社 説

 

桜着色の仕組み発見「新たな観光の魅力創出に期待」

2020/1/10 金曜日

 

 弘前大学農学生命科学部国際園芸農学科の荒川修教授の研究グループが、桜の品種「ソメイヨシノ」の花が着色する仕組みを発見したと発表した。研究では、青色光と赤色光の照射を組み合わせることによってピンク色の着色が促されることが明らかになった。
 弘前市との共同研究として行われたもので、荒川教授は「桜の名所である弘前だからこそできた研究」と話しており、今後は遺伝子レベルで着色のメカニズムを詳しく解明していく考えだ。「日本一の桜の名所」と称される弘前公園を抱える弘前市から、桜の魅力を国内外にさらに発信できるよう、今後の応用、普及に期待したい。
 今回の発見は、リンゴの着色について研究してきた荒川教授が2016年、弘前大学に所属する岩手大学大学院連合農学研究科の安松浩(アンショウコウ)さんの博士課程を指導するに当たり研究テーマに「桜の着色」を提言したことがきっかけとなった。
 ソメイヨシノは室内で開花すると花が白色となることが知られているが、着色の詳しい仕組みは解明されていない。荒川教授は、リンゴの着色において、紫外線の波長が赤色の素となるアントシアニンの生成を促す点に着目。安さんを中心に、発光ダイオード(LED)で桜を照射する実験を行い、幅広い波長帯域で着色への影響を検証した。
 その結果、赤色光ではアントシアニンの生成が確認されず、青色光では若干量が確認されたが、赤色光と青色光を両方照射した場合、最大で青色光の約5倍の生成量が見られることを発見。両方の光の照射により18年春、室内で育てたソメイヨシノの花が鮮やかなピンク色に着色した。
 今後は温度など他の条件による影響や遺伝子レベルでの仕組みを解明していきたい考えだ。研究成果の応用や普及について荒川教授は「室内できれいな桜を咲かせる安全な技術が確立され、市民が気軽に桜を楽しむ環境が広がれば」としており、さまざまな可能性を感じさせる。
 弘前公園のソメイヨシノは毎年、見事な花を咲かせ、多くの観光客らを魅了する。ただ、最近は温暖化の影響で早咲き傾向にあり、見頃を過ぎると人出も伸び悩む傾向にある。幸い、園内にはソメイヨシノの後に咲くさまざまな品種の桜があり、市は遅咲きの桜の魅力発信に力を入れている。
 加えて、いつ訪れても「桜」を感じられる街づくりも誘客には重要だ。新たに発見された着色の仕組みを生かし、ピンク色の桜をさまざまな場所で目にする機会が増えれば、観光地としての魅力も増すことだろう。
 今年開催される弘前さくらまつりは記念すべき100回目を迎える。この節目にふさわしい、可能性あふれる研究の今後に期待したい。

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西海岸の冬季観光「バス運行通じて課題見いだせ」

2020/1/9 木曜日

 

 冬季のインバウンド(訪日外国人旅行者)誘客を図ろうと、県と西海岸の鯵ケ沢、深浦両町が連携し、青森市と両町の主要宿泊施設を結ぶ直行バスを15日から2月23日まで試験運行することになった。冬季観光の素材は他自治体にも引けを取らない両町だが、冬季の交通手段が脆弱(ぜいじゃく)と言わざるを得ない状況だ。それだけに今回の試験運行はわずか40日間という期間だが、西海岸までの交通手段や観光に関する課題を見いだし、解決するためのきっかけとなることを期待したい。
 直行バスは英語で「西海岸」を意味する単語を織り交ぜた「冬のウェストコースト号」という名称。予約制でインバウンドのみを対象とする。青森市の青森空港、JR青森駅、新青森駅で旅行者を乗せ、両町の主要宿泊施設まで運ぶ。運賃は無料で利用者は宿泊施設の料金のみを支払う。各宿泊施設から青森市に戻るバスも運行されるが、必ずしも利用する必要はなく、その先は思い思いの手段で移動することも可能という。
 西海岸には岩木山の麓で楽しむスキーや白神岳の冬山登山、「氷のカーテン」、野菜とは思えない甘さの「ふかうら雪人参(にんじん)」、そして温泉施設と、決して他に引けを取らない素材が多数ある。ただ、冬季の場合、厳しい気象条件に見舞われることが多く、目的地までの移動が困難なケースがある。
 津軽地方中心部から西海岸までの主要交通手段の一つであるJR五能線は、観光列車「リゾートしらかみ」運行など観光客獲得へ努力を重ねているが、特に冬季は風雪の影響で運休・減速運転となる場面が多々見られ、運行状況が安定しているとは言い難い。バスか自家用車で津軽地方中心部から西海岸へ移動する場合も、冬季は地吹雪に行く手を阻まれることが少なくない。高規格道路である津軽自動車道は、つがる市の未開通区間の整備が事業化決定されているものの、全面開通までにはまだまだ時間を要する。
 それだけに、対象と期間が限られるとはいえ、西海岸までの移動手段が増えることは朗報だ。運行期間中は乗客に対してアンケートを実施し、青森市から西海岸までのバス運賃がどの程度なら乗車するかなどを問うという。期間終了後のバス運行に関しては今後方向性を検討するというが、将来的には定期運行を含めた内容となることが望ましいだろう。
 本県の冬季観光振興には、インバウンド誘客の取り組みはもちろん大事だが、県内在住者や県外旅行者が冬の厳しい環境を知りつつ、そこに行き、楽しみたいという素材づくり、冬季の安定した交通手段を活用できる仕組みづくりも求められよう。われわれ地元に住む者が利用しやすく楽しめるものは当然、海外にも自信を持ってその魅力を訴えることができるからだ。そのための環境整備を期待したい。

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交通死者最少「改めてルールの徹底を」

2020/1/8 水曜日

 

 2019年に全国で起きた交通事故による死者数は3215人で、統計が残る1948年以降での最少を3年連続で更新した。一方、散歩中の園児が巻き込まれた事故や、高齢ドライバーの暴走に巻き込まれた母子死亡事故など、社会に衝撃を与えた事故もあった。悲劇を繰り返さないため、私たち一人ひとりが交通ルールを守るとともに、警察当局や関係者には引き続き努力をお願いしたい。
 警察庁が6日発表した統計によると、19年の交通事故死者数は前年に比べて317人(9・0%)減少した。統計史上最多で「第一次交通戦争」とされる1970年の1万6765人に比べると、5分の1程度まで減ったことになる。
 都道府県別では、千葉が172人で最多。18年まで16年連続で最多だった愛知が156人、北海道が152人で続いた。人口10万人当たりでは徳島の5・57人が最も多く、次いで鳥取が5・54人だった。
 16年続いた「全国ワースト」の汚名返上を果たした愛知県。車の保有台数が全国で最も多く、道路の幅が広くスピードが出やすい地域特有の事情がある。さらに交差点での無理な右折など、「名古屋走り」とも呼ばれる運転マナーの悪さも評判だった。
 死者156人は統計上最少。愛知県警は「ストップ・ザ・ワースト」を合言葉に、事故の多発地帯や時間を分析、それを基にした取り締まりが奏功した。
 本県の死者は37人(前年比8人減)で過去最少を更新、東北では32人の山形に次いで少なかった。10万人当たりでは3・52人で、こちらも宮城の2・81人に続く少なさだった。
 65歳以上の高齢者の死者数(速報値)は、全国が前年比184人(9・4%)減の1782人だった。死者全体に占める割合は55・4%で前年から0・3ポイント減った。本県は前年に比べ1人減の28人で全体の75・7%を占め、過去5年で最も高かった。
 死者数が最少を更新し続けている背景には、警察当局の取り締まりや交通マナーの向上に加え、シートベルトやチャイルドシート着用の定着化、自動車の安全性能向上など複数の要因が考えられる。
 ただ、19年の全国の事故件数は約38万件で負傷者も46万人を数える。一歩間違えば犠牲者が出たかもしれない事故もあっただろう。そして多くの事故は、ドライバーの安全確認やリスク回避で防げたはずだ。
 昨年12月には運転中にスマートフォンなどを使用する“ながら運転”が厳罰化された。事故原因でも上位の「脇見運転」や「不注意」の一因であり、「ゲームをしながら」は論外である。
 命を守るため、そして加害者にならないため、ドライバーも歩行者も改めてルールの徹底を図りたい。

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本県経済の展望「五輪イヤーの好材料を生かせ」

2020/1/7 火曜日

 

 2020年が明けた。いよいよ東京五輪、パラリンピックイヤーの幕が上がった。日本経済にとって好環境の年といえるが、同時に昨年以来の課題も多く、その行方は不透明と言わざるを得ない。
 昨年を振り返ると、秋には消費税がそれまでの8%から10%に移行する大きなトピックがあった。増税後の景気対策としてキャッシュレス決済のポイント還元が強化されるなど、景気の冷え込みを抑える対策が取られたこともあり、増税による消費への悪影響はおおむね想定内の範囲でとどまったとする見方がある。ただ、ポイント還元制度は、今年の6月末には終了となる一時的な対策では国民の間に根強く残る負担感の増大を払拭(ふっしょく)させることはできない。増税の影響は、今後も注意深く見ていく必要がある。
 19年は米中貿易摩擦に翻弄(ほんろう)された一年でもあった。両国の制裁関税の応酬が続き、世界の金融市場や実態経済を揺さぶった。日本も中国経済の減速により、製造業で輸出が減少。米中摩擦については、国内外のさまざまな政策において、センセーショナルな方針を打ち出すトランプ米大統領が大統領選を控えていることもあり、その出方によっては、さらなる波乱を巻き起こす可能性もあるだろう。中国にとっても自国の産業政策の根幹を成す部分であり、安易に譲歩する可能性は小さい。米中摩擦は20年も日本経済の行方を左右する重要なファクターであり続けるだろう。不安要素で言えば、英国の欧州連合(EU)離脱問題も忘れてはならない。同国の総選挙を経て離脱方針は揺るがないものとなったが、離脱をめぐる協議は詰めるべき課題が山積みだ。離脱後の混乱を最小限にとどめられるか、その行方が注目される。
 今年の経済を展望する上で、不安要素を挙げたが、明るい材料もある。筆頭が、東京五輪の開催だろう。世界最大の総合スポーツ大会である五輪が、東京で開催される今年は、世界の目が日本に向けられていると言っても過言ではない。インバウンド需要などは相当な規模のものが見込まれるだろう。
 本県のインバウンド観光は好調だ。近年のインバウンド観光の動向は、地方にシフトしていく流れが見て取れる。豊富な自然と、多彩な伝統文化や食、温泉を楽しむことができ、雪資源というアドバンテージもある本県にとって、またとないチャンスと言えるだろう。五輪の開催時期は、本県の夏祭り時期とも重なる。積極的なPRが求められるだろう。
 本格的な人口減少社会に突入する中、さまざまな分野の市場が縮小を余儀なくされる時代が、すぐそこまで来ている。本県の地域経済を支える地方銀行に業務連携を目指す動きが現れるなど、地域経済の発展に、今以上に新たな発想が求められている。五輪イヤーの好材料を生かし、新時代への礎としたい。

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交流人口拡大「五輪イヤーに本県アピールを」

2020/1/6 月曜日

 

 JR東日本は3月14日に予定されているダイヤ改正で、新青森駅発着の東北・北海道新幹線「はやぶさ」を7本増発すると発表した。これで新青森―東京間は上り21本、下り22本。春の観光シーズンを前に、本県へのアクセスがより便利になり、交流人口の拡大が期待される。
 2010年の新青森駅開業時には新青森―東京間は上下15本で運行をスタートし、現状は18本で3本の増にとどまっていることを考えると、今回は破格の扱いと言えるだろう。訪日外国人客が増え、本県への関心が高まっていることも背景にあるのではと思う。増発は朝や夕方など混雑する時間帯が中心で、利便性が向上し、旅先での滞在時間が増えることにもつながり、観光関係者らには朗報だ。
 青森県はこれまで新幹線などの陸路、フェリーやクルーズ船などの海路、飛行機の空路を組み合わせた「立体観光」の推進を掲げ、広域で交流人口を拡大しようと取り組んできた。観光や交通の関係者が連携したこの取り組みは、着実に成果を挙げてきたと言えるのではないか。
 陸路は東北新幹線全線開業が今年12月で10年の節目を迎える。全線開業、それに続く16年3月の北海道新幹線新青森―新函館北斗間の開業は、いまだ貨物との共用走行区間での高速化など課題を抱えてはいるものの、本県の交流人口の拡大に大いに貢献してきた。青函圏など観光や経済の広域連携も深まってきている。
 空路は昨年7月に満を持して就航した台北線が好調だ。青森空港の国際定期便はソウル線(韓国)、天津線(中国)に続く3路線目。搭乗率が90%台となる月もあるなど高水準で推移しており、この冬は青森といえばリンゴというイメージがある台湾人観光客をターゲットに、焼きリンゴづくりなどの旅行商品もお目見え。日韓関係の悪化に伴うソウル線の利用客減少など懸念材料もあるが、今後も国別に細やかに対応を工夫し、各路線の維持と活性化に努めてもらいたい。
 海からのアクセス手段の一つ、クルーズ船は青森港の寄港数が右肩上がり。昨年は青森港国際クルーズターミナルが完成して入国に関する手続き時間が大幅に短縮され、今後の誘致に弾みがついた。
 今年は東京五輪の年で、日本に世界の注目が集まる。首都圏などに比べると、冷涼な気候の本県は夏も過ごしやすいはず。世界遺産を目指す縄文遺跡郡という話題もあり、五輪の時期は青森ねぶたをはじめとする祭りのシーズンでもある。ただ日本の各都道府県にはそれぞれ食や景観など独自の魅力がある。情報発信の仕方や外国人がストレスなく過ごせるおもてなしなど、観光客に選ばれる青森県を目指して知恵を絞るべきだろう。
 観光のもたらすメリットは、商業や交通など幅広い分野に及ぶ。世界が身近になる五輪イヤーの20年に、本県の観光をさらに一段進化させてほしい。

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