社 説

 

止まらぬ感染拡大「医療崩壊防ぐ対策に全力を」

2020/4/4 土曜日

 

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。世界全体の感染者数は累計101万人を超えた。日本国内でも連日感染者が増え続け、収まる兆しがない。
 こうした中で今、最も懸念されるのは医療崩壊だ。政府の専門家会議は1日、「都市部を中心に感染者が急増している」との現状分析を公表し、患者の爆発的増加「オーバーシュート」は見られないものの、感染源が分からない例も増加していると指摘。東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫の5都府県は医療提供体制が既に切迫しているとして、抜本的な対策を講じるよう求めた。オーバーシュートの前に医療崩壊が起こりかねない懸念があるということだ。
 厚生労働省は3日、感染が急増する地域では、無症状や軽症の感染者を自宅やホテルなどで療養させる体制の準備を進めるよう都道府県などに通知したと発表した。現在は症状の程度に関係なく原則入院しているが、重症者向け病床の確保を優先させる方針に移行したものだ。
 実際、都内では2日現在、感染者が700人近くいるが、重症者は18人で、残りの多くは無症状や軽症。確保済みの病床は約700床で、重症者用の病床確保が喫緊の課題となっている。本県の場合も感染症病床は6病院に29床となっており、今後患者が急増した場合に備えた対策は不可欠だ。
 病院内での集団感染が全国各地で発生しているのも憂慮すべき事態である。患者への影響はもちろんだが、医療従事者の間で感染が広がれば医療体制そのものが危うくなるだけに、感染の広がりを抑えるための速やかな対策が求められる。
 また、医療崩壊を招かないためには、これまでもたびたび指摘されてきたことだが、感染拡大のスピードを少しでも抑えることが重要だ。専門家会議は、感染者の小規模集団「クラスター」が次々と増え、イタリアなどのようなオーバーシュートにつながることを懸念している。オーバーシュートは兆候がなく、気付いた時には制御不能になり、入院すべき患者が入院できないといった医療体制の崩壊を招きかねないからだ。
 そのためにも一人ひとりが決して人ごとと思わず、感染拡大防止に努めなければならない。専門家会議は、過去の集団感染を教訓に(1)換気が悪く密閉されている(2)人が密集している(3)近距離で会話が行われる―の3条件が同時に重なる場所を「最も感染リスクを高める環境」と指摘している。カラオケやライブハウス、飲食店などがその一例だ。
 「多くの人の重症化を食い止め、命を救える」方策として個人がまずできるのは、こうした環境をできるだけ避け、せっけんによる手洗いなどに努めることだ。感染拡大を防ぐには、情報の共有と速やかな検査態勢構築が欠かせないことも指摘しておきたい。

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弘前公園閉鎖「地域振興策を早急に」

2020/4/3 金曜日

 

 弘前市が1日、桜の時期の弘前公園を閉鎖すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大防止のためだが、これまでにない異例の措置で、弘前市民はもちろん、弘前の桜を愛する多くの人にとって衝撃的な決定だ。弘前さくらまつりの中止自体についてはやむなし、と受け止めた人が多かっただろうが、公園まで閉鎖されるとなれば、地域経済、そして市民感情に与える影響は計り知れない。
 当初、祭り中止を決めた時は園内への立ち入りは規制せず、公園内での宴会や飲食は原則禁止して花見客を受け入れる方針だった。ただ会見で櫻田宏弘前市長が語っていたように、祭りを中止しても桜が咲けば園内に人が集まることは容易に想像できる。新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、本県でも複数の感染者が確認されている中、市など主催4団体は予防対策をいくら手厚く講じても感染リスクを軽減することは難しいと判断。花見客で密集する公園内から感染が広がる可能性を不安視する声もあり、最終的には市民の安全を第一に考えた、苦渋の決断を下したと言えるだろう。
 閉鎖は桜の開花が予想される10日から5月6日まで。公園の出入り口となる追手門など三つの門を閉め、その他の出入り口となる8カ所にバリケードを設ける。夜間のライトアップとぼんぼりの設置も取りやめ、例年祭りに合わせて開設する岩木川河川敷の臨時駐車場も設置しない。毎年おなじみの桜の開花情報も発信しないというから、今年の春は例年に比べてかなり様変わりしてしまう。
 外堀周辺は一般道なので通行止めにはできないが、多くの人が滞留しないよう警備員を配置して注意を促すという。
 毎年桜を楽しみにしていたわれわれにとっては寂しい限り。何か他に妙手はなかったのかとも思うが、東京都などでは不要不急の外出を自粛する要請が出ても「気にしない」と出掛ける若者らの姿が報道されている。人々の良識頼みでは、やはり限界があるのかもしれない。
 櫻田市長は公園閉鎖の発表と同時に「地域を元気にする対策を考えなければならない」と述べ、市職員や関係者、市民と一緒に準備を進めていくという考えを示した。同市にとっては年間で最大級の祭り。地域経済への打撃は大きく、早急に対策が必要だ。1日公表された日銀青森支店の短観でも企業の景況感を示す業況判断指数が8年ぶりにマイナスに転じたが、これは県内での感染確認や各地での祭り中止の発表前の回答で、影響は今後さらに拡大していくことと思う。
 収束までにはまだ時間がかかりそうだ。感染拡大防止、厳しい状況にある事業者への支援策を早期に講じ、その後にはぜひ市民を元気づける施策も考えてほしい。これまでもさまざまな地域振興策を打ち出してきた市と民間団体に期待し、われわれも何ができるか考えたい。

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祭り中止の検討「克服策で地域を盛り上げよう」

2020/4/2 木曜日

 

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、青森ねぶた祭実行委員会が8月2~7日に青森市で開催予定の祭りについて、中止を検討していることが分かった。五所川原市も同4~8日の五所川原立佞武多の開催について、今月中旬までに何らかの方向性を出すこととしている。新型ウイルス感染者が八戸市、そして五所川原保健所管内にまで発生した現状を鑑みれば、地元住民以外に県内外から数多くの観光客が集まり密集する、こうした祭りの開催について、判断が迫られることはやむを得まい。今夏までに感染拡大が沈静化するという確証は何もないからだ。
 県内各地の春祭りの開催が見送られる中で、夏祭りまで中止の可能性―。それだけでも関係者のショックは大きいが、加えて1日には、弘前さくらまつり会場の弘前公園を桜(ソメイヨシノ)の開花時期に合わせ、10日夕から5月6日まで閉鎖するという弘前市からの発表があった。公園内の桜すら見ることができず、落胆はさらに広がりそうだ。
 本紙によると、青森ねぶた祭は東京都を中心に国内で感染拡大が続く中で中止とするかどうか検討を進めているといい、今月8日の実行委で開催の可否を正式に判断する予定。五所川原立佞武多は五所川原保健所管内で感染者が確認されたことを受け、佐々木孝昌市長が会見で今月中旬までに何らかの方向性を出したいとの考えを示した。
 仮に中止が決まった場合、弘前ねぷたまつり(弘前市)や黒石ねぷた祭り(黒石市)をはじめ、周辺市町村のねぷた・ねぶた運行も厳しい判断を求められる可能性が高くなるだろう。弘前さくらまつり中止も他自治体の春祭りが続々と中止を決めた中、判断したものだからだ。夏祭りを心待ちにする観光客の喪失感はもちろんだが、ホテルや物販、交通、各種出店といった観光関係者に与えるダメージは、春祭り中止に追い打ちをかけるとあって、相当なものとなると思われる。
 だからといって「仕方がない」「我慢」だけでは、何も始まらない。花見やねぷた・ねぶたといった祭りは、商工・観光業者にとって一番の稼ぎ時だが、それが望めず、多数の人が集まるイベントもできない状況である以上、今は知恵を振り絞って、それぞれの環境と持てる材料で、地域の盛り上げのための方策を考える時であろう。
 こうした中、街を明るくしよう―と弘前さくらまつり公式応援キャラクターの「桜ミク」に絡めた企画が、弘前市内を中心に展開されるとの明るいニュースがあった。桜ミクは昨春の商況が伸びた一因になったとみられ、関係者の期待は高い。桜ミクの今後の展開、そして効果は未知数だが、先が見えない“コロナ不況”を克服する上での良いモデルケースになると期待したい。

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避難基準「早急な見直しと国民理解を」

2020/4/1 水曜日

 

 政府が昨年の台風15号、19号被害の検証報告書を取りまとめた。この中で避難途中に被害に遭う事例が相次いだことを踏まえ、「避難勧告」や「避難指示」の在り方を抜本的に見直す方針を示した。国民の安全をどう守るのか。分かりやすい基準や用語を意識し、速やかに国民理解を図るべきだ。
 内閣府によると「避難勧告」は避難を開始すべきタイミングで、「避難指示」は避難を開始すべきタイミングは過ぎていて、身の安全に配慮しつつ速やかな避難が必要としている。つまり「避難勧告=避難所へ行く」ではなく、「身の安全を確保する」ことだ。
 具体的には自宅が土砂災害や河川の氾濫などの被害が予想される場所にあり、安全な避難所に行くのが難しい場合、近くの頑丈な建物の上の階へ、外に出るのが危険なら自宅の2階以上や崖から離れた部屋など、少しでも安全な場所へ移動することを求めている。
 政府は昨年から避難の基準をより分かりやすくする目的で、新たに避難の必要性を5段階で表した「警戒レベル」を導入した。しかしレベル4に避難勧告と避難指示が位置付けられるなど複雑で、周知も徹底されていなかった。
 台風19号の犠牲者は13都県で90人に上った。このうち65歳以上が6割近くを占め、10歳以下も3人いた。死亡場所が判明している62人のうち、33人は住宅内で被災し、29人は屋外だった。屋外の犠牲者の大半が車で移動中だった。
 いつ移動を始めたかが生死を分けたのだろう。背景として勧告、指示の意味が徹底されていなかったことは想像に難くない。また、避難を始めても、想像以上に雨が強かった場合や、避難所に向かう道路が冠水していたなどの理由で引き返す判断もカギとなる。非常に難しいが、政府や自治体、メディアなどが「無理に避難しない」ことを繰り返し訴えることで理解してもらうしかない。
 報告書では、避難勧告と避難指示の在り方について一本化することなどを例示した上で、「警戒レベル4に避難勧告、5に避難指示を位置付けるなど、避難勧告と指示の分離も考えられる」との見解を示した。
 レベルと避難行動を一致させることは国民にも分かりやすいのではないか。勧告や指示という用語についても準備、避難、安全確保といった、実際の行動に即した用語に変えるべきではないか。
 災害で逃げ遅れが生じやすい「情報弱者」対策も重要だ。大阪府茨木市は来月から、インターネットの通信環境を持たない高齢世帯向けに、電話やファクスで災害情報を届ける自動情報配信サービスを導入する。
 政府は参考にすべき事例はどんどん取り入れ、新たな基準を早急にまとめ、国民に徹底しなければならない。

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緊急時の意思疎通「“やさしい日本語”の活用を」

2020/3/31 火曜日

 

 新型コロナウイルスが猛威を振るい続けている。各都道府県で感染者が次々と確認され、確認されていない県はもはや数えるほど。感染者増加のスピードは東京都が突出しており、数十人確認される日も続いた。安倍晋三首相は先日の会見で「(感染が)急拡大してもおかしくない」としたが、その危機は全国で近づいているのではないか。
 感染者が急速に増えている自治体の首長らは感染の拡大防止に向けて、住民らに不要不急の外出を控えることなどを訴えている。このためか、今年度最後の週末となった27、28日も各地の繁華街は閑散とし、飲食店の経営者から嘆きの声が上がった。経済への影響が甚大であることがひしひしと伝わってきた。それでも、今優先しなければならないのは人命を守ること。各首長も苦しい思いで呼び掛けているはずだ。
 その中で懸念されることの一つは、呼び掛けがみんなにきちんと届いているのかという点。昨今は経済が急速にグローバル化。国際交流もますます盛んになり、日常生活で海外出身者を目にしない日はない。彼らの中には日本語を十分に理解できない人たちも多くいる。
 新型ウイルスの感染拡大を受け、政府や自治体、国際交流団体などに外国人からの相談が相次いでいるといい、各団体は正確な情報を伝えるべく、多言語での情報提供に努めている。その中で、日本語を分かりやすい表現に言い換えた「やさしい日本語」が注目されている。
 法務省はホームページで、厚生労働省による新型ウイルスに関する告知とQ&Aを、やさしい日本語に書き直して提供しており、そのことを紹介している自治体もある。
 やさしい日本語は1995年の阪神・淡路大震災を契機に、日本語などを十分理解できない外国人に向け、情報が伝わらないことによる二重被災を防ぐため、弘前大学の関係者によって考案された。その後、さまざまな研究が重ねられ、今年度は適切な読み方などを検証。文節と文節の間、文と文の間でどれだけの時間を空ければ、より聞き取りやすいのかといったことまで調べている。
 新型ウイルス感染のリスクが全国で高まる中、求められていることの一つは正確な情報の伝達と共有だ。9年余り前に東日本大震災が発生した際にも、われわれは情報の大切さを強く感じた。新型ウイルスの感染が急速に拡大する今こそ、震災で得た教訓を生かさなければならない。
 各国の政府は、不要不急の渡航自粛を要請しているが、現実的に完全な自粛は難しい。時々の状況に応じて対応していかざるを得ず、その際に求められるのが円滑な意思疎通なのではないか。弘前発のやさしい日本語を今こそ、大いに活用したい。

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