社 説

 

国有地払い下げ「関係者は真実を明らかにせよ」

2017/3/2 木曜日

 

 学校法人「森友学園」(大阪市)に大阪府豊中市の国有地が格安で払い下げられていた問題が、国会などで厳しい追及を受けている。問題の国有地は学園が小学校を開校するとして、鑑定価格9億5600万円の2割に満たない1億3400万円で購入した。政府は、差し引かれた8億2200万円は埋蔵廃棄物の撤去費用分としているが経緯の詳細を説明し切れておらず、この取引が国有財産売却に際して「適正な対価」を求める財政法に抵触しないかが問われている。
 確かにこの問題は疑念を抱かれる条件がそろっている。報道によると、国側は衆院予算委の質疑で、国有地のどの部分からどのような埋設物が出たかなどの詳細は「把握していない」と答弁できなかった上、売却後の土壌撤去に関する野党側の調査要求に対しても「確認する義務はない」と拒否。売却価格に関する公表記録は同じく野党が明らかにするよう求めたが「既に廃棄して残っていない」との回答だ。
 「把握していない」「義務はない」「残っていない」と責任逃れとも思われる姿勢では疑念を晴らすことはできない。これらの答弁では国民が納得することはあるまい。不自然な売買契約とその後の経緯について、深まる疑問に誠実に答えていく姿勢が国には求められる。
 この問題に関しては、森友学園と安倍晋三首相、同学園が開校する小学校の名誉校長を務めた昭恵夫人との関係も取り沙汰されている。昭恵夫人は既に名誉校長を辞任しており、安倍首相自身も「関係していたとなれば、首相も国会議員も辞める」とまで断言し、学園との個人的関係や国有地売却への関与を否定している。
 しかし、同学園については、その政治性がうかがわれる教育内容についての批判が強まってきている。学園が大阪市内で運営する幼稚園で、園児に「安倍首相頑張れ」などと言わせる教育を行っていたことが判明。さらには「安保法制国会通過良かったです」「日本を悪者として扱う中国、韓国が心を改め、歴史でうそを教えないようお願いします」とも園児たちに言わせていた。これは特定の政党を支持する政治教育を禁じた教育基本法に違反する恐れがあるという。
 園児たちに言わせていた内容は、未就学児にとっては理解不能であろうが、子どもの頃からの刷り込みで差別感情を増大させる危険性がある。子どもたちが成長し、状況を理解できるようになり、そこで初めて自ら主張すべき考えを、大人の一方的な感情で刷り込むことは好ましくない。
 国有地の売却問題に加え、学校法人・森友学園の教育の在り方、そしてこの学校法人に対する安倍首相の政治家としての関わり方、この問題に問われているものは多い。

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プレ金「企業の意識改革につながるか」

2017/3/1 水曜日

 

 月末の金曜日に仕事を午後3時で切り上げ、余暇を楽しんでもらい消費を促そうという「プレミアムフライデー(プレ金)」が2月からスタートした。
 初回となった2月24日は、全国的に見ると、暮らしやすさをPRする機会にと積極的に取り組んだ自治体や企業があった一方、冷静な対応も多くみられ、本県では早期退社に取り組む企業側の動きは鈍かった。
 大手の百貨店や旅行会社は24日の売上高が増収となったことを明らかにしているが、終業を前倒しする企業は一部にとどまったようだ。まだ様子見といったところかもしれないが、浸透するかどうかは未知数である。
 プレ金は個人消費を促すため、月末の金曜日に仕事を早めに終えて、ぜいたく(プレミアム)な買い物や飲食、旅行などを楽しんでもらおうと、政府と経済界が官民一体で取り組んでいる。バブル経済時代にあった、休日前の金曜の夜を楽しむ「花金」に倣い、普段よりもぜいたくをするきっかけを作るのが狙いだ。
 背景には、雇用・所得環境が改善しているにもかかわらず節約志向で個人消費が低迷し、経済全体が伸び悩んでいる現状がある。総務省の2016年家計調査によると、1世帯当たりの消費支出は、物価変動の影響を除いた実質で前年比1・7%減と3年連続のマイナスで、消費者の節約志向の根強さが改めて浮き彫りになった。
 政府と経団連は、給与が支払われた直後で懐具合の良い月末の金曜に有給休暇を取得したり、残業はせずに早く仕事を切り上げたりするよう呼び掛け、消費拡大につなげようとしている。
 ただ、企業側にとってはそう簡単ではないだろう。週末、その中でも月末は忙しい企業が多く、終業を前倒しするために他にしわ寄せがいく可能性もある。大手企業なら取り組みやすいだろうが、中小企業ではなかなか難しいのが現状だろう。働き方を変える企業や社会全体の意識改革も求められる。
 県内では、行政や企業の取り組みが鈍い中、「商業施設側から仕掛けていかなければ」と前向きな姿勢で企画を打ち出す商業施設や百貨店もみられた。イベントの参加者は充実したひとときを過ごしたようだ。
 政府などが狙う個人消費拡大はさておき、たとえお金を使わなくとも、週末にプライベートな時間をゆっくりと過ごすことができれば、心身の充実を図ることができ、家庭での時間も充実させることができる。
 月末の金曜日に限らずとも、たまに仕事を早めに切り上げて余暇を楽しむ時間を持ちたいものだ。それぞれの企業に合った方法で、プレミアムな時間を持てるよう、社会全体の意識改革が進むことを期待したい。

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津軽さくら物語「“大事な人に会える街”弘前」

2017/2/28 火曜日

 

 歌手川中美幸さんの新曲「津軽さくら物語」が発売された。弘前さくらまつりをイメージしたもので、観光関係者は開幕まで2カ月を切った祭りに弾みがつくと大きな期待を寄せている。
 桜が好きだった亡き親友への思いを平川市の保育園長で声優の斎藤千恵子さんが歌詞にし、交友のあるむつ市出身のシンガーソングライター板橋かずゆきさんが曲を付けた。都内にある川中さんの店でライブを行った板橋さんが初めてこの曲を歌ったのを、川中さんが耳にしたのがCD化のきっかけになった。
 歌詞には親友に桜の羽で舞い戻ってほしいというかなわぬ願いが込められており、親友の長女が「私のように大事な人を失った人を元気づける歌」と話すように、川中さんも他界した父や友人らを思い出して涙し、自身で歌いたいと強く思ったという。これが歌の力なのだろう。
 古くから日本人に愛される桜。その美しさ、わずか数日で散るはかなさ。実に日本的な花であり、演歌やポップスなど、さまざまなジャンルで歌われてきた。ただ、弘前さくらまつりが「日本一」と広く知られながら、有名歌手が弘前の桜を題材にした曲を歌うケースは少ない。弘前観光コンベンション協会として初めて「推薦曲」とし、弘前市の葛西憲之市長も「(川中さんに)弘前の桜の前で歌ってほしい」と話していることからも、この曲に対する観光面での期待感を読み取ることができる。
 2003年に弘前観光コンベンション協会(当時は弘前観光協会)は映画やテレビドラマなどの撮影支援をする弘前フィルムコミッション事業に本格着手した。弘前の風景などの映像露出を増やすことで、見た人に弘前旅行を促す狙いがある。
 「津軽さくら物語」もプロモーションビデオに弘前の風景が登場するが、同時に歌手としての川中さんの表現力や歌詞から、これまでのような視覚とは違う形で「弘前の桜」を人の心に植え付けることができると考えられる。川中さんも「1、2回聞いて飛び付くような歌ではないかもしれない」とした上で「何度も聞くことで、必ず人の心に受け止めてもらえる」と説明。自身も「(歌うごとに)一字一句、深くなる自分がいる」とする。川中さんはデビュー40周年を記念した「美幸のうたの旅人シリーズ」の第1弾として、長く聞いてもらえるよう大切に育てていく考えだ。
 川中さんが心を動かされたように、聞く人それぞれが大事な人を思い出すきっかけになれば、作詞者、作曲者はもちろん、生前に桜の保護・PRなどに取り組んだ親友にとっても喜びになるはず。春のわずかな期間だけ、今は亡き大事な人が桜羽(さくらばね)を広げて舞い戻る街。100年の歴史を誇る、弘前さくらまつりの新たなセールスポイントにならないか。

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青天の霹靂「特A評価を弾みに勝負の一年」

2017/2/25 土曜日

 

 日本穀物検定協会(穀検)が発表した2016年産米の食味ランキングで、県産米「青天の霹靂(へきれき)」が、特においしいとされる最高評価「特A」を取得した。参考品種時代を含めれば3年連続の取得であり、市場流通しているコメなどを対象とした「本ランキング」でも連続して最高の評価を得ることができた。
 穀検の会見では霹靂の特A取得などについて「品質が安定している」と高く評価した。県産ブランド米の次世代エースとして関係者の期待を一身に背負って市場に参入した霹靂は、3年連続の特A評価により、食味の上では市場に確固たる位置を築けたのではないか。県外販売が本格化して2年目となる17年産の販売に向けて弾みがついたといえるだろう。
 県外販売本格スタートの年となった16年産は集荷数量7582トンの98・8%に当たる7493トンが出荷基準を達成。販売計画数量7481トン(県外5259トン、県内2222トン)は米卸売業者との契約が1月末に完了した。
 今後の販売動向も注視していかなければならないが、まず順調といえる状況にあるのではないか。17年産の作付予定面積は16年産比1・2倍の約1900ヘクタールに設定。生産者数は同1・1倍の915経営体となる。霹靂のブランド力を深化させる年として17年は重要な年であり、それには何より品質の安定性が求められる。15、16年産で培った生産技術をさらに高め、高品質米の生産に取り組まなければならない。
 ただ、人口減社会に加え、消費者の米離れが進むこの時代にあっては、良食味・高品質米であるだけでは生き残りは果たせない。
 今回の食味ランキングでは全国44銘柄が特A米となった。そのうち11銘柄が初めて特A米を取得している。産地間競争がいかに激しさを増しているのかがよく分かる。米どころと言われた地域以外でも新品種の開発が熱心に進められ、地域条件や気象条件などにとらわれることなく高品質な米が市場デビューを果たしている。それに消費者の嗜好(しこう)や購買意識も変化してきている。どうしても目新しい新品種に注目が集まり、ブランド力が確立した一部の人気品種以外は生き残りが厳しくなるのが、この産地銘柄競争時代の現実といえるだろう。
 そのためにも17年産は勝負の一年といえるだろう。県は新年度予算案に、青天の霹靂のブランド確立に向け、8410万円を計上。産地間競争に打ち勝つ販売戦略を検討するほか、首都圏・関西圏での認知度向上を図ることにしている。
 生産の現場ではさらなる良食味・高品質米の生産に向け、経験と技術を磨き、自治体や関係団体はブランド確立に向け、情報発信と創意工夫を重ねる。本県関係者が一体となって青天の霹靂の明るい未来を開きたい。

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県新年度当初予算案「人口減対策、独自性も必要」

2017/2/24 金曜日

 

 県の2017年度一般会計当初予算案は、前年度当初比1・8%減の6846億円で、2年連続のマイナス編成となった。ただ、貸付金と人件費、公債費を除くと前年度当初を上回り、事実上のプラス予算とも言える。
 行財政改革を進めた結果、基金を取り崩さない収支均衡を27年ぶりに実現。ここ数年は取り崩し額を10億円以内に抑え、実質的な収支均衡に努めてきたが、さらに一歩進んだ格好だ。
 県債の新規発行額を前年度以下に抑制したこと、残高の減少基調を維持したことも評価できよう。ただ、残高は臨時財政対策債も含めると1兆円強のまま。厳しい財政状況は変わらない。
 歳入環境が劇的に好転することなど望めない一方、人口減少と超高齢化により社会保障費が膨らみ続けることは間違いない。団塊の世代が後期高齢者となる「25年問題」は、もう目の前まで来ている。歳出の抑制には限界があり、歳入、特に自主財源を増加させるための知恵や工夫が求められている。
 そのために重要なのが、人口減少に対応した施策だろう。新年度当初予算案では、基本計画で設定した「人口減少克服」の戦略プロジェクトに87事業、10億7000万円余りを計上した。総花的であり、目新しさもさほど感じられないが、現段階で考えられることをかき集めたと見ることもできよう。
 柱として掲げた、持続可能な地域づくり、移住・定住促進、交流人口を増やす仕組みづくり、子どもを産み育てやすい環境づくりは、いずれも重要な観点だ。人口減少対策は中長期的で幅広な取り組みが不可欠であり、さまざまな事業を展開していく中で効果や課題が見つかっていくはずで、そこで選択と集中を図ったり、即効性のある対策を打ち出したりすることが現実的ではないか。
 ただ、人口減少対策に取り組んでいるのは、もちろん本県だけではない。各都道府県の新年度当初予算案を見ると、財源が限られる中でも、子育て支援や訪日外国人旅行者(インバウンド)誘致への投資を重視する傾向がうかがえる。今後、特に交流人口拡大などで地域間競争が一層激化していくだろう。他都道府県とは一線を画した、独自性のある施策も求められている。
 県は、人口の「口」を「幸」に置き換えた、「人幸増加大作戦」を展開している。県民一人ひとりが幸せを実感しながら暮らせる地域をつくり、世代を超えて幸せをつないでいくことで人口減少を食い止め、活気ある本県を目指す―というもの。三村申吾知事は新年度当初予算案を「未来をつむぐ・チャレンジ予算」と表現し、「県民と共に前進していきたい」と語った。予算を生かすかどうかは、県民もカギを握っているということを自覚しておきたい。

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