払う仕組みだ。公社は往復利用の料金を設定した回数券も販売することでサービス向上と利用増を目指す。
 公社によると、車種別片道料金は軽自動車150円、普通車210円、大型車1(定員29人以下、車長9メートル未満、重量8トン以上)330円、大型車2(定員30人以上もしくは重量8トン以上)750円。通常、往復利用の場合は単純計算で片道料金の倍の料金がかかるわけだが、社会実験では片道料金プラス100円で、特に大型車2が受ける恩恵は大きい。実際、往復利用時の割引率は軽自動車16・7%、普通車26・2%、大型車1が34・8%であるのに対して、大型車2は最大の43・3%となっている。
 料金収入減をサービス向上による利用数増でカバーしようとする狙いであり、年間利用収入も約800万円の増加を見込んでいる。実際、道路の改善検討委員会が料金徴収期間10年間延長に当たり、公社側に往復割引や大型車割引の拡大といった弾力的な料金施策の提言を示していた。
 狙い通りの利用数増加という結果が出れば、社会実験終了後も往復割引継続が期待されるところだ。しかし、空港有料道路は1987年度の利用開始から16年度末までの利用計画台数6866万7269台に対し、実績は4826万5022台で、2040万台余の開きがあった。料金徴収所を経由せず、迂回(うかい)路を経由するドライバーも数多い現状にある。これが往復割引でカバーできるという結果が出れば、10年間での債務償還にも期待がかかろう。
 公社の鈴木潔理事長は「サービス向上と債務償還ができるようなコスト削減に努めたい。今回の実験でかなりの効果が出ると思う」と期待を寄せる。しかし、これから始まる実験であり、効果は未知数だ。債務償還を目指し、さらに二の矢、三の矢を繰り出す必要があろう。実験の結果と併せて、次なる取り組みにも期待したい。早期の債務償還、そして無料開放が実現すれば、新たな経済効果も生まれる可能性もあるのだから。

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プロ野球1軍戦「夢実現、成功を次に生かせ」

2017/6/29 木曜日

 

 ついに夢が現実のものとなった。本県で、実に29年ぶりとなるプロ野球1軍戦が28日、弘前市のはるか夢球場で行われた。
 対戦カードは東北楽天―オリックス。好天にも恵まれ、プロ仕様に新しく生まれ変わったはるか夢球場は、一流選手たちのプレーに触れようと集まった観客がスタンドを埋め尽くした。
 始球式では、三沢市出身の元プロ野球選手太田幸司さんが投手役を務め、太田さんが近鉄時代にバッテリーを組んでいた楽天の梨田昌孝監督が捕手役を務めるという、かつてのバッテリーが復活。夢の共演で会場のファンを盛り上げた。
 試合の見どころの一つは、平内町出身の細川亨選手の活躍だ。この日の楽天は辛島航投手が先発。捕手を務めたのは細川選手で、雄姿を一目見ようと詰め掛けた家族や友人らが見守る中、生まれ故郷青森で好プレーを披露した。
 スタンドには、プロを夢見る地元の子どもたちやプロ野球ファンらが大勢詰め掛け、一流選手が繰り広げる試合に懸命に声援を送り、時に歓声を上げながら1軍戦ならではの雰囲気を味わい、思い思いに楽しいひとときを過ごした。
 それにしても、本県での1軍戦開催は、1988(昭和63)年7月に青森市の県営球場で行われた広島―ヤクルト戦以来となる。29年ぶりとは、実に長い時間がかかった。県内でプロ仕様の野球場整備が進まなかったためだが、そうした中で誘致に名乗りを上げ、実現へと強力に推し進めてきたのが弘前市だった。
 葛西憲之市長は、プロ野球対応の球場整備に力を注ぎ、総事業費約28億円を掛けて、はるか夢球場の改修工事に着手。防災機能も兼ね備えた施設とし、収容人数約1万4800人、必要な照明設備や屋内ブルペンなどの諸室を備え、多目的利用が可能なボールパークとして整備した。
 同時に、弘前商工会議所や野球関係者と一緒になって、楽天野球団に要望書を提出したり、楽天の本拠地コボスタ宮城への1軍戦観戦ツアーを行ったりと継続的な取り組みを図ってきた。こうした粘り強い活動が今回の誘致実現に結び付いたといえる。
 プロ野球は数多くあるプロスポーツの中でも人気は群を抜いている。ただ、プロスポーツの多様化もあって、県内での野球の競技人口は減少しているという。そうした中での、今回の1軍戦開催は、競技人口増加に結び付くことが期待され、プロを目指す子どもたちの夢を後押しする機会ともなったことだろう。
 29年ぶりの1軍戦開催に満足しているわけにもいかない。プロ仕様に整備したはるか夢球場を生かすためにも、今回をスタートに1軍戦誘致に引き続き努め、弘前市がプロ野球開催地として定着し、夢育む場となることを期待したい。

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藤井四段「さらなる快進撃に期待」

2017/6/28 水曜日

 

 将棋界で30年間にわたり破られなかった偉大な記録を、中学3年生の少年が軽々と跳び越えていった。史上最年少でプロ入りした藤井聡太四段が26日、第30期竜王戦決勝トーナメント1回戦で勝利を収め、デビュー戦から負け知らずで歴代単独1位となる29連勝を達成した。
 史上最年少棋士として注目を集めた藤井四段だったが、よもや無敗で連勝記録を塗り替えるとは、誰が予想できただろうか。勝ち続けるうちに世間の関心は高まり、休憩で食べる昼食まで報道されるようにもなっている。
 藤井四段は大記録を達成した後の会見で今後の目標を聞かれ、「もっと実力を高めてタイトルを狙える棋士になりたい」と語った。おそらく、それほど遠くない時期にタイトル獲得は実現するのではないか。
 竜王戦決勝トーナメントを勝ち進めば、屋敷伸之九段が18歳6カ月で果たした史上最年少タイトルの記録更新が見えてくる。渡辺明竜王をはじめ、トーナメントに出場している棋士の顔触れを見ると厳しいとは思うのだが、「藤井四段なら」と期待してしまうところもある。
 非公式戦で羽生善治3冠を破ったことがその大きな要因なのだが、棋士としての資質に非凡さを感じる。藤井四段は5歳で将棋を始め、1年間で20級から4級まで昇進。幼稚園の時は週3日、小学生になったら週4日、休むことなく将棋教室に通った。教室主宰者によると、「体の細胞が将棋でできているような熱中ぶり」だったという。
 師匠の杉本昌隆七段は「普通は、才能があってもあまり努力しなかったり、根性がちょっと淡泊だったりするものなのですが、聡太には全部備わっている」と話す。加えて尋常ではない負けず嫌い。勝負師が持つべき資質が常人離れしたレベルでそろっているといえよう。
 さらに言えば、「何かを持っている」と思わせる棋士だ。デビュー戦は昨年のクリスマスイブ、相手は藤井四段同様に史上最年少でプロ入りし、「神武以来の天才」と呼ばれた加藤一二三・九段。公式戦出場の最年長記録を持つレジェンドは今月、プロ棋士を引退することが決まった。巡り合わせと言うべきか、くしき縁を感じざるを得ない。
 今年5月、佐藤天彦名人がコンピューターソフト「PONANZA(ポナンザ)」に敗北し、将棋界に波紋が広がった。昨年秋には三浦弘行九段が対局中にソフトを使用した疑惑が浮上し、疑いは晴れたものの日本将棋連盟会長が引責辞任するなどし、暗い影を落としていた。
 こうした中での藤井四段の登場は、将棋界にとって紛れもなく僥(ぎょう)倖(こう)だった。もちろん将棋ファンにとっても、後世に名を残すであろう名棋士が誕生したことは僥倖であり、さらなる快進撃を期待するとともに今後の活躍を見守りたい。

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