社 説

 

今年のさくらまつり「財産を後世に残す思い新たに」

2019/4/23 火曜日

 

 弘前さくらまつりが弘前公園で開かれており連日、大勢の観光客らでにぎわっている。今年は会期中の5月1日に改元を挟むため、主催者側は新時代の幕開けにふさわしい催しを準備している。地元に住む者としては例年以上の盛り上がりを期待したい。
 会期3日目となった22日、ソメイヨシノの開花状況は園内が三分咲き、外堀と西濠西岸がともに五分咲き、桜のトンネルが一分咲きとなった。いずれもあと1~3日で満開となる予想で、陽気が続けば圧倒的な光景を今年も目にすることができそうだ。
 当然、人出は花の咲き具合に比例するとみられ、今後は日を追うごとに増加し、大型連休が始まる今週末からは最高潮となることだろう。できるだけ好天に恵まれることを願いたい。
 今年は特別な年なのだが、祭りの準備期間を振り返ると、それに携わり、支えている人たちの多さと熱意に改めて驚かされる。
 例えば、観光人力車。関係者たちは祭り開幕直前、実際のコースでリハーサルを行い準備に万全を期した。リハーサルでは単に人力車を運行するにとどまらず、弘前観光ボランティアガイドの会のメンバーを乗せ、終了後には解説などに関するアンケートを行い、サービス向上に努めた。
 関係者によると、人力車の運行は3年目を迎えたが、利用客に園内の桜をより楽しんでもらうためには何が必要か、常に考え続けているという。他県の人力車運行を参考にすることもあれば、それらを基に新たなサービスに挑戦するといったことも念頭にあるのだろう。弘前らしい運行の仕方がこの先形作られ、定着してほしいものである。
 このほか、園内の清掃やベンチ補修のボランティアなど、さまざまな人たちが観光客らを出迎えるための取り組みを毎年のように行っている。来園した人たちからすれば、園内はきれいに整えられていて当たり前のように見えるかもしれないが、それは地元の人たちの小さな取り組みのおかげであることをもっと発信してよいのではないか。
 弘前公園の桜はもちろん「日本一」と自負しているが、その「日本一」は「日本一」の地元への愛着によって成り立っていることを忘れてはならない。
 5月1日に新天皇が即位し、元号が「令和」に変わる。会期中に改元を挟むことによって大きな誘客効果が期待できるはずだし、われわれは経済的効果を最大限引き出す努力をすべきであろう。
 ただ、地元の人間にとっては、大きな財産である弘前公園と園内の桜を後世に残す思いを新たにする場面でもあろう。新時代も桜が変わることなく咲き続けられるよう、市民一人ひとりができることを続けていきたい。

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ノートルダム火災「再発防止へ世界規模で対策を」

2019/4/20 土曜日

 

 フランスの象徴の一つ、ノートルダム大聖堂が15日夕(日本時間16日未明)に発生した大規模火災で焼け落ちた。マクロン大統領は2024年に予定されるパリ五輪に間に合うよう、5年以内に再建すると宣言したが、専門家は数十年かかるとみており、先行きは不透明だ。
 大聖堂は1345年の完成以来、大きな火災に見舞われることはなく、フランス革命や二つの大戦も生き延び、1991年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録された。年間1300万人もが訪れるパリを代表する観光名所としても広く知られる。老朽化が進んでおり尖塔(せんとう)を中心に大規模な改修工事が行われていた。
 天皇、皇后両陛下は17日、マクロン大統領に宛て、お見舞いのメッセージを出された。宮内庁によると、文化財などの火災を受けて海外にお見舞いの気持ちを伝えるのは異例のこと。日本政府も大聖堂再建を支援する方針で、22日から欧州歴訪する安倍晋三首相が、首脳会談で直接マクロン大統領に伝えるという。
 こうした再建支援の動きは、火災直後から世界中で起きている。大富豪や大企業などが次々と寄付を表明。英国国教会のウェストミンスター寺院は募金活動を行うほか、キリスト教の宗派を超えて連帯を示す鐘を打ち鳴らした。国家間の関係や宗派などにとらわれず、支援の輪が広がっていることは、助け合いの精神と、後世に伝えていかなければならない人類共通の宝という世界遺産指定の意義を世界が示したと言える。
 一方、わが国では「対岸の火事ではない」と危機感を募らせ、文化庁が全国の国宝、重要文化財の防火対策について緊急調査するよう都道府県に求めた。文化財保護法制定も、1949年に法隆寺金堂の壁画を焼失した火災がきっかけ。文化財保護の重要性を忘れぬよう、火災があった1月26日にちなみ、毎年同日を「文化財防火デー」として全国の重要文化財で防火訓練を実施している。
 弘前市でも1906年、招魂祭の花火が原因で、弘前公園北の郭にあった「子櫓(ねやぐら)」を焼失している。もし、残っていれば、弘前城天守や現存する三つの隅櫓、追手門などと共に重文指定されているだろう。20日には日本有数の春祭り「弘前さくらまつり」が開幕する。桜色に染まる弘前公園を楽しむだけでなく、貴重な櫓を火災で失った事実を再認識してほしい。遠い国の大聖堂を子櫓に重ね、身近に感じることができれば、文化財保護意識を一層高めるきっかけになるはずだ。
 大聖堂の出火原因について捜査当局は失火とみているが、内部が激しく損傷していることなどから、捜査は難航する見通し。こうした遺産の保護には定期的な改修が避けられない。同様の悲劇を繰り返さぬよう、原因の徹底究明と、世界規模での情報共有、対策が求められる。

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A!Premium「欧州への輸出拡大に期待」

2019/4/19 金曜日

 

 県産品の鮮度を維持してスピード輸送する仕組み「A! Premium(エー・プレミアム)」がサービスの拡充に向けて取り組むことになった。新たに、欧州などアジア以外の国への輸出や、ニーズに合わせた柔軟な対応ができるようになり、利用者の選択肢が大きく広がるという。県産品の一層の販路拡大に、さらに貢献してくれることだろう。関係者の意欲的な取り組みに期待したい。
 高い品質を誇りながら、消費地までの輸送に時間がかかることがネックだった本県の農林水産品。エー・プレミアムはこうした課題を解決しようと始まった新サービスで、保冷一貫輸送で自慢の鮮度を保ったまま、国内の9割の地域に翌日の午前中、アジアへも最短で翌日中の配送が可能になるという画期的な仕組みだ。2015年度にスタートして以降、活ホタテや鮮魚を中心に、野菜や加工品などにも取引が広がっており、年々取り扱い実績が増加。出荷する事業者だけでなく、バイヤーからも評価が高い。
 エー・プレミアムの大きな特徴は荷物1個から輸送が可能なことで、サンプル品などの送付に便利。輸出先も県産品のニーズがある程度見込めるアジア限定とし、これから輸出にチャレンジしてみようという小規模事業者に便利な仕組みだったし、取引先にも「少量から取引できるのがありがたい」という声があった。
 ただその分、販売ルートが確立した後のまとまった量への柔軟な対応や、アジア以外の国への輸出には対応しておらず、利用が広がるにつれ、より多様な選択肢を求める声が増えてきたという。
 3月、県とヤマト運輸に、ヤマトグループで国際物流を担うヤマトグローバルロジスティクスジャパンを加えた3者で連携協定を締結。本県で行った連携協定締結式には3者のトップが顔をそろえ、今後のサービス拡充に意欲を示した。
 注目されるのはアジア以外、特に欧州向けの物流ルート構築が掲げられていることだ。ヤマト側は18年度に仏・パリのアンテナショップで青森県フェアを実施し、現地の住民の関心の高さを感じたという。これまでの鮮度維持、スピード輸送の仕組みを欧州にも広げられれば、県産品のブランド化にも大きな弾みがつくことだろう。
 4月にはエー・プレミアムを含む物流環境の整備などをまとめた「県ロジスティクス戦略2ndステージ」を策定。計画期間は5年間で「Local to Local、Local to Worldの実現を目指して」というキャッチフレーズを掲げ、地方から世界に打って出るという意気込みを示している。
 エー・プレミアムについては、状況の変化に柔軟に対応できるよう1年ごとに目標を設定し、検証や改善を行うとしている。時代に合わせて常に進化するサービスであり続けてほしいと思う。

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やさしい日本語「定着で地域の魅力を高めたい」

2019/4/18 木曜日

 

 桜前線が北上を続ける中、“日本一の桜の名所”弘前公園の桜のつぼみも着々と膨らみ始めている。20日の弘前さくらまつり開幕を前に観光客も徐々に増えてきたが、印象的なのは外国人観光客の多さだ。
 ここ数年、青森空港への国際定期便就航などに伴い、本県を訪れる外国人観光客は増加傾向にある。城下町弘前も人気スポットの一つだ。当然のことながら、受け入れる側の体制整備も重要な課題。特に、観光客で混雑する祭り会期中に万が一、災害が発生したらどうするのか。
 弘前市ではこのほど、外国人にも分かりやすい「やさしい日本語」を活用した、災害想定の避難誘導訓練が行われた。弘前大学の協力を得て市が実施したもので、全国的にも初の試みという。
 訓練にはベトナム人約30人が参加。祭り会期中に震度6弱の地震が発生したとの想定で行われ、やさしい日本語を学んだ関係者らが避難誘導に当たった。誘導役の一人は「その国の言葉でなければ伝わらないと思ったが、やさしい日本語の方が通用することが分かった」と振り返る。さまざまな場面で多言語対応が求められる昨今だが、緊急時にはやさしい日本語が効果的であることが訓練で分かったと言えるだろう。
 やさしい日本語は、弘前大学人文社会科学部社会言語学研究室の佐藤和之教授が開発したものだ。1995年の阪神・淡路大震災がそのきっかけで、日本語や英語を十分に理解できない外国人の二重被災を防ぐことが目的だった。研究室では毎年内容を拡充しており、多くの人がより利用しやすく、効果的に活用できるよう工夫を重ねている。
 現在では減災対策の一つとして全国的に活用の場が広がっており、消防庁が2018年3月に策定した「外国人来訪者や障害者等が利用する施設における災害情報の伝達及び避難誘導に関するガイドライン」にも盛り込まれた。
 東京オリンピック・パラリンピックも控え、今後も外国人観光客は増加傾向にあると見込まれる。やさしい日本語は外国人のみならず、お年寄りや障害者ら災害弱者にとっても分かりやすいため活用の場は一層広がることだろう。
 同時に重要なのは、やさしい日本語を十分に理解した誘導役ら担い手の確保だ。市は今回、訓練を前に関係者を対象とした勉強会を開いた。今後は一般市民らも参加できる研修の場を設け、一人でも多くの人が万一の際に対応できる地域づくりを進めてほしい。
 市は今回の訓練を祭りの安全確保につなげたい考えだ。検証を重ねながら、やさしい日本語発祥の地である弘前が、全国から注目される活用モデル地域となることを期待したい。結果的に、安心安全な観光地としての魅力を増すことにもつながるはずだ。

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サル被害対策「抜本的な対策を急ぎたい」

2019/4/17 水曜日

 

 ニホンザルによる被害が深刻さを増している。4月10日には大鰐町内でサルに追い掛けられたとみられる男子児童2人が車にはねられた。全国的に農作物の食害などが多数確認されてきたが、今回は人命に直接関わる事態となった。同様のケースが起きないよう、捕獲といった抜本的な対策を急ぎたい。
 大鰐町の事故は唐牛字沼田の町道で発生した。その直後に現場に駆け付けた町職員や警察に、はねられた2人と一緒にいた児童は「サルに威嚇され追い掛けられた」と話していたという。児童の証言通り、サルが事故の一因になったとすれば、驚くべきことだ。子どもたちが安心して外に出られない状況は異常と言うほかない。
 唐牛地区では2017年までサルによる人的被害は見られなかったが、18年に5~6件に増加。町は対策として防災無線やチラシで注意喚起していたほか、箱わなを設置していた。しかし、状況は改善するどころか、悪化の一途をたどっている。空き家にサルがすみ着いているとの話もあり、町は対策を講じたい考えがあるようだが、所有者との交渉が難しく、着手できない状況という。
 他の鳥獣被害も同様だが、厄介なのは動物が「人慣れ」して、行動がエスカレートしていくことだ。大鰐町ではサルが住民の手をかむなどするほか、玄関を開けて仏間の供え物を盗んだり、シャッターをたたいて開けようとしたりする行動が見られている。
 ここまでくれば、鳥獣被害という範疇(はんちゅう)で片付けられないレベルに達しているように思われる。サルの傍若無人な振る舞いに、「(サルは)もうやりたい放題。何とかしてくれないものか」と目に涙を浮かべて語る住民の気持ちは十分に理解できる。
 被害をなくすことは容易ではなかろうが、手をこまねいているわけにはいかない。被害が発生している地域同士が知恵を出し合い、効果的な対策を生み出したい。
 深浦町で昨年秋に開かれた「野生動物対策技術研究会 第9回全国大会」のシンポジウムでは、町がサルの全頭捕獲の取り組みを報告した。二つの群れを成すニホンザルに発信器を取り付け、行動を把握。その情報に基づき、効率的に箱わなを仕掛けたほか、片方の群れの上位雌を除去したことで二つの群れが合流し、同時に駆除することが可能となった―などとした。
 深浦町は、サルは学習能力が高いため、対策は一つではなく複合的に講じるべきとするほか、地域住民らとの合意形成、役割分担の明確化も必要だと強調する。子どもやお年寄りが危険にさらされるような状況を解消し、二度と発生させないよう、行政、関係団体、住民が一丸となって立ち向かいたい。

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