社 説

 

AIで津軽弁文字化「実用化へ今後の研究に期待」

2018/2/22 木曜日

 

 弘前大学と東北電力は共同研究で、AI(人工知能)を活用して津軽弁の音声データを文字化することに成功した。
 東北電力のコールセンターが保有する通話音声データを、AIを介して理解可能なテキストに再構築できるかを検証してきた結果、繰り返し学習させることで精度が向上し、文字化が可能になった。
 自動要約はいまだに困難で、現時点ではハードルが高いようだが、今後はさらに一歩踏み込み、津軽弁の音声データを標準語のテキストに変換することを目指している。
 津軽地域においては、さまざな場面において、津軽弁が理解されにくくコミュニケーションに難しさを感じたという話をよく耳にする。今回の研究成果が実用化につながれば、こうした悩みを解消する一助となることだろう。今後の行方に期待したい。
 共同研究は昨年8月から始まった。背景として、弘大は附属病院などで医療・看護分野の県外出身者が言葉の面で地元患者とのコミュニケーションや対話記録を取る際に苦労するという現状がある。東北電力は、日々膨大な問い合わせが寄せられ、繁忙期にはつながりにくくもなるコールセンターで、オペレーターが方言による問い合わせの内容を理解するのに時間を要することがあり、通話時間の短縮が課題となっている。
 一般的な音声認識は標準語を基準としているため、方言で読み込ませようとすると誤変換が多く発生するが、これを改善して読み込ませるのが一つの狙いだ。
 今回は、弘大が、東北電力のコールセンターで受け付けた860時間分の通話データの提供を受けてテキスト化し、変換率、自動要約、重要キーワードの抽出などについて検証。東京都のIT企業に業務委託してAIを活用した音声認識のデータ算出などを行ってきた。研究においては、鯵ケ沢町民の協力を得て津軽弁のサンプルを録音した。
 音声データを文字化する中で、やはり当初は誤変換が多かったが、間違った部分を修正し、津軽弁特有の表現をAIに繰り返し学習させていくうちに津軽弁認識率が約94%までに精度が向上したという。まずは文字化実現にこぎ着けたことは大きな成果といえる。
 津軽弁といっても、地域によって特徴があり、ひとくくりにできないところが方言の難しさでもあるだろう。それだけに根気強くさらに研究を前進させ、精度を高めてもらいたい。
 現時点で津軽弁の自動要約はハードルが高いことが分かっており、当面は津軽弁を標準語にテキスト変換することを大きな目標に据えている。実用化にこぎ着けられれば、さまざまな分野において貢献できるのは間違いない。大学と民間企業の共同研究としても注目が集まるだけに、今後の進展に期待したい。

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1票の格差「与野党超え真摯な議論を」

2018/2/21 水曜日

 

 参院選挙区の「1票の格差」是正で導入された合区を解消するため、自民党憲法改正推進本部が各都道府県から最低1人を選出できるようにする憲法改正条文案を了承した。他の政党や識者の一部は「法の下の平等」を定めた憲法14条に相反すると批判するが、最も大切なことは国会での真摯(しんし)な議論であり、議論を通じた国民の関心の高まりだろう。
 そもそも「1票の格差」は首都圏への人口集中と地方の人口減少によって生じており、時代の変遷とともに社会構造が変化することは当然だろう。
 ただ、人口比率で議席を配分する制度を改革しない限り、人口減少に歯止めがかからない地方の多くは議席ゼロとなりかねない。これを解消するためには、現行の都道府県や市区町村といった行政区分を見直し、道州制を導入するといった大きな変更が必要になる。
 さらに国会議員の数が適正なのか、衆院と参院の役割がこのままでいいのか、国会改革の議論も欠かせない。
 つまり「1票の格差」をめぐる議論はこの国のありようも問う、私たち国民に密接な問題であり、早急に議論を始めなければならない課題なのだ。
 だからこそ、国会は自民党の憲法改正条文案を議論のきっかけとすべきではないか。
 自民案は、衆院も含め選挙区を画定する際は「人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案」するとの文言も盛り込んだ。
 これは格差是正措置を講じても、県や市町村単位の選挙区を維持しやすくする狙いがある。同党の県選出衆院議員は「地方の民意が確保されることを意図しており、選挙区は県や市町村の枠組みが基本であることを明確にしたもの」と解説する。
 これに対し、野党や識者は、地方に強い地盤を持つ自民党が選挙を有利に戦うための方策と批判、安倍晋三首相が憲法9条改正に進むための口実の一つだと指摘する声もある。
 批判はしても議論はしない、これでは何の解決にもならない。国会の場で各党が識者も交えて議論を重ね、憲法を変えるのか、または道州制なり行政の仕組みを変えるのかを示した上で憲法を変えないのか、国民に判断を委ねるべきだ。
 昨年の衆院の区割り変更をめぐっては、本県でも新たな選挙区に編入された地域住民から、候補者になじみがない、これまで支持してきた候補がおらず、投票には行かないといった不満と不信の声が少なくなかった。
 以前にも指摘したが、度重なる選挙区の変更や、地域のつながりを分断されるといった影響を受けるのは国民である。メディアにも国民の関心を高める役割がある。しかし国会が国民不在の党利党略で、議論すら避けることは許されない。

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高齢者の死亡事故「努力を積み重ね、減少目指せ」

2018/2/20 火曜日

 

 警察庁は2017年中、国内で発生した交通死亡事故などの特徴をまとめた。それによると、死者数は前年比210人減の3694人で、同庁が保有する1948年以降の統計では最少となった。しかし、事故死者に占める65歳以上の高齢者の割合は54・7%(2020人)となっており、前年に次ぎ依然高い水準にある。全体に犠牲者が少なくなったとはいえ、まだまだ対策が必要な状況だ。関係機関一丸となった取り組みやドライバー、歩行者とも安全を意識した運転、運転免許証の自主返納促進といった対策を心掛けてほしい。
 犠牲となった高齢者の中でも、75歳以上のドライバーによる事故は前年比41件減の418件、死亡事故全体に占める割合は12・9%で0・6ポイント減少した。しかし、運転免許保有者10万人当たりの件数で見ると、75歳未満の2倍以上の7・7件となり、やはり高水準。昨年3月、75歳以上の認知症対策を強化した改正道路交通法が施行されたものの、増加傾向を打ち消すに至っていないのが現状だ。
 何が状況の好転を阻害しているのか。418件を類型別に見た場合、人的要因としてハンドルなどの「操作不能」が最多の130件(31・1%)を占める。このうち、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故は26件(6・2%)を占め、0・8%だった75歳未満の8倍近かった。さらには、75歳以上を対象とする運転免許更新時などの検査で「認知症の恐れ」と判定された人は5万4072人(2・8%)、「認知機能が低下の恐れ」が52万5990人(26・8%)であり、死亡事故を起こした75歳以上の中で49%を占める結果となった。警察庁はこうした結果を受けて「認知機能の低下が死亡事故の発生に影響を及ぼしている」と推察している。
 高齢者の方々が「自分はまだまだ大丈夫」「認知症にはなっていない」と言っていても、周囲の家族らが普段の行動などを見て、危ないと感じた時点で運転の自制や免許証返納を促し、自覚してもらえるような環境づくりが必要だ。
 本県ではどうだろうか。昨年1年間の事故発生件数は3258件(前年比482件減)で死者数42人(同11人減)、負傷者数4022人(同517人減)。発生件数と負傷者数は前年比で各約1割、死者数は約2割の減少となった。昨年1月の死者数が前年比4人増の8人でスタートしたことを考えれば評価すべき数字だ。死者のうち65歳以上は前年より4人減ったが、23人と半数強を占めた。
 県警本部は昨年9月から3カ月間、「交通死亡事故抑止対策『秋の陣』3カ月作戦」を県下一斉に展開、関係者の地道な努力もあり、昨秋以降12月まで事故死者はあったが前年比では減少のまま推移した。高齢者の死亡事故も努力の積み重ねでさらに減少させたい。

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高校の新指導要領案「授業改善の鍵握る大学入試」

2018/2/17 土曜日

 

 文部科学省が、2022年度から順次実施する高校の学習指導要領の改定案を公表した。
 日本と世界の近現代史を関連付けて学ぶ「歴史総合」(必修)、環境や防災などを含めた現代の諸課題を学ぶ「地理総合」(同)といった、従来の枠組みを超えた新科目が目立つ。将来の社会参画を意識し、幅広い視野を備えた社会人として独り立ちできる人材の育成を目指した設定であろう。
 新科目の中でも“目玉”とされる「公共」(同)は、その一つの象徴だろう。廃止される現行の「現代社会」と関連する内容は多いが、社会参画に必要な知識や態度を身に付けさせることを目指すという。選挙権年齢を18歳以上に引き下げたことを受けた主権者教育の必要性が背景にある。
 改定案には、討論や発表などを通じて自ら問題を見つけて解決する力を育む「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)の全教科導入を盛り込み、授業改善を求めた。先行する小中学校の学習指導要領改定と同様である。知識や一夜漬けの暗記だけでは対応し
得ない本当の理解につなげ、社会で生きる力を育む手法として有効な方針だろう。
 ただ、卒業に必要な単位数は現行と同じ74。教育内容は削減しないといい、限られた授業時間の中でさらにアクティブ・ラーニングを導入できるのか、疑問は残る。授業が詰め込み型に陥ったり、生徒の理解が不十分なまま終わったりしてはまさしく画餅である。現場の負担増は容易に推察できる。導入に向けた現場の環境整備と支援が不可欠だろう。
 また、高校の指導要領改定が狙い通り授業改善につながるか否かは、大学側の対応も注目される。大学入試の在り方が高校、特に進学校の教育にも影響するからだ。
 中央教育審議会は小中学校を含む今回の指導要領改定に関する16年の答申で、改定と大学入試改革について「一体的に行うことが成功の鍵」と指摘していた。
 実際、文科省は大学入試センター試験改革で、全問マークシート式の現行方式に代えて20年度から始める「大学入学共通テスト」では、国語と数学に記述式問題を導入する。知識・技能だけでなく、思考力や判断力、表現力も評価の対象とする方針だからだ。
 一方、入試改革を検討した文科省の有識者会議は16年の最終報告で、大学入試の傾向について「多くの大学では知識の暗記などの評価に偏りがち」と指摘していた。各大学が指摘のような知識偏重型の個別入試を続ければ、高校の授業改善も進むまい。高校での学習成果が適切に評価される大学入試が望まれよう。ただ、その在り方の解答は容易には出まい。知恵の絞りどころと言えそうだ。

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雪燈籠まつり「新たな試みでさらに成長を」

2018/2/16 金曜日

 

 今年の弘前城雪燈籠まつりは4日間の会期を終え、閉幕した。会期中の人出は25万人(まつり本部発表)。祭りの人出の集計方法を見直した2014年以降では過去最高の人出となったそうで、冬の弘前を代表する祭りとして人気を博しているのが分かる。
 これまでの人出は会期に違いがあるので単純には比較できないものの、14年が20万人、15年が22万人、16・17年が23万人と、ここ数年はおおむね20万人台で推移している。冬の屋外イベントだけに天候に左右される要素が多い祭りだと思うが、ここ数年は安定した人出を記録しているのが分かる。今年も、期間中の天候は決して良いものではなかった。
 特に10日は日中から雨が降り、大雪像や雪燈籠にとっては最悪のコンディションと言ってよかった。それでも出足は予想したほど鈍らず、人出は会期中最多の9万人を記録した。翌11日も8万人、最終日の12日は4万人を記録した。この3日間は、ちょうど3連休となったため、祭り期間と休日が重なったことが、祭りへの誘客につながり、過去最高の人出に至ったと想像できる。
 こうした日程などの好条件に加え、イベント、展示物の充実も人出の増加に寄与したと考えられる。今回、メインの大雪像は弘前市役所本庁舎(前川本館・新館)で、“モダニズム建築の旗手”と称される建築家・前川國男の作。市内には前川建築が市役所を含めて8棟あるが、大雪像のテーマに採用されるのは初で、会期中は前川建築のPRを含め、弘前の四季などを取り込んだプロジェクションマッピングも毎日上映した。10日夜には花火も打ち上げられ、大雪像とプロジェクションマッピング、花火の競演を楽しむことができた。
 弘前公園外堀で昨年12月下旬から行われている新企画「冬に咲くさくら」のライトアップも集客効果が高かっただろう。雪が積もった桜の枝や外堀が薄紅色に照らされ、まるで春の光景のように浮かび上がり、祭りの盛り上げや誘客につながった。
 雪燈籠まつりには近年、目玉の大雪像や雪燈籠の他、新しいイベントや演出方法が、ふんだんに盛り込まれるようになった。市民から親しまれる祭りも回を重ねれば、どうしても飽きが生じる。新しい発想でこうした仕掛けを施していけば、マンネリを打破し、さらに人出の増加が見込まれる祭りに進化させることができるだろう。
 本県における訪日外国人(インバウンド)観光が好調だが、要因の一つが本県の冬に魅力を感じる外国人旅行客が多いことが挙げられる。弘前の冬を代表する雪燈籠まつりもさらにインバウンド対策を意識し、市民に親しまれるとともに、より広域な人にもアピールできる祭りへと成長させたい。

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