社 説

 

中国輸出リンゴ「輸出再開へ関係者の努力を」

2018/1/16 火曜日

 

 県産リンゴの販路拡大を進める上で、年々、比重が高まっているのが輸出分野だろう。国産輸出リンゴの約9割が本県産とされる本県リンゴ産業にとって海外は非常に重要な市場となっている。2016年産リンゴの輸出量は過去10年間で輸出量が3番目、販売額も2番目の多さを記録するなど、好調さが目立つ。人口減少や消費者の嗜好(しこう)の変化などを考えれば、国内市場での販売がこれから急速に伸びるという状況が見込まれるものでもない。輸出リンゴ市場の規模拡大と安定化は、本県リンゴ産業にとって生命線といえるものになってきている。
 こうした中、国産リンゴを中国へ輸出できない事態が続いている。11年の東京電力福島第1原発事故後、県内の輸出業者は民間の検査機関が出す放射性物質検査証明書で輸出を続けてきたが、中国側が日本政府発行の検査証明書を提出させる輸入条件を厳格に運用し始めことにより、昨夏から事実上の市場閉鎖の状態に陥っている。財務省の貿易統計でも、17年7~11月の5カ月間の中国への累積輸出量はゼロと記録されている。
 そもそも中国への県産農産物などの輸出は、東日本大震災後、証明書の扱いなどをめぐって日中間に考えの隔たりがあり、公式には輸出停止が6年半余り続いている。
 ただ、昨春までは、県薬剤師会衛生検査センターの検査証明書の添付で輸出が可能だった。このため中国への15年産リンゴの輸出は量・金額ともに前年産の2倍以上となるなど、中国市場は近年、台湾や香港に続く3番目の市場へと急成長していた。
 世界一の人口規模を誇る中国の潜在的な需要は非常に大きなものがある。リンゴの栽培も盛んで、国民にもなじみの深い果物だろう。高品質な県産リンゴが、中国国内市場でもっと流通すれば、大きく消費が伸びる可能性はあるだろう。それがここに来て足踏み状態とは、関係者でなくとも歯がゆさを感じる。
 今回の輸出ストップの背景について、県が輸出業者へ聞き取りをしたところ、中国政府が昨年6月ごろから自国内の輸入機関に輸入条件を厳格運用するよう通達しているとみられ、以降、市場は完全に閉鎖された状態が続いているという。
 ただ、日中両政府が規制緩和に向けて協議入りする方向で調整しているとの情報があり、本紙の農水省への取材でも「中国側が輸入規制緩和の協議に好感触を示したと日本政府側から聞いている」との回答があり、前進に向けた兆しが見え始めている。
 中国からの観光客の入り込みが好調な日本。日本ファンが増える中で、日本の食べ物への関心も高まっていくだろう。この機を逃さず県産リンゴを売り込みたい。日中両国が早期に協議入りし、一日も早い事態の収拾を望む。

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火災死者ワースト「より一層の防火意識高揚を」

2018/1/13 土曜日

 全国の火災による死者数は近年、減少傾向となっている。総務省消防庁の資料によると、放火自殺なども含めた2016年の死者数は1452人で、07年と比べると27・6%減り、10年間で7割程度にまで減少。16年の総出火件数は3万6831件で、やはり減少傾向。07年比では32・6%減っており、特に建物火災は1万件以上少ない2万991件だった。
 死者数や火災件数が減っている背景に何があるのか。06年6月から新築住宅の火災警報器の設置、08年10月からは家庭向けの新設ガスコンロに過熱防止用センサーの設置がそれぞれ義務化された。11年9月には幼児が扱いにくい機能を備えた使い捨てライターを製造、販売することが義務付けられた。こうした対策が複合的に絡み合い、効果をもたらしていると考えられる。
 そうした中、本県は人口10万人当たりの火災による死者数(死者発生率)が依然として高い傾向となっている。16年は2・39人で、3年ぶりに全国ワーストとなった。続く福島の2・15人、秋田と新潟の2・11人と比べても突出した状況。最少の沖縄(0・34人)とは7倍もの差が生じている。
 県の担当者は「依然として住宅の火災警報器の設置が少ない状況。火災が発生した場合に少しでも助かる確率を高めるため、設置をお願いしたい」と呼び掛ける。警報器によって逃げ遅れを防ぐことができた効果も報告されており、何とかして設置率を高めていきたい。
 また、都道府県別の死者発生率を見ると、高齢者の割合が少ない自治体は低くなる傾向にあることも見て取れる。内閣府の高齢社会白書によると、15年の都道府県高齢化率で最も低いのは沖縄で19・6%。22・7%の東京や23・8%の愛知、23・9%の神奈川なども低く、死者発生率の低い都道府県と重なる。
 一方、本県の高齢化率は30・1%で全国12番目。福島は22番目、秋田は1番目、新潟は14番目となっている。専門家は「高齢者は若い人に比べて、火災の発生に気付きにくかったり、逃げ遅れがちだったりする」と指摘。「独居高齢者の多い地域ほど火災の犠牲者が出やすくなるのではないか」と推測する。
 16年の火災による死者のうち、高齢者は6割の873人。本県は死者32人のうち、7割近くに当たる22人が高齢者だった。高齢者をいかに守るかが死者数減少のカギの一つになることは確実だ。高齢者の防火意識高揚はもちろん、周囲の気配りや目配せも必要だろう。
 県によると、17年の火災による死者数は前年の半分以下となる14人(暫定値)で改善傾向。県の担当者は「市町村や消防本部の継続的な広報活動が奏功し、県民の防火意識が高まったのでは」と分析する。この流れをさらに加速させ、犠牲者の減少をさらに進めたい。

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中国・商標問題「大きな枠組みで問題解決を」

2018/1/12 金曜日

 

 中国で「弘前」の文字が商標登録申請され、弘前市などが2016年に異議を申し立てていた問題で、中国の商標局が異議を認めない裁定を下していたことが分かった。中国の企業がローマ字の「AOMORI」の文字を商標出願していることも分かり、県など関係8団体が連名で今月5日に異議を申し立てている。
 中国の商標法には、一般に広く知られた外国地名は商標登録できないという規定があり、これまでも県などが「青森」という文字の商標出願に対して行った異議はすべて認められてきた。今回の「弘前」について、中国商標局は同国内での弘前の認知度は低いという判断を示したとされ、大方の県民が抱く「日本の地名であれば異議が認められるだろう」という認識が覆されたと言える。問題解決に向け、新たな取り組みが必要だ。
 中国の商標問題はこれまでも繰り返されてきた。本県では03年に中国の企業が乳製品や果物、水産物、野菜など5分野で「青森」の文字を商標登録出願する動きがあり、話題に。5件すべてが却下されたのは08年のことで、安堵(あんど)したのもつかの間、同年に「青淼(チンミャオ)」という「青森」と紛らわしい文字にリンゴの図柄を組み合わせた商標の登録申請が判明し、県などが再び異議申し立てを余儀なくされるなど、振り回された。
 中国では日本の都道府県名や政令指定都市名を無関係の第三者が商標出願する動きが多く、もはや本県だけの問題にとどまらない。商標が登録されれば、たとえ地名であってもその文字を使った輸出は他者の商標権を侵害するリスクがある。無関係の商品に地名が使われたり、日本と関連ある会社だと消費者を惑わすビジネスの可能性も否定できない。
 中でも懸念されるのがイメージの低下だ。16年の県産農水産物の輸出額が過去35年で最高額となった本県にとって、中国は重要な輸出先の一つであり、天津線就航を契機に観光面でのつながりも深まっている。今後の展開を注視したい。
 本県では03年の騒動を契機に、県産品であることを示す統一マークの商標登録や県内の団体による海外での商標出願の支援など積極的な防衛策も講じてきた。ただ商標の無効を求める取り組みは時間も手間もコストもかかる割に、根本的な解決にはつながっていないのが現状。特許庁は日本貿易振興機構とも連携し、各自治体への情報提供や対応策・事前予防策のマニュアル提示などの支援策を打ち出しているが、自治体任せにせず、より大きな枠組みで中国側へ訴え、根本的な解決策を探ることが重要ではないか。
 「弘前」の商標については市などが商標を無効とする審判などの手続きを検討しているという。難しい面も多々あろうが、中国側の考えを知るという点で他の参考になるはず。結果の成否を問わず、積極的な情報公開を求めたい。

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カヌー・ドーピング「自らを律する強さを持ちたい」

2018/1/11 木曜日

 

 昨年9月に石川県で行われたカヌー・スプリント日本選手権で、鈴木康大選手がライバルの小松正治選手の飲み物に禁止薬物を混ぜたことが明らかになった。世界のスポーツ界がドーピング問題に悩まされる中、トップ選手による前代未聞の悪質な行為が国内で発生した。
 小松選手はレース後の検査で陽性反応を示し暫定的に資格を停止されたが、鈴木選手が自らの行為を申し出たことで資格停止は取り消された。2016年のリオデジャネイロ五輪で、カヌースラローム男子の羽根田卓也選手が日本勢初の銅メダルを獲得し、競技の注目度が増していただけに、関係者らの落胆は大きい。
 鈴木選手は今回の薬物混入のほかにも、東京五輪招致が決まる以前の10年ごろから、ライバル選手の用具を盗んだり、細工したりする妨害行為を繰り返していたという。国内で開催される五輪に出場したい―という焦りなどから行っていたという。身勝手というほかなく、弁解の余地はない。
 日本アンチ・ドーピング機構は鈴木選手に8年間の資格停止処分を科し、日本カヌー連盟は、最も重い除名処分を科すよう臨時総会などに提案するという。競技に勝つため、自ら禁止薬物を服用することはもちろん許されないが、その罪を他の選手に着せようとした行為はより悪質だ。連盟の方針は当然だろう。
 今回の一件はスポーツ界全体に大きな波紋を呼んだ。過去の五輪でドーピング違反者を一人も出していない日本は、“クリーン”を掲げて東京五輪の招致に成功したのだが、その信頼が揺らぐ事態となり、早急な対応を迫られている。
 国内のスポーツ界からは、鈴木選手の行為を悲しむ声が相次いだ一方で、被害に遭った選手、競技団体双方の認識の甘さを指摘する声も上がる。04年のアテネ五輪陸上男子ハンマー投げ金メダリストの室伏広治さんは、飲み物のボトルを一度開けて席を離れた場合、二度と飲まないのは当たり前―とし、競技団体が選手の指導を徹底すべきと提言する。
 選手たちは五輪出場権をめぐり激しく争い、出場した場合は好成績を収めなければならないという重圧を背負うことになる。彼らの重圧は周囲の想像をはるかに超えるものであろう。そう考えれば、選手には禁止薬物などから自らを守る意識も必要なのかもしれない。
 組織的ドーピングにより、2月の平昌冬季五輪への選手団派遣を禁じられたロシアを、他山の石とすべきところだったが、今回の件を受け、日本国内の関係者はドーピング対策に「当事者意識」を持って一層強い姿勢で臨まなければならない。ただ、選手が自らを律することができなければ、いくら対策を講じても再発を完全に防ぐことは困難だ。自らを律する強さを持ってこそ、国を代表する選手と言えるのではないだろうか。

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国会改革「審議充実へルールの検討を」

2018/1/10 水曜日

 

 与党は22日召集の通常国会で、安倍晋三首相の常任委員会への出席削減、与党の質問時間拡大など国会運営の見直しを提起する方針だ。「森友・加計問題」などの追及に後ろ向きな与党の姿勢とともに、連携に難のある野党の力不足が透けて見える。充実した審議に向けて国会改革が叫ばれて久しいが、これを機会に時の権力に左右されないルールづくりも検討すべきではないか。
 焦点となっている質問時間をめぐっては、国会法などに規定がない。与党は昨年の特別国会で質問時間配分見直しを主導し、従来の与野党「2対8」から、おおむね「3対7」に変えた。これはあくまで一時的なもので、通常国会では改めて「5対5」を求めるとみられる。
 ところが与党の質問時間が増えた特別国会の衆院委員会では、与党側が政府判断の擁護に終始した。野党側は追及を少しでも減らそうとしただけと反発、立憲民主党の幹部からは「政府の言い分を補強する質問をするため時間を欲しがったのか」と皮肉られた。
 さらに与党は首相と野党党首が1対1で議論する党首討論を毎月開催する代わりに、予算委員会などへの首相出席を大幅に減らすことも目指す。
 その理由として自民党は安倍首相の国会出席時間が2016年に計376時間で、ドイツや英国の10倍近くに達し、外交や国際問題対応へ影響が及ぶとする。
 予算委では1日約7時間、拘束される場合が多い一方で、党首討論は全体でも45分と短い。このため野党側が予算委で質疑時間を確保することを優先、毎年数回程度開催されていたものの、17年はついにゼロに終わった。
 なぜ野党側が党首討論を避けるのか。党首討論が行われる週は慣例により、本会議や各委員会への首相出席を求めることができない。このため野党側は「通常7時間の予算委の方がいい」(立憲幹部)とし、共産党の穀田恵二国対委員長は「首相に対する質問時間の圧倒的な縮小につながった」と断じる。
 ならば党首討論の時間を増やし、野党の質問時間配分にも配慮すべきだろう。国会改革は審議の充実を目指すものでなくては意味がなく、質問時間配分に一定のルールを設けるか否か、また党首討論も月1回の開催でいいのかを含め、各党・会派をメンバーとする検討組織を常設すべきだ。
 昨年の衆院選で大勝し、今秋の自民党総裁選で3選を目指す安倍首相。地元・山口での後援会の新年会で「決しておごることなく、責任を果たすために全力を尽くす」などと語った。
 ならば数の力で慣例を変えず、野党の主張に耳を傾け、一定のルールづくりを検討するよう、自民党総裁として党に指示すべきではないか。国民・有権者の理解が得られる国会改革こそ必要だ。

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