社 説

 

就職戦線が本格化「県内企業は戦略的な採用を」

2021/6/3 木曜日

 

 2022年3月卒業予定の高校生を対象とした企業の求人受け付けが1日に始まった。青森労働局のまとめによると、県内9公共職業安定所が初日に受け付けた求人は前年より増えており、新型コロナウイルス下の厳しい状況にあるものの、世代交代などを背景に企業が積極的に人材確保に努めようとしている姿勢がうかがわれる。
 津軽地方の職安別では、弘前が減ったものの、黒石、五所川原、青森はいずれも件数が昨年同時期に比べ同じか増えている。弘前の減少も、「販売」項目で前年あった大口求人が未提出のためとみられ、こうした要因を考慮すると、おおむね順調な滑り出しと言える。
 今年3月に県内高校を卒業した人の就職率は4月末現在99・6%で、就職先は県外が大きく減り、県内が増えた。コロナ禍などを背景に地元就職を選んだ人が多かったものとみられる。こうした傾向は今年も続くだろう。
 県内企業においても、多くが厳しい経営を強いられているものの、世代交代を余儀なくされる中で積極的に人材確保に努めているところが少なくない。全国的に少子化で生徒数が減少傾向にある中で、優秀な人材をいかに確保するかは企業の将来をも左右する重要な課題である。人材の県外流出を防ぐ上でも戦略的な採用計画が求められる。
 1日は、22年3月卒業予定の学生らを対象にした採用選考が解禁され、全国の主要企業で面接が始まった。感染防止や学生の負担への配慮からオンラインの活用を前提とした採用活動が定着する一方、対話で話す必要性も浮き彫りとなっており、使い分ける動きもあるようだ。
 学生らにとっては、オンラインの場合、地方にいながら首都圏などの企業の面接を移動時間を気にせず複数受けられ、選択の幅も広がるといったメリットがある。企業にとっては、いかに学生らに魅力を伝え、選んでもらうかが課題となり、優秀な人材確保のため早めに内定を出す企業が全国的に増えている。ただ、オンラインだけでは会社の雰囲気を理解し切れないという学生も多く、離職率の高さも課題となっている。企業側はいかに社内の雰囲気を伝えるかに知恵を絞っており、最終面接は対面とする企業が多いとみられる。
 全国的に21年3月卒の就職活動は、企業説明会の中止などで情報収集の機会が減り、内定獲得を目指す学生への影響が深刻化した。弘前大学の学生も就職率の大きな低下はみられなかったものの、就職から大学院進学へ切り替えたり、一時的に働きながら就職活動を継続したりする学生が大幅に増加し、卒業生や大学院生への就職支援を課題に挙げている。コロナ下で2度目のシーズンとなり、加速しつつある就職戦線にどう立ち向かうかが学生、企業の双方にとって課題となりそうだ。

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コロナ対応「危機感伝わる情報提供を」

2021/6/2 水曜日

 

 弘前保健所管内での新型コロナウイルス感染者数の増加は、弘前さくらまつりで弘前市周辺を訪れる人が増えたことが影響しているという見解を、県感染症対策コーディネーター3人が連名で示した。「今年は人流増加につながるようなイベントは中止が望ましい」との考えを示しており、今後に与える影響は大きい。
 既に五所川原立佞武多、黒石よされ、弘前ねぷたまつりなど2年連続の中止が決まった祭りは多いが、祭りやイベントの開催判断をどうするか、中止の際の地域経済への影響をいかに軽減するか、改めて検討する時期にきているのではないか。
 弘前さくらまつりの影響については県感染症対策コーディネーターで弘前大学医学部附属病院感染制御センター長の萱場広之氏らが、同管内の感染者数や県内外からの移動人口の分析、県内の他保健所管内との比較などを行い、検証した。
 祭り会期は準まつり体制を含め4月17日から5月5日まで。県の示した資料によると、祭り開催後の4月第4週に弘前駅を訪れた県外居住者は、コロナの感染拡大前だった2019年の同時期と比べると53%の増だった。
 同管内では準まつり体制が始まった約2週間後、大型連休中に感染者が増え始め、連休明けには大幅に増えた。連休中は帰省や行楽などさまざまな移動が考えられるが、他管内と比較しても弘前管内のような感染者の増加傾向はなかったという。
 検証では、祭り期間に弘前市周辺に県内外から人が訪れ、地元との接点ができて、感染の機会が増加したと分析。それが地域の感染者数の増加や医療の逼迫(ひっぱく)につながっているという見解を示し、今後のイベント開催については医療の状況を考慮しつつ、慎重な判断を求めている。
 もちろん、主催者側にも言い分があろう。県が示したガイドラインを順守し、さらに対策を強化しての開催だ。屋外での鑑賞型のイベントなので、躍動する夏祭りと比べると感染リスクも低いと思われるし、何より弘前市は青森、八戸両市と違って独自の保健所を持たず、判断材料となる感染状況の把握や分析が難しい。県からの情報や踏み込んだ助言が欲しいというのは本音だろう。
 県内6圏域別の入院病床使用率も公表され、津軽圏域(弘前管内)が84%、西北五圏域(五所川原管内)は71%と極めて厳しい状況が示された。市町村別の発生状況も初めて示されたが、こうした具体的な数字の公表が、住民の危機意識につながるのではないか。感染者数は連日公表されているが、保健所管内は意外に広く、その範囲を正確に理解している人も少数だ。
 日ごろから感染防止策をしている人により強い危機感を持ってもらうにはどうしたらいいのか。医療の逼迫が指摘される今、従来の発表方法で十分なのかも検証してほしい。

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新型コロナ感染拡大「県民は我慢の3週間を」

2021/6/1 火曜日

 

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、県全体の病床使用率は5月30日現在で49・8%となり、国が示す感染状況の指数で一番深刻な「ステージ4」の基準(50%)に迫った。
 31日に示された圏域別の病床使用率では、下北地域0%、上十三地域4%、八戸地域35%と県南が半数以下にとどまるの対して、津軽地域84%、西北五地域71%、青森地域43%で、特に津軽方面で逼逼(ひっぱく)の度合いが高まっていることが明らかになった。
 県民の行動や県外との往来などの抑制傾向は続いているものの、感染者数の高止まり状況から大きな改善が見られないのが実情だ。従来より感染力が高いとされ、重症化しやすい傾向が指摘される変異株の報告もじわじわと増加している。
 新規感染者の増加を踏まえ、県は入院病床の追加確保に向けて関係者と協議を進めているほか、宿泊療養施設についても追加分を確保。一方で人の流れと感染拡大を抑えるため、県民の行動についてさらなる注意喚起を行っている。
 特に呼び掛けているのは、普段から一緒に過ごす人以外との接触をできるだけ抑えること。基本的には生活の場を同じくする家族、毎日のように職場で接する同僚ら以外との接触を避けることが重要となる。県外からの人だけでなく、住居が別の家族や親戚、時々会う友人、近所の人など、ごく身近な存在であっても当面は接触を減らすことが感染抑止のカギとなる。
 「身近な人」が集まる葬儀や祝いも、普段一緒に過ごしていない人々による会食の場になる。「定期的に会う」人々の趣味の集まりの場がクラスター化したケースがあるほか、県外では屋外で実施したバーベキューのクラスター発生が報告されており、人のつながりの盲点を突くようにウイルスが入り込んできているのが分かる。
 新型コロナにより、ただでさえ行動範囲が狭められている中、生活にうるおいを与えるコミュニケーションの場が奪われるのは非常に厳しいものがあると思われるが、現状において今が我慢のしどころとなる。
 さらに風邪症状が見られた場合、職場や学校ですぐに休みを取らせることも重要だが、日本では「少々の風邪では出勤(出校)する」「急な休みで周囲に迷惑を掛けない」ことが美徳とされてきた風潮があるため、なかなか対応できない企業もあると思われる。
 欧米ではコロナ禍以前から、風邪症状となった場合は堂々と休むことが働く人の権利とされており、日本人の働き方はコロナ禍を機に大きく変えるべき岐路に立っていると戒めたい。
 県は今後3週間、できるだけ抑制した行動を取るよう呼び掛けている。我慢の3週間を過ごしたい。

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ワクチン詐欺「不安な心に乗じた犯罪防止を」

2021/5/29 土曜日

 

 高齢者を対象とした、新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、自治体職員を名乗る人物から、接種の予約代行を名目に金銭を要求されたという相談が、東京都内をはじめ全国で相次いでいる。警視庁は新たな詐欺の手口とみており、自治体と連携するなど被害対策を強化している。都市圏を中心に、なかなか接種の予約を取ることができないというケースが見られる中で、「早くワクチンを打ちたい」という心境につけ込んだ詐欺行為は絶対に防がねばならない。
 独立行政法人の国民生活センター(神奈川県)が、新型コロナワクチン接種に便乗した消費者トラブルや「ワクチン詐欺」と呼ばれる悪質商法に関する相談を受け付けるため、今年2月に開設した「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」には、「スマートフォンに『ワクチン接種の優先順位を上げる』というメッセージが届いた」「『ワクチンを優先的に接種できる』と所管省庁をかたった電話があった」「中国製ワクチンを有料で接種しないかという勧誘があった」などの相談が寄せられている。このほか、実際に自治体職員を名乗る人物が訪ねてきて「接種の予約代行」をすると語ったが、詳細を聞こうとしたところ、ごまかして帰ったケースもあったという。
 同センターでは、アドバイスとして(1)ワクチン接種は無料。接種に関連付けて金銭を要求されても決して応じない(2)少しでもおかしい、怪しいと思ったり、不安であったりした場合は相談する(3)自治体名をかたって、「予約代行をする」と言われても、その場では応じず、居住地の市町村に確認する-と呼び掛けている。
 ただ、他の特殊詐欺がそうであったように、詐欺手口の情報が少ない中では被害が起きやすい。現状は、「新型コロナウイルスのワクチン接種」という過去に例がない対策が始まったばかりであり、まして接種の予約に難儀をする高齢者も少なくない中、詐欺行為をする者がつけ込みやすい環境であることも事実だ。こうした中で、多額の金銭をだまし取られるような被害を出さないため、幾重にもわたる広報活動が重要となる。
 関係各機関のホームページ上における注意喚起は、広報手段として便利ではある。しかし、スマホやパソコンが人々に広く浸透しているとはいえ、決してすべての人がインターネット環境を備えているわけではなく、たとえ備えていたとしても当該ページにたどり着ける保障はない。このため特に高齢者に対しては、警察や自治体、地域住民が一体となり接種会場での呼び掛けや毎戸訪問を通じた注意喚起を行うほか、紙媒体や各種グッズを活用した広報活動などで、視覚や聴覚に強く訴えてもらいたい。

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縄文世界遺産へ「コロナ後見据えた準備進めよ」

2021/5/28 金曜日

 

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)は26日、青森市の三内丸山遺跡など17遺跡で構成する「北海道・北東北の縄文遺跡群」について、世界文化遺産への登録を勧告した。登録の可否は7月のユネスコ世界遺産委員会で決まるため、浮かれるわけにはいかないが、専門家で組織するイコモスの勧告は世界遺産委の判断に影響を与えるため“登録内定”に等しい大きな前進である。
 縄文遺跡群は日本最大級の縄文集落跡として知られる国特別史跡の三内丸山遺跡など県内8遺跡、北海道6遺跡、秋田県2遺跡、岩手県1遺跡で構成。このうち亀ケ岡石器時代遺跡(つがる市)、大森勝山遺跡(弘前市)など約3分の1が津軽地域に集中している。
 世界遺産登録に向け県が動きだしたのは2006年で、まず「青森県の縄文遺跡群」の提案書を国に提出。翌07年には「北海道・北東北の遺跡群」と4道県に範囲を拡大し、08年に国の暫定一覧表、09年に世界遺産委事務局(ユネスコ世界遺産センター)の世界遺産暫定一覧表に記載された。国の文化審議会が18年に推薦候補としたが、政府が「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄両県)の世界自然遺産登録を優先したため、縄文遺跡群は先送りされ、推薦書のユネスコ提出は20年になった。
 遺跡群の中心となるのが三内丸山遺跡。30年近く前、発掘調査で遺物、遺構が埋め尽くす広大な遺跡が姿を見せたが、その一角では野球場建設工事が進んでいた。県が価値を認め、保存にかじを切ったのは1994年。この決断がなければ、世界遺産を目指すことはなかっただろう。三内丸山遺跡だけでも相当な歴史的価値を有するが、単独でなく4道県の遺跡を含めたことで、約1万年続いた縄文時代(草創期~晩期)の全期を網羅し「農耕以前の人類の生活の在り方と、高度で複雑な精神文化を顕著に示している」(推薦書)。イコモスは「遺跡群」で登録を勧告しており、17遺跡で構成した意味が十分に理解されたようだ。
 最終関門となるのが7月16~31日の世界遺産委。イコモスの勧告と同じく4段階で審査し、勧告通りなら晴れて登録が決まる。ただ、毎年開かれている世界遺産委は、新型コロナウイルスの影響で20年の開催が延期され、今年は昨年と今年の審査を同時に行う。文化遺産の縄文遺跡群と自然遺産の「奄美-」とも日本であることが判断に影響しないか不安も残るが、同時登録されれば日本にとって最高の喜びだ。
 世界遺産登録で観光客増に期待したいところだが、新型コロナの収束が見通せない中で「おいでください」とは言えない。ここは「時間がある」と切り換え、コロナ後を見据えた準備と、地元の関心を高める取り組みを強く進めたい。

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