社 説

 

初の施政方針「首相は国民と課題の“共有”を」

2021/1/19 火曜日

 

 第204通常国会が18日召集され、菅義偉首相が就任後初の施政方針演説を行った。首相は新型コロナウイルスの感染拡大を「難局」と捉え、克服への決意を表明。語気を強めて国民へ理解を求める場面もあったが、演説内容は“グリーンとデジタル”や外交安保まで多岐にわたり、コロナ対策で強いメッセージ性は感じられなかった。
 演説に触れる前に指摘したいのは、時事通信の1月の世論調査で菅内閣の支持率は前月比8・9ポイント減の34・2%、不支持率は13・1ポイント増の39・7%となり、初めて不支持が支持を上回ったことだ。
 調査は新型コロナウイルス感染拡大を受けた緊急事態宣言の直後に行われた。しかし政府対応については「評価しない」が61・4%に上っており、これが支持率に影響していることが分かる。
 首相は感染拡大で国民に制約ある生活を強いているとしながら、若者が飲食で感染を広げていると改めて指摘。緊急事態宣言を通じて感染を減少させるほか、最前線に立って難局を乗り越える覚悟だと訴えた。
 この“ずれ”は何が原因なのか。国民の危機意識が伝わっているとは到底思えず、せめて追加対策や期間延長の可能性に触れながら、協力を求めるべきではないか。
 首相は2月下旬までのワクチン接種開始へ準備するとし、「私も率先して接種する」と表明。その上で東京五輪・パラリンピックに関しては「感染対策を万全なものとし、大会を実現するとの決意の下、準備を進める」と語った。
 ここでも“ずれ”が生じている。一部報道機関の調査では「延期・中止」が8割に達したほか、野党はもとより自民党内にも「延期しかない」との声は増えている。
 今回の演説自体は「決意」「覚悟」などの言葉や抑揚のある語り口を受け、「自分が伝えたい思いが込められていた。国民にも伝わったのでは」(自民党議員)と評価する声も。これに対して「工夫の跡は見えても内容は総花的で、何がしたいのか伝わらない」(野党議員)と厳しい指摘もあった。
 もう一つ、演説では意味の分からない文節が。最終盤で首相は「未来への希望を切り開くため、長年の課題について、この4カ月間で答えを出してきた」と語った。
 いったい何の“答え”を出したのか。演説ではコロナ禍が収束しなければ国民の安心は戻らないとも言っている。もし携帯料金の引き下げが“答え”だったのなら、国民が実感できるのは安心が戻ってからではないか。
 締めには「国民のために働く内閣として全力を尽くす」と力を込めた首相。何よりすべきは国民が何の課題解決を望んでいるかを共有し、その解決に努力する姿を見せることだろう。

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「学校クラスター」感染拡大防止に留意を

2021/1/16 土曜日

 

 県内で新たに新型コロナウイルスの学校クラスター(感染者集団)が確認された。青森市内の高校で、冬休み中の部活動での感染とみられており、15日現在、同居人ら関連も含めて34人の感染が確認されている。学校クラスターとしては昨年末、弘前保健所管内の高校で発生したクラスターに続き2例目。どちらの事例も冬休み中の感染で、広がりは限定的とみられており、早期の収束につながることを願いたい。
 最初の学校クラスターの発生は昨年12月28日に公表され、クラスターとして48人、関連を含め61人という規模になった。だが、学校で感染防止対策をおろそかにしていたわけではない。県教委によると、国のマニュアルに基づき、毎日の健康観察のほか体温が高い生徒の出席停止、マスク着用の励行、小まめな手洗い、換気などは行っていたという。
 感染拡大との関連は不明としつつ、12月に球技大会の開催や終業式で合唱の機会があったとされているが、競技中以外はマスクを着用し、応援などはあまり声を出さないよう指導、合唱はマスク着用で行っていたというから、感染防止に留意していたと考えられる。それでも感染者が出れば、結果として感染防止対策が不十分だったとされる。学校関係者からすれば、さぞ頭の痛いことだろう。実情をよく知らない外野の無責任な批判や中傷などは意味がないことだ。大人の対応をしたい。
 青森市の高校のクラスターは部活動の練習で感染が広がったとみられている。練習には県外からの参加者もあったとされているが、感染経路は不明。この学校は風邪症状の生徒が複数確認された時点で速やかに市保健所に相談し、検査につなげているが、最初の発表で感染者24人と相応の規模の感染となってしまった。
 一定の人数が行動を共にし、会話や掛け声などが伴う部活動やスポーツの場面は完全な感染防止対策が難しいと思われる。全国大会などの場面でも感染事例が散見される。感染防止のことだけを考えるのなら、リスクの高い活動は中止してしまえば安全だろうが、生徒にとってはたった一度しかない高校生活だ。昨年は全国規模のスポーツや文化の大会が軒並み中止になってしまったが、今年はできる限り、多彩な教育活動の場、生徒の活躍の場を確保してあげたい。そのためにも各学校には情報を共有し、感染を限られた範囲内で収束できるよう、日々対策を見直して改善に努めてほしいと思う。
 実際のところ、職場や家庭も含めてどれだけ対策を取っても感染してしまうことはあるのだろう。県内での感染者は療養を終えた人や亡くなった人も含めて600人を超え、クラスターも飲食店、職場などで発生し、なかなか沈静化しない。この機に自分の行動を見直し、自分が感染していたとしても多くの人に広げないような行動を心掛けたい。

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慰安婦訴訟初判決「感情排し、冷静な方策を」

2021/1/15 金曜日

 

 韓国の元慰安婦らが日本政府を相手に損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁が、原告側の訴えを全面的に認め、日本政府に請求通りの支払いを命じる判決を下した。訴訟では、他国の裁判権に国家は服さないとする国際法上の「主権免除」の原則が適用されるかが焦点だったが、判決では元慰安婦に対する日本政府の「反人道的行為」を認定し、「不法占領中だった韓(朝鮮)半島内で行われた」として「例外的に裁判権はある」と判断した。日本政府は「断じて受け入れることはできない」と強く反発し、韓国政府に抗議している。
 今回の判決は、慰安婦問題という日韓双方の間に横たわる解決が非常に難しい問題を内容にしたものではあるが、ソウル中央地裁の示した判断は「例外的」としても日本の主権を侵害しかねない問題を含んだものであり、国際法上の原則、いわば常識とされるものを無視した感情的なものであると言わざるを得ない。韓国国内の世論には受け入れられる判決内容かもしれないが、日本の反発は当然予測できるものであったろうし、国際法上の原則を無視した今回の判決が国際的な支持を得られるとも思えない。
 元徴用工問題で、日韓関係は両国の国交正常化後、最悪レベルと言われるまでに冷え込んでいるが、今回の判決はさらなる関係悪化を助長するだけのように思えてならない。慰安婦問題の解決をどのように図るのか、最善の方法は何か。韓国外務省は、今回の司法判断を尊重する姿勢を示したが、韓国政府は、感情的とも取れるこうした司法判断が、果たして慰安婦問題の解決につながるものであるのか、冷静に判断した方が良い。別の元慰安婦訴訟の判決が急きょ、延期となったが、その動向は注目されるだろう。
 日本政府は、今回の裁判に対し、訴訟は却下されるべきだとの考えで審理を全て欠席している。今後も主権免除の原則から控訴しない方針だ。ソウル中央地裁の判決内容を見ても、この裁判において公平性や客観性などが十分、担保されるかは、疑問に思わざるを得ない。日本政府の判断は妥当なものであるし、抗議すべきは抗議しつつも冷静に対応すべきだ。対抗措置の是非が日本国内では論議されているが、実際に策を講じるにしても、その効果を慎重に見極める必要がある。対抗措置の応酬で関係悪化の悪循環を呼ぶようでは、問題は解決しない。
 韓国政府は今回の判決を受けて「両国間の建設的で未来志向的な協力が続くよう諸般の努力を傾ける」との談話を出したが、この言葉が単なるお題目であってはならない。建設的で未来志向であるためには、どこを主張し、どこで相手の意見を尊重し、現実的な方策へと落とし込むか、日韓両政府は本腰を入れて関係改善の道を模索すべきだ。

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緊急事態宣言拡大「泥縄式の対応で収束は可能か」

2021/1/14 木曜日

 

 政府は13日、新型コロナウイルス感染拡大が深刻化する大阪、京都、兵庫の関西3府県と栃木、愛知、岐阜、福岡4県の計7府県を特別措置法に基づく緊急事態宣言の対象区域に追加することを決定した。期間は14日から2月7日まで。
 対象区域の知事は、飲食店に午後8時までの営業時間短縮を要請。応じた店舗には1日最大6万円の協力金を支払う。応じなければ店名の公表が可能となる。
 昨年春以来2度目となる、首都圏4都県を対象に8日から始まった宣言の対象地域は、わずか1週間で11都府県に拡大したことになる。政府は、経済への影響を考慮して、全国への拡大には慎重だが、今後の感染状況次第では再び軌道修正を迫られる可能性がある。
 国内では13日、新たに約6000人の新型コロナ感染者が確認され、クルーズ船の乗船者らを含めた累計が30万人を超えた。初の感染確認から16日で1年になるが、ここにきて拡大ペースは速まっており、過去3週間余りで約10万人増加している。東京都の13日の新規感染者は1433人に上った。
 全国的に感染拡大の勢いはとどまる気配がなく、緊急事態宣言が再発令されても、その効果はいかほどかと思わずにはいられない。
 今回の宣言では、感染リスクが高いとされる飲食店などへの営業時間短縮の要請が対策の柱となっている。不要不急の外出自粛、テレワークなどによる出勤7割削減も呼び掛けているものの、イベントは最大5000人、収容人数50%上限などとなっており、措置内容は昨年春ほど厳しくはない。16、17日の大学入学共通テストは予定通り行われる。宣言再発令後、初の週末となった9日の首都圏繁華街は多くの人でにぎわい、外出自粛ムードも低調だった。
 13日に会合を開いた厚生労働省の専門家組織の分析では、感染者が急増する自治体では入院調整が難しい例が増え、新型コロナ診療と通常医療の両立が困難な状況が拡大しつつある。東京都内では入院先や宿泊療養先が未定で調整中の人が9日までの1週間で6000人超に達し、前週から倍増したという。新たに加わる7府県についても、新規感染者数の急増で医療提供体制が逼迫(ひっぱく)しているという。病床数が少ない地方においても決して人ごとではない。
 ただ、政府は全国への拡大には慎重だ。経済への影響を考慮するのは当然大事なことではあるが、そのために対応が後手に回り、感染の拡大がこのまま続き収束が見通せないようでは元も子もない。昨年春も結果的に全国に拡大したことを考えれば、多少制限を強めても、できるだけ短期間で収束を図ることの方が今は重要なのではないだろうか。まさに泥縄式の緊急事態宣言の再発令にどの程度の効果があるのか疑問を抱かざるを得ない。

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コロナ禍の成人式「中止自治体は思い出づくりを」

2021/1/13 水曜日

 

 新型コロナウイルス感染拡大のため、国内各所で冬の成人式が中止もしくは延期となる中、成人の日の11日には緊急事態宣言が出ている首都圏1都3県の一部自治体で式が開かれた。本県でも同様に中止や延期が相次ぐ中、連休中に中泊町などが実施した。批判する声はもちろんあろうが、成人式自体は「一生に一度の思い出」でもある。開催した自治体の会場では、手指の消毒にマスク着用など万全の対策を講じた上で実施しており、新成人の思いを酌んだ英断は評価すべきだろう。同時に中止に踏み切った自治体もまた、感染拡大防止を考えての措置であろうが、今後別な形での「思い出づくり」の機会を設けてほしいと考える。
 報道によると、全国最多の約3万7000人の新成人を抱える横浜市は、「一生に一度の成人式で思い出をつくってほしい」と開催に踏み切った。約1万5000人が出席し、市内2カ所で計8回に分散。会場入り口では、手指の消毒や検温、式前後の会食自粛を求めるカード配布といった対策に努めた。本県でも昨夏の新郷村に続き、中泊町や東通村などで開催。青森市ではオンラインでの開催を予定していたが、市民の声を反映して延期に方針転換した。このうち中泊町では対象者93人中36人が出席し、厳重な感染防止対策の上で催された。新成人からは「成人式は今しかできない」「楽しみにしていたので、中止にならなくてよかった」と貴重な機会を設けた自治体の姿勢に感謝する声が聞かれた。
 なぜ多くの自治体が成人式中止や延期という判断に追い込まれたのか。ある自治体では、ホームページ上に式会場に向かうまでの感染リスクが高くなり、万一感染した場合、本人はもちろん家族にまで負担をかけてしまう、ということを挙げている。感染拡大防止の観点から県外在住者に式への出席自粛を求めた自治体もあった。
 確かにコロナ禍の中で、多くの人が集まるイベントが自粛に追い込まれる中、多くの若者が集い懇親を深める成人式を開催するかどうかの判断は悩むところであり、多くの自治体が中止または延期と判断したのはやむを得まい。ただ、昨年後半から感染者が拡大していく中、今年に入って1都3県での緊急事態宣言と、ようやく重い腰を上げた国の姿勢にも問題がある。第2波が顕著化した時点で何らかの強めの対策が講じられていれば、成人式中止や飲食店の時間短縮営業のような事態にはならなかったとの指摘もあるからだ。
 今の状況になった以上、過去のことをいくら言っても始まらない。今回、式が行われなかった新成人たちに対して配慮し、何らかの機会を提供するといった自治体側の努力を願いたい。こうした取り組みにより、新成人たちの古里への思いが一層強まり、20歳の記憶が本当に思い出に残るものになるだろう。

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