社 説

 

弘前さくらまつり「歴史織り成す風情楽しみたい」

2018/4/21 土曜日

 

 “日本一の桜”を誇る弘前さくらまつりがきょう21日開幕する。今年は祭りの前身「第1回観桜会」から数えて100周年の記念すべき節目となる。
 桜前線は当初、記録的な駆け足が予想されたが、4月に入ってからの低温続きで勢いを緩め、ちょうど祭り開幕に合わせるかのように園内のソメイヨシノは20日、開花宣言に至った。19日に外堀が開花している。
 弘前公園では18日から、桜の早咲きに対応した準まつり体制がスタートしており、園内の夜間照明や出店の営業、観光人力車の運行などがすでに行われ、祭りムードを高めてきた。県内外からの観光客も徐々に増えており、いよいよ津軽地域の春の観光シーズンも本番を迎える。
 今の時代へと桜を守り続けてきた先人たちの知恵や技術はもちろん、何より桜に対する果てなき愛着によって育まれてきた歴史ある弘前公園の桜は、われわれ市民の自慢である。その桜が織り成す風情を、多くの人たちに存分に楽しんでもらいたい。
 祭りの歴史をひもとくと、始まりは1918(大正7)年。当時の弘前商業会議所(現・弘前商工会議所)の外郭団体である弘前商工会が「第1回観桜会」を開催したのが始まりだ。当時の弘前は封建的で堅苦しい空気が残っていたが、明治以降に植えられた桜が順調に成長し、ハイカラな若者グループが公園に出店を依頼するなどして花見を楽しんだ。これが先駆けとなり、2年後の祭り開催に至ったようだ。
 当時の祭りは特別な“ハレ”の日とされ、男性はスーツにネクタイ、女性は晴れ着の正装で園内に繰り出した。出店にはトゲクリガニやガサエビが並び、貴重品だったバナナのたたき売りが盛んに客を呼び込んだ。サーカスのゾウなどに子どもたちは心躍らせた。「弘前の観桜会」は当時から有名で、各地からの老若男女でにぎわった。
 100年を経て時代は変わり、祭りの様子も当時とは変わったが、桜の下で杯を交わしたり、軒を連ねる出店を楽しんだりと、祭りのにぎわいや桜をめでる人々の思いは今も変わらない。
 主役の桜を守り続けてきた人たちの技術と労苦も忘れてはならない。樹齢を重ねたソメイヨシノが若木に負けないほどの花を毎年咲かせているのは、リンゴの剪(せん)定(てい)技術を応用した「弘前方式」ゆえだ。“日本一の桜”を守る管理技術もまた“日本一”だからこそ、弘前公園の桜は見事なのである。
 弘前公園の桜の魅力は今や国内のみならず国外にも知れわたるまでになった。桜が織り成す風景は日々刻々と変化する。さまざまな表情を楽しみ、心弾ませながら、100周年を迎えた弘前公園の桜の物語を次の100年へとつなげていきたい。

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県内平均寿命「短命県返上へ取り組み一丸で」

2018/4/20 金曜日

 

 厚生労働省が公表した2015年市区町村別生命表によると、平均寿命全国ワースト10位以内に男女合わせて本県10市町村が入ったことが分かった。同50位以内では、本県で男女計46市町村が含まれた。日本一の「短命県」である本県だけに、具体的に示された全国順位と数値は厳しい結果となったが、一方では短命県の汚名返上に向けた取り組みの指標になるとも言えよう。官民挙げた健康増進策が今後さらに取り組まれていくことに期待を寄せたい。
 市区町村別生命表によると、平均寿命が最も短いのは男女とも大阪市西成区だが、男性3~9位には本県自治体名が並ぶ。3位は平内町(77・6歳)、4位以下はむつ市、中泊町、東北町、階上町、深浦町、平川市と続き、いずれも78・1歳。女性では、4位に蓬田村(85・2歳)、8、9位にいずれも85・4歳で三戸町、板柳町が入った。
 本県の短命県返上に向け、各自治体がさまざまな取り組みを見せる中で、塩分やアルコールが多い食生活や低受診率といった、健康に対する意識の低さが足かせとなっていることを指摘する自治体もある。実際、各自治体からは野菜摂取量が少ない食生活、肝炎や肝臓がんでの死亡率が高いとの指摘が出た。長期にわたる食習慣や嗜好(しこう)品の摂取に対して一方的に制止するようなことはできまいが、平均寿命延伸と短命県返上には、津軽地方の首長が語っていたように「自分の健康は自分で守る」という意識を持ってもらうよう、地道に取り組んでいく必要があるだろう。
 一方で、前回の10年統計から男性が全40市町村、女性が33市町村で平均寿命が延びるというデータもある。延び幅は男性の最大が青森市の2・4歳、女性最大は階上町の2・2歳となった。「未来につながる明るい兆しが見える」(三村申吾知事)、「決して悲観することはない。県全体の平均寿命は確実に良くなっている」(弘前大学大学院医学研究科・中路重之特任教授)との受け止めがあり、次回調査の結果にも期待がかかる。
 平均寿命だけが延びても、寝たきりであったり、意識がなかったりといった状態はなるべく避けたい。健康上の問題がなく日常生活を制限なく送ることができる、いわゆる「健康寿命」の延伸も大きな課題だ。こちらは初めて厚労省から調査結果が公表された10年の調査結果では、本県男性68・95歳と全国最下位、女性は73・34歳で同31位だったが、今年3月公表の15年調査結果では男性71・64歳で同34位、女性75・14歳で同20位と大きく上昇している。
 本県の健康寿命が年々延びているのはもちろん歓迎すべきことだ。この傾向を維持していくには、平均寿命への取り組みと同じく自ら健康に対する意識を高めていくことを心掛けたい。

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セクハラ疑惑「耳を疑う被害者への要請」

2018/4/19 木曜日

 

 財務省の福田淳一事務次官のセクハラ疑惑をめぐり、同省が報道各社の女性記者に調査への協力を求めた。協力要請とは名ばかりの、被害者に名乗り出るよう求めるもので、耳を疑うものだ。福田次官は18日に辞職したが、疑惑については否定した。果たして真実はどうだったのか、同省には立証責任がある。
 今回の“協力要請”で最も腹立たしいのは、今後の取材への悪影響を懸念し、女性記者側が名乗り出ないだろうと見越した、姑息(こそく)な手法ということだ。この一点だけでも与野党問わず、同省の姿勢を批判する声が広がっていた。
 週刊誌報道によると、福田氏は同省担当の女性記者に会食などの席でセクハラ発言を繰り返したとされる。週刊誌側はその後、福田氏のセクハラ発言とされる音声も公開した。
 これに対し福田氏は、同省の聞き取り調査の中で「女性記者との間でこのようなやりとりをしたことはない」と疑惑を否定、さらに「名誉毀損(きそん)に当たり、提訴する準備を進めている」と表明した。
 ただ、被害者に名乗り出るよう求める同省の対応が与野党問わず批判を集め、自公幹事長も18日の会談で「自らけじめを付けるべきだ」との認識で一致し、事実上辞任を促していた。
 辞職理由について福田氏は「不徳の致すところで職責を果たすのが困難」と説明。一方、音声については「自分では分からない」とし、女性記者との会合を含め、疑惑が辞職理由ではないとした。
 では音声の主は誰だったのか。福田氏の音声だった場合でも、女性記者が相手でないなら誰に向けたものなのか、接客業相手の女性になら何を言ってもいいのか、依然として真実は不明のままだ。
 さらに同省の一連の対応も批判を集めた。福田氏が同省の調査に対し疑惑を否定したことを受け、客観性を担保する観点から外部の弁護士に委託して引き続き調査を続けると説明。その後、同省の記者クラブに加盟する各社に対し、福田氏との間で週刊誌報道のようなやりとりをした女性記者がいれば調査に協力するよう要請した。
 冒頭でも触れたが、この姿勢に対しては政権内部からも「違和感がある」(野田聖子総務相)と批判の声が上がる。野田氏は「加害者側の関係者に話をするというのは普通ではできないのではないか」とも述べているが、閣僚が所管外の省庁の対応に言及することは極めて異例であり、福田氏の辞任は避けられない状況だった。
 相次ぐ疑惑に揺らぐ同省だが、ここにいたっては「膿(うみ)を出し切る」覚悟が必要だ。存在意義すら問われかねない危機的状況だと認識し、二度と国民から疑いのまなざしを向けられぬよう、森友問題だけでなくセクハラ疑惑についても自ら徹底的に調べ、事実を解明すべきだ。

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A!Premium「ニーズを捉え、常に進化を」

2018/4/18 水曜日

 

 県とヤマト運輸(東京都)が連携して構築した流通サービス「A!Premium(エー・プレミアム)」が好調を維持している。開始から3年目となった2017年度の利用実績は前年度比約1・4倍の6290個。積極的な営業で、エー・プレミアム以外の県産品の取引も急速に拡大していることが分かった。本県の強みである農林水産品の流通拡大に大きく貢献していると言えるだろう。
 エー・プレミアムは保冷一貫輸送で鮮度や品質を保ち、かつスピード輸送できる仕組み。通常の宅配便では東北地域以外は翌日の午後、もしくは翌々日の到着となるが、エー・プレミアムでは本州および四国の全域と福岡県までが翌日午前中のエリアに含まれ、このサービスを活用すれば、西日本では1日早く新鮮な県産品が受け取れる。出荷先の大半が飲食店で、送料は掛かるが、流通マージンが下がること、また人手不足が課題とされる中、品物が手元に届き、仕入れの手間が省けることも評価されていると聞く。
 利用実績が伸びた要因として、県は西日本での利用増加を挙げた。エー・プレミアムは香港の1社が大口の仕入れ先となっており、初年度の15年度から海外への輸送が多かった。しかし17年度は海外に運ばれる荷物がまだ多いものの、国内利用は16年度の約1・8倍に増加。特に中部以西の西日本の利用が15年度の535個から17年度は2785個に伸びた。
 背景にあるのは、県が16年春、大阪市に設置した港湾空港課「大阪分室」の精力的な営業活動だ。分室には県職員とヤマト運輸の職員が配置され、営業の場で県産品本体の価格に加え、物流費も含めたトータルの金額や決済条件などを具体的に提示できるのが強み。県は今年度、職員を1人増員し、体制を強化して国内外のニーズ掘り起こしを進めるとした。
 きめ細かな営業活動に加え、当初は集荷時間に対応できなかった下北地域からの荷物について、週2便だが中継地点を省いて時間を短縮する「下北サービス」を実現。飲食店向けにアラカルトで鮮魚を詰め合わせた「鮮魚ボックス」も人気を集めるなど、ニーズを捉えた対応も着実に効いてきているのではないか。
 本県の新鮮な品物が短時間で届くというメリットは大きく、西日本での利用が増えるに従って徐々に認知度が向上していけば、さらに取引が拡大する余地は十分ある。これまでの経験で効果的な営業のノウハウも蓄積されていることだろう。より一層の活躍を期待したい。
 今年3月にはエー・プレミアム食材PR大使として、香港在住の広東料理の巨匠とされる尹達剛氏を任命。水産品がメインのため、和食店向けのイメージがあったエー・プレミアムだが、今後は中華向け需要の高まりも期待される。ニーズへの対応を常に考え、進化し続けるエー・プレミアムであってほしいと思う。

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米英仏、シリア攻撃「道的見地で対話姿勢を」

2018/4/17 火曜日

 

 米国が英仏両国と合同で、シリアのアサド政権への武力行使に踏み切った。米英仏はアサド政権が化学兵器を使用したと独自情報に基づき断定し、首都ダマスカス近郊などにある化学兵器関連とされる施設3カ所を攻撃した。
 米軍は昨年4月にも、アサド政権が猛毒神経ガスのサリンを使用したとして空軍施設を攻撃したが、攻撃規模は当時より大規模になった。トランプ米大統領は化学兵器の生産、拡散、使用に対する強力な抑止力の構築を掲げ、アサド政権が使用をやめるまで攻撃を続ける用意がある―と表明した。
 攻撃は化学兵器の使用を許さない姿勢を示すことが主眼で、懲罰的な意味合いが強かったようだ。シリア内戦が泥沼化する中、ロシアやイランの支援を受けたアサド政権が既に軍事的に優位に立っていて、今回の攻撃が与える影響は限定的とみられている。攻撃までの過程はアサド政権に退避の猶予を与えていた。攻撃対象を絞ったのは、アサド政権の後ろ盾であるロシアとの直接的な衝突を避けるためだったとも指摘されている。
 シリアでは2013年に米ロの合意で化学兵器の廃棄処理が進み、14年で関連物質の国外搬出が完了したと発表されていた。しかし、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは13年8月~18年2月に確認されただけで85件の化学兵器攻撃があり、うち50件以上はアサド政権側の仕業と断定された―と指摘している。アサド政権が化学兵器を隠し持ち、使用していた疑念は拭えない。今後も市民が多数犠牲となる化学兵器を使うような戦闘が起きないか心配だ。
 今回の攻撃は、化学兵器禁止機関(OPCW)による現地調査が始まる前で、国連安全保障理事会の承認もない段階だった。今回の武力行使の正当性を疑問視する意見は一理あり、米英仏が強調する「人道的介入」も、その合法性に関してはまだ議論があるという。
 安保理ではこれまでアサド政権の化学兵器使用疑惑が浮上しても、責任追及に向けた措置を合意できずにいる。ロシアは内戦下のシリアでの化学兵器使用をめぐる決議案に拒否権を6回行使しており、安保理の“機能不全”の一因になっている感は否めない。
 アサド政権やロシアは、今回の攻撃の理由となった化学兵器使用の情報について「でっち上げ」と主張している。だが、シリア情勢が泥沼化した一因は、こうした姿勢を崩さないロシアにも責任はないか。シリアの後ろ盾であるならば、化学兵器の廃棄や使用についても一定の責任はあろう。
 今回の事態に至るまで最も欠けていたのは、シリア国民の苦境解消に向けた、人道的見地からの対話姿勢ではなかったか。人道支援に国境や国益の線引きは必要ない。

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