社 説

 

変異ウイルス拡大「“人命優先”肝に銘じて行動を」

2021/4/10 土曜日

 

 新型コロナウイルスの変異型に懸念が強まっている。感染力の強い「N501Y」が関西で増加、東京都はワクチンの効果が低減する恐れのある「E484K」に加え「N501Y」の広がりに危機感を募らせる。政府は9日、東京都などに「まん延防止等重点措置」適用を決めたが、感染拡大が懸念されるのは対象地域だけではない。本県でも7日に「N501Y」が初めて確認されるなど、すでに全国に広がっている可能性があり、大型連休を控え「第4波」が現実味を帯びてきた。
 重点措置は適用中の3府県に加え、12日から東京都と京都府、沖縄県に適用する。東京都は先月21日に緊急事態宣言が解除された際、気の緩みから感染拡大に転じる恐れが指摘されていたが、まさにその通りになった。今月8日の都モニタリング会議で専門家は変異ウイルスが「爆発的に感染が拡大し、第3波を超えることが危惧される」と強調した。国立感染症研究所によると、「N501Y」変異を持つ「英国型」は、感染者1人がうつす平均人数が従来型の1・3倍で、子どもに広がりやすいとみている。
 今月末に突入する大型連休が、今後を左右することになりそうだ。クラスター(感染者集団)が散発し、変異ウイルスも確認されるなど予断を許さない本県では、三村申吾知事が9日、春祭りの主催者に対し、地域の状況に応じて在り方を再考するよう求めた。
 これを受けて「青森春まつり」(青森市)の実行委員会は、市内で複数のクラスターが発生している現状も踏まえ、2年連続の中止を決定。日本有数の春祭り「弘前さくらまつり」は、現時点では対策を講じた上で、早咲き予想に応じて17日に準まつり体制に入り、事実上開幕する計画。ただ、主催団体は12日に、感染防止対策を改めて協議する。
 宣言、重点措置とも、海外のロックダウン(都市封鎖)と違い、外出禁止などを強制できない。さらに、重点措置は対象地域が市区町村単位と宣言よりも範囲が狭く、どの程度の効果があるか不透明だ。
 イベントについては主催者が対策を講じても症状がなかったり発症前だったりと“網”をすり抜ける可能性がある。「密」を避けるよう強く呼び掛けても、従う人ばかりでないことは、沿道に人垣ができた東京五輪の聖火リレーを見ると分かる。
 重点措置で感染拡大を抑え込めなければ、より強い対策に踏み切らざるを得ない。しかもタイミングを誤ると東京五輪・パラリンピック開催も危うくなる。全国で予定されている祭りなどのイベントが、変異ウイルス感染拡大の引き金になることは何としても避けなければならない。全ての国民も、人命より優先すべきものはないことをいま一度肝に銘じ、責任ある行動をするよう強く求める。

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処理水処分「拙速な判断は避けるべき」

2021/4/9 金曜日

 

 東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水について、菅義偉首相が近日中に処分方針を判断する意向を表明した。13日にも海洋放出の方針を決めるとみられる。しかし地元・福島県はもとより国民理解は進んでおらず、再燃が確実視される風評被害への対策も明らかになっていない。拙速な判断は避けるべきだ。
 政府は処理水を人体に影響が出ないレベルまで薄めて海に流す方法を検討しており、関係閣僚会議で正式決定したい考え。
 首相は7日、全国漁業協同組合連合会の岸宏会長と会談し、海洋放出への理解を求めた。これに対し岸会長は「絶対反対との考えはいささかも変わらない」と強調した。
 政府は昨年10月にも海洋放出方針の決定を目指したが、公募意見で安全性に懸念を示す声が7割に上るなど国民の不安が依然根強かったことから判断を先送りした。
 それから半年。一般市民向けの説明会を重ねて国民理解を得る努力をしたわけでもなく、風評への具体策を明らかにしないまま、なぜ処分方針の決定を急ぐのか。
 まず処理水は原発敷地内のタンクが来年秋にも満杯になると予測されている。東電はタンクの増設を含め原発敷地の有効活用を検討する考えを示し、政府も増設の必要性を検討するとしていたが、結果は明かされていない。
 政府や事業者は方針決定から処分まで2年程度の準備期間が必要としているほか、タンクの増設工事などが廃炉作業にも影響を及ぼしかねないとの指摘もある。ただ、これらは政府判断を待って対応してきた東電の後ろ向きの姿勢が招いた。
 原子力規制委員会の更田豊志委員長は昨年12月、東電の小早川智明社長と意見交換した際、「最大の関心事は処理水の処分だが、あたかも、もう政府の問題になったかのような態度は許されない。一連の議論で社長の顔が見えてない」と批判した。
 東電をめぐっては柏崎刈羽原発では核物質防護設備の一部機能が停止した問題で、規制委が是正措置命令を出すことを決めた。福島第1原発では3号機に設置していた地震計の故障を放置、2月の福島県沖地震の波形記録を取ることができないなど問題が相次いでいる。
 事故を起こした事業者だけに、処理水の処分に責任を持つことは当然だ。地元に対しても関係者の理解なしに処分は行わないと説明していたはずだ。トラブルを繰り返す上に約束も守らないのであれば、事業を続ける資格はない。
 政府は海洋放出しても安全性に問題はないとする。ならば改めて出席者を制限しない説明会を全国で開き、その場で具体的な風評対策も明らかにすべきだ。その際、実務は東電がすべて担い、処理水に向き合う姿勢を示すことが不可欠だ。

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スポーツ団体連携「困難な時代に夢与える活動を」

2021/4/8 木曜日

 新型コロナウイルスの影響がスポーツ界にも及ぶ中、県内でプロチームを運営する6団体がコロナ下の活動の在り方を模索しようと、「青森県トップスポーツチーム連絡協議会」を発足させた。スポーツは地域振興に大きな役割を果たすようになっており、協議会の発足が厳しい状況を打開する契機となることを期待したい。
 協議会は、バスケットボール・Bリーグ2部の青森ワッツを運営する青森スポーツクリエイションが設立を呼び掛け、社会人サッカーチーム「ブランデュー弘前FC」を運営するブランデュー弘前など5団体が賛同し、会員として名を連ねた。
 スポーツチームを運営する団体が置かれた状況は厳しい。全国的な傾向ではあるが、チームが所属するリーグの試合延期・中止に伴う減収、スポンサーの撤退などに悩まされており、ワッツやブランデューなどは昨年12月に県に対して総合的な支援を求めていた。
 ワクチンの接種は今後段階的に行われていくとはいえ、今のところコロナ禍の収束は見通せない。スポーツ界への影響もまだまだ続くとみられ、行政の支援は待たれるところだが、スポーツチームの運営団体が自発的に行動し始めた意義は大きい。
 コロナ禍を受け、スポーツチームの運営団体が連携する例は他県でも見られている。山陰地方では国の出先機関が主宰し、地元プロスポーツチームを核とした連携ネットワークが活動。北陸地方でも、複数のプロスポーツチームが地元のスポーツ文化やスポーツの未来を担う世代を支援しようと、クラウドファンディングで資金を集めるプロジェクトを展開した。
 かつてはプロスポーツといえば、種目は限られ、チームの所在地も大都市圏だった。しかし、現在は種目の幅も広がり、国内至る所にチームができた。住民たちは地元チームを応援して勝利を喜び、楽しみを見いだしている。
 ただ、スポーツは今や人々の楽しみといったことにとどまらない。スポーツチームの活動は、新たなサービスなどを創造する場にもなっており、地域の経済に少なからず影響を及ぼしている。だからこそ、コロナ下でも活動が持続できるよう、有効な策を講じることが求められているのだ。
 協議会の関係者は「スポーツチームは、いかに地域を元気にするかが使命」と強調した。協議会としての具体的な活動内容は今後固まっていくことになると思うが、他県の例を見ても、活動の仕方はさまざまだ。
 一つの団体では実行が難しいことも、連携すれば可能となることもあろう。困難な時代にあっても、地域に夢と希望を与える活動を展開してくれるものと願いたい。アフターコロナの時代も見据えつつ、スポーツが持つ力を十分に発揮してほしい。

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緊急事態宣言1年「“第4波”を阻止できるのか」

2021/4/7 水曜日

 

 新型コロナウイルス対策で初の緊急事態宣言が発令されてから7日で1年となる。いまだ収束の見通しが立たないばかりか、変異株の流行拡大も懸念され、早くも「第4波」への突入が現実味を帯びる。ただ、「宣言の限界」を指摘する声もあり、感染対策と経済の両立といった難しい課題を抱え効果的な対策をなかなか打ち出せていないのが現状だ。
 最初の緊急事態宣言は昨年4月7日、まず7都府県に出され、16日に対象が全都道府県に拡大された。その後は全国的に感染者が減り、宣言が解除された同5月25日の全国の1日当たり新規感染者は20人にまで減った。
 2度目の宣言は、年末年始の「第3波」に対して今年1月、11都府県を対象に出された。新規感染者は過去最多の7844人にまで増えたが、2月には1000人を切る日も見られる程度に減少。しかし、その後は下げ止まり、宣言が解除された3月21日は1110人だった。
 下げ止まりは国民の「コロナ疲れ」も要因とみられる。発生から1年が経過するものの、さまざまな「自粛」を余儀なくされ、いまだ収束が見通せない中では致し方ない。ただ、下げ止まりが再び感染拡大を招くという悪循環が懸念され、「宣言の限界」にどう対処するかが課題だ。
 現在、大阪府などでは感染急拡大が深刻化し、政府は5日、新型コロナ対策の特別措置法に規定された「まん延防止等重点措置」の初適用に踏み切った。感染急拡大は変異株の影響もあるとみられ、東北では宮城県が深刻な状況にある。
 まん延防止措置は、緊急事態宣言より区域を絞った適用が可能で、政府は感染拡大を初期段階で抑えることを狙うが、府の新規感染者は6日に過去最多を更新し、重症病床も逼迫(ひっぱく)。隣接する兵庫県でも病床使用率が高くなっており、専門家は「緊急事態宣言のレベルだ」と強い危機感を示している。
 新規感染者は全国的に増えており、変異株が全国的に拡大する懸念もある中で、まん延防止措置の効果を疑問視する声もある。本県でも3月31日には1日としては最多の81人の新規感染が新たに確認され、クラスターの発生も相次ぐなど予断を許さない状況にある。政府のこれまでの対策は後手が目立つだけに、第4波阻止へしっかり対応してもらいたい。
 一方で、医療従事者から始まったワクチン接種は、いよいよ今月中旬から住民接種がスタートし、優先対象者となる高齢者への接種が始まる。感染予防の基本はマスク着用、手洗い、うがい、3密回避などに尽きる現状下で、ワクチン接種は感染拡大防止に向けた有効な手立てとなるのは間違いない。各市町村における住民接種ができるだけ早く、安全に進むような態勢づくりにも努めてほしい。

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ミャンマー騒乱「国際協調による事態の打開を」

2021/4/6 火曜日

 

 今こうしている間にも市民の犠牲は出ているのだろう。ミャンマーでの平和的な抗議デモに対する国軍の弾圧行為は非道さを増すばかりだ。国軍は2月にアウン・サン・スー・チー国家顧問やウィン・ミン大統領ら政権幹部を拘束し、事実上のクーデターで政権を奪取した。反発する国民のデモが各地で多発すると、国軍、治安部隊による弾圧も激しさを増している。
 無差別に、しかも頭部などの急所を狙って銃撃するという国軍の残虐行為、生きたまま燃え盛るタイヤの中に市民を投げ入れて焼き殺したといった報道に接するたびに言いようのない憤りを覚える。
 ミャンマーは難治の国と言われる。国内には少数民族が多数住み、地政学的にも大国の思惑に左右されやすい位置にある。治安維持などで存在感を見せる国軍は、半世紀以上もミャンマーの体制を牛耳ってきた。2015年の総選挙でスーチー氏が率いる国民民主連盟(NLD)が大勝し、歴史的な政権交代を実現したが、当初より、国軍との良好な関係を築くことができるかが、ミャンマーが安定的な政治体制に移行できるかの鍵と言われてきた。スー・チー氏は国軍に配慮しながら慎重に政権運営を進めたが、結果的に緊張関係を解消することはできなかった。2期目入り直前にクーデターで身柄を拘束されるという最悪の事態は、ミャンマーの民主化プロセスにとってこの上ない後退であり、国軍の暴走は許されるものではない。
 国軍はNLDが圧勝した昨年11月の総選挙で大規模な不正があったと主張し、総選挙のやり直しと勝利した政党に権限を移譲する方針を表明した。ただ、時期は示しておらず、国家運営の体制を着々と整備するその姿勢からは、クーデターを既成事実化し、政権に居座り続けるのではないかとの恐れを抱かずにはいられない。どだい、民主的な選挙で選ばれた政権から武力でその権限を奪い取り、本来守るべき立場の国民に銃を向ける国軍に、国家を運営する資格も正当性もない。国軍は自らの過ちを正し、一日も早くNLDに政権を返すべきだ。
 国際社会も一致した対応が必要だ。国連安全保障理事会は平和的な抗議デモに対する暴力行使や市民数百人が死亡したことを「強く非難する」声明を発表。国軍に対し「最大限の自制」も求めた。だが制裁など、より強力な措置を講ずるなどの警告は盛り込まれず、その効果には疑問符が付く。
 国軍への対応をめぐっては安保理の中でも中国、ロシアが「内政干渉」として消極的な立場を取るなど結束し切れていない。だが国際社会がこの非道に対し、有効な手を打てないとすれば、誰が国軍の暴走を止められるというのか。国家の思惑を超えた国際協調による打開策の提示が求められる。

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