社 説

 

第2次岸田改造内閣「難局打開へ問われる実行力」

2022/8/11 木曜日

 

 第2次岸田改造内閣が発足した。主要閣僚を続投させて骨格を維持した上で、懸案を抱えたポストに経験者を配置するなど、安定性を重視した布陣となった。岸田文雄首相は「政策断行内閣」と強調した。全19閣僚のうち14人を入れ替え、刷新感もアピールしたい狙いのようだ。
 布陣を見ると、新型コロナウイルス対策の陣頭指揮を執る厚生労働相には、3回目となる加藤勝信前官房長官を起用。台湾情勢の緊迫化などを踏まえた防衛力強化を具体化する防衛相は浜田靖一元防衛相の再登板となった。いずれも重要課題への即戦力を期待したものとみられる。
 昨年の党総裁選で争った河野太郎元外相をデジタル相に、高市早苗前政調会長は経済安全保障担当相に起用した。2人の入閣は挙党態勢を構築する狙いもあるとみられる。政権の要となる松野博一官房長官や林芳正外相らは留任。各派閥の「入閣待機組」を中心に9人が初入閣となった。
 内閣改造後の岸田政権は新型コロナ「第7波」への対応や、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる問題で政権への逆風が強まる中での再スタートとなる。人事は当初、9月上旬と見込まれていたが、これらの問題への世論の批判が強まり、内閣支持率が下降線をたどり始めたため局面転換を図りたい狙いだ。
 第7波は、全国的に新規感染者数が過去最多を更新しており、本県も10日に過去最多を更新した。岸田政権はコロナ対策の「平時」移行を掲げたが、各地で発熱外来を中心に医療体制が再び逼迫(ひっぱく)する事態となっており、検査キットの不足も課題となっている。保健所などの負担軽減に向け、コロナ患者の全数把握の見直しといった対策の緩和を求める声が相次ぐものの、「治療薬の普及を待つべきだ」といった慎重意見も当然のことながら根強い。議論を第7波収束後に持ち越したものの、対応を誤れば再び現場に混乱を来し兼ねず、難しい判断を迫られそうだ。
 旧統一教会と政治との関係についても、国民が納得する説明が必要だ。岸田首相は新閣僚らに対し「自ら点検し、厳正に見直してもらう」としたが、閣僚周辺からは「どこまでが問題なのか」と戸惑いの声も広がり、問題収束は一筋縄では行きそうもない。9月27日に控える故安倍晋三元首相の国葬にも疑問や反対の声があり、世論を二分している状況にある。
 続く物価高騰が国民生活を直撃しており、首相が掲げる「成長と分配の好循環」は見通せないままだ。年々悪化する安全保障環境への対応も迫られており、台湾情勢の緊迫化で一変した対中外交の立て直しのほか、日韓関係の改善も急務だ。重要課題が山積し、正念場が続く中での再スタートとなるだけに、持ち味の「聞く力」とともに、参院選で掲げた「決断と実行」が問われそうだ。

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大雨被害「頻発を想定し厳重な警戒を」

2022/8/10 水曜日

 

 気候変動による自然災害の頻発、激甚化が指摘されて久しいが、津軽地方においても、その深刻さを思い知らされる事態が起きている。今月3日には県内初の「線状降水帯」が発生し、非常に激しい雨に見舞われたばかりだが、9日には津軽海峡付近に延びる前線の影響で断続的に激しい雨が降った。
 9日の大雨に伴って各河川が急激に増水。岩木川が氾濫危険水位に到達したことを受け、弘前市は「緊急安全確保」を発令し、市民に安全な場所への避難を促した。緊急安全確保は、市町村が発令する5段階の避難情報のうちで最も高い警戒レベルで、今回の対象地域は流域の広い範囲に及んだ。
 3日の大雨では線状降水帯が発生し、観測地点によっては1時間降水量や24時間降水量が観測史上最大を記録するなどし、各地に大きな被害をもたらした。降雨に伴う被害は短時間であっても発生するが、今回の大雨はより厄介だ。青森地方気象台によると、前線が東北北部に数日停滞するため、日本海側を中心に雨量が多くなるという。
 3日の大雨による被災地の復旧がこれからという状況の中で、降雨が長時間にわたって続くと被害が拡大する危険性は十分にある。冠水が相次いだ弘前市、藤崎町、板柳町の河川沿いのリンゴ園が再び冠水すれば、生産活動や地域経済への影響は計り知れない。
 もちろん、長雨によって危険性が高まるのは河川沿いの農地だけではない。低地の浸水、斜面の土砂崩れなどにも注意が必要だ。ネット全盛の現代、関係機関はホームページに避難情報を次々と掲載したほか、岩木川が危険な状況になっていることを知らせるメールを住民のスマートフォンに送るなどした。
 自治体など関係機関が災害に関する情報を迅速かつ的確に伝えることは責務であり、今後もより良い手法の確立を目指すべきだ。それと同時に、われわれ住民も的確な情報を得る方法を学ぶ必要があろう。
 例えば、前述の線状降水帯はどのような現象を指し、どのような被害をもたらす恐れがあるのか、弘前市が発令した緊急安全確保はどのような情報なのかをきちんと理解しているだろうか。これらは防災において非常な重要な情報であり、われわれは自らの行動に生かさなければならない。
 かつて、降雨による被害は、台風がしばしば上陸する西日本などで発生する場合が比較的多かったと記憶している。しかし、昨今は状況が大きく変化し、本県を含む北日本でも珍しくなくなった。
 実際、3日と9日の大雨は、いずれも津軽地方や秋田県が中心だった。前線が本県付近に停滞するここ数日間はもちろんだが、今後も大雨被害は頻発するものと想定しつつ、厳重に警戒したい。

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臨時国会閉幕「“夏休み”返上し役割果たせ」

2022/8/6 土曜日

 

 臨時国会が5日閉会した。3日間の会期では法案などの実質審議は行われず、野党が求めた故安倍晋三元首相の国葬や新型コロナウイルスなどをめぐる議論は、閉会中審査で行うこととした。秋の国会まで1カ月超の長期休暇を取って平然としているのだから、岸田文雄首相の耳に、物価高やコロナ禍に苦しむ国民の声は届いていないのだろう。
 臨時国会召集に当たって岸田首相は自民党の両院議員総会で「私たちは今、歴史を画する大きな課題に直面している」とし、具体的には新型コロナウイルスの感染「第7波」や物価高を挙げた。
 分かっているのなら、なぜ3日間なのか。国民に対し、国会審議を通じて政府の対応方針を説明すべきではないか。特にコロナ対策で議論となっている、感染法上の「2類相当」の取り扱いを見直さない理由を明かすべきだ。見直しを求めた全国知事会や政府分科会の提言をどう受け止めているのか、国民に説明しないことは放置しているのと同じではないか。
 また物価高は8月に入っても食料品などで値上げが相次ぎ、環境が改善されなければ秋以降も続くと予想される。
 政府は燃料対策や農業用の飼料・肥料対策を講じていると主張するが、予備費を活用した場当たり的な対策を挙げられても納得できない。改めて予算委員会を開き、新たに補正予算を編成するといった政府の姿勢を説明すべきだ。
 3日には本県などで線状降水帯による豪雨災害が発生し、被害が判明次第、国による財政支援などが求められる。豪雨被害は5日にかけて東北・北陸地方の広範囲に及んでおり、被害状況や対応は国会に報告、十分かどうか議論されるべきだ。
 政府は安倍氏の国葬について経費などが判明すれば閉会中審査で説明するとしているが、その是非は国民を二分しており、政府説明を受けた議論が必要だ。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治の関係をめぐっては、野党は「実態解明が必要だ」として追及する方針だ。
 エネルギー問題はこれから本格的な議論が始まる。首相は当面の供給対策として再稼働済みの原発をフル稼働させ、さらに再稼働を加速したい考えで、将来的な新増設も視野に入れているようだ。安全審査を通過していない原発の再稼働を急ぐとなれば、世論の反発も予想される。
 一方、参院選で初当選した新人議員は認められていない海外滞在にもかかわらず本会議を欠席した。未成年との飲酒疑惑で辞職勧告決議案を提出された衆院議員もおり、“資格”に疑問符の付く議員への国会対応が注目される。
 これほど困難で、迅速な対応が求められる問題があるのだから、“長~い夏休み”は即刻返上し、政治の役割を果たすべきだ。

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津軽で線状降水帯「日ごろから防災への備えを」

2022/8/5 金曜日

 

 津軽地方で3日、本県初となる線状降水帯が発生、各地で記録的な大雨となり、被害が相次いだ。近年は温暖化の影響で、全国各地で線状降水帯が発生し多大な被害をもたらしているが、今回は本県も例外ではないことを経験した。猛烈な雨に命の危険を感じた人もいただろう。防災に日ごろから備えておくことの大切さや、万一の際の行動を改めて確認する機会にしたい。
 線状降水帯は、発達した雨雲が帯状に連なり、ほぼ同じ場所に数時間にわたって大雨をもたらす現象だ。青森地方気象台によると、深浦町と平川市碇ケ関、温川両地区で24時間降水量が観測史上1位を更新した。
 県内では津軽地方にとどまらず広範に被害が発生した。住宅の半壊や浸水、リンゴ園や農業ハウスの冠水、土砂崩れや道路の通行止めが相次いだ。鉄道は運休のほか、今別町の北海道新幹線奥津軽いまべつ駅1階部分が浸水するなど、影響は多方面に及んだ。救助事案はあったが、人的被害がなかったのは不幸中の幸いだろう。
 河川が氾濫危険水位を超えたり、土砂災害の危険が高まったりしたことで、県内20市町村の約2万6000世帯、約7万7500人に避難指示が出された。津軽地方でも、5段階の警戒レベルのうち3~4相当として、弘前、黒石、平川、五所川原、大鰐などの各自治体は危険区域を対象に、高齢者や住民に避難を呼び掛けた。
 大雨に限らず、地震や台風への対応として、何よりも大切なのは速やかな避難である。災害が迫っているときに、過小評価や楽観視して「まだ大丈夫」と思い込もうとする傾向がある。あるいは「近所はまだ避難していないから」との理由で動かないこともある。これらの先入観や憶測は命の危険につながるものだ。まずは安全な場所へ避難することを最優先したい。一人ひとりの迅速な行動が多くの命を救うことになる。
 線状降水帯は、数時間にわたり猛烈な雨が降り続く。このため雨が弱まってから避難しようとしても、すでに災害の危険性が高まっている可能性がある。避難のタイミングを逸し、屋外への移動がかえって危険な場合は、家の中の安全な場所として2階や斜面から離れた部屋に移るのが最善だ。日常できることとして、避難場所を把握し、ルートに危険箇所がないか、確認しながら歩いてみることも試しておこう。
 昨年8月には県内でも下北地方で集落が一時孤立した大雨被害があった。今回の線状降水帯では、秋田や山形、新潟、石川の各県でも大きな被害が出ている。災害は時と場所を選ばない。線状降水帯もいまだ正確な発生予測が難しいものであり、防災に対する意識を変えていく必要がある。生活を一変させるような大雨被害がいつでも起こり得ることを念頭に、日ごろから備えておきたい。

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松くい虫「将来の被害根絶に期待」

2022/8/4 木曜日

 

 2021年シーズン(21年7月~22年6月末)に県内で確認された松くい虫被害は過去最多の149本だった。被害が確認されたのは深浦町内で、広戸・追良瀬地区で140本、同地区の南側に隣接する深浦地区でも新たに9本が確認された。広戸・追良瀬地区では昨シーズンから56本増加、県全体では65本増えて初の3桁になった。ただ被害は一定の範囲内にとどまっており、まだまだ被害軽減を目指せる位置にいると言える。監視や駆除に携わる関係者の負担は大きいと思うが、これまで展開してきた対策が一定の効果をもたらしていると信じて、引き続き取り組みを徹底してほしい。
 松くい虫の被害はここ数年、30~80本台と2桁で推移。そのほとんどが広戸・追良瀬地区で、徐々に増えているが、爆発的に増加している状況にはない。過去3年間被害木が数本確認されていた南部町小向地区では、21シーズンは被害が確認されなかった。専門家からは、21シーズンの被害本数の増加は調査精度が上がったためという見方もできる、との分析が示され、他自治体と比較し「被害が広がっていないのは成果だ」と評価も。現状の対策を徹底して続けることで、被害根絶を目指せる位置にいると助言した。
 本県の被害対策は監視、駆除、予防の三本柱で、監視はヘリやデジタル航空写真撮影、ドローンによる上空からの監視と、地上で被害木の周囲で虫が入り込んだマツを探すヤニ打ち、巡視員による地上目視などさまざまな形で行われている。発見した被害木や枯死木は伐倒・くん蒸処理を行い、被害木と隣接するマツ類が翌シーズンに被害木となる例があるため、被害木周辺半径5メートルのマツ類も伐倒・くん蒸処理を行って予防に努めている。
 昨年度の関係者間の会議で、ナラ枯れとの混在地域などで被害木の見落とし、駆除漏れがあるのではないかと指摘されたことを受け、21シーズンはドローンによる探査を委託だけでなく、直営でも実施。ヤニ打ち調査も態勢を強化しており、これまで以上に被害木を発見する能力が高まったシーズンだったとも言える。
 ただ関係者にとっては大変な労力であり、なかなか被害木がゼロにはならない現状を見れば、徒労感もあるだろう。南部町では被害をゼロにできたが、数年は推移を見守る必要がある。7月に行われた関係者間の会議では「心が折れそう」という発言もあった。ただ前述したように専門家の評価は高く、現状の体制を継続して成果を目指してほしい。
 会議では、担当者が変わった場合でも対策を継続できるような人材育成の必要性などが指摘された。負担が偏らないよう、サポートする方策などもあっていいのでは。自然が相手だけに簡単なことではないだろうが、本県ならではの持続可能な体制を探り続けてもらいたい。

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