社 説

 

高齢者の移動「持続する仕組みの構築を」

2019/12/21 土曜日

 

 超高齢化社会を迎えるに当たり、大きな課題の一つとなっているのが、高齢者の移動手段の確保だ。17日に青森市で高齢者の移動手段について考える勉強会が開かれ、関係者が県内外の取り組み事例を参考に今後の方向性について考えた。
 つがる市、佐井村など県内外4自治体・団体が取り組みを発表したが、予約型乗り合いタクシーや社会福祉協議会が主体となり、住民も有償ボランティアとなるドアツードアの住民輸送、道路運送法によらない、住民の助け合いによる無償の地域内交通など、さまざまな手法があることが分かる。地域で持続していける交通の仕組みをつくり上げるには、地域の実情に最も合うやり方を地域の人々が選択し、より便利になるように自らカスタマイズしていくしかないのだろう。
 勉強会で紹介された県外事例は今後の取り組みを考える上で参考になった。山形市では路線バス廃止後に住民が「交通サービス運営協議会」を設立、予約型乗り合いタクシーを運行している。住民ニーズを調査し、バス停の数を2倍近くに増やして利便性の向上を図ったという。岩手県北上市では乗り合いタクシーのほか、自宅から目的地まで運ぶ予約型自家用有償運送、道路運送法によらない地域住民限定の無料互助輸送など、同じ市内でも地区ごとに選んだ移動手段が異なり、市は運行経費を補助している。
 利用者のニーズは多様化しており、これからは市内一律の制度導入がますます難しくなってくるのだと思う。勉強会でも指摘されていたが、ニーズに合った仕組みを導入するには、使う側の住民が自分のこととして考えることが重要だし、行政側には住民が選択できる仕組みを用意して提示すること、さらには住民を動かすための働き掛けが求められる。
 住民が考え、行政が支援して地域内交通の仕組みが動き出しても、それで終わりではない。長く続けるためには、利用者が高齢化したり、地域のにぎわいポイントが変わったりと、変化に応じて常に進化させる必要がある。相当に手間がかかるが、手をかけなければ、人口が減り続ける中、地域内交通を維持することは難しい。核となって熱心に取り組んでくれる人材の確保も重要なポイントだ。
 近年高齢運転者の事故が社会問題となっているが、地方では車がないと外出に困る人は多い。バスがあっても不便だったり、高齢者がバス停まで歩けなくなったりするケースも増えているという。
 2025年の超高齢化社会到来は目前に迫り、待ったなしの状況だ。県は18年度から「青森県型地域共生社会」の実現を掲げ、高齢者の移動のほか、買い物や見守りなどの生活サービスの維持確保について部局横断で取り組んでいる。市町村とも連携を強め、住民が参画し、行政が支える仕組みを早急に構築し、取り組みをさらに前に進めてもらいたい。

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コンビニ出店「等しい購買環境享受へ努力を」

2019/12/20 金曜日

 

 コンビニエンスストアが1軒もない「コンビニ空白地帯」となっている国道101号沿い、深浦町関―秋田県八峰町八森町間約76キロの間に、新たに住民待望のコンビニが来年2月、オープンすることが決まった。深浦町深浦地区のJR深浦駅近くに、業界2位のファミリーマート(以下ファミマ)が「深浦駅前店」として出店、24時間営業の店舗とする。同店オープン後も約50キロにわたる空白地帯が続くわけだが、1店とはいえ、同町が住民の高い要望に応え、事業者に出店を促して実現に至らせた意義は大きい。引き続き、町側には住民サービスの向上を目指して、空白地帯の解消も含めて取り組んでもらいたい。
 深浦駅前店は同町唯一のコンビニ「ファミマ深浦関店」から南方約26キロの場所に立地。海岸にも近く、地域住民はもとよりJR五能線や観光バス、マイカーによる観光客の需要も期待される。町は出店に併せ、隣接地にコンビニの駐車場とは別に大型車4台、普通車10台が駐車できるスペースを整備し、コンビニの買い物客以外も駐車できる形とする。
 昼夜問わず、いつでも必要なものを購入でき、料金収納にも対応できるなど、コンビニで可能なことは数多い。都市部では、局所的に複数業者の店舗が立ち並んでいたり、数百メートルおきに立地されていたりと、もはや供給過剰の感じがある。このため、近年では新規店舗オープンがニュースに取り上げられることは、ほぼない。業界トップのセブン―イレブンの本県進出が報道されたことが記憶に新しいぐらいだ。
 しかし、都市部やある程度人口が多い自治体で、当然のようにあるコンビニが深浦町にはわずか1軒、しかも北部にしかなかった。今まで事業者がこの地域を出店場所として選択してこなかった理由は明らかでないが、人口が少ない、都市部から相当の距離があるなどの事情を考慮したのだろうか。
 同町は少子高齢化と人口減少が進んでいるが、そこを生活基盤とし漁師や農家、福祉施設関係者ら早朝や深夜の仕事に従事する人も多数いる。県境も抱え、国道101号を通じて多くの人が通る場所であり、風光明媚(めいび)な十二湖や県内一の水揚げを誇るマグロなど、魅力的な観光や食を求めて観光客が多数訪れる。そうした人たちが、日用品や土産品など買い物をする場所は複数存在するが時間的な制約がある。夜中や早朝に緊急に商品を購入する必要性はいつ起きるか分からない。つまり、都市部ほどではないにしろ、確実にコンビニの需要はある。
 住民はもとより、観光客の利便性が図られることになる今回の出店。事業者側の「費用対効果」の考えもあろうが、自治体側はそうした障壁の解決策を打ち出し、住民が等しく購買環境を享受できるよう努めてほしい。

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弘南鉄道支援「路線維持へ知恵を絞れ」

2019/12/19 木曜日

 

 弘南鉄道の弘南線(弘前市―黒石市間)が2017年度から赤字に陥っていることを受け、弘前市をはじめ赤字が続く同鉄道大鰐線(弘前市―大鰐町間)を含む2路線の沿線5自治体は、両線の維持に向けて支援の在り方を検討している。同市は今後、何らかの支援策を予算に盛り込む可能性もあるとみられる。
 検討は現在、担当者レベルで進められているという。公共交通の維持に向けて早期の合意を望みたい。
 同社の収支はこれまで、大鰐線の赤字を弘南線の黒字で補う形で推移していたが、弘南線も少子化や人口減少などに伴う利用客の減少で赤字に転じた。13年に一時廃止案が浮上した大鰐線では各種活性化策が講じられているが、利用客の回復までは至っていない。18年度段階で同社の経常損益は赤字が8年続いている。
 車社会と言われて久しいが、現在でも学生や高齢者、マイカー通勤ができない大人にとって、公共交通機関が日常生活に不可欠な移動手段であることに変わりはない。
 近年は身体機能に不安を抱く高齢ドライバーに運転免許証の返納が勧められているが、代替移動手段が担保されていなければその浸透はおぼつかない。
 より安全な交通社会の実現には、公共交通網の維持が求められる。同社の業務の公共性に鑑み、沿線自治体による物心両面での支援が必要だ。市町村レベルでの支援だけでは不十分ならば、県や国にも協力を打診する選択肢もあろう。
 同社は経営合理化策の一環として、今年10月に両線の大幅なダイヤ改正を実施した。弘南線は上下12本、大鰐線は同6本を減便。通学・通勤客への影響を最小限にとどめるよう配慮されたが、これ以上の減便は、利便性の低下と利用客減少の悪循環につながりかねない。
 同社の経営再建は自助努力だけでは限界がある。駅舎や施設は老朽化が進み、保線もおろそかにはできない。社員は限られた人員で日々の業務に忙殺されている。
 今後も人口減少が見込まれる中で、2路線の存続を図るのは容易ではない。関係機関には議論を深め、知恵を出し合ってほしい。
 もっとも、存続は沿線自治体の財政支援で事足りるわけではない。肝心の沿線住民が利用しなければ、優れたビジョンや企画も画餅に終わる。住民も自分たちの足を守るため、地域の実情に応じた公共交通の在り方を考え発信し、行動に移すべきではないだろうか。
 大鰐線では、車両内外のイベントや企画など、さまざまな取り組みが展開されてきた。弘南線でもイベント列車運行などが定着しているが、温泉、庭園、田んぼアートといった沿線の豊富な観光資源を直接利用客増につなげる試みが増えてもいい。

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大学入試改革「2本柱頓挫で先行き不透明に」

2019/12/18 水曜日

 

 大学入試共通テストの国語、数学の記述式問題について萩生田光一文部科学相は17日、2020年度導入の見送りを発表した。11月には英語の民間試験の導入を見送っており、足かけ6年にわたって進められてきた大学入試改革は、2本柱の頓挫で事実上の白紙状態になった。
 政府の教育再生実行会議が13年に「1点刻みの選抜からの脱却」を掲げ、新テストを提案。翌年の中央教育審議会が英語の「読む・聞く・話す・書く」の4技能を測るため民間試験の活用と、大学入試センター試験のマークシートで測れない思考力、判断力、表現力を見る記述式問題の導入を答申に盛り込んだ。グローバル化や少子高齢化が進展する中で、社会で活躍できる人材を育成しようという目的そのものは理解できる。しかし、その実施方法については当初から疑問視されていた。
 民間試験は家庭の経済状況や居住地による受験機会の格差が懸念された。記述式試験では50万人規模の受験者に必要となる8000~1万人ほどの採点者に学生アルバイトなども充てることや、18年の試行調査(プレテスト)で自己採点と実際の採点結果との一致率が7割程度にとどまったことで、公平性の確保などができないと指摘された。
 萩生田氏は記述式の見送りについて(1)実際の採点者決定が来年秋から冬になる(2)採点ミスを完全になくすには限界がある(3)自己採点と実際の採点結果との不一致の大幅な改善は困難―を挙げた。
 英語の民間試験では教育格差を容認するとも取れる「身の丈発言」で批判を浴びた上、受験生の不安払拭(ふっしょく)や公平な受験環境の整備には、現行スケジュールでは間に合わないとして、導入を2年延期。記述式問題は、以前から課題を指摘されながらも、ぎりぎりまで導入に向けて突き進んだ結果、生徒や大学などを振り回す格好となった。受験するはずだった生徒らに対し「迷惑を掛ける結果となり、申し訳ない」と陳謝したが、改革ありきが招いた混乱の責任は重い。
 有識者からは「混乱を避けられたのは良かった」「50万人規模での採点で正確さ、公平性を維持できない」との声のほか、国公立大のほとんどが2次試験で記述式を課していることを挙げて私立大の入試改善が必要との意見もあった。記述式を疑問視する声は省内にもある。
 萩生田氏は民間試験を「延期」、記述式試験は「見送り」と言葉を使い分けたが、2本柱の不備を認めたと言える。それでも「改革が果たす役割が大きいことに変わりはない」と意義を強調し、「まっさらな状態から」新たな入試制度の検討に入る意向を示した。ただ、指摘された多くの課題を解決し、誰もが納得できる手法を見いださねば、再び混乱を招くことになりかねない。先行きが不透明な中、一層慎重な議論が求められる。

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内閣支持急落「五輪イヤーでも解散か」

2019/12/17 火曜日

 

 時事通信の12月の世論調査で、安倍内閣の支持率が前月比7・9ポイント減の40・6%と急落、不支持率は5・9ポイント増の35・3%となった。首相主催の「桜を見る会」をめぐる問題や、相次ぐ閣僚の辞任が影響した。長期政権の緩みを指摘する声は強まる一方で、今後は政権のレームダック(死に体)化を避けるため、安倍晋三首相がいつ解散カードを切るかが焦点になる。
 まず「桜を見る会」の問題。首相が多数の後援会関係者を招いていたことに加え、首相夫人の推薦枠が存在したとの指摘もあり、公的行事の私物化との批判を集めた。首相自身、何年も続けるうちに招待者が膨らんだことを認め、「反省しなければならない」と語った。
 さらに前夜祭の不明朗な会計処理、招待者名簿の廃棄、マルチ商法を展開した会社の元会長への招待状送付などが明らかとなり、「適正な処理」を繰り返す菅義偉官房長官をはじめ、首相官邸には厳しい目が向けられている。
 また、「政治とカネ」に絡んで辞任した菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相は、それぞれ説明責任を果たさず、国会にも姿を見せていない。これには与野党問わず厳しい声が相次いでいる。
 野党はこぞって「“辞めたら説明しない”は政権の代名詞」と指摘する。政治家が責任を放棄することは、政治不信を増幅させ、若者の政治離れを加速させる。政治家は肝に銘じるべきだ。
 与党内では衆院解散の時期について、来年夏の東京五輪・パラリンピック後が有力視されている。自民党幹部は「当分(解散は)できないでしょう」と突き放す。ただ、別の同党関係者は「通常国会の冒頭で補正予算を成立させ、解散するのでは」と予想。オリンピック後だと自民党総裁任期、衆院任期とも残り約1年となり「追い込まれ感が強まる」と解説する。
 首相は連携を模索する野党の動向などを見極めながら、解散戦略を慎重に練るとみられる。臨時国会閉会を受けた9日の記者会見では「国民の信を問うべき時が来たと考えれば、解散・総選挙を断行することにちゅうちょはない」と言い切った。
 その国民はどう見ているのか。時事通信の世論調査では、通算の首相在職日数が歴代最長となった安倍政権について、長期化による「緩み」があると思うかを尋ねたところ、「ある」が68・6%に上った。実際、自民党内からは「疑惑や問題がわき出る典型的な政権末期状態」との声も漏れる。
 レームダック化を避けるためのはったりか、解散・総選挙で勝利し「信任を得た」と疑惑にふたをして憲法改正に突き進むのか。立憲民主党と国民民主党の合流協議も絡み、政局は今後、一気に緊迫化する可能性がある。

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