社 説

 

白八幡宮大祭「今後も祭り文化継承に力を」

2017/8/19 土曜日

 

 鯵ケ沢町で白八幡宮大祭が、14日から3日間にわたって行われた。4年に1度しか行われない珍しい祭りで、この3日間は、御輿(みこし)や山車(やま)の運行、御輿が海上を渡る海上渡御(とぎょ)などさまざまな伝統行事が町内で行われ、まさに町を挙げての祭礼といった趣だった。
 この祭りは1677年、弘前藩の仰せ付けで、武運長久、五穀豊穣(ほうじょう)などを願って行われたのが始まりとされる。華やかな御輿が町内を練り歩くその形態は、京都の「祇園祭」などの影響を受けているとされる。
 鯵ケ沢といえば、弘前藩の有力な湊として、日本海交易、いわゆる北前船交易でにぎわった地だ。白八幡宮は藩政時代、「津軽三八幡」の一つに数えられ、船乗りが海上安全を願って船絵馬を奉納するなど、その信仰は厚く、北前船交易に特に縁の強い神社だという。
 大祭の特徴は、御輿の行列に山車が伴っている点。山車の運行は、かつては弘前などでも見られたが、ねぷた・ねぶた祭りの流行で津軽地方では衰退し、御輿と山車の運行が行われるのはこの地方では、白八幡宮大祭が唯一だそうだ。
 今年の運行には、白八幡宮の御輿を先頭に各町内会が山車を引っ張った。古式ゆかしい装束の参列者がしずしずと運行を執り行う様子は、なるほど祇園祭の光景に通じるものがあり、日本海交易により、当時の津軽領に京や上方の文化や情報、技術が数多く伝えられたことを祭りを通じて現代に雄弁に物語ってくれた。
 見どころの多い祭りだが、御輿、山車に加えて行われた新町町内会による、子どもたちの神楽「カシ禰宜(ねぎ)」も貴重なものだ。もともとは宮城県の塩竃神社発祥とされるが途絶えており、カシ禰宜を伝えるのは鯵ケ沢町の新町町内会のみだという。本紙で報じたように近年は後継者不足による伝承の難しさも課題となっているが、地域住民が力を合わせ、今年も伝統を伝えた。
 大掛かりな祭りであれば、それを支える人材の育成もいくらかやりようはあるのかもしれないが、地域を主体としたこのような祭りで後継者を育て、祭りの伝統を引き継ぐことは多くの困難を伴うことだろう。
 鯵ケ沢町教育委員会は、今年、大祭のDVDを製作した。DVDには祭礼のほぼ全てが網羅されており、準備の仕方やや本来関係者以外立ち入れない儀式も映像化するなど記録性が高いものとなっている。また大祭の実行委員会は今年度、町内の小中高校生を対象に祭りの学習会を初めて開いた。いずれも祭り文化の継承に向けた有意義な事業と言えるだろう。地域に伝わる祭りの魅力と、その意義を知ることは、郷土に対する愛情と誇りを養うことにもつながる。地域に根差した祭りを守り、継承する取り組みがさまざまな形で広がることを願う。

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全国高校野球「青森山田の3回戦突破に期待」

2017/8/18 金曜日

 

 兵庫県西宮市の甲子園球場で行われている第99回全国高校野球選手権大会は18日の3回戦で、本県代表の青森山田が西東京代表の東海大菅生と対戦する。青森山田は8年ぶり11度目の出場。初戦となった14日の2回戦、滋賀県代表の彦根東との対戦は中盤までに2本塁打などで6点を挙げて快勝し、8年間のブランクを感じさせない試合展開だった。東海大菅生は2強とされる日大三と早実がいる西東京大会を制し、今大会2回戦は富山県代表の高岡商を10点差で下したチームだ。両校のベスト8進出を懸けた白熱した試合が展開されるとみられるが、青森山田には勝利の連鎖を重ねてもらうことを期待したい。
 14日の2回戦、青森山田は三回に1点を先制。続く四回には中澤樹希也選手の2点本塁打を含む4点を挙げ、五回には同じく中澤選手が2打席連続となる本塁打を放ち、この時点で6点となった。終盤は彦根東の本塁打を含む猛攻を食い止め、勝利を決めるという展開となった。甲子園に鳴り響いた本県高校の校歌に、胸を熱くした野球ファンも多数いただろうと思われる。
 本県の甲子園出場校は長らく青森山田、そして八戸市の光星の2校がしのぎを削ってきた。近年は春のセンバツを含め3大会連続全国準優勝を果たすなどした光星の活躍が目立ち、青森山田は2009年の出場以降、夏の全国大会からは遠ざかっていた。一方、両校がせめぎ合う中にあっても弘前市の聖愛が13年に県大会優勝を果たし、甲子園では3回戦まで勝ち進んだことは記憶に新しい。また15年には三沢商が約30年ぶりに、公立高校としては1996年の弘前実以来の甲子園出場を果たしたことも話題となった。
 青森山田といえば、光星と並び県外出身選手の活躍が目立っていたチームだ。しかし、今大会のメンバーを見ると、主力選手を含めほとんどが県内出身である。県外出身選手を多数擁した高校が甲子園常連校となっていたことに、微妙な感情を持つ人も少なくなかったであろうが、本県高校野球のレベルアップに貢献してきた功績は見逃せない。両校を目標にしてきた球児も多数いたと思われるからだ。地元選手を主とした今大会の青森山田の健闘ぶりは、本県高校野球のレベルアップを体現してみせたものと言っていいだろう。
 18日の3回戦はベスト8進出を懸ける大事な試合となる。ただ、気になるのが、この数年の県勢甲子園出場校の成績が振るわないこと。14年に光星がベスト8の成績を残した後はセンバツを含め1、2回戦敗退という結果である。しかし、青森山田は既に2回戦の壁は破った。それだけに3回戦突破への県民の期待は高く、久々の朗報が聞かれることを願ってやまない。

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北朝鮮ミサイル問題「ちぐはぐさ残る日米韓連携」

2017/8/17 木曜日

 

 北朝鮮軍による米領グアム島周辺への弾道ミサイル発射計画で緊張が高まる中、金正恩朝鮮労働党委員長が「米国の行動をもう少し見守る」と発言した―と伝えられた。これと前後して、米国のティラーソン国務長官とマティス国防長官は連名による米紙への寄稿を通じて、北朝鮮が核実験や弾道ミサイル発射をすぐ停止すれば「交渉に応じる用意がある」と呼び掛けた。
 特に金委員長の発言については、米朝間で威嚇の応酬が続いたこれまでとはやや異なり、衝突回避と緊張緩和に向けた動きではないか―との見方がある。
 もちろん本格的な対話や緊張緩和が近いとは言えない。北朝鮮軍はグアム島周辺への撃ち込み準備を完了したとされ、米側も軍事行動の可能性を警告したままだ。互いに相手へ譲歩を求める姿勢を崩さず、にらみ合いは続きそうだ。
 ただ、北朝鮮の李容浩外相がマニラで河野太郎外相と接触した際に対話を打診したり、北朝鮮の政府系団体が談話で日本側へ「過去の清算」を求めたりして対話の糸口を探ってもいる。北朝鮮には制裁で圧力を続ける必要があるが、対話に向けた動きを途切れさせないよう慎重に対応する必要がある。
 北朝鮮にとって最大の貿易相手国である中国が、国連安全保障理事会の新たな制裁決議を履行するため、北朝鮮からの鉄鉱石や海産物の輸入を15日から停止した。緊張緩和を後押しするものと期待される。中国やロシアといった大国の同調を得るには、韓国を含む日米韓3カ国が緊密に連携するのが当然だ。
 そんな中で首をかしげざるを得ないのが、韓国の文在寅大統領の発言だ。15日に開かれた日本の植民地からの解放記念日「光復節」の演説で、戦時に徴用された元労働者(徴用工)や慰安婦をめぐる問題を取り上げ、さらなる補償や真相究明を日本側に求める可能性に言及した。
 慰安婦問題は2015年に日韓政府間で「最終的かつ不可逆的な解決」として合意され、徴用工問題は1965年の日韓請求権・経済協力協定で解決済み。慰安婦合意の履行が先行き不透明な上、徴用工問題の蒸し返しは、国家間合意の重さを理解していない。発言に慎重さが欠けていないか。今年5月の大統領就任後初の光復節で、国内世論を意識した結果なのだろうか。
 しかも演説では北朝鮮の核・ミサイル開発対応に「(日韓の)関係強化を図らなくてはならない」とも訴えた。徴用工・慰安婦問題に対する姿勢と矛盾してはいないか。矛盾でないならば、独善に過ぎる。「朝鮮半島での軍事行動は韓国が決定でき、誰も韓国の同意なしに決定できない」と存在感を示したいなら、取り上げる順序が違うだろう。徴用工・慰安婦問題は外交問題ではなく国内問題であることをまずは認識すべきである。

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野党再編「政権批判の受け皿になるか」

2017/8/16 水曜日

 

 小池百合子東京都知事に近い若狭勝衆院議員が新党結成に動き出した。民進党を離党した細野豪志氏とも連携に向け、協議を続けることで一致した。動きが加速する背景には、永田町で憶測が広がる「来月の臨時国会冒頭で衆院解散、10月22日投開票」説があるが、若狭氏らの新党が政権批判の“受け皿”となるのか、その動向が注目される。
 新党結成に当たって若狭氏は「有権者は自民党でも民進党でもない政党を求めている」とし、年内の早い段階で新党結成を目指す考えを表明した。「自民党の受け皿について強く情熱を持って考えている人と協議を進めていく」とも述べ、細野氏らとの連携に意欲を示した。
 この動きに神経をとがらせているのはほかならぬ安倍晋三首相だろう。時事通信の8月の世論調査で、内閣支持率は前月比6・7ポイント増の36・6%となり、危険水域とされる2割台を一応は脱した。しかし不支持率は44・1%と支持率を上回ったままで、内閣改造の効果も限定的だった。
 10月22日は本県4区と愛媛3区のダブル補欠選挙の投開票日で、総選挙と同日なら苦戦が予想されている愛媛の結果を気にする必要もなくなる。公明党の山口那津男代表の早期解散を容認するような発言も、信ぴょう性を増すものとして注目を集めている。
 果たして早期解散はあるのか。肯定派は首相が憲法改正スケジュールを軌道修正したことを根拠に挙げる。来年の通常国会で改憲を発議し、秋に改憲の国民投票を衆院選と同時に実施する―との日程は、世論の反発で封印され、解散時期とは切り離されたという。
 否定派は、首相が早期解散に踏み切れば改憲発議に必要な衆参3分の2の改憲勢力を失うだけでなく、自民党が議席を減らし首相の責任論に発展する可能性があるとする。「50~60議席も減らせば安倍内閣は終わる」との声もある。
 選挙準備が進んでいない野党側の事情も絡む。細野氏が離党理由で「基本政策が根本的に異なる共産党との共闘は信念に反する」と説明したように、民進党は保守系議員を中心に共闘に否定的な意見が根強い。今のところ民進党内で細野氏に同調する動きは出ていないが、一部の議員が離党を模索しているとの報道もあり、今後表面化する可能性もある。
 また、若狭氏や細野氏の連携で再編の動きが本格化すれば、共闘の協議も複雑なものとなろう。与党内には首相が新党をめぐる野党再編などに先手を打ち、勝負を仕掛けてくるとの観測もある。民進党幹部も「2補選と同じタイミングになってもおかしくない」と指摘する。
 「卵が先か―」の議論ではないが、若狭氏らの新党結成が早期解散の流れを誘発するのだろうか。その動きから目が離せない。

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終戦記念日「過去学び平和を考える日に」

2017/8/15 火曜日

 

 14日付本紙に先の大戦で関東軍石頭予備士官学校第13期生だった弘前市の男性が、旧満州国で経験した旧ソ連軍との戦闘について語っている。戦後70年を過ぎて戦争体験者は高齢化。これは戦争についての生の言葉を得る機会が年々減少していることを意味する。悲惨な戦争の記憶を風化させぬような取り組みを、加速させなければならない時期に来ている。
 この男性によると、士官学校の幹部候補生たちは爆弾を抱えて敵戦車に突っ込んで行ったという。「不思議と怖くなかった。国を守るためにやるしかないと、皆が思っていた」と語る。一方で撃たれた仲間の最後を目にし「死ぬときは『天皇陛下万歳』と言って死んでいくのかと思っていたが、彼は『お母さん』とつぶやいて死んでいった。初めて見て、本当はそういうことかもしれないと思った」とも話した。
 国は戦後生まれの世代が戦争体験者から聞き取り、後世へ伝える「語り部」の育成事業を行っている。アドバイザーを務める国文学研究資料館の加藤聖文准教授は「戦争で起きた悲劇は社会が共有すべき問題。今までは体験者に話を聞けば済んだが、これからは聞いた人が次に伝えていかなければ」と、事業の必要性を説明する。
 ただ、戦争体験者が当時の様子を口にしてくれるかという課題もある。弘前市の男性は「あの戦いは、話して分かってもらえることではないと、どこかで思っている」と、これまで自身から進んで話したことはなかったという。国の事業に参加する一人も父親から終戦前後の話をされたことは一度もなかった。もし、父親に問い掛けることができたところで、どこまで話してくれただろうか。
 戦争体験者にとっては「忘れたいつらい過去」であると同時に「忘れてはならない現実」。戦地に散った仲間や空襲で亡くした家族らに対する思いなどが複雑に絡み、自身の胸の中にしまい込むケースもあるのではないだろうか。当時の記憶を有する体験者から「戦争の真実」を聞き取ることができる時間は多くない。後世に伝えるには、戦争体験者の理解を得る努力を急がなければならない。
 先の大戦が終わり、平和な世の中になったように見える。しかし、北朝鮮が明らかにした米領グアム沖への中距離弾道ミサイル発射計画は、威嚇し合う米朝だけの問題ではない。北朝鮮の発表によると弾道ミサイルは島根、広島、高知の各県上空を通過する。防衛省がわが国へのミサイル落下といった不測の事態に備え、地対空誘導弾パトリオットを中国・四国地方の陸上自衛隊駐屯地に展開するなど、国内の緊張感も高まっている。
 きょうは終戦記念日。過去の悲劇を繰り返さぬためにも、全国民が平和と不戦の誓い、そして憲法改正の動きを考える日にしたい。

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