社 説

 

空き家対策「実効性の向上へ一層の工夫を」

2017/6/24 土曜日

 

 増え続ける空き家の対策に各自治体が相変わらず苦労している。
 総務省が5年ごとに行っている「住宅・土地統計調査」の直近の結果(2013年)によると、総住宅数6063万戸のうち空き家は820万戸に上り、空き家率は13・5%だった。本県は総住宅数58万6000戸のうち空き家は8万1000戸といった状況だ。
 県内では、中泊町と五所川原市が13年に「空き家条例」を施行して以降、各自治体が同様の条例をつくるなどして空き家の解消や有効活用に努めている。
 既に条例をつくっていた平川市は、空き家対策の方向性や法に基づく措置をまとめた「市空家等対策計画」を新たに策定し、今月22日にホームページで公表した。計画の策定は県内10市で初となり、市民の生活環境を保全しつつ、空き家の有効活用などを目指す。
 市によると、条例を制定した15年4月から17年2月までに、空き家に関する相談、通報が57件寄せられ、多くは「空き家のがれきが飛散」「雑草などが生い茂っている」といった近隣住民の不安や苦情だったという。
 もちろん、条例を制定する意義はある。しかし、それだけで対策が着実に進められるとは限らない。平川市の狙いは、計画を策定することで対策をより体系だてて、実効性を高めることだろう。
 空き家対策の方向性として、▽発生の予防・抑制▽所有者による適切な管理▽空き家バンク制度の利活用―など6点を掲げ、空き家の管理から活用まで施策を総合的に講じていく。
 適切に管理されておらず、指導や勧告の対象となる「特定空き家」を判断する基準も明確化。国のガイドラインに沿って「市特定空家等判断基準」を定め、▽周辺の建物や通行人に悪影響はないか▽悪影響の程度と切迫性―といった項目を勘案して見極めるという。
 衛生上や防犯上の理由から、空き家を撤去しなければならないケースはもちろんあり、今回の計画にも、管理状況が改善されない空き家の除却を含め、代執行といった法的措置を盛り込んだ。
 空き家対策は、自治体それぞれの取り組みが基本となるだろうが、空き家の売り手と買い手らをマッチングさせる「空き家バンク」については広域で運営することを模索する動きがあるほか、「空き家解体ローン」の金利を優遇するといった金融機関も見られる。
 一口に空き家活用と言っても、移住者による利用を促す場合もあれば、単身高齢者が共同で生活する場として提供する場合もある。空き家の活用目的も多様、空き家所有者の事情もさまざまで、容易に類型化できるものではないのかもしれない。自治体をはじめ、さまざまな分野の関係者が知恵を出し合い、対策の実効性を高めていきたい。

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地吹雪体験「開催地増で冬期観光活性化を」

2017/6/23 金曜日

 

 吹き付ける風雪、広大な雪原―。そんな津軽地方の冬を観光資源とし、五所川原市金木町で毎冬展開されている取り組み「地吹雪体験」は昨冬30周年を迎え、さらに広がりを見せようとしている。
 昨冬は金木町の本家「地吹雪体験」に加え、鯵ケ沢町のホテルグランメール山海荘、平内町の夏泊スノービーチ体験協議会、今別町の大川平荒馬保存会による「新御三家」がそれぞれ開催したほか、五所川原市で「元祖地吹雪体験」「地吹雪ノルディック」も行われた。津軽地吹雪会の角田周代表は21日に平内町で開かれた会議で、来冬さらに2カ所での開催を検討していることを明かしており、本県冬季観光の活性化の一助となることを期待したい。
 本家「地吹雪体験」は同会が1988年冬から開始した。五所川原市金木町を含む西北五地方は日本海の強風が津軽平野の雪を巻き上げる地吹雪の本場であり、住民を悩ませていたが、これを津軽の冬の観光資源として着目したのが「地吹雪体験」である。角巻きにかんじき姿で雪原を歩き回る姿は雪に悩むというイメージは感じられない。むしろ、雪に親しむという姿である。
 1月末に平内町で行われた「新御三家」初イベント「冬なのに夏泊スノービーチ2017~雪の渚(なぎさ)de地吹雪体験」では、本家譲りの角巻き、かんじきに加えて地元特産のホタテを入れる万丈籠とスキー板を加えた「万丈籠ソリ」の体験、真冬なのに冷え冷えとした特製サイダーを飲んだり、ホタテ貝焼きを味わったりと独自の試みも行われた。「新御三家」の最後となった「ゆる湯る鯵ケ沢de地吹雪体験」(鯵ケ沢町)では、やはり角巻きにかんじきのスタイルで雪原を歩くという基本はもちろん、「舞の海ふるさとちゃんこ鍋」の振る舞い、「ブサかわ犬」として知られるわさおの出迎えといった趣向が参加者を喜ばせた。
 本県の冬季観光といえば、スキーレジャーや「弘前城雪燈籠まつり」に代表されるような雪による造形を主としたものが挙げられるが、冬は閑散期とされ、春の桜や夏のねぷた・ねぶたに比べれば、観光客の出足が鈍いことは否めない。しかし、近年は官民を挙げた冬季観光振興の取り組みや各地の新たなイベント創出で冬季観光を盛り上げる機運が高まっている。5月に青森空港への定期運航が開始された中国・奥凱(オーケー)航空の定期便も来冬の利用者数に期待がかかる。
 30周年を迎えた「地吹雪体験」は冬季観光イベントとしては既に定着しているイメージがある。ただ、地元開催だけにとどまらず広がりを見せようとしていることは、今後本県冬季観光にどのような好影響をもたらすのか。31年目となる来冬は「地吹雪31(祭)」とし7カ所での開催を目指すとしており、展開を見守りたい。

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東アジア杯ソフト「大会成功を今後の糧に」

2017/6/22 木曜日

 

 弘前市が主催する初の国際大会「第6回東アジアカップ女子ソフトボール大会」は18日から21日まで、新装なった同市のはるか夢球場で熱戦を繰り広げた。日本からは大会に日本代表とGEM4(U23日本代表)が出場したが、2チームが他を圧倒する内容だった。その中でも日本代表が前評判通りの活躍を見せ、決勝ではチャイニーズ・タイペイに8―0で勝利。昨年、中国に奪われた東アジア王座を見事に奪還した。女子ソフトボール競技は、東京五輪で正式種目として復活する。今回の優勝は日本代表にとって同五輪での金メダル獲得に向け、弾みをつける内容となったことだろう。
 大会での日本代表の活躍は素晴らしかった。初戦はチャイニーズ・タイペイ相手にエース上野由岐子投手が1回ながらも無失点に抑える貫禄の投球を披露。打っても初回先頭の山田恵里主将が初球打ちで左翼フェンスを越える豪快な本塁打を放つなど相手を圧倒した。その後も日本代表の勢いは止まらず、2日目の中国戦、3日目の韓国戦も危なげなく勝ちを収め、最終日は同じく予選全勝のU23日本代表を退けると、決勝のチャイニーズ・タイペイ戦でも実力の差を見せつけ、大差で勝利した。
 大会前夜のレセプションで代表を率いる宇津木麗華ヘッドコーチ(HC)が、選手、監督として代表をけん引してきた弘前市職員の斎藤春香さんを前に「東京五輪での金メダル」を約束したのは、本紙が報じた通り。東京五輪に向けて幸先の良い勝利を飾ることができたこと、特に弘前の地で期待通りの活躍を見せてくれたことは市民としてうれしい限りだ。このまま一直線に東京五輪の頂点を目指していってもらいたい。
 今大会は、弘前市にとっても実りが多かった。日本代表が直前の合宿を同市で開催したことにより、ソフトボール教室などが行われ、地元の子どもたちが一流の選手たちからじかに指導を受ける機会に恵まれた。こうした体験は子どもたちにとって大きな励みになったことだろう。子どもたちの中から将来の日本代表が誕生してくれることを願っている。
 また市内の小学校は海外チームの応援を担当。声をからしての応援や試合前にはプレゼントの交換なども行われた。子どもたちにとっては海外の国や人々への興味がますます湧いたことだろう。子どもたちの国際感覚を養う上で有意義な機会だったと思う。
 リニューアルオープンしたはるか夢球場にとっても国際大会を行った実績ある球場として関係機関に認知されることになった。今回の大会を成功させた意義は大きい。来週にはいよいよプロ野球の1軍戦が行われる。今後ともはるか夢球場の優れた特性を生かした競技やイベントが継続して行われるよう、関係者の努力に期待したい。

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支持率急落「国民の目は欺けない」

2017/6/21 水曜日

 

 通常国会の閉会を受けた報道各社の世論調査で、安倍内閣の支持率が軒並み落ち込んだ。「加計学園」問題の追及を逃れるように、「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法を強引に成立させた国会運営に対し、国民が不信の目を向けていることの表れであろう。
 時事通信の6月の世論調査によると、安倍内閣の支持率は4カ月連続減となる45・1%、不支持率は昨年10月以来8カ月ぶりの3割台となる33・9%に上昇した。支持率が10ポイント以上下落したり、不支持が支持を上回ったとの報道もある。
 時事の調査で特に注目されるのは、支持しない理由(複数回答)で「首相を信頼できない」が急増、前月比6・2ポイント増の18・8%となったことだ。これは安全保障関連法審議の影響で支持率が4割前後に低迷した2015年夏ごろと同水準である。
 振り返れば安保法は国民の間でも賛否が分かれる問題で、幕切れは強行採決だったものの衆参両院で100時間を超える審議が行われた。
 しかし今回の審議では、市民が処罰対象となるのか、内心の自由は守られるのかが、答弁が二転三転するなどして明確にならず、国民は議論が足りていないと感じていた。にもかかわらず強行採決した手法に対し、国民が不信を抱くのは当然だ。
 さらに加計問題では、当初存在を否定していた「総理のご意向」などと記された文部科学省の内部文書について再調査に追い込まれたほか、文書の存在を証言した前事務次官を強烈に批判するなど、国民の目にどう映っているのか顧みない政権の姿勢を際立たせた。
 報道各社が支持率下落を報じた19日、安倍晋三首相は加計問題に関して「対応が二転三転し、国民の政府に対する不信を招いたことは率直に反省しなければならない。信なくば立たずだ」とし、説明責任については「国会の開会、閉会にかかわらず、今後も分かりやすく説明していく努力を積み重ねていく」と国民の理解を求める考えを示した。
 また、通常国会を振り返って「印象操作のような議論に対し、つい強い口調で反論してしまう私の姿勢が、結果として政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省している」とした。
 何度も「反省」を口にした首相だが、国民はどう判断するか。まずは23日告示、7月2日投開票の東京都議選が焦点となる。
 逆風へ危機感を強める自民は、派閥単位で候補者を割り当て、国会議員や秘書らが支援する挙党態勢で臨んでいる。しかし、秘書の中からは「加計問題と強引な国会運営に批判が根強い」と恨み節も上がる。有権者が「口先だけ」と受け取ったならば、相当厳しい結果が待ち受けるだろう。

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性犯罪厳罰化「被害者支援、一層の充実を」

2017/6/20 火曜日

 

 刑法の性犯罪規定が、1907年の現行法制定以来110年ぶりの抜本的な改正で厳罰化されることが決まった。女性に関する人権意識の変化に比べて改正が遅かった感は否めないが、被害者らの声が一定程度反映された点で、まずは一歩前進と言える。
 改正のうち、強姦(ごうかん)罪は名称を「強制性交等罪」に改め、被害者・加害者の性別を不問に。法定刑の下限を懲役3年から殺人罪と同等の5年に引き上げた。「監護者」(親など)が18歳未満の子に対して性犯罪に及んだ場合、脅迫や暴行が伴わなくても罰する「監護者性交等罪」「監護者わいせつ罪」を新設。性犯罪の実態を踏まえた内容で、被害者の心身を大きく傷つける性犯罪の重さを法律で明示した意義は大きいだろう。
 現行の強姦罪や強制わいせつ罪といった性犯罪は、被害者が告訴しなければ検察が起訴できない「親告罪」。今回の改正では、これらが非親告罪化され、告訴しなくても起訴できるようになるのも大きな柱だ。
 親告罪は被害者のプライバシーを保護するために設けられた。事件が刑事裁判で公になり、被害者が不利益を被る恐れがあるためだ。しかし一方で、告訴するか否かの選択を迫られるなど被害者の精神的負担が重く、事件化を断念せざるを得ないケースがあるとして、支援団体が見直しを求めていた。身近な人物が加害者である場合も多く、加害者からの仕返しが懸念されるならば、最終的に泣き寝入りしてしまう事態も想定される。泣き寝入りは被害をさらに助長しかねない。その悪循環を断ち切り潜在化を防ぐことにも、親告罪規定の削除は効果が期待される。
 性犯罪に関する裁判所の公判などで被害者の情報が保護されるようになった現在でも、被害者にはプライバシー侵害といった二次被害などへの不安は尽きないだろう。強姦罪の成立要件だった「暴行」「脅迫」の緩和などは今回盛り込まれなかった。改正を、被害者の保護・支援の充実と加害者への厳罰化の新たなスタートとし、付則に盛り込まれた施行後3年をめどとした「施策の在り方の検討」に反映させたい。
 強制性交等罪で、男性や性的少数者(LGBT)の性犯罪被害が対象に加えられた意義も大きい。被害者が女性、加害者が男性であるケース以上に、実態が顕在化しにくかったからだ。
 改正刑法の付帯決議には、男性やLGBTに対して「偏見に基づく不当な取り扱いをしないこと」「被害の相談、捜査、公判のあらゆる過程で不当な扱いをしないこと」の徹底が盛り込まれ、被害者支援に携わる人々から歓迎された。被害男性は周囲の無理解に苦しむケースが少なくないといい、彼らに対する支援の充実も求められよう。

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