令和の激闘 19参院選あおもり

 

2019/7/23 火曜日

 

  21日投開票の参院選。事実上の与野党一騎打ちとなった本県選挙区は自民現職候補が再選を果たし、野党4党の共闘による新人の統一候補を破った。激戦となった選挙戦を振り返る。

 

 

 

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滝沢陣営=上

 

安倍首相(中央右)は公示後に2度来県し、滝沢氏(右)と共に街頭で支持を呼び掛けた=19日、五所川原市

 2016年の前回選で野党統一候補に敗れる苦い経験があるだけに、対抗馬が現れる前から本県選挙区を「激戦区」に位置付けた自民党。滝沢求陣営の危機感は日増しに強まり、公示後は立憲民主党新人の小田切達の猛追を実感していた。大物弁士が連日来県し、首相の安倍晋三(党総裁)は最終盤の19日、情勢の厳しさを示す公示後2度目の本県入り。党県連幹事長の清水悦郎は、滝沢の地元八戸市を含む衆院本県2区ですら「中盤にはひっくり返されるのではと思い、ねじを巻き直した」と振り返った。
 「1区と3区で五分に持ち込み、2区で圧勝する」とは、陣営幹部が描いた戦略。前回選でいずれも自民候補が敗れた弘前、青森、八戸3市を注視した。結果は小田切の地元弘前市と青森市で計約1万4000票差で負け、八戸市はおおむね同票差で勝ち、県内有権者数の過半数を占める3市合計で小田切の得票を下回ったものの104票差にとどめた。
 当落は浮動票が多い3市以外に委ねられ、投票率が過去最低の42・94%に落ち込んだことで、自民の強固な組織力が際立った。県内組織は旧市町村単位で張り巡らせており、とりわけ郡部で底力を発揮。市町村別では県南、下北地方の全勝を含む32市町村を制し、町村部で計2万票近い差をつけた。
 苦戦を強いられた3区の選対本部長・木村次郎は「候補が木村次郎の仲間ということより『小田切さんは弘前の人』という思いが先に来ているようだった」と語った。全県選挙の参院2議席は八戸市出身者で占められており、津軽地方の陣営幹部は、6月の知事選でおいらせ町出身の三村申吾が5選を果たした「反動」があるとして「津軽からも1人くらい出していいんじゃないかという動きがあった」と分析した。
 圧勝を求められた八戸市も、滝沢と同じく同市を地盤とする国民民主党県連代表の田名部匡代が小田切を支援したことで、目標の2万5000票差には遠く及ばず。猛追について清水は「あんなに強いとは思わなかった。匡代参院議員もいるし、やっぱり底力ある」とうなった。
 年金問題など逆風もある中で、公明党との連携を強めて臨み、辛くも議席を守った今選挙。陣営からは実績を持つ現職の知名度不足に不満の声も上がる。滝沢は22日の会見で、外務政務官の間は地元に戻れない時期があったと認め「今回(の6年間)は毎週地元に帰ることを意識し、丁寧に回ってさまざまな声を聞いていきたい」と抱負を語った。

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小田切陣営=下・完

2019/7/24 水曜日

 

小田切氏(右から2人目)落選の報を受け野党幹部や支持者らを前に険しい表情でマイクを握る山内代表(右)=21日午後10時40分ごろ

 立憲民主党が擁立した小田切達は政治経験がない「無名の新人」。陣営は野党共闘で自民党現職を破った3年前の再現を狙い、「野党統一候補」の看板を強調して選挙戦に臨んだ。しかし、知名度不足を解消するには時間が足りず、投票率の低さもあって、自民の強固な組織力に屈した。 
 公示後、立憲代表の枝野幸男が2回本県入りしたほか、野党系大物弁士らを次々に投入する〝空中戦〟も展開。中盤以降は「相手の背中を視界に捉えた」という手応えをつかみ、終盤は県内野党幹部が一緒に街頭に立つ機会を増やし、共闘の姿勢を強調したが、浸透し切れなかった。
 合同選対本部長を務めた立憲県連代表の山内崇は「(野党各党が)互いに触れにくい部分も含め、本気で関わり合いを求めていくことが、これからの課題」と指摘。党本部間で小田切を統一候補に決めたのは5月末。統一地方選、知事選と続く時間的制約のある戦いを強いられ、本当の意味での共闘態勢を築けなかったことを暗示した。
 陣営は小田切の地元弘前市で大差をつけ、青森市で優勢、八戸市は五分に持ち込む戦いを想定。しかし、弘前市でつけた約9000票差は、前回選の野党統一候補だった田名部匡代(現・国民民主党県連代表)が地元八戸市でつけた約2万5000票差の約3分の1にとどまった。
 陣営幹部は、前回選の八戸市での票差は田名部の知名度に加え、政治家としての実績を反映したもので「(今回は)準備期間も短く、十分に浸透し切れなかった」と分析。田名部も時間の短さを敗因の一つに挙げ「野党の力を結集していく状況を見せる必要があった」と振り返った。
 県内の野党各党は今回の共闘に一定の評価を示しつつ、全体的な運動量が自民の組織力に対抗するまでに至らなかったことを課題に指摘。共産県委員会委員長の畑中孝之は「3年前より(共闘は)前に進んだが、(強固な組織を持つ)自民と運動総量で差がついた」、社民県連代表の三上武志は「もっと運動量を増やして政策や訴えを広めていく努力が必要」とした。
 元衆院議員の升田世喜男は「自分を含め野党全体の地力と受け止めなければいけない」とし、地方議員までを含めたトータルでの活動が弱かったとの認識を示す。現職に肉迫した票差からは有権者の自民に対する不満もうかがえる。次の国政選挙に向け共闘のブラッシュアップを急ぐ。

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