社 説

 

警察官コロナ感染「対岸の火事と思わず行動を」

2020/7/18 土曜日

 

 青森市が16日に発表した新型コロナウイルス感染症の新たな感染者は、県警本部に勤務する20代男性警察官だったことが明らかになった。10日に感染が判明した20代の派遣型風俗業女性の利用客であり、市保健所が14日に連絡を取った際には「該当者(利用客)ではない」と虚偽の返答までしていた。その場逃れのうその結果、濃厚接触者が26人にまで達し、職場と訪問先に多大な負担を強いたことに猛省を促したい。
 報道によると、男性は災害時の救助活動や要人警護などに当たる警備部に所属。8日に女性と接触した後の9、10日は県警本部で勤務。休暇を経て14、15日には十和田警察署に泊まりがけで出張し、初日には十和田市の居酒屋とスナックで飲食していた。しかし、出張前の12日から症状が出始め、帰宅した15日夜には37度台の発熱、全身倦怠(けんたい)感などを訴え、医療機関での抗原検査の結果、陽性と判明した。現在、市内の感染症指定医療機関に入院している。濃厚接触者に対しては、今後行政側がPCR検査などを進めていく方針だ。
 新型コロナ感染拡大防止のためマスク着用、「3密回避」が推奨されながらも全国的に感染者が増え続け、第2波の懸念もある状況だ。そうした中で違法ではないとはいえ、濃厚接触が不可避となる風俗を利用することは慎重を期すべきだったと思われる。しかも女性の利用客であったことを申し出ず、うそまでついていたことは非難を免れないだろう。申し出なかった理由も「(女性との)接触の経緯から、都合が悪くて言い出せなかった」というものだ。
 警察官であるという立場上、ばつが悪かった、というのは心情として理解できても理由にはならない。どのような身分や職業であれ、周囲への影響を考慮すれば、きちんと申告しなければならない。
 ただ、男性はまだ20代と若く、将来もある身。感染が疑われる状態であったにもかかわらず出張先に出向き、飲食店に出入りした自らの行動や、問い合わせに対して虚偽の回答をするという軽率な判断がどのような結果をもたらしたかを考え、猛省した上で、今後の一社会人としての生活を送ってほしい。
 女性と接触した利用客25人中、いまだ多くと連絡が取れていない状況にある。経緯上、「都合が悪い」という思いもあるのだろうが、新型コロナが広がるのではないかと県民が大きな不安を抱えている状況にある。小野寺晃彦青森市長は「自らの体、そして家族を守るために連絡してほしい」と呼び掛けている。まだ連絡を取っていない利用客はこの声に応じてもらいたい。県民も「対岸の火事」「自分だけは大丈夫」とは思わず、日常生活においていつ、どこに感染リスクがあるのかを常に考え、感染拡大防止に努めてもらいたい。

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GoTo東京除外「地方の声にもっと耳を傾けよ」

2020/7/17 金曜日

 

 東京都は16日、新型コロナウイルス新規感染者が、1日当たり過去最多の286人確認されたと発表。これを受け政府は旅行需要喚起策「Go To トラベル」キャンペーンから「東京都発着」を対象外としたが、開始は「22日」のまま。東京都が突出してはいるが、ほかにも緊急事態宣言解除後最多を更新した自治体がある。東京除外で地方の不安を取り除いたつもりなら、大きな間違いだ。
 小池百合子都知事は増加要因について、検査数が多いため、陽性と判明する確率が高くなったと説明した。新型コロナは感染しても症状がない人がいるという。検査数がもっと多ければ、陽性者はさらに増える可能性がある現状では、収束は見通せない。
 キャンペーン実施時期については、閣議決定した文書に「新型コロナ感染症の拡大が収束した後」と明記。15日の衆院予算委員会で野党から「収束したと判断したのか」と追及された西村康稔経済再生担当相は苦しい答弁に終始した。政府は16日の新型コロナウイルス感染症対策分科会に意見を求め、キャンペーン対象から東京都発着を除外。ただ開始は、感染防止策を求めた上で予定通りとした。
 宣言解除で都道府県境をまたぐ移動が可能になって以降、新規感染者は全国的に増加傾向にある。多くの国民はキャンペーン実施の前提だった「収束」を実感するどころか、「第2波」に戦々恐々としているのが現実。移動自粛ムードの薄れが影響しているようで、青森市で今月確認された2件の新規感染例も同様とみられる。
 新型コロナで大きく落ち込んだ地方経済にとって、キャンペーンは救世主となり得るもので、西村氏は16日の参院予算委で「地方には『ぜひ進めてほしい』という切実な声もある」と述べた。「進めてほしい」という声はあろうが、それは「22日開始」を含むのか。東京都を除外しても、都内で働く人の多い周辺県は対象のままである。さらにキャンペーンを活用しない都民の旅行や、道府県民の都内出入りは可能である。これらに対する地方の懸念は届いていないのか。
 弘前さくらまつりや青森ねぶた祭など、海外でも知名度が高く、経済効果の大きいイベントを中止してまで感染防止に取り組んできた本県でも、宮下宗一郎むつ市長が「キャンペーンで感染が拡大した場合は人災」と強く非難。櫻田宏弘前市長も「(首都圏からの来訪は)今の時点では遠慮してもらえれば」と述べ、比較的低リスクな北東北3県のマイクロツーリズムが適切との考えを示す。
 早期の経済立て直しが急務のはずの地方から相次ぐ疑問や批判を無視してまで、キャンペーンを急ぐ必要があるのか問いたい。新型コロナが収束し、感染におびえることなく、地方の良さを満喫できるキャンペーンであるべきだ。

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夏季県高校野球大会「コロナ禍に負けない熱戦を」

2020/7/16 木曜日

 

 新型コロナウイルスの影響で中止となった全国高校野球選手権大会青森大会に代わる「夏季県高校野球大会」が14日から県内各地で始まった。連合チームを含む計55校が参加。28日までの期間中、県内の五つの球場で熱戦を繰り広げる。
 新型コロナの影響がここまで長引くことになるとは、予想も付かないことだった。さまざまな社会活動や経済活動を阻害している今回のコロナ禍だが、子どもたちの学習環境にも深刻な影響を与えている。長期の休校を余儀なくされた子どもたちの学びの時間をどのように確保していくかは教育関係者にとっても頭の痛い問題だろうが、部活動も高校生活の締めくくりとなる大会が中止などの判断を余儀なくされたものが多い。
 高校スポーツの花形である硬式野球も残念ながら「夏の甲子園」の開催が見送られ、出場を目標としていた多くの高校球児が無念の思いをかみしめた。
 今大会は、夏の甲子園予選を兼ねた県大会の代替になるもので、優勝しても全国大会に出場できるものではないが、東北地区高校野球大会に出場できるため、高校球児の励みになるだろう。代替大会ということで、さまざまな制約があるが球児たちには、この「特別な夏」にこれまでの野球への思いを全力でぶつけてもらいたい。
 大会実施に当たって、県高校野球連盟は感染対策ガイドラインを作成し、関係者の健康管理の徹底などを呼び掛けてきた。大会も開会式は行わず、試合は原則無観客で、選手やマネジャーの保護者、最大100人程度までが条件付きで入場を認められているのみだ。試合中も大声を出しての応援などは行わず、観客席のスペースも広く取るように配慮。選手たちも円陣は組まない、ペットボトルの回し飲みなどはしない―など、さまざまな感染防止対策を施しての開催となった。
 コロナ対策下の異例の大会だが、温かい支援の手も差し伸べられた。青森銀行野球部有志と県高野連は、高校球児に甲子園球場と同じ土の上でプレーしてもらおうと、クラウドファンディングで土の購入費用を募り、見事目標を達成。甲子園の土は大会メイン会場の青森市営球場(ダイシンベースボールスタジアム)で使われており、試合をする球児たちにとってもひときわ印象深いものになっていることだろう。
 全国高校総体(インターハイ)、全国中学校体育大会も夏の甲子園同様、中止となったが、県内では競技ごとの代替大会や地区大会が開かれている。すべての競技で実施できないのは残念だが、少しでも多くの中学・高校生が日ごろの練習の成果を表す機会を得られていることに、安堵(あんど)の思いがある。長期化も懸念されるコロナ禍の中で、スポーツ教育をどのように進めるのか、この夏の各種大会から知見を得たい。

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旅行需要喚起策「移動制限しない根拠を示せ」

2020/7/15 水曜日

 

 政府が22日に始める国内旅行の需要喚起策「Go To トラベル」キャンペーンについて、新型コロナウイルス感染者が拡大傾向にある東京都などから各地に感染が広がることに、本県はじめ地方から懸念が出ている。政府はどういう感染状況になれば県をまたいでの移動を制限するのか、具体的な根拠を早急に示すべきだ。
 キャンペーンは新型コロナで打撃を受けた観光協業界を支援するため、当初8月上旬だった開始時期を前倒しし、夏休み時期に間に合わせる。
 旅行代金の半額分を1人1泊当たり2万円を上限に補助する。補助のうち7割が代金の割引、3割分は旅行先での買い物などに使えるクーポン。1泊2万円の旅行の場合、7000円の割り引きと3000円のクーポン発行が受けられる。利用回数に制限はない。
 ただ、東京都内では今月9日から4日連続で200人を超える感染者が確認され、その後も100人を超え続けており再び感染拡大傾向にある。小池百合子都知事は、感染者の増加傾向の背景に検査数が何倍にも増えているとする一方、都民には「他県への不要不急の外出遠慮」を求めた。
 これは段階的な社会・経済活動の再開を進める政府方針とは異なる。西村康稔経済再生担当相は小池氏に対し「市中感染が広がっているわけではない」として移動自粛の方針転換を促したが、都民の一部には「他県へ行っていいのか」との混乱が広がっている。
 問題は都と国のずれでは済まない。本県など地方では東京由来の感染者が目立っており、報道によれば、むつ市の宮下宗一郎市長は13日の会見で「キャンペーンで感染が拡大した場合は人災」などと強い懸念を示した。宮城県知事、福島県知事も14日、相次いでキャンペーンについて慎重な対応を求めた。
 理解してほしいのは、都民はいつ感染するか分からない恐怖と隣り合わせの生活を強いられており、大半は感染予防策を徹底していることだ。蒸し暑い梅雨の時期でもマスクをし、手洗いや消毒は習慣化している。公共交通機関では窓を開け、会食の機会も減らしている。
 大切な人を守るため、離れた家族や友人に会えない日々も続いている。先日、首都圏在住の本県出身者から、感染を拡大するわけにいかないから帰郷を我慢していると聞かされた。親族の納骨を延期してもらっているとの話もある。
 都民に広がる困惑も地方の懸念も、政府が県をまたいでの移動制限について方針を示さないことが背景にある。無症状や軽症を含む感染者の増加が注目を集めるが、新型コロナと付き合って経済活動を進める以上、病床の占有率が逼迫(ひっぱく)した地域は人の出入りを制限するといった、明確な指標を早急に示すべきだ。

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ねぷたへの思い「知恵と工夫で来夏につなごう」

2020/7/11 土曜日

 

 新型コロナウイルスの影響で弘前ねぷたまつり(8月1~7日)が中止となったことを受け、地元の有志が「新たな運行方法」を考え出したという。仮想上の弘前市内を練り歩くねぷたを動画投稿サイト「ユーチューブ」などで配信するという試み。コロナ禍の中、「密」を避けるためにオンラインを活用してさまざまな取り組みが行われているが、今回の企画もまた画期的なものだ。
 端末があれば、国内外を問わずどこでもねぷたの運行を見ることができる。視聴者が色を塗ったねぷたをリアルタイムで運行できるといった「双方向性」も注目される点だ。実際の祭りは開催されないが、例年とは異なる運行を楽しむことができる―と考えれば、気持ちも前向きになるのではないか。「ピンチをチャンスにしたい」と関係者は強調しており、その考えに賛同したい。
 津軽地方の各地で毎年夏に運行される「ねぷた・ねぶた」だが、それぞれに特徴がある。弘前市の場合、扇ねぷたが中心だが、他にも大きな特徴が挙げられる。市民が町内会単位でねぷたを制作し、運行を楽しむ点だ。もちろん、祭りとしても有名だが、市民たちにとっては自らが楽しむ「身近なねぷた」といったイメージがより強いのではないか。
 老若男女問わず運行に参加し、短い津軽の夏にあふれるエネルギーを爆発させている。祭り会期の1週間はもちろん、ねぷたの制作やその他の準備作業に共に汗を流すことで、町内会の絆を深めている。さらに言えば、幅広い年齢層が参加していることで、コミュニティーで暮らすために必要なことは何か―といったことまで年配者から若物へ伝えられているように思われる。
 多くの市民にとって、ねぷたは単なる風物詩にとどまるものではなく、文化であり生活の一部にもなっている。そのねぷたが今夏は運行されないとなれば、落胆するのも無理はない。だからこそ、町内の運行だけでも行うことはできないものか―といった声も上がっている。
 国内外を見渡せば、コロナ禍が収束の方向に向かっているとは言い難い。東京都では1日当たりの感染者数が増加しており、9、10日には青森市で感染者が新たに確認された。まだまだ感染防止策は徹底しなければならず、予断を許す状況ではない。
 例年の7月であれば、各町内会の小屋でねぷたが急ピッチで制作され、囃子(はやし)を練習する音も聞こえている。気持ちが「じゃわめぐ」時期だ。今年は「じゃわめぐ」思いを向ける先を見つけることがなかなか難しいが、知恵を絞って市民の思いに応えようとしている人たちがいる。長年受け継がれてきたねぷたの文化はコロナに負けることはないはずだ。知恵と工夫でねぷたへの熱い思いを来夏につなげたい。

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