社 説

 

津軽自動車道「全線開通へ前進」

2021/12/4 土曜日

 

 津軽自動車道「柏浮田道路」の着工が決まり、今月5日に現地で起工式が行われる。供用開始時期はまだ見通せないが、柏浮田道路が開通すれば津軽自動車道は浪岡IC-国道7号間の約2キロを除き、ほぼ全区間がつながることになる。地域住民の利便性向上はもちろん、本県の産業や観光振興にも大きく寄与すると考えられ、早期の完成を期待したい。
 津軽自動車道は青森市浪岡地区から鯵ケ沢町までを結ぶ全長38キロの自動車専用道路。柏浮田道路はこのうちつがる市柏稲盛-同市木造越水間の約12・3キロで、2018年度に事業化し、調査設計、用地買収などを進めてきた。県も国と協定を締結した上で、用地の先行取得に取り組んで協力しており、これまでに用地取得が一定程度進んだことから、いよいよ工事に着手できるという。今後は地盤改良などの工事と並行し、残りの用地取得なども進める方針だ。
 県内には鉄道があり、観光客向けの公共交通の整備も進められてはいるものの、地域住民は各市町村間の行き来、県外に行く際の拠点となる空港や新幹線駅、フェリー埠頭(ふとう)へのアクセスには、やはり車を使うことが多い。それだけに、主要な市町村間を結ぶ高規格道路の整備に寄せられる期待は大きいと言えるだろう。
 柏浮田道路を含む津軽自動車道開通のメリットは多い。西北地域は冬期間、吹雪となることがたびたびあり、視界不良の際の車の運転には相当気を遣う。しかし柏浮田道路は土砂を盛り上げた高い位置に造られるため、吹きだまりや雪堤ができにくく、ある程度の視界は確保できるとされる。救急車など緊急車両の冬季の走行時も安心感が高まるだろう。
 地域振興につながるという期待も大きい。つがる市、鯵ケ沢町は県内有数のメロンの産地で、収穫されたメロンは国道101号、津軽自動車道を経由して東京市場などへ出荷されているという。柏浮田道路が開通すれば、出発時間や集荷時間に余裕が生まれる、安定走行ができて傷みが減少するといった声が上がっており、出荷量の増加やブランド価値、売り上げの向上が期待されている。
 津軽圏域は世界遺産登録で注目を集める縄文遺跡群をはじめとする名所旧跡、ご当地グルメなど観光資源も盛りだくさん。道路の整備による移動時間の短縮でアクセスが向上し、周遊観光の促進につながることについても関係者の期待が大きい。
 起工式は新型コロナウイルスの感染防止を考慮し、関係者のみで行われるという。地元の大きな期待が寄せられているということをぜひ重く受け止め、早期の完成に向けて着実に工事を進めてもらいたい。
 県内では七戸町を走る天間林道路8・3キロの22年内の完成が発表されている。東北縦貫自動車道八戸線、むつ市を起点とする下北半島縦貫道路なども県民生活にとって重要な路線。今後の進展状況を注視したい。

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ふかうら雪人参ピンチ「ブランド維持へ応援の機運を」

2021/12/3 金曜日

 

 深浦町を代表するブランド農作物で、果物のような甘さで知られる「ふかうら雪人参」が、今月下旬からの収穫開始を前にピンチに立たされている。生産団体である舮作興農組合によると、夏の猛暑の影響により不作となる見通しに加え、人件費や燃料費の高騰などで小売販売価格を上げざるを得ない状況という。雪人参を使った加工食品の製造現場でも、人件費高騰や新型コロナウイルス感染症の影響で商品販売は伸び悩んでいる。こうした苦境の打開に向け、生産団体をはじめとする関係者の努力はもちろんだが、消費者側にも購入などの面で協力し、守り続けてきた灯を絶やさぬよう応援する機運の盛り上がりに期待したい。
 雪人参は、組合が1996年ごろから本格栽培を始めた。毎年、12月から3月にかけての厳冬期、一面の雪原となった畑から掘り出し、収穫する。寒さによって甘みを蓄えたニンジンはトマトにも匹敵する糖度を持っている。自然の力で育まれた味は全国的にも知名度が高まり、2018年11月には特許庁で商標登録された。
 雪人参の名を冠した加工食品も地元の深浦町食産業振興公社を中心に、ジュースやカレー、パスタソース、菓子、ジャムなど数多くの商品が製造されている。
 しかし、今期の収穫シーズンは問題が山積みだ。組合によると、今年は前年より5ヘクタール少ない35ヘクタールで作付けしたものの、7月中の干ばつを受けて半分以上の20ヘクタールで種の発芽が大幅に遅れた。成長が遅れたニンジンは通常の収穫期内に順調に育つかどうか危ぶまれ、組合では前シーズン777トンだった収穫量に対し、今シーズンは3分の2程度とみている。最低賃金上昇に伴う人件費の増加、原油高による燃料費増も追い打ちをかける。
 さらには、国内におけるニンジン自体も流通が過剰気味となっている。この結果、例年であれば全収穫量の半分以上が出荷される加工用雪人参は、現段階で出荷を予定しているのは例年の半分程度しかない。公社でも、組合同様に人件費増大や販売の伸び悩みの影響を受けている。これらの情勢を踏まえ、組合、公社ともニンジン自体や商品の価格を上げる可能性を示唆している。
 長年にわたって、地元関係者が必死になって育て上げてきたブランドを守ろうと、組合は打開策として加工事業者と協力し、販路拡大や高付加価値化を伴う商品開発に取り組んでいる。
 これからも町や本県を代表する農産物として生き残るため、値上げをしてでも乗り切る構えや加工食品の高付加価値化という自助努力の姿勢は評価したい。そして、多くの消費者がこうした組合や加工事業者の事情を理解し、支える環境づくりが求められよう。今後の動向を注意深く見守りたい。

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米軍機タンク投棄「住民を危険にさらすな」

2021/12/2 木曜日

 

 米軍三沢基地所属のF16戦闘機1機が11月30日夜、飛行中に緊急事態に陥ったとして、上空から燃料タンク2本を投棄し、青森空港に着陸した。深浦町中心部では燃料タンクの1本とみられる金属製の物体などが発見された。
 発見場所は、町役場に近い町歴史民俗資料館・美術館の敷地や付近を通る国道。周辺には民家なども並ぶ。当時、町中心部では「ドーン」という衝撃音が響き渡ったという。幸い人的被害は確認されておらず、大惨事に至らなかったのは奇跡に近いと言っていいだろう。
 青森空港は12月1日朝に滑走路の運用が再開されたが、前夜は緊急着陸とともに全面閉鎖され、民間機7便が欠航した。残る1本の燃料タンクは岩木山付近に投棄されたとみられているが、まだ発見されていない。人的被害はもちろん、環境面への悪影響がないことを願う。
 F16戦闘機がかなり切羽詰まった状態だったことは想像に難くない。しかしだからといって、住民を危険にさらすことは決して許されない。地域住民の安全確保が何よりも重視されなければならない。当時のパイロットの対処に関する妥当性の検証はもちろんだが、原因の究明と再発防止の徹底を強く求める。事態は深刻だ。
 防衛省が米国側へ、飛行の安全が確認されるまでF16戦闘機を飛行させないよう求める方針を決めたのは当然である。
 米軍機から部品などが落ちたり投棄されたりする事案は近年も県内外でたびたび起きている。
 今回と類似した事案としては2018年2月、同基地所属のF16戦闘機が離陸直後にエンジンから出火し、燃料タンク2本を東北町の小川原湖へ投棄した事案が記憶に新しい。同湖ではタンクの破片回収や水質調査を経て安全宣言が出されるまでの1カ月間、シジミなどの全面禁漁を余儀なくされ、漁業関係者らが損害を被った。その後、出火は機体に誤って取り付けられた旧式部品の破損が原因であることが判明した。
 19年11月には、同基地所属のF16戦闘機が訓練場外の六ケ所村内の民有地に模擬弾(重さ約230キロ)を落下した。現場から5キロ圏内には学校などもある。人的被害はなかったが、その事実を防衛省へ報告したのは落下翌日になってからで、対応の遅さも批判された。原因はパイロットが誤って指示と違う場所を選択して投下する人為的ミスだった。
 こうした事案が発生するたびに県や地元自治体は抗議してきたが、問題が起こるたびに「またか」と失望を禁じ得ない。
 問題発生時の米軍側の対処はもちろんだが、その後の再発防止策が目に見える形で機能するか否かは、地元住民の理解と信頼に直結する。その成否は、同基地関係者の意識に懸かっている。

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立民代表選「手腕問われる47歳の“新船長”」

2021/12/1 水曜日

 

 立憲民主党の代表選が30日行われ、泉健太政調会長が決選投票を制し新代表に選出された。党再生が至上命題だけに、かじ取り役を任された47歳の“新船長”は、早速その手腕が問われることになる。
 枝野幸男前代表が衆院選敗北の責任を取って辞任したことに伴い行われた今回の代表選。泉氏のほか、逢坂誠二元首相補佐官、小川淳也元総務政務官、西村智奈美元厚生労働副大臣の4氏が名乗りを上げた。
 ただ、選挙戦は明確な争点がなく盛り上がりを欠いた。唯一、来夏の参院選でも野党共闘路線を継承するのか、特に共産党との共闘をどうするかが焦点となった。
 最大の支持母体である連合は衆院選前から立民と共産の共闘路線を否定。芳野友子会長は28日のテレビ番組で、新代表に向けて「あり得ないと言い続けていきたい」とまで語った。
 さらに芳野氏は参院選に関して「立民、国民民主党、連合が協力し合って戦える関係をつくりたい」とし、両党の合流も引き続き求めていく考えを示した。
 自民党のベテラン議員も「共産との共闘を掲げた衆院選でそれなりの(敗北の)答えが出た。国民民主党出身の泉氏が選ばれたということは立民党内の揺り戻しの表れだろう」と評した。
 当初は野党共闘路線に肯定的だった泉氏。しかし新代表選出を受けた記者会見では共産党と合意した「限定的な閣外協力」に関し、「衆院選に向けて交わしたもので現時点で何かが存在しているということでない」と言明。参院選での野党共闘については「塊をつくるところを目指していく」とするにとどめた。
 党の再生とともに、1年を切った参院選への対応という重責を背負う若き新代表。真っ先に取り組む新体制について、泉氏は執行部の半分は女性を登用するほか、代表選で争った他候補にも執行役員を任せる考えを示した。
 泉陣営の選対本部長を務めた本県選出の田名部匡代参院議員は「党再生へ、挙党一致でなければならないと本当に思っている。権力闘争なんかじゃない。そんな場合ではない。いろんな人の意見を大事にしながら党の結束を目指せる人」と信頼を寄せる。
 ただ、前出の自民党議員は「若さで刷新感はあるかもしれないが、党をまとめられるかは疑問」と手厳しい。
 泉氏は野党第1党の党首として野党を引っ張り、自公政権とどう対峙(たいじ)するかも問われる。6日に召集される臨時国会が試金石となる。
 党内が一致して新代表を支えられるかも注目される。国民との関係を含め、感情的な溝を乗り越えて大きな塊をつくれるのか。党勢の立て直しに向け、ワンチームになれるかが最大の課題だろう。

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オミクロン株阻止「入国停止を第1弾に次の策を」

2021/11/30 火曜日

 

 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が世界的に広がり、各国は危機感を募らせている。わが国でも感染の「第6波」につながりかねないことから、政府は30日午前0時、全世界からの外国人の入国を原則禁止した。オミクロン株を阻止する強い措置は、国民を守るための適切な判断と評価していいが、当面1カ月とする期間が長引けば、動き始めたばかりの経済活動への影響が大きくなると懸念され、今後の動向を注視する必要がある。
 オミクロン株は南アフリカで9日に採取された検体から初めて確認された。以降、アフリカや欧州を中心に世界各地で感染拡大が続いており、アジアでは香港で感染者が出ている。24日に報告を受けた世界保健機関(WHO)はデルタ株など他の変異株と比較して再感染リスクが高いことを示す「暫定的な証拠」があり、感染拡大のペースも速く世界規模のリスクは「極めて高い」と分析。WHO、国立感染症研究所とも最も高い警戒レベル「懸念される変異株」に指定した。
 WHOによるとオミクロン株もPCR検査で検出できるものの、重症化リスクやワクチンの効果などについては明らかになっておらず、ワクチン接種が進んでいる日本でも、2回の接種を終えたから感染しにくい、重症化しにくいとは言い切れない。WHOは29日、加盟国に感染者増大に備えるよう促した。ただ、個人に対しての呼び掛けは、他者との距離確保やマスク着用、換気の徹底、人混みを避けるなど、従来と変わらない。日本国民はこれまでも徹底しており、従来通りの生活を続けるしかない。
 岸田文雄首相は29日に入国停止などを発表した際、「(厳格との)批判は私が全て負う覚悟だ」と力を込めた。この覚悟と責任に期待したいが、これまでも水際対策を徹底すると言いながら、完全に防ぐことができず、医療崩壊の危機に瀕(ひん)する事態に陥ったことを考えると、どうしても懐疑的になってしまう。
 このところ全国の新規感染者数は100人前後で推移しており、苦境が続いた飲食、観光などの業界が間もなく始まる忘新年会や帰省、年末年始休暇の旅行などに抱く期待は大きい。ただ、ワクチン接種が進んだことや新規感染者の減少で気の緩みが生じたところに、オミクロン株が入り込んだなら、どうなるだろうか。何とか持ちこたえ、ようやく光が差し込んだ経済は再び闇の中に転落しかねない。
 入国停止を受け、航空業界からは海外赴任者の帰省動向を気にする声が聞かれたが、商社や百貨店は海外出張を禁止していたり、もともとインバウンド(訪日外国人観光客)の来店がなかったりと「影響は限定的」とみる。ならば影響の少ないうちに、入国停止に続く第2、第3の策を講じたい。

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