社 説

 

まっしぐら「“特A”がもたらすものは」

2020/2/28 金曜日

 

 日本穀物検定協会(穀検)が26日発表した2019年産米の食味ランキングで、本県産米の「まっしぐら」が初めて最高評価の「特A」を取得した。農業県の本県にとってまさに「青天の霹靂(へきれき)」と言うべきビックニュースである。今回の評価が今後の販売戦略や作付け動向などにどのような影響を与えるのか、注目したい。
 まっしぐらは収量の多さ、寒さに強いことなどから、県南地方を中心に栽培が普及。業務用の引き合いに加え、家庭用の需要の高まりを背景に津軽地方でも作付面積が年々増え、19年産(推計)は県全体の7割近くを占めるまでになった。
 07年産から食味ランクの評価対象に加わったが、15~17年の「A」を除き、例年「A′」評価だった。昨年の「A′」から評価が二つ上がったことについて、穀検側は「正直、驚いた。要因は一概に言えないが(特Aの)力があるとしか言えない」と苦笑する。
 一方、県の担当者は評価が上がった要因について、味に影響を与える、もみの成熟時期「登熟」(8月)の好天など、生育条件に恵まれたと分析する。
 最高評価は本県生産者がおいしいコメを作っていることの表れであり、今後知名度が上昇すれば家庭用の需要が増えることも期待できる。当然、取引価格の上昇を見込んで作付けを増やす動きも出てくるだろう。
 実際、生産者からは「今後は生産を増やしたい」との声が上がっている。生産意欲の向上という観点に立てば、近年にない追い風である。
 では今後の販売戦略に影響はあるのだろうか。全農県本部は、コメ市場全体で見た場合は家庭用の需要が年々減少していることを踏まえ「特Aを取得したことで家庭用にかじを切ることはない。バランスの取れた取引が重要」と冷静に受け止める。
 農政に詳しい本県政界関係者も「『そこそこの価格で、そこそこおいしい』が売り文句のコメ。特A評価で価格が上がることは逆効果になるのでは」と指摘。さらに「来年の評価が下がった場合、おいしくなくなったと受け取られるのも困る」とも語る。
 昨年の台風・豪雨災害のように、近年は自然災害が頻発する傾向にある。特定品種に偏った作付けはリスクが高く、やはりバランスの取れた、一定の収量を見込める計画的な作付けが必要だろう。また、家庭用、外食用の需要動向を踏まえた計画的な販売戦略も維持しなければならない。
 今後も参考時代を含め6年連続の最高評価を維持したエースの霹靂を先頭に、まっしぐら、「A」評価だったつがるロマンの“3本柱”で、「青森のコメはおいしい」という信頼、支持を獲得することが重要だ。

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新型肺炎対策「本格流行回避へ対策徹底を」

2020/2/27 木曜日

 

 政府が、新型コロナウイルス感染症対策の基本方針を取りまとめた。感染拡大防止に向け、地域における感染者クラスター(集団)への対応に重点を置くことが柱だ。
 個別の患者の感染経路解明や、感染者の入国を防ぐ「水際対策」を主とするこれまでの対応を大きく転換させた格好だ。対策が後手に回っている感も否めないが、政府の専門家会議は「これからの1~2週間が、急速な拡大に進むか収束かの瀬戸際」との見解を示している。仮に急速に拡大が進めば、医療体制が破綻し、重症化の恐れがある患者への対応が滞りかねないなど深刻な影響が懸念される。本格流行を回避するため、今は社会全体で対策を徹底する必要がある。
 政府が示した基本方針では、患者が今後、継続的に増えた地域では、感染経路や濃厚接触者の調査を縮小し、住民に広く外出自粛の協力を求める対応にシフトする。遺伝子検査の対象も、感染の疑いがある患者から重症の肺炎患者らに切り替え、患者集団の発生時には学校や企業の閉鎖なども求める方針だ。
 また、安倍晋三首相は26日の対策本部で、スポーツや文化に関するイベントの開催について、大規模な感染リスクがあるとして今後2週間は中止や延期などの対応を講じるよう要請した。
 感染が拡大している北海道は、道内全ての公立小中学校を27日から一斉に臨時休校とするよう要請。Jリーグは公式戦全94試合の延期を決めるなど、対応が相次いでいる。県内でもイベントなどの中止決定が相次いでおり、影響は広範囲に及んでいる。いずれも異例の措置だが、ここが正念場と考えれば致し方ない。
 全国的な感染拡大で、風邪などの症状があれば、もしやと心配になる人も多いだろう。ただ、政府は医療機関をむやみに受診すると感染リスクが高まるとして、軽い風邪症状の患者には自宅療養するよう求めている。37・5度以上の発熱が4日以上続く場合などは各都道府県の帰国者・接触者相談センターに相談するよう呼び掛けているが、一般市民にとってはインフルエンザなどとの区別が難しいのも事実だ。自宅療養の判断が正しくできるかどうかは、重症化リスクや家族間の感染防止といった観点からも非常に重要で、一般市民が懸念を払拭(ふっしょく)できる具体策を早期に示す必要がある。
 マスクやアルコール消毒液などの品薄状態の早期改善に努め、本格流行を見据えた医療体制の整備を急ぐことも、市民の不安軽減を図る上で重要だ。
 新型肺炎による経済への影響もより深刻さを増す中だけに、早期終息を目指す上でも各企業などの対策も欠かせない。いまだ正体がはっきりと見えない新型ウイルスだけに、風邪などの症状が出た人は休暇を取得するなど、念には念を入れて対策を徹底したい。

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芸術で地域活性化「NCL弘前の取り組みに期待」

2020/2/26 水曜日

 

 都市部からの移住や起業を通じて地域活性化などを目指す弘前市のひろさきローカルベンチャー育成事業「ネクストコモンズラボ(NCL)弘前」。その事業の一環として、第一線で活躍する美術家を弘前に招き、滞在して作品制作に取り組んでもらう「アーティスト・イン・レジデンス(AIR)」の取り組みが進んでいる。
 NCLは地域課題の解決や地域資源の有効活用につながるプロジェクトを提示し、全国から募った起業家と事業を展開するもので、弘前市の中心市街地には昨年、拠点施設「弘前オランド」が開所。本格的に活動を始めている。NCLはこうした取り組みを全国各地で進めているそうで、メンバーは自身の知識や経験を生かし、それぞれの地域で起業や活性化策に挑戦している。弘前市でも地域おこし協力隊の制度などを活用したメンバーが精力的に活動している。
 AIRは芸術分野の視点から弘前の新たな魅力を掘り起こそうという企画で、NCL弘前の起業家候補者として地域おこし協力隊となった学芸員の樽澤武秀さんと、アーティストの優香さん夫妻が手掛けている。現在、弘前オランド内に滞在型の展示・制作スタジオの開設に向けた企画が進行中で、優香さんの芸術家仲間で東京を中心に活動する酒井一樹さんが弘前に滞在し、4月の施設オープンに合わせた成果発表展に向け、弘前をテーマにした作品を構想しているという。
 弘前市といえば、弘前藩の城下町として藩政時代にさまざまな文化の華が咲き、その伝統が今も強く息づいている。また弘前大学をはじめとする高等教育機関も数多く集積していることから、文化・芸術に対する環境的な厚みは大きなものがあるだろう。
 芸術面から地域おこしを図るというアイデアは、こうした都市的な特徴のある弘前にふさわしいものと言えるだろう。弘前市内に一定期間、滞在するというのも面白いアイデアだ。その間にアーティストは弘前や津軽について、さまざまなものを吸収することができるだろうし、作品の深みも増すのではないか。私たち地元に住む者にとっても“弘前の外”の視点を持つアーティストが、どのような目で弘前を、津軽を見るのか、興味深いものがある。
 弘前市内には今春、「弘前れんが倉庫美術館」がオープンする運びとなっている。建物自体が希少価値を持つ美術館の開館に、市内外から多くの人が心待ちにしていることだろう。弘前オランドも同じ中心市街地にあるので、相乗効果を生むことも可能なはずだ。
 数多くの文化財や素晴らしい芸術の数々に触れる機会と場所がある弘前市。今後もさまざまな芸術活動の芽を吹かせ、育てていくことで、弘前らしい街おこしの未来図を描いていきたい。

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県予算案「人口減少対策、事業効果に注目」

2020/2/25 火曜日

 

 県が2020年度の当初予算案を発表した。一般会計総額は6816億円。これまで同様、人口減少対策を最重要課題とし、対策に441事業合計293億円を計上。特に若者や女性の県内定着・還流、結婚・出産・子育て支援などを重視し、予算を重点的に配分したという。
 人口減少克服に向けた戦略プロジェクトは、若者と女性対策のほか、多様なしごと創出、選ばれる青森に向けた食と観光の成長、地域づくり、健康の五つ。中でも重視するという若者と女性に対しては小・中学生から社会人まで各ライフステージに応じて、県内企業や仕事の情報発信、結婚や子育て支援、移住・Uターンの促進など、本県の魅力に気付き、定着してもらおうという取り組みが並ぶ。
 ただ人口減少はここ数年の課題で、以前から大きな要因の一つとして進学や就職を契機とした若者の県外流出が挙げられてきた。これまでも県はこのことを重く受け止め、さまざまな対策を講じてきたが、歯止めが掛かっていない状況だ。
 15年8月に策定した「県長期人口ビジョン」では2080年以降の県人口見通しを約80万人で安定すると展望したが、最新の改訂版では約72万人に下方修正したという。人口減少対策は短期で劇的に効果が上がるというものではないが、これまでの事業効果の検証、さらには従来とは異なる、課題への思い切ったアプローチが求められているのではないか。
 そのほかの戦略プロジェクトに含まれる各事業―本県の強みである食と観光の強化をはじめ、担い手不足が顕在化する中での多様な労働力の確保、高齢化社会に向けた交通ネットワークの形成や買い物支援など―は、いずれも重要かつ県民の関心が高いと言えるが、目新しさはない。やはり改善につながっているのか、視点を変える必要はないのか、事業を進めながら問い直す姿勢が必要だろう。
 当初予算案は財源不足を補う財政調整用基金の取り崩しをゼロとし、4年連続の収支均衡予算を実現。県債発行額は減少傾向にあるが、一方で20年度末の残高はまだ1兆258億円と見込まれる。限られた貴重な財源だけに、いかに有効活用していくのか、県民は注視している。
 予算では縄文遺跡群の世界文化遺産登録を見据えた取り組み、東京五輪・パラリンピックの大会効果獲得に向けた取り組みなどにも力を入れた。どちらも世界に向け、本県の魅力を発信していくことにつながり、期待が大きい。チャンスを逃さず、最大の効果を狙ってほしい。
 三村申吾知事は本予算案を県民の経済基盤を支える「県民の暮らし安心予算」だと述べ、「一人でも多くの若者や女性から、学ぶ場所、働く場所、生きる場所として選ばれる青森県を目指す」と決意を示した。青森らしい豊かな暮らし、持続可能な地域の姿をどのように描き、どう提示してくれるのか。注視したい。

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カラス対策「市町村間の広域連携検討を」

2020/2/22 土曜日

 

 各地で住民を悩ませているカラス。弘前市でも個体数などの調査を続けながら、さまざまな対策を講じているが、ふん害などは相変わらず見られ、それらをいかに減らすかが課題となっている。
 先日、同市内で開かれた「弘前市カラス対策連絡協議会」で市が報告したところによると、個体数は緩やかながら減少傾向にはあるという。2018年10月には弘前公園周辺で3831羽が確認されたが、19年11月には3595羽に減少、今年2月8日に弘前大学周辺で確認すると3359羽だった。
 関係者は、箱わなを用いた捕獲など各種対策の成果が次第に表れているとする。しかし、どの対策も万能とは言えないようで、箱わなを使った捕獲数の推移を見ると、昨年度は337羽だったが今年度は165羽(2月13日現在)にとどまっている。
 今冬は少雪のため餌場が雪に覆われず、箱わなの餌を求めるカラスが少ないことが原因とみられている。関係者は、餌の確保が難しい冬季の自然死を促すことを「対策の根本」に据えるべきとしているが、昨今の気象状況を見れば、冬がカラスにとって必ずしも厳しい時期とは言い切れない面があり、対策の難しさが浮き彫りになっている。
 とはいえ、諦めるわけにはいかない。弘前市が公表した19年度の市民意識アンケート集計結果報告書によると、カラス対策への市民の不満が依然として解消されていない状況が示されている。関係者たちにはより効果的な対策を考案し、実施することが求められている。
 弘前市はこれまで、鷹匠(たかじょう)によるカラスの追い払いなどを行ってきた。実証実験では、鷹匠が日没前に鷹とともにカラスのねぐらとなっている市街地を巡回すると、カラスがそこから移動するといった状況が見られた。ただ、この対策も日常的に行うのは難しいはずで、大きな効果を得るまでには至っていない。
 さらに今年に入って興味深い調査結果が示された。ハシボソガラス、ハシブトガラスの2種類にタグと全地球測位システム(GPS)を付けて追跡し、行動範囲や移動距離を探ったもので、中には本県から秋田との県境を越えて大館市まで移動した個体も見られた。
 この調査結果を踏まえれば、各自治体がばらばらに対策を講じていても効果が限定的であることは明らか。調査に携わった関係者も市町村間の広域連携の必要性を強調した。他の鳥獣被害についても同様な見解が示されている。中南津軽の各自治体も隣県の自治体との協力を検討するべきではなかろうか。
 鳥獣別に本県全体の農作物被害額を見てもカラスが最多で、ニホンザルなどを上回っている。われわれの生活に大きな影響を及ぼしているカラス被害を何とかして減らしていきたい。

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