社 説

 

若者向けの選挙戦略「若者の心をつかむ政策発信を」

2019/6/15 土曜日

 

 今夏の参院選に向け、県内では自民党公認で再選を目指す現職の立候補予定者と、野党統一による立候補予定者の一騎打ちになる公算が大きく、各党とも着々と戦いの準備を進めている。一方で「選挙イヤー」となっている今年の県内は、各選挙の結果が出るたびに投票率の低迷が課題となっている。
 年代別の投票率は高齢者世代が高く、若者の政治に対する関心をどのように高め投票行動に移してもらうのか、多くの自治体が頭を悩ませているところだ。そのような中、目の付け所としてユニークだが、気になる動きがある。インターネット交流サイト(SNS)で、検索を容易にするハッシュタグ付きのワード「#自民党2019」プロジェクトだ。
 若者に関心を持ってもらうことを目的に、音楽やファッション、アートなどと連動させた情報発信に挑戦している。人気ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズでキャラクターデザインを手掛けるなど、若者に認知度の高い天野喜孝氏を起用し、「未来を切りひらくサムライ」をテーマに描いた安倍晋三氏のイラストを、「格好いい」と受け止めた若者も多かったことだろう。
 また若い女性に人気の雑誌「ViVi」ともウェブ上でコラボレーションを展開。目指したい社会としてモデルたちが「いろんな文化が共生できる社会に」「人を見た目で判断しないでほしい」「広い視野を持って」などのポジティブなメッセージを発し、モデルたちの考えたメッセージ付きプリントTシャツに、自民党のロゴマークを入れてプレゼントする企画もあった。
 若者の関心を高めるという意味で、目の付け所は悪くない。若者が政治に関心を持ち、政治を語ることに「おしゃれ」「格好いい」というイメージを持たせる戦略はあってもいい。であるならばこれは、投票率アップに向けた国全体のキャンペーンとして展開した方が良かったのではないだろうか。
 参院選に向け、自民党が若者向けのイメージアップ戦略を展開するのは当然のことだが、政策や争点と絡めたイメージアップではなく、「おしゃれで格好いい」と感じさせるだけの戦略で推し進めるのであれば、政党としてむしろ邪道なのではないか。
 若いモデルたちがキャンペーンで発信した「差別するのではなく、他の文化を認めて」「他人の価値観を理解し、尊敬し合えること」といった前向きなメッセージも、夫婦別姓や同性婚に慎重なスタンスを示す自民党の方向性とは、やや異なるようにも見える。
 自民党には自民党の「格好よさ」があるはずだ。与党として説明責任を果たし、山積する課題に真摯(しんし)に向き合う。その姿勢をこそ強く打ち出し、若者の心をつかむメッセージを発してほしい。

∆ページの先頭へ

レジ袋無償配布廃止「工夫求められる削減の道」

2019/6/14 金曜日

 

 環境省は、全国のスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどでのレジ袋の無償配布を法令で一律に禁じる方針を明らかにした。社会問題化しているプラスチックごみの削減につなげる狙いだという。原田義昭環境相は、来年の東京五輪開催までに制度化を図る考えを示している。
 加工、成形が容易で、容器や服飾類など、さまざまな用途に使うことができるプラスチック製品は、世界中で大量に生産、消費され、わが国でも高度成長期を支えた工業製品の一つと言えるのではないか。
 だが世界中で廃棄されたプラスチック包装容器の量は1億4000万トンにも上るとされる。廃棄ごみが大量に発生する一方で、リサイクルされる比率は低く、多くは埋め立て、投棄されており、生態系に悪影響を及ぼすと懸念されている。また河川や海に流出した廃プラで生き物が傷つけられるケースも問題視されているほか、先進国で処理し切れない廃プラが東南アジアに違法に輸出され、輸出先で反発を招くなど、廃プラが国際的な問題となっているケースもある。
 今回の環境省の方針は、こうしたプラスチックごみの問題に、一つの流れとなる方向性を示したものであり、今後の取り組みが注目される。
 本紙は、こうした環境省の方針に対する津軽地域の事業者や消費者の反応を取材している。スーパーやドラッグストアからは「これまではサービスの一環として無料配布していたが、環境配慮の意向には賛同する」「年配客からの希望が多く、現状では無料を維持する意向だが、国からの指示があれば真摯(しんし)に受け止めたい」など、理解を示す事業者の声が多く聞かれた。消費者からも「消費増税と同じでやむを得ないと受け止めている。多少不便になっても子どもの世代のため
にと考えれば」と肯定的な声が聞かれた。
 津軽地域では全国に先駆けて無償レジ袋の廃止に踏み切ったスーパーなどの業者が複数あるので、首都圏などに比べ、かえって抵抗の少ない人が多いのかもしれない。一方で、記事の中でも触れられていたが、ちょっとした物を買い求めるコンビニエンスストアでの無償レジ袋の廃止には、難色を示す意見もあった。レジ袋をごみ袋として活用している市民も多いことから、こうした人たちからは反発の声も聞かれるだろう。
 深刻化するプラスチックごみ問題に対し、実効性のある方策が求められるのは、やむを得ない時代の流れと言えるだろう。環境省の方針はおおむね理解できるが、ここまで市民生活に密着したレジ袋をどのように削減していくかは、まだまだ知恵を絞る必要がある。行政、事業者、消費者が、それぞれの立場で考え、実行していく環境づくりが求められる。

∆ページの先頭へ

県内18年人口動態「人口減少社会への対策は急務」

2019/6/13 木曜日

 

 厚生労働省が公表した2018年の人口動態統計(概数)によると、本県の出生数は前年比232人減の7803人で、初めて8000人を下回った。出生数を死亡数が上回る「自然減」は20年連続、マイナス幅は1万133人と、初めて1万人を超えた。
 全国の統計を見ても傾向は同様で、出生数は過去最少を更新、自然減は初めて40万人を上回った。少子高齢化の時代、自然減は避けられないとはいえ、人口の減少傾向に歯止めがかからないばかりか、ペースが年々加速しているのは極めて厳しい状況と言わざるを得ない。現状改善に向け、本腰を入れて取り組む必要がある。
 本県の出生率(人口千人対)は6・2で前年を0・1ポイント下回り、全国順位は44位。女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を表す「合計特殊出生率」は前年と同じ1・43で全国平均を0・01ポイント上回り、全国順位は35位と一つ順位を上げた。死亡数は前年比361人増の1万7936人。人口千人対の死亡率は同0・5ポイント増の14・3で、全国平均より3・3ポイント高く、全国ワースト7位から4位に悪化した。
 死亡原因の最多はがん(悪性新生物)で、心疾患、脳血管疾患と続き、肺炎を含めた四つの死因で全体の6割を占める。中でも、がんによる死亡率は過去最高を更新し全国順位も6年連続2位だった。糖尿病の死亡率は1位、脳血管疾患は4位などと、依然として生活習慣病対策が課題である現状が明らかになった。
 本県は飲酒や喫煙率、食塩摂取量などが全国平均を上回り、働き盛り世代(40~50代)の死亡率が高いことが課題となっている。こうした現状の改善に向け、県は健康経営に取り組む事業所の認定などに努めているほか、今年度からは死亡率の高い第1次産業者への対策として、漁協と農協の女性組合員を対象にしたセミナーや、糖尿病と歯周病を関連付けた医科・歯科連携の態勢の構築に取り組む方針だ。
 県内ではほかにも、弘前大学COI(センター・オブ・イノベーション)の研究チームが「寿命革命」の実現に向けた取り組みを展開、産学官民が連携して健康長寿社会を目指している。
 平均寿命延伸に向けた近年のこうした施策展開が少しずつ浸透し、県民の意識が変わってきているのは事実だ。その意識を行動に移し、成果が数字に表れるまでには、長期的な視点で取り組みを継続していく必要がある。出生数についても同様だ。
 また、自然減のみならず、転入・転出の社会動態の影響を最小限に抑えるための施策も一層重要といえる。人口動態で明らかになった現状を踏まえ、急速に進む人口減少社会への対応策を改めて真剣に考え、取り組む必要がある。

∆ページの先頭へ

老後資金2000万円「政争の具で終わらせるな」

2019/6/12 水曜日

 

 定年退職後に無職で年金収入に頼る高齢夫婦の場合、月平均約5万円の赤字が生じ、30年後の95歳まで生きるには2000万円の資産取り崩しが必要―。「高齢社会における資産形成・管理」に関する金融庁の報告書で示された試算は波紋を呼んだ。あくまでも試算で、家計事情や生活スタイルはそれぞれ異なるが、2000万円を貯蓄できる世帯はどれぐらいあるだろう。
 現状のままでは年金給付水準の向上は望めない。退職金制度がある企業の割合は徐々に低下し、給付額もピーク時から3~4割程度減少していることは、報告書にも記されている。年金収入だけで暮らせる生活は将来ますます難しいだろうと想像はできても、「そんなに必要なのか」と驚く。将来的には2000万円でも足りないのではと不安は増す。
 報告書では「人生100年時代」の暮らしを金銭面で補完する「自助」の必要性を説き、「長期」「積み立て」「分散」を基本とする現役時代からの投資などを勧めていた。それ自体は生活防衛の観点から現実的な考え方の一つと言える。試算はそれらを促すための“呼び水”だったのだろう。
 しかし、老後の生活を支える主柱であるはずの公的年金がそれほど頼れない制度なのか。これでは国が責任を放棄したと言われても仕方あるまい。これから年金を払う意味があるのかという憤りも、もっともに思われる。
 2004年の年金制度改革で現在の年金財政の枠組みが出来上がった時の「100年安心」は、制度の維持に関するうたい文句であって、結果的に国民生活を向いてはいなかった。
 試算について、安倍晋三首相は「不正確で誤解を与えるものだった」と釈明。麻生太郎金融相は「著しい不安と誤解を与えた。政府のスタンスとも合わない」として報告書を受け取らない姿勢を表明した。
 だが、報告書を受け取らなかったとしても、将来の見通しが好転するわけではない。もし試算が不正確だったなら、投資へ誘導する同庁の恣意(しい)性が問われる。不安の幕引きを企図した発言であろうし、その裏には夏の参院選の存在も透けて見える。
 参院選をにらんだ思惑という点では、追及姿勢を強める野党も同様だろう。
 年金は国民生活に直結する課題であり参院選の争点となるのはうなずける。しかし、言葉尻を捉えるだけの政争の具に終始させてはいけない。例えば、少子高齢化問題などを含めて向き合わなければ根本的な改善は望めまい。
 年金財政に関する5年に1度の検証結果の公表が今夏予定されている。老後の生活を支える主柱たり得るならば、不信・疑念を払拭(ふっしょく)するためにも公表は早い方が良い。

∆ページの先頭へ

国産旅客機MRJ「競合社事業買収でヤマ場に」

2019/6/8 土曜日

 

 国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」開発を進めている三菱重工業傘下の三菱航空機は7日、カナダ航空機大手ボンバルディアの小型機事業買収を検討していることを認めた。MRJには度重なる開発の遅れでマイナスイメージが付きまとってきたが、買収が実現すると視界は一気に開けることになる。
 買収に踏み切る背景の一つに、当初2013年納入を予定しながら開発が大幅に遅れていることがある。三菱重工は5度目の開発延期を発表した17年、開発前の情報収集やリスク分析の不足を反省点に挙げていた。加えて機体納入後に重要となる整備・補修といった保守事業への対応も不十分と、課題は少なくない。
 三菱重工は昨年、三菱航空機に対する財政支援のほか、体制強化を進める方針を表明。開発の遅れで生じたマイナスイメージを払拭(ふっしょく)するため、今月17日開幕のパリ航空ショーでMRJの名称変更を発表する計画で、新たな名称は「スペースジェット」になる見通しだ。
 1960年代に開発されたプロペラ機「YS11」以来、約半世紀ぶりの国産旅客機で、航空機産業育成を掲げる政府も後押しする「日の丸ジェット」だが、競合他社に後れを取り、仮契約を含む受注は400機余と、採算ラインの数千機に大きく及ばない。三菱航空機は開発が最終段階の90席級に加え、最大市場の北米で需要が見込める70席級の開発にも力を入れ、成長を続ける格安航空会社(LCC)からの受注拡大を狙うなど、販路拡大へ動きだした。
 こうした社内の体制整備に続く劣勢挽回(ばんかい)策と考えたのがボンバル社の小型機事業買収。同社には既に小型機の納入実績があり、ブラジルのエンブラエルとともに、小型機市場で「2強」に数えられる。ボンバル社の整備拠点と人員などを手中に収められれば、一気に課題解決できると踏んだようだ。
 また、保守事業で支援を受ける米航空機大手ボーイングに、エンブラエルの小型機事業を傘下に収める計画があることも判断材料になったとみられる。自前で対応できる環境を確保できれば、仮にボーイングとの関係が変化しても大きな影響を受けずに済む。
 ただ、ボンバル社は三菱航空機にとって強力な競合相手。しかもボンバル社は、三菱航空機と同社に協力する米エアロテックが小型機開発に携わった元従業員らを採用し、米加当局の旅客機認証に関する重要情報を不正に入手したとして、18年に米ワシントン州シアトルの連邦地裁に提訴。三菱航空機側はボンバル社が開発を阻害したと反訴している。
 「奇策」と報道された小型機市場でのライバル、そして法廷闘争の相手に仕掛ける買収交渉。1年後のテークオフを控え、大きなヤマ場を迎えた。

∆ページの先頭へ

Page: 1 2 3 4 5 ... 125

当サイトでは一部、Adobe Flash・PDFファイルを使用しております。閲覧にはAdobe Flash Player・Adobe Acrobat Readerが必要です。最新のプラグインはアドビ社のサイトより無料でダウンロード可能です。

  • Adobe Flash Player ダウンロードセンター
  • Adobe - Adobe Reader ダウンロード