社 説

 

北朝鮮ミサイル発射「日本の平和と安全脅かす行為」

2017/8/30 水曜日

 

 北朝鮮の暴挙はとどまることを知らず脅威は増すばかりだ。29日午前6時前、北朝鮮は弾道ミサイル1発を発射。ミサイルは北海道の渡島半島上空を通過し、襟裳岬東方の太平洋上に落下した。
 ミサイル情報は総務省消防庁により全国瞬時警報システム「Jアラート」で本県など12道県に配信された。早朝、防災行政無線やテレビなどから突然物々しく流れる避難の呼び掛けに、多くの人が戸惑い、不安を感じたはずだ。
 ミサイルは事前予告なしに発射され、日本上空を通過した。幸い被害は確認されていないが、万が一、日本の領土に着弾していたらどうなっていたか。そう考えると非常に許し難い挑発行為である。安倍晋三首相は「これまでにない深刻かつ重大な脅威であり、地域の平和と安全を著しく損なうものだ」と強く非難した。
 今回のミサイルは北朝鮮が米領グアム沖への新型中長距離弾道ミサイル「火星12」発射計画を公表後、国際社会がその動向を見守る中で行われた。公表されていた計画に基づけば島根、広島、愛媛、高知の4県上空を通過することになるが、計画とは異なる軌道をとった。
 米に対する直接の軍事挑発は避ける一方、ミサイルの脅威を強く誇示する狙いがあるとみられる。ミサイルの飛行距離をみれば、日本全土が射程範囲に入ることになり、いつでも奇襲が可能な能力を見せつけたといえる。
 北朝鮮のミサイル発射は今年に入って既に10回を超えている。国際社会はその都度、制裁で圧力をかけ続けると同時に対話に向けた糸口を探ってきた。しかしながら北朝鮮の暴挙はとどまるどころかエスカレートする一方だ。
 もはや現状の制裁による圧力や対話で北朝鮮問題を解決するのは難しくなっていると感じる。かといって軍事的選択肢を行使しては大きな犠牲を生むだけだ。非常に難しい問題だが、対北朝鮮問題でカギを握る中国、ロシアの協力を得ながら、国際社会がより一層連携して対応していく必要がある。
 一方、今回のミサイル発射への対応をめぐっては課題も浮かび上がった。総務省がJアラートでミサイル情報を配信したものの、一部市町村では防災行政無線の放送が流れなかったり、誤って放送されたりするトラブルがあった。
 頑丈な建物や地下への避難の呼び掛けがあったものの、県内では実際にそういった建物がなかなか近くにはない。多くの住民は避難することもできず、発射から10分もたたないうちに日本上空を飛んでいたミサイルの推移を、じっと見守るしかなかったのが実情だろう。
 北朝鮮の暴走が続く限り、今回のようなミサイル発射は今後も起こり得るだろう。落ち着いて行動できるよう、対策をしっかり周知する必要がある。

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トラック運転手不足「多角的な物流対応が必要」

2017/8/29 火曜日

 

 インターネット通販の需要が拡大する中、配送を担うトラック運転手の不足が全国で深刻化している。内閣府が公表した「地域の経済2017」によると、運輸・郵便業では、企業が募集した人員に対し、働き手が確保できている割合を示す「雇用充足率」は、2016年度全国平均が21・6%。12年度は34・2%、14年度は26・9%と推移しており、年々悪化している。
 16年度の充足率を地域別に見ると、最も低いのは東海で17・5%。南関東18・0%、北海道20・4%、近畿21・1%、中国と沖縄が21・5%と続く。東北は九州(26・9%)、四国(26・1%)に次いで3番目に高い25・6%だが、12年度と比較すると7・4ポイント低下しており、人手不足が深刻なことに変わりはない。
 運輸・郵便業の人手不足感は全産業に比べても高い。こうした背景から、大手運送会社では一部の時間帯指定の廃止や指定時間幅の拡張、大型荷物配送の値上げなどを決めている。より厳しいのは中小、中堅で、大手よりも人手不足感が高まっている。
 労働者不足を解消する一つの策は生産性の引き上げだが、全国の運輸・郵便業の生産額は、12年度から14年度にかけ、物価変動の影響を除いた実質で1・1%の増加にとどまる。その一方で、就業者数は0・5%減少している。就業者の増加が見込めない中、事業量を増やすには生産性を引き上げるしかなく、配送効率や業務工程の見直しが必要な状況だ。
 こうした中、北海道東北名鉄運輸と日本通運、青森港運による物流拠点集約計画が東北で初めて認可を受けた。青森市内にある3社の配送拠点を集約し、共同で配送するもの。共同配送により、同市と東郡の配送エリア内では、トラック台数が3社で計4台削減できる見込みだという。
 北海道東北名鉄運輸は「運転手が退職しても新しい人を補充できず、残された人に負担がかかっている」と現状を説明する。物流拠点集約によってトラック台数の削減、ひいては運転手不足の解消につながることが期待される。3社による共同事業が成功し、モデルケースとなることを願う。
 一方で、トラック輸送に頼り過ぎない物流態勢の構築も求められよう。県は昨年6月、運送業界や荷主で組織する「県産品の輸送手段等の最適化に係る検討協議会」で、中近距離のトラック輸送に鉄道、船舶などを加えた四つの輸送モデル案を示した。昨秋から今冬にかけては、弘前市からトラックと貨物列車、船舶を使ってリンゴを海外輸送するなど二つの輸送モデルで実証実験を実施。今年度も引き続き実験を実施し、新たな輸送手段の確立を目指す方針だ。官民それぞれが知恵を出し合い、持続可能な物流態勢を築き上げていきたい。

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「働き方改革」民間の意見聴き対策検討を

2017/8/26 土曜日

 

 政府は「働き方改革」を中小・零細企業にも広げるため、具体策の検討に乗り出した。問題は中小企業の多くが所在する地方経済は依然低迷しており、人手不足もあって労働時間の短縮が困難なことだ。時間外労働に上限を設ける企業への助成などが検討されているが、対策が使い勝手の良いものとなるよう、民間の意見にも耳を傾ける必要があろう。
 来月下旬にも召集される臨時国会の目玉として、政府は安倍政権の看板政策である働き方改革の関連法案を提出する予定で、長時間労働規制を盛り込んだ労働基準法改正案が柱となる。
 厚生労働省も2018年度概算要求に向け、時間外労働規制への助成のほか、非正規労働者の処遇改善や過重労働防止の方策をアドバイスする「働き方改革推進支援センター」(仮称)を全都道府県に設置することを検討している。
 また、「同一労働同一賃金」の実現に向けた施策では、正規、非正規にかかわらず共通の賃金規定や諸手当制度を導入する企業に対し、対象人数に応じて「キャリアアップ助成金」の支給額を加算する案が上がっている。
 働き方改革をめぐっては、県内でも県と青森労働局が先月、県経営者協会に対し、働きやすい職場環境の整備を要請している。
 具体的には▽非正規労働者の待遇改善▽女性の人材育成・管理職への登用▽労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進―など5項目について、会員173社に働き掛けるよう求めた。
 要請に際しては、16年の年間総実労働時間(速報値)が全国平均より約101時間長いなどといった本県の現状のほか、同局や県、金融機関による支援制度を説明。経営者協会側も「(5項目は)企業自らが主体的に取り組んでいかなければならない大事な事項」と応じ、会議や会報を通じて会員企業に周知すると答えている。
 過労死が深刻な社会問題となる一方、ITの活用によって自宅や職場から離れた「サテライトオフィス」などで仕事を行うテレワークが浸透し、柔軟な働き方への社会的理解は深まっている。
 特にテレワークは育児や介護、病気療養などの事情を抱えた人材の積極的な活用が可能になるだけでなく、長時間労働の是正にもつながるとして、政府も積極的に推進している。
 ただ、中小企業は一部を除いてIT化が遅れており、テレワークを推進したくてもできない事情もある。
 中小企業の働き方改革では労働時間の規制だけでなく、各企業の事情に即して有利な方策を選択できるようなメニューにすべきではないか。そのためには厚労省や各労働局が直接、企業の意見を聴く場を設け、対策に実効性を持たせる必要があろう。

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交通死亡事故抑止「意識付けで事故死者抑制を」

2017/8/25 金曜日

 

 今年に入ってから県内交通事故の死者が急増している。これを受け、23日に青森市内で開かれた「交通死亡事故多発に伴う特別対策会議」で、県警本部は9月1日から3カ月間、「交通死亡事故抑止対策秋の陣」と称して、関係機関と共に死亡事故抑止に向けた活動を展開する方針を示した。大事な命を一人でも多く救うため、官民を挙げて、住民の心に届くような取り組みを願いたい。
 会議資料によると、22日現在の死者数は前年比5人増の31人で、8月は同5人増の7人。会議が開催された23日には、つがる市で死亡事故が発生し死者数は32人に。県警本部は現在の統計方法となった1966年以降、死者数が最低だった40人を下回る39人以下に今年の死者数を抑制しようと目標を掲げるが、例年死者数が増加する秋季を考えた場合、40人を超す可能性が極めて高い。これを阻止、抑制するための「秋の陣」である。
 実際、過去5年に発生した秋季(9~11月)の交通事故死者数を見ると、2012年が年間59人のうち20人、以下、13年が48人中16人、14年が54人中19人、15年が40人中12人、16年が53人中20人と計87人に及び、件数にしても83件と、いずれも大きな割合を占める。
 つまり、秋の死亡事故発生を抑制することが年全体の死者数を減らすことにつながるわけである。県警本部の分析では、過去5年のこの期間の傾向として(1)高齢者の死者が大半を占めている(2)29件で65歳以上の高齢運転者が第1当事者だった(3)自動車運転中の死者36人中17人がシートベルト非着用(4)死者87人中56人に何らかの法令違反があったと挙げている。この中には本来、助かった命もあったかもしれないということだ。
 失われた命は元には戻らない。悲劇を繰り返さないための対策が求められる。そのためには運転者、同乗者、歩行者ら加害者、被害者双方になり得る人たちの、しっかりした意識付けが必要だ。
 「秋の陣」の取り組み内容には、そうした意識付けを図るための内容も盛り込まれた。例えば、シートベルトは運転者だけではなく同乗者も当然着用するものだが、それが守られない結果、後部座席の非着用者が車外放出され、最悪、死に至ってしまうことが少なくない。そのため、後部座席を含めた全座席のシートベルト、チャイルドシートの正しい着用について、啓発活動を強化する。このほか、制服警察官による交通誘導といった「見せる活動」、高齢者や子どもを重点とした事故防止対策を掲げる。
 いずれも過去、何度となく死亡事故抑止対策として挙がったものばかりだが、交通法規に関する基本的な意識付けが不十分なばかりに悲惨な事故が発生していることも事実。運転者、同乗者、歩行者とも、いま一度、交通ルールの順守を胸に誓ってほしい。

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移住対策「活躍できる仕組みづくりを」

2017/8/24 木曜日

 

 人口減少が急速に進行する中、市町村の移住対策が全国的に活発化している。移住の取り組みと言えば暮らしやすさや移住支援策のPRが定番だが、本県ではそれだけにとどまらず、受け入れる側の地域が移住者に期待する役割を明確にし、獲得した外部人材で地域の課題解決を図ろうという試みが進行中。地域おこし協力隊の制度を活用し、担い手不足に悩む伝統産業の職人や1次産業の従事者を同隊員として募集し、育成しようという県や関係市町村の事業もこの一環だ。
 地域おこし協力隊員として受け入れると、最長で3年間の報償費や住居、活動車両の借り上げ費用、研修のための経費などに国から財政支援があり、現場の負担が軽減できる。もともとこの制度は都市部から過疎地への定住・定着を図る目的だが、知名度の低い市町村は自治体や移住施策のPRだけでは隊員の獲得が難しいのが現状。県などの事業は地域課題を地域の個性として打ち出し、首都圏などで移住を希望する人を引き付けるとともに、長く活躍できる場作りにもつなげるもので、今後の展開に注目したい。
 モデル事業として今年度、弘前市で進む津軽打刃物の鍛冶職人を目指す人材の募集は、まさに多彩な伝統工芸が根付く津軽地域の特色を表すものだと言えるだろう。鍛冶職人は刃物のほか、リンゴや桜の維持管理に欠かせないせん定ばさみの製造やメンテナンスを担う。城下町だった弘前市には鍛冶屋が多かったというが、現在残るのは5軒のみ。職人数が減り、高齢化していることもあって、日々の仕事をこなしながらの後継者育成が難しいことは容易に想像できる。これは他の伝統産業にも共通する課題だろう。
 今回の事業ではこうした背景を含め、情報発信を工夫することで他の地域との差別化を図り、関心のある層への訴求力を高めたほか、受け入れる側と応募する側双方が相性や適性を確かめる場として体験ツアーを設定、その後に本格的な地域おこし協力隊員の募集を行うという流れとした。初年度でもあり、課題なども検証しつつ、より効果の高い仕組みづくりに知恵を絞ってもらいたいと思う。
 県内の地域おこし協力隊員は7月1日現在で14市町村に32人。活動を終えた隊員を含めると51人に上り、農林水産業に従事したり、地域おこしの支援や移住コンシェルジュなどとして活躍している。
 総務省の調査では、任期終了後も同じ地域に定住している割合は約6割だという。せっかく縁があって県内で暮らす選択をした隊員だ。国の財政支援のある3年間限定ではなく、その後も地域に定着してもらえるような仕組みづくりが必要だろう。現在、さまざまな産業で将来を見据えた労働力不足への対応が急務となっている。地域に本当に必要な担い手として迎え入れ、育て上げる。そうした取り組みが県内に広がるよう期待したい。

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