社 説

 

自民惨敗「首相の求心力低下は不可避」

2017/7/7 金曜日

 

 2日の東京都議選で自民党が歴史的大敗を喫した。告示前の先月末、安倍政権の支持率急落を基に「相当厳しい結果になる」と予想したが、想像を上回る惨敗に驚くと同時に、政権に対する国民の目が厳しさを増していることを実感した。
 ニュースで見たが、選挙戦の最終盤、東京・秋葉原で演説した安倍晋三首相が聴衆からの「首相辞めろ」というやじに対し、感情的に「こんな人たち」と指を指す場面があった。首相らしからぬ、それも1週間ほど前に「つい強い口調で反論してしまう姿勢を深く反省している」と話した当人とは思えぬ行動であり、口先だけの反省だったことを国民に示してしまった。
 敗因は強引な国会運営による「共謀罪」法の成立、「加計学園」問題、元政務官の暴言、防衛相の不適切発言など挙げれば数限りないが、これらは“安倍1強のおごり”の表れだろう。
 首相は「政権に緩みがあるのではないかという厳しい批判があったのだろう」と語った。そうではなく、反対や批判に対する首相や政権の過度な対応、それによって自民党内にさえ漂う「政権に物を言えない空気」を国民が感じ取った結果ではないだろうか。
 当然、首相の求心力低下は避けられない。2018年12月の衆院議員任期満了をにらんだ解散戦略への影響について、自民党内は「解散は遠のいた」との見方が支配的だ。
 さらに首相は18年秋の党総裁3選を前提に、憲法改正案を今年中に国会提出する意向を表明しているが、今後は論議の進め方について国民の目を意識せざるを得ず、自民党や公明党からは慎重な対応を求める声が上がっている。
 また、石破茂前地方創生担当相が都議選について「なぜこのようなことになったのか。分析して改善する努力を早急にやらないといけない」と執行部に総括を要求するなど、自民党内の“物言えぬ空気”も微妙に変わりつつある。
 急落した支持率を回復するためにも、“おごり”と受け取られかねない対応は避けたい。首相不在ながら加計学園の閉会中審査に応じたことは、これまでと違い、腰の引けた政権の姿勢とも取れる。
 話は変わるが、都議選期間中も閣僚や元政務官らの失言や暴言が連日テレビで取り上げられ、惨敗の一因になった。
 麻生太郎副総理兼財務相の新派閥旗揚げ会見では、山東昭子元参院副議長が「言動が政権すら揺るがしかねないことを考え行動する必要がある」、佐藤勉衆院議院運営委員長は「新派閥は礼儀、議員としての矜持(きょうじ)といったものを教育する場になる」と語った。
 自分の感情をコントロールできない首相も問題だが、ベテラン議員が嘆くほど若手の質が下がっていることの裏返しだろう。政界の将来が本当に心配だ。

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メバル膳3年目「人気定着へ一層の取り組みを」

2017/7/6 木曜日

 

 中泊町の「中泊メバルの刺身と煮付け膳」(略称・中泊メバル膳)が、デビューから3年目を迎えた。2015年7月3日の発売から2年間で4万食以上を売り上げ、県内ご当地グルメの代表格にまで成長した。
 同町で水揚げされるメバルはウスメバルという種類で、小泊地区は県内一の水揚げ量を誇る。漁獲したウスメバルは、高級ブランド「津軽海峡メバル」として首都圏などで高値で取引されている。メバル膳は、このような地元の水産資源を最大限生かそうと考え出されたもので、尾頭付きの刺し身、熱々の煮付けが瞬く間に人気を集めた。地元漁港を不漁から救った魚として、「テンカラ(天からの贈り物)」と昔から呼ばれるメバルの価値は一層高まった。
 ウスメバルの旬は刺し網漁最盛期の6~8月ごろとされ、メバル膳を味わうのであれば、今が絶好の時期。町内の関係者は、さらに知名度を向上させようと躍起になっている。その切り札と言えるのが、姉妹品「中泊メバルでチン!」(略称・メバチン)の発売だ。
 メバル膳の献立に含まれ、知られるようになったメバルの煮付けをレトルトにした商品で、常温で約1年間保存できるようになっており、メバルの目玉が見えるユニークなパッケージを採用した。
 メバル膳を食べるために中泊町を訪れた人がメバチンを土産として買って帰り、周囲に配るなどすれば、PR効果は非常に大きい。メバチンを食べたことをきっかけに同町を訪れ、メバル膳を食べる人が現れることも十分考えられる。メバル膳、メバチンで誘客の好循環が生まれることを期待したい。
 改めて言うまでもないことだろうが、地域おこしや観光振興において「食」は必須要素。それ故に、ご当地グルメブームは衰えを知らず、新たな商品が次々と登場している。
 メバルの人気をさらに定着させるには、メバチンのような派生商品をさらに開発することも一つの考え方だろう。商品をシリーズ化することで、町関係者が強調する“メバル効果”をさらに高めることも可能なのではないか。
 欲を言えば、広く知られるようになったメバルがどれほど地域を潤し、住民に親しまれてきたかを消費者に知ってもらう取り組みにも力を入れてはどうか。地元にとって、メバルは生活の糧となる水産資源であるとともに、それを使った料理などは文化の一つでもあろう。
 このようなことを踏まえると、地元の若手漁師らがこれまでに企画した「メバルの網外し体験ツアー」などは非常に有意義と思われる。消費者が漁師と交流し、質の高いメバルを漁獲できる理由、メバルのおいしい食べ方などについて理解を深める。こうして食べるメバルはまた一味違うのではなかろうか。

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高齢ドライバー対策「実情と意志反映した車社会を」

2017/7/5 水曜日

 

 警察庁によると、高齢ドライバーの認知症対策が強化された改正道路交通法が今年3月に施行されて以降、75歳以上の人による運転免許証の自主的な返納は、5月までの81日間だけで約5万6000件に上った。
 今年1~5月の自主返納は約10万6000件。昨年1年間の約16万2000件を大幅に上回るペースという。認知症や運転時の誤操作などを原因とした高齢者による事故の社会問題化で関心が高まったことが要因の一つに挙げられているが、改正法施行が高齢ドライバーへ心理的影響を与えたかもしれない。
 1~5月に発生した75歳以上の交通死亡事故は151件で、前年同期比で14・2%減少し、過去10年で最少。死亡事故に占める75歳以上の割合は12・2%で、前年同期を0・8ポイント下回った。改正法が一定の効果を上げているとみていい。
 一方で、健康な高齢者も身体機能や反射神経は個人差が大きい。「高齢ドライバーは危ない」という社会的認識が過度に強まることで、運転のみならず日常生活そのものの萎縮につながらないか、いささか心配でもある。特に公共交通機関が少ない地方では、車が生活の足として欠かせない。高齢化社会が指摘されて久しい現在、一人ひとりの適性に応じた柔軟な対応が求められよう。
 警察庁の有識者会議が、高齢ドライバーの事故抑制策として、自動ブレーキや最高速度の制限機能といった先進安全技術を搭載した車の運転を条件とする限定免許の導入を検討するよう提言した。同庁は具体策の整備を進める方針という。
 先進安全技術の具体的な機能や「限定」を適用させる範囲は今後検討されるだろうが、適用範囲の設定にも柔軟さを求めたい。運転の必要性に迫られながらも身体機能の面で若干の不安を抱えている人に門戸を開くことにつながるならば喜ばしいことだ。
 ただ限定免許は、各ドライバーに認められている権利に制限を加えることになる。理解を得られるまでは、ある程度の時間を要するだろう。安全技術の各種機能には、統一的な基準が求められる。安全技術登載車への買い換え費用も、年金生活世帯には大きな負担だ。実際に普及させるならば、税を含む費用の負担軽減策は欠かせない。
 同庁が2015年度に実施した自主返納に関するアンケート調査によると、自主返納者のために必要な支援として、運転継続者・自主返納者ともに最も多く挙げたのが、乗合タクシー、コミュニティーバス、タクシーの割引など「交通手段に関する支援の充実」だった。当面は支援の充実を図りながら将来的に限定免許を導入することで、高齢ドライバーの実情と意志が反映された車社会になればいい。同庁に限らず、関係各省庁が汗をかくべき課題だろう。

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東京都議選「国政揺るがす“都民”躍進」

2017/7/4 火曜日

 

 東京都議選が2日投開票され、小池百合子知事率いる地域政党「都民ファーストの会」が第1党に躍進。公明党が都民ファーストと協力したことなどで、知事支持勢力は定数127の過半数を上回る79議席を獲得した。一方の自民党は国政で抱える問題が響き、過去最低の23議席と歴史的大敗を喫した。都政と国政は違うとはいえ、「安倍1強」を大きく揺るがしたのは確かだ。
 大勝を受けて小池知事は「当たり前の都政を都民が取り返す瞬間。改革の姿勢を評価していただいた。それだけ責任も重い」と表現した。しかし、勝因全てが小池都政への評価と受け止めるのは早計だ。時事通信の出口調査によると、自民党支持層票の約2割が都民ファースト候補に流れており、少なからず自民党自滅の恩恵を受けたと推測できる。
 政権内では安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題など、国民に不信感を抱かせる問題が相次いだ。都議選で応援演説に立った安倍首相に対しては、一部聴衆が「帰れ」などと激しいブーイングを浴びせ、党内からも「逆効果だった」との声が漏れた。
 大敗から一夜明けた3日午前、安倍首相は記者団の質問に「大変厳しい審判。安倍政権に緩みがあるのではないかという批判があったのだろう」と総括し「国民の信頼回復に努めたい」と述べた。ただ、加計学園問題に加え、稲田朋美防衛相の失言、女性議員による政策秘書への暴行―と、議員の資質や安倍首相の任命責任などを問う声は大きくなるばかりだ。1強に慢心してきた自民党が、失った信頼を取り戻すのは容易ではない。
 一方、小池知事も3日午前に記者団の取材に応じ、同日付で都民ファーストの代表を退く意向を表明した。知事支持勢力の過半数確保で「二元代表制」が機能しなくなるとの指摘に配慮した格好だが、小池知事人気にも後押しされて当選したのだから、実効あるものになるかは不透明だ。3年後の東京五輪・パラリンピックや豊洲市場問題など、全国的に関心の高い課題が山積している。都政をチェックする新人都議の動向は、都民ファースト、小池都政の評価対象になる。
 自民党の惨敗や、都民ファーストと公明党の協力で生じた自公の溝など、都議選は国政に激震をもたらした。政府・自民党が、加計学園問題などで野党側が求める閉会中審査に応じる方向で検討に入ったのも、大敗で揺らいだ党内の危機感の表れだろう。
 ささやかれ続ける都民ファーストの国政進出について小池知事は否定したが、都議選で大きな影響力を見せつけたことを考えると非現実的とは言い切れない。この勢いを保ったまま国政に臨めば、安倍政権にとって脅威になり得る。次期衆院選への動きに注視する必要がある。

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シードルとガレット「文化広がり弘前の魅力創出」

2017/7/1 土曜日

 

 全国一のリンゴ産地である弘前市。生産量はもちろん、品質も全国、世界的な評価を受けている。それでも他産地との競争は激しく、リンゴ以外にも国内外の多種多様な果実が市場に出回る中、生果だけでは、販路の拡大に限界が生じることも想定しなければならないだろう。
 生果以外のリンゴ加工品市場の拡大がリンゴ産業全体の底上げを図る意味でも重要な鍵を握るといえるだろう。
 リンゴ果実を原料とする酒「シードル」は、こうした加工品の中でも有望格といえるのではないか。アルコール度数が控えめで飲み心地もよく、男性のみならず、女性受けもいい。色合いもカラフルで飲み口もスマートだ。大手酒類メーカーも本県産リンゴを使ったシードル商品の発売に力を入れており、新商品を店頭でよく見掛ける。国内市場も拡大しているようだ。
 弘前市もシードルの産業化に熱心に取り組んでいる。大手メーカーの商品に加え、地元や地域の“地シードル”も酒類を増している。市内では生産者らによる勉強会などが開かれ、品質向上に日々研さんが積まれている。シードルを産業化するに当たり、重要なのは地元での消費拡大だろう。シードルを飲むことができる店舗は市内でも増えてきたが、それに合わせる食事やつまみとなると、なかなか「これ」と言うものが浮かばないという人も多いのではないか。
 このほど弘前でのシードルの注目の高まりを受け、有志による「弘前シードル倶楽部」が発足した。同倶楽部では、シードルの本場・フランスでシードルとセットで食されている「ガレット」の食文化定着を目指すための普及、啓発に取り組むという。
 ガレットはフランス北西部のブルターニュ地方の郷土料理。そば粉を原料としたクレープ生地で、現地ではシードルと一緒に食されることが多いという。
 市内のフランス料理店で開かれた初会合では、地元メーカーが提供したシードルなどに合わせて卵とハム、チーズという定番のものや香ばしく焼き目をつけたサバにタルタルソースをたっぷりと乗せたシェフオリジナルのものが並び、出席者が本場の組み合わせを堪能。評判も上々だったようだ。
 同倶楽部は旬のシードルとともにガレットを味わう定例会などを随時開催する予定だという。また弘前観光コンベンション協会も今年中にガレットを楽しめる店舗を掲載するマップを作成予定で、こちらもシードルとガレットのPRを進めていく。弘前市には吉野町の煉瓦倉庫を活用した仮称・弘前市芸術文化施設にシードルカフェを併設する計画もある。シードルとガレットが楽しめる文化が定着すれば弘前の街の魅力がまた一つ増すことになる。シードルとガレット文化の広がりに期待したい。

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