社 説

 

通常国会「来年の話は鬼が笑う」

2018/11/21 水曜日

 

 来年の話をすると鬼が笑う―。ちまたではそうでも、魑魅魍魎(ちみもうりょう)の永田町では臨時国会の会期中にもかかわらず、来年1月の通常国会召集日をめぐって関係者が気をもんでいる。
 その原因は急浮上した「来年1月4日召集説」だ。理由としては来年7月の参院選について、召集日を早めれば複数のスケジュールが設定できるという。
 現在、有力視されているのは「7月4日公示、同21日投開票」だが、1月4日に召集すれば、投開票日は公職選挙法の規定で最速6月30日となる。つまり7月7日、14日、21日と四つの投開票日が可能となる。
 一方、国会議員は通常であれば召集日前日まで選挙区に滞在し、自治体や企業、町会や支持者らが主催するものまで、さまざまな新年会に顔を出すことが“仕事”だ。
 ところが4日召集となれば、恒例のものや有力な支持者の集会に出席できない可能性がある。日程を管理する秘書にとって「今から胃が痛い」(自民党国会議員秘書)。新年のあいさつ回りをいつにするのか、自治体や企業にも余波が及ぶことになる。
 また、召集日の憶測とセットで広まっているのが「衆参ダブル選説」だ。政権が参院選日程でフリーハンドを確保したいのは、衆院選とのダブル選の可能性を残し、少しでも求心力を維持したいからだという。
 ここでも解散理由として浮上しているのが「北方領土2島先行返還など外交問題」を国民に問うというもの。安倍晋三首相が長期政権の遺産(レガシー)を残すため、2島の先行返還を争点にするという観測だ。交渉の行方は不透明であり外交問題を争点にするのは非現実的と思われるが、レガシーづくりと言われれば説得力もある。
 改造で初入閣した閣僚の資質が問われる事態が相次ぎながら、内閣支持率が40%台で横ばい状態なのは、日中関係改善など安倍外交の成果によるものという分析もある。今後の展開によって2島先行も可能性は否定できない。
 「消費税増税の三度延期」も消えていない。消費増税を見送る理由としては、米中の貿易戦争の余波で世界経済の先行きが危惧され、堅調な国内経済に影響が出かねないという、真偽は別として“いかにも”というものだ。
 もっとも、自民党内では参院選のたびにダブル選の憶測が広がる。狙いは野党の分断であり、与党にとって衆参問わず1人区での野党連携が最大の脅威。しかし複数区では野党も単独候補を擁立する方針で、これに衆院選も加われば野党の共闘もままならない。
 召集日をめぐっては、衆参ダブル選の可能性をはらみつつ今後の国会審議に影響を与える可能性もある。

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トラック業界「労働環境改善に努力を」

2018/11/20 火曜日

 

 トラック運転手の長時間労働改善を検討している「トラック輸送における取引環境・労働時間改善県協議会」は輸送途中に中継地点を設け、貨物を別のトラックに積み替えるという実証実験を行い、11月に結果を報告した。運送事業者から運転手の労働時間の短縮や負担軽減につながったといった声が上がったという。
 トラック運転手は総労働時間が長い仕事の一つ。全国的に働き方改革が進められる中、今後の人材確保の観点からも、労働時間の抑制に向けた環境整備が急務だが、運送事業者だけの努力では改善が難しく、荷主の協力が欠かせない。このため、国土交通省と厚生労働省が荷主や運送事業者、学識経験者らを集めたメンバーで構成する協議会を47都道府県に設置し、全国で取り組みを進めている。
 本県で行われた今回の実証実験では八戸市からさいたま市の青果市場まで運ぶ際、途中の仙台市で別の車両に荷物を積み替えて引き継ぐ「中継輸送」の試み。積み替える分、目的地への到着は遅くなったが、運送事業者からは、運転手の労働時間の短縮、肉体的負担の軽減につながったとの声が上がり、一定の成果を上げたようだ。ただあまりメリットが感じられない、中継せずに直接行った方が楽かもしれない、との声もあったようで、まだまだ改善の余地があると言える。
 会議では中継地点で運転手が入れ替わる方式やトラクター(けん引車)を交換する方式なども示され、年明けにもいずれかの実証実験に取り組む予定だとか。
 同協議会はこれまでも実証実験を重ねており、朝の荷積みの時間を前倒しして混雑ピーク前の到着を図ったり、配送先ごとに積み荷を仕分けしたりして繁忙期の拘束時間を1日2時間以上短縮したことも。市場では待つのが当たり前と思っていた運送事業者はもちろん、発荷主も運びやすい荷物形態について考えるなど、さまざまな実験が良い意味で意識の変化につながっているようだ。こうした取り組みの積み重ねが重要だろう。
 他の都道府県でも積み荷情報を事前提供してもらうことで手待ち時間を削減したり、自宅での休憩を促すことで運転手の休憩時間を増やしたりする取り組みが進められており、成果や課題も含めて情報共有できる仕組みとなっている。
 長時間労働が半ば常態化している職種はトラック業界以外にもさまざまあり、いずれも個々の事業所の努力だけでは簡単に解決できない課題を抱えている。試行錯誤を繰り返すのはある意味当然のことで、諦めず、改善の道を模索してもらいたい。これまでの業界の「当たり前」は新たな担い手となる若手には通用しない。建設業などでも国などが主導して労働環境改善とその先の人材確保をにらんだ取り組みが進められているが、より多くの業界で将来を見据えた労働環境改善の取り組みをスタートさせるべきだ。

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英のEU離脱「不透明な行方に注視必要」

2018/11/17 土曜日

 

 英政府は14日の臨時閣議で、欧州連合(EU)離脱交渉で暫定合意した離脱協定案を承認した。国内手続きの第一関門を通過したことで、離脱に向けて具体的に動きだすこととなる。ただ、交渉段階で離脱を急ぐあまり妥協を重ねたことに抗議し、EU離脱担当相が辞任するなど、メイ政権は大きく揺らぎ始めており、英国内に拠点を置く日本企業も警戒感を抱きながら行方を注視している。
 反EU感情が根強い英国。2016年に残留、離脱を問う国民投票を行い、離脱が51・9%で過半数となった。移民規制で自由な政策を行えないなど、EUによる束縛に対する不満が背景にある。とはいえ、半数近くがEUとのつながりを望んでいるのも事実。英国は小差を総意として離脱交渉に入ったことになる。
 EUとの離脱交渉で英国は、日本円で5兆8000億円と推計される「手切れ金」の支払いや、在英、在EU市民の離脱後の権利を現状並みに保証することのほか、最大の懸案事項だった英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドについては関税を設けずに離脱に伴う社会、経済の激変を緩和する「移行期間」の設定などを協定案に盛り込み、暫定合意に至った。さらに、北アイルランド問題が未解決の場合は、移行期間の延長、もしくは英全体のEU経済圏残留かを20年7月までに選択するとした。
 臨時閣議は5時間以上に及ぶ議論の末、協定案を承認したが、メイ首相による数々の譲歩に対する反発は大きい。完全な離脱となるのか、EUの関税同盟に事実上とどまるのかも現時点で見通せず、仮に関税同盟残留なら関税自主権を行使できず、貿易などにEUのルールを受け入れなければならない上、EUでの発言権は離脱で失う。メイ首相は関税同盟残留を“非常時の保険”とするが、大方は「発動される」とみているようだ。そうなると、英国が掲げてきた米国との自由貿易協定(FTA)締結、日本が主導して進めている環太平洋連携協定(TPP11)への合流もできなくなる。TPP11のメリット拡大を図りたい日本にとっても無視できぬ問題だ。
 議会からは「EUの属国になる」などの厳しい意見が噴出。ラーブEU離脱担当相は「合意を支持できない」と抗議し辞任。マクベイ雇用・年金相、バラ北アイルランド担当閣外相らも後に続いた。早くも「メイ下ろし」が動き始めた。
 求心力を失ったメイ首相が議会承認を得られるかは分からず、英経済界は物流などに影響する「合意なき離脱」に警戒感を示す。15日の金融市場は、こうした動きを受け、英通貨ポンドが急落した。金融をはじめとする日本企業も、ドイツに現地法人を設立するなど、今後起こり得る事態に対応した体制構築を急いでいる。米中貿易摩擦に続く英国のEU離脱問題。世界経済に暗雲が広がってきた。

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日ロ首脳合意「北方四島返還見据えた対応を」

2018/11/16 金曜日

 

 安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領が14日夜にシンガポールのホテルで会談し、北方領土について、歯舞、色丹2島の引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎とし、平和条約締結交渉を加速させることで合意した。日本政府は国後、択捉2島を含む北方四島の帰属の問題を解決した上で平和条約を締結するという立場だが、今回の合意により今後の交渉で歯舞、色丹の扱いが先行する可能性が出てきた。
 4島一括返還を主張してきたわが国に対し、ソ連時代は「解決済み」、その後は2島の返還ではなく「譲渡」にこだわってきたロシアだが、共同宣言から60年余が経過した今、両国の間にいったい、どのような利害の一致が出てきたのか気になるところだ。旧ソ連の4島占拠時に子どもだった元住民は多くが70~80代と高齢となり、生まれ故郷に戻って生活することが現実味を持たない現状だが、そうであっても近いうちの朗報となるのか。今後の協議の推移を見守りたい。
 外務省ホームページによると、旧ソ連は終戦から間もない1945年8月28日から9月5日までの間に、4島すべてを占拠、一方的に自国領に編入した上で約1万7000人いた日本人を48年までに強制退去させた。その後の日ソ間の交渉で、平和条約締結後に歯舞、色丹2島を日本に引き渡すことに同意したのが同宣言となる。しかし、その後は幾度となく平和条約締結に向けた動きがあったが、4島どころか2島の返還にすら至っていないのが現状だ。おそらく、「また同じことの繰り返し」と考える国民は少なくないのかもしれない。
 ただ、プーチン大統領との会談後に記者団に応じた安倍首相の口からは「次の世代に先送りせず、私とプーチン大統領の手で必ずや終止符を打つ強い意志を完全に共有した」「戦後、残されてきた懸案、平和条約交渉を仕上げていく決意」と、これまでにない強い意志を含む発言がなされた。だとしたら、誰もが前向きな展開を期待するのは当然だ。冷戦下でのような、不毛な主張の対立は現代では誰も望まない。日本側も4島一括返還だけにこだわっていれば、前進がないと判断したとも見える。
 ただ、諸外国の経済制裁もあり長期停滞が指摘されるロシア経済。そうした中で、平和条約締結と2島返還により、自国経済回復に向けた新たな活路を見いだしたいとする狙いであれば、わが国も慎重に対応していく必要があろう。なし崩し的に領土問題が終結したとされ、経済協力だけを求められるのならば、それは好ましい姿ではない。
 まずは2島としても将来的な4島返還を見据え、官民挙げた交流と協力を行うことはもちろん、二度とこうした領土問題を起こさないという強い決意を互いに抱く必要がある。

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ネット利用調査「大人への情報モラル教育も」

2018/11/15 木曜日

 

 弘前市教育委員会が市立校の小学4年~中学3年を対象に行った、インターネット利用に関する今年度のアンケート結果が公表された。スマートフォンや携帯電話の所持率は全学年で前年度より増加。ネット利用に関してルールを設ける家庭も増えるなど、児童生徒を取り巻くインターネット環境に、保護者が関わっていく必要性が認識されつつある。
 調査結果によると、スマホ・携帯電話の所持率は小学生が3割以上、中学生は5割以上となり、全学年の所持率は前年度より増加。自分専用のスマホ・携帯電話を持ち始めた時期は、小学4、5年生だと3年生以前からというケースが全体の5割を超えていた。市教委は所持率について、今後も増加するとみている。
 自分専用のスマホ・携帯電話を持った理由に関する質問では、小学生は「親に持つように言われた」と回答した率が各学年とも最も高く、30~40%台に上った。防犯用途の強い「キッズ携帯」が多いとみられ、子どもたちを守るツールとして重要視されているもようだ。
 中学生は同様の理由のほか、「塾や習い事、部活などでの連絡のため」と回答した率が各学年とも20%台と高く、便利な連絡網として活用されていた。自宅では、ゲーム機を通してインターネットを利用する児童生徒の割合も目立った。
 不適切サイトなどから守るフィルターの有無については、自分専用のスマホ・携帯電話を所持する児童生徒のうち、小学生の各学年の3割超が「かけられている」と回答。中学生で「かけられている」と回答した割合は、各学年とも4割超で前年度より増加した。ただ、小中学生とも1割強から2割弱で、「かけられていない」との回答も見られた。
 当たり前のようにインターネットを使える環境で育ってきた子ども世代に比べると、親世代の方がインターネット事情に疎い場合がある。市教委は保護者向けの啓発活動を推進しており、機器購入時にフィルタリングをする保護者が今後も増えることを期待したい。インターネットや通話をする際のルールについて、利用時間を決めていると回答する割合も今年度調査では増加傾向にあった。
 一方、インターネットを通じて怖い思いや嫌な思いをしたことがある―と回答した小中学生が、いずれも10%以下とはいえ、いたことは見逃せない。見知らぬ人に突然悪意をぶつけられたり、接触や個人情報の提供を求められたりといったケースもあった。
 生活を便利にしたインターネットを通し、子どもたちを犯罪などの理不尽な行為に巻き込もうとする大人は少なくない。子どもたちを悪意ある大人から守るためには親世代が積極的に学び、その利便性を確保しながら関わっていく必要がある。子どもたちと同時に、大人の情報モラル教育の在り方も問われている。

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