社 説

 

外国人運転者対策「配慮ある運転心掛けを」

2019/1/23 水曜日

 

 本県を含む東北6県と東北観光推進機構が、外国人が運転中であることを周辺のドライバーに知らせるステッカーを作成した。東北地方は近年、外国人観光客が増加しており、本県はその中でも特に伸び率が高い地域。外国人観光客が増えることは、経済や地域の活性化にとっても重要で喜ばしい限りだが、一方でその増加に比例して事故なども増えていくであろうことは容易に想像がつく。東北地方は首都圏などと比べると交通インフラの集積が弱く、観光客がレンタカーなどを使って移動する割合は、他地域よりも高いといえるだろう。県内のレンタカー会社などからは早速、歓迎の声が聞かれるそうで、外国人観光客の誘客を側面から促進する、なかなかの妙手と言えるだろう。
 ステッカーは大きさ15センチ四方のマグネットタイプで、赤いハートマークに「外国の方が運転しています」と記されている。県は県レンタカー協会を通じ、県内の事業者44店舗に約380枚を配布したという。
 本県が外国人観光客から人気を得ていることは、数字の上からも見て取れる。東北観光推進機構が2017年9~11月に東北6県の一部レンタカー会社を対象に行った調査では、本県は東北6県でレンタカーの貸出件数が最も多く、全体の約47%を占めたそうだ。レンタカー会社に特化した調査ではないが、昨年も多くの外国人観光客が本県観光を楽しんでいる。観光庁の統計調査によると、2018年1~10月に本県に宿泊した外国人観光客は25万人を超え、17年1年間の実績を既に上回っている。10月単月では宮城県を抜いて初めて東北最多となったというから、外国人観光客が本県に魅力を感じているのは確かだろう。
 県土が広い本県を隅々まで堪能しようとすれば、車での移動が効率的だ。県が県内の一部レンタカー会社に行った調査によると、17年度の本県の外国人へのレンタカー貸出件数は全体の1・4%と、まだまだ少ないように感じるが、今後も外国人観光客が継続的に増え、運転しやすい環境が整っていけば、この数字もおのずと高まっていくだろう。
 不慣れな土地で言葉や習慣、社会ルールも異なるとなれば、その地での運転は何かと制約が生じるかもしれない。私たち県民ドライバーの気配り、気遣いが事故を抑止する大きな力となる。
 このステッカーを貼った車を見掛けたら、車間距離を空けるなどの事故防止対策を心掛けたい。またこのような有意な対策も一般県民に周知されなければ、効果を十分に発揮できない。関係団体にはステッカーの存在をさらに広く県民に伝えてもらえればと思う。外国人観光客が快適に県内観光を楽しむため、県民のもてなしの心の一つとして外国人運転者への配慮を心に留めたい。

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通常国会「“時間切れ”だけは許されない」

2019/1/22 火曜日

 

 28日に召集される通常国会について、政府は新規提出する法案を絞り込む方針だ。夏の参院選を控え、野党が反発して国会が荒れそうな対決型法案を避ける狙いがある。ところが厚生労働省による毎月勤労統計の不正調査問題が発覚、その思惑はついえたと言えよう。政府は新年度予算案の年度内成立を目指すが、国会冒頭から波乱含みの展開となりそうだ。
 召集日が今月末までずれ込んだ大きな要因は安倍晋三首相の外遊だ。9日から英国とオランダを訪問したほか、きょうからロシアを訪問し、プーチン大統領と北方領土問題を含む平和条約締結交渉にも臨む。また、スイス・ダボスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)にも出席する。
 永田町では首相が24日に帰国するため25日召集説も一時ささやかれたが、結局は週初めの28日に落ち着いた。ただ、自民党衆院議員からは「これでは来年度予算案の審議日程が相当窮屈になる」との懸念が上がっていた。
 国会前半は通常、予算案審議が中心となり、各法案の審議は4月以降にスタートする。ただ、今年の4月は統一地方選が予定され、国会は事実上の「政治休戦」となる見込み。政府与党は例年、予算案の年度内成立を目指すが、今年は日程的な余裕がまったくない。
 ところが国会召集前に勤労統計の不正調査問題が発覚、修正した予算案を閣議決定する異例の事態に陥った。与党は野党の求めに応じて24日に衆参の厚労委員会で閉会中審査を行うことで合意したが、予算案の審議日程を確保するため、召集前に「ガス抜き」を図ろうとする考えが透ける。
 これに対して野党側は安倍政権を追い込む材料になり得るとみて勢いづいている。「通常国会はこれ一色になる」(立憲幹部)との見方もあり、徹底追及によって政権への攻勢を強め、統一地方選や参院選につなげたい考えだ。
 立憲民主党の枝野幸男代表は、加藤勝信前厚労相(自民党総務会長)の国会招致を求める考えを示し「国会に出てきて説明責任を果たすのはマストだ。衆院の予算審議のヤマ場ぐらいまでには説明してもらう必要がある」と揺さぶりを掛ける。
 一方で与野党の対立が深刻なものとなれば、予算案の審議日程が窮屈となり、与党側が“時間切れ”を理由に強行採決することも予想される。これでは昨年と同様、国会の空洞化が強調され、政治不信を強めることになる。
 今年は統一地方選や参院選があり、これらには多額の費用を要する。政治に求められるのは国民の不信を少しでも払拭(ふっしょく)し、政治参画への機運を盛り上げることだ。通常国会では国民生活に直結する課題について、与野党双方が真摯(しんし)な議論に努めるべきだ。

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英国EU離脱案否決「混乱回避への努力必要」

2019/1/19 土曜日

 

 英国の欧州連合(EU)離脱が3月末の期限を前に、揺れに揺れている。英議会下院が離脱合意案を大差で否決。合意案の批准には議会承認が不可欠だが、離脱期限までの残り時間が少なくなる中、離脱派と残留派の対立が深刻化している現状を踏まえれば、問題解決は容易ではなく、同国のEUからの離脱は「合意なき離脱」へ向かう可能性が現実味を増している。英国は今後の国の在り方を変える歴史的な判断をする上で、重大な岐路に立たされていると言えるだろう。
 EU離脱を決めた英国の2016年の国民投票は、賛成派と反対派との差はわずか2%で、国民の大方の賛意を受けての方針とはなりにくいものだった。メイ首相は、これを踏まえ、どんな形で離脱を目指すかについて、方針決定を先送りする戦略に出た。その間に賛成、反対双方の融和を図り、円滑な離脱への地ならしを図ることが、その真意だったようだが、首相の思い通りには事が運ばなかった。離脱案は英領北アイルランド問題をめぐる不満が噴出し、否決された格好だが、その根底にあるのは離脱派、残留派双方が自身の掲げる将来像の実現に向けた動きを追求した結果とも言え、離脱期限内に現実的な落着点を見いだすことができるのか、先行きは見通せない。
 このまま打開策が見つからず、時間切れで「合意なき離脱」に至れば、英国の企業活動や市民生活が大きな影響を受けることが懸念される。もともとEUは発足当初の理念として、域内での「ヒト、モノ、カネ、サービスの自由な移動」を標ぼう、実施してきた。このため、双方の合意がないままの離脱では、まず同国の交通や物流が大混乱に陥る可能性があると指摘されている。国民生活に不可欠な食料や医薬品、工場では部品の供給が滞れば、同国の国民生活や経済活動が大打撃を受けることになる。
 英国の混乱は世界に、そして日本にも波及するだろう。専門家からは、英経済は8%近いマイナス成長となり、2008年のリーマン・ショックを超える深刻な不況になるとの指摘がある。諸外国も同国に拠点を置く企業を中心に打撃を受けることになるのではないか。
 野党側が提出したメイ首相への不信任案は否決され、英政府は当座の危機を回避したが、正念場はこれからだ。政府は離脱の代案を提出する考えだが、すんなり解決とはいくまい。今後の展開は「合意なき離脱」のほか「離脱延期」「合意案の再採決」「再国民投票」などのシナリオが考えられる。英国にとって、EUにとって、世界・日本にとっての最良となる選択がなされるよう、建設的な議論を望みたい。
 議会制民主主義の元祖にして、世界経済に大きな影響を与える同国がどのような決断を下すのか、影響は小さくないだけに今後も注視していく必要がある。

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訪問看護「認知度高め、担い手増やせ」

2019/1/18 金曜日

 

 訪問看護師の不足が見込まれているという。在宅医療のニーズが今以上に高まるとされる将来を見据え、県は今年度、現場に同行して実践的に学べる体験型研修を準備、看護師や学生ら70人以上が参加した。現場を知ることができる貴重な機会だろう。こうした取り組みの積み重ねで担い手を増やしてほしい。
 訪問看護は訪問介護と比べると、一般に知られているとは言えない。訪問介護は、訪問介護員(ホームヘルパー)らが利用者の自宅を訪れて入浴や食事などの身体介助や調理、掃除などの生活援助、外出援助を行うサービスを指す。一方の訪問看護では看護師が自宅を訪れ、病気や障害に応じた看護を行う。
 利用するのに年齢制限はなく、かかりつけ医や訪問看護ステーション、地域包括支援センターへの相談や、要介護認定を受けてケアマネジャーに相談したことをきっかけに、主治医からの指示書に基づいてサービスを受けることになるのが一般的。サービス内容は病状の観察や認知症のケア、リハビリテーション、介護予防、緩和ケアなどさまざまだ。
 難病や障害を持つ人にはもちろん、独り暮らしの高齢者など、医療的ケアをしながら生活全般を捉え、支援するケースもあるという。住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、医療や介護に携わる職種が連携し、ニーズに合ったサービスを適切に提供する体制が必要だし、高齢化が進むにつれ、ますますその必要性は高まってくると推測される。
 ただ訪問看護師は基本的に一人で利用者宅を訪れ、さまざまな疾患に対応することになるため、利用者の状況に応じて的確な処置や判断ができるような経験や技術が求められる。何気ない会話や観察からニーズを探り出すなど、コミュニケーション能力も不可欠だ。就業に踏み切るハードルは決して低くはない。
 半面、定期的に自宅を訪れ、顔を合わせて対応をするだけに、利用者から寄せられる信頼は大きい。やりがいも大きいだろう。現場からは、適切に対応し、それが積み重なって安心や信用につながったり、「こうしてもらって助かった」などの言葉が聞けたりした時に「本当にうれしく思う」といった声が聞かれる。
 体験型研修には県内23の訪問看護ステーションが協力。1日入門コースと、2~5日の実践コースに、現職の看護師のほか、医療や福祉について学ぶ学生、ケアマネジャーらが参加し、実際の訪問看護の仕事を目の当たりにした。
 将来の就業や転職先の選択肢の一つとして考えてもらうことはもちろん、病院勤務の看護師やケアマネジャーらが訪問看護への理解を深めることで、現場でのより適切な連携につながることも期待される。訪問看護は在宅での療養生活を支える重要なサービスだ。認知度を高めていく取り組みが引き続き求められる。

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稀勢の里引退「ファンのため貫いた“大横綱”」

2019/1/17 木曜日

 

 大相撲の横綱稀勢の里が16日、引退した。モンゴル勢が台頭する角界で、19年ぶりの日本出身横綱に対するファンの期待を痛いほど感じていたであろうことは、けがを押して土俵に立ったことからも分かる。結果、休場を繰り返し、ついには横綱審議委員会から、不名誉な「激励」を受けることになった。引退会見では涙を見せながら「土俵人生において一片の悔いもない」とする一方で「期待に応えられなかったことに悔いは残る」とも。これが正直な心境なのだろう。
 2017年1月25日、日本相撲協会が満場一致で横綱昇進を決定した。初土俵から89場所、新入幕から73場所を要した遅咲きの大輪は、協会の使者から昇進を伝達され「謹んでお受けいたします。横綱の名に恥じぬよう精進いたします」と口上。先代師匠・鳴戸親方(元横綱隆の里=旧浪岡町出身)の遺影の前で述べた飾らない簡素な言葉は、真面目さを感じさせた。横綱として迎えた17年春場所は、左胸などを痛めながら劇的逆転で賜杯を手に。大相撲ファンならずとも、不屈の精神力に感動させられた。
 しかし結果的に、完治できぬままの強行出場が力士生命を縮めたのは皮肉だ。以降は途中休場、全休続き。「激励」を受け、進退を懸けた今場所も初日から連敗。3日目の15日も栃煌山に簡単にもろ差しを許しての完敗で、うつろな目で立ちすくむ横綱の姿に、両国国技館は静まりかえった。期待に応えられぬまま、横綱在位わずか12場所での引退となり「(ファンに)申し訳ない」と陳謝した。引退すべきか自問自答を繰り返しながら「ファンのため」と、今場所の土俵に上がったという。相撲を取れる体ではなかったが、ファンを大事にする姿勢は間違いなく“大横綱”だった。
 その気持ちはファンに届いている。引退の報にファンからは「言葉が出なかった」「1勝したらペースがつかめると思っていたので残念」など、惜しむ声が相次いだ。多くの不祥事に揺れた角界で、期待を一身に背負って、真摯(しんし)に相撲に向き合った横綱。ファンに愛された横綱の引退で、大相撲人気に陰りが生じる可能性があると指摘されるほどだ。
 横綱昇進を決めての記者会見では「(鳴戸親方に)出会わなければ、今の自分はない」と、声を震わせて感謝を口にした。中学卒業後に当時の鳴戸部屋に入門し、鳴戸親方、現在の田子ノ浦親方、多くのファンらに育てられ、横綱に上り詰めた。そして、引退会見ではこうした人々への感謝も忘れなかった。協会理事会から年寄「荒磯」襲名が承認され「年寄として後進の指導に当たりたい」と、今後の抱負を語った。けがで土俵に上がれぬ苦しみ、結果を出せない無念を知っているからこそ、できる指導があるはずだ。きっと、これからの角界をもり立てる力士を育ててくれる。そう信じたい。

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