社 説

 

青天の霹靂「特A評価を弾みに勝負の一年」

2017/2/25 土曜日

 

 日本穀物検定協会(穀検)が発表した2016年産米の食味ランキングで、県産米「青天の霹靂(へきれき)」が、特においしいとされる最高評価「特A」を取得した。参考品種時代を含めれば3年連続の取得であり、市場流通しているコメなどを対象とした「本ランキング」でも連続して最高の評価を得ることができた。
 穀検の会見では霹靂の特A取得などについて「品質が安定している」と高く評価した。県産ブランド米の次世代エースとして関係者の期待を一身に背負って市場に参入した霹靂は、3年連続の特A評価により、食味の上では市場に確固たる位置を築けたのではないか。県外販売が本格化して2年目となる17年産の販売に向けて弾みがついたといえるだろう。
 県外販売本格スタートの年となった16年産は集荷数量7582トンの98・8%に当たる7493トンが出荷基準を達成。販売計画数量7481トン(県外5259トン、県内2222トン)は米卸売業者との契約が1月末に完了した。
 今後の販売動向も注視していかなければならないが、まず順調といえる状況にあるのではないか。17年産の作付予定面積は16年産比1・2倍の約1900ヘクタールに設定。生産者数は同1・1倍の915経営体となる。霹靂のブランド力を深化させる年として17年は重要な年であり、それには何より品質の安定性が求められる。15、16年産で培った生産技術をさらに高め、高品質米の生産に取り組まなければならない。
 ただ、人口減社会に加え、消費者の米離れが進むこの時代にあっては、良食味・高品質米であるだけでは生き残りは果たせない。
 今回の食味ランキングでは全国44銘柄が特A米となった。そのうち11銘柄が初めて特A米を取得している。産地間競争がいかに激しさを増しているのかがよく分かる。米どころと言われた地域以外でも新品種の開発が熱心に進められ、地域条件や気象条件などにとらわれることなく高品質な米が市場デビューを果たしている。それに消費者の嗜好(しこう)や購買意識も変化してきている。どうしても目新しい新品種に注目が集まり、ブランド力が確立した一部の人気品種以外は生き残りが厳しくなるのが、この産地銘柄競争時代の現実といえるだろう。
 そのためにも17年産は勝負の一年といえるだろう。県は新年度予算案に、青天の霹靂のブランド確立に向け、8410万円を計上。産地間競争に打ち勝つ販売戦略を検討するほか、首都圏・関西圏での認知度向上を図ることにしている。
 生産の現場ではさらなる良食味・高品質米の生産に向け、経験と技術を磨き、自治体や関係団体はブランド確立に向け、情報発信と創意工夫を重ねる。本県関係者が一体となって青天の霹靂の明るい未来を開きたい。

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県新年度当初予算案「人口減対策、独自性も必要」

2017/2/24 金曜日

 

 県の2017年度一般会計当初予算案は、前年度当初比1・8%減の6846億円で、2年連続のマイナス編成となった。ただ、貸付金と人件費、公債費を除くと前年度当初を上回り、事実上のプラス予算とも言える。
 行財政改革を進めた結果、基金を取り崩さない収支均衡を27年ぶりに実現。ここ数年は取り崩し額を10億円以内に抑え、実質的な収支均衡に努めてきたが、さらに一歩進んだ格好だ。
 県債の新規発行額を前年度以下に抑制したこと、残高の減少基調を維持したことも評価できよう。ただ、残高は臨時財政対策債も含めると1兆円強のまま。厳しい財政状況は変わらない。
 歳入環境が劇的に好転することなど望めない一方、人口減少と超高齢化により社会保障費が膨らみ続けることは間違いない。団塊の世代が後期高齢者となる「25年問題」は、もう目の前まで来ている。歳出の抑制には限界があり、歳入、特に自主財源を増加させるための知恵や工夫が求められている。
 そのために重要なのが、人口減少に対応した施策だろう。新年度当初予算案では、基本計画で設定した「人口減少克服」の戦略プロジェクトに87事業、10億7000万円余りを計上した。総花的であり、目新しさもさほど感じられないが、現段階で考えられることをかき集めたと見ることもできよう。
 柱として掲げた、持続可能な地域づくり、移住・定住促進、交流人口を増やす仕組みづくり、子どもを産み育てやすい環境づくりは、いずれも重要な観点だ。人口減少対策は中長期的で幅広な取り組みが不可欠であり、さまざまな事業を展開していく中で効果や課題が見つかっていくはずで、そこで選択と集中を図ったり、即効性のある対策を打ち出したりすることが現実的ではないか。
 ただ、人口減少対策に取り組んでいるのは、もちろん本県だけではない。各都道府県の新年度当初予算案を見ると、財源が限られる中でも、子育て支援や訪日外国人旅行者(インバウンド)誘致への投資を重視する傾向がうかがえる。今後、特に交流人口拡大などで地域間競争が一層激化していくだろう。他都道府県とは一線を画した、独自性のある施策も求められている。
 県は、人口の「口」を「幸」に置き換えた、「人幸増加大作戦」を展開している。県民一人ひとりが幸せを実感しながら暮らせる地域をつくり、世代を超えて幸せをつないでいくことで人口減少を食い止め、活気ある本県を目指す―というもの。三村申吾知事は新年度当初予算案を「未来をつむぐ・チャレンジ予算」と表現し、「県民と共に前進していきたい」と語った。予算を生かすかどうかは、県民もカギを握っているということを自覚しておきたい。

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啓発型健診「意識付けで健康寿命延伸を」

2017/2/23 木曜日

 

 弘前大学医学部に2018年春、地域住民の健康づくりと医療・健康産業の拠点となる「健康未来イノベーションセンター」が開設される。このセンターの目玉事業となる、健診と啓発を組み合わせた「啓発型健診」が先日、試行された。
 健診結果をその日のうちに知ることができ、結果に応じた健康教育プログラムをその場で受講できる新型健診である。市民らが健康に関する意識を高め、本県の健康寿命延伸という効果に結び付くことを期待したい。
 新たに整備されるセンターは弘大が県、弘前市と共同提案した「革新的地域ライフイノベーション創造拠点」。地域が持つ技術や資源を活用して産学官が共同研究を行う拠点づくりを支援する、文部科学省の「地域科学技術実証拠点整備事業」に採択されたものだ。
 弘大は、05年から継続して行っている大規模な住民健診で結果を蓄積し「健康ビッグデータ」という世界的にも類を見ない資源を有する。13年には国の革新的イノベーション創出プログラム「COI」(センター・オブ・イノベーション)の拠点となり、すでに官民と疾病予防など健康づくりに向けて研究を推し進めている。
 センターでは、弘大COIで実施する新型健診の実証開発を行うほか、自治体や大手企業など産学官が一堂に集い、スーパーコンピューターによる健康ビッグデータの解析などを行う。
 新型健診はその中でも目玉事業だ。これまでの一般的な健診では結果通知まで時間がかかり、問題があってもその後の治療や再検査、生活改善につながりにくいという課題があった。啓発型健診では検査から結果判明、それに応じた健康教育プログラムをその日のうちに受けることができる。
 市民らにとっては日ごろの生活習慣を見直すきっかけとなり、健康への意識付けを図るには効果的な仕組みといえる。
 県のまとめによると、15年の本県の75歳未満のがんによる死亡率は全国で最も高く、改善率もワースト2位という深刻な状況下にある。がんに限らず生活習慣病などが原因で、働き盛り世代の死亡割合が高いのも特徴だ。
 事業所におけるがん検診受診の勧奨や仕事を続けながら治療を受けられる職場環境の整備はもちろんだが、改善には一人ひとりの健康への意識を高める取り組みが重要だろう。短命県返上に欠かせないのが、容易なようで難しい県民の意識改革といえる。
 弘前発の新たな健診システムがその動機付けとなることを大いに期待したい。市民らの健康意識が高まり健康寿命の延伸につながれば、イノベーション拠点としても注目され、同時に関連産業の振興による地域経済活性化に結び付くはずである。

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民泊法案「疑問も残るルールの順守」

2017/2/22 水曜日

 

 住宅やマンションの空き部屋に旅行者らを有料で宿泊させる「民泊」を本格導入する新法案「住宅宿泊事業法案」の詳細が固まった。年間営業日数(実際の貸し出し日数)は上限180日とすること、物件所有者による届け出を義務付け、所有者が同居しない場合は管理業者の登録を求めることなどが盛り込まれている。今国会に提出する方針という。
 新法案では、住居専用地域(住宅地)での民泊が認められる。年々増え続けている訪日外国人観光客の宿泊需要への対応はもちろん、特に本県のような地方にあっては滞在中の所有者や地域住民との触れ合いを通じた地元の魅力発信も期待される。ホテル・旅館業者との円満な共存、地域住民とのトラブル防止などに配慮した形での普及を望む。
 民泊と言えば、五所川原市で昨年の五所川原立佞武多期間中、県内初となる「イベント民泊」が実施された。年1度のイベント開催時、開催地自治体の要請に応じて、住民が一定の条件下で自宅を宿泊場所として提供できる仕組みで、弘前市でも今年の弘前さくらまつりと弘前ねぷたまつりで予定されている。
 県内ではこれまで、グリーン・ツーリズムの一環などとして農家民泊が盛んだった。イベント民泊や本格的な民泊導入を踏まえると、本県の観光は新たなステージを迎えると言えそうだ。
 年間営業日数の上限設定は、民泊に否定的なホテル・旅館業界と、積極的な不動産業界双方へ配慮した結果という。上限は地域の実情などに応じて、自治体(都道府県、政令市、東京23区)が条例で上限を引き下げることができるが、極端な引き下げは新法の趣旨自体を否定しかねない。双方の意見を聞きながら慎重に対応する必要があろう。
 民泊は既に、旅館業法に基づく「簡易宿所」の許可を得れば営業が認められている。しかし、実際には都市部を中心に無許可営業が広がっているという。
 新法により民泊のルールを明確化し、無許可営業のまん延に一定の歯止めをかける意義は理解できる。ただ、届け出制は許可制より条件が緩い。物件所有者には衛生管理などを義務付け、違反者には罰則も設けるが、実態把握と監視の目がどこまで及ぶかは疑問だ。宿泊者が安全に、一定の衛生環境下で過ごせるための仕組みづくりが求められる。
 所有者が同居しない場合は、特に“ご近所トラブル”も懸念される。一部の心ない宿泊者、日本の生活習慣・マナーを無視した外国人客による夜中の騒音、ごみの散らかしをはじめとする迷惑行為が想定されるからだ。見知らぬ人物たちの不審行動は、治安面にも影響する。
 一般市民の中で暮らす以上、周囲への配慮を心掛けてもらわなくては、民泊も長続きしまい。旅行業者、仲介業者にも旅行者への周知徹底を求めたい。

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国民健康保険 市民と危機感の共有を

2017/2/21 火曜日

 

 弘前市は2017年度以降の国民健康保険料を1人当たり平均5%引き上げるという方針を示し、関連する条例改正案や予算案を17日に開会した市議会定例会に提出した。今後審議が行われるが、市民にとっては極めて関心の高い問題。市議会での議論の深まりを注視したい。
 市が最終的に平均5%の引き上げと決めたのは市民の負担感に配慮したため。市の国保加入者は所得200万円未満の世帯が約80%と低所得世帯が多く、市民の負担軽減を考慮するのは当然だろう。平均5%増は1人当たり平均で比較すると現行より年額4804円の負担増。月額では約400円の増額となり、市民の理解も得られるのではという判断だ。
 だが平均5%の引き上げは、市が国保運営協議会に保険料率の改定を諮問した際に示した三つの参考値、20・5%増、14%増、10%増のいずれよりも引き上げ幅が低く、国保運営協の「10%増以内」という答申からも踏み込んだ数字だ。
 20・5%増の場合、保険料の引き上げだけで赤字解消のめどとされた22年度までに累積赤字を解消できる。14%増と10%増では22年度まで単年度黒字を維持、累積赤字は2億円台まで減らせるとされていたが、5%増では単年度黒字となるのは3年間だけ、累積赤字も10億円以上残り、解消のめどが立たない。近い将来に見直しを迫られることは明らかで、手放しで喜んでいいものか判断に迷う。
 そもそも、この問題がクローズアップされたのは市の国保財政がまさに危機的状況にあるからだ。歳出に見合う歳入を確保できず、15年度末時点での累積赤字は県内40市町村で最大となる17億7000万円。市は庁内研究会で検討を進め、単年度黒字化と累積赤字の解消には医療費適正化や収納率向上対策、市民の納付意識向上に向けた取り組みの強化だけでは厳しいと判断。同市では前例のない一般会計からの繰り入れと、保険料の引き上げが必要という結論を導き出した。
 この待ったなしの状況を乗り越えていくには、市民と危機感を共有することが必要だろう。市も「市民、各種団体、行政が一体となることが必要」と強調しており、葛西憲之市長は「やれることをまずやり、(3年後に)もう一度立ち止まって効果を検証し、財政支援も含めたその後の展開を考えたい」としている。
 具体的には新たな人工透析者を抑制したり、検診でがんを早期発見・治療し、医療費を抑制するなどの取り組みを強化。市民の保険料納付意識や健康意識の向上も図る考え。19年度にはこれらの効果を検証し再度財政推計を行うが結果次第では一般会計からのさらなる繰り入れの可能性も視野に入れているという。
 市民が安心して医療が受けられる制度の維持は重要だ。市民生活に直結する問題でもあり、今後の議会の議論や市の取り組みを、関心を持って見守りたい。

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