社 説

 

リンゴの販売促進「3年連続で年間1000億円達成を」

2017/2/17 金曜日

 

 毎年2、3月は県産リンゴの主力「サンふじ」取り扱いの最盛期。関係団体は今年も全国各地でPR活動に躍起となり、県産リンゴの年間販売額1000億円の3年連続達成を目指している。
 リンゴの消費地市場はこの時期から、周年販売が可能な県産がほとんどを占めることになる。しかし、今年はミカン、イチゴといった競合果実も順調に出回り、果実全体の価格が落ち着いているため、15年産リンゴのように「一人勝ち」ということにはならないようだ。
 それでも、4月以降に有袋ふじを有利に販売するには、サンふじを順調に販売することが欠かせない。本県のリンゴ関係団体もこの点を強調し、大都市圏の青果会社などに協力を求めている。
 今月13日からは、県産リンゴをPRするお笑いタレント渡辺直美さんのポスターなどを車体に貼った列車が東京都内のJR山手線で運行を始めた。運行は26日まで続くという。
 これは県りんご対策協議会が初めて行った企画。都心を走る列車を目にする人は数知れず、PR効果は絶大だろう。同協議会によると、試算では運行期間中に約1500万人がこの列車を目にするという。
 山手線を走る列車は全部で52編成あるが、ポスターを貼った列車は1編成だけ。目にした人たちには“幸運”が訪れる―といった触れ込みもなかなかしゃれている。
 ポスターには、赤と黄色のリンゴがたわわに実った緑色の“巨大アフロヘア”の渡辺さんが印刷されており、非常に印象深い。駅で乗り降りする人たちの興味を引くことは間違いないだろう。
 同協議会はここ数年、お笑いで有名な芸能プロダクション・吉本興業とタイアップして県産リンゴのPR活動を展開しており、渡辺さんを起用しているのもそのためだ。
 「若者の果物離れ」を指摘する声もある中、若年層の人気を集めるお笑いタレントに県産リンゴの機能性などをアピールしてもらい、国内消費の増加につなげようとしているのである。
 大消費地にとって、県産リンゴはまさにブランド品。大玉で良食味、着色も言うことなし。これが多くの人が持つイメージだ。しかし、この先も消費量を維持できるとは限らない。だからこそ、県りんご対策協議会は新たな試みをしているのであろう。
 消費地のエリアによっては独自に県産リンゴのコマーシャルを作成し、販売促進に努めている例もあるようだ。産地である本県と消費地が取引を長年続ける中で築いた信頼関係が背景にある。
 ここは何としても、販売金額1000億円を3年連続で達成したい。本県リンゴ産業関係者の底力に期待しつつ、目標の達成を楽しみに待ちたい。

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津軽の冬季イベント「企画力と広域連携で誘客を」

2017/2/16 木曜日

 

 弘前城雪燈籠まつりが4日間の会期を終え、閉幕した。会期中は11日が行楽日和となり、11万人を記録。ただ、全体では天候にそれほど恵まれなかったこともあり、人出は昨年と同じ23万人(まつり本部発表)となった。冬季の観光イベントは天候に左右されやすい。集客に向けた試みも多かった今年の祭りとしては、まずまずの結果といえるのではないか。
 試みの中で目立ったのが、人気アニメとのコラボイベントだろう。今年は弘前市を舞台にしたアニメ「ふらいんぐうぃっち」とコラボしたプロジェクションマッピングの投影や、声優トークショーなどが話題を呼び、県内外からファンが多く訪れた。アニメの舞台・イメージとなった土地をファンが訪れる「聖地巡礼」と呼ばれる現象が近年、ブームとなっており、地方・地域の新たな観光資源として定着し始めている。
 祭りの目玉の一つである大雪像は「ふらいんぐうぃっち」の劇中に「喫茶コンクルシオ」として登場した「藤田記念庭園洋館」を初めて採用。その大雪像に投影されたプロジェクションマッピングには、主要キャラクターと参加者が“共演”する仕掛けも施された。このほかアニメ関連のプレゼントや劇中シーンを再現した撮影スポットも用意され、多くの市民らでにぎわった。
 雪燈籠まつりは、冬期間雪に閉ざされる弘前にあって市民や家族連れが気軽に楽しむことができる“市民の祭り”だ。ただ、それと同時に観光都市弘前の冬季イベントの核に位置付けられるものであり、対外的に発信できる魅力の充実にも努めなければならない。
 アニメとのコラボはアニメファンや若い世代を祭りに取り込む意味でも有望なものだろう。来年以降も新たな仕掛けづくりを進め、飽きのこない祭りにしてもらいたい。
 今年の祭りは自治体の広域連携も新たな展開をみせた。「ジャパンデザインウィーク」の自治体連携事業の一環として、弘前市、大鰐町、田舎館村、佐賀県嬉野市の4市町村によるセレモニーが祭り開催中の弘前公園で行われ、弘前産リンゴと嬉野市の銘茶「うれしの茶」をコラボしたアップルティーの試飲会などが行われた。セレモニーに参加した田舎館村では「冬の田んぼアート」が9~12日に行われ、幾何学模様のスノーアートが来場者を魅了。この他、五所川原市の地吹雪体験や津軽鉄道のストーブ列車など、津軽地方には冬や雪をキーワードにした観光資源が多い。
 津軽の雪は近年、飛躍的な伸びを見せるインバウンド観光でも注目されるアイテムとなっている。津軽各地の冬のイベントとスキー、温泉などの観光資源を組み合わせれば、海外の観光客を呼び込む力となる。広域観光の視点もさらに深化させ、誘客につなげたい。

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北朝鮮問題「暴挙抑止へ日本が主導を」

2017/2/15 水曜日

 

 日米首脳会談は、安倍晋三首相とトランプ大統領が過剰とも言えるほどの親密さを見せ、「揺るぎない同盟関係」をアピールした。通商関係や米軍駐留経費などをめぐり、かねて強硬な日本批判を繰り返してきたトランプ氏の豹変(ひょうへん)ぶりに驚かされたが、まずは安堵(あんど)したというのが多くの国民の本音ではないか。
 共同声明では経済面について貿易の枠組みや投資・雇用拡大を協議するため、麻生太郎副総理兼財務相とペンス副大統領らによる分野横断的な経済対話の創設で合意。トランプ政権が環太平洋連携協定(TPP)離脱を決めたことから、今後、日米間で自由貿易協定(FTA)の交渉に入るかどうかが焦点となる。
 トランプ氏は「自由、公正で双方に利益となる貿易関係」を目標に掲げており、FTAを呼び掛けてくる可能性は高い。日本側は、アジア太平洋圏の経済ルールを日米主導で構築する意義を強調し、米国のTPP復帰を検討する下地作りを狙うというが、現状は厳しい。
 FTA交渉となれば、米側がTPP合意を上回る市場開放を求めてくる恐れが大きい。TPP交渉で日本が「聖域」として関税を守ったコメや牛・豚肉などの重要農産物が、再び主戦場となることは間違いない。政府にはTPP合意を防衛ラインとして、交渉してもらいたい。
 トランプ新政権と、ひとまずは良好な同盟関係がスタートした中、北朝鮮が相も変わらぬ手法で日米を挑発してきた。新型の弾道ミサイルを日本海に発射した。首脳会談直後だっただけに日米へのけん制であることは間違いないだろう。
 日米首脳が速やかに共同で記者会見し、北朝鮮を非難したことは高く評価できる。会見では言葉少なだったトランプ氏だが、その後に「大きな問題であり、強硬に対応する」と明言。米側は「同盟国の国土と国民を脅威から守るため、必要なあらゆる手段を講じる」とし、オバマ政権時代の「戦略的忍耐」から政策変更する構えを示したと言えよう。
 国連安全保障理事会も、安保理決議に対する「重大な違反」として強く非難する声明を発表した。ただ、安保理はこれまで6回の制裁決議を採択してきたが、北朝鮮による核・ミサイル開発の抑止には至っていない。
 安倍首相は14日の衆院予算委員会で「日米がよく協力し、日米韓や日米韓中、国連の場を活用し、北朝鮮の政策を外交によって変更させていく」と語った。その方向性は理解できる。
 だが、韓国は大統領の弾劾で揺れ続け、米国もトランプ政権が発足して間もない上、大統領側近が辞任するなど不安定な状況。北朝鮮抑制のカギを握る中国を巻き込み、日米韓が結束して断固たる対応を打ち出すために、日本が主導的な役割を担うことが求められており、その手腕が試されていると言えよう。

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こけし工人に新星「衰退する伝統文化の救世主」

2017/2/11 土曜日

 

 黒石市の30代女性がこけし工人を目指して奮闘している。津軽こけし工人会の会長を務め、伝統継承に尽くした父の死をきっかけに、抱き続けてきた工人になる夢に挑戦する決意をしたという。伝統工芸・文化は全国的に高齢化と後継者不足が深刻化。津軽系こけしも例外ではなく、関係者の期待は大きい。
 同市の津軽こけし館によると、津軽系こけしは明治の初めに確立されたといい、1930年代の第1次ブーム、戦後の高度経済成長を背景に東北地方への旅行者が増えた70年代の第2次ブームを経験。東日本大震災前後に始まった第3次ブームは現在も衰えを知らない。
 第3次ブームは「こけし女子」と呼ばれる女性たちがけん引している。お気に入りのこけしを購入する際は「この子を連れて帰る」と表現する。彼女たちにとってこけしは家族と同じなのだろう。さらに、好きな工人が参加する催しには、有給休暇を取得し、遠方からも駆け付ける。夜行バスを利用して交通費を抑えた分を、こけしの購入費に充てるのだという。アイドルの追っ掛けに近い世界のようだ。
 そんなアイドル的存在の工人ではあるが、各産地とも高齢化と後継者不足という深刻な問題に直面している。第2次ブームあたりまで、少なくとも20人ほどいた津軽系の工人は現在、津軽こけし工人会の会員に非会員を含めても当時の半数程度。こけし女子たちが工人になってくれれば一気に解決するのだが、そう簡単なことではない。
 今回、工人への道を歩み始めた小島利夏さんは、2012年に急逝した俊幸さんの娘。全国的に伝統文化の継承が危うくなっていることを危惧し、勤めていた会社を退職。鳴子系こけし(宮城県)の産地で木地挽(び)きを学び、16年に帰郷した。現在は同館で、津軽に伝わるこま「ずぐり」を作りながら技術を磨いている。小島さんのずぐりは、昨年初夏ごろから扱っており、現在までに数百個が売れた。同館でこれほど売れたのは初めてという。
 これまで、各工人はこけし制作が忙しく、ずぐりまで制作する余裕がないことから慢性的な在庫不足が続いていた。小学校の教科書でずぐりが紹介された際には、全国の教諭から「実物を児童に見せたい」との問い合わせが複数あったが、販売できるずぐりが少なく、全てには応えられなかった。そういう点で小島さんは既に救世主になったと言っていいだろう。
 父親が残したこけしを見本に練習を重ね「いつか本人型を作れたら」と目標を語る。ぜひ夢を実現させ「小島さんのようになりたい」と思ってもらえる存在になってほしい。自身が危惧した伝統文化継承の危機を救う手だての一つになるかもしれない。

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冬のイベント「存分に雪国の魅力発信を」

2017/2/10 金曜日

 

 第41回弘前城雪燈籠まつりが9日開幕した。会場の弘前公園には、市民らによる雪燈籠や雪だるまなどが立ち並び、冬の古城を情緒たっぷりに演出している。
 メインの大雪像は、国登録有形文化財の藤田記念庭園洋館が今回、初めて題材となった。陸上自衛隊弘前駐屯地の協力によって完成し、細部にまでこだわった繊細かつ迫力十分な仕上がりとなっている。
 近隣の田舎館村では、冬の田んぼアート2017のイベントも始まった。週末にかけて津軽地域では各地でさまざまな冬のイベントが開催される予定だ。雪に親しみ、雪を楽しむ雪国ならではの魅力を存分に発信したい。
 今年の弘前城雪燈籠まつりは、市内の事業所や学校など61団体が参加し、武者絵をはめ込んだ雪燈籠162基のほか雪だるま46基、中雪像5基、ミニ雪像6基の計219基を制作した。
 津軽錦絵大回廊には、昨夏の弘前ねぷたまつりに参加した27団体提供の見送り絵や鏡絵など78枚がずらりと並ぶ。同市が舞台のテレビアニメ「ふらいんぐうぃっち」とコラボし、大雪像に映像を投影するプロジェクションマッピングへのキャラクターの登場や声優トークショーも行われる予定だ。昔ながらの幻想的な雰囲気と現代の話題が混在する形で、楽しみ方も人それぞれだろう。
 祭りに合わせ、冬の新たな観光コンテンツ「弘前デザインウィーク冬事業」も展開。市民やクリエイターがアイデアを生み出す試みや市民参加型ワークショップアート「雪桜」など、冬の弘前の魅力を多方面からPRする予定だ。
 祭り会場では、自治体連携事業の一環で弘前市、大鰐町、田舎館村、佐賀県嬉野市が連携ブースを開設。弘前のリンゴと嬉野の茶のコラボ商品化が進むアップルティーの試飲も行われている。
 田舎館村では9~12日に冬の田んぼアートが行われ、英国のサイモン・ベック氏によるスノーアート制作や雪に親しむアート・体験プログラムが行われる。週末には弘前市相馬地区の沢田ろうそくまつり、ニシメヤ冬フェスティバルといったイベントも予定されている。
 ちょうど今年は香港とタイからのチャーター便が8日に青森空港に到着した。香港からの観光客は4泊5日の日程で弘前城雪燈籠まつりなど東北地方を周遊する。台湾と青森空港を結ぶ冬季国際チャーター便も運行されている。これら冬季訪日観光客をひき付けているのは「雪」だ。
 雪に大喜びする訪日客の様子を見ると、津軽地域に暮らすわれわれを悩ます雪も、見方を変えれば貴重な観光資源であることを改めて実感する。雪や冷えた体を温める温泉、郷土料理など津軽ならではの冬季観光も多彩だ。地域一体で魅力を存分に発信する祭り期間にしたい。

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