社 説

 

自民党総裁選「難題に立ち向かう強い覚悟を」

2021/9/22 水曜日

 

 17日に告示された自民党総裁選に出馬した4候補が激しい論戦を展開している。先ごろ開かれた日本記者クラブ主催の討論会やテレビ番組などにそろって出席、出演し、原発政策や社会保障、党改革などをめぐって討論した。政権与党の先頭に立つであろう人材が日本の方向性について主張する内容にしっかり耳を傾けなければならないと考えつつも、これまで同党が政権を運営してきた様子を見る限り、それらの主張は政争の具としかならないのではないかとの懸念を拭い切れない。政権与党のリーダーとなるべく出馬した候補者たちには、自らの言葉に責任を持ち、党員のみならず多くの国民の期待に応えるよう努めてほしい。
 今回の総裁選には、河野太郎規制改革担当相(58)と岸田文雄前政調会長(64)、野田聖子幹事長代行(61)、高市早苗前総務相(60)が立候補した。
 原発を含むエネルギー政策に関し、河野氏は原発の当面の再稼働を容認しつつ、「耐用年数が来たものを廃炉にし、緩やかに原子力から離脱」「(再生可能エネルギー拡大に向け)政府が積極的に投資する必要がある」などと主張した。このほか、岸田氏は「核燃料サイクルを止めると、高レベル廃棄物の処理が問題になる。維持すべき」、野田氏は医療現場への影響を指摘した上で「(電力の)安定供給をきちんと担保しなければならない」、高市氏は「原発を使い続ける限り、核燃料サイクルを止めてしまうわけにはいかない」などとそれぞれ語った。
 新型コロナウイルス対策に関しては、複数の候補が菅義偉首相について「丁寧な説明が欠けていた」などと問題点をそれぞれ指摘した上で、「国や地方自治体が病床確保などを命令する権限も含め法案化したい」(高市氏)、「非常時の指揮命令権限は見直さなければいけない」(河野氏)、「より強力な国の権限は大事だ」(岸田氏)などと主張を展開した。
 今月29日に行われる投票までに、さらにさまざまな主張がなされるであろう。ただ、今後の国政を大きく左右するかもしれない総裁選の行方については、党員でない多くの国民は見守るしかない。それだけに各候補には自らの主張に責任を持ってもらわなければならない。
 現在の日本は新型コロナへの対応はもちろんのこと、外交、少子高齢化など課題が山積している。ここ1年余り政権を担ってきた菅首相もそうだが、このような状況下で日本のリーダーになるということは、「火中の栗」を拾う役割を担うことになるだろう。
 あらゆる分野で自らの主張を説明する機会はまだまだあろう。その際には、数多くある難題に立ち向かい、必ず良い方向に導いていくという強い覚悟を各候補には改めて示してもらいたい。

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中国のTPP参加申請「真の狙いは何か」

2021/9/21 火曜日

 

 日本など11カ国が参加する環太平洋連携協定(TPP)に、中国が加入を申請した。2018年にTPPが発効してから加入を正式に申請したのは英国に次いで2カ国目。申請表明前日には、米国、英国、オーストラリアの3カ国首脳が対中国を念頭に置くとみられる新たな安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」の立ち上げを表明したばかり。中国の習近平国家主席は昨年11月にTPPへの参加検討を打ち出していたが、このタイミングでの申請表明は、日米豪印4カ国の連携枠組み「クアッド」を含む対中包囲網に対する、通商面での対抗措置の意味合いを含んでいるのだろうか。
 中国は昨年11月に日本や韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など15カ国による地域的な包括的経済連携(RCEP)、同12月に欧州連合(EU)との投資協定に相次いで合意してきた。対米摩擦の長期化を踏まえた通商戦略で、TPP加入はそれらの延長線上に位置付けられているようだ。
 一方の米国は、トランプ前政権時代にTPPを離脱している。バイデン現政権も復帰に慎重といい、中国は米国が復帰に向けて動きだす前に機先を制するように加入協議を進め、今後の通商交渉、ひいては経済面での安全保障を有利にしたい意図があるようにすら映る。
 世界第2位の経済大国である中国の加入が実現すれば、TPPの存在感と影響力は一段と巨大化する。参加国によって政治的・経済的立場は違うにせよ、巨大な中国市場は魅力だろう。中国はこれらを武器に、交渉では自国に有利な規定を設けようと迫ってこないか懸念される。
 ただTPPは、農林水産品や工業製品の関税減免に加え、電子商取引や知的財産権の保護などに関するルールを定めている。自由競争や公正さの水準は高く、新規加入には全参加国の同意が必要。中国がTPPに加わるためには、知財権保護、国有企業の優遇制限、政府調達の透明性確保などに関する厳格なルールを守らなければならないが、中国はそれに対応し得る国内制度改革を進められるだろうか。
 加えて、中国は沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題、豪州への制裁関税導入など、TPP参加国との間にも摩擦を抱えている。EUとの投資協定は、新疆ウイグル自治区の人権問題をめぐる両者の関係悪化によりEU欧州議会が協定の承認手続きの「凍結」を決議した。香港に対する政策にも国際社会の視線は厳しい。
 TPPを担当する西村康稔経済再生担当相は「(中国が)TPPルールを満たす用意ができているか、見極める必要がある」と指摘した。その通りと思う。日本は今年、協定運営に関する最高意思決定機関「TPP委員会」の議長国を務める。他の参加国と足並みをそろえて対応する必要がある。

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自民党総裁選「4候補の今後の論戦に注目」

2021/9/18 土曜日

 

 菅義偉首相の後任を選ぶ自民党総裁選が17日に告示された。河野太郎規制改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の4氏が立候補し、29日の投開票日に向けた選挙戦がスタートした。
 世界的な「災害」ともいえる新型コロナウイルス感染症との戦いが続く中、最大の論点は新型コロナ対策といえよう。一方で長引くデフレや少子化に伴う人口減少など、新型コロナ以外の課題も山積しており、日本の新たなリーダーがどのような政策を打ち出すかが注目される。
 4氏の主張を問う中で、これまで議論が停滞気味にあった選択的夫婦別姓や同性婚に関しても取り上げられるようになったのは新しい動きだ。また総裁選に2人の女性候補が名乗りを上げ、女性が複数候補となったのは初。インターネット交流サイト(SNS)では「女性首相誕生」のワードも一時トレンドに挙がった。
 ただ、伝統的家族観を重視する高市氏は、一貫して選択的夫婦別姓に反対の立場を表明。野田氏は性暴力被害に関するフラワーデモで集まった10万人以上の署名受け取りを辞退したこともある。
 ジェンダーギャップ指数が主要7カ国で最下位とされる日本だが、どうすれば女性や弱者の立場を重視する政策が実現されるのか。男性や女性に関わらず、各候補の訴えを慎重に見極めながら判断すべきだろう。
 また原子力関連施設が集中する本県から注目されるのは、河野氏が言及している核燃料サイクル政策の見直しだろう。本県を置き去りにした議論を展開し、さまざまな負担や痛みを押し付けた形の「見直し」であってはならない。サイクル政策維持を表明する岸田氏との活発な議論を期待したい。
 さらには、この総裁選の結果が次期衆院選にどのような「追い風」となるのかも注目される。大きな困難に直面している政権は批判の矢面に立たざるを得ず、コロナ対策と向き合ってきた与党・自民党は衆院選で必然的に「逆風」を浴びると想定されてきた。
 菅政権下で支持率アップにつながると期待された東京五輪・パラリンピック開催も、輝かしい「レガシー(遺産)」というより、新型コロナ感染急拡大の遠因として国民に苦さを残す結果になった。自民党の新たなリーダーが選ばれることにより、党への期待感や支持率アップにつながる可能性は高い。
 今回の総裁選は3年ぶりに、国会議員票に加えて党員・党友投票を伴う「フルスペック」。また派閥横断の若手・中堅国会議員有志による議員連盟が設立され、事実上の自主投票へと後押しするなど、これまでと異なる自民党を印象付ける面もある。新総裁誕生に向けた各候補の論戦の深まりが注目される。

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北朝鮮ミサイル 不測の事態に国民守る議論を

2021/9/17 金曜日

 

 北朝鮮が15日昼に発射した短距離弾道ミサイルは、日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。11、12日には日本を射程に収める新型長距離巡航ミサイルの発射実験をしたばかり。これまでもミサイル発射実験を繰り返してきたが、重視すべきは国連安全保障理事会の決議に違反する弾道ミサイルであるだけでなく、迎撃が難しいとされる低高度を変則軌道で飛行したこと。ミサイル開発の進化を誇示するかのような北朝鮮の姿勢に懸念が膨らむ。
 短距離弾道ミサイルについて海上保安庁は当初、日本のEEZ外に落下したとみられると発表。しかし岸信夫防衛相は15日夜、分析により最高高度50キロの変則軌道で飛行し、EEZ内に落下したと推定されると修正した。加藤勝信官房長官は16日の会見で「発射を探知した直後の情報に基づいた」と説明したが、日本の情報収集能力に不安を覚える。
 朝鮮中央通信が日本海海域の標的を「正確に打撃した」と伝えた通りであれば、北朝鮮はEEZ内を航行中の船舶、艦艇を「正確」に攻撃できる能力を有する。さらに変則軌道で低空飛行した場合、放物線を描く一般的な弾道ミサイルの迎撃を想定した日本のミサイル防衛は、追尾が困難な今回のミサイルに対して機能しない恐れがあると指摘されている。しかも、北朝鮮側が主張している鉄道からの発射だとすれば、仮に日本が敵基地攻撃能力を保有したとしても、発射台と確認できないままで鉄道を攻撃することはできないだろう。
 北朝鮮は8月の米韓合同軍事演習に強く反発しており、今後も日米韓をにらんだ軍事力強化を加速するとみられる。核問題でも“暴走”せぬよう、自制を促す必要があるが、前提条件を設けずに対話を呼び掛けた米国に対し、北朝鮮からの返答はないという。発射を受けて非公開で開いた安保理の緊急会合では、決議に違反する弾道ミサイルに対してフランスなどは強い非難を表明したが、国際社会が一致して声明を出すことはできなかった。今年3月の弾道ミサイル発射時と同様に、ロシアや中国が声明に難色を示した可能性があるとみられている。
 日本を射程に収める長距離巡航ミサイルと、防衛省幹部が「日本のミサイル防衛網突破を意図している」とみる短距離弾道ミサイルで、北朝鮮の脅威は一気に高まった。菅義偉首相は15日、情報収集・分析と国民への迅速・的確な情報提供、不測の事態に備えた万全の態勢整備などを関係省庁に指示したが、仮に日本が標的とされた場合に、現状で取ることができる態勢が、本当に「万全」と言い切れるだろうか。
 安保理が国際社会による北朝鮮包囲網を構築できずにいる中、わが国は国民をどう守るのか。危機が迫っているとの認識で議論を急ぐ必要があるのではないか。

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県内景気「ワクチン効果生かして」

2021/9/16 木曜日

 

 日本銀行青森支店は今月発表した県内金融経済概況で、県内の景気について「サービス消費を中心に厳しい状況にあり、持ち直しの動きも一服している」として総括判断を前回(7月公表)から引き下げた。今春から前回までは「厳しい状態にあるが基調としては持ち直している」としていたが、最近の新型コロナウイルスの感染急拡大により、外食や観光関連の業種を中心に、一段と厳しさを増している、という判断だ。
 個人消費全体では前回までの「持ち直しの動きが一服している」としていた判断を、今回は「弱含んでいる」とした。コロナ禍で外出を控える動きが広がり、ホームセンターやスーパー、ドラッグストア、家電販売などは堅調が続くが、百貨店は低水準で推移。外食関連は厳しさを増し、観光関連はワクチン接種の広がりで一部に回復の兆しも見られるものの、足元の感染急拡大の影響で全体としては一段と厳しい、という。
 確かに、ワクチン接種は高齢者を中心に進んでおり、本県でも2回接種した人が51・3%に達したということだ。だが、周囲を見渡せば未接種の人、1回目をようやく打ったという人も多い。県内では7~8月以降、県内全域で感染が急拡大。警戒感が強まり、苦境が続く飲食店や宿泊業を利用して支援したいと思いつつも、なかなか難しいのが現状だ。
 青森財務事務所が今月発表した景気予測調査では7~9月期の景況判断指数は全産業でマイナス18・7となり、前期(4~6月期)比で10・2ポイント悪化。7~9月期としては2004年の調査開始以来、過去3番目に低い数値だという。ワクチン効果への期待もあって、10~12月期は製造業、非製造業ともに改善の見通しだが、自社を取り巻く環境が厳しいと感じる企業が多いということだ。
 地域経済の下支えとして期待されるのはワクチン接種の進展を見据えた行動制限の緩和だ。政府は11月ごろを念頭に、ワクチンの接種証明やPCR検査などの陰性証明を活用し、緊急事態宣言した地域でも飲食店の酒類提供や県境をまたぐ移動を容認、大規模イベントの人数制限も緩和するとしている。ただ産業界から歓迎の声が上がる一方、全国知事会は国民を楽観させる恐れがあると懸念を示しており、警戒感も強い。仮に感染が再拡大すれば、当然ながら経済も打撃を受けることになる。
 本県は感染急拡大を受け、9月末まで施設の休館や行事の見直し、部活動の禁止など対応強化中だ。感染者数は1日100人超が続いた一時期に比べるとやや落ち着いてきたと言えそうだが、クラスター(感染者集団)が多様な場で発生したこともあり、気を緩めることはできない。
 9月中には県の大規模接種がスタートする見通しだが、まずは希望者がワクチン接種できる環境をしっかり確保すること。その上で制限緩和の条件を慎重に探ってもらいたい。

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