社 説

 

弘前でごみ指定袋「さらなる減量化に努めよう」

2017/6/15 木曜日

 

 弘前市は家庭系ごみについて、有料化を当面見送り、処分手数料を上乗せしない指定袋を2018年度中に導入する方針を決めた。指定袋は45リットルで1枚当たり十数円になる見通しで、「事実上の有料化」との見方もできる。ただ、県内では40市町村のうち9割が既に指定袋を導入済み。指定がなかったのは同市、藤﨑町、西目屋村、階上町のみで、まず指定袋を導入するという判断は市民の理解を得られるのではないか。
 ごみの減量については、同市のみならず県全体で意識がまだまだ低いと言わざるを得ない。15年度の本県におけるごみ排出量は1人1日当たり1026グラム。前年度から20グラム減少し、都道府県別では前年度から二つ順位を上げたものの、依然として43位。前年度全国最下位のリサイクル率は1・5ポイント増の15・0%としたが、全国順位は42位のまま。
 同市の1人1日当たりの排出量は前年度より58グラム減り1222グラム。県内最下位から抜け出したものの、38位にとどまり10市の中ではワースト。市は20年度までに980グラムまで減量することを目標とし、達成できなかった場合は改めて有料化を検討する可能性を示す。
 市廃棄物減量等推進審議会は昨年、ごみの減量化・資源化に向けて「有料化が有効」という意見をまとめ、市に答申した。家庭系ごみの有料化は全国で6割を超える市町村が既に実施済み。県内でもほぼ半数の市町村が有料化している。実施した市町村ではごみ排出量が実施前に比べて確実に減少しており、有料化がごみの減量に効果的だということがデータで裏付けられている。
 そうした中で有料化を見送ったのは、各種取り組みによりごみの減量化が一定程度進んでいるからだ。15年度の減少に加え、市の独自推計によると、16年度の1人1日当たりの排出量は1164グラムまで圧縮されている。有料化に関する議論が行われたことで市民の意識が高まったのかもしれないし、市などによる各種啓発が市民に伝わりつつあるのかもしれない。いずれにせよ、この動きをさらに活発化させていきたい。
 一方で、気になるのが事業系のごみ排出量。15年度実績では468グラムと減少こそしているが、10市の中では最多の状況となっている。16年から弘前地区環境整備事務組合が古紙類ごみの受け入れ制限を実施したことや、会員事業所を対象に業者が無料で古紙類を回収する県の「オフィス町内会」事業が浸透しつつあることから、16年度はさらなる改善が見込まれているものの、事業系を減らす取り組みも一層強化しなければならない。
 ごみの排出量が多いことは、「お城とさくらとりんごのまち」のイメージダウンにつながりかねない。市民、事業者、行政が一体となって、さらなる努力をしていきたい。

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高校再編への意見「“認識の違い”理解し再検討を」

2017/6/14 水曜日

 

 県立高校再編第1期実施計画案(2018~22年度)をめぐり、県教委が県民から寄せられた意見について再検討する考えを示した。計画案は津軽地方では、金木、鶴田、板柳、五所川原工業4高校を募集停止の上で統合、新たな高校を設置するほか、黒石商業2学科を他校に移した上で黒石と統合、弘前実業農業経営課を柏木農業に集約するなど、これまでにない大規模なものとなっている。
 しかし、5月中に行った、地域住民と意見交換を行う地区懇談会でのやり取りを含め、統廃合対象となった地域からは見直し、再考を求める要望が県教委に相次いでいた。再度の検討とは、どの程度まで住民意見をくんだものになるかは未知数であり、100%満足するものは無理としても、ある程度は納得できる形となることを望みたい。
 先ごろ開かれた県教委定例会では、教育委員から「地域の実情への配慮が、われわれの認識と地域の方々とは若干違った面もあるのでは」との声が上がっていた。また県教委が計画案提示後の4月27日から今月5日まで実施したパブリックコメントでは、14人から延べ28件の意見が寄せられたが「郷愁や伝統だけでは、学校の存続は難しい。それだけ子どもの減少は深刻だ」と計画案の趣旨に理解を示す声がある一方、統廃合対象になった高校について伝統や地域に対する貢献、魅力などを訴え、計画案の再考を求める意見も見られた。
 論点はさまざまだが、県教委側の説明は、普通科と専門学科を統合し、新設校を設けることのメリットだけを強調しているようにも見える。実際、定例会では「専門学科と普通科を融合し、新しいイメージの学校をつくるという点で地元の人たちの理解が足りないのかなという受け止めをしている」との意見が上がっていた。
 「新しいイメージの学校」という考えは、本県の将来的な高校の在り方を考える上で選択肢として必要であろうし、生徒数を確保の上で充実した教育環境を整備するとの趣旨はもっともだ。
 しかし、統廃合対象となった地域の人たちが求めているのは、高校がこれまで地域と歩んできた歴史や貢献の在り方、高校が地元からなくなることによる保護者の経済的負担、生徒が地元からいなくなることにより懸念される地域活力の衰退といったことに対して、どのように県教委側が答えるかということであろう。まず、これらに対して、住民側に対する明確な回答がない限りは、「新しいイメージの高校」や高校・学科を集約する意義、メリットに対して理解を求めても、なかなか理解されるものではない。
 意見の再検討に当たっては、「地域の実情への配慮」に関する認識の違い、住民側が求めていることが何なのかを理解した上で精査することを望みたい。

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退位特例法成立「皇室の安定的存続に議論を」

2017/6/10 土曜日

 

 天皇陛下の退位を実現する天皇の退位等に関する皇室典範特例法が9日、参院本会議で可決、成立した。明治以降の近・現代日本においては初めて、歴史的にみれば、1817年の光格天皇以来、約200年ぶりに退位への道が開かれることになる。今回の法案成立はわが国における象徴天皇制の在り方を考えた時、大きなターニングポイントとなるのは間違いない。
 特例法では、83歳と高齢になられた陛下が被災地視察といった公的行為などの継続が難しくなることを「深く案じておられる」とし、「国民は陛下のお気持ちを理解し、共感している」と退位に至る事情を明記している。
 政府は2018年12月下旬に陛下の退位と皇太子さまの新天皇即位を実現させ、翌19年元日に元号を改める日程を軸に検討を進めている。時期はまだ流動的だろうが、陛下の退位が現実のものとなる以上今後のスケジュールは万端遺漏なく執り行いたい。中でも改元は国民生活にも大きな影響を及ぼすものであり、混乱が生じることのないよう、早い段階でその時期を明確にし、しっかりとした準備を整えていかなければならない。
 退位への思いがにじむ陛下の「お言葉」から10カ月。国会や専門家による会議などを通じて、さまざまな議論が行われてきた。その生前退位の在り方は今回、陛下一代限りの特例法という形での決着を見ることになった。
 菅義偉官房長官は特例法について「将来の先例になり得る」と述べたが、法律に明文化されていない以上、その時々の政権の判断となることは避けられない。陛下の退位へのお気持ちに対して、国民の多くが共感を覚えたことは確かだ。だが一代限りとする今回の特例法に賛成であるかどうかは、別問題であろう。国民の願いは、突き詰めれば、象徴天皇制と皇室制度について将来も安定したものであり続けてほしいということに尽きるのではないかと思う。こうした点を考えれば、もっと議論を踏み込んだものとすることができたのではないか。
 安定的な皇位継承や皇族数の減少という問題も積み残されたままだ。例えば30年後の皇室を考えた時、皇太子ご夫妻、秋篠宮ご夫妻はいずれも80代になられる。現在未婚の女性皇族7人は、眞子さまをはじめ多くが結婚に伴い、皇籍を離脱している可能性がある。40代の悠仁さまがお一人で皇室の将来を抱え込む事態になりかねない。
 男系男子による皇位継承を維持するために側室制度を復活させるのは非現実的だろう。旧宮家の皇籍復帰も判断の分かれるところだ。
 皇室を安定的に存続させるためにはどうすれば良いのか。難問を先送りせず、国民的議論を続ける。国と政府はその先導役を担わなければならない。

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16年人口動態「働き盛り世代の健康守れ」

2017/6/9 金曜日

 

 厚生労働省が発表した2016年の人口動態統計によると、本県の死亡者数は1万7309人で15年よりも161人増え死亡率(人口1000人当たり)は13・4と全国で5番目に高かった。出生数と死亡数の差に当たる自然増減数は死亡数が上回る「自然減」で、マイナスは18年連続、減少幅は8683人と過去最大。女性1人が生涯に産む子どもの数を表す「合計特殊出生率」が1・48と4年連続で上昇し、11年ぶりに全国平均を上回るなど明るい兆しもあるが、全体として人口減少に歯止めがかからない状況だ。
 死因を詳しくみると、糖尿病の死亡率(人口10万人当たり)は3年連続で全国最悪。悪性新生物(がん)の死亡率は全国ワースト2位、腎不全は同3位、肝疾患が同4位など、主要な疾患の死亡率が全国に比べて高い。特にがんの死亡率は年々上昇しており、がんをはじめとする主要疾患の対策や健康寿命の延伸が引き続き本県の重要課題であることが分かる。
 県はこれまでも人口減少の克服、健康長寿県の実現をともに大きな課題と捉え、取り組みを積極的に進めてきた。
 例えば40年前に比べて死亡率が3倍超となったがん対策。県は高齢になると免疫力が低下することから、高齢化の進行が影響しているとみるが、それだけでは他の都道府県と比べて高い理由にはならない。喫煙などの生活習慣、検診受診率などさまざまな要因が複雑に絡み合っているのだろう。今年度はこれまでの施策に加えて、大腸がん検診未受診者へ効果的な受診勧奨を行い、検診受診率を向上させる取り組みや未受診のリスクを見える化する取り組みを新たに進める。
 働き盛り世代の死亡率が高いという問題も深刻だ。16年の人口動態統計では、男性40~44歳の死亡率は全国が126・2なのに対し、本県は155・8。50~54歳は全国322・4に対し、本県は410・0、55~59歳は全国が519・0で、本県は661・4と軒並み高い。
 これについて県は従業員の健康づくりに取り組む事業所を増やすとして、今年度から新たに始めた「あおもり働き方改革推進企業」に9社、事業主自身の健康宣言や勤務時間にがん検診が受診できる体制整備、受動喫煙防止対策の実施を必須要件とする「県健康経営事業所」に3社を認証、認定した。1~2年内にそれぞれ100事業所まで増やす考えだ。
 近年、事業所単位での健康づくりの取り組みが増えているのは心強いことだと思う。事業所は一日の多くを過ごす場所であり、経営者が率先して健康づくりに取り組む姿勢は職場全体に少なからず影響を与えるだろう。市町村や大学などの健康に関する取り組みも活発化してきており、県民の意識も少しずつ変化していると言える。働き盛り世代は家庭の柱であり、社会にとっても重要な担い手。県全体で死亡率抑制に力を尽くしたい。

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待機児童解消「政権の本気度をただすべき」

2017/6/8 木曜日

 

 認可保育施設に入れない待機児童の解消について、政府は2017年度末の達成目標を3年先送りし、遅くとも20年度末までに目指すという新たなプランを発表した。安倍晋三首相は女性の活躍や働き方改革を重要課題に掲げるが、本当に待機児童の解消に取り組む覚悟があるのか、国会は“本気度”をただすべきだ。
 全国の待機児童は16年4月時点で2万3553人。しかし保護者が育児休業中だったり、きょうだいが入所している、通勤に便利といった理由で特定の施設のみを希望している場合は待機児童と見なさない除外規定があり、この「隠れ待機児童」は6万7354人に上る。
 さらに入所できる認可外の施設があったとしても、保護者が信用できるか否かという問題もある。安心して子どもを任せたいという思いから入所を見送った場合でも、「特定の保育所しか希望していない」と判断されるのだ。
 先日行われた、塩崎恭久厚生労働相と子どものために保育施設を探す「保活」経験者らとの意見交換では、「お母さんが入れたいと思う保育園に入れることが待機児童ゼロだ。母親の気持ちを聞き入れる体制を」「情報が見えにくい中で、何を根拠に保育園を選択していいのか不明瞭。情報の見える化を進めてほしい」などの切実な声が上がった。
 厚労相には母親らの声を真摯(しんし)に受け止め、内閣の最重要課題として取り組むよう首相にも働き掛ける必要がある。
 さて、新プランでは18年度から3年間で22万人分の受け皿を整備。さらに女性の就業率が80%に達しても保育ニーズに対応できるよう、21、22年度に10万人分の受け皿を拡大し、5年間で新たに計32万人分の定員を確保するとしている。
 さらに地価の高い都市部に待機児童が集中していることから、保育園の賃借料の補助や大規模マンションでの設置を促進。待機児童の7割を占める1、2歳児の受け皿を充実させるため、幼稚園での2歳児受け入れ拡大や預かり保育も進める。
 それでも課題は多い。新プランの財源に明確な方針はなく、予算編成に向けた調整は難航が予想される。他業種に比べて低い給与水準や少ない休日など、保育士の就労条件を改善する必要もある。
 今国会では、現在は国家戦略特区だけで認めている公園内の保育所設置を、全国で可能にすることを柱とする都市公園法などの改正法が成立した。今夏までに施行される見通しで、保育所に加え、小学生を放課後に預かる学童クラブなどの設置も可能となる。
 人口減少社会にあって、働く意欲のある女性の支援は最も重要だ。獣医学部の新設が注目を集めているが、政府は特区や規制改革会議での議論など、あらゆる手段や機会を捉えて待機児童の解消に取り組むべきだ。

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