社 説

 

青森空港活性化へ「目標実現に積極的取り組みを」

2018/2/8 木曜日

 

 青森空港の年間利用客数を2022年度までに130万人とする目標などを盛り込んだ、「第2次青森空港活性化ビジョン」案(計画期間18~22年度)が示された。直近のデータによると、16年度の利用客数は109万人で2年連続の100万人超え、今年度の推計値は118万人となる見込みであり、6日に県が明らかにした17年1年間の実績では117万人となる。同空港を取り巻く環境は近年、国際定期便就航に伴う利用客数増などといったプラス要因により、全体の利用客が増加傾向にある。現状に甘んじることなく、新たなビジョンに基づく積極的な取り組みを展開することで、目標の実現を果たしてほしい。
 年間利用客数目標値の130万人の主な内訳は東京線64万人(17年度推計値59万人)、大阪線24万人(同22万人)、札幌線17万人(同15万人)、名古屋線13万人(同12万人)となっている。もし、これが実現すれば130万人台は1997年度以来となる。現在の乗客数や20年に開催される東京オリンピック・パラリンピックでの需要を見込めば、実現は決して夢ではない。だからこそ、今の好機を捉えた計画的な取り組みが必要となり、次期ビジョンがその効果的な手法を示すものとなってほしい。
 青森空港は95年度に初めて利用客数が100万人を超え、ピークは99年度の166万人。その後は下降傾向となり、東日本大震災が発生した11年度は過去10年では最低の79万人にまで落ち込んだ。その後は増加に転じ、再度100万人を超えたのは15年度のことだった。
 次期ビジョン案を見ると、東京オリンピックなど一時的に大量の需要が見込まれる事象だけに傾注することなく、新たな国際定期便就航に向けた取り組み、昨年11月に実施し青森空港出発客を対象とした満足度調査の結果を踏まえ、一層の利便性向上を図るなど、多角的な取り組みを進めようとしていることが分かる。
 一方で今回の次期ビジョン案を作成するに当たり、材料の一つとした満足度調査結果の自由回答には、気になる意見も含まれていた。「弘前、五所川原方面、新青森駅へのバスを充実させてほしい」「駐車場が狭く混雑している」「レストランが少ない」「待合スペースが足りない」などといったものだ。
 これらは利用客目線の指摘であり、青森空港の利便性を高めるためには見逃せない要素でもある。130万人達成のためには、新規路線就航などはっきり目に見える手段はもちろん、地道な目に見えにくい部分での取り組みも充実させる必要がある。

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陸自ヘリ墜落「実効ある再発防止策示せ」

2018/2/7 水曜日

 

 佐賀県神埼市で5日午後、陸上自衛隊のAH64D戦闘ヘリコプターが住宅に墜落。乗っていた隊員が死亡し、住宅2棟などを焼いたほか、住人の女児が軽傷を負った。昨年から自衛隊機事故が相次いでいるが、今度は一般市民を巻き込む重大事故。自衛隊への信頼は失われた。
 事故機は午後4時36分ごろ、所属する目達原駐屯地(佐賀県吉野ケ里町)を離陸し、2分後の交信を最後に墜落、炎上した。同県内の自動車学校が送迎車に搭載していたドライブレコーダーは、飛行中に突然、機首を下に向けてきりもみ回転するように落下する様子を撮影している。防衛省によると、管制官との交信時には、異常を示す内容はなかったといい、交信から墜落までの5分間に何らかのトラブルに見舞われたとみられる。
 事故機は定期整備と「メインローターヘッド」と呼ばれる4枚の回転翼をつなぐ部品の交換を終えての点検飛行中だった。陸自と佐賀県警の現場検証では、広範囲にわたってヘリの部品が散乱。この中には回転翼の一部とみられるものもあった。
 通常は飛行中の機体に不具合が生じた際、人命に影響が及ばない場所への着陸を試みるが、今回の事故では回転翼を含む部品を落下させながら民家に向かって墜落したとみられる。自衛隊関係者は「機体を制御できなかったり、住宅地を回避する間がなかったりしたのではないか」と指摘する。ならば、直前の点検整備や部品交換作業、交換部品など、トラブルの要因が離陸前に生じていたことも疑われる。
 防衛省は同型機12機の飛行停止と、自衛隊所有の全ヘリの点検整備を実施している。点検や整備は当然、必要ではあるが、点検整備直後の事故原因が明らかになる前に行う点検と整備には、本当に大丈夫なのかと疑問を抱いてしまう。事故機も地上で問題がないと判断したから、点検飛行に臨んだはずである。それなのに事故は起き、何の落ち度もない住民から住まいを奪い、女児に軽傷を負わせ、隊員の貴い命を失った。
 安倍晋三首相は6日の衆院予算委員会で陳謝し「原因究明と再発防止に全力を挙げる」と述べた。「原因究明」「再発防止」は、こうした事故があると、責任者が必ず口にする言葉である。人為的ミスなど事故により原因が異なったとしても、自衛隊機事故が後を絶たないのは、事故のたびに徹底してきたはずの再発防止策が不十分であることの表れと言っていい。
 国民を守るための自衛隊機が、何らかの要因で国民の命と財産を奪う“凶器”になり得ることを示した。防衛省、自衛隊は駐屯地や飛行ルートの周辺住民はもちろん、全国民の不安を拭い去るよう、事態を深刻に捉え、今度こそ実効ある再発防止策を講じなければならない。

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五農高の挑戦「高校教育の可能性広がる」

2018/2/3 土曜日

 

 五所川原農林高校が、2020年の東京五輪・パラリンピックの選手村で消費される食材や施設建設に使う資材に生徒らが栽培、育成した農産物や木材を活用してもらおうと、「五農オリンピック委員会(GOC)」を設立した。五輪という世界最大のスポーツの祭典に出場する選手が県産食材や木材に力を得て、われわれを魅了する好試合や好記録を連発する。そんな大きな夢の実現に向けて取り組む生徒たちを県民の一人として応援していきたい。
 農林高校としての特色を生かした同校の活躍は近年、目を見張るものがある。同校が15年にリンゴ、16年にはコメで取得したグローバルGAPは、世界130カ国以上で実践されているGAP(適正農業規範)認証の世界標準で、農薬の使用法や土壌などの環境への配慮、労働環境など生産に関わるあらゆる工程を第三者が審査し、一定の基準に適合していることが必要とされる非常に厳格なものだ。
 日本での取得率はまだ低いが、同校は、生徒自身が書類手続きを行うなど努力を重ね、見事、認証を取得。認証審査を公開で行うなど人材育成面での貢献も評価され、グローバルGAP大賞を受賞している。
 同校はこうした取り組みをさらに進め、適切な森林管理が行われているかどうかを評価する国際的な森林認証「FSC認証」取得にも乗り出した。
 取得に際しては、認証を行う第三者機関のFSC(森林管理協議会)が定めた10の規定と70の原則などの条件があるが見事、この審査もクリアし、国内初の高校生による取得事例となった。
 GOCの設立は、これまでの取り組みの、いわば集大成に当たるものだろう。五輪は選手村で膨大な食材が必要となるし、施設建設などで木材も必要となる。東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会は、農水畜産物や木材調達に向け自然や労働環境などに影響が及ばない持続可能性に配慮した一定の基準を設けているが、グローバルGAPやFSC認証を取得している同校は、この基準を満たしているという。農産物であれ、木材であれ、同校の各種認証制度取得に裏打ちされた、確かな品質は、東京五輪での採用に向けて強力な武器となるだろう。
 同校GOCは、今後提供できる品目を増やすため、他の農産物でのグローバルGAP取得を目指すほか、リンゴの夏季提供へ向けた保存方法の考案、サプライヤーへの売り込みなどを行っていくという。
 国際的な認証制度の取得や世界最大のスポーツの祭典への挑戦は、同校生徒たちにとても大きな知識と経験をもたらすだろう。本県における高校教育の幅と奥行きを広げる可能性を感じる同校の取り組みに今後も注目していきたい。

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仮想通貨「利用者保護の姿勢しっかりと」

2018/2/2 金曜日

 

 仮想通貨取引所大手のコインチェックから、約580億円分の仮想通貨「NEM(ネム)」が不正アクセスにより流出した問題は、金融庁が同社に対し改正資金決済法に基づく業務改善命令を出し、警視庁も不正アクセス禁止法違反などの疑いで捜査に乗り出す事態となった。
 仮想通貨をめぐるトラブルの被害額としては、ビットコイン取引所のマウントゴックスが消失させた約470億円を上回る過去最大規模。不正流出が始まってから同社が事態を把握するまで半日近くかかっていた。被害に遇った利用客に日本円で補償する方針を示しているが、その原資は確認されていない。
 同社社長は、セキュリティー対策について「最大限、顧客保護に取り組んできた」と釈明していた。だが、その実態は利用者保護を軽視していたとのそしりを免れまい。
 顧客資産は通常、その大部分がインターネットと接続していないコンピューターなどで管理されるが、同社はその全てを常時ネットに接続していた。ネットに接続しない管理システムは技術的に難しいといい、開発に着手していたが間に合わなかったという。取引時に複数の電子署名が必要な国際団体推奨の安全対策「マルチシグ」も導入していなかった。利用客の資産を扱う「金融業」としての姿勢が問われる。
 同社は2012年に設立。仮想通貨取引所には17年に登録制が導入され、現在は登録審査中の「みなし業者」だった。登録業者と同様の法規制を受けるが、セキュリティー対策を含めて“お墨付き”を得ないまま営業していた形であり、違和感を覚える。
 専門家は、今回の問題を受けて、仮想通貨全体の信頼性が疑われたり否定されたりする事態を懸念する。コインチェックの場合は、その原因がセキュリティー対策の甘さにあり、問題の次元が違うためだ。
 しかし不正アクセス技術の高度化とセキュリティー対策技術の進歩はいたちごっこのような関係にある。仮想通貨取引所は、常に不正アクセスに脅かされるリスクにさらされている。絶えず安全技術対策の向上が求められている状態で、不安は消えない。世界的にみると、仮想通貨をめぐっては規制強化の流れが強まりつつあるという。
 仮想通貨は多種多様。例えばマルチシグが技術的に適用できない種類もあり、一律の規制は難しいのが実情という。仮想通貨全体の信頼確保に向けて、ある程度の技術的規格の共通化が必要ではないか。業界団体による自主ルール作りを含めた対応が必要だが、金融庁によるシステムの監視強化も不可欠だろう。事業者によるリスクの十分な説明、利用者にはリスクを認識した上で慎重な対応が求められることはもちろんである。

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17年求人が過去最高「深刻化する人手不足が課題だ」

2018/2/1 木曜日

 

 青森労働局のまとめによると、本県の2017年平均の有効求人倍率(原数値)は前年を0・16ポイント上回る1・24倍で、1963年の統計開始以来、最高となった。
 過去最高の更新は5年連続となる。有効求人数は前年比7・9%増の3万292人で、初の3万人台となった。新規求人数は同6・4%増の1万1472人、新規求人倍率は同0・20ポイント増の1・71倍で、ともに過去最高だった。
 1年間合計の新規求人数を産業別に見ると、医療・福祉が同2029人増の3万78人で最多となり、高齢化に伴う福祉施設の増加や、未充足による求人の更新が積み重なった格好だ。
 一方で、有効求職者数は同5・5%減の2万4464人で過去最少となっている。景気回復に伴う求人数の増加と人口減少による求職者の減少が重なり、有効求人倍率の上昇につながっている。特に若年層の人口減は全国的に著しく、大学生の新卒採用は今後も「売り手市場」が続くと見込まれる。
 そうなると懸念されるのが現場の人手不足である。厚生労働省は「雇用情勢は着実に改善が進んでいる」としているが、業種によっては人手不足が深刻化しており、賃金水準が低い介護の現場やサービス業などは全国的に働き手の確保が難しくなっている。
 「人手不足が過重労働につながり、さらなる人手不足を生む悪循環に陥っている」(業界関係者)との声もあり、こうした状況は県内企業も例外ではない。
 総務省が発表した12月の完全失業者数によると、より条件の良い仕事を求める自発的な離職者が4万人増加した。賃金や勤務形態、仕事内容といった労働条件を選ぶ傾向が今後顕著になっていくことが予想され、そうなると県内の労働力が条件の良い首都圏に一層流出する懸念もある。
 人口減少時代に突入した日本では今後も総じて求職者の大幅な増加は望みにくいだろう。充足対策として企業は働き方改革の推進が求められることになる。また、女性や高齢者ら労働力の掘り起こしに努める必要がある。
 働き方改革の推進といっても、特に中小・零細企業にとっては難しい課題だろう。それでも少しずつ、できるところから取り組んでいくことだ。企業として求職者に何をアピールできるかという課題は、企業の魅力をどうアピールするかということでもある。
 「働きやすい職場づくり」に、それぞれの立場から努める必要がある。同時に、多様な人材を受け入れ、生産性向上につなげられる工夫も求められるだろう。受け皿が広がる一方で、若者と企業のミスマッチも依然として大きな課題となっており、双方が解消に向けて努力する必要がある。

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