社 説

 

感染拡大防止「正しい情報で不安の軽減を」

2020/3/4 水曜日

 

 新型コロナウイルスの感染防止対策は政府が要請した小中高校などの臨時休校が始まり、大規模イベントなども開催自粛が相次ぐなど、新たな局面に入った。本県では感染は確認されていないが、北海道は緊急事態宣言が出される事態となっており、東北でも宮城県で最初の感染が確認されている。いつ感染者が出てもおかしくない。危機感を持ち、感染の流行を早期に終わらせるため、各自に求められている対策をしっかり講じたい。
 そのためにも必要なのは、適切な情報だ。2日に政府の専門家会議が見解を示し、症状の軽い人、重症化しにくい若い世代などが活動する中で、感染を広げている可能性があるとした。ライブハウスやスポーツジムなど屋内の閉ざされた空間での近距離の会話は要注意で、1人が多数に感染させ小規模な患者集団「クラスター」をつくり出す例があるという。
 主に感染が広がる北海道民に向けてだが、避けるべき場所としてカラオケボックスや立食パーティー、自宅での大人数での飲み会などを挙げ、企業にはテレワークやオンライン会議の活用、出張を最低限に減らすことなどを提案している。
 一方、症状がない人は屋外での活動、人との接触が少ない散歩やジョギング、買い物、手を伸ばして相手に届かない程度の距離をとっての会話は感染のリスクが低い活動だという見解も示された。
 感染が確認され、症状のある人の約80%が軽症だというから、過度に恐れる必要はないのかもしれない。だが、自分が気付かないうちに他人、特に重症化しやすい高齢者らに感染を広げてしまう可能性があることを考えると、用心深くならざるを得ない。完全に屋内活動や人との接触を断つのは不可能なので、こうして目安を示してもらえるのはありがたい。
 本県では県がホームページで、新型コロナウイルスの検査状況の公表を始め、2日現在で29件の検査が行われ、全て陰性だったことを明らかにしている。公表前は「感染者が出たらしい」といううわさが広がることもあったが、正しい情報を公表することが不安の軽減につながる。今後も積極的な情報発信を求めたい。
 全国的な感染の拡大を受け、県が中小企業を対象に行った緊急調査では、約3割弱が直近1カ月で売り上げが減少、経営に影響が出ていると回答。青森空港発着の国際線の運休、青森港へのクルーズ船の寄港の中止なども公表されているほか、イベントや行事の中止や自粛も相次ぐなど、こうした状況が長期化すれば地域経済、県民生活への影響は大きい。
 全国一斉休校の要請を受け、40市町村での休校と学童保育の対応なども始まっているが、現場の負担も少なくない。
 現在は感染が拡大するか収束するかの瀬戸際とされる。精神論ではなく、県民が納得して行動できるような情報を提示し、協力を求めていく姿勢が必要だ。

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弘前市の情報流出「疑問残る“なぜ、どうやって”」

2020/3/3 火曜日

 

 弘前市職員約2700人分の個人情報が流出した問題で、市職員の男が地方公務員法(守秘義務)違反と偽計業務妨害の疑いで弘前署と県警保安課に逮捕された。
 容疑者は昨年10月から長期休暇中。情報を流出させたことは認めたが、偽計業務妨害容疑は「市の業務を妨げるつもりはなかった」と否認しているという。
 昨年12月に明るみに出た同問題は、市の内部調査を通じて市職員または元職員による犯行ではないかとみられていた。現在は容疑段階ではあるが、個人情報を守るべき立場の公務員にあるまじき犯行であり、市役所全体の信用に関わる事案でもある。「やはり」という思いの一方で、衝撃は大きい。
 この問題が発覚した頃、神奈川県庁の行政文書を保存したハードディスクドライブ18個がインターネットオークションを通じて転売され大量の個人情報が流出した問題も話題となり、弘前市の事案と合わせて自治体の情報セキュリティーの在り方が改めてクローズアップされた。神奈川県の場合はデータ消去を請け負った業者の元社員による犯行で、職業倫理の欠如という点では弘前市と共通する部分もあろう。
 それにしても、容疑者が個人情報をどのように入手し、なぜ流出させたのかは明らかになっていない。捜査の進展が待たれる。
 容疑者が公務員である以上、流出が地方公務員法に抵触する行為であることは分かっていたはずだ。そのリスクを負ってまで流出させた目的は何だったのだろう。
 逮捕容疑には含まれていないが、個人情報が一部報道機関へ送信される以前、市には情報の流出を示唆する匿名のメールが計5件寄せられていたことが分かっている。同じ容疑者が送信していたとすれば、犯行には何らかの事態を企図した強い意思すら感じられる。
 流出情報は、市人事課が管理するデータとほぼ同じだった。こうした情報には、同課のパソコンのみアクセスが可能で、その際はパスワードが必要だ。容疑者は過去、同課に在籍したことはなく、同課以外の職員がアクセスするのは大変難しいという。どうしてデータを持ち帰り、自宅のパソコンから一部報道機関に送信できたのか。他にも関与した人物の有無を含め疑問は尽きない。
 市は容疑者逮捕を受けて開いた記者会見で、情報管理体制を強化する考えを改めて示した。現行のシステムに抜け穴や至らない点があるならば、改善を促したい。
 もっとも、厳しい管理体制を敷いても成否は運用する職員の職業倫理に帰結しないか。会見で市側が指摘した通り、情報セキュリティー強化の意識啓発と職業倫理の醸成に期待したい。

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どうなる東京五輪「今夏開催へ感染終息急げ」

2020/2/29 土曜日

 

 東京五輪の開催が、開幕まで半年を切ったここにきて揺らいでいる。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国際オリンピック委員会(IOC)委員が「1年延期も不可能ではない」などと発言したのを発端に、東京都庁内に悲観論が漂いだした。
 この発言をしたのは、IOC委員を40年以上務めるディック・パウンド氏。世界的な感染拡大が続き、終息時期が見通せない現時点で、選手や観客らの安全を保証できるかと考えると、延期発言が的外れとは言えない。パウンド氏は開催の可否判断の期限を5月下旬と述べており、準備状況を監督するジョン・コーツ調整委員長も同様に、可否判断までの期間は3カ月との見方を示す。各国・地域内オリンピック委員会(NOC)は3月の事前合宿を取りやめた。アスリートファーストで考えると当然の対応だろう。
 IOCは開催の可否について最終決定する権限を持つ。都と結ぶ開催都市契約にも「安全が理由のいかんを問わず深刻に脅かされると信じるに足る合理的な根拠がある場合」と明記されている。前回リオデジャネイロ五輪は、ジカ熱の感染拡大で、参加辞退を申し出る選手もいたが、リスクが低下する冬開催だったことや対策の徹底で大きな混乱なく開催できた。新型ウイルスはジカ熱と違い先行きが見えない。選手のリスクが排除できなければ、契約に基づき判断が下される可能性がある。IOCが東京の猛暑を理由にマラソンと競歩の会場変更を強行したことを考えると、楽観視できない。
 しかし、IOCが延期・中止できるとはいえ、その際の影響は小さくないはずだ。日本オリンピック委員会(JOC)や都をはじめ関係機関にはすでに困惑、不安が広がっているが、それ以上に気になるのは代表選手がどうなるのか。
 激しい代表争いを制した選手たちは、今夏の大舞台で最高のパフォーマンスを発揮できるよう調整を続けている。仮に1年延期され、改めて代表選考を行うことになれば、どうなるだろうか。運動界では短期間に新たな有力選手が現れることは珍しくない。しかも年齢が1歳上がり、現在と同じ力を維持できるとは言い切れない。各国・地域は大会時点で最も期待できる選手を派遣するため、再び代表の座をつかめる保証はない。ボイコットしたモスクワ五輪(1980年)とは異なるが、“幻の五輪選手”とされるなら、あまりに酷だ。
 早期終息に向けて政府は、全国に臨時休校を呼び掛ける異例の対応に出たほか、必要な法整備などを急ぐ方針。代表選手たちのことを考えると、予定通りの開催が最良なのは疑いない。国内だけでなく全世界で終息しなければリスクが残るため、世界の感染動向を踏まえたIOCの判断次第となりそうだが、開催国としては諦めずに手を尽くしたい。

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まっしぐら「“特A”がもたらすものは」

2020/2/28 金曜日

 

 日本穀物検定協会(穀検)が26日発表した2019年産米の食味ランキングで、本県産米の「まっしぐら」が初めて最高評価の「特A」を取得した。農業県の本県にとってまさに「青天の霹靂(へきれき)」と言うべきビックニュースである。今回の評価が今後の販売戦略や作付け動向などにどのような影響を与えるのか、注目したい。
 まっしぐらは収量の多さ、寒さに強いことなどから、県南地方を中心に栽培が普及。業務用の引き合いに加え、家庭用の需要の高まりを背景に津軽地方でも作付面積が年々増え、19年産(推計)は県全体の7割近くを占めるまでになった。
 07年産から食味ランクの評価対象に加わったが、15~17年の「A」を除き、例年「A′」評価だった。昨年の「A′」から評価が二つ上がったことについて、穀検側は「正直、驚いた。要因は一概に言えないが(特Aの)力があるとしか言えない」と苦笑する。
 一方、県の担当者は評価が上がった要因について、味に影響を与える、もみの成熟時期「登熟」(8月)の好天など、生育条件に恵まれたと分析する。
 最高評価は本県生産者がおいしいコメを作っていることの表れであり、今後知名度が上昇すれば家庭用の需要が増えることも期待できる。当然、取引価格の上昇を見込んで作付けを増やす動きも出てくるだろう。
 実際、生産者からは「今後は生産を増やしたい」との声が上がっている。生産意欲の向上という観点に立てば、近年にない追い風である。
 では今後の販売戦略に影響はあるのだろうか。全農県本部は、コメ市場全体で見た場合は家庭用の需要が年々減少していることを踏まえ「特Aを取得したことで家庭用にかじを切ることはない。バランスの取れた取引が重要」と冷静に受け止める。
 農政に詳しい本県政界関係者も「『そこそこの価格で、そこそこおいしい』が売り文句のコメ。特A評価で価格が上がることは逆効果になるのでは」と指摘。さらに「来年の評価が下がった場合、おいしくなくなったと受け取られるのも困る」とも語る。
 昨年の台風・豪雨災害のように、近年は自然災害が頻発する傾向にある。特定品種に偏った作付けはリスクが高く、やはりバランスの取れた、一定の収量を見込める計画的な作付けが必要だろう。また、家庭用、外食用の需要動向を踏まえた計画的な販売戦略も維持しなければならない。
 今後も参考時代を含め6年連続の最高評価を維持したエースの霹靂を先頭に、まっしぐら、「A」評価だったつがるロマンの“3本柱”で、「青森のコメはおいしい」という信頼、支持を獲得することが重要だ。

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新型肺炎対策「本格流行回避へ対策徹底を」

2020/2/27 木曜日

 

 政府が、新型コロナウイルス感染症対策の基本方針を取りまとめた。感染拡大防止に向け、地域における感染者クラスター(集団)への対応に重点を置くことが柱だ。
 個別の患者の感染経路解明や、感染者の入国を防ぐ「水際対策」を主とするこれまでの対応を大きく転換させた格好だ。対策が後手に回っている感も否めないが、政府の専門家会議は「これからの1~2週間が、急速な拡大に進むか収束かの瀬戸際」との見解を示している。仮に急速に拡大が進めば、医療体制が破綻し、重症化の恐れがある患者への対応が滞りかねないなど深刻な影響が懸念される。本格流行を回避するため、今は社会全体で対策を徹底する必要がある。
 政府が示した基本方針では、患者が今後、継続的に増えた地域では、感染経路や濃厚接触者の調査を縮小し、住民に広く外出自粛の協力を求める対応にシフトする。遺伝子検査の対象も、感染の疑いがある患者から重症の肺炎患者らに切り替え、患者集団の発生時には学校や企業の閉鎖なども求める方針だ。
 また、安倍晋三首相は26日の対策本部で、スポーツや文化に関するイベントの開催について、大規模な感染リスクがあるとして今後2週間は中止や延期などの対応を講じるよう要請した。
 感染が拡大している北海道は、道内全ての公立小中学校を27日から一斉に臨時休校とするよう要請。Jリーグは公式戦全94試合の延期を決めるなど、対応が相次いでいる。県内でもイベントなどの中止決定が相次いでおり、影響は広範囲に及んでいる。いずれも異例の措置だが、ここが正念場と考えれば致し方ない。
 全国的な感染拡大で、風邪などの症状があれば、もしやと心配になる人も多いだろう。ただ、政府は医療機関をむやみに受診すると感染リスクが高まるとして、軽い風邪症状の患者には自宅療養するよう求めている。37・5度以上の発熱が4日以上続く場合などは各都道府県の帰国者・接触者相談センターに相談するよう呼び掛けているが、一般市民にとってはインフルエンザなどとの区別が難しいのも事実だ。自宅療養の判断が正しくできるかどうかは、重症化リスクや家族間の感染防止といった観点からも非常に重要で、一般市民が懸念を払拭(ふっしょく)できる具体策を早期に示す必要がある。
 マスクやアルコール消毒液などの品薄状態の早期改善に努め、本格流行を見据えた医療体制の整備を急ぐことも、市民の不安軽減を図る上で重要だ。
 新型肺炎による経済への影響もより深刻さを増す中だけに、早期終息を目指す上でも各企業などの対策も欠かせない。いまだ正体がはっきりと見えない新型ウイルスだけに、風邪などの症状が出た人は休暇を取得するなど、念には念を入れて対策を徹底したい。

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