社 説

 

緊急事態延長へ「連休本番いま一度行動考えよ」

2020/5/2 土曜日

 

 6日が期限となっている新型コロナウイルス感染拡大に関する緊急事態宣言について、政府の専門家会議は1日の会合で「当面維持することが望ましい」との提言をまとめた。これを受け、安倍晋三首相は4日に期間延長を決定する。延長幅は「おおむね1カ月程度」を軸に調整するという。4月29日に始まった大型連休は木、金曜を挟んだため、きょう2日からが本番。自他の命を守ることを最優先する行動を強く求める。
 宣言は4月7日に感染者が多い東京都など7都府県で発令。全国的な感染拡大に加え、人の移動が活発になる大型連休を控えていることなどを踏まえ16日に、宣言の範囲を感染者数の多少を問わず全国に拡大。同時に最初の7都府県に北海道などを加えた13都道府県を、重点的に感染拡大防止を推進する「特定警戒都道府県」に指定した。
 全国の自治体は、都道府県境をまたぐ移動をしないよう、それぞれの住民に呼び掛け、新型ウイルスを「持ち込まない」「持ち出さない」よう理解を求めている。大型連休は観光地、特に地方にとっては書き入れ時であるが、弘前市は日本最大級の春祭り「弘前さくらまつり」を中止し、全国的には県や市町村単位で「来ないで宣言」するケースも多い。国内外の旅行客がもたらす“外貨”獲得の絶好機を自ら手放すのは苦渋の決断である。それでも踏み切らざるを得なかったのは、何よりも人命が大切だからだ。
 しかし、働き掛けが全国民に響いているかというと、そうでもないようだ。クラスター(感染者集団)発生が懸念されるパチンコ店について、兵庫、神奈川両県は1日、休業要請に応じない店に対し、新型インフルエンザ対策特別措置法に基づき、全国初の休業指示をした。
 もっとも営業を続ける店側だけの問題ではない。客が来るから営業する、営業しているから店に行くというのだから「ニワトリと卵」のよう。感染リスクと隣り合わせで働く医療従事者らを思うと、「いっそ店と客を一緒に調理(規制)して親子丼に」と考えたくもなる。指示は要請よりも効力が強い行政処分に当たるが、従わなくても罰則はない。客に対してもこれまで同様、自粛をお願いすることになる。日本の制度の限界を感じつつ、理解が得られることを期待するしかない。
 専門家会議の提言は「感染状況が厳しい地域」「新規感染者数が限定的となった地域」に分けて対応すべきと主張。後者については対象の緩和も可能としたが、「3密」回避やテレワークなど「新しい生活様式」が必要としており、警戒を緩めていいというものではない。少なくとも今月いっぱいは宣言が続く。連休に浮かれる気持ちは分かるが、収束に向かうかどうかが国民一人ひとりの行動に懸かっていることを忘れてはならない。

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9月入学制「長短見極め慎重に判断を」

2020/5/1 金曜日

 

 安倍晋三首相が29日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う学校の休校長期化を踏まえ、「9月入学・始業」制の導入について「前広にさまざまな選択肢を検討していきたい」との姿勢を示した。萩生田光一文部科学相も「社会全体の問題として広く国民の間で認識が共有できるのであれば、大きな選択肢の一つ」と述べた。休校の長期化に伴い、学習の遅れや学校・地域差を懸念する一部野党や自治体首長の要望を踏まえたものだ。
 にわかに浮上した感のある9月入学制。将来像の一つとしてであれば理解できるが、教育格差解消という手法と「今やるべき時か」という時期の点で疑問は尽きない。新型ウイルス禍にあえぐ中で断行すれば、大きな混乱を招くことにならないか。感染拡大防止対策と検査・治療態勢の充実など最優先で注力すべき事項は他にある。
 確かに学校再開は不透明だ。新型ウイルスの感染拡大に伴い小中高校は3月から臨時休校に。緊急事態宣言対象地域の全国拡大を受け、本県を含め一度は再開した学校も再び休校を余儀なくされている。5月6日に期限を迎える緊急事態宣言は延長される見通しで、本県の県立学校は7日から再開する方針が示されたが他県の教育現場では「連休明けに再開できなければ今年度内に教育課程を終えるのは不可能」との不安があるという。
 欧米で主流の9月入学制は、日本でも過去に導入の是非が論じられ、海外への進学や留学生の受け入れが遅滞なく進む点からも支持する声は根強くあった。導入により、入学・始業時期を一度リセットして学習の遅れなどを解消し、なおかつ「国際基準」にそろえることができるメリットがあるという。
 ただ、この混乱した中での導入検討は適切だろうか。9月入学制は教育にとどまらず、社会システム自体に関わる大きな案件でもあるからだ。
 例えば大学は大半が4月入学で、企業も多くが新社員を4月に採用している。入学月の変更は入学試験や就職活動の日程にも影響する。小中高校を運営する自治体の会計年度は4月が起点で、関係法令などの変更は簡単に進まないという。学校だけ9月入学制を導入しても、社会構造が変わらなければ、若者の人生の節目に空白期間を生じさせることになる。
 全国知事会は、29日に開いた会合で、9月入学制の検討を国に求めることを決めた。しかし実際は「時宜にかなった対応」「拙速」などと各知事間で賛否が二分している。
 9月入学制は本来、こうした課題とメリット・デメリットを洗い出し、広範な議論を経て決定すべき事項ではないか。9月入学に合わせて新型ウイルスの流行が収束するとは限らない。オンライン授業の推進や入学試験の特例といった選択肢から、現実的な判断をすればいい。

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大型連休「家で過ごし、感染拡大防止を」

2020/4/30 木曜日

 

 異例の大型連休がスタートした。カレンダー通りであれば5連休となるが、新型コロナウイルスの感染拡大が続き、政府の緊急事態宣言の対象が全国に広げられているさなかだ。祭りやイベントの中止、商業施設などの休業が相次ぎ、東北6県と新潟県などは共同で旅行や帰省など県境を越える移動の自粛を強く訴えている。万が一にも身近な人に感染を広げないよう、慎重な行動が求められる。
 本県では大型連休開始と同時に、29日から遊興施設や集会所、スポーツ施設などを対象とした休業要請期間に入った。対象施設は幅広い業種に及び、休業要請の対象ではないものの、休業の協力依頼の対象施設を含めると相当数に上る。要請に応じた中小企業に支払う協力金の支給対象は約1万社と想定され、29日の商店街には「臨時休業」「休業要請受けます」などと書かれた張り紙が目立った。
 ただ例年なら稼ぎ時の大型連休だ。売り上げが全く見込めないのは厳しいだろう。事業者には休業要請に前向きに応じる声がある一方で、法人30万円、個人20万円とされた協力金には「足りない」という声も。青森市では飲食店経営者が事業者へのアンケートを基に「このままではどんどん廃業やスタッフの解雇というケースが出てくる」と危機感を示し、行政に支援を求める動きも出ている。
 県は27日、休業要請の協力金と各自治体の取り組みに対する財政支援として34億3455万円を追加した一般会計補正予算を専決処分し、早ければ5月中旬にも支給を始めるという考えを示した。
 各自治体も支援策を打ち出し始め、弘前市が従業員5人以下の事業者を対象に賃料1カ月分を補助するほか、休職者らを農業生産現場で雇用した場合の賃金の一部補助などを表明。平川市や青森市などでも賃料の補助、支援金の支給などを行うとしている。ただこのまま収束まで長期化するようなら、単発の支援だけでは足りないことは明白だ。倒産が多発してからでは遅い。事業者、従業員の雇用を守るために何ができるのか、感染拡大防止策と並行して早期の検討が必要だ。
 支えが必要なのは、事業者だけではない。「ステイホーム」が難しい人々、最前線で命を守るために奮闘している医療従事者はもちろん、保健所の職員らコロナの感染拡大予防に携わる人たちの負担は大きい。食料品や日用品を販売する店舗のスタッフなど、われわれの日常生活の維持に必要な業務を担う人らのことも忘れてはならない。少しでも負担軽減ができないか、支援策の検討を求めたい。
 そうした人らのことを考えれば、大型連休中に外出を控え、家にいることの何とたやすいことか。動画の配信など、自宅にいながら楽しめるコンテンツも増えている。われわれ一人一人の慎重な行動の積み重ねが早期の収束につながり、各方面の負担軽減につながることを願う。

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インターハイ等中止「過酷な決断も生徒の安全優先」

2020/4/29 水曜日

 

 収束の見通せない新型コロナウイルスの猛威が、高校生や中学生のスポーツの大舞台をも奪うことになった。
 全国高校体育連盟は26日の臨時理事会で、8月に東北から九州までの21府県で分散開催予定だった全国高校総合体育大会(インターハイ)の中止を決めた。これに伴い県高校総体も中止が決まった。いずれも中止は史上初となる。
 さらに、日本中学校体育連盟(中体連)は28日、今夏に東海地方で予定されていた全国中学校体育大会(全中)の初の中止を決めたと発表した。選手たちにとっては過酷な現実となる。
 半世紀以上の歴史を持つ高校生最高峰の舞台の中止を決めた全国高体連。感染対策のため26日にウェブ上で記者会見した奈良隆専務理事は「断腸の思い。申し訳ない気持ちでいっぱい」と述べ、苦渋の決断であったことを強調した。
 インターハイは選手たちにとって部活動の集大成の場。関係者は「仕方がない」と口をそろえるものの、「連覇達成を」「今年こそは全国一に」と夢の頂点を目指して日々厳しい練習に励んできただけに、大きな目標を失った今、「残念」「悔しい」「やり切れない」といった声が聞かれる。
 特に3年生にとって打撃が大きい。スポーツ推薦による進学を考える有力選手にとっては、活躍の機会を奪われ、関係者は「進路なども、どうやって決めていくのか」と困惑している。
 ただ、最優先すべき選手ら関係者の安心安全と命を守るための決断であったことは言うまでもない。新型ウイルスの感染拡大が続き、政府の緊急事態宣言で部活動が制限される中、予選を含む地域レベルの高校大会が全国的に続々と中止に追い込まれた。予選が行えなくても客観的な記録などに基づいて代表を選考できるよう、高体連は各地に通知し、規模縮小を含めた開催への道を探っていたが、現状は「連休明けに劇的に状況が改善される見込みは、なかなか期待できない」のが実情だ。
 インターハイ中止の代替策として、安全に部活動ができるようになった際は成果を発表する場の設定を検討するよう各都道府県高体連に要望する方針だ。県内関係者からも成果披露の場を求める声が上がっており、今後の状況を見極めながら、安全を確保した上で、できるだけそうした場を設けられるよう努めてもらいたい。中体連も同様だ。
 新型ウイルスが猛威を振るう中、今夏に予定された東京五輪・パラリンピックの延期が決定したほか、春の選抜高校野球大会も史上初の中止に追い込まれた。今後は、夏の全国高校野球選手権大会の動向に注目が集まるほか、秋の国民体育大会の開催可否を判断する時期も迫る。影響はどこまで及ぶのか。一日も早い新型ウイルスの収束を願うばかりである。

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鯵ケ沢町の観光「わさおの現状踏まえ模索を」

2020/4/28 火曜日

 

 不細工だけどかわいい「ブサかわ犬」として、長年県内外の人たちに親しまれてきた鯵ケ沢町の秋田犬長毛種わさお。推定年齢13歳で、寄る年波と体調不良には勝てず、4月から“隠居”状態となり同町のイカ焼き店「きくや商店」で養生生活を送っている。その愛らしい姿と飼い主だった故・菊谷節子さん(享年73)との交流が注目され、テレビ番組や映画でも紹介されるなど、人気と知名度は全国区となっている。結果、長年にわたって町の観光に大きく貢献してきた。隠居の報を受け、町関係者からはこれまでの活躍に感謝し、穏やかな老後を願う声が聞かれた。
 わさおの魅力を伝える活動を展開する「わさおプロジェクト」の工藤健さんと現在の飼い主で菊谷さんの長男である町議の忠光さんによると、わさおは今月に入って足腰が立たず、散歩もできない状態となった。町内の動物病院で診療を受けたが、人間で言えば90歳前後に相当する高齢であり、状態を考えた上で隠居させることを決断したという。これまでのようにイベントに出演し、愛嬌(あいきょう)を振りまくことは困難だが、これまでの生活ペースを崩さないため、忠光さん方からきくや商店に“出勤”し、従業員らに見守られながら過ごす生活を送っている。
 世間でこれほど注目を浴びた犬というのは、秋田犬の忠犬ハチ公、テレビCMで話題となった北海道犬のカイくん、わさおが主立ったところだろう。わさおに至っては、国内どころか外国人旅行者もきくや商店に会いに来るというほどの人気ぶりだ。
 わさおの観光への貢献というのは、自身がイベントなどで姿を見せたり、時折全国ネットのテレビで紹介されたりする活躍にとどまらず、町内観光施設などにあふれるその姿だろう。JR鯵ケ沢駅を降り立てば、正面には大きなわさおの写真が出迎え、町内で土産物を扱う施設では各種「わさおグッズ」が陳列棚に並ぶ。町職員らの名刺には、わさおのイラストか写真が配され、名刺交換の相手に強くその姿を印象付けている。
 つまり、わさおが鯵ケ沢町の観光に大きく貢献してきたということは裏を返せば、わさおに大きく依存してきたということも言えよう。同町には他にも多数の観光資源がある。岩木山や世界自然遺産白神山地の一部を抱え、新鮮な海の幸をもたらす日本海を有し、渓流釣りシーズンともなれば赤石川には町内外から多くの釣り客が訪れる。ただ、町外の人が鯵ケ沢といえば、連想する中で多くを占めるのは、大相撲で活躍した町出身の舞の海秀平さん、そしてわさおではないだろうか。
 こうした現状を踏まえて、将来の町観光の在り方をどうするのか。わさおが隠居した今、関係者が考え、模索する機会としてほしい。

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