社 説

 

東京五輪まで2年「大会成功へ、本県の役割示せ」

2018/7/26 木曜日

 

 夏季では56年ぶりの日本開催となるスポーツの祭典、2020年東京五輪・パラリンピック開催まで2年を切った。メイン会場となる新国立競技場は既に地上工事が4割程度まで進むなど着々と準備が整いつつあるほか、史上最多となる33競技の日程やチケット価格の概要も決まり、その輪郭が徐々に見えてきている。本県出身やそのゆかりの選手たちも出場することが見込まれる大会であり、本県も含め全国一丸となって、開催に向けて盛り上げ、成功に導いていくことを期待したい。
 五輪・パラリンピックの東京開催が決まったのは2013年9月のこと。テレビに映し出された、関係者が歓喜に沸いたあの感激の様子は多くの国民の胸に刻まれた。それから既に約5年が経過したが、この間にメイン会場デザインの白紙化と新デザインの決定、エンブレムの変更問題、新設会場の建設費が当初予算を大幅に上回るなど、一時はマイナスイメージが先行するさまざまな問題があった。しかし、大会を2年後に控え、ようやく現在の、この段階にまで至ることができたのは関係者をはじめ、半世紀以上ぶりとなる日本での大会を成功させたいとの国民の思いがあったからではないだろうか。
 新設する競技会場の整備は一部で工期の遅れがある以外は、おおむね順調に進んでいるという。さらには先ごろ、両大会マスコットの名前が決まった。五輪が「ミライトワ」、パラリンピックが「ソメイティ」となり、徐々に両大会開催に向けた機運と関心が高まっている。
 首都圏を主会場に開催する世界大会とはいえ、本県ができる役割は何かということについても考えていきたい。五所川原農林高校などが取得した農産物の国際認証規格「グローバルGAP」の食品を提供し本県をアピールすることはもちろんのこと、世界各国から訪れる選手たちの合宿受け入れ、同じく海外から大会を観戦に訪れる一般客は試合のみならず、本県をはじめ国内の観光名所を訪れるケースが多々あるだろう。幸い本県には観光も食も多数の素材を抱えている。自信を持って本県観光や食材を海外選手や観光客に紹介できる態勢を整えていってもらいたい。
 08年北京五輪では弘前市出身の齋藤春香監督が率いる女子ソフトボール日本代表が金メダルに輝いた。16年リオデジャネイロ五輪では、本県ゆかりの水谷隼選手(静岡県出身)が卓球男子団体で銀メダル獲得の立役者となり、同シングルスでも銅メダル。福原愛選手(宮城県出身)は銅メダルとなった卓球女子団体のメンバーであり、大いに本県の名をアピールした。そうした五輪・パラリンピックに出場できる選手たちを育成できる環境づくりにも、東京大会の後を見据え、さらに力を入れてほしいと考える。

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夏の交通安全運動「ルール守り行楽期の事故防げ」

2018/7/25 水曜日

 

 夏の交通安全県民運動が展開中だ。県内各地で交通事故防止に向けた活動が行われており、31日までの期間中、関係者が連携して交通ルールの順守と正しいマナーの実践を呼び掛ける。
 この時期は、夏休みに入った子どもたちが交通事故の被害に遭いやすい傾向にある。また、レジャーや夏祭りの機会が増え、それに伴う飲酒・暴走運転の増加も懸念される。
 21日にスタートした同運動は、子どもと高齢者の安全な通行の確保と高齢運転者の交通事故防止、自転車の安全利用の推進、すべての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底、飲酒・暴走運転の根絶―を運動の重点としている。
 夏に増える交通事故の一つに、中学生以下の子どもの死傷者が多いという傾向が挙げられる。同運動実施要綱によると、2017年までの過去5年間の子どもの死傷者は8月が最多。65歳以上の高齢者は7月以降の下半期に多い。
 自転車利用中の死傷者が7月に最多という傾向も見られる。中でも高校生以下が多く、夏休み中の児童生徒らの行動範囲が広がり、事故に遭うケースが増えるものとみられる。
 子どもは遊びに夢中になるあまり、安全を確認しないまま道路上に飛び出すこともある。ドライバーは、付近を通る際に速度を落とすなどして安全確保への配慮を心掛けなければならない。県内では運動を通じて子どもたちに事故の危険性を認識させる活動も行われており、こうした教育にも積極的に取り組みたい。
 自転車は「車」の仲間であるということを念頭に安全利用を推進する必要もある。「自転車安全利用五則」に盛り込まれたルールやマナーの周知徹底に努め、スマートフォンを使用しながらの運転、2人乗りなどの危険性も認識してもらいたい。
 小学生や幼児の場合は、保護者らが運転する自動車乗車中に事故に遭うケースも少なくない。昨年の調査では県内の運転席、助手席のシートベルト着用率は100%に近づいてきているものの後部座席での着用率は依然低く、チャイルドシート使用率に至っては全国平均を下回り、東北で最下位だった。シートベルトやチャイルドシートは「命綱」であるという認識を新たに、正しい着用を心掛ける必要がある。
 飲酒運転も依然として後を絶たない。夏は海や山でのレジャー、祭りなどで飲酒する機会が増えるが、酒を飲んだ場合は絶対にハンドルを握ってはならない。飲酒運転は重大な交通事故を引き起こす可能性が極めて高い危険な「犯罪」であるということを認識し根絶を図りたい。
 夏の行楽期は家族で長距離ドライブをする機会も増えるが、無理せず安全な運転・走行を心掛けてほしい。

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国会閉幕「否めない野党の力不足」

2018/7/24 火曜日

 

 第196通常国会が閉幕した。安倍晋三首相が最重視した「働き方改革」関連法をはじめ、米国を除く11カ国による環太平洋連携協定の新協定「TPP11」関連法、カジノを中核とする統合型リゾート(IR)実施法も成立させ、政権側は成果を強調するが、「森友・加計学園」問題など政権を揺るがす不祥事の方が印象に残った人は多いだろう。
 今年3月上旬、2018年度予算案が衆院を通過した直後、首相夫人も絡んだ森友学園への国有地売却をめぐり、財務省の公文書改ざん疑惑が浮上し、同省は改ざんを認めるに至った。その後、「存在しない」としていた自衛隊の日報が見つかり、首相秘書官が加計学園獣医学部新設を「首相案件」と述べたとする文書も明るみに出た。
 前財務事務次官のセクハラ問題も発生。財務省の関係した問題が続出し、一時は政府・与党内で、政権の「骨格」である麻生太郎副総理兼財務相の辞任観測も流れた。一連の問題では首相に対する周囲の「忖度(そんたく)」が疑われ、長期政権のひずみが指摘された。首相は「うみを出し切る」と力説したものの、国会では論点をずらす答弁が目立った。
 与野党対決となった働き方法やカジノ法は延長国会で成立したが、与党の強引な採決は批判を呼んだ。カジノ法の衆院審議は18時間余り。首相も委員会に出席する「重要広範議案」の基準とされる30時間に遠く及ばなかった。参院定数6増の改正公職選挙法は衆参両院計9時間15分の質疑で採決された。
 「憲政史上最悪の国会」。今月20日の内閣不信任決議案の趣旨弁明で、立憲民主党の枝野幸男代表は今国会をこう断じた。国民民主党の玉木雄一郎共同代表は「権力の横暴が際立った」などと安倍政権の国会運営を批判し、共産党の志位和夫委員長は「改ざん、隠蔽(いんぺい)、虚偽答弁。かつてない異常国会だった」と総括した。
 与野党対立はかつてなく深まったが、小党分立で低迷する野党の力不足も改めて露呈した。玉木氏は「これだけの問題が発生していて一人も大臣のクビを取れなかったことは、批判として甘んじて受けなければならない」と自戒。自由党の小沢一郎代表は「首相を退陣に追い込めなかった野党の力不足は否めない」と率直に語った。
 民主党政権が崩壊してから約5年半となるが、野党の再編が繰り返され、小党分立状態が続いている。自民党に対抗し得る健全な野党の存在を求める声は聞かれるが、どういった形となるのが望ましいのか、野党も国民も具体像を見いだせずにいるのではないか。来年春には統一地方選、夏には参院選が控え、野党の再編や連携はこれから本格化していくことだろう。そうした中で、健全な野党の姿が見えてくるのだろうか。

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世界文化遺産「縄文遺跡群登録へ万策を」

2018/7/21 土曜日

 

 文化審議会が2020年の世界文化遺産登録を目指す候補に、本県の国特別史跡・三内丸山遺跡などで構成する「北海道・北東北の縄文遺跡群」の推薦を決めた。09年の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産暫定一覧表掲載から、6度目の挑戦で実を結んだ。ただ、あくまで「候補」になっただけである。登録というゴールまで、越えなければならないハードルが続く。
 これまでの歩みも平たんな道ではなかった。本県と北海道、秋田、岩手両県にある17の資産で構成されるが、文化庁からは4道県に地域を限定する理由を求められた。また、一部資産は保全面での問題が指摘された。
 これら課題に対し、1万年ほど続いた縄文時代を集落の変遷などで切れ目なく説明できるのは、国内では4道県のエリアだけと強調。保全面の問題が指摘された資産は除外し、関連資産に位置付けた。並行して地元の機運を高める取り組みも展開。昨年は三内丸山遺跡の大型竪穴住居で「考古学の授業を聴講する人数」のギネス世界記録を樹立した。
 文化審は今回、「金を中心とする佐渡鉱山の遺跡群」(新潟県)とともに審査。縄文遺跡群を選定した理由を「関係自治体が推薦書案の磨き上げに努めた結果、課題はあるがゴールに一番近い」「ユネスコの評価基準を説明するに当たり、物証や真実性、緩衝地帯が保証されている」と説明した。これまでの関係機関などの努力が評価されたと言える。
 ただ、北東アジアの他文化と比較した場合の優位性、構成遺跡の普遍的価値については抜本的見直しにも言及。ユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)から厳しい判断が示されるケースがあり、推薦書の精査を重ね、ユネスコ、イコモスの指摘を反映させる必要があるとした。
 しかも、ユネスコは20年から、各国の推薦枠を一つに制限したため、世界自然遺産への推薦をいったん取り下げた「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄両県)と、今年度の1枠を争うことになる。今後、政府内での調整、閣議了解を経て、来年2月1日までに推薦書をユネスコに提出するという。ただ「いつ、どう決めるかは未定」(文化庁)といい、いつまでも推薦候補選定を喜んでいるわけにはいかない。次のハードルは短期決戦の一騎打ちである。推薦を勝ち取るためには、「奄美―」はもちろん、誰もが納得できるよう“完全武装”する必要がある。
 推薦候補選定を発表した文化庁の会見は、「奄美―」が選ばれた場合に来年度の推薦になるのかなどの質問に「まったく決まっていない」を繰り返すなど、不透明感が際立つ内容だった。今年度を逃せば後がないとの危機感を持って臨まねばならぬ関係機関の覚悟が試される。

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リンゴ黒星病「産地一丸で適切な対策を」

2018/7/20 金曜日

 

 津軽地方でリンゴの黒星病が多発している。生産者団体の県りんご協会は、菌密度を低下させるために「産地を挙げた取り組みが必要」とし、生産者に被害果・被害葉の摘み取りと適切な処理、薬剤予防の徹底を呼び掛けている。19日には弘前市内で「県りんご黒星病危機突破大会」を開いて、生産者や関係機関・団体が防除に対する意識統一を図り、それぞれが連携して対策を講じることを決めた。良品生産でブランドイメージを確立している本県産リンゴ。そのブランド力を守るため、産地一丸となった取り組みが求められている。
 黒星病は2年前の2016年産でも津軽地域で多発した。これまで黒星病には薬剤の「EBI剤」が治療や予防に効果があったが、同年の発生は、これらの薬剤が効かない耐性菌によるものとされ、EBI剤は17年産の防除暦から削除されている。
 現段階ではEBI剤に代わる“特効薬”がなく、菌密度をいかに抑えるかが被害拡大防止の鍵となる。予防効果のある薬剤の散布を徹底することや、できる限り被害果や被害葉を摘み取って適切に処理する「耕種的防除」での対処が主となるが、それだけに黒星病防除に対する適切な知識の普及が必要不可欠だ。
 同協会は今月2~4日の3日間、津軽地域20カ所で「りんご黒星病危機突破特別夜間講座」を開いた。黒星病に特化した講座を開くのは初めてという。時宜を得た対応と言えるだろう。
 黒星病は、一般的に気温が高くなると菌の活動が低下するとされており、夏場の果実感染はしないと認識されている。だが、菌密度が高い現状にあっては油断ができない。同協会は「秋までに菌密度を抑えることが重要」としている。生産者にとっては、今しばらく気の抜けない作業が続くが、夏場の園地管理の重要性がさらに増している状況を理解し、今後の作業を進めてもらえればと思う。
 ただ、耕種的防除での対応は、高齢化や慢性的な人手不足が指摘されるようになってきている本県のリンゴ生産現場にとって、大きな負担であることは想像に難くない。やはり効果のある新薬の開発が望まれる。17日には櫻田宏弘前市長ら同地方のリンゴ産地の市町村長が農林水産省を訪れ、防除効果が高く安価な農薬の早期実用化や、人手不足に苦しむ生産現場への支援などを求めた。対応した上月良祐大臣政務官は「農薬についてはメーカーの事情もあるが最大限、急ぎたい。それまでは耕種的防除を地道にやるしかない。ただ、日本のリンゴにとって青森は大産地であり何とかしなければ」と理解を示したという。
 新薬開発や広域・広範な生産者支援は、産地の努力だけでは十分な対応が難しい。日本一のリンゴ産地を守るために国へは積極的な支援を望みたい。

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